JP2019100200A - 多段遠心圧縮機、ケーシング及びリターンベーン - Google Patents

多段遠心圧縮機、ケーシング及びリターンベーン Download PDF

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Abstract

【課題】リターン流路における旋回流成分をさらに低減することが可能な多段遠心圧縮機を提供する。【解決手段】軸線回りに回転する回転軸と、複数のインペラと、流体Gを径方向内側に向かって案内するリターン流路25および後段側のインペラに流体Gを転向させて導入する導入流路21を有すると、リターン流路25に設けられたリターンベーン50と、を備え、導入流路21は、径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面21bと、径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面21aと、を有し、リターンベーン50の後縁52における軸線方向下流側の第一端部52aが外側湾曲壁面21bに位置し、軸線方向上流側の第二端部52bが、内側湾曲壁面21aにおける外側湾曲壁面21bの径方向位置の範囲内に位置する。【選択図】図3

Description

本発明は、多段遠心圧縮機、ケーシング及びリターンベーンに関する。
産業用圧縮機やターボ冷凍機、小型ガスタービン、ポンプ等に用いられる遠心圧縮機として、回転軸に固定されたディスクに複数のブレードを取り付けたインペラを備えた多段遠心圧縮機が知られている(例えば下記特許文献1参照)。多段遠心圧縮機は、インペラを回転させることで、作動流体に圧力エネルギー及び速度エネルギーを与えている。回転軸の軸線方向に隣り合う一対のインペラは、リターン流路で接続されている。リターン流路には、作動流体から旋回流成分を取り除くためのリターンベーンが設けられている。さらに、リターン流路の下流側には、後段のインペラに作動流体を導く導入流路が接続されている。導入流路は、上流側から下流側に向かうにしたがって、径方向外側から内側に向かって湾曲している。ここで、特許文献1に記載された装置では、リターンベーンの後縁は、回転軸の軸線に対する径方向において、導入流路の湾曲部よりも外側に位置している。
特開2009−281155号公報
しかしながら、上述のようにリターンベーンの後縁が湾曲部よりも外側に位置している場合、作動流体の旋回流成分を十分に除去できない可能性がある。その結果、リターンベーンよりも径方向内側に位置する導入流路(インペラ入口)では、角運動量保存則に基づいて、旋回流成分が増大してしまう。また、インペラに対する作動流体の流入角度(インシデンス)も大きくなってしまう。これにより、多段遠心圧縮機の性能が低下するおそれがある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、リターン流路における旋回流成分をさらに低減することが可能な多段遠心圧縮機、ケーシング及びリターンベーンを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、多段遠心圧縮機は、軸線回りに回転する回転軸と、該回転軸に固定されて一体に回転することで、軸線方向上流側から流入する流体を径方向外側に圧送する複数段のインペラと、前段側の前記インペラから圧送された流体を径方向内側に向かって案内するリターン流路および該リターン流路の下流側に接続されて、後段側のインペラに流体を転向させて導入する導入流路を有するケーシングと、前記リターン流路に周方向に間隔をあけて設けられたリターンベーンと、を備え、前記導入流路は、前記リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、を有し、前記リターンベーンの後縁における軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し、該リターンベーンの後縁における軸線方向上流側の第二端部が、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置する。
この構成によれば、リターンベーンの後縁における第一端部が外側湾曲壁面に位置し、第二端部が内側湾曲壁面における外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置している。これにより、後縁が外側湾曲壁面及び内側湾曲壁面よりも径方向外側にそれぞれ位置している場合に比べて、リターン流路を流通する流体の旋回流成分をより大きく除去することができる。したがって、後段側のインペラに対する流体の流入角度(インシデンス)を適正化することができる。これにより、多段遠心圧縮機の性能を向上させることができる。
本発明の第二の態様によれば、前記第一端部と前記第二端部とが、軸線に対する径方向において同一の位置にあってもよい。
この構成によれば、より広い領域にわたってリターンベーンによって流体を整流することができるため、下流側で生じるウェーク(低速領域)の大きさを縮小することができる。これにより、ウェークによる不用意な損失が抑制され、多段遠心圧縮機の性能低下を回避することができる。
本発明の第三の態様によれば、前記第一端部及び前記第二端部は、軸線に対する径方向において前記外側湾曲壁面の最も径方向内側の端縁と同一の位置にあってもよい。
この構成によれば、さらに広い領域にわたってリターンベーンによって流体を整流することができるため、下流側で生じるウェーク(低速領域)の大きさをさらに縮小することができる。これにより、ウェークによる不用意な損失が抑制され、多段遠心圧縮機の性能低下を回避することができる。
本発明の第四の態様によれば、前記第一端部は、前記外側湾曲壁面における最も径方向内側の端縁に位置し、前記第二端部は、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の最も径方向内側の端縁に対応する位置に位置してもよい。
この構成によれば、リターンベーンの後縁における第一端部が外側湾曲壁面における最も径方向内側の端縁に位置し、第二端部が内側湾曲壁面における外側湾曲壁面の最も径方向内側の端縁に対応する位置に位置している。これにより、後段側のインペラに対する流体の流入角度(インシデンス)を適正化することができる。したがって、多段遠心圧縮機の性能を向上させることができる。さらに、より広い領域にわたってリターンベーンによって流体を整流することができるため、下流側で生じるウェーク(低速領域)の大きさをさらに縮小することができる。これにより、ウェークによる不用意な損失が抑制され、多段遠心圧縮機の性能低下を回避することができる。
本発明の第五の態様のケーシングは、多段遠心圧縮機のケーシングであって、軸線回りに回転するインペラから圧送された流体を径方向内側に向かって案内するリターン流路および該リターン流路の下流側に接続されて、後段側のインペラに流体を転向させて導入する導入流路と、前記リターン流路に周方向に間隔をあけて設けられたリターンベーンと、
を備え、前記導入流路は、前記リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、
を有し、前記リターンベーンの後縁における軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し、該リターンベーンの後縁における軸線方向上流側の第二端部が、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置する。
本発明の第六の態様のケーシングは、軸線回りに回転する複数のインペラを有する多段遠心圧縮機のリターン流路に周方向に間隔をあけて設けられるリーンベーンであって、前記リターン流路は、前記多段遠心圧縮機の軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、前記多段遠心圧縮機の軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、を有し、後縁の軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し該後縁における軸線方向上流側の第二端部は、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置する。
本発明によれば、リターン流路における旋回流成分をさらに低減することが可能な多段遠心圧縮機を提供することができる。
本発明の実施形態に係る多段遠心圧縮機の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る多段遠心圧縮機の拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る多段遠心圧縮機のリターン流路周辺を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る多段遠心圧縮機の変形例を示す拡大断面図である。
以下、本発明の第一実施形態に係るケーシング及びリターンベーンを含む遠心圧縮機(多段遠心圧縮機)について図面を参照して説明する。図1に示すように、遠心圧縮機100は、軸線O回りに回転する回転軸1と、この回転軸1の周囲を覆うことで流路2を形成するケーシング3と、回転軸1に設けられた複数段のインペラ4と、ケーシング3内に設けられたリターンベーン50と、を備えている。
ケーシング3は、軸線Oに沿って延びる円筒状をなしている。回転軸1は、このケーシング3の内部を軸線Oに沿って貫通するように延びている。軸線O方向におけるケーシング3の両端部には、それぞれジャーナル軸受5及びスラスト軸受6が設けられている。回転軸1は、これらジャーナル軸受5とスラスト軸受6とによって軸線O回りに回転可能に支持されている。
ケーシング3の軸線O方向一方側には、外部から作動流体Gとしての空気を取り入れるための吸気口7が設けられている。さらに、ケーシング3の軸線O方向他方側には、ケーシング3内部で圧縮された作動流体Gが排気される排気口8が設けられている。
ケーシング3の内側には、これら吸気口7と排気口8とを連通し、縮径と拡径を繰り返す内部空間が形成されている。この内部空間は、複数のインペラ4を収容するとともに、上記の流路2の一部をなしている。なお、以降の説明では、この流路2上における吸気口7が位置する側を上流側と呼び、排気口8が位置する側を下流側と呼ぶ。
回転軸1には、その外周面上で軸線O方向に間隔を空けて複数(6つ)のインペラ4が設けられている。各インペラ4は、図2に示すように、軸線O方向から見て略円形の断面を有するディスク41と、このディスク41の上流側の面に設けられた複数のブレード42と、これら複数のブレード42を上流側から覆うカバー43と、を有している。
ディスク41は、軸線Oと交差する方向から見て、該軸線O方向の一方側から他方側に向かうに従って、径方向の寸法が次第に拡大するように形成されることで、おおむね円錐状をなしている。ブレード42は、ディスク41の軸線O方向における両面のうち、上流側を向く面上で、軸線Oを中心として径方向外側に向かって放射状に複数配列されている。より詳しくは、これらブレードは、ディスク41の上流側の面から上流側に向かって立設された薄板によって形成されている。これら複数のブレード42は、軸線O方向から見た場合、周方向の一方側から他方側に向かうように湾曲している。
ブレード42の上流側の端縁には、カバー43が設けられている。言い換えると、上記複数のブレード42は、このカバー43とディスク41とによって軸線O方向から挟持されている。これにより、カバー43、ディスク41、及び互いに隣り合う一対のブレード42同士の間には空間が形成される。この空間は、後述する流路2の一部(圧縮流路22)をなしている。
流路2は、上記のように構成されたインペラ4と、ケーシング3の内部空間を連通する空間である。本実施形態では、1つのインペラ4ごと(1つの圧縮段ごと)に1つの流路2が形成されているものとして説明を行う。すなわち、遠心圧縮機100では、最後段のインペラ4を除く5つのインペラ4に対応して、上流側から下流側に向かって連続する5つの流路2が形成されている。
それぞれの流路2は、導入流路21と、圧縮流路22と、ディフューザ流路23と、リターン流路30と、を有している。なお、図2は、流路2及びインペラ4のうち、1段目から3段目のインペラ4を主として示している。
1段目のインペラ4では、導入流路21は上記の吸気口7と直接接続されている。この導入流路21によって、外部の空気が流路2上の各流路に作動流体Gとして取り込まれる。より具体的には、この導入流路21は、上流側から下流側に向かうにしたがって、軸線Oに対する径方向内側から外側に向かって次第に湾曲している。
2段目以降のインペラ4に対応する導入流路21は、前段(1段目)の流路2におけるリターン流路25(後述)の下流端と連通されている。すなわち、リターン流路25を通過した作動流体Gは、上記と同様に、軸線Oに沿って下流側を向くように、その流れ方向が変更される。
圧縮流路22は、ディスク41の上流側の面、カバー43の下流側の面、及び周方向に隣り合う一対のブレード42によって囲まれた流路である。より詳しくは、この圧縮流路22は、径方向内側から外側に向かうに従って、その断面積が次第に減少している。これにより、インペラ4が回転している状態で圧縮流路22中を流通する作動流体Gは、徐々に圧縮されて高圧状態となる。
ディフューザ流路23は、軸線Oの径方向内側から外側に向かって延びる流路である。このディフューザ流路23における径方向内側の端部は、上記圧縮流路22の径方向外側の端部に連通されている。
ディフューザ流路23の下流側には、リターンベンド部24とリターン流路25とが形成されている。リターンベンド部24は、ディフューザ流路23を経て、径方向の内側から外側に向かって流通した作動流体Gの流れ方向を径方向内側に向かって反転させる。リターンベンド部24の一端側(上流側)は、上記ディフューザ流路23に連通され、他端側(下流側)は、リターン流路25に連通されている。リターンベンド部24の中途において、径方向の最も外側に位置する部分は、頂部Tとされている。この頂部Tの近傍では、リターンベンド部24の内壁面は、3次元曲面をなすことで、作動流体Gの流動を妨げないようになっている。
リターン流路25は、リターンベンド部24の下流側の端部から径方向内側に向かって延びている。リターン流路25の径方向外側の端部は、上記のリターンベンド部24と連通されている。リターン流路25の径方向内側の端部は、上述のように後段の流路2における導入流路21に連通されている。ケーシング3におけるリターン流路25を形成する壁面のうち、軸線O方向一方側(上流側)の壁面は、上流側壁面3aとされている。ケーシング3におけるリターン流路25を形成する壁面のうち、軸線O方向他方側(下流側)の壁面は、下流側壁面3bとされている。
リターン流路25の軸線O方向他方側の端部は、作動流体Gをインペラ4に導く上述の導入流路21に接続されている。2段目以降のインペラ4に対応する導入流路21は、上流側に位置する内側湾曲壁面21aと、下流側に位置する外側湾曲壁面21bとによって形成されている。内側湾曲壁面21aは、上述の上流側壁面3aと連続している。内側湾曲壁面21aは、軸線Oに対する径方向外側から内側に向かうにしたがって、上流側から下流側に向かって湾曲する曲面状をなしている。外側湾曲壁面21bは、上述の下流側壁面3bと連続している。外側湾曲壁面21bは、軸線Oに対する径方向外側から内側に向かうにしたがって、上流側から下流側に向かって湾曲する曲面状をなしている。
次に、リターンベーン50について図3を参照して説明する。リターンベーン50は、リターン流路25及び導入流路21にまたがるようにして、複数が設けられている。複数のリターンベーン50は、軸線Oを中心として放射状に配列されている。これらリターンベーン50は、軸線Oの周囲で周方向に間隔を空けて配列されている。リターンベーン50は、軸線O方向の両端が、リターン流路25及び導入流路21を形成するケーシング3に接している。即ち、リターンベーン50の軸線O方向一方側(上流側)は上流側壁面3a及び内側湾曲壁面21aに径方向全域にわたって接している。リターンベーン50の軸線O方向他方側(下流側)は、下流側壁面3b及び外側湾曲壁面21bに径方向全域にわたって接している。
リターンベーン50は、軸線O方向から見た際に、径方向外側の端部を前縁51とし、径方向内側の端部を後縁52とする翼形状をなしている。リターンベーン50は、前縁51から後縁52に向かうに従って回転軸1の回転方向前方側に向かって延びている。なお、前縁51とは、リターンベーン50の径方向外側の端縁を指す。後縁52とは、リターンベーン50の径方向内側の端縁を指す。リターンリターンベーン50は、回転方向前方側に向かって凸となるように湾曲している。
リターンベーン50の前縁51は、リターン流路25の径方向外側の端部に設けられている。より詳細には、前縁51は、リターンベンド部24とリターン流路25との境界上に配置されている。一方で、リターンベーン50の後縁52は、導入流路21上に位置している。後縁52は、軸線Oに対して平行に延びている。なお、ここで言う平行とは、必ずしも厳密な平行を指すものではなく、やむを得ず生じる製造誤差や交差等は許容される。より詳細には、後縁52における下流側の端部(第一端部52a)は、導入流路21の外側湾曲壁面21bにおける最も径方向内側の端縁に位置している。第一端部52aの径方向における位置は、カバー43の内周面43aにおける最も径方向内側の端縁と同一である。なお、ここで言う同一とは、必ずしも厳密な同一を指すものではなく、やむを得ず生じる製造誤差や交差等は許容される。
後縁52における上流側の端部(第二端部52b)は、導入流路21の内側湾曲壁面21aにおける、外側湾曲壁面21bの径方向位置の範囲内に位置している。より詳細には、第二端部52bは、図3中における両矢印で示す範囲内に位置していることが望ましい。本実施形態では、上述のように後縁52は軸線Oに対して平行であることから、第二端部52bは、外側湾曲壁面21bにおける最も径方向内側の端縁と径方向において同一の位置に位置している。さらに、後縁52が軸線Oに対して平行であることから、第二端部52bは、カバー43の内周面43aにおける最も径方向内側の端縁と同一の位置に位置している。即ち、後縁52は、軸線Oに対する径方向において、インペラ4の圧縮流路22と重複しない位置に設けられている。
続いて、本実施形態に係る遠心圧縮機100の動作について説明する。遠心圧縮機100を駆動するに当たっては、外部の駆動源によって回転軸1に回転力が付加される。回転軸1及びインペラ4の回転に伴い吸込口から流路2内に取り込まれた作動流体Gは、1段目の導入流路21を経て、インペラ4中の圧縮流路22に流入する。インペラ4は回転軸1の回転に伴って軸線O回りに回転していることから、圧縮流路22中の作動流体Gには、軸線Oから径方向外側に向かう遠心力が付加される。加えて、上記の通り、圧縮流路22の断面積は径方向外側から内側にかけて次第に減少していることから、作動流体Gは徐々に圧縮される。これにより、高圧の作動流体Gが、圧縮流路22から後続のディフューザ流路23に送り出される。
圧縮流路22から圧送された高圧の作動流体Gは、その後、ディフューザ流路23、リターンベンド部24、リターン流路25を順に通過する。2段目以降のインペラ4、及び流路2においても同様の圧縮が加えられる。最終的には、作動流体Gは、所望の圧力状態となって排気口8から不図示の外部機器に供給される。
ここで、リターン流路25を流通する作動流体Gには、軸線Oに対する周方向に旋回する旋回流成分が含まれている。より具体的には、旋回流成分は、回転軸1の回転方向後方側から前方側に向かって旋回する。この旋回流成分は、リターン流路25から導入流路21にわたって設けられたリターンベーン50によって取り除かれる。特に、本実施形態では、リターンベーン50の後縁52が、導入流路21内に位置していることから、旋回流成分をより大きく低減することができる。さらに、旋回流成分が十分に低減されていることから、後段側のインペラ4(圧縮流路22)に向かう作動流体Gの流入角度(インシデンス)を適正化することができる。これにより、圧縮流路22に作動流体Gが流入する際の不用意な損失が低減され、遠心圧縮機100の性能を向上させることができる。加えて、リターンベーン50の後縁52が導入流路21内まで延びていることから、前縁51から後縁52にわたって、より広い領域で作動流体Gを整流することができるため、後縁52側で生じるウェーク(低速領域)を縮小することもできる。
一方で、従来のように、リターンベーン50の後縁52が導入流路21に位置せず、リターン流路25内に位置している場合、上述の旋回流成分が十分に除去されない状態で、導入流路21内に作動流体Gが流入する。このとき、作動流体Gにおける角運動量保存則に基づいて、旋回流成分が増大してしまう。また、インペラ4に対する作動流体の流入角度も大きくなってしまう。これにより、遠心圧縮機100の性能が低下するおそれがある。しかしながら、上述の構成によれば、このような可能性を低減することができる。
以上、説明したように、本実施形態に係る遠心圧縮機100によれば、リターンベーン50の後縁52における第一端部52aが外側湾曲壁面21bに位置し、第二端部52bが内側湾曲壁面21aにおける外側湾曲壁面21bの径方向位置の範囲内に位置している。これにより、後縁52が内側湾曲壁面21a及び外側湾曲壁面21bよりも径方向外側にそれぞれ位置している場合に比べて、リターン流路25を流通する作動流体Gの旋回流成分をより大きく除去することができる。したがって、後段側のインペラ4に対する作動流体Gの流入角度(インシデンス)を適正化することができる。これにより、遠心圧縮機100の性能を向上させることができる。
加えて、上述の構成によれば、リターンベーン50の後縁52における第一端部52aが外側湾曲壁面21bにおける最も径方向内側の端縁に位置し、第二端部52bが内側湾曲壁面21aにおける外側湾曲壁面21bの最も径方向内側の端縁に対応する位置に位置している。これにより、後段側のインペラ4に対する作動流体Gの流入角度(インシデンス)をさらに適正化することができる。したがって、遠心圧縮機100の性能をさらに向上させることができる。また、より広い領域にわたってリターンベーン50によって作動流体Gを整流することができるため、リターンベーン50下流側で生じるウェーク(低速領域)の大きさをさらに縮小することができる。これにより、ウェークによる不用意な損失が抑制され、遠心圧縮機100の性能低下を回避することができる。
さらに、後縁52は、軸線Oに対する径方向において、インペラ4の圧縮流路22と重複しない位置に設けられている。これにより、圧縮流路22に流入する作動流体Gに乱れが生じる可能性を低減することができる。言い換えると、本実施形態に係るリターンベーン50の後縁52は、圧縮流路22(インペラ4)に流入する作動流体Gに乱れを生じさせない限りにおいて、最も径方向内側まで延びている。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
本実施形態では、リターンベーン50をケーシング3から独立した構成要素として説明したが、リターンベーン50をケーシング3の一構成要素としてもよい。この場合、ケーシング本体(実施形態のケーシング3と実質的に同一)とリターンベーン50とによって、ケーシング3が構成されることになる。
例えば、上記実施形態では、リターンベーン50の後縁52の第一端部52aが外側湾曲壁面21bの最も径方向内側の端縁に位置している。さらに、第二端部52bが内側湾曲壁面21aにおける外側湾曲壁面21bの最も径方向内側の端縁に対応する位置に位置している。しかしながら、後縁52の位置は上記に限定されない。例えば図4に示すように、後縁52の第一端部52a及び第二端部52bが、外側湾曲壁面21bの最も径方向内側の端縁よりもわずかに径方向外側に位置する構成を採ることも可能である。要するに、後縁52における第一端部52aが外側湾曲壁面21bに位置し、第二端部52bが内側湾曲壁面21aにおける外側湾曲壁面21bの径方向位置の範囲内に位置している限りにおいて、後縁52の位置を適宜変更することが可能である。
1 回転軸
2 流路
3 ケーシング
3a 上流側壁面
3b 下流側壁面
4 インペラ
5 ジャーナル軸受
6 スラスト軸受
7 吸気口
8 排気口
21 導入流路
21a 内側湾曲壁面
21b 外側湾曲壁面
22 圧縮流路
23 ディフューザ流路
24 リターンベンド部
25 リターン流路
41 ディスク
42 ブレード
43 カバー
43a カバー内周面
50 リターンベーン
51 前縁
52 後縁
52a 第一端部
52b 第二端部
100 遠心圧縮機
O 軸線
G 作動流体

Claims (6)

  1. 軸線回りに回転する回転軸と、
    該回転軸に固定されて一体に回転することで、軸線方向上流側から流入する流体を径方向外側に圧送する複数段のインペラと、
    前段側の前記インペラから圧送された流体を径方向内側に向かって案内するリターン流路および該リターン流路の下流側に接続されて、後段側のインペラに流体を転向させて導入する導入流路を有するケーシングと、
    前記リターン流路に周方向に間隔をあけて設けられたリターンベーンと、
    を備え、
    前記導入流路は、
    前記リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、
    リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、
    を有し、
    前記リターンベーンの後縁における軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し、該リターンベーンの後縁における軸線方向上流側の第二端部が、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置する多段遠心圧縮機。
  2. 前記第一端部と前記第二端部とが、軸線に対する径方向において同一の位置にある請求項1に記載の多段遠心圧縮機。
  3. 前記第一端部及び前記第二端部は、軸線に対する径方向において前記外側湾曲壁面の最も径方向内側の端縁と同一の位置にある請求項1又は2に記載の多段遠心圧縮機。
  4. 前記第一端部は、前記外側湾曲壁面における最も径方向内側の端縁に位置し、前記第二端部は、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の最も径方向内側の端縁に対応する位置にある請求項1から3のいずれか一項に記載の多段遠心圧縮機。
  5. 多段遠心圧縮機のケーシングであって、
    軸線回りに回転するインペラから圧送された流体を径方向内側に向かって案内するリターン流路と、
    該リターン流路の下流側に接続されて後段側のインペラに流体を転向させて導入する導入流路と、
    前記リターン流路に周方向に間隔をあけて設けられたリターンベーンと、
    を備え、
    前記導入流路は、前記リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、
    前記リターン流路を形成する壁面のうち軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、
    を有し、
    前記リターンベーンの後縁における軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し、該リターンベーンの後縁における軸線方向上流側の第二端部が、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置するケーシング。
  6. 軸線回りに回転する複数のインペラを有する多段遠心圧縮機のリターン流路に周方向に間隔をあけて設けられるリーンベーンであって、
    前記リターン流路は、前記多段遠心圧縮機の軸線方向下流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する外側湾曲壁面と、
    前記多段遠心圧縮機の軸線方向上流側の壁面に連続するとともに径方向内側に向かうにしたがって軸線方向下流側に湾曲する内側湾曲壁面と、
    を有し、
    後縁の軸線方向下流側の第一端部が前記外側湾曲壁面に位置し該後縁における軸線方向上流側の第二端部は、前記内側湾曲壁面における前記外側湾曲壁面の径方向位置の範囲内に位置するリターンベーン。
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