以下、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、複数の実施形態間で、同一部分には同一符号を付して新たな図示や繰り返しの説明を省略する。
(1)第1の実施形態
図1から図9を参照して第1の実施形態について述べる。図1〜図2は、本実施形態に係る洗濯機1の全体構成を概略的に示しており、この洗濯機1は、例えば鋼板から全体として矩形箱状に構成された外箱2の上部に、合成樹脂製のトップカバー3を備えている。前記外箱2内には、洗濯水を溜めることが可能な水槽4が、周知構成の弾性吊持機構(図示せず)により弾性的に吊り下げ支持されて設けられている。
前記水槽4内には、図示しない衣類が収容される洗濯槽としての縦軸型のメイン洗濯槽(回転槽)5が回転可能に設けられている。このメイン洗濯槽5は、脱水槽を兼用するもので、有底円筒状をなし、その周壁部には、図示しない多数個の脱水孔が形成されている。このメイン洗濯槽5の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ6が取付けられている。また、メイン洗濯槽5の内底部には、撹拌機構を構成する水流生成用のパルセータ7が配設されている。このメイン洗濯槽5内において、衣類の洗い、すすぎ、脱水等の行程からなる標準コースの洗濯運転が行われる。
前記水槽4の外底部には、前記パルセータ7と共に撹拌機構を構成する周知の駆動機構8が配設されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この駆動機構8は、例えばアウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ9(図5参照)を備えると共に、その洗濯機モータ9の駆動力を前記パルセータ7又はメイン洗濯槽5に選択的に伝達する図示しないクラッチ機構等を備えている。洗濯機モータ9及びクラッチ機構は、後述する制御装置10(図5参照)により制御され、上記標準コースにおける洗い時及びすすぎ(ためすすぎ)時にはメイン洗濯槽5の固定(停止)状態で、洗濯機モータ9の駆動力をパルセータ7に伝達してパルセータ7を低速で直接正逆回転駆動する。また、脱水すすぎ時や脱水時等には、クラッチ機構は、洗濯機モータ9の駆動力をメイン洗濯槽5に伝達し、メイン洗濯槽5(及びパルセータ7)を一方向に高速で回転駆動する。
また、前記水槽4の底部には、排水口11が形成され、この排水口11に、排水弁12を備えた排水路13が接続されている。詳しく図示はしないが、水槽4の上部には、上限水位を超えた洗濯水を溢水させる溢水口が設けられると共に、水槽4の外面部に、その溢水口から下方に延びて、前記排水路13の排水弁12よりも下流部に接続される溢水路15が設けられている。尚、外箱2内には、水槽4の底部に設けられたエアトラップに接続されたエアチューブを介して、水槽4内の水位を検出する水位センサ16(図5にのみ図示)も設けられている。
図3にも示すように、前記トップカバー3の中央部には、前記水槽4(メイン洗濯槽5)の上面開口部に連なる衣類の出入口17が設けられている。トップカバー3の上面には、前記出入口17を開閉する外蓋18が、後辺部のヒンジ18aを介して開閉操作可能に設けられている。このとき、トップカバー3内には、外蓋18の閉塞状態を検知するための蓋検知手段としての蓋スイッチ19(図5にのみ図示)が設けられている。トップカバー3の上面に前辺部には、操作パネル20が設けられている。詳しい図示及び説明は省略するが、操作パネル20には、電源キー、洗濯運転のコースを選択するためのコース選択キー、スタートキー等を有する操作部や、必要な表示を行う表示部が設けられている。
さらに、前記トップカバー3内の後部には、図3に示すように、前記水槽4(メイン洗濯槽5)内並びに後述する補助洗濯槽21内に給水を行う給水機構22が設けられる。詳しい図示及び説明は省略するが、この給水機構22は、洗剤収容部等を有する注水ケースに複数個の給水弁23〜26を組込んでユニット化した給水ユニットを備えると共に、給水経路を備えている。前記給水弁23〜26は、電磁的に開閉動作する開閉弁からなる。給水経路は、基端側に水道等の給水源に接続されるホース接続口を有し、ホース接続口から延びた後、4本に分岐して延び、メイン給水経路、FB用給水経路、柔軟剤用給水経路、第2給水経路27となる。そのうちメイン給水経路、FB用給水経路、柔軟剤用給水経路の3つの給水経路が、メイン洗濯槽5に給水を行う第1給水経路となる。
図5にのみ示すように、前記メイン給水経路には、メイン給水弁23が設けられている。前記FB用給水経路には、ファインバブル用のFB用給水弁24及び後述するUFBユニット51が設けられている。柔軟剤用給水経路には、柔軟剤用給水弁25が設けられている。前記メイン給水弁23が開放されると、給水源からの水が、メイン給水経路を通って注水ケースの洗剤収容部に流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら、水槽4(メイン洗濯槽5)内に注水される。
前記FB用給水弁24が開放されると、給水源からの水がFB用給水経路を通って注水ケースの洗剤収容部に流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら、水槽4内に注水される。このとき、後述するように、FB用給水経路を流れる水がUFBユニット51を通ることによって、多量のファインバブルを含んだファインバブル水となり、ファインバブル水に洗剤が溶け込んだ洗濯水が、水槽4(メイン洗濯槽5)内に供給されるようになる。前記柔軟剤用給水弁25が開放されると、給水源からの水が柔軟剤用給水経路通って注水ケースの柔軟剤収容部に流れ、柔軟剤が収容されている場合にはその柔軟剤を溶かしながら、水槽4(メイン洗濯槽5)内に注水される。柔軟剤は、例えば最終回のためすすぎ行程において、水槽4内に供給される。
前記第2給水経路27は、図3に示すように、前記トップカバー3内の前記注水ケースから左方に延びた後、前方に折曲がって前記トップカバー3内の左辺部を前方に延び、その先端の供給口27aが補助洗濯槽21の左辺部の上部に位置している。注水ケース内には、この第2給水経路27を開閉する補助洗濯槽用給水弁26が設けられている。そして、この第2給水経路27の途中部にも、微細気泡発生装置としてのUFBユニット51が設けられる。補助洗濯槽用給水弁26が開放されると、給水源からの水が、第2給水経路27を通って補助洗濯槽21に供給される。このときも、第2給水経路27を流れる水がUFBユニット51を通ることによって、多量のファインバブルを含んだファインバブル水となる。
ここで、前記UFBユニット51について、図6〜図9を参照して述べる。このUFBユニット51は、ベンチュリ管の原理を利用して微細気泡(以下「ファインバブル」という)を発生させるもので、共に合成樹脂製の、上流側流路部材52と、下流側流路部材53との2部品を組合せることにより構成される。即ち、UFBユニット51は、図9等に示すように、全体として、軸方向を図で左右方向とし、後端部(図で右端部)にフランジ部54を有する円柱状をなし、その中心部(軸心部)には、図で左右方向に貫通し、水が矢印A方向に流れる流路55が形成されている。
この流路55は、図で右側の開口部が流入口55aとされ、図で左側の開口部が流出口55bとされている。そして、前記流路55の中間部に、内周側に突出する突出部56によって絞り部55cが形成されている。流路55は、流入口55aから全体の1/4程度の長さの範囲が、流路断面積が次第に小さくなるテーパ状に構成され、残りの部分は前記絞り部55cを除いてほぼ一定の内径のストレート状に構成されている。
UFBユニット51は、全体を二分割した如き、流路55の上流側を構成し絞り部55cの流路断面積を狭める突出部56を一体に有する上流側流路部材52と、流路55の前記突出部56よりも下流側を構成する下流側流路部材53とを有し、それらを組合せて構成される。図6〜図8にも示すように、そのうち上流側流路部52は、前記フランジ部54の先端側(図で左側)に、やや径小な胴部57を一体に備えると共に、その胴部57の先端側に更に径小な径小部58を備えている。この上流側流路部52の内部には、図9に示すように、前記流路55のうち上流側半部が形成されている。
このとき、径小部58の先端部には、流路55の内周面から中心側に突出する突出部56が一体に形成されている。図8に示すように、突出部56は、図で上下左右の90度間隔の4箇所(2箇所のみ図示)に位置して内周側(流路の中心)に向けて先端が尖った形態で延び、これによって、流路55が狭められ、絞り部55cの流路断面積の最も小さい部分が、X字型(十文字型)のスリット状となっている。
これに対し、前記下流側流路部材53は、図6〜図9に示すように、前記胴部57と同等の外径を有する円筒状をなし、その基端側(図で右端側)に、前記上流側流路部52の径小部58が嵌合する円形凹部59が形成されている。この下流側流路部材53の内部(中心部)には、前記流路55の下流側半部を構成するストレートな穴が、図で左右方向に貫通するように形成されている。
この場合、前記円形凹部59の内径寸法は、前記径小部58の外形寸法よりもやや大きく構成され、図8に示すように、その内周面には、複数本例えば角度90度間隔で4本の圧入用リブ60(2本のみ図示)が軸方向に延びて一体に設けられている。これにて、上流側流路部材52の径小部58を、下流側流路部材53の円形凹部59内に挿入(圧入)することに伴い、圧入用リブ60が潰れるように変形し、径小部58と円形凹部59とが強固に固定されるようになっている。
以上のように構成されたUFBユニット51は、第2給水経路27を構成する管の途中部(並びにFB用給水経路の途中部)に、挿入されるようにして嵌合固定される。このとき、管の内周面とUFBユニット51の外周面との間は、Oリングなどで液密にシールされる。これにて、UFBユニット51には、比較的高圧の水道水が供給され、図9に示すように、流入口55aから流路55を矢印A方向に流れる。すると、流路55の途中に突出部56による絞り部55cが設けられていることにより、流体力学のいわゆるベンチュリ効果により、流速が高められて、圧力が急激に低下される。これにより、水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができる。
本実施形態のUFBユニット51により、直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブル、及び、直径が1μm〜数百μm程度のマイクロバブルを含んだ微細気泡(ファインバブル)を多量に発生させることができる。これにて、多量のファインバブルを含んだファインバブル水を、補助洗濯槽21内並びに水槽4(メイン洗濯槽5)内に注水することができる。本実施形態のUFBユニット51では、特に、直径50nm〜300nmのファインバブルを、1ミリリットル当りの個数で例えば106 個/ml以上の濃度で含んだファインバブル水が生成される。
さて、本実施形態では、図1〜図3に示すように、外箱2内には、前記トップカバー3部分に位置して、前記メイン洗濯槽5とは別に、該メイン洗濯槽5よりも小容量に構成された補助洗濯槽21が設けられる。図4にも示すように、この補助洗濯槽21は、プラスチックから、底部がほぼ平坦で、深さ方向に薄型の角部に丸みを帯びた矩形容器状(桶状)に構成されている。更に、図1、図2に示すように、補助洗濯槽21の後辺部下部には、該補助洗濯槽21からの排水を、前記溢水路15を通して行うための溢水排水路28が設けられている。
補助洗濯槽21は、前記トップカバー3の出入口17よりもやや小さく構成され、その上部後辺部がヒンジ29によりトップカバー3の出入口17の後部に回動可能に支持されている。これにて、補助洗濯槽21は、図2、図3に示すような、出入口17内に嵌合している使用位置と、図1に示すような、上方に回動された開放位置との間で回動可能に設けられている。尚、このような補助洗濯槽21の回動は、ユーザの手動操作によりなされる。
補助洗濯槽21の使用位置では、図2に示すように、メイン洗濯槽5(水槽4)の上部に、出入口17を閉塞するように位置されると共に、前記第2給水経路27の供給口27aからファインバブル水の給水が可能とされる。またこの状態では、前記外蓋18が閉塞されることにより、補助洗濯槽21の上面開口部が塞がれる。これに対し、補助洗濯槽21の開放位置では、図1に示すように、出入口17を開放させて前記メイン洗濯槽5に対する衣類の出し入れが可能となる。これと共に、補助洗濯槽21の開放位置では、前記溢水排水路28が、前記溢水路15の上部につながり、補助洗濯槽21からの排水がなされるようになっている。
そして、図4にも示すように、補助洗濯槽21には、補助洗濯槽21内のファインバブル水に対して、周波数が20kHz〜1MHzの範囲(例えば100kHz)の超音波を照射する超音波発生装置30が設けられる。この超音波発生装置30は、圧電素子により超音波振動する超音波振動子及び前記圧電素子に高周波電圧を印加する給電回路を備えた周知構成を備え、補助洗濯槽21の底部中央部に設けられている。このとき、図4に示すように、本実施形態では、補助洗濯槽21の内底部には、ほぼ全体に例えばステンレス板からなる金属板31が設けられており、超音波発生装置30は、金属板31の上面中央部の凹部31a内に配置されている。
また、本実施形態では、図4に示すように、補助洗濯槽21の側壁部に、該補助洗濯槽21内に水、この場合ファインバブル水が収容されているかどうかを検出する水検出手段としての水検知センサ32が設けられている。この水検知センサ32は、例えば一対の電極間の電気抵抗値によって水の有無を検知するもので、水が補助洗濯槽21の側壁中段部の所定深さまで存在することを検知するように設けられている。尚、図示はしないが、超音波発生装置30及び水検知センサ32は、フレキシブルなリード線及びコネクタを介して、本体側つまり制御装置10に電気的に接続されるようになっている。
図5は、上記した制御装置10を中心とした、洗濯機1の電気的構成を概略的に示している。制御装置10は、コンピュータを主体として構成され、そのソフトウエア的構成(運転制御プログラムの実行)により、洗濯機1全体を制御して、洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転等を実行する。この制御装置10には、前記操作パネル20が接続されると共に、水位センサ16や蓋スイッチ19、水検知センサ32からの検知信号が入力される。
また、制御装置10は、前記洗濯機モータ9、排水弁12、メイン給水弁23、FB用給水弁24、柔軟剤用給水弁25、補助洗濯槽用給水弁26、超音波発生装置30を制御する。この構成により、制御装置10は、操作パネル20にてユーザにより設定される洗濯運転のコースに応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機1の各機構を制御し、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる周知の洗濯運転などを自動で実行する。
次の作用説明でも述べるように、本実施形態では、洗濯運転のコースには、前記メイン洗濯槽5内で洗濯運転を実行する「標準コース」等の他に、前記補助洗濯槽21を用いて、例えば汚れのひどい比較的少量の衣類を予洗い(分け洗い)する「予洗いコース」の実行が可能とされている。この「予洗いコース」は、前記補助洗濯槽21内に衣類及び洗剤が投入された状態で、ファインバブル水を給水して溜め、その後、超音波発生装置30によりファインバブル水に超音波を照射することにより行われる。
このとき、制御装置10は、「予洗いコース」が開始されると、まず、補助洗濯槽用給水弁26を一定時間開放させ、第2給水経路27を通して、UFBユニット51により生成されたファインバブル水を補助洗濯槽21内への必要量の給水を行う。その後制御装置10は、超音波発生装置30を所定時間(例えば30分程度)駆動して、補助洗濯槽21内のファインバブル水に周波数が20kHz〜1MHzの超音波を照射する。この超音波の照射は、所定時間例えば30分間実行される。
本実施形態では、制御装置10は、「予洗いコース」の実行中に、前記水検知センサ32の信号を監視し、水が検出されていることを条件に、超音波発生装置30を駆動し、水が検出されていないときには、超音波発生装置30の駆動を禁止する。また本実施形態では、制御装置10は、「予洗いコース」の実行中に、前記蓋スイッチ19の信号を監視し、外蓋18が閉塞されていることを条件に、超音波発生装置30を駆動し、外蓋18の閉塞が検知されていないときには、超音波発生装置30の駆動を禁止する。従って、制御装置10が、第1の禁止手段及び第2の禁止手段として機能する。
尚、ユーザにより「標準コース」の洗濯運転が選択された場合には、メイン洗濯槽5において、周知の洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が順に実行される。このとき、制御装置10は、洗い行程において、FB用給水弁24を開放させて給水を行うことにより、UFBユニット51により生成されたファインバブル水をメイン洗濯槽5に給水することができ、ファインバブル水を用いた洗い行程を実行することができる。すすぎ(ためすすぎ)の行程においても、ファインバブル水を用いることができる。水道水とファインバブル水とを混合させた形態で給水を行うこともできる。
次に、上記構成の洗濯機1の作用について述べる。今、ユーザが、汚れのひどい比較的少量の衣類を予洗い(分け洗い)したい場合には、使用位置にある補助洗濯槽21内に、その衣類を所要量の洗剤と共に収容し、外蓋18を閉じた上で、操作パネル20にて「予洗いコース」を選択すると共に運転の開始操作を行う。すると、上記したように、制御装置10は、まず、補助洗濯槽用給水弁26を開放して、補助洗濯槽21内に、所定量のファインバブル水の給水を行う。
これにて、補助洗濯槽21内においては、多量のファインバブルが含まれたファインバブル水に洗剤を溶かした洗濯水中に、汚れのひどい衣類が浸された状態となる。次いで、制御装置10は、水検知センサ32により補助洗濯槽21内に水が検出されており、且つ、蓋スイッチ19により外蓋18の閉塞が検知されていることを条件に、超音波発生装置30を駆動させる。これにより、補助洗濯槽21内のファインバブル水には、周波数が20kHz〜1MHzの超音波が照射される。
ここで、ファインバブルは、液体中例えば水中で、不規則な運動を生ずるブラウン運動を起こし、その速度は浮上速度よりも速いため、長時間に渡って液体中に止まる性質を有する。そして、ファインバブルの表面はマイナスに帯電しているため、洗濯水に含まれている塊りとなっていた洗剤分(界面活性剤)をばらすようにしながら吸着し、洗剤の分散性を向上させる役割を果たす。ファインバブル同士は反発し合い、結合することがない。また、そのように洗剤分を吸着したファインバブルは、衣類の繊維の隙間(例えば10μm)中に容易に入り込み、効率良く洗剤を衣類の内部に運んで汚れをはがすことができ、その汚れの衣類への再付着を抑制する。
そして、それに加えて、超音波発生装置30により、周波数が20kHz〜1MHzの超音波が照射されることにより、含まれているファインバブルが振動(共振)するようになる。衣類の繊維の隙間に入り込んだファインバブルが共振することによって、繊維から汚れを引き剥がす効果が極めて高いものとなり、振動が連続して実施されることによって、汚れ落とし効果を持続して得ることができる。本発明者の研究によれば、超音波の周波数を、20kHz〜1MHzとすることにより、優れた洗浄効果を得ることができた。ちなみに、超音波の周波数が、1.6MHz以上になると、ファインバブルを破裂させてしまう作用を呈し、上記作用が得られなくなってしまう。
このようなファインバブル自体の機能及びファインバブル水に対する超音波の照射により、衣類に対する優れた洗浄作用を得ることができる。このとき、超音波発生装置30は、小容量の補助洗濯槽21内の比較的少量のファインバブル水に超音波を照射するものであるから、出力が比較的小さいもので良く、小型で安価に済ませることができる。衣類のしみ汚れ等をピンポイントで洗いたい場合などに有効となる。
しかも、超音波発生装置30は、補助洗濯槽21の底部中央部に設けられている。これにより、補助洗濯槽21内のファインバブル水全体に対して、超音波の照射を行き渡らせることが可能となり、補助洗濯槽21内に僅かなファインバブル水を収容した状態で、比較的少量の衣類の予洗い(分け洗い)を実行することができる。更に、超音波発生装置30は、ステンレス板からなる金属板31に取付けられているので、超音波発生装置30からの超音波を、金属板31を介して照射及び反射させることができる。これにより、ファインバブル水に対する超音波の伝達性をより良好とすることができ、超音波の照射効率を高めることができる。
また、上記したように、制御装置10は、この分け洗い中に、水検知センサ32の信号を監視し、水が検出されていないときには超音波発生装置30の駆動を禁止する。これにより、補助洗濯槽21内にファインバブル水が収容されていない状態では、超音波発生装置30が停止される。この結果、ユーザに対する安全性を高めることができると共に、水のない状態で駆動することによる超音波発生装置30の故障等を未然に防止することができる。
これと共に、制御装置10は、この分け洗い中に、蓋スイッチ19の信号を監視し、外蓋18が閉塞されていない状態では、超音波発生装置30の駆動を禁止する。これにより、外蓋18が開放されている状態では、超音波発生装置30の駆動が禁止されるので、ユーザが誤って補助洗濯槽21内に手を入れてしまっても、超音波に晒されるといったことがなくなり、ユーザに対する安全性をより一層高めることができる。
所定時間(例えば30分)の「予洗いコース」の運転が終了すると、超音波発生装置30の駆動が停止され、ユーザに対し、運転の終了が通知される。ユーザは、外蓋18を開放し、図1に示すように、補助洗濯槽21内の衣類を取出すと共に、補助洗濯槽21を開放位置に回動させる。すると、補助洗濯槽21内に残存していた汚れた洗濯水を、溢水排水路28から溢水路15を通して、つまりメイン洗濯槽5内を通さずに排水することができる。この後、ユーザは必要に応じて、分け洗いが完了した衣類を、他の衣類と共にメイン洗濯槽5に収容し、標準コースの洗濯運転を行うことができる。
このように本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、衣類が収容される補助洗濯槽21内に、UFBユニット51により生成されたファインバブル水を給水し、そのファインバブル水に対して、超音波発生装置30により周波数が20kHz〜1MHzの超音波を照射する構成とした。これにより、衣類に対する優れた洗浄効果を得ることができた。従って、実施形態によれば、ファインバブル水を生成するUFBユニット51を備えたものにあって、衣類の洗浄性をより高めることができるという優れた効果を得ることができる。
特に本実施形態では、メイン洗濯槽5よりも小容量に構成された補助洗濯槽21を設け、補助洗濯槽21内に、ファインバブル水を給水すると共に超音波発生装置30を駆動させて衣類を洗うこと、即ち予洗いコースの実行が可能とされている。これにより、例えば汚れのひどい比較的少量の衣類を予洗い(分け洗い)することができる。このとき、高い洗浄効果が得られ、衣類のしみ汚れ等をピンポイントで洗いたい場合などに有効となる。超音波発生装置30は、小容量の補助洗濯槽21内の比較的少量のファインバブル水に超音波を照射するものであるから、出力が比較的小さいもので良く、小型で安価に済ませることができる。
また、本実施形態では、水検知センサ32により補助洗濯槽21内の水が検出されていないときには、超音波発生装置30の駆動を禁止するようにしたので、安全性を高めることができると共に、超音波発生装置30の故障などを未然に防止することができる。蓋スイッチ19により外蓋の閉塞が検知されていないときには、超音波発生装置30の駆動を禁止するようにしたので、ユーザに対する安全性をより一層高めることができる。
本実施形態では、超音波発生装置30を補助洗濯槽21の底部中央部に設けたので、補助洗濯槽21内のファインバブル水全体に対して、超音波の照射を行き渡らせることが可能となる。しかも、超音波発生装置30は、ステンレス板からなる金属板31に取付けられているので、ファインバブル水に対する超音波の伝達性をより良好とすることができ、超音波の照射効率を高めることができる。
更に本実施形態では、給水機構22として、メイン洗濯槽5に給水を行う第1給水経路と、補助洗濯槽21内に給水を行う第2給水経路27と設けたので、専用の第2給水経路27を通して補助洗濯槽21内に給水を行うことができ、補助洗濯槽21内に容易にファインバブル水を供給することができる。本実施形態では、補助洗濯槽21内から溢水路15を通して排水するための溢水排水路28を設けるようにしたので、補助洗濯槽21内からの排水を、溢水排水路28を介し溢水路15を通して容易に行う、つまりメイン洗濯槽5内を通さずに行うことができる。
(2)第2〜第4の実施形態、その他の実施形態
図10は、第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、補助洗濯槽41の構成にある。即ち、補助洗濯槽41は、やはり、プラスチックから、底部がほぼ平坦で、深さ方向に薄型の角部に丸みを帯びた矩形容器状に構成されている。そして、補助洗濯槽41の底部中央部の凹部内に、超音波発生装置30が埋め込まれるように設けられると共に、補助洗濯槽41の内底部には、超音波発生装置30の上面を覆うように、ほぼ全体に例えばステンレス板からなる金属板42が設けられている。
この構成によれば、補助洗濯槽41内のファインバブル水に対し、超音波発生装置30からの周波数が20kHz〜1MHzの範囲の超音波を金属板42の上面全体から照射及び反射させることができる。従って、この第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の作用・効果が得られることに加え、ファインバブル水に対する超音波の伝達性をより良好とすることができ、超音波の照射効率を高めることができる。
図11は、第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、補助洗濯槽44及び給水機構45の構成にある。前記補助洗濯槽44は、やはり、プラスチックから、底部がほぼ平坦で、深さ方向に薄型の角部に丸みを帯びた矩形容器状に構成されており、その内底部には、例えばステンレス板からなる金属板46が設けられていると共に、超音波発生装置30が設けられている。この場合、金属板46は、上記第1の実施形態の金属板31に比べて、幅方向寸法がやや小さく構成されている。
この補助洗濯槽44は、上記第1の実施形態の補助洗濯槽21と同様に、メイン洗濯槽5の上方で、かつ、給水機構45の下方に設けられている。そして、補助洗濯槽44の底部のうち金属板46の存在しない部位、例えば図で右端部には、排水孔47が形成されていると共に、その排水孔47をユーザが手動で開閉するための栓48が設けられている。前記排水孔47は、メイン洗濯槽5の上方に位置している。この実施形態では、給水機構45が、補助洗濯槽44及びメイン洗濯槽5に共用されるように構成されている。
即ち、前記給水機構45は、詳しく図示はしないが、注水ケースに、メイン給水弁23を有するメイン給水経路、FB用給水弁24及びUFBユニット51を有するFB用給水経路、柔軟剤用給水弁25を有する柔軟剤用給水経路を備えており、前記補助洗濯槽44に対して上方から給水を行うように構成されている。この場合、ユーザは、メイン洗濯槽5で洗濯運転を行う場合には、前記栓48を操作して排水孔47を開放させておくようにする。これにて、補助洗濯槽44から排水孔47を通してメイン洗濯槽5に対する給水が行われる。
これに対し、補助洗濯槽44にて予洗いコースを行う場合には、栓48により排水孔47を閉塞させておくようにする。この場合も、ユーザが、操作パネル20で予洗いコースを選択して運転を開始させると、FB用給水弁24が開放され、UFBユニット51を通して補助洗濯槽44内にファインバブル水が給水される。これと共に、超音波発生装置30が駆動される。これにより、ファインバブル自体の機能及びファインバブル水に対する超音波の照射により、衣類に対する優れた洗浄作用を得ることができる。このような第3の実施形態によれば、給水機構45が補助洗濯槽44及びメイン洗濯槽5に共用されるので、その分、構成の簡単化を図ることができる。メイン洗濯槽5に、ファインバブル水を供給して、洗濯運転を行うことが可能であることは勿論である。
図12は、第4の実施形態を示すものである。この第4の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、補助洗濯槽61の後辺部下部に、溢水排水路28に代えて、水槽排水路62を設けた構成にある。水槽排水路62は、補助洗濯槽61内からメイン洗濯槽5と水槽4との間を通して排水するためのものである。この場合も、上記第1の実施形態と同様に、補助洗濯槽61は、出入口17内に嵌合している使用位置と、図示するような、上方に回動された開放位置との間で回動可能とされている。
そして、補助洗濯槽61の開放位置では、前記水槽排水路62の先端(下端)が、水槽4の上面開口部の外周側部分に位置し、補助洗濯槽61からの排水が、メイン洗濯槽5の外周面と水槽4の内周面との間を通してなされるようになっている。この第4の実施形態にあっても、補助洗濯槽61内からの排水を、水槽排水路62を介して、メイン洗濯槽5の外周側(水槽4との間)を通して容易に行うことができる。つまり、汚れた洗濯水を、メイン洗濯槽5内を通すことなく排水することができる。
尚、上記各実施形態では、メイン洗濯槽5(水槽4)の上部を塞ぐように補助洗濯槽を設けるようにしたが、補助洗濯槽を設ける位置としては、運転時に補助洗濯槽の上面を閉塞できる位置であれば、洗濯機の外箱2内の様々な位置に設けることができる。補助洗濯槽を着脱可能に設けるようにしても良い。また、上記各実施形態では、補助洗濯槽を回動可能に設けて、手動で補助洗濯槽内からの排水を行う構成としたが、自動で弁等を開閉して排水する構成とすることもできる。更に、予洗いコースの実行時間や、ファインバブル水におけるファインバブルの濃度といった具体的数値、金属板の具体的材質等は、一例を挙げたものに過ぎず、適宜変更して実施することができる。
その他、ファインバブル発生装置の具体的構造や、給水機構の構成、洗濯機の全体構成等についても、様々な変更が可能である。以上説明したいくつかの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。