以下、いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に述べる実施形態では、乾燥機能も備えたいわゆる縦軸型の洗濯機に適用するようにしている。尚、複数の実施形態間で、同一部分には同一符号を付して新たな図示や繰り返しの説明を省略する。
(1)第1の実施形態
図1から図12を参照して第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機1の全体構成を概略的に示しており、この洗濯機1は、例えば鋼板から全体として矩形箱状に構成された外箱2の上部に、合成樹脂製のトップカバー3を備えている。前記外箱2内には、洗濯水を溜めることが可能な水槽4が、周知構成の弾性吊持機構(図示せず)により弾性的に吊り下げ支持されて設けられている。
尚、図示はしないが、水槽4の上端開口部には、洗濯物(衣類)の出入口を有する水槽カバーが設けられている。この水槽カバーには、給水口や温風供給口が設けられている。また、詳しく図示はしないが、水槽4の底部には、排水口が形成され、この排水口に、排水弁32(図3にのみ図示)を備えた排水路が接続されている。更に、外箱2内には、水槽4の底部に設けられたエアトラップに接続されたエアチューブを介して、水槽4内の水位を検出する水位センサ33(図3にのみ図示)も設けられている。
前記水槽4内には、脱水槽を兼用する縦軸型の洗濯槽(回転槽)5が回転可能に設けられている。この洗濯槽5は、有底円筒状をなし、その周壁部には、図示しない多数個の脱水孔が形成されている。この洗濯槽5の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ6が取付けられている。また、洗濯槽5の内底部には、撹拌機構を構成するパルセータ7が配設されている。洗濯槽5内には、図示しない衣類が収容されるようになっており、衣類の洗い、すすぎ、脱水等の行程からなる洗濯運転や、乾燥運転が行われる。
本実施形態では、洗濯槽5の内底部には、前記パルセータ7が配置される円形の凹状領域が設けられ、前記パルセータ7との間にポンプ室8が形成されるようになっている。このとき、前記パルセータ7は、表面(上面)に回転水流生成用の凸部7aを有する円盤状をなし、また、その盤面を上下に貫通するように複数個の通水孔(図示せず)が形成されている。このパルセータ7の裏面には、複数枚のポンプ羽根9が一体に設けられている。このポンプ羽根9は、中心部から放射方向(半径方向)に延びる薄板状をなしている。前記ポンプ室8の外周部の、円周方向に120度間隔で配置された3箇所に、流出口8a(2個のみ図示)が設けられている。
前記洗濯槽5の側壁部には、各流出口8aから上方に延びるようにして、洗濯水を前記ポンプ室8から揚水するための3個(2個のみ図示)の通水路10が設けられている。これら通水路10は、洗濯槽5内の上部の回転バランサ6の下方に吐出口10aを有している。これにて、ポンプ室8におけるパルセータ7つまりポンプ羽根9の回転により、洗濯槽5内の洗濯水(後述する洗剤が溶けたファインバブル水、或いはすすぎ用のファインバブル水等)が、ポンプ室8の3つの流出口8aから外周方向に向けて吐出される。その洗濯水は、通水路10内を上昇(揚水)し、吐出口10aから洗濯槽5内に吐出(散水)される。
また、前記水槽4の外底部には、前記パルセータ7と共に撹拌機構を構成する周知の駆動機構11が配設されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この駆動機構11は、例えばアウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ34(図3参照)を備えると共に、その洗濯機モータ34の駆動力を前記パルセータ7又は洗濯槽5に選択的に伝達する図示しないクラッチ機構等を備えている。洗濯機モータ34及びクラッチ機構は、後述する制御装置31により制御され、洗い時及びすすぎ(ためすすぎ)時には洗濯槽5の固定(停止)状態で、洗濯機モータ34の駆動力をパルセータ7に伝達してパルセータ7を低速で直接正逆回転駆動する。また、脱水すすぎ時や脱水時等には、クラッチ機構は、洗濯機モータ34の駆動力を洗濯槽5に伝達し、洗濯槽5(及びパルセータ7)を一方向に高速で回転駆動する。
前記トップカバー3内には、図2にも一部示すように、前記水槽4(洗濯槽5)内に給水を行う給水機構12が設けられる。給水機構12については後述する。また、本実施形態では、トップカバー3内に、乾燥ユニット(温風供給機構)28が設けられている。詳しく図示はしないが、乾燥ユニット28は、温風生成用のヒータや送風装置を備え、水槽4内の空気を吸込み、加熱して温風とし、その温風を温風供給ホース29から温風供給口を通して再び水槽4内に供給するように構成されている。
前記給水機構12は、給水経路13、例えば3個の給水弁20〜22、注水ケース18、注水ケース18の出口部である注水口19等を備えている。前記給水経路13は、基端側に水道等の給水源に接続されるホース接続口14を有している。給水経路13は、ホース接続口14から延びた後、3本に分岐して延び、図2にも示すように、メイン給水経路15、FB用給水経路16、柔軟剤用給水経路17となる。給水経路13の基端部のうち、分岐部分よりも基端側(上流)側には、水の流量を計測する流量計35が設けられている。尚、ホース接続口14は水道の蛇口に接続され、家庭用の所定の水道水圧(例えば1.0〜3.0kgf/cm2 (0.1〜0.29MPa)程度)で、水が供給されるようになっている。
図2に示すように、前記注水ケース18は、矩形箱状をなし、その中段部には、図で右側に位置して、洗剤(粉末洗剤及び液体洗剤)が収容される洗剤収容部23が設けられ、左側に位置して柔軟剤等が収容される柔軟剤収容部24が設けられる。これら洗剤収容部23及び柔軟剤収容部24は引き出し式に構成されている。注水ケース18内の上部には、仕切板18aによって仕切られることにより、洗剤収容部23及び柔軟剤収容部24の夫々上方に位置して、第1上部空間25及び第2上部空間26が設けられている。前記メイン給水経路15及びFB用給水経路16の先端部は、前記第1上部空間25に連通するように、注水ケース18の上壁に接続されている。前記柔軟剤用給水経路17の先端部は、前記第2上部空間26に連通するように、注水ケース18の上壁に接続されている。
第1上部空間25の底部には、前記洗剤収容部23に連通する連通孔25aが設けられ、第2上部空間26の底部には、前記柔軟剤収容部24に連通する連通孔26aが設けられている。洗剤収容部23の出口部23a及び柔軟剤収容部24の出口部24aは、注水ケース18内の下部空間27に連通し、下部空間27が前記注水口19に連なっている。そして、前記メイン給水経路15には、メイン給水弁20が設けられている。FB用給水経路16には、ファインバブル用のFB用給水弁21及び後述するUFBユニット51が設けられている。柔軟剤用経路17には、柔軟剤用給水弁22が設けられている。これら給水弁20、21、22は、電磁的に開閉動作する開閉弁からなり、図3に示すように、前記制御装置31により制御される。
これにて、メイン給水弁20が開放されると、給水源からの水がメイン給水経路15を通って注水ケース18の洗剤収容部23に流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4(洗濯槽5)内に注水される。この場合、メイン給水経路15を通して、ファインバブルを含まない水道水がそのまま水槽4内に供給される。
また、ファインバブル用のFB用給水弁21が開放されると、給水源からの水がFB用給水経路16を通って注水ケース18の洗剤収容部23に流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4内に注水される。このとき、後述するように、FB用給水経路16を流れる水がUFBユニット51を通ることによって、多量のファインバブルを含んだファインバブル水となり、ファインバブル水に洗剤が溶け込んだ洗濯水が、水槽4(洗濯槽5)内に供給されるようになる。
更に、柔軟剤用の柔軟剤用給水弁22が開放されると、給水源からの水が柔軟剤用給水経路17を通って注水ケース18の柔軟剤収容部24に流れ、柔軟剤が収容されている場合にはその柔軟剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4(洗濯槽5)内に注水される。柔軟剤は、例えば最終回のためすすぎ行程において、水槽4内に供給される。尚、詳しく図示はしないが、このトップカバー3には、衣類の出入口、その出入口を開閉する蓋、操作パネル36(図3参照)等も設けられている。操作パネル36は、ユーザが洗濯機1に対する電源の入り切りや各種の設定・指示等を行うための操作部や、必要な表示を行う表示部等を備えて構成されている。
さて、本実施形態では、上記のように、FB用給水経路16のうち、FB用給水弁21の下流側である出口部近傍に組込まれるようにして、ベンチュリ管の原理を利用して微細気泡(以下「ファインバブル」という)を発生させる微細気泡発生装置としてのUFBユニット51が設けられる。このUFBユニット51について、図4から図9を参照して述べる。本実施形態では、UFBユニット51は、共に合成樹脂製の、上流側流路部材52と、下流側流路部材53との2部品を組合せることにより構成される。
即ち、UFBユニット51は、図8、図4等に示すように、全体として、軸方向を図で左右方向とし、後端部(図で右端部)にフランジ部54を有する円柱状をなし、その中心部(軸心部)には、図で左右方向に貫通し、水が矢印A方向に流れる流路55が形成されている。この流路55は、図で右側の開口部が流入口55aとされ、図で左側の開口部が流出口55bとされている。そして、前記流路55の中間部に、内周側に突出する突出部56によって絞り部55cが形成されている。流路55は、流入口55aから全体の1/4程度の長さの範囲が、流路断面積が次第に小さくなるテーパ状に構成され、残りの部分は前記絞り部55cを除いてほぼ一定の内径のストレート状に構成されている。
UFBユニット51は、全体を二分割した如き、流路55の上流側を構成し絞り部55cの流路断面積を狭める突出部56を一体に有する上流側流路部材52と、流路55の前記突出部56よりも下流側を構成する下流側流路部材53とを有し、それらを組合せて構成される。図5〜図7にも示すように、そのうち上流側流路部52は、前記フランジ部54の先端側(図で左側)に、やや径小な胴部57を一体に備えると共に、その胴部57の先端側に更に径小な径小部58を備えている。この上流側流路部52の内部には、図4及び図8に示すように、前記流路55のうち上流側半部が形成されている。
このとき、径小部58の先端部には、流路55の内周面から中心側に突出する突出部56が一体に形成されている。図9に示すように、突出部56は、図で上下左右(90度間隔)の4カ所に位置して内周側(流路の中心)に向けて先端が尖った形態で延び、これによって、流路55が狭められ、絞り部55cの流路断面積の最も小さい部分が、X字型(十文字型)のスリット状となっている。
これに対し、前記下流側流路部材53は、図4〜図8に示すように、前記胴部57と同等の外径を有する円筒状をなし、その基端側(図で右端側)に、前記上流側流路部52の径小部58が嵌合する円形凹部59が形成されている。この下流側流路部材53の内部(中心部)には、前記流路55の下流側半部を構成するストレートな穴が、図で左右方向に貫通するように形成されている。
この場合、図9に示すように、前記円形凹部59の内径寸法は、前記径小部58の外形寸法よりもやや大きく構成され、図7にも示すように、その内周面には、複数本例えば角度90度間隔で4本の圧入用リブ60が軸方向(左右方向)に延びて一体に設けられている。これにて、図9に示すように、上流側流路部材52の径小部58を、下流側流路部材53の円形凹部59内に挿入(圧入)することに伴い、圧入用リブ60が潰れるように変形し、径小部58と円形凹部59とが強固に固定されるようになっている。
一方、図4に示すように、前記注水ケース18には、水の入口部としての入口管42が一体的に設けられている。この入口管42には、前記FB用給水弁21の出口管44が接続される。出口管44は円管状をなし、その先端部には、段差が形成されることにより、外周面が径小になる径小部44aが設けられている。前記UFBユニット51は、FB用給水弁21の出口管44と、注水ケース18の入口管42との間に挟まれるように組付けられる。
前記入口管42は、その内径が、入口側(図で右側)から順に3段階に小さくなっていくような形状をなし、第1径大部42a、第2径大部42b、径小部42cが設けられている。第1径大部42aの内径寸法は、前記出口管44の外径寸法に対応(嵌合可能)している。第2径大部42bの内径寸法は、出口管44の径小部44a及び前記UFBユニット51のフランジ部54の外径寸法に対応(嵌合可能)している。径小部42cの内径寸法は、UFBユニット51の外径寸法に対応(嵌合可能)している。入口管42の奥側(図で左側)の端部には、UFBユニット51の先端面が係止されるリブ45が設けられている。そのリブ45の中心部には、流路55の流出口55bと同等の径で連続し、注水ケース18内(洗剤収容ケース)に連通する連通孔45aが形成されている。
図4に示すように、前記UFBユニット51は、上流側流路部材52と下流側流路部材53とを組合せた状態で、入口管42内の奥側に挿入される。これにて、UFBユニット51(下流側流路部材53)の先端面がリブ45に当接すると共に、UFBユニット51の後端部を除く外周(主として下流側流路部材53の外周)が径小部42cの内周に嵌合する。また、UFBユニット51(上流側流路部材52)のフランジ部54の外周が、第2径大部42bの内周に嵌合する。このとき、上流側流路部材52の胴部57の外周面と、入口管42の第2径大部42bの内周面との間には隙間が生じているが、この部分に、該隙間を気密にシールするためのシール部材としてのOリング46が設けられる。
そして、この状態で、入口管42内の開口端部側に、前記FB用給水弁21の出口管44の先端部が挿入されて接続される。この場合、出口管44の先端部の外周が、入口管42の第1径大部42aの内周に嵌合する。これと共に、出口管44の先端面が、UFBユニット51(上流側流路部材52)の後端面に当接する。また、出口管44の径小部44aの外周面と、入口管42の第1径大部42aの内周面との間にも、水漏れを防止するためのOリング47が設けられるようになっている。
上記構成においては、図4に示すように、給水時などに、FB用給水弁21が開放されると、出口管44から比較的高圧の水道水がUFBユニット51に供給され、流入口55aから流路55を矢印A方向に流れる。UFBユニット51においては、流路55の途中に突出部56による絞り部55cが設けられていることにより、流体力学のいわゆるベンチュリ効果により、流速が高められて、圧力が急激に低下される。これにより、水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができる。
本実施形態のUFBユニット51により、直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブル、及び、直径が1μm〜数百μm程度のマイクロバブルを含んだ微細気泡(ファインバブル)を多量に発生させることができる。これにて、多量のファインバブルを含んだファインバブル水を、流出口55bから連通孔45aを通して注水ケース18(洗剤収容部23)ひいては水槽4内に注水することができる。本実施形態のUFBユニット51では、特に、直径50nm〜300nmのファインバブルを、1ミリリットル当りの個数で例えば106 個/ml以上の濃度で含んだファインバブル水が生成される。
尚、FB用給水弁21の開放によるUFBユニット51を通したファインバブル水の給水は、UFBユニット51を通す際の水の流量が制限されるため、単位時間当りの給水量(流量)が、メイン給水弁20や柔軟剤用給水弁22を開放させた場合の給水量よりも少なくなる。例えば、メイン給水弁20を通した水道水の給水は、UFBユニット51を通したファインバブル水の給水に比べて2倍程度の流量で行われる。
図3は、上記した制御装置31を中心とした、洗濯機1の電気的構成を概略的に示している。制御装置31は、コンピュータを主体として構成され、洗濯機1全体を制御して、洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転、並びに乾燥運転を実行する。この制御装置31は、前記操作パネル36が接続されると共に、水位センサ33や流量計35からの検知信号が入力される。この場合、制御装置31は、流量計35の検知信号の積算により、供給した水量を算出することができる。尚、本実施形態では、給水される水温(或いは外気温)を検出する水温センサ37が設けられており、その検出信号が制御装置31に入力される。
また、制御装置31は、洗濯機モータ34、排水弁32、メイン給水弁20、FB用給水弁21、柔軟剤用給水弁22、乾燥ユニット28を制御する。この構成により、制御装置31は、操作パネル36にてユーザにより設定される運転コースに応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機1の各機構を制御し、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる周知の洗濯運転、更には乾燥ユニット28による乾燥運転を自動で実行する。尚、洗濯運転を行うにあたっては、周知の布量検知動作が行われ、その検知結果に基づいて洗い行程及びすすぎ行程における給水水位や動作時間が自動で決定される。
次の作用説明でも述べるように、本実施形態では、ユーザにより例えば通常コースの洗濯運転が選択された場合には、洗い行程、2回のすすぎ行程、脱水行程が順に実行される。このとき、制御装置31は、主としてそのソフトウエア構成により、洗い行程直後のすすぎ行程において、UFBユニット51により生成されたファインバブル水を給水してすすぎ行程を実行する。このすすぎ(ためすすぎ)の行程は、水槽4(洗濯槽5)内に、所定のすすぎ水位まで給水した状態で、パルセータ7を所定時間駆動することにより行われる。本実施形態では、洗い行程終了後、排水動作を行い、その後、脱水動作(脱水すすぎ)を行うことなく、1回目のすすぎ(ためすすぎ)の行程(給水動作)に移行するようになっている。
この場合、1回目のすすぎ行程における給水は、メイン給水弁20とFB用給水弁21とを交互に開放させて行われる。具体的には、図11に示すように、全体の給水量に対し、ファインバブル水の割合が50%となる、即ち、水道水とファインバブル水とが1:1の割合となるように給水が行われる。これにより、例えばファインバブルの数が、105 個/ml以上となるような濃度で含まれたファインバブル水が用いられる。つまり、ファインバブル水と、水道水とは、微細気泡数が105 個/ml以上となるような所定割合で混合される。
更に、本実施形態では、1回目のすすぎ行程後に行われる2回目(最終)のすすぎ行程においても、1回目のすすぎ行程と同様のファインバブル水を用いてすすぎ行程が行われる。
尚、本実施形態では、洗い行程においても、UFBユニット51により生成されたファインバブル水が給水され、ファインバブル水を用いた洗い行程が実行される。この場合、洗い行程開始時に、メイン給水弁20とFB用給水弁21とを交互に開放させて給水が行われ、水道水とファインバブル水とが混合された形態で給水が行われる。図11に示すように、このときの全体の給水量に対するファインバブル水の割合は、30%とされる。従って、すすぎ行程で用いられるファインバブル水の方が、洗い行程のファインバブル水よりも微細気泡数が多くなるように給水される。
次に、上記構成の洗濯機1の作用について、図10〜図12も参照して述べる。洗濯運転を開始するにあたっては、ユーザは、洗濯槽5内に洗濯する衣類を投入すると共に、注水ケース18の洗剤収容部23に所要量の洗剤を収容し、更に必要に応じて柔軟剤収容部24に所要量の柔軟剤を収容しておいた上で、操作パネル36にて開始操作を行う。すると、制御装置31は、洗い、すすぎ、脱水などの行程からなる洗濯運転を自動で実行する。洗濯運転がスタートされると、まず周知の布量検知動作が行われ、その検知結果に基づいて給水水位等が自動で決定され、洗い行程に進む。
洗い行程では、上記のように、まず、メイン給水弁20とFB用給水弁21とが交互に開放され、図11に示すように、ファインバブル水を30%含んだ洗濯水が所定水位まで給水される。このとき、水槽4への給水は、洗剤収容部23内の洗剤を溶かしながら行われ、ファインバブル水に洗剤が溶け込んだ洗濯水が水槽4内に供給される。所定水位までの給水が行われると、パルセータ7を正逆回転駆動させる洗い行程が、所定時間実行される。
ここで、ファインバブルは、液体中例えば水中で、不規則な運動を生ずるブラウン運動を起こし、その速度は浮上速度よりも速いため、長時間に渡って液体中に止まる性質を有する。そして、ファインバブルの表面はマイナスに帯電しているため、洗濯水に含まれている塊りとなっていた洗剤分(界面活性剤)をばらすようにしながら吸着し、洗剤の分散性を向上させる役割を果たす。ファインバブル同士は反発し合い、結合することがない。また、そのように洗剤分を吸着したファインバブルは、衣類の繊維の隙間(例えば10μm)中に容易に入り込み、効率良く洗剤を衣類の内部に運んで汚れをはがすことができ、その汚れの衣類への再付着を抑制する。このようなファインバブルの機能により、多量のファインバブルが含まれたファインバブル水に洗剤を溶かした洗濯水を用いて洗い行程を行うことにより、優れた洗浄作用を得ることができる。
さて、所定時間の洗い行程が終了すると、すすぎ行程(1回目のすすぎ行程)に移行される。図10は、制御装置31による、洗い行程終了後の2回のすすぎ行程における、メイン給水弁20、FB用給水弁21、柔軟剤用給水弁22、排水弁32の開閉制御の様子を示すタイムチャートである。この図10に示すように、1回目のすすぎ行程が開始されると、まず、排水弁32が開放されて水槽4からの排水が行われる。この時点では、全ての給水弁20、21、22が閉塞されている。
排水が終了すると、排水弁32が閉塞され、給水が行われる。ここでは、まずメイン給水弁20が開放(FB用給水弁21及び柔軟剤用給水弁22は閉塞)され、水道水が給水される。所定のすすぎ水位の半分の水位(50%)まで水道水が給水されると、メイン給水弁20が閉塞されてFB用給水弁21が開放される。これにて、多量のファインバブルを含んだファインバブル水が水槽4内に供給される。所定のすすぎ水位まで給水が行われると、FB用給水弁21が閉塞される。メイン給水弁20の開放と、FB用給水弁21の開放とは順序が逆であっても良い。
引続き、パルセータ12を間欠的に正逆回転駆動させる撹拌動作が実行され、一定時間のためすすぎが行われる。ここで、本発明者らの研究によれば、洗い行程直後のすすぎ行程においても、多量のファインバブルが含まれたファインバブル水を用いることにより、衣類に対する汚れ落ちの効果が得られることの知見が得られた。
即ち、洗い行程直後においては、洗い行程で使用した洗剤の一部(排水により排除されなかった分)が残存して衣類に付着しており、ファインバブルにより、残存している洗剤(界面活性剤)を吸着し、分散させることができる。この洗剤分を、洗い行程で落としきれなかった衣類の汚れと反応させることができ、汚れ落とし効果を得ることができる。更に、ファインバブルが弾けるときに発生するキャビテーションにより、衣類に付着していた汚れを引き剥がす効果も得られる。これらにより、すすぎ行程においても、ファインバブル水を用いることにより洗浄の効果をより高めることができると考えられる。
この場合、洗い行程後の排水の後に脱水動作が行われていないので、脱水動作に伴う洗剤分の排出が抑えられる。従って、脱水動作が行われた場合と比較して、洗剤分が比較的多く残った状態で、すすぎ行程に移行させることができる。また、本発明者らの研究によれば、すすぎ行程において使用されるファインバブル水を、微細気泡数が、105 個/ml以上の濃度とすることにより、すすぎ行程における、良好な洗浄効果が得られることが確認された。
ちなみに、図12は、洗い行程及びすすぎ行程(1回目)において、ファインバブル水を用いた場合の洗浄性能を調べた試験結果を示している。この試験は、「JIS C9811:1999家庭用電気洗濯機の性能測定方法」に準じて行われている。但し、人工的な皮脂汚れを付与した汚染布を試料とし、オイルバイオレットによる染色後の汚染布の色差測定により評価を行った。試験結果は、横軸が洗濯水中のファインバブルの濃度(個/ml)を示し、縦軸が水道水を用いた場合に対する洗浄性能の向上率を示している。この結果から、ファインバブルの数が105 個/ml以上の濃度のファインバブル水を用いることにより、洗い行程はもとより、すすぎ行程においても洗浄性能が向上することが理解できる。ファインバブルの数(濃度)が高いほど、より高い洗浄性能が得られた。
図10に戻って、1回目のすすぎの動作が終了すると、2回目のすすぎ行程に移行する。この2回目のすすぎ行程では、まず排水弁32が開放されて排水が行われ、引続き、排水弁32が開放されたまま所定時間の中間脱水動作(洗濯槽5を高速で連続回転させる動作)が実行される。中間脱水動作が終了すると、排水弁32が閉塞され、給水が開始される。
ここでは、まず柔軟剤用給水弁22が開放(メイン給水弁20及びFB用給水弁21は閉塞)され、水道水が柔軟剤収容部24を通って、柔軟剤を溶かしながら水槽4に供給される。所定のすすぎ水位の半分の水位(50%)まで水道水が給水されると、柔軟剤用給水弁22が閉塞されてFB用給水弁21が開放される。これにて、多量のファインバブルを含んだファインバブル水が水槽4内に供給される。所定のすすぎ水位まで給水が行われると、FB用給水弁21が閉塞される。柔軟剤用給水弁22の開放と、FB用給水弁21の開放とは順序が逆であっても良い。
引続き、パルセータ12を間欠的に正逆回転駆動させる撹拌動作が実行され、一定時間のためすすぎが行われる。2回目のすすぎ行程でも、ファインバブル水を用いない場合と比べて、ファインバブル水による一定の洗浄効果を得ることができる。また、ファインバブル水を用いることにより、すすぎの性能についての向上も図ることができる。尚、図示はしていないが、2回目のすすぎの行程が終了すると、排水が行われて脱水の行程が実行される。
このように本実施形態によれば、洗い行程直後のすすぎ行程においても、ファインバブルが含まれたファインバブル水を用いるように構成した。これにより、すすぎ行程においても、ファインバブル水による洗浄の効果を高めることができる。この結果、ファインバブル水を洗い行程で洗浄力向上のために用いるに止まっていた従来と異なり、洗い行程以外でも、UFBユニット51により生成されたファインバブル水を、より一層有効に利用することが可能となる。
本実施形態では、洗い行程後に、排水動作を行った後脱水動作を行うことなくすすぎ行程の給水動作に移行するように構成した。これにより、排水動作の後に脱水動作が行われないので、脱水動作に伴う洗剤分の排出が抑えられる。従って、脱水動作が行われた場合と比較して、洗剤分が比較的多く残った状態で、すすぎ行程に移行されるようになり、すすぎ行程における洗浄効果をより高いものとすることができる。
特に本実施形態では、すすぎ行程を複数回(2回)実行するものにあって、2回目のすすぎ行程に関しても、UFBユニット51により生成されたファインバブル水を給水してすすぎ行程を実行するようにした。これにより、2回目のすすぎ行程でも、ファインバブル水を用いない場合と比べて、ファインバブル水による一定の洗浄効果を得ることができる。
また、本実施形態では、すすぎ行程において使用されるファインバブル水を、微細気泡数が、105 個/ml以上の濃度とした。これにより、すすぎ行程における、良好な洗浄効果が得られた。このとき、ファインバブル水と、水道水とを、微細気泡数が105 個/ml以上となるような所定割合で混合させながら給水を行うようにした。これにより、ファインバブル水による所定の洗浄効果を得ることができながら、水道水を使用した分だけ給水に要する時間の短縮化を図ることができる。
更に、特に本実施形態では、洗い行程におけるファインバブル水の濃度に比べて、すすぎ行程で用いられるファインバブル水の濃度の方が大きく(微細気泡数が多く)なるように給水が行われる。すすぎ行程においては、洗い行程に比べて洗剤の残存量が少ないため、洗浄効果を高めるために、すすぎ行程で用いるファインバブル水の微細気泡数(ファインバブルの濃度)を洗い行程に比べて上げることにより、より良好な洗浄効果を得ることができる。
(2)第2、第3の実施形態、その他の実施形態
図13は、第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、制御装置31が実行する、洗い行程及びすすぎ行程における制御にある。具体的には、制御装置31は、水温センサ37の検出した水温に応じて、洗い行程およびすすぎ行程の給水における、全体の給水量に対するファインバブル水の割合を変更するようにしている。
即ち、水温センサ37の検出した水温(或いは外気温)が、低温(15℃未満)である場合、中温(15℃以上30℃未満)である場合、高温(30℃以上)の3つの区分において、ファインバブル水の供給量(全体の給水量に対する割合)を変更する、つまり水温が高いほどファインバブル水の割合を小さくするようにしている。また、上記第1の実施形態と同様に、同じ温度区分であれば、洗い行程におけるファインバブル水の濃度に比べて、すすぎ行程で用いられるファインバブル水の濃度の方が大きく(微細気泡数が多く)なるように給水が行われる。
本実施形態では、洗い行程の給水時には、給水量全体に対するファインバブル水の割合を、水温が低温である場合には80%、中温である場合には50%、高温である場合には30%としている。また、すすぎ行程の給水時には、給水量全体に対するファインバブル水の割合を、水温が低温である場合には100%、中温である場合には70%、高温である場合には50%としている。
ここで、洗い行程およびすすぎ行程においては、給水される水温が高い方が、より高い洗浄効果が得られることが知られている。従って、本実施形態によれば、水温が比較的低い場合には、洗浄効果が低くなるが、ファインバブル水の濃度を高くすることにより、水温が低い分をカバーして、洗浄性能を確保することができる。一方、水温が比較的高い場合には、水温自体によって高い洗浄効果を得ることができるため、ファインバブル水の濃度を比較的低くして、給水時間の短縮化を図ることができる。また、すすぎ行程で用いるファインバブル水の濃度を洗い行程に比べて上げることにより、すすぎ行程におけるより良好な洗浄効果を得ることができる。
図14は、第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態では、洗い行程の途中につけおき洗いを行う運転コースを実行することが可能となっている。このつけおき洗いとは、パルセータ7を停止した状態で、洗濯槽5内で衣類を洗濯水に一定時間つけておくものであり、衣類の汚れ度合いが大きい場合などに実行すると効果がある。ユーザが操作パネル36を操作することにより、つけおき洗いの時間を、複数段階(0時間即ちつけおき洗い動作を行わないことも含む)で設定することができる。
そして、本実施形態では、つけおき洗いが設定されている場合には、制御装置31は、洗い運転(第1洗い)の開始から、180分を上限として、乾燥ユニット28を駆動して温風を水槽4内に供給するようになっている。これにより、つけおき時に、水槽4(洗濯槽5)内の洗濯水が加熱され、洗濯水の温度を給水時から約10度程度上昇させることができる。
図14に示すように、制御装置31は、つけおき洗いが設定されている場合には、洗い行程において、所定水位までの給水動作の後に、第1洗いの動作を所定時間(例えば20分間)実行し、その後、パルセータ7を停止させて、つけおき洗いを実行する。このとき、上記したように、第1洗いの開始から乾燥ユニット28がオンされ、温風により洗濯水が加熱される。乾燥ユニット28は、所定時間経過後例えばつけおき洗いの途中でオフされ、温度が約10度上昇した洗濯水で、つけおき洗い及び第2洗いが行われる。
設定された時間のつけおき洗いが終了すると、第2洗いの動作を所定時間(例えば20分間)実行して洗い行程を終了する。上記洗い行程の開始時の給水は、メイン給水弁20とFB用給水弁21とを交互に開放することにより行われ、ファインバブル水を所定の割合で含んだ洗濯水とされる。この給水においては、図13に示したように、現在の水温或いはそこから10度上昇した水温に応じて、ファインバブル水の割合を決定することもできる。
洗い行程が終了すると、すすぎ行程に移行される。このすすぎ行程は、脱水動作と1回のためすすぎとを含んでおり、排水が行われた後、脱水動作が所定時間行われる。この後、メイン給水弁20と、FB用給水弁21とを交互に開放して所定のすすぎ水位までの給水が行われる。この場合も、図13に示したように、現在の水温に応じて、ファインバブル水の割合を決定することもできる。引続き、パルセータ12を間欠的に正逆回転駆動させる撹拌動作が実行される。
このような第3の実施形態においても、洗い行程直後のすすぎ行程において、ファインバブルが含まれたファインバブル水を用いるように構成したことにより、すすぎ行程においても、ファインバブル水による洗浄の効果を高めることができるという優れた効果を得ることができる。また、つけおき洗いの採用により、洗い行程における洗浄性能をより高めることができる。
尚、上記各実施形態では、すすぎ行程において、給水完了後に撹拌を行うようにしたが、洗い行程直後のすすぎ行程においては、ファインバブル水の給水途中の低水位、例えば設定水位の3/4程度の水位から、撹拌動作(パルセータ7の駆動)を開始するようにしても良い。この場合、撹拌が開始されてしばらくした後に、給水が完了し、その時間も含めて所定時間の撹拌が実行されるようになっている。この場合、ファインバブル水の給水は、水道水の給水に比べて、時間がかかる事情があるが、最終的なすすぎ水位まで給水が完了する以前に、撹拌を開始することにより、その分、すすぎ行程全体に要する時間の短縮を図ることができる。
また、上記各実施形態で用いた時間や水位、微細気泡数(濃度)、水道水とファインバブル水との割合、温度区分などの具体的数値は、一例を挙げたものに過ぎず、適宜変更して実施することができる。洗濯運転のコースの内容についても、すすぎを3回以上行うなど様々な変更が可能である。さらに、上記実施形態では、縦軸型の洗濯機に適用したが、縦軸型の洗濯機に限らず、ドラム式洗濯機など洗濯機全般に適用することができる。その他、微細気泡発生装置の具体的構造や、注水ケースや給水機構の構成等についても、様々な変更が可能である。
以上説明したいくつかの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。