JP2019097518A - ポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法 - Google Patents

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和紀 西山
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Abstract

【課題】不純物量が少なく、特に結晶化度が低いPHAの場合であっても、不純物量が少なく分散性に優れたPHA分散液を効率的に製造できる方法を提供する。【解決手段】水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含むポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法であって、水系媒体中で、ポリヒドロキシアルカノエートを細胞内に含有する微生物を、該微生物の細胞壁を構成するペプチドグリカンの一部又は全部を残存させたまま洗浄して、前記微生物の細胞構成成分を除去する工程Aと、工程Aの後、高分子分散剤を添加する工程Bと、工程Bの後、前記ペプチドグリカンを分解する工程Cと、を含む、ポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法に関する。
ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと称することがある。)を含む樹脂は、細菌や植物により生産することが出来る。微生物を用いてPHAを製造する場合は、微生物の菌体内にPHAが蓄積されるため、微生物の菌体内からPHAを分離して取り出すという工程が必要である。工業的には、PHAを微生物の培養によって生産した後、PHAを有機溶媒等で抽出する方法、または、菌体成分を破砕もしくは可溶化させて取り除く方法、あるいはそれらの組み合わせによって精製し回収する。しかしながら、有機溶剤等で抽出する方法では、PHAを生産性上実用的な濃度に溶解させると、抽出液は極めて粘稠な液体となるため、溶媒に溶解しない菌体残渣とPHAを含む抽出液との分離が非常に困難となったり、溶媒の回収コストや損失溶媒のコストがかかるという生産性上の課題があった。
PHA以外の菌体構成成分を可溶化させて取り除くことによりPHAを製造する方法として、特許文献1に、PHAを含む培養液を破砕処理した後、超遠心分離機にてPHA成分と菌体構成成分を分離し、菌体構成成分を取り除いた後、PHA成分に過酸化水素または界面活性剤を作用させ、加熱によりPHAを凝集させて回収する製造方法が開示されている。
国際公開第1996/006178号
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の方法では、高純度のPHAを含む樹脂組成物を得るためには、懸濁液を超遠心分離により固液分離する工程を必要とし、しかも、培養により生成されるPHAを含む樹脂組成物の平均粒子径が0.1〜5.0μmと微小であるため、効果的に分離するためには、5,000〜10,000Gのきわめて高い遠心力が必要である。実用上、ノズル型ディスクセパレーターを用いることができるが、PHAを含む樹脂組成物が、高遠心力下で、圧密されスケール化することによって、セパレーター内を閉塞させて連続運転が困難になる等の課題があった。特に、結晶化度が30%未満の低結晶性 PHAを含む樹脂組成物は、PHA粒子同士が塊状化してしまい、粒子間への不純物の取り込みが起こり、精製が一層困難になる。
したがって、本発明の目的は、PHAが低結晶性PHAの場合であっても、不純物量が少なく、分散性に優れたPHA分散液が得られる製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の工程を特定の順番で含む分散液の製造方法によると、PHAが低結晶性PHAの場合であっても、不純物量が少なく、分散性に優れたPHA分散液を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、例えば、以下の[1]〜[13]に記載の発明を提供する。
[1]水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含むポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法であって、
水系媒体中で、ポリヒドロキシアルカノエートを細胞内に含有する微生物を、該微生物の細胞壁を構成するペプチドグリカンの一部又は全部を残存させたまま洗浄して、前記微生物の細胞構成成分を除去する工程Aと、
工程Aの後、高分子分散剤を添加する工程Bと、
工程Bの後、前記ペプチドグリカンを分解する工程Cと、
を含む、ポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[2]工程Aにおいて残存させるペプチドグリカンの量が、固形分(100重量%)に対して0.1重量%以上である、[1]に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[3]水系媒体が水である、[1]又は[2]に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[4]高分子分散剤がポリビニルアルコールである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[5]工程Cにおいてペプチドグリカンを分解する方法が、生物学的又は物理的又は化学的破砕方法である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[6]工程Bにおける高分子分散剤の添加量が、ポリヒドロキシアルカノエート100重量部に対して0.1〜5重量部である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[7]ポリヒドロキシアルカノエートが、下記一般式(1)
(式中、RはC2n+1で表されるアルキル基であり、nは1以上15以下の整数である)
で示される繰り返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエートから選択される1種以上である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[8]ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)、及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシブチレート)からなる群より選択される1種以上である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[9]ポリヒドロキシアルカノエートが、結晶化度30%以下のポリヒドロキシアルカノエートである、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載の製造方法によりポリヒドロキシアルカノエート分散液を製造し、その後、当該分散液を乾燥させる、固体状のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
[11]水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含み、
前記ポリヒドロキシアルカノエート粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであり、
前記ポリヒドロキシアルカノエートが、結晶化度30%未満のポリヒドロキシアルカノエートであり、
タンパク質の含有量が固形分に対して1.0重量%以下、ペプチドグリカンの含有量が固形分に対して0.1重量%未満である、ポリヒドロキシアルカノエート分散液。
[12]水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含み、
前記ポリヒドロキシアルカノエート粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであり、
前記ポリヒドロキシアルカノエートが、3HHのモル比が15mol%以上のPHBH、4HBのモル比が36mol%以上のP3HB4HB及び3H4MVのモル比が13mol%以上のP3HB3H4MVからなる群より選択される少なくとも1種であり、
タンパク質の含有量が固形分に対して1.0重量%以下、ペプチドグリカンの含有量が固形分に対して0.1重量%未満である、ポリヒドロキシアルカノエート分散液。
[13][11]又は[12]に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液を乾燥させてなる、固体状のポリヒドロキシアルカノエート。
本発明は上記構成を有するため、PHAが低結晶性PHAの場合であっても、不純物量が少なく、分散性に優れたPHA分散液を製造することができる。
以下、本発明に係るPHA分散液の製造方法の実施の一形態について、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<PHA分散液の製造方法>
本発明のPHA分散液の製造方法は、以下の工程A、工程B及び工程Cを必須の工程として含む方法である。
工程A:水系媒体中で、PHAを細胞内に含有する微生物を、該微生物の細胞壁を構成するペプチドグリカン(ペプチドグリカン層)の一部又は全部を残存させたまま洗浄して、前記微生物の細胞構成成分を除去する工程
工程B:工程Aの後、高分子分散剤を添加する工程
工程C:工程Bの後、前記ペプチドグリカンを分解する工程
まず、本発明のPHA分散液の製造方法により製造されるPHA分散液(「本発明のPHA分散液」と称する場合がある)について説明する。本発明のPHA分散液は、水系媒体と、該水系媒体中に分散したPHA粒子とを必須成分として含む分散液である。
1.PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)
本発明のPHA分散液に含まれるPHA粒子を構成するPHAは、下記一般式(1)
(式中、RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。)
で示される繰り返し単位を含む少なくとも1種以上のPHAであることが好ましい。
上記PHAは、前記一般式(1)の繰り返し単位を、全繰り返し単位の50モル%以上含んでいればよく、さらにその他の繰り返し構造を含んでいてもよい。
上記PHAとしては、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)(PHBV)、〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3-ヒドロキシバレレート−co−3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HV3HH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシオクタデカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシ−4−メチルバレレート)(P3HB3H4MV)等が挙げられる。中でも特に、工業的生産が比較的容易であることから、PHB、PHBV、P3HB3HV3HH、PHBH、P3HB4HBが好ましい。
上記PHAとして、3−ヒドロキシブチレートの繰り返し構造単位を有するものを用いる場合、当該繰り返し構造単位の平均組成比は、PHAの柔軟性と強度のバランスの観点から、80〜99モル%であることが好ましい。
本発明のPHA分散液は、PHAとして一種を単独で有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて有するものであってもよい。
上記PHAの分子量は、成形体を製造できる範囲であることが好ましく、特に限定されないが、本発明のPHA分散液をペレット状に成形(ペレット化)した際の重量平均分子量(Mw)を目安とすることができる。当該Mwの下限は、強度、伸び率などの機械的特性や成型性に優れる点で、30万以上が好ましく、より好ましくは40万以上、さらに好ましくは50万以上である。また、上記Mwの上限は、加工性に優れる点で、300万以下が好ましく、より好ましくは250万以下、あらに好ましくは200万以下である。なお、本発明におけるMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。この際、検量線は重量平均分子量31400、197000、668000、1920000のポリスチレンを使用して作成する。
本発明のPHA分散液におけるPHAは、通常、微生物由来(つまり、微生物により生産された)PHAである。微生物によりその細胞内で生産されたPHA(PHAを細胞内に含有する微生物)を、本発明のPHA分散液の製造方法における工程A、工程B及び工程Cに付すことにより、本発明のPHA分散液が得られる。
上記PHAの生産に用いる微生物としては、PHA類生産能を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、「PHB」と略称する。)生産菌としては、1925年に発見されたBacillus megateriumが最初で、他にもカプリアビダス・ネケイター(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)などの天然微生物が知られており、これらの微生物ではPHBが菌体内に蓄積される。
また、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体生産菌としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)(以下、「PHBV」と略称する。)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、「PHBH」と略称する。)生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシブチレート)生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)などが知られている。特に、PHBHに関し、PHBHの生産性を上げるために、PHA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP−6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821−4830(1997))などがより好ましい。また、上記以外にも、生産したいPHAに合わせて、各種PHA合成関連遺伝子を導入した遺伝子組み替え微生物を用いてもよい。
本発明のPHA分散液の製造方法は、後述のように、特にPHAが低結晶性PHAである場合であったとしても、不純物が少なく分散性に優れたPHA分散液が得られる点で有効である。低結晶性PHAとしては、例えば、文献:Y.Doi,S.kitamura,H.Abe.,Macrolecules.,28,p4822−4828(1995)に記載の結晶化度が30%以下のPHAが挙げられる。低結晶性PHAとしては、より具体的には、前記PHBHにおいて、3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、「3HH」と略称する)の組成が15mol%以上のPHBHが好適に用いられる。例えば、3HHの組成が15mol%の場合、結晶化度は26±5%となり、3HHの組成比が増えるにつれて結晶化度は低下し、3HH組成が25mol%では結晶化度は18±5%となる。また、3HH組成が15mol%を超えると、PHBH粒子の付着性が高まり、25mol%では、室温でガム状となる。なお、結晶化度は通常、その経時的に又はその環境等により変化し得るが、上述の文献に記載の結晶化度は、とり得る結晶化度の最大値の意味である。
低結晶性PHAとしては、例えば、PHBHであれば、3HHのモル比が15mol%以上のPHBH、特に3HHのモル比が18mol%以上のPHBH等が挙げられる。これらPHBHの3HHのモル比の上限は特に限定されず、例えば、25mol%以下であってもよい。また、低結晶性PHAがP3HB4HBであれば、4HBのモル比が36mol%以上のP3HB4HB、特に4HBのモル比が39mol%以上のP3HB4HB等が挙げられる。これらP3HB4HBの4HBのモル比の上限は特に限定されず、例えば、50mol%以下であってもよい。また、低結晶性PHAがP3HB3H4MVであれば、3H4MVのモル比が13mol%以上のP3HB3H4MV、特に3H4MVのモル比が15mol%以上のP3HB3H4MV等が挙げられる。これらP3HB3H4MVの3H4MVのモル比の上限は特に限定されず、例えば、40mol%以下であってもよい。
上述の微生物によりPHAを生産させる方法としては、公知乃至慣用の方法を適用でき、特に限定されないが、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にPHAを蓄積させる方法等が挙げられる。生産したPHAに合わせて基質の種類を含む培養条件の最適化を適宜実施することができる。
2.水系媒体
本発明のPHA分散液を構成する水系媒体としては、例えば、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。中でも、入手性や取り扱い性に優れている点で、水が好ましい。
[工程A]
本発明のPHA分散液の製造方法における工程Aは、上述のように、水系媒体中で、PHAを細胞内に含有する微生物を、該微生物の細胞壁を構成するペプチドグリカンの一部又は全部を残存させたまま洗浄して、前記微生物の細胞構成成分を除去する工程である。
工程Aにおける「PHAを細胞内に含有する微生物」としては、上述のようなPHAを生産可能な微生物を培養したものを用いることができる。例えば、前記微生物を培養後の培養液や当該培養液を水系媒体等で希釈したもの等を用いることができる
工程Aにおいては、上記微生物をペプチドグリカンの一部又は全部を残存させたまま洗浄する。これにより、残存させるペプチドグリカン以外の微生物構成成分が除去され、これにより、水系媒体と、表面の一部又は全部にペプチドグリカン(ペプチドグリカン層)を有するPHA粒子とを含む分散液が得られる。
ペプチドグリカンとは、微生物など大部分の原核生物の細胞壁成分をなす糖ペプチドのポリマーである。ペプチドグリカンは、N−acetylmuramic acidまたはN−glycosylmuramic acidとD−アミノ酸を含み、グリカン鎖とペプチド鎖とが網目状に結合して三次元構造を構築し、物理的に極めて堅固な構造を形成している。
工程Aにおいて残存させるペプチドグリカンの量は、工程Aで得られる分散液の固形分100重量%に対して0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であり、また、1.0重量%以上が好ましい。ペプチドグリカンの含有量を0.1重量%以上とすることにより、粒子同士が塊状化することなく水分散液が得られる。一方、工程Aの工程Cにより、ペプチドグリカンの含有量を0.1重量%以下とすることにより、菌体由来の不純物を低減することができる。本発明のPHA粒子におけるペプチドグリカンの含有量は、例えば、実施例に記載した方法により測定できる。
工程Aにおいてペプチドグリカンを残存させたまま洗浄する方法は、適宜選択可能であるが、例えば、微生物構成成分を破砕するための物理的処理(物理的破砕処理)、化学的処理(化学的破砕処理)、生物学的処理(生物学的破砕処理)等が挙げられる。これらの処理を実施するにあたっては、少なくともペプチドグリカンを残存させる方法や条件をとることが重要である。
物理的破砕処理の方法としては、特に限定されないが、従来公知のフレンチプレスや高圧ホモジナイザー、X−プレス、ボールミル、コロイドミル、DYNOミル、超音波ホモジナイザーなどの、流体せん断力や固体せん断力、磨砕を利用した方法を好適に用いることができる。高圧ホモジナイザーを用いる場合、操作圧力を高めると、微生物由来の不純物が減少する傾向があるので、ペプチドグリカンが0.1重量%以上になるように操作圧力を調整すると良い。
化学的破砕処理、生物学的破砕処理の方法としては、例えば、酸やアルカリ、界面活性剤、有機溶剤、細胞壁合成阻害剤などの薬剤を用いる方法、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、チモリアーゼなどの酵素を用いる方法、超臨界流体を用いる方法や、浸透圧破砕法、凍結法、乾燥粉砕法などが挙げられる。また、細胞自身に含まれるプロテアーゼやエステラーゼなどの作用を利用する自己消化法も破砕法の一種として挙げられる。上記破砕方法においては、一連の処理によるPHAの分子量低下を抑える方法を選択することが望ましい。また、これらの破砕方法は単独で用いても良いし、複数の方法を組み合わせても良い。また、バッチ処理でも良いし、連続処理を行っても良い。
生物学的破砕処理としては、特に限定されないが、例えば、酵素を用いる方法が挙げられる。酵素としては、蛋白質分解酵素、脂質分解酵素、細胞壁分解酵素、核酸分解酵素等が挙げられる。これらの酵素の具体例としては下記のものが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1)蛋白質分解酵素
エスペラーゼ、アルカラーゼ、ペプシン、トリプシン、パパイン、キモトリプシン、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ等
(2)脂質分解酵素
リパーゼ、ホスホリパーゼ、コリンエステラーゼ、ホスファターゼ等
(3)核酸分解酵素
リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ等
生物学的破砕処理に用いられる酵素は、上記のものに限定されるわけではなく、工業的な製品に用いられ得るものであれば、微生物由来成分を分解する活性を有する任意の酵素であってよい。また、一般に市販されている洗濯用酵素洗剤等も用いることができる。さらには、例えば、酵素の安定化剤や再汚染防止剤等と酵素とを含有する酵素組成物であってもよく、酵素のみには限定されない。好ましい蛋白質分解酵素としては、上記例示に含まれるもののうち、プロテアーゼA、プロテアーゼP、プロテアーゼN(以上、天野エンザイム社製)、エスペラーゼ、アルカラーゼ、ザビナーゼ、エバラーゼ(以上、ノボザイム社製)等が工業的に使用可能なものとして挙げられ、分解活性の点からも好適に使用できる。しかし、これらに限られるものではない。
一方、酵素の中でも細胞壁分解酵素は、工程Aにおいてペプチドグリカンを少なくとも残存させることができる(例えば、0.1重量%以上残存させることができる)ように制御できる範囲で使用してもよい。細胞壁分解酵素としては、例えば、リゾチーム、アミラーゼ、セルラーゼ、マルターゼ、サッカラーゼ、α−グリコシダーゼ、β−グリコシダーゼ、N−グリコシダーゼ等が挙げられる。
酵素処理時間は、所望の処理度を達成するまで行うのが好ましく、通常0.5〜2時間である。酵素の使用量は、酵素の種類及び活性に依存し、特に制限はされないが、PHA100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、さらにはコストの点から0.001〜5重量部がより好ましい。
化学的破砕処理としては、例えば、次亜塩素酸や過酸化水素を用いる方法が挙げられる。次亜塩素酸を用いる際は、系のpHをアルカリ領域とし、熱や光、金属との接触を抑制した条件で実施することで、塩素残量の低いPHA粒子を得ることができる。pHは8以上が望ましく、より望ましくは10以上、さらに望ましくは12以上である。処理温度は40℃以下が望ましく、より望ましくは30℃以下であり、さらに望ましくは20℃以下、確実に効果を発揮するためには10℃以下で実施することが望ましい。
通常、上記方法にてPHAを細胞内に含有する微生物を物理的破砕処理、化学的破砕処理又は生物学的破砕処理して得た水性懸濁液には、細胞中のタンパク質や核酸、脂質、糖成分およびその他の菌体構成成分や、培養基質残分などが混入している。これらのタンパク質等を含む水を分離する操作を実施することが好ましい。これにより、上記水性懸濁液に含まれる不純物の量を低減することができる。当該操作としては特に限定されないが、ろ過や遠心分離、沈降分離による方法が挙げられる。
上述したように工程Aでは、ろ過や遠心分離等を実施することができる。ろ過の方法は特に制限がないが、ヌッチェなどを用いる方法や、吸引ろ過や加圧ろ過などの方法が望ましい。工業的にはフィルタープレス、チューブプレス、プレートプレス、ゲージプレス、ベルトプレス、スクリュープレス、円板プレスなどの圧搾機能を有したろ過装置や、遠心脱水機、多室円筒ろ過機なども選択可能である。生産性を高める場合には多室円筒ろ過機などの連続式が望ましい。連続式ろ過機の粒子の除滓方法として、ストリング方式、スクレパー方式、プレコートスクレパー方式などが挙げられる。また、膜分離方式を用いてもよい。膜分離を含めたろ過の方法としては、デッドエンドろ過、クロスフローろ過を選択することができる。いずれもろ過性やろ材、膜などへの閉塞の程度などから選択できる。また減圧、あるいは真空にしてもよいし、加圧してもよい。また、遠心力を用いる方法であってもよい。ろ材としては、紙、織布、不織布、スクリーン、焼結板、素焼、高分子膜、パンチングメタル、ウェッジワイヤーなど様々な素材を選択できる。いずれも生産性や閉塞の程度などから選択できる。また、ろ過助剤を用いてもよいし、用いなくともよい。ろ過助剤を用いる場合にも、ろ材に予めプレコートしておく方法(プレコート方式)、ろ過原液に予め添加しておく方法がある(ボディーフィード法)。
工程Aにおける遠心分離の方法は特に限定されないが、遠心沈降機や遠心脱水機等を使用できる。遠心沈降機であれば分離板型、円筒型、デカンター型が挙げられる。分離板型であれば、ディスク型、セルフクリーニング型、ノズル型、スクリューデカンター型、スキミング型などが挙げられる。それぞれ沈降成分の排出の方法により回分式と連続式がある。また遠心脱水機についても回分式と連続式が挙げられる。これらの機器によって比重差により、PHA粒子を含む沈降物と、培養液成分とを分離することが可能である。
前記洗浄工程で使用可能な他の方法としてはフローテーション法、電気泳動法、サイクロン処理などが挙げられる。ろ過や遠心分離、またフローテーションなどの方法を単独で用いてもよいし、組み合わせてもよい。
上述のように、ろ過や遠心分離などの方法でPHA粒子(ペプチドグリカンが残存したPHA粒子)を回収した後、当該PHA粒子を水等の水系媒体で洗浄することで、更に精製度を高めたPHA粒子を得ることができる。洗浄は水以外にも有機溶媒を使用してもよいし、水と有機溶媒を混合して用いても良い。また水のpHを調整してもよい。有機溶媒を洗浄溶媒として用いる場合、好ましくは、親水性溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ケトン類、アミン類などを用いる。また界面活性剤などを水に添加してもよい。これらの有機溶媒や水を複数種類混合して用いてもよい。また、短時間であれば水やこれらの有機溶媒を加温あるいは蒸気として噴霧することで洗浄性を高めることもできる。
工程Aでは、上述の操作を施すことによって、水系媒体と、該水系媒体中に分散したPHA粒子(ペプチドグリカンが残存したPHA粒子)とを含む分散液が得られる。
[工程B]
本発明のPHA分散液の製造方法における工程Bは、上述のように、工程Aの後、高分子分散剤を添加する工程である。即ち、工程Aで得られた分散液(水系媒体と、該水系媒体中に分散したPHA粒子(ペプチドグリカンが残存したPHA粒子)とを含む分散液)に対して高分子分散剤を添加する工程である。高分子分散剤を添加した後に撹拌することもできる。
工程Bにおいて使用される高分子分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子が挙げられる。中でも、添加量の割に良好な分散性が得られる点から、PVAが好ましい。高分子分散剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせることもできる。
工程Bにおける高分子分散剤の添加量は、特に限定されないが、分散液100重量%に対して0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上である。また、工程Bにおける高分子分散剤の添加量は、特に限定されないが、PHA100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは1〜3.5重量部である。添加量を上記範囲に制御することにより、分散安定性にいっそう優れたPHA分散液が得られる傾向がある。
[工程C]
本発明のPHA分散液の製造方法における工程Cは、上述のように、工程Bの後、前記ペプチドグリカンを分解する工程である。即ち、工程Aにおいて残存させたペプチドグリカンを分解する工程である。
工程Cにおいてペプチドグリカンを分解する方法としては、公知乃至慣用の方法を適用でき、特に限定されないが、生物学的破砕方法、物理的破砕方法、化学的破砕方法等の一種以上が挙げられる。これら方法としては、より具体的には例えば、細胞壁分解酵素処理、高圧破砕処理、超音波処理等が挙げられる。これら処理は、一種を単独で実施してもよいし、二種以上を組み合わせて実施してもよい。細胞壁分解酵素としては、上記で例示したものを使用することができる。高圧破砕処理は、例えば高圧ホモジナイザーを使用することにより実施でき、特にその処理の圧力、時間を制御することにより、細胞壁を効率的に分解することができる。高圧破砕処理時の圧力としては、500kg/cm以上が好ましく、より好ましくは800kg/cm以上である。上限は特に限定されないが、圧力を高めすぎると分散液の温度が上昇し、PHAの分子量が低下する恐れがあるのでで、2000kg/cm以下が好ましい。高圧破砕処理時間は、特に限定されず、その圧力に応じて適宜変更できる。超音波処理の場合は、特に超音波の照射時間を制御することにより、細胞壁を効果的に分解することができる。超音波照射時間としては、0.5分以上が好ましく、より好ましくは5分以上である。上限は、特に限定されないが、照射時間が長くなると分散液の温度が上昇し、PHAの分子量が低下する恐れがあるので、20分以下が好ましい。また、化学的破砕方法としては、例えば、次亜塩素酸又はその塩を使用することにより細胞壁を効果的に分解する方法が挙げられる。例えば、次亜塩素酸又はその塩を用いる場合には、分散液中の固形分当たり有効塩素濃度0.3〜15重量%の次亜塩素酸又はその塩と10分〜5時間接触させると良い。
工程Cにおいては、細胞壁の分解処理を実施した後、分散液中になお残存する細胞壁やその分解物を分散液から除去することが好ましい。当該除去の方法としては、公知乃至慣用の方法を適用でき、特に限定されないが、例えば、工程Cの後、以下の凝集工程(工程Dと称する場合がある)及び脱水工程(工程Eと称する場合がある)を実施する方法、工程Cの後、工程Eを実施する方法等が挙げられる。
[工程D]
工程Dは、工程Cの後、分散液中のPHA(PHA粒子)を凝集させる工程である。PHAを凝集させる方法としては、分散液を加熱処理する方法が挙げられる。なお、本願において凝集とは、PHA粒子の体積平均粒径が、凝集操作前のPHA体積平均粒径に対して5倍以上、望ましくは10倍以上、より望ましくは15倍以上となることを指している。
本工程において、加熱処理は、PHAの分子量低下を抑止する点で、できるだけ低温で行うことが好ましい。具体的には、加熱温度の上限は、PHA種により適宜選択すれば良いが、130℃以下が好ましく、より好ましくは110℃以下である。また、加熱温度の下限は特に限定されないが、より大きい粒径のPHA粒子の凝集体を製造するため、PHAの融点以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。加熱時間は、使用する装置などにより適宜選択すれば良いが、加熱温度に達してから、10分以下が好ましく、1分以下がより好ましい。また加熱時間の下限値は少なくとも1秒間以上が好ましい。
加熱処理を実施する際の分散液のpHは特に限定されないが、pH5以下の酸性領域にあってもよい。pH5以下とすることで、加熱時のPHA分子量の低下を抑制することができる傾向がある。
[工程E]
工程Eは、工程C又は工程Dの後、分散液中に存在する菌体由来のタンパク質や核酸、脂質、糖成分およびその他の菌体構成成分や、培養基質残分等不純物を、一部の水と共に除去する工程である。本工程により、不純物の除去を効果的に行うことができる。脱水の方法としては特に限定されないが、ろ過や遠心分離、沈降分離等、一般的な脱水方法を好ましく用いることができる。当該方法により脱水して得られた上清を除去することによって、上述の不純物を除去することができる。また、脱水工程において得られる脱水物(脱水樹脂)の含水率は、不純物除去の点で、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、25%以下がより好ましい。なお、上記含水率は、水分/(水分+固形分)×100(%)により算出される。
工程Eにより、ペプチドグリカンの含有量を、分散液の固形分100重量%に対して、0.1重量%未満とすることが好ましく、より好ましくは0.05重量%未満、さらに好ましくは0.01重量%未満である。ペプチドグリカンの含有量を0.1重量%未満とすることにより、PHA粒子の純度をよりいっそう向上できる傾向がある。ペプチドグリカンの含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
工程Eにおいて得られた脱水物(脱水樹脂)をさらに水系媒体に分散させることにより、不純物のいっそう少ないPHA分散液(本発明のPHA分散液)を得ることができる。また、一方、さらに脱水物(脱水樹脂)を乾燥させることによって、固体状のPHAを得ることができる。乾燥方法は適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、スプレー乾燥、気流乾燥、流動乾燥、バンド乾燥などの一般的な乾燥方法を好ましく用いることができる。
本発明のPHA分散液の製造方法は、上述の工程以外の工程(その他の工程)をさらに含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、高分子分散剤以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を添加する工程が挙げられ、その実施のタイミングは適宜選択可能である。その他の成分としては、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム及びオレイン酸ナトリウム等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレンアルキルエーテル等)等が挙げられる。防腐剤としては、過酸化水素、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ヒノキチオール、パラベン等が挙げられる。
本発明のPHA分散液の製造方法は、上述の工程A〜Cを上述の順で含むことにより、分散性に優れ、なおかつ不純物が低減されたPHA分散液(本発明のPHA分散液)を得ることができる。本発明のPHA分散液の製造方法によれば、特にPHAが低結晶性PHA(例えば、結晶化度30%以下のPHA)の場合であっても、その分散液を効率的に得ることが可能である。従来のPHA分散液の製造方法によると、低結晶性PHAの分散液を得ることは困難であった(例えば、比較例1参照)。
本発明のPHA分散液におけるPHA粒子(特に、低結晶性PHA粒子)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.3〜5.0μm、さらに好ましくは0.5〜3.0μmである。上記平均粒子径は、マイクロトラック粒度計(日機装)などの汎用粒度計を用い、PHA水分散液を所定濃度に調整し、正規分布の全粒子50%蓄積量に対する粒子径(体積平均粒径)として測定される。平均粒子径が上記範囲にあることにより、ハンドリング性、水分散性及び製膜性がいっそう向上する傾向がある。
本発明のPHA分散液におけるタンパク質の含有量は、その固形分に対して1.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。タンパク質の含有量を1.0%以下に制御することにより、PHA分散液を使用して製造した成形物の着色が抑制されたり、当該成形物の加熱時の臭気発生が抑制される傾向がある。タンパク質の含有量の下限は、特に限定されず、0重量%であることが最も好ましいが、例えば0.01重量%以上であってもよい。タンパク質の含有量は、例えば、実施例に記載した方法により牛血清アルブミン換算の量として測定できる。
本発明のPHA分散液におけるペプチドグリカンの含有量は、その固形分に対して0.1重量%未満が好ましく、より好ましくは0.05重量%未満、さらに好ましくは0.01重量%未満である。
本発明のPHA分散液の固形分に対するPHAの含有量は、98.0重量%以上が好ましく、より好ましくは98.5重量%以上、さらに好ましくは99.0重量%以上である。PHAの含有量の上限は特に限定されないが、99.9重量%以下が好ましく、より好ましくは99.8重量%以下、さらに好ましくは99.5重量%以下である。PHAの含有量を98.0重量%以上とすることにより、溶融加工がしやすく、加熱成形時の臭気がいっそう低減された成形体が得られる傾向がある。一方、PHAの含有量を99.9重量%以下とすることにより、高分子分散剤量が確保されるため、PHA分散液の分散安定性がいっそう向上する傾向がある。PHAの含有量は、例えば、ガスクロマトグラフやTG−DTAより求めることができ、より具体的には実施例に記載した方法により測定できる。
本発明のPHA分散液に分散したPHA粒子は、粒子状のPHAである。粒子状であればその形状は特に限定されず、粒状、略球状、球状、繊維状、針状、柱状、棒状、板状、これらに類する形状、不定形状等のいずれであってもよい。微生物産生PHAから製造した本発明のPHA分散液におけるPHA粒子形状は、通常、粒状である。
本発明のPHA分散液の製造方法によりPHA分散液を製造し、その後、当該分散液を乾燥させることにより、固体状のPHAを得ることができる。PHA分散液の乾燥方法は特に限定されず、公知乃至慣用の方法を採用することができる。
本発明のPHA分散液の製造方法により製造されるPHA分散液や当該分散液から得られるPHAは、PHAに含まれる菌体由来の不純物が少ないため、農業、漁業、林業、園芸、医学、衛生品、食品産業、衣料、非衣料、包装、自動車、建材、その他の分野に好適に用いることができる。特に、薬物担体などの生体適合性プラスチック等の医学、衛生品分野に特に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術範囲を限定されるものではない。
(残存タンパク量(PHA重量あたり)の算出法)
実施例、比較例で得られた乾燥サンプル1mgを、蒸留水1mlに懸濁したのち、(株)タカラバイオBCATM Protein Assay Kitにて調整した溶液を加え、60℃で30分間処理した。これを冷却後、(株)島津製作所吸光度計UV−1700にて分析して、牛血清アルブミン換算の残存タンパク量を求めた。
(YI値の測定方法)
実施例、比較例で得られた乾燥サンプル1〜3gを100mm×100mm×0.5mmのステンレス製の板に挟み、170℃に熱したプレス機で10分間溶融させてシートとし、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000で測定を行い、黄色度指数(YI値)を求めた。
(重量平均分子量の測定方法)
実施例、比較例で得られた乾燥サンプルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相として、標準ポリスチレン換算の分子量を測定し、当該分子量から重量平均分子量を算出した。
(平均3HH組成の測定方法)
乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥し、PHAを得た。得られたPHAの3HH組成分析は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥PHA20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、PHA分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィー島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)により分析した。
(ペプチドグリカンの含有量)
実施例で得られたPHA分散液に、(株)和光純薬工業 SLP-HS Single Reagent Setにて調製した溶液を加え、これを30℃の条件でパワースキャンHT(DSファーマバイオメディカル製)にて、吸光度(650nm)を120分間測定した。測定された吸光度から、ペプチドグリカン量を求めた。
(製造例1)PHAを含む培養液の製造
培養生産にはKNK−252株(WO2009/145164参照)を用いた。
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaHPO・12HO、0.15w/v% KHPOであり、pHを6.8とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、1.29w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)、とした。炭素源はパーム油とし、これを10g/Lの濃度で一括添加した。
PHA生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N 塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6H2Oを溶かしたもの)、0.05w/v% BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
まず、KNK−252株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、前培養液を6Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−1000型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量6.0L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。培養を、炭素源としてPFAD(Palm Fatty Acid Distillate)を使用し、64時間行い、培養液を製造した。上記で得たPHA(PHBH)を含む菌体培養液について、遠心分離を行うことによって菌体を回収し、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体を得た。この乾燥菌体の重量を測定したところ、255g/Lであり、PHA濃度は82%であった。当該PHAの3HH組成、重量平均分子量を測定したところ、それぞれ16.9mol%、120万であった。このPHA(PHBH)の上述の結晶化度は30%である。
実施例1
<工程A:洗浄工程>
製造例1で得られたPHAを含む菌体培養液を、80℃で1時間加熱して滅菌した。次に、PHAの1/100重量部のプロテアーゼ(ノボザイム社、エスペラーゼ)を添加し、pH8.0で50℃に保持したまま、2時間攪拌した。その後、この液に対して1.0%重量になるように30%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加し、さらに、pHが11.5になるように30%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、50℃で1時間保温した。その後、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約200kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、分散液を得た。本分散液におけるペプチドグリカンの含有量は、固形分に対して0.8重量%であった。
<工程B:分散剤添加工程>
工程Aで得られた分散液に対して、当該分散液に含まれるPHA100重量部に対するPVAの割合が2.5重量部になるように、20%PVA(クラレ製PVA203)水溶液を添加し、よく攪拌した。
<工程C:細胞壁分解工程>
工程Bで得られた分散液を、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約500kgf/cmの圧力で高圧破砕を行って、細胞壁の分解を実施した。当該高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、PHA分散液を得た。
当該PHA分散液におけるPHA粒子の粒子径を、マイクロトラックMT3300EXII(日機装製)にて測定した。また、得られた水分散液をヌッチェで脱水後、加熱・減圧下で乾燥させて乾燥サンプルを取得し、分子量、タンパク質およびペプチドグリカンの量を求めた。結果を表1に示す。
実施例2
<工程A:洗浄工程>
製造例1で得られたPHAを含む菌体培養液を、80℃で1時間加熱して滅菌した。次に、PHAの1/100重量部のプロテアーゼ(ノボザイム社、エスペラーゼ)を添加し、pH8.0で50℃に保持したまま、2時間攪拌した。その後、この液に対して1.0%重量になるように30%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加し、さらに、pHが11.5になるように30%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、50℃で1時間保温した。その後、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約200kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、分散液を得た。本分散液におけるペプチドグリカンの含有量は、固形分に対して0.8重量%であった。
<工程B:分散剤添加工程>
工程Aで得られた分散液に対して、当該分散液に含まれるPHA100重量部に対するPVAの割合が2.5重量部になるように、20%PVA(クラレ製PVA203)水溶液を添加し、よく攪拌した。
<工程C:細胞壁分解工程>
工程Bで得られた分散液を、超音波破砕機(日本精機製作所社製US−150T型)で出力100%、照射時間5minの条件で分散液を冷却しながら超音波破砕を行った。当該超音波破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、PHA分散液を得た。
当該PHA分散液におけるPHA粒子の粒子径を、マイクロトラックMT3300EXII(日機装製)にて測定した。また、得られたPHA分散液をヌッチェで脱水後、加熱・減圧下で乾燥させて乾燥サンプルを取得し、分子量、タンパク質およびペプチドグリカンの量を求めた。結果を表1に示す。
実施例3
<工程A:洗浄工程>
製造例1で得られたPHAを含む菌体培養液を、80℃で1時間加熱して滅菌した。次に、PHAの1/100重量部のプロテアーゼ(ノボザイム社、エスペラーゼ)を添加し、pH8.0で50℃に保持したまま、2時間攪拌した。その後、この液に対して1.0%重量になるように30%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加し、さらに、pHが11.5になるように30%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、50℃で1時間保温した。その後、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約200kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、分散液を得た。本分散液におけるペプチドグリカンの含有量は、固形分に対して0.8重量%であった。
<工程B:分散剤添加工程>
工程Aで得られた分散液に対して、当該分散液に含まれるPHA100重量部に対するPVAの割合が2.5重量部になるように、20%PVA(クラレ製PVA203)水溶液を添加し、よく攪拌した。
<工程C:細胞壁分解工程>
工程Bで得られた分散液を、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約500kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。
工程Cで得られたPHA分散液について、スプレー乾燥機(GEA社製モービルマイナー2000)にて水分を蒸発させ、平均粒子径100μmの粉体を取得した。
実施例4
<工程A:洗浄工程>
製造例1で得られたPHAを含む菌体培養液を、80℃で1時間加熱して滅菌した。次に、PHAの1/100重量部のプロテアーゼ(ノボザイム社、エスペラーゼ)を添加し、pH8.0で50℃に保持したまま、2時間攪拌した。その後、この液に対して1.0%重量になるように30%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加し、さらに、pHが11.5になるように30%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、50℃で1時間保温した。その後、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約200kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、分散液を得た。本分散液におけるペプチドグリカンの含有量は、固形分に対して0.8重量%であった。
<工程B:分散剤添加工程>
工程Aで得られた分散液に対して、当該分散液に含まれるPHA100重量部に対するPVAの割合が2.5重量部になるように、20%PVA(クラレ製PVA203)水溶液を添加し、よく攪拌した。
<工程C:細胞壁分解工程>
工程Bで得られた分散液を、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約500kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。当該高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗をさらに6回繰り返し、最終的に得られた沈殿物に水を加えてPHA粒子濃度を50%に調整し、PHA分散液を得た。
<凝集工程>
工程Cで得られたPHA分散液を80℃に昇温し、到達後すぐに冷却した。昇温にかかった時間は10分であった。凝集工程後のPHA粒子の平均粒子径は1000μmであった。
<脱水工程>
加熱凝集工程後のPHA分散液を、目開き50μmのふるいを用いて脱水した。脱水樹脂の含水率は55%であった。
<乾燥工程>
脱水工程で得られた湿樹脂を箱型乾燥機にて60℃で2日間乾燥した。得られた乾燥サンプルについて、分子量、タンパク質およびペプチドグリカンの量を求めた。
比較例1
製造例1で得られたPHAを含む菌体培養液を、80℃で1時間加熱して滅菌した。次に、PHAの1/100重量部のプロテアーゼ(ノボザイム社、エスペラーゼ)を添加し、pH8.0で50℃に保持したまま、2時間攪拌した。その後、この液に対して1.0%重量になるように30%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加し、さらに、pHが11.5になるように30%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、50℃で1時間保温した。その後、高圧破砕機(ニロソアビ社製高圧ホモジナイザーモデルPA2K型)で約500kgf/cmの圧力で高圧破砕を行った。高圧破砕後の破砕液を遠心分離した後、上清を除去した。得られた沈殿物について、遠心分離による水洗を繰り返そうとしたが、沈降物が塊状化した。この沈殿物をヌッチェで脱水後、加熱・減圧下で乾燥させて乾燥サンプルを取得し、分子量、タンパク質およびペプチドグリカンの量を求めた。

Claims (13)

  1. 水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含むポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法であって、
    水系媒体中で、ポリヒドロキシアルカノエートを細胞内に含有する微生物を、該微生物の細胞壁を構成するペプチドグリカンの一部又は全部を残存させたまま洗浄して、前記微生物の細胞構成成分を除去する工程Aと、
    工程Aの後、高分子分散剤を添加する工程Bと、
    工程Bの後、前記ペプチドグリカンを分解する工程Cと、
    を含む、ポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  2. 工程Aにおいて残存させるペプチドグリカンの量が、固形分(100重量%)に対して0.1重量%以上である、請求項1に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  3. 水系媒体が水である、請求項1又は2に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  4. 高分子分散剤がポリビニルアルコールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  5. 工程Cにおいてペプチドグリカンを分解する方法が、生物学的又は物理的又は化学的破砕方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  6. 工程Bにおける高分子分散剤の添加量が、ポリヒドロキシアルカノエート100重量部に対して0.1〜5重量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  7. ポリヒドロキシアルカノエートが、下記一般式(1)
    (式中、RはC2n+1で表されるアルキル基であり、nは1以上15以下の整数である)
    で示される繰り返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエートから選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  8. ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)、及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−4−ヒドロキシブチレート)からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  9. ポリヒドロキシアルカノエートが、結晶化度30%以下のポリヒドロキシアルカノエートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法によりポリヒドロキシアルカノエート分散液を製造し、その後、当該分散液を乾燥させる、固体状のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  11. 水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含み、
    前記ポリヒドロキシアルカノエート粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであり、
    前記ポリヒドロキシアルカノエートが、結晶化度30%未満のポリヒドロキシアルカノエートであり、
    タンパク質の含有量が固形分に対して1.0重量%以下、ペプチドグリカンの含有量が固形分に対して0.1重量%未満である、ポリヒドロキシアルカノエート分散液。
  12. 水系媒体と、該水系媒体中に分散したポリヒドロキシアルカノエート粒子とを含み、
    前記ポリヒドロキシアルカノエート粒子の平均粒子径が0.05〜10μmであり、
    前記ポリヒドロキシアルカノエートが、3HHのモル比が15mol%以上のPHBH、4HBのモル比が36mol%以上のP3HB4HB及び3H4MVのモル比が13mol%以上のP3HB3H4MVからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    タンパク質の含有量が固形分に対して1.0重量%以下、ペプチドグリカンの含有量が固形分に対して0.1重量%未満である、ポリヒドロキシアルカノエート分散液。
  13. 請求項11又は12に記載のポリヒドロキシアルカノエート分散液を乾燥させてなる、固体状のポリヒドロキシアルカノエート。
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