JP2019094429A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低トルク性及び潤滑長寿命性に優れたグリース組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される基油と、増ちょう剤と、を含有するグリース組成物。下記式(1)中、R1及びR2は、互いに同一の基であり、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、グリース組成物に関する。
近年、省電力・省燃費化の観点から各種産業機械、自動車、情報機器及びエアコン等の家電製品といったあらゆる分野において、エネルギー損失を小さくすることが求められている。そのため、これらの機械部品に使用されるグリースに対しても省電力及び省燃費化に貢献する性能、すなわち、低トルク性が求められている。
また、機械装置の小型軽量化及び機器の高性能化に伴い、グリースの使用環境は高温及び過酷化の傾向にある。そのため、これら機械部品に使用されるグリースに対して、高温下におけるより一層の潤滑長寿命性が求められる。
高温環境下でも軸受寿命が長い軸受用グリースとして、例えば、エステル系合成油である基油を含み、エステル系合成油の含有量が、基油全体の20質量%以上であり、増ちょう剤として特定のジウレア化合物を含むことを特徴とするグリース組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−239706号公報
一般に、グリースを低トルク化するための手段としては、基油成分を低粘度化することが挙げられる。しかし、低粘度の基油は高粘度の基油よりも蒸発しやすく、特に高温下においては潤滑寿命が短くなる傾向がある。
また、特許文献1に記載のグリース組成物では、分子内に3価以上のエステル基を有するエステル系合成油を含むためジエステル系合成油よりも粘度指数が小さく低トルク性に劣る可能性がある。
本発明は、低トルク性及び潤滑長寿命性に優れたグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する基油と、増ちょう剤と、を含有することで、低トルク性及び潤滑長寿命性の双方を向上させることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 下記式(1)で表される基油と、増ちょう剤と、を含有するグリース組成物。
式(1)中、R及びRは、互いに同一の基であり、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。
<2> 前記増ちょう剤は、下記式(2)で表されるジウレア化合物を含有する、<1>に記載のグリース組成物。
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
<3> 前記式(1)中、R及びRは、分岐状の炭素数14〜18の脂肪族炭化水素基を表す<1>又は<2>に記載のグリース組成物。
本発明によれば、低トルク性及び潤滑長寿命性に優れたグリース組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「潤滑長寿命性」とは、グリース組成物に所望される潤滑性能を維持できるグリースの耐久性を意味する。具体的には、グリースを加熱したときに、グリースに含まれる油分の蒸発が少ないほど、潤滑長寿命であると判断することができる。
《グリース組成物》
本発明のグリース組成物は、下記式(1)で表される基油(以下、「特定基油」とも称する場合がある。)と、増ちょう剤と、を少なくとも含有する。
上記式(1)中、R及びRは、互いに同一の基を表し、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。
グリース組成物は、特定構造を有する特定基油と、増ちょう剤と、を少なくとも含有することで、低トルク性及び潤滑長寿命性の双方を向上させることができる。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
本発明のグリース組成物に含有される特定基油は、モノアルコールと、二塩基酸と、のジエステル化により得られる。
特定基油において、モノアルコールに由来する炭化水素を長鎖(上記式(1)中、R及びR)にして、特定基油の分子量を大きくしている。そのため、グリース組成物は、蒸発し難く特性、すなわち耐蒸発性に優れた性能を示す。
一方で、基油の総炭素数が大きくなると、分子量も大きくなるので、トルク性能は悪化する傾向にある。そのため、二塩基酸に由来する炭化水素(上記式(1)中、(CH)n)の総炭化水素数を抑えるためには、(CH)nが短鎖系炭化水素であることが好ましい。しかし、(CH)nの炭化水素が短すぎると基油は蒸発しやすくなり、潤滑寿命を悪化させてしまう可能性がある。そのため、基油は、R及びRの炭素数と(CH)nの炭素数とバランスを調整することが重要となる。
このバランスを発明者らが検討したところ、特定基油において、上記式(1)中R及びRが互いに同一の基であり、R及びRの炭素数を、14〜20に調整し、かつ、(CH)nの炭素数を1〜5に調整することで、トルク性能及び潤滑寿命の双方を向上させることを見出した。
本発明のグリース組成物は、特定基油と、増ちょう剤と、を少なくとも含有することで、低トルク性及び潤滑長寿命性に優れると推察される。
以下、本発明のグリース組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
(1)特定基油
本発明のグリース組成物は、下記式(1)で表される基油(特定基油)を含有する。
上記式(1)中、R及びRは、互いに同一の基であり、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。
特定基油は、上記式(1)中、R及びR並びに(CH)nの炭素数のバランスが調整されているので、低トルク性及び潤滑寿命に優れる。
特定基油は1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
式(1)中、R及びRで表される炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基としては、特に制限はなく、直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族炭化水素基であってもよく、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であってもよい。
低トルク性に優れる観点から、R及びRで表される炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基としては、分岐状の炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
及びRで表される脂肪族炭化水素基が分岐状であると、末端のR及びR部分が立体構造となるので、蒸発し難くなり、低温での流動性にもより優れる傾向がある。
炭素数14〜20の分岐状の飽和脂肪族炭化水素基としては、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1−イソブチル−4−エチルオクチル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、1−メチルペンタデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、1−メチルオクチル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基等が挙げられる。
炭素数14〜20の分岐状の不飽和脂肪族炭化水素基としては、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル(オクタデセニル)基、ノナデセニル基、イコセニル基、テトラデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
低トルク性により優れる観点から、R及びRで表される基は、互いに同一の基を表し、分岐状の炭素数14〜18の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、分岐状の炭素数14〜18の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、分岐状の炭素数16の飽和脂肪族炭化水素基(すなわち、2−ヘキシルデシル基)であることが更に好ましい。
上記式(1)中、nは1〜5の整数を表す。上記式(1)中、(CH)nで表される二塩基酸に由来する炭素数nが1〜5の整数であると、潤滑長寿命性に優れる。
上記観点から、nは、1〜4の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましい。
低トルク性及び潤滑長寿命性の双方を向上させる観点から、上記式(1)中、R及びRは、互いに同一の基であり、分岐の炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基で表されることが好ましく(より好ましくは、分岐状の炭素数14〜18の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは分岐状の炭素数14〜18の飽和脂肪族炭化水素基である)、nは1〜4の整数で表されることが好ましい(より好ましくは、nは2〜4の整数である)。
(40℃動粘度)
特定基油は、40℃動粘度が10mm/s〜100mm/sであることが好ましい。
40℃動粘度が10mm/s以上であると、基油の蒸発が抑制されるので、グリースの潤滑長寿命性をより向上させ得る。また、40℃動粘度が100mm/s以下であると、基油のせん断抵抗が低減されるので、低トルク性をより向上させ得る。
上記観点から、基油の40℃動粘度は、10mm/s〜50mm/sであることがより好ましく、15mm/s〜40mm/sであることがより好ましく、20mm/s〜30mm/sであることが更に好ましい。
特定基油の40℃動粘度は、JIS K 2283:2000動粘度試験方法に基づいて測定した値である。
なお、2種以上の基油を混合して用いる場合、混合した基油の40℃動粘度が上記範囲内であればよく、40℃動粘度が上記範囲外の基油を含んでいてもよい。中でも、混合した基油の40℃動粘度がいずれも上記範囲内であることがより好ましい。
特定基油の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、75質量%〜95質量%であることが好ましく、85質量%〜95質量%であることがより好ましく、85質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
本発明のグリース組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、特定基油以外の基油(以下、「その他の基油」とも称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。
その他の基油は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の基油としては、鉱油であってもよく、合成油であってもよい。
合成油としては、アルキルジフェニルエーテル等のエーテル系合成油、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステル等のエステル系合成油、ポリαオレフィン等の合成炭化水素油、アルキルナフタレン系合成油などが挙げられる。
(2)増ちょう剤
本発明のグリース組成物は、増ちょう剤を含有する。
増ちょう剤としては、特に制限はなく、グリースの混和ちょう度、滴点等グリースの使用環境、温度等を考慮して適宜選定することができる。
増ちょう剤としては、例えば、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、ジウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性に優れる観点から、増ちょう剤としては、ジウレア化合物であることが好ましく、下記式(2)で表されるジウレア化合物であることがより好ましい。
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
ここで、「総炭素数」とは、R及びRが炭素原子を含む置換基を有する基である場合、置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基としては、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有するシクロへキシル基が挙げられる。
上記炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等の環状のアルキル基などが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を有するシクロヘキシル基であることが好ましく、直鎖状または分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を有するシクロヘキシル基であることがより好ましい。
直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基としては、直鎖状の炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましく、直鎖状の炭素数12〜18のアルキル基であることがより好ましい。
分岐状の炭素数6〜20のアルキル基としては、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、メチルオクチル基、エチルヘプチル基等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、分岐状の炭素数6〜20のアルキル基としては、分岐状の炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましく、分岐状の炭素数12〜18のアルキル基であることがより好ましい。
耐熱性の観点から、R及びRとしては、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数12〜20のアルキル基又は無置換のシクロへキシル基であることが好ましく、n−オクタデシル基又は無置換のシクロへキシル基であることがより好ましい。
式(2)中、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
表される炭化水素基としては、脂環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
式(1)中、R表される炭化水素基の炭素数は1〜30であり、耐熱性を向上させる観点から、2〜30であることが好ましく、6〜30であることがより好ましく、6〜25であることが更に好ましく、6〜20であることが特に好ましい。
耐熱性をより向上させる観点から、R表される炭化水素基としては、炭素数6〜30のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数7〜30のアルキレンアリーレン基、炭素数8〜30のアルキレンアリーレンアルキレン基、又は、炭素数13〜30のアリーレンアルキレンアリーレン基が好ましく、ヘキシレン基、デシレン基、オクタデシレン基、フェニレン基、トリレン基又は下記R41で表される基であることがより好ましく、下記R41で表される基であることが更に好ましい。
41中、*は、結合位置を表す。
耐熱性をより向上させる観点から、ジウレア化合物としては、式(2)中、R及びRが、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基であり、かつ、RがR41で表される基であることが好ましく、R及びRが、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数12〜18のアルキル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、Rが、R41で表される基であることがより好ましく、R及びRが、それぞれ独立に、n−オクタデシル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、Rが、R41で表される基であることが更に好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれる式(2)で表されるジウレア化合物において、R及びRが、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基である場合、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基の総モル数に対する、無置換のシクロヘキシル基及び総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基の総モル数の割合(以下、「〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)(モル%)」ともいう。〕は、20モル%〜100モル%であることが好ましく、20モル%〜80モル%であることがより好ましく、30モル%〜70モル%であることが更に好ましい
本発明のグリース組成物に含まれる増ちょう剤は、式(2)中のR及びRの少なくとも一方がシクロへキシル基であり、他方が直鎖状又は分岐状の炭素数12〜18のアルキル基(好ましくはn−オクタデシル基)であり、RがR41で表される基であるジウレア化合物(I)、式(2)中のR及びRの両方が無置換のシクロへキシル基であり、RがR41で表される基であるジウレア化合物(II)、並びに、式(2)中のR及びRの両方が直鎖状又は分岐状の炭素数12〜18のアルキル基(好ましくはn−オクタデシル基)であり、RがR41で表される基であるジウレア化合物(III)のいずれであってもよく、ジウレア化合物(I)〜(III)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、ジウレア化合物の混合物であってもよい。
ジウレア化合物の製造方法は、特に制限されず、通常用いられるジウレア化合物の製造方法から適宜選択することができる。
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネート、シクロヘキシルアミン及びアルキルアミンを原料として用いて、これらの化合物を(好ましくは基油中で)反応させることによって製造することができる。
ジイソシアネートとしては、例えば、上記式(2)中のRで表される炭素数1〜30の炭化水素基と2つのイソシアネート基(−N=C=O基)とが結合した構造の化合物が挙げられる。
ジイソシアネートの具体例としては、へキシレンジイソシアネート、デシレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
アルキルアミンとしては、上記式(2)中のR及びRで表される無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基(−NH)とが結合した構造を有する化合物が挙げられる。
具体例としては、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルアミン(好ましくはオクタデシルアミン)、分岐状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルアミン、無置換のシクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造を有するシクロヘキシルアミン、及び、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルシクロへキシルアミンが挙げられる。
ジウレア化合物の含有量は、目的とする混和ちょう度に合わせて適宜調整できる。
せん断安定性の観点から、ジウレア化合物の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、5質量%〜25質量%であることが好ましい。ジウレア化合物の含有量が、5質量%以上であると、グリースに対してより適度なちょう度を付与することが可能となる。ジウレア化合物の含有量が25質量%以下であると、グリースのちょう度の上昇を抑制する傾向があり、せん断安定性をより維持することが可能である。
上記観点から、ジウレア化合物の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、5質量%〜15質量%であることがより好ましく、5質量%〜13質量%であることが更に好ましい。
(3)添加剤
本発明のグリース組成物は、必要に応じて、特定基油及び増ちょう剤以外の添加剤を適宜配合してもよい。
添加剤としては、摩耗防止剤、酸化防止剤、極圧剤、腐食防止剤、防錆剤等が挙げられる。添加剤は、1種単独であってもよく、又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジウレア化合物との併用により耐熱性が更に向上する傾向がある。耐熱性が更に向上することで、潤滑寿命をより向上させる観点から、添加剤としては、酸化防止剤を含むことが好ましい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート等のフェノール系化合物、ナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類等の芳香族アミン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、潤滑長寿命性の観点から、酸化防止剤としては、芳香族アミン化合物であることが好ましく、フェノール系化合物、ナフチルアミン類又はジアルキルジフェニルアミン類であることがより好ましい。
添加剤の添加量は、適宜選定することができる。例えば、グリース組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の添加量としては、グリース組成物の全質量に対して、0.5質量%〜5質量%であることが好ましく、1質量%〜4質量%であることがより好ましい。
(4)混和ちょう度
本発明のグリース組成物の混和ちょう度としては、好ましくは130〜310、より好ましくは220〜295である。
混和ちょう度が310以下であると離油防止性がより向上し、結果として潤滑長寿命性をより高めることができる。
また、混和ちょう度が130以上であると、低トルク性を更に向上させることができる。
混和ちょう度は、JIS K 2220(2013)ちょう度試験方法に基づいて測定した値である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜6)
基油中に増ちょう剤及び酸化防止剤が均一分散するように3本ロールミル等を用いて混練し、実施例1〜4及び比較例1〜6のグリース組成物を調製した。グリース組成物の各成分及び配合量は表1に示す。
表1に示す略号は以下のとおりである。なお、表1中、「−」は当該成分を含まないことを示す。
基油1;ジエステル基油(式(1)中、R及びRが、分岐状の炭素数16の飽和脂肪族炭化水素基であり、nが3である特定基油、40℃動粘度;24.43mm/s)
基油2;テトラエステル基油((ペンタエリスリトールと直鎖状の炭素数7の脂肪酸及び分岐状の炭素数9の脂肪酸とから得られる化合物、40℃動粘度;31.37mm/s)
基油3;精製鉱油とPAO(ポリαオレフィン)との混合油(40℃動粘度;32.91mm/s)
基油4;ジエステル基油(セバシン酸ジオクチル(DOS)、40℃動粘度;12.82mm/s)
基油5;ジエステル基油(アジピン酸ジオクチル(DOA)、40℃動粘度;8.589mm/s)
基油6;テトラエステル基油(ペンタエリスリトールと炭素数6〜12からなる二塩基酸脂肪酸とから得られる化合物、40℃動粘度;109.7mm/s)
なお、基油1〜基油6の40℃動粘度は、既述の測定方法により求めた値である。
増ちょう剤;ジウレア化合物(上記式(2)において、R並びにRが、シクロヘキシル基及びn−オクタデシル基であり、シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)(モル%)が50%であり、Rが上記R41で表される化合物)
酸化防止剤1;アルキル化ナフチルアミン系酸化防止剤
酸化防止剤2;アルキル化ジフェニルアミン系酸化防止剤
酸化防止剤3;フェノール系酸化防止剤(製品名;Irganox(登録商標) L115、BASF社製)
[評価]
得られたグリース組成物を用いて、低トルク性及び潤滑長寿命性の評価を行った。
<低トルク性>
アンデロンメータ駆動部にプッシャ型トルクセンサ(製品名;ATP−100MN−50N、(株)菅原研究所製)のユニットを装着し、トルク表示器(製品名;ETM−GM04、(株)菅原研究所製)を用いて、下記の測定条件で回転する軸受のロストトルク値を測定した。
測定条件は、軸受:JIS呼び番号6204CM、グリース量:空間容積35%分、アキシャル荷重:20N、回転数:1800rpm、温度:室温とし、回転開始10分経過後の10秒間のトルク平均値をトルク値とした。
トルク値が小さいほど低トルク性に優れ、13.5mN・m以下を低トルク性に優れると判断した。
<潤滑長寿命性>
グリースの潤滑長寿命性は、グリース組成物からの油分蒸発量を測定し評価を行った。
試料容器に上記で得られたグリース組成物を、幅4cm×5cm×高さ2mm量り取り、150℃で24時間加熱した。加熱前後での質量変化量を測定して、油分の蒸発量(質量%)を算出した。
油分の蒸発量(質量%)=(加熱前のグリース組成物の質量−加熱後のグリース組成物の質量)/加熱前のグリース組成物の質量×100
油分の蒸発量が少ないほど潤滑長寿命性に優れ、油分の蒸発量が2.00質量%以下を潤滑長寿命性に優れると判断した。
特定基油と、増ちょう剤と、を含有する実施例1〜実施例4のグリース組成物は、トルク値が小さく、かつ、油分の蒸発量が少ないので、低トルク性及び潤滑長寿命性に優れていた。
一方、特定基油を含まない比較例1〜比較例6のグリース組成物では、実施例に比べてトルク値が大きい、又は、油分の蒸発量が多く、低トルク性及び潤滑長寿命性の双方を満たしていなかった。
本発明のグリース組成物は、低トルク性及び潤滑長寿命性に優れるので、情報機器、エアコン等の家電製品及び各種産業機械、自動車等に好適に使用することができ、特に小型の家電製品等のベアリング用グリースとして適している。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される基油と、増ちょう剤と、を含有するグリース組成物。

    (式(1)中、R及びRは、互いに同一の基であり、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
  2. 前記増ちょう剤は、下記式(2)で表されるジウレア化合物を含有する、請求項1に記載のグリース組成物。

    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  3. 前記式(1)中、R及びRは、分岐状の炭素数14〜18の脂肪族炭化水素基を表す請求項1又は請求項2に記載のグリース組成物。
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