JP2019093763A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トレッド部の接地端近傍に発生する偏摩耗を抑制することができる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部16と、サイドウォール部14と、トレッド部16とサイドウォール部14の間に設けられたバットレス部18と、バットレス部18にタイヤ周方向Sに沿って設けられた凹溝50と、凹溝50の溝底52にタイヤ周方向Sに沿って間隔をあけて設けられた複数の小孔54とを設ける。【選択図】 図3
Description
本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、通常、走行時にトレッド部の接地端近傍において接地圧が高くなるため、接地端近傍の摩耗量が他の部分より大きくなる、偏摩耗が問題となることがある。このような偏摩耗を抑制する方法として、トレッド部とサイドウォール部との間に設けられたバットレス部にタイヤ周方向に沿って延びる凹溝を設けることで、トレッド部の接地端近傍における剛性を低下させて接地圧を低減し、偏摩耗の発生を抑制したタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1及び2)。
接地端近傍の接地圧は、タイヤ幅方向外側から内側に向かって徐々に低下する傾向がある。また、トレッド部に設けられる溝やサイプなどの形状に応じてトレッド部に発生する摩耗形状が異なる。
しかしながら、特許文献1及び2では、接地端近傍の剛性を低下させることができるが、その低下量をタイヤ幅方向において制御することが難しいため、トレッド部の形状に応じて接地圧を均一化することができず、偏摩耗を充分に抑制することができない。
つまり、バットレス部に凹溝を設ける場合、その断面形状を深さ方向奥側に行くほど溝幅が狭くなるように設定することで、凹溝のタイヤ径方向外側に位置するトレッドゴム部分の剛性をタイヤ幅方向に変化させることができる。しかし、タイヤ接地時に凹溝の底部を起点として凹溝のタイヤ径方向外側のトレッドゴム部分全体が撓んでしまい、タイヤ幅方向において剛性を制御することが難しく、接地端近傍に発生する偏摩耗を充分に抑制することができない。
そこで、バットレス部に凹溝を備えた空気入りタイヤにおいて、トレッド部の接地端近傍に発生する偏摩耗を抑制することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部と、サイドウォール部と、前記トレッド部と前記サイドウォール部の間に設けられたバットレス部と、前記バットレス部にタイヤ周方向に沿って設けられた凹溝と、前記凹溝の溝底にタイヤ周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の小孔とを備える。
本発明の好ましい態様において、前記小孔は深さ方向奥側ほど断面積が小さくなってもよい。
本発明の他の好ましい態様において、前記小孔の断面形状が円形であってもよい。
本発明の他の好ましい態様において、前記小孔の深さ方向は、タイヤ赤道面に垂直な方向に対して傾斜角度が±30°以下であってもよい。
本実施形態によれば、トレッド部の接地端近傍に発生する偏摩耗を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ10を、タイヤ軸を含む子午線断面で切断した右側半断面の斜視図である。なお、空気入りタイヤ10は、左右対称のタイヤであるため、左側半分の図示を省略している。
図1の空気入りタイヤ10は、左右一対のビード部12と、ビード部12から半径方向外方に延びる左右一対のサイドウォール部14と、トレッド面を構成するトレッド部16と、トレッド部16のタイヤ径方向内側に配置された左右一対のバットレス部18とを備えてなる。ここで、バットレス部18は、トレッド部16とサイドウォール部14との境界領域であり、トレッド部16とサイドウォール部14との間を繋ぐように設けられている。
空気入りタイヤ10は、一対のビード部12間にトロイダル状に架け渡して設けられたカーカスプライ20を備える。一対のビード部12には、それぞれリング状のビードコア22が埋設されている。
カーカスプライ20は、トレッド部16からバットレス部18及びサイドウォール部14を経て、ビード部12にてビードコア22により係止されており、上記各部12,14,16,18を補強する。カーカスプライ20は、この例では、両端部がビードコア22の周りをタイヤ幅方向内側から外側に折り返すことにより係止されている。カーカスプライ20の内側には、空気圧を保持するためのインナーライナー24が配設されている。
カーカスプライ20は、有機繊維コードをタイヤ周方向Sに対して所定の角度(例えば、70°〜90°)で配列し、トッピングゴムで被覆してなる少なくとも1枚のプライからなり、この例では1プライで構成されている。カーカスプライ20を構成するコードとしては、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維コードが好ましく用いられる。
サイドウォール部14においてカーカスプライ20の外側(即ち、タイヤ外面側)にはサイドウォールゴム32が設けられている。また、ビード部12において、ビードコア22の外周側には、タイヤ半径方向外側に向かって先細状に延びる硬質ゴム材よりなるビードフィラー34が配されている。
トレッド部16におけるカーカスプライ20の外周側にはベルト26が配設されている。すなわち、ベルト26は、トレッド部16においてカーカスプライ20とトレッドゴム28との間に設けられている。ベルト26は、ベルトコードをタイヤ周方向Sに対して所定の角度(例えば、10°〜35°)で配列した、複数枚の交差ベルトプライからなる。ベルトコードとしては、スチールコードや高張力を有する有機繊維コードが用いられる。
ベルト26は、この例では、最もタイヤ径方向内側Riに位置する第1ベルト26Aと、その外周側に順番に積層された第2ベルト26B、第3ベルト26C及び第4ベルト26Dの4層構造であり、第2ベルト26Bが、最も幅の広い最大幅ベルトである。
トレッド部16の表面には、タイヤ周方向Sに沿って延びる4本の主溝36が設けられている。具体的には、主溝36は、タイヤ赤道面CLを挟んで両側に配された一対のセンター主溝36Aと、一対のセンター主溝36Aのタイヤ幅方向外側Woに設けられた一対のショルダー主溝36Bとから構成されている。タイヤ幅方向外側Woとは、タイヤ幅方向Wにおいてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。
上記の4本の主溝36により、トレッド部16には、2本のセンター主溝36Aの間に中央陸部38が形成され、センター主溝36Aとショルダー主溝36Bとの間に中間陸部40が形成され、2本のショルダー主溝36Bのタイヤ幅方向外側Woにショルダー陸部42が形成されている。
この例では、中央陸部38、中間陸部40、及びショルダー陸部42は、タイヤ周方向Sに連続したリブからなる。なお、中央陸部38、中間陸部40及びショルダー陸部42は、横溝によりタイヤ周方向Sに分断されたブロック列であってもよい。
ショルダー陸部42のトレッド面のタイヤ幅方向外側端は、トレッド接地端Eをなしており、タイヤ径方向内方へ延びタイヤ側面上部を構成するバットレス部18が接続されている。
そして、図1〜図4に示すように、バットレス部18には、凹溝50と小孔54が設けられている。
詳細には、凹溝50は、タイヤ周方向S全周にわたって一続きに設けられた環状の凹部である。本実施形態では、凹溝50は、深さ方向奥側へ行くほどタイヤ径方向内方Riへ向かうように、タイヤ赤道面CLに垂直な方向Lに対して傾斜した方向mへ窪んでいる(図4参照)。また、凹溝50は、バットレス部18の開口部から溝底部52までほぼ一定の溝幅となっている。
凹溝50の溝底部52は、深さ方向mに対して略垂直な面を有している。この溝底部52には、周方向Sに沿って間隔をあけて複数の小孔54が設けられている。
小孔54は、凹溝50の深さ方向mと同一方向nへ窪んだ(つまり、深さ方向が一致した)凹部であり、その断面形状が円形をなしている。小孔54は、深さ方向nの奥側ほど断面積が小さくなるように先細になっている。
なお、凹溝50の深さ方向m及び小孔54の深さ方向nは、タイヤ赤道面CLに垂直な方向Lに対して傾斜角度θが±30°以下であることが好ましい。
ショルダー陸部42のトレッド面から凹溝50のタイヤ径方向外側端(つまり、凹溝50がバットレス部18に開口する開口端のタイヤ径方向外側)までの距離d2を、ショルダー主溝36Bの溝深さd1の70%以上100%以下に設定することができる。ショルダー陸部42のトレッド面から小孔54の底部54aまでの距離d3を、ショルダー主溝36Bの溝深さd1より大きく設定することができる。また、凹溝50及び小孔54は、ベルト26よりタイヤ径方向外方Roに配置することができる。
小孔54のタイヤ周方向Sの間隔Dは小孔54の直径Rの200%以上400%以下に設定することができ、小孔54の深さd5は凹溝50の深さd4の20%以上100%以下に設定することができる。
なお、本明細書における上記各寸法は、特に言及した場合を除いて、空気入りタイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。また、本明細書において、接地端とは、空気タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した状態で平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えた正規荷重状態において、路面に接地するトレッド面のタイヤ幅方向端部のことである。
正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば"Design Rim"、ETRTOであれば"MeasuringRim"となる。正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE"であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。また、正規荷重とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY"であるが、タイヤが乗用車用である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
以上のような本実施形態の空気入りタイヤ10では、バットレス部18にタイヤ周方向Sに沿って設けられた凹溝50と、凹溝50の溝底部52にタイヤ周方向Sに沿って間隔をあけて設けられた複数の小孔54とを備えるため、凹溝50に対応する位置において剛性を大きく低下させることができるとともに、小孔54に対応する位置において剛性を緩やかに低下させることができる。そのため、ショルダー陸部42の接地端E近傍における剛性低下量をタイヤ幅方向外側Woから内側Wiへ緩やかに減少させることができ、接地端E近傍に発生する偏摩耗を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、バットレス部18に設けられた凹溝50及び小孔54によって走行時に生じる熱を効率的に放熱することができ、高速走行時における耐久性などを向上させることができる。
また、凹溝50の溝底52に設けられた小孔54は、深さ方向nの奥側に行くほど断面積が小さくなるように先細になっているため、小孔54に対応する位置においてタイヤ幅方向外側Woから内側Wiへ剛性を徐々に減少させることができ、より一層、接地端E近傍に発生する偏摩耗を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態において、小孔54の断面形状が円形であるため、小孔54の周囲の所定方向に応力が集中することがなく小孔54の周囲全体に分散され、クラックの発生を抑えることができる。
また、本実施形態において、凹溝50の深さ方向m及び小孔54の深さ方向nを、タイヤ赤道面CLに垂直な方向Lに対して傾斜角度θが±30°以下に設定することで、加硫成型されたタイヤを脱型する際に、凹溝50及び小孔54を成型した突起を抜き取りやすくなり、脱型時に凹溝50及び小孔54の周りに発生する欠けを抑えることができる。
(変更例)
上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、図5に示すように、凹溝50の深さ方向mに対して小孔54の深さ方向nをタイヤ径方向外方Roへ向けて屈曲させ、小孔54の深さ方向nを凹溝50の深さ方向mと異ならせてもよい。その場合も上記した効果に加え、凹溝50に対して小孔54がタイヤ径方向外方Roへ屈曲することで、タイヤ赤道面CLに垂直な方向Lに対する小孔54の深さ方向mの角度が小さくなり、加硫成型されたタイヤを脱型する際に、特に欠けが発生しやすい小孔54においてカケを抑えることができる。
また、図6に示すように、凹溝50の深さ方向mに対して小孔54の深さ方向nをタイヤ径方向内方Riへ向けて屈曲させ、小孔54の深さ方向nを凹溝50の深さ方向mと異ならせてもよい。その場合も上記した効果に加え、凹溝50に対して小孔54がタイヤ径方向内方Riへ屈曲することで、凹溝50よりタイヤ径方向内方Riへ小孔54を配置することができるため、タイヤ摩耗末期まで接地端E近傍における接地圧を均一化することができる。
10…空気入りタイヤ、12…ビード部、14…サイドウォール部、16…トレッド部、18…バットレス部、20…カーカスプライ、22…ビードコア、24…インナーライナー、26…ベルト、28…トレッドゴム、36…主溝、36A…センター主溝、36B…ショルダー主溝、38…中央陸部、40…中間陸部、42…ショルダー陸部、50…凹溝、52…溝底部、54…小孔
Claims (4)
- トレッド部と、サイドウォール部と、前記トレッド部と前記サイドウォール部の間に設けられたバットレス部と、前記バットレス部にタイヤ周方向に沿って設けられた凹溝と、前記凹溝の溝底にタイヤ周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の小孔とを備える空気入りタイヤ。
- 前記小孔は深さ方向奥側ほど断面積が小さくなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記小孔の断面形状が円形である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記小孔の深さ方向は、タイヤ赤道面に垂直な方向に対して傾斜角度が±30°以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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