以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の第1A実施形態に基づく半導体装置が用いられた実装構造を示す断面図である。
図1に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101Aと、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101Aは、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101Aは、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101Aは、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの電源制御等の用途に用いられる。
図2は、本発明の第1A実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図3は、本発明の第1A実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図4の要部拡大断面図である。なお、図1は、図2のI−I線に沿う断面に相当する。図4においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101Aは、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図2においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図3、図4に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図4によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751、凹部側面752、および凹部溝753を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。凹部側面752は、樹脂底面72につながる。凹部側面752は、おおむね方向zに沿っている。
凹部溝753は、凹部底面751と凹部側面752との間に位置しており、本実施形態においては、凹部75のz方向視外縁に沿って矩形環状に配置されている。図5に示すように、凹部溝753は、凹部底面751からz1方向に凹んでいる。本実施形態においては、凹部溝753は、z方向視において金属層65の外側に配置されている。また、凹部溝753は、凹部底面751からx方向において離間するほどz1方向に位置するように傾斜している。凹部溝753の最深部の深さは、たとえば50μm程度である。
図2に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図2〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図2の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図1、図2、図4参照)と、接続部12(図1、図2参照)と、ワイヤボンディング部13(図1、図2参照)と、リード14(図1〜図3参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図4に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、接合層991が介在している。接合層991は、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえばハンダもしくは銀ペーストである。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層991としてハンダを用いると、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間には接合層991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置していてもよい。
図2に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図1に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図1、図2に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図1に示すように、半導体装置101Aの基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。
図2に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード24は挿入実装用のものである。図示しないが、リード14と同様に、半導体装置101Aの基板807への実装時においてリード24は孔809に挿入される。
図1、図2に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード32は挿入実装用のものである。図1に示すように、半導体装置101Aの基板807への実装時においてリード32は孔809に挿入される。リード14に関して述べたように、リード32を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。一のリード32と一の半導体チップ42とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。
放熱層6は、図4に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。放熱層6は、凹部側面752に囲まれている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。本実施形態においては、放熱層6は、金属層65および接合層66からなる。金属層65は、z2方向側にあり、たとえば厚さが105μm程度のCuやアルミニウムやセラミックスからなる。接合層66は、金属層65に対してz1方向側にあり、金属層65を複数のダイパッド部11のダイパッド裏面112に接合する機能を果たす。接合層66は、たとえば絶縁性の樹脂からなり、その厚さがたとえば250μm程度である。この樹脂は、半導体装置101Aの製造工程において、圧力および振動を加えられることにより軟化する材質である。接合層66は、半導体チップ41が搭載される複数のダイパッド部11のいずれにも直接接している。金属層65は、樹脂底面72から若干突出している部位を有してもよい。図5に示すように、接合層66の一部は、凹部溝753を埋めている。また、接合層66は、凹部側面752に接している。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Aの外部に放出するために、設けられている。半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Aの外部に放出するには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良いが、封止樹脂部7と熱膨張係数が大きく異なると、金属層65が剥離し易くなる等の問題を生じるおそれがある。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きく、熱膨張係数が封止樹脂部7に近い材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図3に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
図3、図4に示すように、放熱層6は放熱層主面61と放熱層裏面62とを有する。放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層主面61は、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。
次に、半導体装置101Aの製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図6に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップ41を複数のダイパッド部11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップ42および受動部品チップ43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤ8を各半導体チップ41,42等にボンディングする。
次に、図7、図8に示すように、封止樹脂部7を形成する。図7に示すように、封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。同図に示すように、金型881で複数のダイパッド部11などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図8に示すように、金型881を複数のダイパッド部11などから取り外す。これにより、封止樹脂部7を形成できる。封止樹脂部7を形成する工程においては、複数のダイパッド部11を露出させる凹部75を封止樹脂部7に形成する。
次に、図9に示すように、封止樹脂部7の凹部75に放熱層6をはめ込む。そして、放熱層6に圧力および振動を加える。さらに、放熱層6を加熱してもよい。これらの加圧、加振、加熱により、放熱層6の接合層66が軟化する。軟化した接合層66は、凹部75内を移動し、その一部が凹部溝753に充填される。また接合層66は、凹部側面752に接する。
次に、図6に示したリードフレーム300を適宜切断することにより、図2等に示した半導体装置101Aが製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置101Aにおいて、接合層66の一部が凹部溝753を埋めている。この埋めている分だけ、半導体装置101Aの製造工程において、凹部75から接合層66があふれることを抑制することができる。したがって、接合層66が金属層65よりも外側にあふれ出すことによって放熱層6と放熱部材808との間に隙間が生じることを阻止可能であり、半導体チップ41,42からの熱を効率よく放熱することができる。
凹部溝753を金属層65の外側に配置することにより、金属層65と凹部溝753との間に意図しない空隙が生じることを防止することができる。空隙を排除することは、放熱をより高め、且つ、金属層65の剥離を生じ難くするのに適している。
凹部溝753をテーパ形状とすることにより、金属層65のx方向またはy方向位置が万が一ずれても、z方向視において金属層65と重なる凹部溝753の容積を縮小することが可能である。これは、上述した空隙の排除に好ましい。
図10および図11は、本発明の第2A実施形態に基づく半導体装置を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態の半導体装置102Aにおいては、凹部75の構成が上述した半導体装置101Aと異なっている。
本実施形態においては、凹部75は、複数の凹部溝753を有しており、さらに複数ずつの凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756を有している。図10に示すように、複数の凹部溝753と複数ずつの凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756とは、凹部75の外縁に沿って交互に配置されている。凹部75の四隅に相当する部分には、凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756が配置されている。
図11に示すように、凹部第1側面754は、樹脂底面72に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。凹部第1側面754は、z方向視においてダイパッド部11の外側に位置している。凹部第2側面755は、凹部底面751に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。凹部第2側面755は、z方向視においてダイパッド部11と凹部第1側面754との間に位置している。凹部支持面756は、凹部第1側面754と凹部第2側面755とを繋いでおり、おおむねz2方向を向いている。
本実施形態においては、凹部第2側面755に囲まれた領域は、接合層66によって埋められている。また、金属層65と凹部支持面756との間に、接合層66の一部が介在している。
半導体装置102Aにおいては、半導体装置101Aによって奏される効果に加えて、凹部支持面756によって金属層65が少なくとも間接的に支持されることとなる。このため、金属層65が樹脂底面72に対して不当に傾いてしまったり、凹んでしまうことを防止することが可能である。したがって、金属層65に対し密着させるように取り付けられる放熱部材808との間に隙間が生じることを抑制可能であり、半導体チップ41,42からの放熱を高めることができる。
金属層65と凹部支持面756との間に接合層66を介在させることにより、金属層65を封止樹脂部7に対して確実に固定することができる。金属層65の端部に接合層66がいきわたっていないと、その部分から金属層65の剥離が伝播するおそれがある。本実施形態においては、そのようなおそれは少ない。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、封止樹脂の裏面から金属層が露出している半導体装置で有れば、挿入実装ではなく、表面実装用の端子の場合も同様に使用できる。また、上述したIPM装置だけでなく、半導体チップとアイランドとがそれぞれ1つしかなく、封止樹脂の裏面から金属層が露出している駆動素子を封止する半導体装置にも適用できる。
図12は、本発明の第1B実施形態に基づく半導体装置が用いられた実装構造を示す断面図である。
図12に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101Bと、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101Bは、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101Bは、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101Bは、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの電源制御等の用途に用いられる。
図13は、本発明の第1B実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図14は、本発明の第1B実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図15は、図13のXV−XV線に沿う断面図である。図16は、図15の要部拡大断面図である。なお、図12は、図13のXII−XII線に沿う断面に相当する。図15においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101Bは、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図13においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図14、図15に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図15によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751、凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。凹部側面752は、樹脂底面72につながる。
図16に示すように、凹部第1側面754は、樹脂底面72に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。凹部第1側面754は、z方向視においてダイパッド部11の外側に位置している。凹部第2側面755は、凹部底面751に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。凹部第2側面755は、z方向視においてダイパッド部11と凹部第1側面754との間に位置している。凹部支持面756は、凹部第1側面754と凹部第2側面755とを繋いでおり、おおむねz2方向を向いている。
図13に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図13〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図13の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図12、図13、図15参照)と、接続部12(図12、図13参照)と、ワイヤボンディング部13(図12、図13参照)と、リード14(図12〜図14参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図15に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、接合層991が介在している。接合層991は、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえばハンダもしくは銀ペーストである。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層991としてハンダを用いると、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間には接合層991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置していてもよい。
図13に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図12に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図12、図13に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図12に示すように、半導体装置101Bの基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。
図13に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード24は挿入実装用のものである。図示しないが、リード14と同様に、半導体装置101Bの基板807への実装時においてリード24は孔809に挿入される。
図12、図13に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード32は挿入実装用のものである。図12に示すように、半導体装置101Bの基板807への実装時においてリード32は孔809に挿入される。リード14に関して述べたように、リード32を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。一のリード32と一の半導体チップ42とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。
放熱層6は、図15に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。放熱層6は、凹部第1側面754および凹部第2側面755に囲まれている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。本実施形態においては、放熱層6は、金属層65および接合層66からなる。金属層65は、z2方向側にあり、たとえば厚さが105μm程度のCuやアルミニウムやセラミックスからなる。金属層65は、本発明でいう放熱副層の一例に相当する。接合層66は、金属層65に対してz1方向側にあり、金属層65を複数のダイパッド部11のダイパッド裏面112に接合する機能を果たす。接合層66は、たとえば絶縁性の樹脂からなり、その厚さがたとえば250μm程度である。この樹脂は、半導体装置101Bの製造工程において、圧力および振動を加えられることにより軟化する材質である。接合層66は、半導体チップ41が搭載される複数のダイパッド部11のいずれにも直接接している。金属層65は、樹脂底面72から若干突出している部位を有してもよい。図16に示すように、接合層66の一部は、凹部第2側面755によって囲まれた領域を埋めている。また、本実施形態においては、接合層66の一部が凹部支持面756と金属層65との間に介在している。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Bの外部に放出するために、設けられている。半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Bの外部に放出するには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良いが、封止樹脂部7と熱膨張係数が大きく異なると、金属層65の剥離し易くなる等の問題を生じるおそれがある。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きく、熱膨張係数が封止樹脂部7に近い材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図14に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
図14、図15に示すように、放熱層6は放熱層主面61と放熱層裏面62とを有する。放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層主面61は、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。
次に、半導体装置101Bの製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図17に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップ41を複数のダイパッド部11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップ42および受動部品チップ43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤ8を各半導体チップ41,42等にボンディングする。
次に、図18、図19に示すように、封止樹脂部7を形成する。図18に示すように、封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。同図に示すように、金型881で複数のダイパッド部11などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図19に示すように、金型881を複数のダイパッド部11などから取り外す。これにより、封止樹脂部7を形成できる。封止樹脂部7を形成する工程においては、複数のダイパッド部11を露出させる凹部75を封止樹脂部7に形成する。
次に、図20に示すように、封止樹脂部7の凹部75に放熱層6をはめ込む。そして、放熱層6に圧力および振動を加える。さらに、放熱層6を加熱してもよい。これらの加圧、加振、加熱により、放熱層6の接合層66が軟化する。軟化した接合層66は、凹部75内を移動し、その一部が凹部第2側面755に囲まれた領域に充填される。また接合層66の一部が、凹部支持面756と金属層65との間に入り込む。
次に、図17に示したリードフレーム300を適宜切断することにより、図13等に示した半導体装置101Bが製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置101Bにおいては、凹部支持面756によって金属層65が少なくとも間接的に支持されることとなる。このため、金属層65が樹脂底面72に対して不当に傾いてしまったり、凹んでしまうことを防止することが可能である。したがって、接合層66が金属層65よりも外側にあふれ出すことによって金属層65と放熱部材808との間に隙間が生じることを抑制可能であり、半導体チップ41,42からの放熱を高め、且つ、金属層65の剥離を生じ難くすることができる。
金属層65と凹部支持面756との間に接合層66を介在させることにより、金属層65を封止樹脂部7に対して確実に固定することができる。金属層65の端部に接合層66がいきわたっていないと、その部分から金属層65の剥離が伝播するおそれがある。本実施形態においては、そのようなおそれは少ない。
図21および図22は、本発明の第2B実施形態に基づく半導体装置を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態の半導体装置102Bにおいては、凹部75の構成が上述した半導体装置101Bと異なっている。
本実施形態においては、凹部75は、複数ずつの凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756を有しており、さらに複数ずつの凹部側面752および凹部溝753を有している。図21に示すように、複数の凹部溝753と複数ずつの凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756とは、凹部75の外縁に沿って交互に配置されている。凹部75の四隅に相当する部分には、凹部第1側面754、凹部第2側面755、および凹部支持面756が配置されている。
図22に示すように、凹部溝753は、凹部底面751と凹部側面752との間に位置しており、本実施形態においては、凹部75のz方向視外縁に沿って矩形環状に配置されている。図22、に示すように、凹部溝753は、凹部底面751からz1方向に凹んでいる。本実施形態においては、凹部溝753は、凹部底面751からx方向において離間するほどz1方向に位置するように傾斜している。凹部溝753の最深部の深さは、たとえば50μm程度である。
本実施形態においては、接合層66の一部は、凹部溝753を埋めている。また、接合層66は、凹部側面752に接している。
半導体装置102Bにおいては、半導体装置101Bによって奏される効果に加えて、接合層66の一部が凹部溝753を埋めている。この埋めている分だけ、半導体装置101Bの製造工程において、凹部75から接合層66があふれることを抑制することができる。したがって、放熱層6に対し密着させるように取り付けられる放熱部材808との間に隙間が生じることを阻止可能であり、半導体チップ41,42からの熱を効率よく放熱することができる。
凹部溝753を金属層65の外側に配置することにより、金属層65と凹部溝753との間に意図しない空隙が生じることを防止することができる。空隙を排除することは、放熱をより高めるのに適している。
凹部溝753をテーパ形状とすることにより、金属層65のx方向またはy方向位置が万が一ずれても、z方向視において金属層65と重なる凹部溝753の容積を縮小することが可能である。これは、上述した空隙の排除に好ましい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、封止樹脂の裏面から金属層が露出している半導体装置で有れば、挿入実装ではなく、表面実装用の端子の場合も同様に使用できる。また、上述したIPM装置だけでなく、半導体チップとアイランドとがそれぞれ1つしかなく、封止樹脂の裏面から金属層が露出している駆動素子を封止する半導体装置にも適用できる。
〔付記1〕
互いに反対方向を向く主面および裏面を有するダイパッド部と、
上記ダイパッド部の上記主面に搭載された半導体チップと、
樹脂底面から凹んでいるとともに上記ダイパッド部の上記裏面を露出させる凹部が形成され、且つ、上記ダイパッド部および上記半導体チップを覆う封止樹脂部と、
上記凹部に配置された放熱層と、を備え、
上記凹部は、上記裏面が広がる方向において上記ダイパッド部よりも外側に位置し、上記樹脂底面に繋がる第1側面、上記第1側面に繋がり、上記裏面が向く方向を向く支持面、上記支持面に繋がり、上記裏面が広がる方向において上記ダイパッド部と上記第1側面との間に位置する第2側面、を有しており、
上記放熱層は、上記裏面が広がる方向において少なくとも一部が上記第1側面と上記第2側面との間に位置する外縁を有し、上記ダイパッド部の厚さ方向において上記第1側面と重なる放熱層、および上記放熱層と上記ダイパッド部との間に介在する接合層、を有することを特徴とする、半導体装置。
〔付記2〕
上記放熱層は、金属からなる、付記1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
上記金属は、Cuである、付記2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
上記接合層は、樹脂からなる、付記2または3に記載の半導体装置。
〔付記5〕
上記支持面と上記放熱層との間に、上記接合層の一部が介在する、付記4に記載の半導体装置。
〔付記6〕
上記凹部は、上記裏面が広がる方向において上記ダイパッド部よりも外側に位置し、且つ、上記裏面よりも上記主面側に位置する部分を有する溝を有しており、
上記接合層は、一部が上記溝に充填されている、付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7〕
上記放熱層の一部は、その厚さ方向において上記凹部から突出している、付記6に記載の半導体装置。
〔付記8〕
上記溝は、上記裏面が広がる方向において上記放熱層に対して外側に位置する、付記6または7に記載の半導体装置。
〔付記9〕
上記凹部は、上記放熱層と上記溝との間に位置する部分を有する凹部底面を有する、付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
上記溝は、上記裏面が広がる方向において上記ダイパッド部から離間するほど、上記ダイパッド部の厚さ方向において上記裏面側から上記主面側に位置するように傾斜している、付記6ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記11〕
互いに反対方向を向く主面および裏面を有する複数のダイパッド部と、
上記複数のダイパッド部の上記主面に各別に搭載された複数の半導体チップと、
樹脂底面から凹んでいるとともに上記ダイパッド部の内の少なくとも一部の上記各裏面を共通に露出させる凹部が形成され、且つ、上記各ダイパッド部および上記各半導体チップを共通に覆う封止樹脂部と、
上記凹部に配置された放熱層と、を備え、
上記凹部は、上記裏面側において上記各ダイパッド部よりも外側に位置し、上記樹脂底面に繋がる第1側面、上記第1側面に繋がり、上記裏面が向く方向を向く支持面、上記支持面に繋がり、上記裏面が広がる方向において上記ダイパッド部と上記第1側面との間に位置する第2側面、を有しており、
上記放熱層は、上記裏面が広がる方向において少なくとも一部が上記第1側面と上記第2側面との間に位置する外縁を有し、上記ダイパッド部の厚さ方向において上記第1側面と重なる放熱層、および上記放熱層と上記各ダイパッド部との間に介在する接合層、を有することを特徴とする、半導体装置。
図23は、本発明の第1C実施形態に基づく半導体装置が用いられた実装構造を示す断面図である。
図23に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101Cと、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101Cは、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101Cは、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101Cは、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの電源制御等の用途に用いられる。
図24は、本発明の第1C実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図25は、本発明の第1C実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図26は、図24のIIVI−IIVI線に沿う断面図である。図27は、図26の要部拡大断面図である。なお、図23は、図24のXXIII−XXIII線に沿う断面に相当する。図26においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101Cは、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図24においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図25、図26に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図26によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。
図24に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図24〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図24の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図23、図24、図26参照)と、接続部12(図23、図24参照)と、ワイヤボンディング部13(図23、図24参照)と、リード14(図23〜図25参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図26に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、接合層991が介在している。接合層991は、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえばハンダもしくは銀ペーストである。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層991としてハンダを用いると、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間には接合層991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置して
いてもよい。
図24に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図23に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図23、図24に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図23に示すように、半導体装置101Cの基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。
図24に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード24は挿入実装用のものである。図示しないが、リード14と同様に、半導体装置101Cの基板807への実装時においてリード24は孔809に挿入される。
図23、図24に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード32は挿入実装用のものである。図23に示すように、半導体装置101Cの基板807への実装時においてリード32は孔809に挿入される。リード14に関して述べたように、リード32を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。一のリード32と一の半導体チップ42とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。なお、制御用の半導体チップ42や受動部品チップ43に繋がるワイヤは、ワイヤ8よりも細く柔らかいアルミニウムや金の細線を用いることが多い。
放熱層6は、図26に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。本実施形態においては、放熱層6は、セラミックスやCuやアルミニウムからなる。放熱層6は、放熱層主面61、放熱層裏面62、第1側面631、中間面632、および第2側面633を有する。
放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。放熱層6の放熱層主面61は、複数のダイパッド部11のダイパッド裏面112に対して接合層69によって接合されている。接合層69は、たとえば樹脂からなる。
図26および図27に示すように、第1側面631は、放熱層裏面62に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。第1側面631は、z方向視においてダイパッド部11の外側に位置している。第2側面633は、放熱層主面61に繋がっており、おおむねz方向に沿っている。第2側面633は、z方向視においてダイパッド部11と第1側面631との間に位置している。中間面632は、第1側面631と第2側面633とを繋いでおり、おおむねz2方向を向いている。本願が意図する効果を奏するには、第1側面631のz方向寸法が第2側面633のz方向寸法よりも大であることが好ましい。
第1側面631、中間面632、および第2側面633は、いずれも封止樹脂部7に接している。また、放熱層裏面62は、封止樹脂部7の樹脂底面72と面一とされている。また、図27に示すように、第1側面631と中間面632とは、第1角部634を構成している。中間面632と第2側面633とは、第2角部645を構成している。本実施形態においては、第1角部634および第2角部645は、いずれも直角であるが、面取りされていても構わない。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Cの外部に放出するために、設けられている。そのためには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良いが、封止樹脂部7と熱膨張係数が大きく異なると、放熱層6の剥離し易くなる等の問題を生じるおそれがある。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きく、熱膨張係数が封止樹脂部7に近い材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図25に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
次に、半導体装置101Cの製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図28に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップ41を複数のダイパッド部11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップ42および受動部品チップ43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤ8を各半導体チップ41,42等にボンディングする。
次に、図29に示すように、封止樹脂部7を形成する。この封止樹脂部7の形成に先立ち、複数のダイパッド部11に放熱層6を接合層69によって接合しておく。放熱層6の形成は、たとえばセラミックスからなる板状材料に対して比較的幅が広いブレードを用いて溝を形成する。次いで、比較的幅が狭いブレードを用いて上記溝の中央を分断するように、上記板状材料を切断する。これにより、第1側面631、中間面632、および第2側面633を有する放熱層6を形成することができる。
封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。図29に示すように、金型881で放熱層6などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、封止樹脂部7が得られる。
次に、図28に示したリードフレーム300を適宜切断することにより、図24等に示した半導体装置101Cが製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置101Cにおいては、放熱層6と樹脂底面72との間に剥離が生じても、その剥離の進行が第1側面631内でとどまり、中間面632以降には進展しにくい。このため、剥離の発生後においても、少なくも第2側面633が放熱層6と封止樹脂部7との接合に寄与しうる。したがって、放熱層6と封止樹脂部7との間に放熱層主面61に至るような過大な隙間が生じてしまうことを抑制することができる。
直角に形成された第1角部634は、剥離の進展を阻止するのに適している。さらに、第1角部634の奥方に直角に形成された第2角部645を設けることにより、剥離の進展をより確実に阻止することができる。
第1側面631のz方向寸法(深さ)を第2側面633のz方向寸法(深さ)よりも大としておくことは、剥離が中間面632に到達しにくくすることに寄与し、剥離の進展防止に有利である。
図30および図31は、本発明の第2C実施形態に基づく半導体装置を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態の半導体装置102Cにおいては、放熱層6の構成が上述した半導体装置101Cと異なっている。
本実施形態においては、放熱層6は、複数の溝611を有している。複数の溝611は、放熱層主面61に形成されている。複数の溝611は、y方向に沿って延びており、互いに等ピッチで配置されている。各溝611は、断面矩形状である。複数の溝611のいずれかには、接合層69の一部が入り込んでいる。また、複数の溝611のいずれかには、封止樹脂部7の一部が入り込んでいる。
複数の溝611は、上述した放熱層6の形成工程において形成される。たとえば、上記板状材料を切断する前に、複数の平行なブレードやレーザを用いて、上記板状材料に複数の平行な溝を形成する。これらの溝が、放熱層6の複数の溝611となる。
半導体装置102Cにおいては、半導体装置101Cによって奏される効果を奏し得る。また、複数の溝611が形成されていることにより、溝611に接合層69の一部や封止樹脂部7の一部が入り込む格好となっている。これは、放熱層6と接合層69との接合強度や放熱層6と封止樹脂部7との接合強度を高める、いわゆるアンカー効果が期待できる。溝611の断面形状を矩形状とすることは、アンカー効果を高めるのに適している。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、封止樹脂の裏面から放熱層が露出している半導体装置で有れば、挿入実装ではなく、表面実装用の端子の場合も同様に使用できる。また、上述したIPM装置だけでなく、半導体チップとアイランドとがそれぞれ1つしかなく、封止樹脂の裏面から放熱層が露出している駆動素子を封止する半導体装置にも適用できる。
〔付記1〕
互いに反対方向を向くダイパッド主面およびダイパッド裏面を有するダイパッド部と、
上記ダイパッド主面に搭載された半導体チップと、
底面から凹んでいるとともに上記ダイパッド裏面を露出させる凹部が形成され、且つ、
上記ダイパッド部および上記半導体チップを覆う封止樹脂部と、
上記凹部に配置され、上記ダイパッド裏面に対面する放熱層主面およびこの放熱層主面とは反対側にある放熱層裏面を有し、且つ、上記ダイパッド部に接合された放熱層と、を備え、
上記放熱層は、上記ダイパッド裏面が広がる方向において上記ダイパッド部よりも外側に位置し、上記放熱層裏面に繋がる第1側面、上記第1側面に繋がり、上記放熱層主面が向く方向を向く中間面、上記中間面に繋がり、上記ダイパッド裏面が広がる方向において上記ダイパッド部と上記第1側面との間に位置する第2側面、を有することを特徴とする、半導体装置。
〔付記2〕
上記放熱層は、セラミックスからなる、付記1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
上記第1側面、上記中間面、および上記第2側面は、上記封止樹脂部に接している、付記1または2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
上記放熱層の上記放熱層裏面は、上記封止樹脂部の上記底面と面一とされている、付記3に記載の半導体装置。
〔付記5〕
上記第1側面と上記中間面とは、第1角部を形成している、付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記6〕
上記中間面と上記第2側面とは、第2角部を形成している、付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7〕
上記第1角部および第2角部の少なくともいずれかは、直角である、付記6に記載の半導体装置。
〔付記8〕
上記第1側面の上記放熱層の厚さ方向寸法は、上記第2側面の上記放熱層の厚さ方向寸法よりも大である、付記1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9〕
上記放熱層と上記ダイパッド部とは、接合層を介して接合されている、1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記10〕
上記放熱層の上記放熱層主面には、上記放熱層の厚さ方向に対して直角である方向に延びる複数の溝が形成されている、付記9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
上記各溝は、断面矩形状である、付記10に記載の半導体装置。
〔付記12〕
上記複数の溝のいずれかは、上記接合層に接している、付記10または11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
上記複数の溝のいずれかは、上記封止樹脂部に接している、付記10ないし12のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14〕
互いに反対方向を向くダイパッド主面およびダイパッド裏面を有する複数のダイパッド部と、
上記複数のダイパッド主面に各別に搭載された複数の半導体チップと、
底面から凹んでいるとともに上記各ダイパッド裏面を共通に露出させる凹部が形成され、且つ、上記各ダイパッド部および上記各半導体チップを共通に覆う封止樹脂部と、
上記凹部に配置され、上記ダイパッド裏面に対面する放熱層主面およびこの放熱層主面とは反対側にある放熱層裏面を有し、且つ、上記各ダイパッド部に共通に接合された放熱層と、を備え、
上記放熱層は、上記ダイパッド裏面が広がる方向において上記各ダイパッド部よりも外側に位置し、上記放熱層裏面に繋がる第1側面、上記第1側面に繋がり、上記放熱層主面が向く方向を向く中間面、上記中間面に繋がり、上記ダイパッド裏面が広がる方向において上記ダイパッド部と上記第1側面との間に位置する第2側面、を有することを特徴とする、半導体装置。
図32は、本発明の第1D実施形態に基づく半導体装置が用いられた実装構造を示す断面図である。
図32に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101Dと、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101Dは、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101Dは、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101Dは、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの電源制御等の用途に用いられる。
図33および図34は、本発明の第1D実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図35は、本発明の第1D実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図36は、図33のXXXVI−XXXVI線に沿う断面図である。なお、図32は、図33のXXXII−XXXII線に沿う断面に相当する。図36においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101Dは、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図33においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図35、図36に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図36によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751、凹部側面752を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。凹部側面752は、樹脂底面72につながる。凹部側面752は、おおむね方向zに沿っている。
図33に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップ、あるいは出力トランジスタである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップであり、あるいは、半導体チップ41を制御する。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。半導体チップ41は、電極411を有する。また、半導体チップ42も電極411と同様の電極を有しており、その説明は、以下の電極411についての説明と同様である。
図33〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図33の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図32〜図34、図36参照)と、接続部12(図32〜図34参照)と、ワイヤボンディング部13(図32〜図34参照)と、リード14(図32〜図35参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図36に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、接合層991が介在している。接合層991は、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえばハンダもしくは銀ペーストである。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層991としてハンダを用いると、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間には接合層991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置して
いてもよい。
図33に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図32に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図32〜図34に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図32に示すように、半導体装置101Dの基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。半導体チップ41とワイヤボンディング部13とに接続されたワイヤ8は、アルミニウムからなる。
図34に示すように、ダイパッド部11には、1対の押さえ痕113が形成されている。1対の押さえ痕113は、後述するワイヤ8のボンディング工程において形成される。押さえ痕113は、ダイパッド部11のダイパッド主面111からわずかに凹む傷状の形態を呈する。本実施形態において、1対の押さえ痕113は、x方向に互いに離間しており、半導体チップ41を挟んでいる。半導体チップ41に形成された3つの電極411は、x方向に並んでおり、1対の押さえ痕113の間に配置されている。各電極411にボンディングされたワイヤ8のファーストボンディング部81は、1対の押さえ痕113を結ぶ直線と交差している。
ワイヤボンディング部13には、1対の押さえ痕131が形成されている。1対の押さえ痕131は、後述するワイヤ8のボンディング工程において形成される。押さえ痕131は、ワイヤボンディング部13の表面からわずかに凹む傷状の形態を呈する。本実施形態において、1対の押さえ痕131は、x方向に互いに離間している。ワイヤボンディング部13にボンディングされたワイヤ8のセカンドボンディング部82は、1対の押さえ痕131を結ぶ直線と交差している。ワイヤボンディング部13に形成された1対の押さえ痕131と同様の押さえ痕が、後述のワイヤボンディング部23にも形成されている。
図33に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有し、リード14と同様に加工され、基板807の孔809に挿入される。半導体チップ41とワイヤボンディング部23とに接続されたワイヤ8は、アルミニウムからなる。
図32、図33に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有し、リード14と同様に加工され、基板807の孔809に挿入される。一のリード32と一の半導体チップ42の所定の電極との間には、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42の所定の電極と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。なお、制御用の半導体チップ42や受動部品チップ43に繋がるワイヤは、ワイヤ8よりも細く柔らかいアルミニウムや金の細線を用いることが多い。
放熱層6は、セラミックスやCuやアルミニウムからなり、図36に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。放熱層6は、凹部側面752に囲まれている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。本実施形態においては、放熱層6は、金属層65および接合層66からなる。金属層65は、z2方向側にあり、たとえば厚さが105μm程度のCuからなる。接合層66は、金属層65に対してz1方向側にあり、金属層65を複数のダイパッド部11のダイパッド裏面112に接合する機能を果たす。接合層66は、たとえば絶縁性の樹脂からなり、その厚さがたとえば250μm程度である。この樹脂は、半導体装置101Dの製造工程において、圧力および振動を加えられることにより軟化する材質である。半導体チップ41が搭載される複数のダイパッド部11のいずれにも直接接している。金属層65は、樹脂底面72から若干突出している部位を有してもよい。接合層66は、凹部側面752に接している。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Dの外部に放出するために、設けられている。そのためには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良いが、封止樹脂部7と熱膨張係数が大きく異なると、金属層65の剥離し易くなる等の問題を生じるおそれがある。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きく、熱膨張係数が封止樹脂部7に近い材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図35に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
図35、図36に示すように、放熱層6は放熱層主面61と放熱層裏面62とを有する。放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層主面61は、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。
次に、半導体装置101Dの製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図37に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップ41を複数のダイパッド部11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップ42および受動部品チップ43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部31のいずれか一つに配置する。
次いで、ワイヤ8のボンディングを行う。図38は、アルミニウムからなるワイヤ8をボンディングするためのボンディング装置の一例を示している。図示されたボンディング装置85は、キャピラリ851、ガイド852、カッタ853、ベース854、アーム855、ワイヤリール856を備えている。ワイヤリール856には、ワイヤ8が巻かれている。アーム855は、ベース854に対して超音波発生機構などの振動を発生させる機構を介して取り付けられている。ワイヤリール856から送り出されたワイヤ8は、ガイド852によってキャピラリ851の先端へと送られる。キャピラリ851は、ワイヤ8をボンディング対象物に振動を加えながら押し付ける(「ウェッジボンディング」という)ためのものである。カッタ853は、ボンディングされたワイヤを切断する機能を果たす。
図39に示すように、ダイパッド部11に搭載された半導体チップ41とこのダイパッド部11の隣に位置するダイパッド部11に繋がるワイヤボンディング部13とにワイヤ8をボンディングする工程を例に説明するが、他のアルミからなるワイヤ8のボンディング工程も同様である。ワイヤ8のボンディング工程に先立ち、リードフレーム300をたとえば治具860にセットする。治具860は、リードフレーム300の形状に合わせて形成されており、支持面861,862を有する。支持面861は、ダイパッド部11を支持し、支持面862は、ワイヤボンディング部13を支持する。
次いで、図40に示すように、1対の押さえ片831および1対の押さえ片832を用意する。1対の押さえ片831および1対の押さえ片832は、互いに対となったたとえば細い金属棒によって構成されている。1対の押さえ片831をダイパッド部11に押し付ける。このとき、1対の押さえ片831をx方向に離間させ、1対の押さえ片831の間に半導体チップ41の3つの電極411を位置させる。また、1対の押さえ片832を図示されたワイヤボンディング部13に押し付ける。1対の押さえ片832どうしは、x方向に互いに離間させる。
次いで、図41に示すように、ワイヤ8のファーストボンディング工程を行う。ワイヤ8が添えられたキャピラリ851の先端を、半導体チップ41の電極411に当接させる。そして、キャピラリ851からワイヤ8に圧力と超音波振動を付与することにより、ワイヤ8を電極411に接合する。
次いで、図42に示すように、ワイヤ8のセカンドボンディング工程を行う。キャピラリ851の先端を半導体チップ41の電極411からワイヤボンディング部13に移動させる。そして、キャピラリ851からワイヤ8に圧力と超音波振動を付与することにより、ワイヤ8をワイヤボンディング部13に接合する。また、この接合の後に、図38に示したカッタ853によってワイヤ8を切断する。
以上のファーストボンディング工程およびセカンドボンディング工程を経ることにより、図43および図44に示すように、ファーストボンディング部81において半導体チップ41の電極411に接合され、セカンドボンディング部82においてワイヤボンディング部13に接合された、ワイヤ8を得る。図44に示すように、ダイパッド部11のうち1対の押さえ片831が押し付けられていた部位には、1対の押さえ痕113が形成される。また、ワイヤボンディング部13のうち1対の押さえ片832が押し付けられていた部位には、1対の押さえ痕131が形成される。ファーストボンディング部81は、1対の押さえ痕113を結ぶ直線と交差している。また、セカンドボンディング部82は、1対の押さえ痕131を結ぶ直線と交差している。同様のボンディング作業を繰り返すことにより、図45に示すように、複数のワイヤ8が各半導体チップ41,42等にボンディングされた状態のリードフレーム300を得る。なお、半導体チップ42と第3電極部3とを接続するワイヤ8'は、上述の方法と同様に押さえ片831を使用しても良いが、ボールボンディングを用いるとともに押さえ片831を用いないようにしても良い。
次に、図46、図47に示すように、封止樹脂部7を形成する。図46に示すように、封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。同図に示すように、金型881で複数のダイパッド部11などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図47に示すように、金型881を複数のダイパッド部11などから取り外す。これにより、封止樹脂部7を形成できる。封止樹脂部7を形成する工程においては、複数のダイパッド部11を露出させる凹部75を封止樹脂部7に形成する。
次に、図48に示すように、封止樹脂部7の凹部75に放熱層6をはめ込む。そして、放熱層6に圧力および振動を加える。さらに、放熱層6を加熱してもよい。これらの加圧、加振、加熱により、放熱層6の接合層66が軟化する。軟化した接合層66は、凹部75に充填される。また接合層66は、凹部側面752に接する。
次に、リードフレーム300を適宜切断することにより、図33等に示した半導体装置101Dが製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
1対の押さえ片831,832によってワイヤ8がボンディングされる部位である電極411もしくはワイヤボンディング部13を挟んだ位置を押さえることにより、ワイヤ8のボンディングに伴う加圧や加振によってダイパッド部11やワイヤボンディング部13が不当に揺れたり変形したりすることを防止することができる。したがって、ワイヤ8を適切にボンディングすることができる。
ファーストボンディング部81を1対の押さえ痕113(1対の押さえ片831の先端)を結ぶ直線の間に位置させることにより、ファーストボンディング工程においてキャピラリ851から加えられる圧力および振動によってダイパッド部11が揺れたり変形したりすることを好適に防止することができる。
セカンドボンディング部82を1対の押さえ痕131(1対の押さえ片832の先端)を結ぶ直線の間に位置させることにより、セカンドボンディング工程においてキャピラリ851から加えられる圧力および振動によってワイヤボンディング部13が揺れたり変形したりすることを好適に防止することができる。
半導体チップ41に形成された複数の電極411のすべてを1対の押さえ片831によって挟む姿勢で、ファーストボンディング工程を行っている。これにより、複数の電極411に対するファーストボンディング工程を行う間、1対の押さえ片831を動かす必要がない。したがって、ボンディング工程を効率よく行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、封止樹脂の裏面から金属層が露出している半導体装置で有れば、挿入実装ではなく、表面実装用の端子の場合も同様に使用できる。また、上述したIPM装置だけでなく、半導体チップとアイランドとがそれぞれ1つしかなく、封止樹脂の裏面から金属層が露出している駆動素子を封止する半導体装置にも適用できる。
〔付記1〕
1対の押さえ片を、ボンディング対象物の互いに離間した2か所に押圧した状態で、上記ボンディング対象物のうち上記1対の押さえ片が離間する方向において上記1対の押さえ片の間に位置する部位にワイヤをボンディングするワイヤボンディング工程を有することを特徴とする、ワイヤボンディング方法。
〔付記2〕
上記ワイヤボンディング工程においては、上記ボンディング対象物のうち上記1対の押さえ片を結ぶ直線と交差する部位に上記ワイヤをボンディングする、付記1に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記3〕
上記ボンディング対象物は、金属板からなるダイパッド部と、このダイパッド部に搭載され、1以上の電極を有する半導体チップと、を含み、
上記ワイヤボンディング工程においては、上記ダイパッド部のうち上記半導体チップを挟む位置に上記1対の押さえ片を押圧した状態で、上記電極に対してワイヤをボンディングする、付記1または2に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記4〕
上記半導体チップは、複数の電極を有しており、
上記ワイヤボンディング工程においては、上記複数の電極を挟む位置に上記1対の押さえ片を押圧した状態で、上記複数の電極に対して個別にワイヤをボンディングする、付記3に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記5〕
上記ボンディング対象物は、金属板からなるワイヤボンディング部を含み、
上記ワイヤボンディング工程においては、上記ワイヤボンディング部に対して上記1対の押さえ片を押圧した状態で、上記ワイヤボンディング部にワイヤをボンディングする、付記1または2に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記6〕
上記ボンディング対象物は、金属板からなるダイパッド部と、このダイパッド部に搭載され、1以上の電極を有する半導体チップと、上記ダイパッド部と離間したワイヤボンディング部と、を含み、
上記ワイヤボンディング工程においては、上記ダイパッド部のうち上記半導体チップを挟む位置に上記1対の押さえ片を押圧した状態で、上記電極に対してワイヤをボンディングし、
上記ワイヤボンディング工程の後に、上記ワイヤボンディング部に対して追加の1対の押さえ片を押圧した状態で、上記ワイヤボンディング部にワイヤをボンディングする追加のワイヤボンディング工程を有する、付記1または2に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記7〕
上記半導体チップは、複数の電極を有しており、
上記ワイヤボンディング工程においては、上記複数の電極を挟む位置に上記1対の押さえ片を押圧した状態で、上記複数の電極に対して個別にワイヤをボンディングする、付記6に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記8〕
上記ワイヤは、アルミニウムからなる、付記1ないし7のいずれかに記載のワイヤボンディング方法。
〔付記9〕
上記ワイヤボンディング工程においては、上記ワイヤに対して圧力および振動を加える、
付記8に記載のワイヤボンディング方法。
〔付記10〕
互いに反対方向を向く主面および裏面を有するダイパッド部と、
上記ダイパッド部の上記主面に搭載されており、1以上の電極を有する半導体チップと、
上記ダイパッド部および上記半導体チップを覆う封止樹脂部と、を備え、
上記ダイパッド部には、互いに離間する1対の押さえ痕が形成されており、
上記電極のうち上記1対の押さえ痕が離間する方向において上記1対の押さえ痕の間に位置する部位にワイヤの一端がボンディングされていることを特徴とする、半導体装置。
〔付記11〕
上記ワイヤの一端は、上記電極のうち上記1対の押さえ痕を結ぶ直線と交差する部位にボンディングされている、付記10に記載の半導体装置。
〔付記12〕
上記ダイパッド部に対して離間したワイヤボンディング部をさらに備えており、
上記ワイヤボンディング部には、互いに離間する追加の1対の押さえ痕が形成されており、
上記ワイヤボンディング部のうち上記追加の1対の押さえ痕が離間する方向において上記追加の1対の押さえ痕の間に位置する部位に上記ワイヤの他端がボンディングされている、付記10または11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
上記ワイヤの他端は、上記ワイヤボンディング部のうち上記追加の1対の押さえ痕を結ぶ直線と交差する部位にボンディングされている、付記12に記載の半導体装置。
〔付記14〕
互いに反対方向を向く主面および裏面を有するダイパッド部と、
上記ダイパッド部の上記主面に搭載されており、1以上の電極を有する半導体チップと、
上記半導体チップとワイヤを介して電気的に接続されるリードと、
上記ダイパッド部、上記半導体チップおよび上記リードの一部を覆う封止樹脂部と、を備え、
上記リードの上記ワイヤの一端がボンディングされている接続部を挟む上記リードの表面には、互いに離間する1対の押さえ痕が形成されていることを特徴とする、半導体装置。
〔付記15〕
上記押さえ痕を有するリードは、押さえ痕のないリードよりも幅広の部分を有する、付記11に記載の半導体装置。
〔付記16〕
上記ワイヤは太さの異なる種類を有し、
上記押さえ痕は太さの太い上記ワイヤの接続部の近くのみに形成されている、付記11または12に記載の半導体装置。
〔付記17〕
上記半導体チップは複数あり、
上記太さの太いワイヤは一部の上記半導体チップと上記リードとの間のみを電気的に接続する、付記13に記載の半導体装置。
〔付記18〕
上記半導体チップを挟む上記ダイパッドの表面には、上記半導体チップを挟んで互いに離間する1対の押さえ痕が形成されている、付記11ないし14のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記19〕
上記半導体チップは、複数あり、かつ、出力トランジスタとその制御用の半導体チップとを含み、
上記リードの押さえ痕は、上記出力トランジスタと接続された上記リードの接続部を挟んで互いに離間するように形成されている、付記11ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
図49は、本発明の第1E実施形態に基づく半導体装置が用いられた実装構造を示す断面図である。
図49に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101Eと、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101Eは、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101Eは、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101Eは、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの電源制御等の用途に用いられる。
図50は、本発明の第1E実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図51は、本発明の第1E実施形態に基づく半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図52は、図50のLII−LII線に沿う断面図である。図53は、図52の要部拡大断面図である。なお、図49は、図50のILIX−ILIX線に沿う断面に相当する。図52においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101Eは、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図50においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図51、図52に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図52によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751および凹部側面752を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。凹部側面752は、樹脂底面72につながる。凹部側面752は、おおむね方向zに沿っている。
図50に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップであり、あるいは、出力トランジスタである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップであり、あるいは、半導体チップ41の制御用である。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図50〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図50の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図49、図50、図52参照)と、接続部12(図49、図50参照)と、ワイヤボンディング部13(図49、図50参照)と、リード14(図49〜図51参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図52に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、はんだ991が介在している。はんだ991は、本発明で言う導電性接合材の一例であり、はんだ991に代えてAgペーストを用いてもよい。はんだは熱伝導率が比較的大きい。はんだ991は、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
図53に示すように、半導体チップ41には、裏面電極413が形成されている。裏面電極413は、たとえばAg、Au、Niまたはこれらの金属を含む合金などのはんだ濡れ性が比較的高い材質からなる。本実施形態においては、半導体チップ41の裏面412が裏面電極413によって構成されている。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間にははんだ991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置していてもよい。
ダイパッド部11は、たとえばCu、FeNi合金、Feのいずれかからなり、ダイパッド主面111は、比較的はんだ濡れ性が低い面となっている。本実施形態においては、はんだ991と半導体チップ41の裏面412との接合面積は、はんだ991とダイパッド主面111との接合面積よりも大となっている。
図50に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図49に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図49、図50に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図49に示すように、半導体装置101Eの基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にはんだ層810が充填されている。
図50に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード24は挿入実装用のものである。図示しないが、リード14と同様に、半導体装置101Eの基板807への実装時においてリード24は孔809に挿入される。
図49、図50に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード32は挿入実装用のものである。図49に示すように、半導体装置101Eの基板807への実装時においてリード32は孔809に挿入される。リード14に関して述べたように、リード32を基板807に固定するために、孔809にはんだ層810が充填されている。一のリード32と一の半導体チップ42とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。
放熱層6は、図52に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。放熱層6は、凹部側面752に囲まれている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。本実施形態においては、放熱層6は、金属層65および接合層66からなる。金属層65は、z2方向側にあり、たとえば厚さが105μm程度のCuやアルミニウムやセラミックスからなる。接合層66は、金属層65に対してz1方向側にあり、金属層65を複数のダイパッド部11のダイパッド裏面112に接合する機能を果たす。接合層66は、たとえば絶縁性の樹脂からなり、その厚さがたとえば250μm程度である。この樹脂は、半導体装置101Eの製造工程において、圧力および振動を加えられることにより軟化する材質である。半導体チップ41が搭載される複数のダイパッド部11のいずれにも直接接している。金属層65は、樹脂底面72から若干突出している部位を有してもよい。接合層66は、凹部側面752に接している。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Eの外部に放出するために、設けられている。半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101Eの外部に放出するには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良いが、封止樹脂部7と熱膨張係数が大きく異なると、金属層65が剥離し易くなる等の問題を生じるおそれがある。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きく、熱膨張係数が封止樹脂部7に近い材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図51に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
図51、図52に示すように、放熱層6は放熱層主面61と放熱層裏面62とを有する。放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層主面61は、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。
次に、半導体装置101Eの製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図54に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300を用意する。そして、以下に説明する手順により、はんだペースト991'を塗布する。はんだペースト991'は、本発明で言う導電性接合ペーストの一例であり、はんだペースト991'に代えてAgペーストやその他の金属と有機溶剤とからなるペーストを用いてもよい。本図に示されているように、はんだペースト991'が塗布される領域は、半導体チップ41,42や受動部品チップ43の平面視寸法よりも小であり、かつこれらの内方に含まれている。図55〜図59においては、ダイパッド部11へのはんだペースト991'の塗布および半導体チップ41の接合を例として説明する。なお、放熱性を良くするために、ダイパッド部11の内1つの上に複数の半導体チップ41を搭載する部分のみに以下の方法を用いるようにし、他の部分の導電性接合ペーストは従来と同様な方法を用いるようにしても良い。
まず、図55に示すように、マスク992を用意する。マスク992には複数の開口993が形成されている。これらの開口993は、図54に示されたはんだペースト991'の塗布領域に対応している。このマスク992によって、リードフレーム300を覆う。
次いで、図56に示すように、はんだペースト991'を塗布する。この塗布は、マスク992の開口993にはんだペースト991'を充てんすることによって行う。次いで、図57に示すように、マスク992を取り外すと、所望の領域にはんだペースト991'が塗布された状態となる。
次いで、半導体チップ41をはんだペースト991'上に載置する。はんだペースト991'が塗布された領域は、半導体チップ41の平面視寸法よりも小である。このはんだペースト991'を覆い隠すように、半導体チップ41を載置する。この際、前述した半導体チップ42や受動部品チップ43も載置する。
次いで、たとえばリフロー炉にリードフレーム300を挿入し加熱することにより、はんだペースト991'を溶融させる。半導体チップ41の裏面412(裏面電極413)は、比較的はんだ濡れ性が高いたとえばAgまたはAuからなるため、溶融したはんだペースト991'がその全面に広がる。一方、ダイパッド部11の主面111は、比較的はんだ濡れ性が低いCu、FeNi合金、Feからなるため、溶融したはんだペースト991'が広がりにくい。これにより、リフロー炉による加熱を経ると、図59に示す形態のはんだ991が得られる。はんだ991は、半導体チップ41の裏面412との接合面積の方が、ダイパッド部11の主面111との接合面積よりも大となっている。図60は、
リフロー炉から取り出されたリードフレーム300を示している。
次いで、図61に示すようにワイヤ8を各半導体チップ41,42等と対応するリードとの間にボンディングする。
次に、図62、図63に示すように、封止樹脂部7を形成する。図62に示すように、封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。同図に示すように、金型881で複数のダイパッド部11などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図63に示すように、金型881を複数のダイパッド部11などから取り外す。これにより、封止樹脂部7を形成できる。封止樹脂部7を形成する工程においては、複数のダイパッド部11の裏面側を露出させる凹部75を封止樹脂部7に形成する。
次に、図64に示すように、封止樹脂部7の凹部75に放熱層6をはめ込む。そして、放熱層6に圧力および振動を加える。さらに、放熱層6を加熱してもよい。これらの加圧、加振、加熱により、放熱層6の接合層66が軟化する。軟化した接合層66は、凹部75内に充填される。また接合層66は、凹部側面752に接する。
次に、リードフレーム300を適宜切断することにより、図50等に示した半導体装置101Eが製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、半導体チップ41の平面視寸法よりも小さい領域に、はんだペースト991'を塗布し、これを覆い隠すように半導体チップ41を載置する。この状態ではんだペースト991'を加熱すると、平面視においてはんだ991が半導体チップ41内にとどまりやすい。したがって、隣り合う半導体チップ41をダイパッド主面111に接合するためのはんだ991どうしが不当に接触したり、はんだペーストの一部のみがダイパッドの端部に達しってしまうことを防止することができる。これにより、はんだ食われやはんだの表面張力等によって各半導体チップの位置が所定の位置からずれてしまうことがなくなり、半導体チップを所定の位置に配置できるようになり、ワイヤ作業が容易にできるようになる。また、隣接するチップ間距離を小さくすることができるようになるので、半導体装置の外形をより小型化できるようになる。
半導体チップ41の裏面412を比較的はんだ濡れ性が高いものとして構成する一方、ダイパッド部11の主面111を比較的はんだ濡れ性が低いものして構成することにより、はんだ991のはみ出し防止を好適に図ることができる。
マスク992を用いてはんだペースト991'を塗布することは、意図する領域にはんだペースト991'をより正確に塗布するのに適している。なお、はんだペースト991'を塗布する手法として、マスク992を用いた手法のほかに、たとえばシリンジに充てんしたはんだペースト991'を滴下することによって塗布してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、アルミニウム等の太くて堅いワイヤを用いる半導体装置で有れば、説明したIPM用の半導体装置だけでなく、半導体チップとアイランドとがそれぞれ1つしかないようなパワートランジスタ等の半導体装置にも適用できる。
更には、挿入実装だけでなく、表面実装用の端子の半導体装置にも同様に使用できる。
〔付記1〕
ダイパッド部の主面に導電性接合ペーストを塗布する塗布工程と、
上記主面が向く方向視における大きさが、上記導電性接合ペーストが塗布された領域よりも大である半導体チップの裏面を、上記主面が向く方向視において上記導電性接合ペーストが塗布された領域を内方に含むように上記導電性接合ペーストに接しさせる載置工程と、
上記導電性接合ペーストを軟化させた後に硬化させることにより導電性接合材を形成する接合工程と、
を備えることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
〔付記2〕
上記導電性接合ペーストは、はんだペーストである、付記1に記載の半導体装置の製造方法。
〔付記3〕
上記塗布工程においては、開口を有するマスクによって上記主面を覆った後に、上記開口に上記導電性接合ペーストを埋める、付記2に記載の半導体装置の製造方法。
〔付記4〕
上記半導体チップの上記裏面は、上記ダイパッド部の上記主面よりも上記導電性接合ペーストに対する濡れ性が高い、付記1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
〔付記5〕
上記半導体チップの上記裏面は、Ag、Au、Niまたはこれらの金属を含む合金からなり、
上記ダイパッド部の上記主面は、Cu、FeNi合金、Feのいずれかからなる、付記4に記載の半導体装置の製造方法。
〔付記6〕
主面を有するダイパッド部と、
裏面を有する半導体チップと、
上記ダイパッド部の上記主面および上記半導体チップの上記裏面の間に介在し、上記ダイパッド部と上記半導体チップとを接合する導電性接合材と、を備えており、
上記半導体チップの上記裏面と上記導電性接合材との接合面積は、上記ダイパッド部の上記主面と上記導電性接合材との接合面積よりも大であることを特徴とする、半導体装置。
〔付記7〕
上記導電性接合材は、はんだである、付記6に記載の半導体装置。
〔付記8〕
上記半導体チップの上記裏面は、上記ダイパッド部の上記主面よりも上記導電性接合ペーストに対する濡れ性が高い、付記6に記載の半導体装置。
〔付記9〕
上記半導体チップの上記裏面は、Ag、Au、Niまたはこれらの金属を含む合金からなり、
上記ダイパッド部の上記主面は、Cu、FeNi合金、Feのいずれかからなる、付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
互いに反対方向を向く主面および裏面を有するダイパッド部と、
上記ダイパッド部の上記主面に搭載される複数の半導体チップと、
上記ダイパッド部の主面および上記複数の半導体チップのそれぞれの裏面との間に介在し、上記ダイパッド部と上記複数の半導体チップとを接合する導電性接合材と、を備えており、 上記複数の半導体チップのそれぞれの裏面と上記導電性接合材との接合面積は、上記ダイパッド部の主面に上記半導体チップに対応してそれぞれ形成された上記導電性接合材との接合面積よりも大であることを特徴とする、半導体装置。
〔付記11〕
上記半導体チップは、複数の出力トランジスタとその制御用の半導体チップとを有し、
上記複数の出力トランジスタにおいて、上記接合面積の関係を有する、付記9に記載の半導体装置。
〔付記12〕
上記複数の出力トランジスタの出力を外部にそれぞれ取り出すための複数のリードと、上記出力トランジスタと上記リードとをそれぞれ接続する複数のワイヤを更に有し、
上記ワイヤはアルミニウムである、付記10に記載の半導体装置。