以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
本発明の一実施の形態の半導体装置およびその製造方法(製造工程)を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態である半導体装置1の上面図(平面図)、図2は半導体装置1の下面図(底面図、裏面図、平面図)、図3は半導体装置1の側面図、図4および図5半導体装置1の断面図(側面断面図)、図6は半導体装置1の上面側から封止樹脂部6を透視したときの半導体装置1の上面透視図、図7は半導体装置1の下面側から封止樹脂部6を透視したときの半導体装置1の下面透視図である。図1、図2、図6および図7のA1−A1線の断面が図4にほぼ対応し、図1、図2、図6および図7のB1−B1線の断面が図5にほぼ対応する。また、図1において矢印C1で示した方向から半導体装置1を見たときの半導体装置1の側面図が、図3に対応する。
図1〜図7に示される本実施の形態の半導体装置1は、樹脂封止型の半導体パッケージ形態の半導体装置であり、QFP(Quad Flat Package)形態の半導体装置である。
本実施の形態の半導体装置1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を支持または搭載する放熱板3と、導電体によって形成された複数のリード4と、複数のリード4と半導体チップ2の表面の複数の電極2aとを電気的に接続する複数のボンディングワイヤ5と、これらを封止する封止樹脂部6とを有している。
封止樹脂部(封止部、封止樹脂、封止体)6は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂部6を形成することができる。封止樹脂部6により、半導体チップ2、放熱板3、リード4およびボンディングワイヤ5が封止され、保護される。封止樹脂部6は、一方の主面である上面6aと、上面6aの反対側の主面である下面(裏面、底面)6bとを有している。
半導体チップ2は、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)であり、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路を形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。
半導体チップ2の表面(半導体素子形成側の主面)には、複数の電極(パッド電極、ボンディングパッド)2aが形成されており、半導体チップ2の各電極2aは、半導体チップ2の内部または表層部分に形成された半導体素子または半導体集積回路に電気的に接続されている。なお、半導体チップ2において、電極2aが形成された側の主面を、半導体チップ2の表面と呼び、電極2aが形成された側の主面(すなわち表面)とは反対側の主面を、半導体チップ2の裏面と呼ぶものとする。
半導体チップ2は、半導体チップ2の表面が上方を向くように放熱板3の上面3a上に搭載(配置)され、半導体チップ2の裏面が放熱板3の上面3aに接合材(ダイボンド材、接着材)7を介して接合され固定されている。放熱板3の平面寸法は、半導体チップ2の平面寸法よりも大きく、放熱板3上に搭載された半導体チップ2は、放熱板3に平面的に内包されるように配置されている。接合材7としては、熱伝導性が高い接合材を用いることが好ましく、例えば半田や導電性のペースト材(導電性のペースト材として好ましいのは銀ペースト)などを用いることができるが、半田であれば最も好ましい。また、半導体チップ2は、封止樹脂部6内に封止されており、封止樹脂部6から露出されない。
また、放熱板3の上面3aにおいて、チップ搭載領域(放熱板3の上面3aのうち半導体チップ2を搭載した領域、放熱板3の上面3aのうち半導体チップ2と平面的に重なる領域)を囲むように、溝8が設けられている。溝8を設けたことにより、封止樹脂部6と放熱板3との接続性の向上効果(アンカー効果)および封止樹脂6と密着性の悪い接合材7が放熱板3上へ必要以上にぬれ広がることを防止する効果が得られる。
リード(リード部)4は、導電体で構成されており、好ましくは銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。各リード4は、リード4のうちの封止樹脂部6内に位置する部分であるインナリード部4aと、リード4のうちの封止樹脂部6の側面から突出して封止樹脂部6外に位置する部分であるアウタリード部4bとからなる。複数のリード4は、半導体チップ2の周囲に、各リード4の一方の端部(インナリード部4aの先端部)が半導体チップ2に対向するように、配置されている。隣り合うリード4のインナリード部4a間は、封止樹脂部6を構成する材料により満たされている。半導体チップ2の表面の各電極2aは、各リード4のインナリード部4aに、ボンディングワイヤ(導電性ワイヤ)5を介して電気的に接続されている。ボンディングワイヤ5は、導電性のワイヤであり、好ましくは金(Au)線などの金属細線からなる。ボンディングワイヤ5は、封止樹脂部6内に封止されており、封止樹脂部6から露出されない。
各リード4のアウタリード部4bは、アウタリード部4bの下面4cが封止樹脂部6の下面6bと略同一平面上に位置するように折り曲げ加工されている。リード4のアウタリード部4bは、半導体装置1の外部接続用端子部として機能する。
放熱板(ヒートスプレッダ:Heat Spreader、チップ搭載部)3は、一方の主面である上面(表面、主面、チップ支持面)3aと、上面3aとは反対側の主面である下面(裏面、底面)3bとを有しており、放熱板3の上面3a上に半導体チップ2が搭載されている。従って、放熱板3はチップ搭載部であり、放熱板3の上面3aはチップ搭載面(半導体チップ2を搭載する面)である。放熱板3の下面3bは、封止樹脂部6の下面(裏面)6bより露出されている。
また、放熱板3の下面に段差を設けることで、封止樹脂部6からの露出面(放熱板3の下面3b)に比べて、放熱板3の下面の周辺部3cで放熱板3の厚みが薄くなるように加工されている。これにより、放熱板3の下面3bは封止樹脂部6の下面6bで露出するが、放熱板3の下面の周辺部3cは封止樹脂部6で覆われて露出しない状態となっており、それによって、放熱板3を封止樹脂部6から抜けにくくすることができる。
チップ搭載部である放熱板3は、半導体チップ2で生じた熱を放熱するための部材でもあり、熱伝導性が高いことが好ましく、少なくとも封止樹脂部6の熱伝導性(熱伝導率)よりも放熱板3の熱伝導性(熱伝導率)が高いことが必要である。導電性材料(特に金属材料)は熱伝導性も高いため、放熱板3は、導電性材料からなることが好ましく、金属材料で形成されていればより好ましい。放熱板3に、銅(Cu)または銅(Cu)合金のような銅(Cu)を主成分とする金属材料を用いれば、放熱板3の高い熱伝導性を得られ、加工(放熱板3の形成)もしやすいので、更に好ましい。また、半導体チップ2で生じた熱を放熱板3を介して半導体装置1外に放熱するため、放熱板3は、その一部が封止樹脂部6から露出していることが必要であり、放熱板3の下面3bを封止樹脂部6の下面6bから露出させることが、好ましい。
半導体装置1においては、放熱板3上に半導体チップ2を配置したことで、半導体装置1の使用時に半導体チップ2で生じた熱を放熱板3に伝導させ、放熱板3の露出部(放熱板3の下面3b)から半導体装置1の外部に放熱することができる。また、放熱特性の向上のためには、放熱板3の体積をより大きくする事が有効である。特に自動車に搭載される半導体装置においては、密閉された空間へ半導体装置が搭載される場合が多く、放熱板3の露出部から半導体装置1の外部へ放熱する効果よりも、放熱板3の厚みt1を厚くすることで蓄熱作用を向上させることが特に有効である。例えば放熱板3の厚みt1を1mm以上(すなわちt1≧1mm)とすれば、半導体装置1の放熱特性の向上に極めて有効である。
放熱板3の周囲、好ましくは四隅には、吊りリード(導体部)10が一体的に形成されている。各吊りリード10は、放熱板3と同じ材料により放熱板3と一体的に形成されており、一端が放熱板3に一体的に形成(連結)され、放熱板3の外方(側方、放熱板3から離れる方向)に向かって延在している。
吊りリード10は、封止樹脂部6の形成後に封止樹脂部6から突出する部分が切断(後述のステップS6の切断工程で切断)されており、切断前の吊りリード10のうち、この切断後に封止樹脂部6内に残存した部分が、半導体装置1における吊りリード10に対応する。吊りリード10の切断(後述のステップS6の切断工程での切断)により生じた切断面(先端面、端面)10aが封止樹脂部6の側面6cで露出している。吊りリード10の切断面10aは、吊りリード10の放熱板3に接続された側の端部とは逆側の端部、すなわち吊りリード10の先端面となっている。
吊りリード10の下面は、少なくとも一部が封止樹脂部6の下面6bで露出している。すなわち、封止樹脂部6の下面6bに、吊りリード10の下面の露出部である下部露出面10bが露出している。本実施の形態では、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10は、半導体装置1を実装する実装基板(後述する実装基板41に対応)の端子(後述の端子42cに対応)と電気的に接続可能とするために、吊りリード10の下面のうち、少なくとも吊りリード10の切断面10aに隣接しかつ切断面10aの近傍の領域(すなわち下部露出面10b)が、封止樹脂部6の下面6bで露出している必要がある。
吊りリード10には、放熱板3に接続された側の端部と、封止樹脂部6の側面6cで露出した側の端部(切断面10a)との間において、上方に持ち上げられた形状に加工された屈曲部11が設けられている。この屈曲部11も、吊りリード10の一部とみなすことができる。屈曲部11の下面は、封止樹脂部6で覆われて封止樹脂部6内に封止されており、封止樹脂部6から露出されていない。従って、屈曲部11以外の吊りリード10の下面(すなわち下部露出面10b)が、封止樹脂部6の下面6bで露出している。
また、吊りリード10の上面のうち、吊りリード10の切断面10aに隣接しかつ切断面10aの近傍の領域(すなわち上部露出面10c)は、封止樹脂部6で覆われておらず、封止樹脂部6から露出している。吊りリード10の上部露出面10c、切断面10aおよび下部露出面10bは連続している。従って、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bに連続して、吊りリード10の切断面(先端面)10aが封止樹脂部6の側面6cで露出している。吊りリード10の切断面10a以外の側面は、封止樹脂部6で覆われており、露出していない。
また、封止樹脂部6内において、吊りリード10にリードフレーム側吊りリード(吊りリード部)20が連結されている。リードフレーム側吊りリード20は、導電体で構成されており、リード4と同じ材料により構成されている。具体的には、リードフレーム側吊りリード20とリード4とは、後述のリードフレーム21を構成する同じ金属材料により構成されている。半導体チップ2の電極2aとリードフレーム側吊りリード20とは、ボンディングワイヤ5を介して電気的に接続されている。半導体チップ2の複数の電極2aのうち、ボンディングワイヤ5を介してリードフレーム側吊りリード20に電気的に接続された電極2aは、好ましくはグランド電位用の電極である。また、吊りリード10とリードフレーム側吊りリード20とは、共に導電体材料からなるので、互いに電気的に接続されている。このため、吊りリード10(および吊りリード10と一体的な放熱板3)は、リードフレーム側吊りリード20およびボンディングワイヤ5を介して、半導体チップ2の電極2a(のうちのグランド電位用の電極2a)に電気的に接続されている。
後述するように、半導体装置1を実装基板(後述する実装基板41に対応)に実装する際には、各リード4のアウタリード部4bの下面4cが実装基板の端子に半田を介して接続されるとともに、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bも、実装基板の端子に半田を介して接続される。この際、封止樹脂部6の下面6bで露出する放熱板3の下面3bも、実装基板の端子に半田を介して接続すれば、放熱特性を向上できるので、より好ましい。
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について説明する。
図8は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す製造プロセスフロー図(工程フロー図)である。図9は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられるリードフレーム21の上面図(平面図)である。図9には、リードフレーム21のうち、一つの半導体パッケージに対応する領域(そこから1つの半導体装置1が製造される領域)が示されている。実際には、リードフレーム21は、図9に示される構造を単位構造として、この単位構造が図9に示される矢印C2の方向に複数連結された(繰り返された)多連のリードフレームである。図10は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる放熱板3の上面図であり、図11は、放熱板3の下面図であり、図12および図13は、放熱板3の断面図(側面断面図)である。図10のA2−A2線の断面が図12にほぼ対応し、図10のB2−B2線の断面が図13にほぼ対応する。なお、図10のA2−A2線の位置は、上記図1、図2および図6のA1−A1線の位置に対応するものであり、図10のB2−B2線の位置は、上記図1、図2および図6のB1−B1線の位置に対応するものである。このため、図12は、上記図4に対応する位置の断面図であり、図13は、上記図5に対応する位置の断面図である。
半導体装置1を製造するには、まず、リードフレーム21および放熱板(チップ搭載部)3を準備する(図8のステップS1)。
図9に示されるリードフレーム21は、例えば、銅または銅合金、あるいは42−アロイなどの導電体材料(好ましくは金属材料)からなる。リードフレーム21は、フレーム枠22と、フレーム枠22連結された複数のリード(リード部)4と、フレーム枠22に連結されたリードフレーム側吊りリード20とを有している。リードフレーム21において、複数のリード4は、後で半導体チップ2が配置される領域の周囲に、各リード4の一方の端部が後で配置される半導体チップ2に対向するように、配置されている。また、リードフレーム21は、複数のリード4を連結するタイバー(ダムバー、連結部)23を有しており、隣り合うリード4(のアウタリード部4b)同士は、タイバー23で連結されている。
図10〜図13に示される放熱板3は、放熱板3の周囲、好ましくは放熱板3の四隅には、吊りリード(導体部)10が一体的に形成(連結)されている。放熱板3と吊りリード10とは、同じ材料により一体的に形成されている。従って、ステップS1では、周囲(好ましくは四隅)に一体的に連結された吊りリード10を有する放熱板3が準備される。放熱板3は、後で半導体チップ2が搭載されるので、チップ搭載部とみなすことができる。また、吊りリード10は、チップ搭載部である放熱板3の周囲に一体的に形成(連結)された導体部とみなすことができる。また、吊りリード10は放熱板3と一体的に形成されているので、吊りリード10を放熱板3の一部とみなすこともできる。各吊りリード10は、放熱板3と同じ材料により放熱板3と一体的に形成されており、一端が放熱板3に接続(連結)され、放熱板3の外方(側方、放熱板3から離れる方向)に向かって延在している。上述のように、放熱板3と吊りリード10は、導電性材料からなることが好ましく、金属材料で形成されていればより好ましく、銅(Cu)または銅(Cu)合金のような銅(Cu)を主成分とする金属材料を用いて形成すれば、加工性と放熱性の点で更に好ましい。
ステップS1では、リードフレーム21を先に準備してから放熱板3を準備しても、放熱板3を先に準備してからリードフレーム21を準備しても、あるいはリードフレーム21と放熱板3を同時に準備してもよい。リードフレーム21および放熱板3は、それぞれ金属板を加工することで、形成することができる。
ステップS1でリードフレーム21と放熱板3を準備(形成)した後、リードフレーム21と放熱板3とを連結する(図8のステップS2)。すなわち、放熱板3と一体的に形成されている吊りリード(導体部)10を、リードフレーム21に連結する。
図14および図15は、ステップS2のリードフレーム21と放熱板3とを連結する工程の説明図であり、上記図13に対応する断面が示されている。
ステップS2においては、リードフレーム21のリードフレーム側吊りリード20に放熱板3の吊りリード10を連結する。具体的には、図14に示されるように、リードフレーム側吊りリード20に設けられた孔部24に、放熱板3の吊りリード10の屈曲部11の上面に一体的に設けられた突起部(凸部)12を下方から挿入する。それから、図15に示されるように、突起部12のうち、リードフレーム側吊りリード20の孔部24から上方に突出した部分を押しつぶすなどする。これにより、放熱板3の吊りリード10の屈曲部11の上面に設けられた突起部12は、リードフレーム側吊りリード20の孔部24にかしめられ、リードフレーム21のリードフレーム側吊りリード20に放熱板3の吊りリード10が連結され、それによって、リードフレーム21に放熱板3が連結される。
このように、ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結することで、放熱板3が連結されたリードフレーム21が準備(形成)される。放熱板3が連結されたリードフレーム21においては、放熱板3は、吊りリード10およびリードフレーム側吊りリード20を介してリードフレーム21(のフレーム枠22)に連結されて支持される。以下では、放熱板3が連結されたリードフレーム21を、フレーム31と称することとする。
図16はフレーム31の上面図(平面図)、図17はフレーム31の下面図(平面図)、図18はフレーム31の断面図(側面断面図)である。図16および図17には、上記図9に対応する領域(そこから1つの半導体装置1が製造される領域)が示されている。また、図16のA3−A3線の断面が図18にほぼ対応し、図16のB3−B3線の断面が上記図15にほぼ対応する。なお、図18は、上記図4および図12に対応する位置の断面図であり、上記図15は、上記図5および図13に対応する位置の断面図である。
従って、ステップS1およびステップS2によって準備されたフレーム31においては、放熱板(チップ搭載部)3は、吊りリード(導体部)10を介して、複数のリード4を有するリードフレーム21に連結されている。吊りリード10は、放熱板(チップ搭載部)3をリードフレーム21に連結する(吊る)ために用いられるので、放熱板3の周囲に複数設けることが好ましい。放熱板(チップ搭載部)3の四隅にそれぞれ吊りリード10を一体的に形成しておけば、安定性を高めることができるので、より好ましい(この場合、1つの放熱板3に対して4つの吊りリード10が形成されている)。放熱板3の周囲、好ましくは四隅に連結された各吊りリード10は、放熱板3から離れる方向に延在している。
また、リードフレーム側吊りリード20は、先端側を折り曲げ加工しておき、ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結した際に、リードフレーム側吊りリード20の先端部が放熱板3の上面3aに接するようにしておくことが好ましい。これにより、後述するワイヤボンディング工程で、リードフレーム側吊りリード20に対してボンディングワイヤを接続しやすくなる。
本実施の形態においては、リードフレーム21と放熱板3とを別個の部材として準備(形成)した後に、ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結することで、フレーム31(すなわち放熱板3が連結されたリードフレーム21)を準備しているが、こうするのは、次のような理由である。
すなわち、放熱板3は、放熱性を高めるために、ある程度厚くすることが望まれる。一方、リード4は、多ピン化のため、およびリード4の先端を半導体チップ2に少しでも近づけてボンディングワイヤ長を短くするために、幅を細く形成(加工)することが望まれるが、幅を細く加工するためには、厚みも薄くすることが必要である。これは、金属板を細い幅のリードに加工するには、金属板の厚みが薄いほうが、加工しやすいためである。このため、放熱板3は厚みを厚くする要求があり、一方、リード4は厚みを薄くする要求があり、両者への要求は対立する。このため、本実施の形態のように、ステップS1でリードフレーム21と放熱板3とを別個の部材として準備(形成)した後に、ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結すれば、リードフレーム21形成用の金属板と放熱板3形成用の金属板とを別個の金属板とすることができ、リードフレーム21形成用の金属板の厚みと放熱板3形成用の金属板の厚みとを異ならせることができる。これにより、リードフレーム21形成用の金属板の厚みよりも、放熱板3形成用の金属板の厚みを厚くすることが可能になる。従って、放熱板3形成用の金属板の厚みを厚くすることで、放熱板3の厚みを厚くして半導体装置1の放熱性を向上させることができるとともに、リードフレーム21形成用の金属板を薄くすることで、リード4の幅を細くして半導体装置1の小型化や多ピン化を図ることができるようになる。従って、本実施の形態では、好ましくは、放熱板3の厚みt1は、リードフレーム21(特にリード4)の厚みt2よりも厚い(すなわちt1>t2)。一例として、放熱板3の厚みt1は1mm以上、リードフレーム21(特にリード4)の厚みt2は0.15mm〜0.2mmである。
本実施の形態のように、リードフレーム21と放熱板3とを別個の部材として準備した後にリードフレーム21と放熱板3とを連結した方が、上記利点を得られるのでより好ましいが、他の形態として、一枚の金属板を加工することで、初めから放熱板3が連結されたリードフレーム21を準備することも可能である。この場合、リードフレーム21と放熱板3とは一体的に形成され(すなわちフレーム31が一体的に形成され)、上記吊りリード10とリードフレーム側吊りリード20とは、別々の部材ではなく、同じ吊りリードによって構成されることになる。
図19〜図36は、ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結した以降の本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す上面図(平面図)、下面図(平面図)または断面図(側面断面図)である。図19〜図36のうち、図19、図22、図28および図34は上面図であり、上記図16に対応する領域(そこから1つの半導体装置1が製造される領域)が示されている。図30は、図28の二点鎖線で囲まれた領域C3の部分拡大平面図(上面図)である。図19〜図21は同じ工程段階(後述のステップS3)を示し、図22〜図24は同じ工程段階(後述のステップS4)を示し、図28〜図32は同じ工程段階(後述のステップS5)を示している。図19〜図36のうち、図29は下面図であり、上記図17に対応する領域(そこから1つの半導体装置1が製造される領域)が示されている。なお、図28〜図30は、平面図であるが、図面を見易くするために図28〜図30では封止樹脂部6と樹脂材料36にハッチングを付してある。図19〜図36のうち、図20、図21、図23、図24、図25、図26、図27、図31、図32、図33、図35および図36は断面図である。この断面図のうち、図20、図23、図25、図26、図27、図31、図35および図36は、上記図18に対応する断面図である(すなわち上記図16のA3−A3線に相当する位置の断面図に対応する)。また、これら断面図のうち、図21、図24、図32および図33は、上記図15に対応する断面図である(すなわち上記図16のB3−B3線に相当する位置の断面図に対応する)。
ステップS2でリードフレーム21と放熱板3とを連結した後、図19〜図21に示されるように、フレーム31の放熱板3の上面3a上に半導体チップ2を接合材(ダイボンド材、接着材)7を介して接合する(図8のステップS3)。すなわち、チップ搭載部である放熱板3の上面3a上に半導体チップ2を搭載する。
ステップS3においては、半導体チップ2は、半導体チップ2の表面(電極2aが形成された側の主面)が上方を向くように放熱板3の上面3a上にダイボンディングされ、半導体チップ2の裏面が放熱板3の上面3aに接合材7を介して接合されて固定される。
接合材7としては、熱伝導性が高い接合材を用いることが好ましく、例えば半田や導電性のペースト材(導電性のペースト材として好ましいのは銀ペースト)などを用いることができるが、半田であれば放熱性向上効果が高いため、最も好ましい。接合材7が半田の場合には、ステップS3では、フレーム31の放熱板3の上面3a上に半田ペーストを塗布してから、その上に半導体チップ2を配置し、その後、半田リフロー処理を行えばよい。接合材7が銀ペーストのような導電性のペースト材の場合には、ステップS3では、フレーム31の放熱板3の上面3a上に導電性のペースト材を塗布してから、その上に半導体チップ2を配置し、その後、導電性のペースト材を硬化するための熱処理を行えばよい。
ステップS3でダイボンディングを行なった後、図22〜図24に示されるように、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ2の複数の電極2aとフレーム31の複数のリード4(の上面)とを複数のボンディングワイヤ(導電性ワイヤ)5を介してそれぞれ電気的に接続する(図8のステップS4)。
図25〜図27は、ステップS4のワイヤボンディング工程の説明図である。図25〜図27を参照して、ステップS4のワイヤボンディング工程の具体的な手順について説明する。
フレーム31において、各リード4の先端部分は、放熱板3と平面的に重なる位置に配置されている。しかしながら、図25に示されるように、各リード4のインナリード部4aの下面は、放熱板3の上面3aよりも高い位置にあるため、リード4の先端部(インナリード部4aの先端部)の下面と放熱板3の上面3aとの間には、所定の間隔があけられた状態となっている。このため、ステップS4のワイヤボンディング工程では、図26に示されるように、クランパ(押え用治具、押え部材)32などを用いて各リード4の先端部(インナリード部4a)を放熱板3の上面3aに押し付けて固定し、リード4の先端部(インナリード部4a)の下面が放熱板3の上面3aに接した状態で、キャピラリ33をリード4の先端部(インナリード部4a)の上面に押し付けてワイヤボンディングを行う。すなわち、リード4へのボンディングワイヤ5の接続を行う。これにより、リード4のインナリード部4aが固定された状態でワイヤボンディング(リード4へのボンディングワイヤ5の接続)を行うことができるので、ワイヤボンディングを的確に行うことができる。ワイヤボンディング後には、クランパ32によるリード4のインナリード部4aの固定を解除すると、図27に示されるように、リード4のインナリード部4aは放熱板3の上面3aから上昇して(離れて)元の高さ位置に戻る。
また、ステップS4のワイヤボンディング工程においては、半導体チップ2の複数の電極2aと複数のリード4とを複数のボンディングワイヤ5を介してそれぞれ電気的に接続するだけでなく、フレーム31の各リードフレーム側吊りリード20を、それに対応する半導体チップ2の電極2aにボンディングワイヤ5を介して電気的に接続する。半導体チップ2の複数の電極2aのうち、ボンディングワイヤ5を介してリードフレーム側吊りリード20に電気的に接続された電極2aは、好ましくはグランド電位用の電極である。また、吊りリード10とリードフレーム側吊りリード20とは互いに連結されて電気的にも接続されているため、吊りリード10および吊りリード10と一体的な放熱板3は、リードフレーム側吊りリード20およびボンディングワイヤ5を介して、半導体チップ2の電極2a(のうちのグランド電位用の電極2a)に電気的に接続される。
このように、ステップS4のワイヤボンディング工程では、半導体チップ2の複数の電極2aと、複数のリード4および複数(ここでは4つ)のリードフレーム側吊りリード20とが、ボンディングワイヤ(導電性ワイヤ)5を介して電気的に接続される。
ステップS4のワイヤボンディング工程を行なった後、図28〜図32に示されるように、モールド工程(樹脂成形工程、例えばトランスファモールド工程)による樹脂封止を行って、半導体チップ2およびそれに接続された複数のボンディングワイヤ5を封止樹脂部(封止樹脂、封止部、封止体)6によって封止する(図8のステップS5)。この際、リード部4のインナリード部4a、放熱板(チップ搭載部)3、吊りリード(導体部)10およびリードフレーム側吊りリード20も封止樹脂部6によって封止される。
すなわち、ステップS5のモールド工程によって、半導体チップ2、放熱板3、複数のリード4のインナリード部4a、複数のボンディングワイヤ5、複数(ここでは4つ)の吊りリード(導体部)10および複数(ここでは4つ)のリードフレーム側吊りリード20を封止する封止樹脂部6が形成される。封止樹脂部6は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを用いて封止樹脂部6を形成することができる。
各リード部4において、インナリード部4aは封止樹脂部6内に封止されて露出せず、各リード部4のアウタリード部4bは封止樹脂部6の外部に位置して露出している。封止樹脂部6は、一方の主面である上面6aと、上面6aの反対側の主面である下面(裏面、底面)6bとを有しているが、封止樹脂部6の下面6bにおいて、放熱板3の下面3bが露出している。
放熱板3と一体的に形成された吊りリード10は、一部(すなわち突出部13)が封止樹脂部6の側面6cから外方向に突出している。ここで、放熱板3と一体的に形成された吊りリード10のうち、封止樹脂部6の側面6cから外方向に突出している部分を突出部13と称するものとする。この突出部13の上面および下面は露出している(すなわち樹脂材料36で覆われていない)が、突出部13の側面は樹脂材料36で覆われている(すなわち露出していない)。
突出部13の上面が樹脂材料36で覆われない理由は、突出部13の下面が当モールド工程の際に樹脂材料36の薄バリが形成されないようにモールド金型(後述の金型51a,51bに対応)で突出部13の上面と下面に面圧をかけて固定し、樹脂材料36を充填するからである。これにより、突出部13の下面(金属面)が確実に露出し、実装基板(後述する実装基板41に対応)の端子(後述する端子42cに対応)との電気的接続が確実に可能となる。
また、突出部13の下面に対応する金型(下金型、後述の金型51aに対応)には、突出部13の下面が樹脂材料36の面より突出するように、突出部13に対応する凹部が形成されている。これにより、突出部13と実装基板(後述する実装基板41に対応)の端子(後述する端子42cに対応)との電気的接続の際にフィレット(半田フィレット)が形成され、接続信頼性が向上される。
ここで、封止樹脂部6を形成する際に、封止樹脂部6とともに同じ樹脂材料(後述の樹脂材料56)により形成されたものを樹脂材料36と称するものとする。このため、樹脂材料36は封止樹脂部6と同じ樹脂材料で封止樹脂部6と同時に形成される。樹脂材料36のほとんどは、後述のステップS6の突出部13の切断工程などで除去されるが、樹脂材料36のうち、除去されずに半導体装置1が製造されるまで残った部分は、封止樹脂部6の一部となり得る。このため、ステップS5で封止樹脂部6を形成した段階では、樹脂材料36も、封止樹脂部6に一部とみなすこともできる。従って、樹脂材料36は、封止樹脂部6を構成する樹脂材料(の一部)とみなすことができる。
また、図30に示されるように、ステップS5で封止樹脂部6を形成した段階では、封止樹脂部6の側面6cから突出する複数のリード(アウタリード部4b)の間で、かつタイバー23よりも内側の領域では、リード4の厚みとほぼ同じ厚みの樹脂材料36が充填されているが、この領域の樹脂材料36は、後述するステップS7のタイバー23の切断工程などで、除去される。また、図面の簡略化のために、図30に示される、封止樹脂部6の側面6cから突出する複数のリード(アウタリード部4b)の間で、かつタイバー23よりも内側の領域に形成された樹脂材料36については、図28、図29、および後述の図50、図60〜図62および図69では、図示を省略している。
このように、ステップS5のモールド工程では、半導体チップ2が搭載された放熱板(チップ搭載部)3の上面3a上を封止樹脂部6が覆い、封止樹脂部6の下面6bから放熱板(チップ搭載部)3の下面3bが露出するように、封止樹脂部6が形成される。また、ステップS5のモールド工程では、封止樹脂部6の側面6cから吊りリード(導体部)10の一部(すなわち突出部13)が突出し、吊りリード10の封止樹脂部6の側面6cから突出した部分である突出部13の下面および上面は露出され、突出部13の側面上は封止樹脂部6を構成する樹脂材料36で覆われるように、封止樹脂部6が形成される。
ステップS5で封止樹脂部6を形成した後、図33に示されるように、突出部13を切断する(図8のステップS6)。
ステップS6の突出部13の切断工程により、吊りリード10のうち、封止樹脂部6の側面6cから突出していた部分(すなわち突出部13)が切断・除去され、それ以外の部分の吊りリード10が、封止樹脂部6内に残存して、上述した半導体装置1における吊りリード10となる。ステップS6の突出部13の切断工程の後、吊りリード10の封止樹脂部6内に残存する部分(すなわち上述した半導体装置1における吊りリード10)は、その下面である下部露出面10bが封止樹脂部6の下面6bで露出している。また、ステップS6(の後述のステップS6b)での吊りリード10(突出部13)の切断面が、上述した半導体装置1における吊りリード10の切断面10aとなり、吊りリード10の下部露出面10bと切断面10aとは、連続して露出しており、封止樹脂部6(樹脂材料36を含む)で覆われていない。
このステップS6の突出部13の切断工程は、後述のステップS6a,6b,6cで構成され、その詳細については後で説明する。
次に、フレーム31(リードフレーム21)のタイバー23を切断する(図8のステップS7)。
ステップS7でタイバー23を切断する前は、隣り合うリード4のアウタリード部4b同士はタイバー23で連結されている。タイバー23を設けたことにより、製造工程中にリード4が個別に動いて隣り合うリード4同士が近接してしまうのを防止できるので、ステップS5で封止樹脂部6を形成した際に、封止樹脂部6内で隣り合うリード4のインナリード部4a同士が接触して短絡するのを防止できる。また、タイバー23は、封止樹脂部6を形成する際に樹脂流出防止機能も有している。しかしながら、製造された半導体装置においては、リード4同士は電気的に分離されている必要があるので、ステップS7で、封止樹脂部6の外部に位置するリード4のアウタリード部4b同士を連結するタイバー23を切断する。ステップS7のタイバー23の切断工程を行うことにより、隣り合うリード4同士は分離された状態となる。
次に、図34および図35に示されるように、封止樹脂部6の外部において、リード4を所定の位置で切断する(図8のステップS8)。ステップS8のリード4の切断工程を行うことにより、リード4はリードフレーム21(のフレーム枠22)から分離され、封止樹脂部6の側面6cからリード4のアウタリード部4bが突出した状態となる。すなわち、所定の長さのアウタリード部4bが半導体装置1側に残るように、リード4を切断するのである。
また、ステップS8のリード4の切断工程では、リード4を切断するだけでなく、封止樹脂部6から突出する部分のリードフレーム側吊りリード20も切断する。ステップS8でリードフレーム側吊りリード20を切断する際には、切断後にリードフレーム側吊りリード20が封止樹脂部6の側面6cから突出しないようにする。このため、リードフレーム側吊りリード20の切断面は、封止樹脂部6の側面6cで露出する。
次に、図36に示されるように、封止樹脂部6から突出するリード4のアウタリード部4bを折り曲げ加工(リード加工)する(図8のステップS9)。これにより、上記図1〜図7を参照して説明したような、個片化された本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)1が得られる(製造される)。
図37および図38は、上記ステップS1〜S9のようにして製造された本実施の形態の半導体装置1を、実装基板(配線基板)41に実装した状態を示す断面図である。図37は、上記図4に対応する断面図であり、図38は、上記図5に対応する断面図である。
半導体装置1を実装するための実装基板41は、配線基板(例えば多層配線基板)であり、半導体装置1を実装する実装面である上面に、複数の端子42を有している。端子42は、導電体パターンにより形成されており、リード4に接続するための端子42aと、封止樹脂部6の下面6bから露出する放熱板3の下面3bに接続するための端子42bと、封止樹脂部6の下面6bから露出する吊りリード10の下部露出面10bに接続するための端子42cとがある。
半導体装置1を実装基板41に実装するには、実装基板41の複数の端子42上に半田ペーストを印刷法などで供給してから、実装基板41上に半導体装置1を搭載(配置)し、その後、半田リフロー処理を行う。これにより、図37および図38に示されるように、半導体装置1が実装基板41に実装(半田実装)され、半導体装置1が実装基板41に固定されるとともに、リード4のアウタリード部4b(の下面4c)と、封止樹脂部6の下面6bで露出する放熱板3の下面3bと、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bとが、それぞれ実装基板41の端子42に半田43を介して接続(接合)される。この際、リード4のアウタリード部4b(の下面4c)は、実装基板41の端子42aに半田接続され、放熱板3の下面3bは、実装基板41の端子42bに半田接続され、吊りリード10の下部露出面10bは、実装基板41の端子42cに半田接続される。
従って、半導体装置1内の半導体チップ2の複数の電極2aが、半導体装置1内の複数のボンディングワイヤ5、複数のリード4および半田43を介して、実装基板41の複数の端子42aに電気的に接続される。また、実装基板41の上面の半導体装置1搭載領域以外の領域に、必要に応じて半導体装置1以外の電子部品など搭載することもできる。
また、封止樹脂部6の下面6bで露出する放熱板3の下面3bを、実装基板41の端子42bに半田接続することで、半導体装置1内の半導体チップ2で生じた熱を、放熱板3、半田43および端子43bを介して、実装基板41に放熱させることができる。これにより、半導体装置1の放熱特性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bを、実装基板41の端子42cに半田接続する。
半導体装置1を実装基板41に実装(半田実装)した状態では、封止樹脂部6の下面6bで露出する放熱板3の下面3bと、実装基板41の端子42bとの間の半田接続状態(半田43を介してきちんと接続されているかどうか)を、観察により確認することは困難である。
一方、半導体装置1を実装基板41に実装(半田実装)した状態でも、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bと、実装基板41の端子42cとの間の半田接続状態(半田43を介してきちんと接続されているかどうか)は、実装基板41に半田実装された半導体装置1を側面方向から観察することで、確認可能である。これは、吊りリード10の下部露出面10bと切断面10aとが連続して露出しており、吊りリード10の下部露出面10bを実装基板41の端子42cに半田43で接続した際には、半田43が吊りリード10の切断面10a上にも吸い上がり、この半田43の吸い上がりの有無を、半導体装置1の側面方向から観察できるためである。吊りリード10の切断面10a上への半田43の吸い上がりが確認されれば、吊りリード10の下部露出面10bと実装基板41の端子42cとの間の半田接続状態が良好であると判断することができる。これにより、半導体装置1の実装信頼性を向上させることができる。
従って、半導体装置1において、封止樹脂部6の下面6bで露出する吊りリード10の下部露出面10bに連続して、吊りリード10の切断面(先端面)10aが封止樹脂部6の側面6cで露出していることが、半導体装置1の実装信頼性を向上させる上で、極めて有効である。
放熱板3の下面3bを接続するための実装基板41の端子42bと、吊りリード10の下部露出面10bを接続するための実装基板41の端子42cとは、好ましくはグランド端子(グランド電位用の端子、グランド電位供給用の端子)である。これにより、半導体装置1を実装基板41に実装することで、実装基板41の端子42b,42cから放熱板3および吊りリード10に、グランド電位(接地電位)を供給することができる。
上述のように、放熱板3と吊りリード10とは同じ導電体材料により一体的に形成された部材であるため、放熱板3と吊りリード10とは同電位である。このため、たとえ放熱板3の下面3bが実装基板41の端子42bにうまく半田接続されていなかったとしても、吊りリード10の下部露出面10bと実装基板41の端子42cとが確実に半田接続されていれば、実装基板41の端子42cから吊りリード10にグランド電位(接地電位)が供給され、放熱板3もグランド電位(接地電位)となる。
上述のように、吊りリード10はリードフレーム側吊りリード20に連結されて互いに電気的に接続されており、リードフレーム側吊りリード20は、ボンディングワイヤ5を介して半導体チップ2の電極2aに電気的に接続されている。このため、半導体装置1を実装基板41に実装する際に、吊りリード10の下部露出面10bを実装基板41のグランド端子である端子42cに半田接続することで、実装基板41の端子42cから、吊りリード10、リードフレーム側吊りリード20およびボンディングワイヤ5を介して、半導体チップ2の電極2aにグランド電位(接地電位)を供給することができる。
また、上述のように、半導体装置1を実装基板41に実装(半田実装)した状態でも、吊りリード10の下部露出面10bと実装基板41の端子42cとの間の半田接続状態は確認可能である。このため、実装基板41の端子42cから、半田43、吊りリード10、リードフレーム側吊りリード20およびボンディングワイヤ5を経由して半導体チップ2の電極2aにグランド電位(接地電位)を供給する導電経路の信頼性を向上させることができる。
また、リード4のアウタリード部4bは、封止樹脂部6の外部に位置しているため、半導体装置1を実装基板41に実装(半田実装)した状態でも、リード4のアウタリード部4bと、実装基板41の端子42aとの間の半田接続状態(半田43を介してきちんと接続されているかどうか)は、確認可能である。このため、実装基板41の端子42aから、半田43、リード4およびボンディングワイヤ5を経由して半導体チップ2の電極2aに信号などを供給する導電経路の信頼性を向上させることができる。
このように、半導体チップ2の電極2aに電気的に接続されたリード4および吊りリード10と、実装基板41の端子42a,42cとの間の半田接続状態を確認できることにより、半導体装置1の実装信頼性(実装基板41への実装信頼性)を向上させることができる。
次に、上記ステップS5のモールド工程について、より詳細に説明する。
図39〜図48は、ステップS5のモールド工程の説明図である。図39および図40には、ステップS5のモールド工程前のフレーム31の断面図(側面断面図)が示されているが、図39は、図28のE1−E1線に相当する位置でのフレーム31の断面図にほぼ対応し、図40は、図28のE2−E2線に相当する位置でのフレーム31の断面図にほぼ対応する。なお、図28のE2−E2線がどこを指すかを分かりやすくするために、図30においても、図28のE2−E2線に相当する位置にE2−E2線を付してある。また、図41、図42、図43、図45および図47には、図39の断面図に対応する断面位置での断面図が示され、図44、図46および図48には、図40の断面図に対応する断面位置での断面図が示されている。なお、図43と図44は同じ工程段階に対応し、図45と図46は同じ工程段階に対応し、図47と図48は同じ工程段階に対応する。
ステップS5のモールド工程は、次のようにして行うことができる。
上述のようにしてステップS4のワイヤボンディング工程までを行う。図39および図40は、ステップS4のワイヤボンディング工程まで行った段階のフレーム31の断面図である。
また、ステップS5のモールド工程を行うために、図41に示されるような金型(モールド用金型)51a,51bを準備する。そして、ステップS4のワイヤボンディング工程までを行ったフレーム31を、図42に示されるように、金型(下金型)51a上に配置(載置)する。
次に、図43および図44に示されるように、金型51a,51bを型閉する。すなわち、フレーム31を金型(下金型)51aおよび金型(上金型)51bでクランプ(固定、挟み込み)する。この際、図示はしないけれども、放熱板3の下面3bが金型(下金型)51aの上面に接触(密着)するようにする。また、この際、吊りリード10の先端部14を金型51a,51bで上下から挟んで、吊りリード10の先端部14の下面14bと上面14cが、それぞれ金型(下金型)51aの上面と金型(上金型)51bの下面とに接触(密着)するようにする。また、この際、リード4のアウタリード部4bを金型51a,51bで上下から挟んで、リード4のアウタリード部4bの下面と上面が、それぞれ金型(下金型)51aの上面と金型(上金型)51bの下面とに接触(密着)するようにする。
ここで、上記図13にも示されるように、吊りリード10の先端部14とは、吊りリード10のうち、屈曲部11よりも先端側(放熱板3から遠い側)の部分を指す。
次に、図45および図46に示されるように、金型51a,51bのキャビティ内に封止樹脂部6形成用の樹脂材料56を導入(充填、注入)する。この樹脂材料56は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。例えば、フィラーを含むエポキシ樹脂などを樹脂材料56として用いることができる。
次に、金型51a,51bのキャビティ内に導入した樹脂材料56を加熱などにより硬化させる。硬化した樹脂材料56により、封止樹脂部6が形成されるが、封止樹脂部6以外に樹脂材料36も形成される。すなわち、封止樹脂部6と樹脂材料36とは、同じ樹脂材料56が硬化したものである。
その後、図47および図48に示されるように、金型51a,51bを離型して、封止樹脂部6が形成されたフレーム31を取り出す。
このようにして、ステップS5のモールド工程を行うことができる。
本実施の形態では、ステップS5のモールド工程で、吊りリード10の先端部14の下面上に封止樹脂部6および樹脂材料36が形成されないようにするため、図43および図44に示されるように、金型51a,51bをクランプした際に、吊りリード10の先端部14の下面14bを金型(下金型)51aの上面に密着(接触)させる。このため、吊りリード10の先端部14を金型51a,51bで上下から挟むことになるので、吊りリード10の先端部14の下面14bと上面14cが金型面(金型51aの上面および金型51bの下面)に接触することとなり、吊りリード10の先端部14の下面14bと上面14cが樹脂(封止樹脂部6)から露出される。
上記図13と図32を参照すると分かるように、封止樹脂部6の側面から突出する上記突出部13は、吊りリード10の先端部14により形成されている。従って、ステップS5のモールド工程を行った段階では、突出部13の上面(先端部14の上面14cに対応する面)および下面(先端部14の下面14bに対応する面)は樹脂材料(封止樹脂部6および樹脂材料36)で覆われずに露出する。
吊りリード10の先端部14の下面14bは樹脂材料(封止樹脂部6および樹脂材料36)で覆われずに露出している。このため、上記ステップS6で突出部13を切断して除去すると、吊りリード10の先端部14のうち、突出部13よりも内側(屈曲部11に隣接する側)の部分は、切断(除去)されずに封止樹脂部6内に残存して、製造後の半導体装置1内に存在する吊りリード10となる。そして、吊りリード10の先端部14のうち、ステップS6で切断(除去)されずに封止樹脂部6内に残存した部分の下面14bが、封止樹脂部6の下面6bで露出する上記下部露出面10bとなる。換言すれば、半導体装置1において、封止樹脂部6の下面6bで露出する下部露出面10bを形成するために、ステップS5のモールド工程において、吊りリード10の先端部14の下面14bが樹脂材料(封止樹脂部6および樹脂材料36)で覆われずに露出するように、封止樹脂部6を形成するのである。これにより、先端部14の下面14bのうち、ステップ6での突出部13の切断後に封止樹脂部6側に残った部分が、上記半導体装置1における吊りリード10の下部露出面10bとなって封止樹脂部6の下面6bで露出し、この下部露出面10bに連続して、吊りリード10の切断面10aが封止樹脂部6の側面6cで露出することになる。
しかしながら、ステップS5のモールド工程を行った段階において、突出部13の側面は、封止樹脂部6を構成するのと同じ樹脂材料36で覆われている。
ここで、ステップS5の樹脂モールド工程において、突出部13の側面上に樹脂材料36が形成されないようにしようとすると、吊りリード10の先端部14の側面と金型51aの側面とを密着させる必要がある。しかしながら、この場合、吊りリード10が位置ずれしていた場合に、フレーム31を金型51a,51bにうまくセット(配置)できなくなり、ステップS5の樹脂モールド工程を行えなくなってしまう可能性がある。また、吊りリード10の位置ずれを完全に防止するのは容易ではなく、特に上記ステップS2でリードフレーム21のリードフレーム側吊りリード20に放熱板3の吊りリード10を連結する場合には、吊りリード10の位置ずれが生じやすい。
そこで、本実施の形態では、上記図44からも分かるように、吊りリード10の位置ずれ分を考慮して、吊りリード10の先端部14の側面14aと金型51aの側面53との間に所定の間隔をあけるようにする。これにより、たとえ吊りリード10が位置ずれしていたとしても、ステップS5のモールド工程において、フレーム31を金型51a,51bにセットしやすくなり、半導体装置の生産性を向上することができる。また、吊りリード10の位置ずれを許容できるため、半導体装置の製造歩留まりを向上できる。
しかしながら、本実施の形態のように、吊りリード10の先端部14の側面14aと金型51aの側面53との間に所定の間隔をあけると、そこに樹脂材料56が流れ込んでしまうため、突出部13の側面上は、封止樹脂部6を構成するのと同じ樹脂材料36で覆われてしまう。
突出部13の側面上が樹脂材料36で覆われた状態のままで、この突出部13を切断しようとすると、突出部13だけでなく、突出部13の両側面を覆っていた樹脂材料36も同時に切断されることになる。放熱性を高めるために、放熱板3の厚みは厚いため、放熱板3と一体的に形成された吊りリード10の厚みも必然的に厚くなっており、この厚い吊りリード10の一部である突出部13をプレスで切断すると高い応力が生じる。このため、突出部13の切断時に、突出部13の両側面を覆っていた樹脂材料36も同時に切断すると、高い応力が樹脂材料36にも生じ、この応力が樹脂中を伝播して周辺に広がり、最終的に切断部の近傍の封止樹脂部6にクラックが入る可能性がある。封止樹脂部6にクラックが生じると、半導体装置の耐湿性を低下させるなど、半導体装置の信頼性を低下させてしまう。
そこで、本実施の形態では、ステップS6の突出部13の切断工程を、複数のステップに分け、突出部13の側面上の樹脂材料36を先に切断してから、突出部13の切断工程を行うことで、封止樹脂部6のクラックの問題を解決している。このステップS6の突出部13の切断工程について、より詳細に説明する。
図49は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一部(ステップS6の突出部13の切断工程)を示す製造プロセスフロー図である。図50〜図64は、ステップS6の突出部13の切断工程の説明図である。図50〜図64のうち、図50は平面図、図51〜図53は側面図、図54〜図57は部分拡大断面図(要部断面図)、図58、図59、図63および図64は断面図、図60〜図62は平面図に対応する。図50および図62は、上記図29に対応する平面図(下面図)であり、フレーム31の下面側(封止樹脂部6の下面6b側)が示されている。また、図60および図61は、上記図28に対応する平面図(上面図)であり、フレーム31の上面側(封止樹脂部6の上面6a側)が示されている。また、図51〜図53の側面図は、図50において、封止樹脂部6を矢印C4で示される方向から見た側面図にほぼ対応するが、簡略化のためにリードフレーム21を模式的に示し、封止樹脂部6に重なって見えるリードフレーム21の図示を省略している。このため、図51〜図53では、実質的には、封止樹脂部6(突出部13の側面上を覆う樹脂材料36も含む)の側面図が図示されている。また、図54〜図57は、図50の一点鎖線で囲まれた領域C5の断面図が示されている。この図54〜図57に示される断面は、放熱板3の上面3aおよび下面3bに平行な断面(すなわち封止樹脂部6の上面6aおよび下面6bに平行な断面)であり、図32に示されるF1−F1線の位置での断面を図50の領域C5について示したものが、図54〜図57に対応する。また、図58、図59、図63および図64は、上記図47に対応する断面図が示されている。すなわち、図58、図59、図63および図64は、上記図28や図60のE1−E1線に相当する位置での断面図が示されている。なお、図50および図60〜図62は、平面図であるが、図面を見易くするために、封止樹脂部6と樹脂材料36にハッチングを付してある。
上述のようにしてステップS5のモールド工程までを行った後、ステップS6の突出部13の切断工程を行うが、まず、突出部13の側面13a上の樹脂材料36を切断する(図49のステップS6a)。すなわち、吊りリード10の封止樹脂部6の側面6cから突出した部分である突出部13の側面13a上を覆う樹脂材料36の一部を切断する。
突出部13の側面13aは、上述した吊りリード10の先端部14の側面14aと同じ面である。突出部13の下面は、上記先端部14の下面14bに対応する面であり、放熱板3の下面3bや封止樹脂部6の下面6bと平行であり、放熱板3の下面3bとほぼ同一平面上にある。突出部13の上面は、上記先端部14の上面14cに対応する面であり、突出部13の下面とほぼ平行な平面である。突出部13の側面13aは、突出部13の上面と突出部13の下面とをつなぐ側面であり、突出部13の上面および下面と略垂直である。
ステップS6aの切断工程では、図50に示されるように、切断用のブレード(刃、刃物、切断用部材)61を用いて、突出部13の側面13a上の樹脂材料36を切断する。図50では、突出部13の側面13a上の樹脂材料36を切断するためのブレード61の平面形状が分かるように、ブレード61にハッチングを付して示してある。このステップS6aの切断工程の手順について、図51〜図56を参照して説明する。なお、図51と図54とは同じ工程段階に対応し、図52と図55とは同じ工程段階に対応し、図53と図56とは同じ工程段階に対応する。
ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程では、図51に示されるように、ブレード61を固定した状態で、切断用のブレード(刃、刃物、切断用部材)61に対して封止樹脂部6(フレーム31、リードフレーム21)を下降させる。この際、ブレード61の鋭利な刃先(先端部)61aが、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36を通過するように、ブレード61と封止樹脂部6(フレーム31、リードフレーム21)を予め位置決めしておく。ブレード61が接する前は、突出部13の側面13a上を覆う樹脂材料36は、図54に示されるような状態にある。
図52および図55に示されるように、ブレード61の刃先61aが突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36を通過することにより、ブレード61の刃先61aによって突出部13の側面13a上を覆う樹脂材料36が部分的に切断される。その後、ブレード61に対して封止樹脂部6(フレーム31、リードフレーム21)を上昇させる。
このようにして、図53および図56に示されるように、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36に切り込み部(切り欠き部)62が形成される。この切り込み部62は、突出部13の側面13a上を覆う樹脂材料36において、ブレード61の刃先61aで切断された部分である。
ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程では、吊りリード10(金属材料)は切断せず、吊りリード10(突出部13)を覆う樹脂(樹脂材料36)を切断する。このため、打ち抜きではなく、切断が行われ、ブレード61の鋭い刃先61aによって、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36が切断される。ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程では、リードフレーム21は切断されないため、リードフレーム21の下面21bにブレード61の上面61bが当接するまで、封止樹脂部6(フレーム31、リードフレーム21)をブレード61に対して下降させればよい。リードフレーム21の下面21bが当接するブレード61の上面61bは、ほぼ平坦であり、リードフレーム21を切断するような鋭利な部分を有していない。一方、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36に当接するブレード61の刃先61aは鋭く尖っている。このため、ブレード61の尖った刃先61aによって、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36のみが切断される。
このように、ステップS6aでは、吊りリード10の封止樹脂部6の側面6cから突出した部分である突出部13の側面13a上を覆う封止樹脂材料36の一部を切断することにより、この樹脂材料36に切り込み部62が形成される。ステップS6aでは、樹脂材料36のみが切断され、吊りリード10(突出部13)は切断されない。
ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程の後、突出部13を切断(打抜き、パンチング)する(図49のステップS6b)。すなわち、吊りリード10の封止樹脂部6の側面6cから突出した部分である突出部13を切断する。図57には、ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程を行なって図56の構造を得た後、ステップS6bで突出部13を切断した状態が示されている。
ステップS6bの突出部13の切断工程の具体的な手順について説明する。
まず、図58に示されるように、受けダイ(切断ダイ、金型ダイ)71上に封止樹脂部6(フレーム31)を配置する。そして、封止樹脂部6(フレーム31)を固定した状態で、切断用パンチ(切断パンチ、パンチ、刃物、刃)72を下降させる。この際、切断用パンチ72が、突出部13を打ち抜くように、受けダイ71、切断用パンチ72および封止樹脂部6(フレーム31)を予め位置決めしておく。これにより、図59に示されるように、突出部13が切断用パンチ72で打ち抜かれて切断・除去される。突出部13を切断する(打ち抜く)ことにより生じた吊りリード10(封止樹脂部6内に残存する吊りリード10)の切断面が、切断面10aである。打ち抜きにより形成された吊りリード10の切断面10aは、封止樹脂部6の上面6aおよび下面6bにほぼ垂直な面である。
図60は、図58と同じ工程段階の平面図に相当するが、突出部13を打ち抜くための切断用パンチ72の平面形状が分かるように、切断用パンチ72にハッチングを付して示してある。また、図61および図62は、ステップS6bで切断用パンチ72により突出部13を打ち抜いた直後の状態を示す上面図および下面図であり、上記図57と同じ工程段階に対応する。
ステップS6bの突出部13の切断工程では、吊りリード10(金属)を、その両側面上を覆う樹脂材料36とともに切断・除去する。このため、打ち抜き(打ち抜き加工、パンチング)により、ステップS6bの突出部13の切断工程を行うことが好ましい。
ステップS6bの突出部13の切断工程では、図58に示されるように、切断用パンチ72が、突出部13の上方の位置から、図59に示されるように、封止樹脂部6の下面6bの高さ位置よりも更に下側の位置まで下降することで、突出部13を打ち抜いて除去することができる。
突出部13は、リードフレーム21とは平面的に重なっていない。また、図60からも分かるように、切断用パンチ72の平面形状および平面寸法は、突出部13の平面形状および平面寸法と同程度かそれよりも若干大きいが、切断用パンチ72の通過位置がリードフレーム21とは平面的に重ならないような平面形状および平面寸法となっている。このため、切断用パンチ72で突出部13を打ち抜いても、リードフレーム21は切断されない。ここで、切断用パンチ72および突出部13の平面形状および平面寸法は、リードフレーム21の上面や封止樹脂部6の上面6aにほぼ平行な平面での形状および平面寸法に対応する。
ステップS6bの突出部13の切断工程の後、ステップS6bの突出部13の切断工程で生じたバリ73を修復する(図49のステップS6c)。
ステップS6bで突出部13を切断(打ち抜き)した際には、封止樹脂部6内に残存する吊りリード10の切断面10aの下部にはバリ73が生じやすい。このため、ステップS6bの突出部13の切断工程後のステップS6cのバリの修復工程において、吊りリード10の切断面10aの下部のバリ73を修復する。例えば、図63に示されるように、金型(バリ取り用金型)74の傾斜面74aに、封止樹脂部6内に残存する吊りリード10の切断面10aの下部のバリ73を押し当てて(押し付けて)バリ73を潰す(押しつぶす)ことで、図64に示されるように、吊りリード10の切断面10aの下部のバリ73を修復する(すなわちバリを無くす)ことができる。金型74の傾斜面74aは、吊りリード10の切断面10aに対して傾斜した面(両者の成す角度が90度未満)であり、封止樹脂部6の下面6bに対しても傾斜した面(両者の成す角度が90度未満)である。
また、ステップS6bで切断用パンチ72を下降させたときの切断用パンチ72の側面と受けダイ71の側面71aとの間の隙間を調整することで、突出部13を切断した際のバリ73の発生を抑制しておくことが、より好ましい。ステップS6cのバリの修復工程は、行なうことが好ましいが、バリ73の発生が少ない場合などには、省略することも可能である。
このように、ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程、ステップS6bの突出部13の切断工程、およびステップS6cのバリ73の修復工程により、上記ステップS6の突出部13の切断工程が行われる。その後、上述のように、ステップS7のタイバー23の切断工程、ステップS8のリード4の切断工程、およびステップS9のリード加工工程が行われて、半導体装置1が製造される。
ステップS6bの突出部13の切断工程では、吊りリード10の一部により構成される突出部13だけでなく、突出部13の両側面を覆っていた樹脂材料36も同時に切断(打ち抜き)される。放熱性を高めるために、放熱板3の厚みは厚いため、放熱板3と一体的に形成された吊りリード10の厚みも必然的に厚くなっており、ステップS6bで吊りリード10の一部である突出部13を切断する際には高い応力が生じる。しかしながら、本実施の形態では、ステップS6bの前に、ステップS6aの突出部13の側面13a上の樹脂材料36の切断工程を行って、切り込み部62を形成している。このため、ステップS6bの突出部13の切断工程では、吊りリード10には高い応力が生じるが、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36には切り込み部62が予め形成されていたため、この切り込み部62が、樹脂(樹脂材料36および封止樹脂部6)中を応力が伝播するのを防止するように作用する。すなわち、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36に予め切り込み部62を形成しておけば、応力発生部と封止樹脂部6との間が、切り込み部62で不連続となるため、ステップS6bで吊りリード10を切断するのに伴って生じる高い応力が、この切り込み部62を越えて封止樹脂部6に伝播されにくくなる。これにより、吊りリード10の切断面10aの近傍の封止樹脂部6にクラックが入るのを抑制または防止することができる。このため、半導体装置1の耐湿性を向上させることができ、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
図65〜図67は、ステップS6aで形成した切り込み部62の位置と、ステップS6bで打ち抜く領域を示す説明図(部分拡大断面図)である。図65〜図67には、上記図56に対応する断面図が示されており、ステップS6bで切断用パンチ72によって打ち抜かれる領域81が、点線で模式的に示されている。図65〜図67において、突出部13(吊りリード10)を点線(打ち抜かれる領域81を示す点線)が横切っている位置が、突出部13(吊りリード10)が切断される位置であり、上記切断面10aが形成される位置に対応する。
ステップS6aで形成した切り込み部62の位置と、ステップS6bで打ち抜かれる領域81との位置関係は、図65(第1の場合)、図66(第2の場合)および図67(第3の場合)の3つの場合が考えられる。
第1の場合は、図65に示されるように、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)と、ステップS6aで形成した切り込み部62の位置(切り込み部62の先端部の位置、すなわち切り込み部62において最も深くまで切り込まれた部分の位置)とが、一致している場合である。
第2の場合は、図66に示されるように、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)が、ステップS6aで形成した切り込み部62の位置(切り込み部62の先端部の位置、すなわち切り込み部62において最も深くまで切り込まれた部分の位置)よりも、外側(放熱板3から離れる側)にある場合である。
第3の場合は、図67に示されるように、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)が、ステップS6aで形成した切り込み部62の位置(切り込み部62の先端部の位置、すなわち切り込み部62において最も深くまで切り込まれた部分の位置)よりも、内側(放熱板3に近づく側)にある場合である。
ステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを切り込み部62で防止する効果が大きいのは、上記第1の場合(図65の場合)と上記第2の場合(図66の場合)である。すなわち、ステップS6bにおける切断面(吊りリード10の切断面10a)は、切り込み部62に一致する位置(上記第1の場合)か、あるいは切り込み部62よりも外側に位置している(上記第2の場合)ことが好ましい。
上記第3の場合(図67の場合)には、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)が、切り込み部62の位置よりも内側(放熱板3に近づく側)である。このため、上記第3の場合(図67の場合)には、切り込み部62はステップS6bにおいて打ち抜きで除去される領域81に含まれてしまい、ステップS6bでの切断面から封止樹脂部6まで樹脂が連続的につながることになり、切り込み部62が応力伝播の遮断のために機能できない。従って、ステップS6bで突出部13を切断する際に切断面に高い応力が生じたときに、切断面から封止樹脂部6まで連続的につながった樹脂を応力が伝播して、切断部の近傍の封止樹脂部6にクラックが入る可能性がある。
それに対して、上記第2の場合(図66の場合)には、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)が、切り込み部62の位置よりも外側(放熱板3から離れる側)である。このため、上記第2の場合(図66の場合)には、切り込み部62はステップS6bにおいて打ち抜きで除去される領域81に含まれず、ステップS6bでの切断面から封止樹脂部6までの樹脂が切り込み部62で不連続となり、切り込み部62が応力伝播を遮断するように機能する。従って、ステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを切り込み部62で防止でき、吊りリード10の切断面10aの近傍の封止樹脂部6にクラックが入るのを抑制または防止することができる。これにより、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
また、上記第1の場合(図65の場合)には、ステップS6bにおける突出部13の切断位置(吊りリード10の切断面10aの位置)が、切り込み部62の位置とほぼ一致している。ステップS6bでの切断面が切り込み部62の位置と一致することにより、ステップS6bの突出部13切断時に、突出部13の切断面において突出部13(吊りリード10)とともに切断される樹脂材料36の厚みが極めて薄くなるため、ステップS6bの突出部13切断時の応力が樹脂にはほとんど印加されなくなる。また、第2の場合(図66の場合)と同様、切り込み部62が応力伝播を遮断するようにも機能する。従って、上記第1の場合(図65の場合)も、ステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを防止でき、吊りリード10の切断面10aの近傍の封止樹脂部6にクラックが入るのを抑制または防止することができ、半導体装置1の信頼性を向上させることができるが、この効果は、第1の場合(図65の場合)が、第2の場合(図66の場合)よりも更に大きい。
図68および図69は、ステップS6aで形成した切り込み部62の変形例を示す説明図である。図68には、上記図56に対応する断面図が示されており、図69には、上記図50に対応する平面図(下面図)が示されている。
突出部13は、両側面13a上が樹脂材料36で覆われている。上記図50、図55および図56の場合は、突出部13の両側面13a上を覆う樹脂材料36のうち、一方の側面13aでだけ樹脂材料36を切断して切り込み部62を形成している。従って、上記図50、図55および図56の場合は、ステップS6aにおいて、突出部13の両側面13aのうち、一方の側面13a上の樹脂材料36には切り込み部62が形成されるが、他方の側面13a上の樹脂材料36には切り込み部62が形成されない。
他の形態(変形例)として、ステップS6aにおいて、図68および図69に示されるように、突出部13の両側面13a上を覆う樹脂材料36のうち、両方の側面13aで樹脂材料36を切断して切り込み部62を形成することもできる。すなわち、ステップS6aにおいて、突出部13の両方の側面13a上の樹脂材料36に切り込み部62を形成することもできる。この場合、ステップS6aの切断工程では、図69に示されるように、各突出部13の両方の側面13aにブレード61を当てて、突出部13の両側面13a上の樹脂材料36を切断する。
ステップS6aにおいて、図68のように、突出部13の両方の側面13a上の樹脂材料36に切り込み部62を形成すれば、上述したような、切り込み部62によるステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを防止する効果を高めることができ、吊りリード10の切断面10aの近傍の封止樹脂部6にクラックが入るのを抑制または防止できる効果を更に高めることができる。従って、半導体装置1の信頼性を更に向上させることができる。
図70は、ステップS6aで形成した切り込み部62の他の変形例を示す説明図であり、上記図56に対応する断面図が示されている。
ステップS6aで形成した切り込み部62(の先端)は、上記図56などに示されるように、突出部13(を構成する吊りリード10)の側面13aに到達していることがより好ましいが、突出部13の側面13aを覆う樹脂材料36に切り込み部62が形成されていれば、図70に示されるように、切り込み部62(の先端)が突出部13(を構成する吊りリード10)の側面13aに到達していなくとも、有効である。
図70の場合であっても、ステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを抑制または防止でき、封止樹脂部6にクラックが入るのを抑制または防止できる。但し、ステップS6bの突出部13切断時の応力が封止樹脂部6に伝播されるのを防止するには、上記図56などに示されるように、ステップS6aで形成した切り込み部62が、突出部13(を構成する吊りリード10)の側面13aに到達していることがより好ましく、これにより、封止樹脂部6におけるクラックの発生をより確実に防止することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。