JP2019091558A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

正極活物質の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019091558A
JP2019091558A JP2017218026A JP2017218026A JP2019091558A JP 2019091558 A JP2019091558 A JP 2019091558A JP 2017218026 A JP2017218026 A JP 2017218026A JP 2017218026 A JP2017218026 A JP 2017218026A JP 2019091558 A JP2019091558 A JP 2019091558A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal powder
active material
positive electrode
electrode active
processing chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017218026A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7048266B2 (ja
Inventor
逸人 村田
Itsuhito Murata
逸人 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Nippon Sanso Corp filed Critical Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority to JP2017218026A priority Critical patent/JP7048266B2/ja
Publication of JP2019091558A publication Critical patent/JP2019091558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7048266B2 publication Critical patent/JP7048266B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】処理温度の低温化が図れるとともに、水分をほとんど含まない正極活物質を得ることができるリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質の製造方法を提供する。【解決手段】処理室内に配置した金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上からなる金属粉末を加熱する加熱工程と、処理室内に水素含有化合物を供給して金属粉末の還元処理を行う還元処理工程と、金属粉末を還元処理工程の温度より低い温度に冷却する冷却工程と、処理室内にフッ素含有化合物を供給して還元処理された金属粉末のフッ化処理を行うフッ化処理工程とを行う。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ化物正極活物質の製造方法に関し、詳しくは、非水電解液二次電池用のフッ化物正極活物質を、金属粉末をガス処理することによって製造する方法に関する。
室温付近で動作するリチウムイオン二次電池は、携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車などに広く用いられており、開発が進められている。従来のリチウムイオン二次電池における正極活物質として、LiCoOや、三元系と呼ばれるLiCo1/3Ni1/3などの層状酸化物正極が使われてきた。しかし、満充電状態では、Coの4価やNiの4価といった異常電子価状態となって酸素が放出されるため、電池という密閉空間の中では、内圧上昇や発熱などのトラブル原因になっていた。
一方、正極活物質の中で、LiTiFなどのアルカリ金属含有フッ化金属は、高温下、満充電時においても酸素の放出がなく、電池の熱安定性が高く有用であり、例えば、コバルト酸リチウムと硝酸サマリウムと酸性フッ化アンモニウムとを混合し、フッ素を含むガス中において800℃、5時間処理することで、2wt%のフッ化物金属を得る技術(例えば、特許文献1参照。)や、LiTiFなどのリチウムフッ化金属を合成するため、TiOなどの金属材料と炭酸リチウム(LiCO)をフッ酸溶液中で反応させる技術(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
特開2000−353524号公報 特開2009−238687号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、フッ化水素などのフッ素含有ガスを使用して800℃の高温雰囲気で処理するため、処理室や配管などの接ガス部に、フッ素やフッ化水素に対する耐性を有する材料を使用する必要がある。このため、フッ素やフッ化水素に対する耐性が200℃程度のステンレス鋼を使用することができず、耐性が高いインコネル(登録商標)などの高耐性金属であっても、実用上は600℃程度が限界であることから、処理室などの接ガス部に用いる適当な材料が多くは存在せず、安定的にフッ化物金属を得るためには、処理温度の低温化が必須となっている。
また、特許文献2に記載された技術では、合成されたフッ化物金属中に、フッ酸溶液中に含まれる多量の水分が混入してしまう。混入した水分は、電池の充放電が繰り返される中で材料から脱離し、電池材料中のフッ素化合物と反応してフッ化水素が発生し、これが、電池寿命を劣化させる要因となることが問題となっている。
そこで本発明は、処理温度の低温化が図れるとともに、水分をほとんど含まない正極活物質を得ることができるリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のフッ化物正極活物質の製造方法は、処理室内に配置した金属粉末を加熱しながら処理ガスを供給してリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質を製造する方法であって、前記処理室内に配置した金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上からなる金属粉末を加熱する加熱工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給して前記金属粉末の還元処理を行う還元処理工程と、前記処理室内にフッ素含有化合物を供給して還元処理された前記金属粉末のフッ化処理を行うフッ化処理工程とを含むことを特徴としている。
特に、本発明のフッ化物正極活物質の製造方法は、処理室内に配置した金属粉末を加熱しながら処理ガスを供給してリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質を製造する方法であって、前記処理室内に配置した金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上からなる金属粉末を加熱する加熱工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給して前記金属粉末の還元処理を行う還元処理工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給しながら還元処理された前記金属粉末を、前記還元処理工程の温度より低い温度に冷却する冷却工程と、前記処理室内にフッ素含有化合物を供給し、還元処理後に冷却された前記金属粉末のフッ化処理を行うフッ化処理工程とを含むことを特徴としている。
さらに、本発明のフッ化物正極活物質の製造方法は、前記フッ化物正極活物質が、LiPOF(式中のa,bは、0<a≦2.0、0<b≦1.0を示し、Mは、Fe、Mn、Ni、Cu、Ti、Co、Mo、V、Znの中の少なくとも1種類以上を示す。)又は、Li(式中のc、d、eは、0<c≦3.0、0<d≦1.0、3.0≦e≦6.0を示し、Mは、Fe、Mn、Ni、Cu、Ti、Co、Mo、V、Znの中の少なくとも1種類以上を示す。)であること、前記水素含有化合物が、H、SiH、Si、NH、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンの中の少なくとも1種類以上であること、前記フッ素含有化合物が、F、NF、HF、BF、ClF、CF、SF、C、XeF、PF、SiF、CHF、CHFの中の少なくとも1種類以上であることを特徴としている。
また、前記加熱工程では、前記金属粉末を600〜750℃に加熱して保持すること、前記フッ化処理工程では、前記金属粉末を500〜600℃のときに行うことを特徴とし、さらに、前記還元処理工程は、前記処理室から排出される排気ガス中の水分濃度が100ppm以下になるまで行うことを特徴としている。
本発明の正極活物質の製造方法によれば、水分をほとんど含まないリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質を効率よく製造することができる。また、高温で還元処理工程を行い、冷却工程を介してフッ化処理工程を行うことにより、還元処理を高温で効果的に行うことができるとともに、フッ化処理工程を、処理室などの接ガス部をフッ素含有化合物から保護することができ、安定した状態でフッ化物正極活物質を製造することができる。さらに、還元処理工程を行っている際に処理室から排出される排気ガス中の水分濃度を監視することにより、還元処理工程をより確実に行うことができ、フッ化物正極活物質を更に効率よく製造することができる。
まず、本発明は、LiPOF(式中のa,bは、0<a≦2.0、0<b≦1.0を示し、Mは、Fe、Mn、Ni、Cu、Ti、Co、Mo、V、Znの中の少なくとも1種類以上を示す(Mについては、以下に記載する各式についても同様である。)。)又は、Li(式中のc、d、eは、0<c≦3.0、0<d≦1.0、3.0≦e≦6.0を示す。)で示されるリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質、具体的には、LiCoO、LiFeF、LiFeFなどのフッ化物正極活物質を製造するためのものであって、基本的に、高温状態を保持可能な処理室内に原料となる金属粉末を配置するとともに、処理室内を特定の温度に保持しながら特定の処理ガスを供給することにより、フッ化物正極活物質を製造するものである。
原料となる金属粉末は、金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上であって、金属酸化物や金属フッ化物は、特に限定されるものではないが、例えば、Li2−xPO(式中、xは、0≦x≦2.0)、LiM(式中、yは、0≦y≦1.0)、MF、MF、MO、MO、Mを使用することができる。具体的には、LiCoPO、LiNiPO、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiFeO、CoF、CoF、NiF、NiF、MnF、MnF、MnF、FeF、FeF、CoO、Co、Co、NiO、TiO、Fe、FeOなどを挙げることができる。これらの金属酸化物や金属フッ化物は、単独で、あるいは、複数種類を混合した状態で用いることができる。また、リチウム含有化合物としては、例えば、LiF、LiCO、LiOH、LiO、LiHなどを単独であるいは複数種類を混合して用いることができる。
加熱工程は、処理室にヒータなどの加熱手段を設けたり、処理室内に供給する処理ガスを加熱したりすることによって行うことができる。加熱温度は、使用する原料金属粉末の種類や使用する処理ガスの種類などの条件によって異なるが、通常、加熱工程に続く還元処理工程における原料金属粉末の温度を750℃以下、好ましくは600〜750℃に加熱するようにしている。
600〜750℃の範囲に原料金属粉末を保持した状態で行う還元処理工程で使用する処理ガスは、金属粉末の還元処理を行うことができる水素単独を含む水素含有化合物からなるガス、あるいは、水素含有化合物と不活性ガスとの混合ガスを使用することができる。水素含有化合物は、使用する原料金属粉末や加熱温度などの条件によって異なるが、通常は、H、SiH、Si、NH、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンを使用することができ、これらの水素含有化合物を、単独で、あるいは、複数種類を混合した状態で用いることができる。
フッ化処理工程は、前記還元処理工程と同程度の温度、好ましくは、還元処理工程の温度より低い温度で行われるもので、通常は、還元処理工程を終えた後、処理室内に水素含有化合物を供給しながら還元処理工程の温度より低い温度に冷却する冷却工程を行い、還元処理された金属粉末を、600℃以下、好ましくは500〜600℃になった状態でフッ化処理工程を開始することが望ましい。冷却工程は、ヒータなどの作動を一時停止し、あらかじめ設定した温度に低下した後、その温度を保持するようにすればよい。
フッ化処理工程で使用するフッ素単独を含むフッ素含有化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、F、NF、HF、BF、ClF、CF、SF、C、XeF、PF、SiF、CHF、CHFなどを使用することができ、これらを単独で、あるいは、複数種類を混合した状態で用いることができる。
また、プラズマ、マイクロ波、紫外線、触媒などを使用し、水素含有化合物やフッ素含有化合物を活性化させた状態で処理室内に供給することも可能である。
このように、還元処理工程を高い温度、例えば750℃で行うことにより、水素含有化合物による金属粉末の還元処理を効率よく行えるとともに、金属粉末に含まれる水分を効果的に除去することができる。また、通常の金属材料は、水素含有化合物に対する耐性を有しているため、750℃の高温で実施しても、処理室などの接ガス部が腐食したり、劣化したりすることはほとんどない。
一方、フッ化処理工程では、処理室内の金属材料を還元処理工程より低い温度、例えば600℃で行うことにより、処理室などの接ガス部がフッ素やフッ素含有化合物によって侵されることが少なくなり、特に、前述のインコネル(登録商標)を使用することにより、接ガス部が腐食したり、劣化したりすることがほとんどなくなり、長期間にわたって安定してフッ化処理工程を行うことができる。
また、一つの処理室で還元処理工程とフッ化処理工程とを連続的に行うことが望ましいが、還元処理工程用の処理室とフッ化処理工程用の処理室とを別に形成し、適宜な搬送手段で還元処理工程用の処理室からフッ化処理工程用の処理室へ金属粉末を移送するように形成することもできる。
すなわち、高温状態で還元処理工程を行うことにより、水素などと酸素原子などとの酸化還元反応が進行しやすくなり、原料を単原子金属に近い状態にすることができるので、FやHFとの反応性を高めることができ、フッ化処理を低い温度で行うことが可能となり、このような水素含有化合物を供給する還元処理工程とフッ素含有化合物を供給するフッ化処理工程とを組み合わせることで、フッ化物正極活物質への反応効率が向上し、フッ化処理工程の低温化が可能となる。
また、フッ酸溶液を使用せずに完全なドライ環境の製造工程であることから、フッ酸溶液による合成方法よりも格段に含有水分が少ないフッ化物正極活物質を得ることができる。さらに、還元処理工程を、処理室から排出される排気ガス中の水分濃度が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下になるまで継続することにより、還元処理工程で水素と酸素とが反応して生成した水分を確実に除去できるとともに、排気ガス中の水分濃度を確認することにより、還元反応の進行状況、完了時間を把握することができ、必要十分な還元処理を行うことができる。
処理室内に配置する金属粉末は、処理室内容積において単位容積(L)当たり1g以上とすることが好ましく、1g未満の場合は処理量が少ないため、生産性が低下するだけでなく、排気ガス中の水分濃度の検出が困難となることがある。さらに、水素含有化合物の供給量は、原料金属粉末量単位グラム(g)当たり100sccm以下とすることが好ましく、100sccmを超えると排気ガス中の水分が希釈されすぎてしまうため、測定が困難になることがある。例えば、処理室内容積が10Lの場合、原料金属粉末は10g以上とすることが好ましく、原料金属粉末を10gとした場合の水素含有化合物の供給量は、1000sccm以下とすることが好ましい。また、処理室内の圧力は、1kPa以上、好ましくは100kPa以上に圧力制御した状態で各ガス処理を実施することが望ましく、各工程において圧力を変更してもよい。
処理室内への各処理ガスの供給は、特に制限はなく、水素含有化合物の供給とフッ素含有化合物の供給とを繰り返し行ってもよく、各工程において水素含有化合物、フッ素含有化合物、不活性ガスをそれぞれ混合してから処理室内に供給してもよい。また、2種類以上を混合して導入する場合も、特に限定されるものではないが、混合手法として、例えば、混合ガスを容器に充填したものを処理室内に供給する方法、処理室の上流側で2種類以上のガスを予混合して処理室内に供給する方法、各ガス種を個別に供給して処理室内で混合する方法などを適宜に選択できる。不活性ガスには、N、He、Ar、Ne、Xe、Krを使用できる。
実施例1
LiCoFの製造実験を行った。まず、CoOの粉末とLiFの粉末とを十分に混合したものを原料金属粉末に用いて処理室内に設置し、処理室内に窒素を流通させた状態で加熱工程を行って金属粉末を750℃まで加熱した。750℃の状態で、水素含有化合物としてのHを供給し、240分間加熱処理して還元処理工程を行った。還元処理工程終了後、Hの供給を継続した状態で、金属粉末を600℃まで冷却する冷却工程を行った。600℃を保持した状態で、Hの供給を停止し、N中にFを20%含むガスをフッ素含有化合物として供給し、240分間加熱処理してフッ化処理工程を行った。各工程における処理室内の圧力は、いずれも100kPaに制御した(以下、同様)。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、CoF及びLiFの成分ピークが消え、LiCoFの成分ピークが確認できた。
実施例2
実施例1と同じLiCoFの製造実験を、コバルト酸リチウム(LiCoO)を原料金属粉末に使用して行った。実施例1と同じ条件で加熱工程、還元処理工程及びフッ化処理工程を行った。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、LiCoOの成分ピークが消え、LiCoFの成分ピークが確認できた。
比較例1
LiCoOの粉末と酸性フッ化アンモニウム(NHF・HF)の粉末とを十分に混合したものを処理室内に設置した。処理室内に窒素を流通した状態で金属粉末を800℃まで加熱した。800℃の状態で、N中にFを20%含むガスをフッ素含有化合物として供給し、240分間加熱処理を行った。処理後のサンプルのXRD測定を実施したところ、LiCoFの成分ピークは検出されず、LiCoOが残留していた。
比較例2
CoOの粉末とLiFの粉末とを十分に混合したものを処理室内に設置した。処理室内に窒素を流通した状態で金属粉末を600℃まで加熱した。600℃の状態でN中にFを20%含むガスをフッ素含有化合物として供給し、240分間加熱処理を行った。処理後のサンプルのXRD測定を実施したところ、LiCoFのピーク成分は検出されず、LiCoOの成分ピークとLiFの成分ピークとが検出された。
実施例1,2及び比較例1,2の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2019091558
表1に示すように、実施例1,2では、LiCoFの製造を確認できたが、比較例1,2では、共にLiCoFは検出できなかった。特に、比較例1は、800℃の高温条件下であっても生成されなかった。この要因として、800℃以下ではFによる反応エネルギーが不足しており、フッ素含有化合物を供給する工程単独ではフッ化物正極活物質の製造が困難であることを示している。
一方、実施例1,2では、水素を供給して還元処理工程を行い、CoOやLiCoOの還元処理を行うことによって生成されるCoは、含有されているLiFやFを供給するフッ化処理工程におけるフッ化反応を促進させる効果があるため、フッ素含有化合物を供給して行うフッ化処理工程を低温で行うことが可能となる。したがって、ガス処理によってLiCoFを製造する際に、フッ化処理工程の前段に、水素含有化合物を供給する還元処理工程を導入することで、フッ化処理工程の低温化を達成できることがわかる。
実施例3
LiFeFの製造実験を行った。Feの粉末とLiFの粉末とを十分に混合したものを処理室内に設置し、処理室内に窒素を流通させた状態で加熱工程を行って金属粉末を750℃まで加熱した。750℃の状態で、水素含有化合物としてのHを供給し、240分間加熱処理して還元処理工程を行った。還元処理工程終了後、Hの供給を継続した状態で、金属粉末を600℃まで冷却する冷却工程を行った。600℃を保持した状態で、Hの供給を停止し、N中にFを20%含むガスをフッ素含有化合物として供給し、240分間加熱処理してフッ化処理工程を行った。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、Fe及びLiFの成分ピークが消え、LiFeFの成分ピークが確認できた。
実施例4
実施例3と同じLiFeFの製造実験を、LiFeOの粉末を使用して行った。実施例3と同じ条件で加熱工程、還元処理工程及びフッ化処理工程を行った。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、LiFeOの成分ピークが消え、LiFeFの成分ピークが確認できた。
比較例3
Feの粉末とLiFの粉末とを十分に混合したものを処理室内に設置し、600℃に加熱した状態で、N中にFを20%含むガスを供給し、240分間加熱処理を行った。処理後のサンプルのXRD測定を実施したところ、LiFeFの成分ピークは検出されず、FeとLiFとが残留していた。
実施例3,4及び比較例3の結果をまとめて表2に示す。
Figure 2019091558
表2に示す結果から、実施例3,4ではLiFeの製造を確認できたが、比較例3ではLiFeFが未検出であった。これは、実施例1、2と同様、還元処理工程によってFeやLiFeOの還元反応を生じさせ、Fを供給する工程でフッ化反応を促進させる効果があることを示している。したがって、ガス処理によってLiFeFを製造する際に、フッ化処理工程の前段に、水素含有化合物を供給する還元処理工程を導入することで、フッ化処理工程の低温化を達成できることがわかる。
実施例5
LiFeFの製造実験を行い、含有水分量を測定した。Feの粉末とLiFの粉末とを十分に混合したものを処理室内に設置し、処理室内に窒素を流通させた状態で加熱工程を行って金属粉末を750℃まで加熱した。750℃の状態で、水素含有化合物としてのHを供給し、240分間加熱処理して還元処理工程を行った。このとき、処理室から排出される排気ガス中の水分濃度をFT−IRを用いて分析し、240分後の水分濃度が10ppm以下であることを確認した。還元処理工程終了後、Hの供給を継続した状態で、金属粉末を600℃まで冷却する冷却工程を行った。600℃を保持した状態で、Hの供給を停止し、N中にFを20%含むガスをフッ素含有化合物として供給し、240分間加熱処理してフッ化処理工程を行った。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、Fe及びLiFの成分ピークが消え、LiFeFの成分ピークが確認できた。さらに、得られたLiFeF内の含有水分量を、昇温脱離ガス質量分析(TDS−MS)で測定したところ、LiFeFの1g当たり、14.5μgであった。
比較例4
FeClと炭酸リチウム(LiCO)とを50%フッ酸溶液に溶解して反応させた。反応終了後、有機溶媒で洗浄してから真空乾燥を行い、LiFeFを製造した。得られたLiFeF内の含有水分量を測定するため、TDS−MSを実施したところ、LiFeFの1g当たり、1089μgであった。
比較例5
実施例5において、還元処理工程を十分に行わず、20分で終了した。このときの排気ガス中の水分濃度は300ppm以上であった。これ以外は実施例5と同じ条件で各工程を行った。フッ化処理工程終了後のサンプルのXRD測定を実施したところ、Fe、LiF及びLiFeFの成分ピークがそれぞれ確認された。さらに、得られたサンプル内の含有水分量を、昇温脱離ガス質量分析(TDS−MS)で測定したところ、サンプル1g当たり、30.5μgであった。
実施例5及び比較例4,5の結果をまとめて表3に示す。
Figure 2019091558
表3の結果から、フッ酸溶液を使用した比較例4に比べて、ガス処理を行った実施例5の方が、格段に含有水分量が少なくなることがわかる。すなわち、水分量に関しては、実施例5ではドライな環境で製造したため、取り込まれる水分量が少ないことを示す。一方、比較例4では、合成過程でフッ酸溶液中の水分が多く取り込まれた結果である。このことから、ガス処理によるドライ環境で製造することにより、電池寿命の悪影響となる水分含有量が少ないフッ化物正極活物質を製造できることが分かる。また、実施例5と比較例5との比較では、共にドライ環境で製造したため、水分含有量は少ない。しかしながら、XRDピーク強度比の結果より、比較例5ではLiFeFが製造されている一方、未反応のFeやLiFが多く残留した。これは、比較例5の還元処理工程が不十分であり、排気ガス中の水分濃度が300ppm以上で還元処理工程を終了してしまったため、還元反応が不足していることを示している。したがって、還元処理工程を行っている際に、排気ガス中の水分濃度を監視することにより、還元反応の進行状態を把握することができる。

Claims (8)

  1. 処理室内に配置した金属粉末を加熱しながら処理ガスを供給してリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質を製造する方法であって、前記処理室内に配置した金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上からなる金属粉末を加熱する加熱工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給して前記金属粉末の還元処理を行う還元処理工程と、前記処理室内にフッ素含有化合物を供給して還元処理された前記金属粉末のフッ化処理を行うフッ化処理工程とを含むことを特徴とするフッ化物正極活物質の製造方法。
  2. 処理室内に配置した金属粉末を加熱しながら処理ガスを供給してリチウムイオン二次電池用のフッ化物正極活物質を製造する方法であって、前記処理室内に配置した金属酸化物、金属フッ化物及びリチウム含有化合物の少なくとも1種類以上からなる金属粉末を加熱する加熱工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給して前記金属粉末の還元処理を行う還元処理工程と、前記処理室内に水素含有化合物を供給しながら還元処理された前記金属粉末を、前記還元処理工程の温度より低い温度に冷却する冷却工程と、前記処理室内にフッ素含有化合物を供給し、還元処理後に冷却された前記金属粉末のフッ化処理を行うフッ化処理工程とを含むことを特徴とするフッ化物正極活物質の製造方法。
  3. 前記フッ化物正極活物質は、LiPOF(式中のa,bは、0<a≦2.0、0<b≦1.0を示し、Mは、Fe、Mn、Ni、Cu、Ti、Co、Mo、V、Znの中の少なくとも1種類以上を示す。)又は、Li(式中のc、d、eは、0<c≦3.0、0<d≦1.0、3.0≦e≦6.0を示し、Mは、Fe、Mn、Ni、Cu、Ti、Co、Mo、V、Znの中の少なくとも1種類以上を示す。)であることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
  4. 前記水素含有化合物は、H、SiH、Si、NH、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンの中の少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
  5. 前記フッ素含有化合物は、F、NF、HF、BF、ClF、CF、SF、C、XeF、PF、SiF、CHF、CHFの中の少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
  6. 前記加熱工程は、前記金属粉末を600〜750℃に加熱して保持することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
  7. 前記フッ化処理工程は、前記金属粉末が500〜600℃のときに行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
  8. 前記還元処理工程は、前記処理室から排出される排気ガス中の水分濃度が100ppm以下になるまで行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のフッ化物正極活物質の製造方法。
JP2017218026A 2017-11-13 2017-11-13 正極活物質の製造方法 Active JP7048266B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017218026A JP7048266B2 (ja) 2017-11-13 2017-11-13 正極活物質の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017218026A JP7048266B2 (ja) 2017-11-13 2017-11-13 正極活物質の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019091558A true JP2019091558A (ja) 2019-06-13
JP7048266B2 JP7048266B2 (ja) 2022-04-05

Family

ID=66836567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017218026A Active JP7048266B2 (ja) 2017-11-13 2017-11-13 正極活物質の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7048266B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114447318A (zh) * 2021-12-22 2022-05-06 西安理工大学 利用气相氟化合成三氟化铁碳正极材料的制备方法
CN115010113A (zh) * 2022-06-24 2022-09-06 山东重山光电材料股份有限公司 一种氟化碳材料及其应用和锂电池

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004175659A (ja) * 2002-11-12 2004-06-24 Santoku Corp フッ素含有リチウム化合物の製造方法
JP2005200256A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Nikon Corp 金属フッ化物の精製方法、金属フッ化物多結晶および単結晶の製造方法および製造装置
JP2009018989A (ja) * 2000-11-28 2009-01-29 Valence Technology Inc 正極活物質として有用なリチウム金属化合物の製造方法
JP2012126589A (ja) * 2010-12-14 2012-07-05 Asahi Glass Co Ltd フッ素含有リン酸化合物、二次電池用正極、および二次電池の製造方法
JP2012204307A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Kyushu Univ 正極活物質およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009018989A (ja) * 2000-11-28 2009-01-29 Valence Technology Inc 正極活物質として有用なリチウム金属化合物の製造方法
JP2004175659A (ja) * 2002-11-12 2004-06-24 Santoku Corp フッ素含有リチウム化合物の製造方法
JP2005200256A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Nikon Corp 金属フッ化物の精製方法、金属フッ化物多結晶および単結晶の製造方法および製造装置
JP2012126589A (ja) * 2010-12-14 2012-07-05 Asahi Glass Co Ltd フッ素含有リン酸化合物、二次電池用正極、および二次電池の製造方法
JP2012204307A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Kyushu Univ 正極活物質およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114447318A (zh) * 2021-12-22 2022-05-06 西安理工大学 利用气相氟化合成三氟化铁碳正极材料的制备方法
CN115010113A (zh) * 2022-06-24 2022-09-06 山东重山光电材料股份有限公司 一种氟化碳材料及其应用和锂电池
CN115010113B (zh) * 2022-06-24 2024-02-13 山东重山光电材料股份有限公司 一种氟化碳材料及其应用和锂电池

Also Published As

Publication number Publication date
JP7048266B2 (ja) 2022-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2020134773A1 (zh) 一种回收制备磷酸铁锂正极材料的方法
EP2696406B1 (en) Method for producing positive-electrode active material for lithium-ion battery
Kebede et al. Structural and electrochemical properties of aluminium doped LiMn2O4 cathode materials for Li battery: experimental and ab initio calculations
US20060257307A1 (en) Method for making a lithium mixed metal compound
JP2012505142A (ja) 硫化リチウムの調製
EP3645466B1 (en) Process for making a cathode active material for a lithium ion battery
JP2011184292A (ja) アルカリ金属の挿入化合物の調製方法、アルカリ金属の挿入化合物、電極活物質、陽極、電池およびエレクトロクロミックデバイス
KR20120124355A (ko) 양극 활물질 입자의 표면 처리 방법 및 이로부터 형성된 양극 활물질 입자
JPH11317217A (ja) フッ素化された電池用電極および当該電極から成る電池ならびにそれらの製造方法
US11688847B2 (en) Method and firing apparatus for manufacturing cathode active material for lithium ion secondary battery
JP2009140909A (ja) 非水電解質二次電池用正極の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法
EP3671916A1 (en) Positive electrode active material for all-solid-state lithium secondary batteries
CN111653761A (zh) 一种水洗改善的高镍正极材料的制备方法
JPH0733443A (ja) 含リチウム金属ハロゲン化酸化物およびその製造法
CN112736229B (zh) 一种还原改性锂正极材料及其制备方法
CN111063866A (zh) 一种复合材料及其制备方法
JP7048266B2 (ja) 正極活物質の製造方法
CN114074942B (zh) 一种利用焦耳热制备单质硅的方法
CN110247035B (zh) 一种高镍正极材料改性方法
KR101905921B1 (ko) 양극 활물질, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
WO2024214614A1 (ja) 硫化リチウムの製造方法
JP6280572B2 (ja) リチウム遷移金属酸化物をfパッシベーションする方法
Yu et al. Multifunctional Scavenger Boosts Cathode Interfacial Stability with Reduced Water Footprint for Direct Recycling of Spent Lithium‐Ion Batteries
TW202348550A (zh) 製備用於高能量密度電池之電活性鋰混合金屬材料之方法
JP2024151307A (ja) 硫化リチウムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200707

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20201106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7048266

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150