JP2019087376A - フィルム外装電池の加圧方法と製造方法 - Google Patents

フィルム外装電池の加圧方法と製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極積層体の加圧時にガス移動により内圧が低下しても適切な加圧を持続することができるフィルム外装電池の加圧方法とそれを用いた製造方法を提供する。【解決手段】加圧方法は、活物質と水系バインダーとを含む負極活物質層を集電体に配置した負極と、正極と、をセパレータを介して積層した電極積層体を電解液とともに、発生したガスを貯留するための余剰部を具備したフィルム外装体に収納したフィルム外装電池の加圧方法であって、電極積層体を前記フィルム外装体を介して加圧する第一の加圧工程と、第一の加圧工程の後に、電極積層体をフィルム外装体を介して再度加圧する第二の加圧工程と、を含み、第一の加圧工程と第二の加圧工程は、フィルム外装電池を初充電する初充電工程の前に行われ、第一の加圧工程と第二の加圧工程は、フィルム外装電池を挟持した2枚のプレートの間隔を狭めることにより行う。【選択図】図3

Description

本発明は、フィルム外装電池の加圧方法とそれを用いたフィルム外装電池の製造方法に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、および燃料電池車(FCV)の開発が進められている。これらのモータ駆動用電源としては繰り返し充放電可能な二次電池が適しており、特に高容量、高出力が期待できるリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が注目を集めている。
非水電解質二次電池は、集電体表面に形成された正極活物質(たとえば、LiCoO、LiMnO、LiNiO等)を含む正極活物質層を有する。また、非水電解質二次電池は、集電体表面に形成された負極活物質(たとえば、金属リチウム、コークスおよび天然・人造黒鉛等の炭素質材料、Sn、Si等の金属およびその酸化物材料等)を含む負極活物質層を有する。
活物質層に用いられる活物質を結着させるためのバインダーは、有機溶媒系バインダー(水に溶解/分散せず、有機溶媒に溶解/分散するバインダー)および水系バインダー(水に溶解/分散するバインダー)に分類される。有機溶媒系バインダーは、有機溶剤の材料費、回収費、廃棄処分などに多額のコストがかかり、工業的に不利となる場合がある。一方で、水系バインダーは、原料としての水の調達が容易であることに加え、乾燥時に発生するのは水蒸気であるため、製造ラインへの設備投資が大幅に抑制でき、環境負荷の低減を図ることができるという利点がある。さらに水系バインダーは、有機溶媒系バインダーに比べて少量でも結着効果が大きく、同一体積当たりの活物質比率を高めることができ、負極を高容量化できるという利点がある。このような利点を有することから、活物質層を形成するバインダーとして水系バインダーを用いて負極を形成する種々の試みが行われている。
非水電解質二次電池の形態として、正極と負極をセパレータを介して積層した電極積層体を電解液とともに、ラミネートフィルムを用いた外装体に収納して封止した扁平なフィルム外装電池が知られている。
特許文献1では、このような電池要素(電極積層体)と電解液を収容して封止したリチウムイオン電池を2回(第一充電と第二充電)に分けて充電して、発生したガスのガス抜きをしてから再度封止したものが記載されている。この文献によれば、全体のガス発生のほとんどが充電率50%以下の第一充電の段階で発生している。これは、第一充電で活物質表面に良好なSEI(Solid-Electrolyte-Interface)被膜が形成されることで、第二充電での電解質との反応が抑制されることによると考えられる。
特許文献2には、電極積層体を電解液とともに収納して封止した非水電解質二次電池に第1の充電をした後、加圧して電極積層体内のガスを電極積層体の外側に移動させ、さらに第2の充電を行い、ガス抜きをする方法が開示されている。この方法により、ガス除去工程の回数を削減するとともに、ガスによる電池特性への影響を抑制することができるとされている。
特開2015−22861号公報 特開2013−149521号公報
特許文献2に記載されるように、第1の充電により電極から発生したガスが含まれている電極積層体に適度な圧力をかけて、内部に滞留するガスを除去することが好ましい。電極積層体の内部にガスが存在していると、その部分ではLiイオンの受け渡しができず、Liの結晶が生成して充放電効率が低下するおそれがあるためである。
特許文献1に記載されるように、ガス発生のほとんどが充電率50%以下の第一充電の段階で発生していることから、特許文献2に記載されるように、まずプレ充電(第1の充電)を行って、発生したガスを除去(ガス抜き)した後に、100%まで充電させる初充電を行うことが考えられる。しかし、水系バインダーを用いた負極活物質層を含む非水電解質二次電池においては、有機溶媒系バインダーを用いた場合よりも第1の充電時に発生するガス量が多くなることが判明している。したがって、ガス抜き後も電極積層体から発生してフィルム外装電池の内部に貯留されるガス量も増えることになる。
そのため、水系バインダーを用いた負極活物質層を含むフィルム外装電池では、使用時のガス発生に備えて、発生したガスをフィルム外装電池の内部で貯留するための余剰部を設けることがある。余剰部は、電極積層体の辺縁部の周囲に設けられ、ガス抜き後のフィルム外装体では余剰部はしぼんだ状態である。そして使用時にガスが発生し余剰部に移動してきたときに余剰部が膨らんでガスを貯留する。
特許文献2では、フィルム外装電池を加圧する際に平板プレス加工やロールプレス加工を行うことが開示されている。電極積層体の内部に残留するガスは加圧によって速やかに辺縁部に移動することはなく、比較的緩やかに移動する。したがって、ある程度の時間持続して加圧する必要がある。しかしながら、平板プレスやロールプレスなどのプレス機に長くフィルム外装電池を留めておくことは、生産性の点で好ましくない。そこで、フィルム外装電池を2枚のプレートで挟み、ねじで締め付けて加圧する簡易的な加圧装置を用いる。
しかし、余剰部を備えたフィルム外装電池を充電後などに加圧するに際し、ガスを電極積層体外に追い出し、ガスが余剰部に移動することで、フィルム外装電池の内圧が低下する。このとき、2枚のプレート間にフィルム外装電池を挟んでねじで締め付ける簡易な加圧装置では、フィルム外装電池の内圧の低下に伴い加圧力の低下が発生していることが判明した。その場合、適切な加圧が持続できなくなり、電極積層体内部のガスの排出が不十分となり、その状態で初充電を行うとリチウムの結晶が生成して電池の充放電特性に影響を与えるおそれがある。
本発明は、電極積層体の加圧時にガス移動により内圧が低下しても適切な加圧を持続することができるフィルム外装電池の加圧方法とそれを用いた製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るフィルム外装電池の加圧方法は、
活物質と水系バインダーとを含む負極活物質層を集電体に配置した負極と、正極と、をセパレータを介して積層した電極積層体を電解液とともに、発生したガスを貯留するための余剰部を具備したフィルム外装体に収納したフィルム外装電池の加圧方法であって、
前記電極積層体を前記フィルム外装体を介して加圧する第一の加圧工程と、
前記第一の加圧工程の後に、前記電極積層体を前記フィルム外装体を介して再度加圧する第二の加圧工程と、を含み、
前記第一の加圧工程と前記第二の加圧工程は、前記フィルム外装電池を初充電する初充電工程の前に行われ、
前記第一の加圧工程と前記第二の加圧工程は、前記フィルム外装電池を挟持した2枚のプレートの間隔を狭めることにより行う。
また本発明に係るフィルム外装電池の製造方法は、上記の加圧方法を含む。
本発明によれば、電極積層体の加圧時にガス移動により内圧が低下しても適切な加圧を持続することができる。そのため、電極積層体内部のガスを十分に排出することができ、フィルム外装電池の充放電特性への影響を抑制することができる。
本発明の一実施形態におけるフィルム外装電池の外観斜視図である。 図1のフィルム外装電池のII−II断面図である。 本発明の一実施形態における、電極積層体の封入から初充電までの製造工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における、加圧装置の斜視図である。 図4に示す加圧装置のプレート部分の断面図である。 図4に示す加圧装置により加圧力を伝える構成を説明する概略側面図である。 本発明の一実施形態における、第一の加圧工程から第二の加圧工程までのトルク加圧と内圧との関係を示すチャート図である。
前述のように、プレ充電後、ガス抜きをして封止したフィルム外装電池を初充電するにあたっては、外部から電極積層体に圧力をかける。ここでプレ充電とは、電極(電極活物質)表面に電解液と活物質との反応を抑制するSEI被膜を形成する工程であり、このときガスが発生する。初充電とは、最初に満充電まで充電する工程である。
しかし発明者らの検討により、余剰部を有するフィルム外装電池の場合、電極積層体に圧力をかけることによりフィルム外装電池の内圧が低下して緩みが発生し、適切な加圧ができなくなる場合があることを発見した。これに対し、より強い加圧力で加圧しておくということが考えられる。しかしあまり大きな加圧力で加圧しようとすると、電極積層体に対して均一な加圧が難しくなり、加圧装置にも負荷がかかるため好ましくない。発明者らは検討を重ねた結果、(比較的弱い)加圧を繰り返し行うことで適切な加圧状態を効果的に維持し、緩みを防止することができることを発見した。
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。まず、本実施形態に係る方法を適用するフィルム外装電池1の構造について説明する。フィルム外装電池1は、図1、図2に示すように、負極11及び正極12がセパレータ13を介して積層された電極積層体(発電要素)10が電解液とともにフィルム外装体17の内部に収納されている。負極11、正極12、及びセパレータ13はいずれも矩形の平板状又は膜状であるため、これらを積層した電極積層体10も矩形の平板状をなしている。そのため電極積層体10を収容したフィルム外装電池1も略矩形の扁平な形状をしている。
(フィルム外装体)
フィルム外装体17は、アルミニウム等の金属層の両面に絶縁層が積層されてなる絶縁性のラミネートフィルムから形成されている。例えば、フィルム外装体としてポリプロピレン(PP)、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルムを用いることができるが、これに限られるものではない。
フィルム外装体17は、電極積層体10の容積に、電極積層体10から排出されるガスを貯留するための余剰部を加えた内容積を有する。ここでフィルム外装体の内容積とは、フィルム外装体で封止した後の真空引きを行う前のフィルム外装体内の容積を指す。また、電極積層体の容積とは、電極積層体が空間的に占める部分の容積であり、電極積層体内の空孔部を含む。余剰部とは、ガスが発生した際にガスを溜めることができる容積である。
余剰部の存在により、電極積層体外へのガスの排出が円滑に行われ、発生したガスが電池挙動に影響することが少なく、電池特性が向上する。また、ガスが発生した場合に、フィルム外装体内にガスを溜めることができる余剰部分が存在することで、電極積層体の体積を一定に保つことができるため、電極間の距離を一定にし、均一な反応を持続させることが可能となる。フィルム外装体の内容積は、ガスを溜めることができるようある程度大きいことが好ましく、具体的には、電極積層体の空孔部を除く体積の0.03〜0.12の体積分の余剰部を有することが好ましい。
(電極積層体)
電極積層体10は、図2に示すように、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極活物質を含有する負極活物質層11Bが金属製の負極集電体11Aの両主面上に形成された負極11と、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を含有する正極活物質層12Bが金属製の正極集電体12Aの両主面上に形成された正極12とが、セパレータ13を介して交互に複数積層された構造を有している。図2の例では、3枚の負極11と2枚の正極12とが4枚のセパレータ13を介して交互に積層された構造を有しているが、負極11、正極12、及びセパレータ13の数は、特に限定されるものではない。
このような電極積層体10においては、隣接する負極活物質層11B、セパレータ13、及び正極活物質層12Bが1つの単電池層14を構成する。したがって、本実施形態のフィルム外装電池1は、単電池層14が複数積層されることにより電気的に並列接続された構成を有するものとなる。なお、単電池層14の外周には、隣接する負極集電体11Aや正極集電体12Aの間を絶縁するための絶縁層(図示せず)が設けられていてもよい。
略矩形のフィルム外装体17の周縁部の一辺には負極端子15及び正極端子16が設けられており、負極端子15及び正極端子16は、それぞれフィルム外装体17の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。負極端子15及び正極端子16の端部のうちフィルム外装体17内に配されている端部は、フィルム外装体17内に封入された電極積層体10の負極集電体11A及び正極集電体12Aにそれぞれ接続されている。なお、本実施形態においては、負極端子15及び正極端子16はフィルム外装体17の周縁部の同一の辺上に設けられているが、異なる辺上に設けてもよい。また、負極端子15及び正極端子16は、同一方向に導出されているが、反対方向等の異なる方向に導出してもよい。
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよい。
本実施形態において、負極活物質層11Bは少なくとも水系バインダーを含む。水系バインダーとは水を溶媒もしくは分散媒体とするバインダーをいい、具体的には熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー、水溶性高分子など、またはこれらの混合物が該当する。ここで、水を分散媒体とするバインダーとは、ラテックスまたはエマルジョンと表現される全てを含み、水と乳化または水に懸濁したポリマーを指し、例えば自己乳化するような系で乳化重合したポリマーラテックス類が挙げられる。
水系バインダーとしては、具体的にはスチレン系高分子(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、(メタ)アクリル系高分子(ポリエチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(メタクリル酸メチルゴム)、ポリプロピルメタクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリラウリルメタクリレート等)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの水分散性高分子;ポリビニルアルコール(平均重合度は、好適には200〜4000、より好適には、1000〜3000、ケン化度は好適には80モル%以上、より好適には90モル%以上)およびその変性体(エチレン/酢酸ビニル=2/98〜30/70モル比の共重合体の酢酸ビニル単位のうちの1〜80モル%ケン化物、ポリビニルアルコールの1〜50モル%部分アセタール化物等)、デンプンおよびその変性体(酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン等)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの塩等)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸(塩)、ポリエチレングリコール、(メタ)アクリルアミドおよび/または(メタ)アクリル酸塩の共重合体[(メタ)アクリルアミド重合体、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸塩共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜4)エステル−(メタ)アクリル酸塩共重合体など]、スチレン−マレイン酸塩共重合体、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性体、ホルマリン縮合型樹脂(尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂等)、ポリアミドポリアミンもしくはジアルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエチレンイミン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、並びにマンナンガラクタン誘導体等の水溶性高分子などが挙げられる。これらの水系バインダーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記水系バインダーは、結着性の観点から、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、およびメタクリル酸メチルゴムからなる群から選択される少なくとも1つのゴム系バインダーを含むことが好ましい。さらに、結着性が良好であることから、水系バインダーはスチレン−ブタジエンゴムを含むことが好ましい。
水系バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムを用いる場合、塗工性向上の観点から、上記水溶性高分子を併用することが好ましい。スチレン−ブタジエンゴムと併用することが好適な水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその変性体、デンプンおよびその変性体、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの塩等)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸(塩)、またはポリエチレングリコールが挙げられる。中でも、バインダーとして、スチレン−ブタジエンゴムと、カルボキシメチルセルロースとを組み合わせることが好ましい。スチレン−ブタジエンゴムと、水溶性高分子との含有質量比は、特に制限されるものではないが、スチレン−ブタジエンゴム:水溶性高分子=1:0.1〜10であることが好ましく、0.5〜2であることがより好ましい。
負極活物質層11Bに用いられるバインダーのうち、水系バインダーの含有量は80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。水系バインダー以外のバインダーとしては、一般に活物質層に用いられる公知のバインダーが挙げられる。
負極活物質層11B中に含まれるバインダー量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、水系バインダーは結着力が高いことから、有機溶媒系バインダーと比較して少量の添加で活物質層を形成できる。このことから、水系バインダーの活物質層中の含有量は、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは2〜4質量%である。
(正極活物質層)
正極活物質層は正極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、バインダー、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩などのその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Mn−Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。より好ましくは、Li(Ni−Mn−Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、単に「NMC複合酸化物」とも称する)が用いられる。NMC複合酸化物は、リチウム原子層と遷移金属(Mn、NiおよびCoが秩序正しく配置)原子層とが酸素原子層を介して交互に積み重なった層状結晶構造を持ち、遷移金属Mの1原子あたり1個のLi原子が含まれ、取り出せるLi量が、スピネル系リチウムマンガン酸化物の2倍、つまり供給能力が2倍になり、高い容量を持つことができる。
(セパレータ)
セパレータは、電解質を保持して正極と負極との間のリチウムイオン伝導性を確保する機能、および正極と負極との間の隔壁としての機能を有する。
セパレータの形態としては、例えば、電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが望ましい。
不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。
また、セパレータとしては多孔質基体に耐熱絶縁層が積層されたセパレータであってもよい。耐熱絶縁層は、無機粒子およびバインダーを含むセラミック層である。耐熱絶縁層を有することによって、温度上昇の際に増大するセパレータの内部応力が緩和されるため熱収縮抑制効果が得られうる。また、耐熱絶縁層を有することによって、耐熱絶縁層付セパレータの機械的強度が向上し、セパレータの破膜が起こりにくい。さらに、熱収縮抑制効果および機械的強度の高さから、非水電解質二次電池の製造工程でセパレータがカールしにくくなる。
(電解質)
電解質としては、特に制限されないが、液体電解質またはゲルポリマー電解質が用いられる。
液体電解質は、リチウムイオンのキャリヤーとしての機能を有する。液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類が例示される。また、リチウム塩としては、Li(CFSON、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiCFSO等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。液体電解質は、上述した成分以外の添加剤をさらに含んでもよい。かような化合物の具体例としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ゲルポリマー電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマー(ホストポリマー)に、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、各層間のイオン伝導性を遮断することで容易になる点で優れている。マトリックスポリマー(ホストポリマー)として用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るフィルム外装電池1の製造方法のうち、本実施形態の加圧方法を含む、フィルム外装体への電極積層体の封入から初充電までを説明する。図3に示すように、まず正極と負極とセパレータを積層した電極積層体を袋状に接合したフィルム外装体に入れ、電解液を注液した後、仮封止する(ステップS11)。負極は、前述のような水系バインダーを用いて構成されている。また、フィルム外装体は余剰部を含む内容積を有する。
次にプレ充電を行う(ステップS12)。電解液の注液後、プレ充電までに、電解液を電極積層体に十分含浸させ、なじませるために含浸工程やロールプレス工程を行ってもよい。プレ充電はSEI被膜を形成させることが目的であるので、満充電までする必要はなく、50%程度あるいはそれ以下でもよい。
次に、仮封止部分を開封してプレ充電時に発生したガスを放出させた後、フィルム外装体を本封止する(ステップS13)。ガス抜きは、減圧雰囲気下で仮封止を開封することでガスを放出させてもよく、あるいは開封部にノズルを挿入し吸引することでガス抜きしてもよい。
次に第一の加圧を行う(ステップS14)。第一の加圧は、電極積層体10をその積層方向、つまり電極面に直交する方向に加圧する工程である。加圧の方法は特に限定されるものではないが、電極積層体10を均等に加圧することが好ましく、本実施形態では以下に説明する加圧装置20を用いて行う。加圧装置20は、フィルム外装電池1内部の電極積層体10を、フィルム外装体17を挟持した平板状のプレートによって押圧する装置である。
(加圧装置)
ここで、図4〜図6を参照して加圧装置20について説明しつつ、第一の加圧工程S14を説明する。図4に示すように、この加圧装置20は、無蓋箱状のハウジング24と、複数の矩形平板状をなす可動プレート25と、を有している。ハウジング24は、平板状の前壁24A、後壁24B及び両者の底辺部を繋ぐ底壁24Cを有している。このハウジング24内に複数の平板状の可動プレート25が加圧方向Fの前後方向に移動可能な状態で配置されている。これらの可動プレート25の形状は同一である。可動プレート25は、フィルム外装電池1の電極積層体10収容部分に加圧方向Fの両側から面圧を均一に作用させるためのものである。つまり2枚の可動プレート25の間に1枚のフィルム外装電池を挟持できるようになっている。後壁24B(プレート)と1枚の可動プレート25(プレート)を設けることにより、少なくとも1枚のフィルム外装電池を挟持可能であるが、図4に示すように、複数の可動プレートを設けて複数のフィルム外装電池をまとめて挟持することが好ましい。なお、可動プレート25やフィルム外装電池1の枚数は図4に示された枚数に限定されるものではない。
各可動プレート25には、加圧方向(水平方向)Fの前後方向に摺動可能なスライド機構が設けられている。このスライド機構は、可動プレート25の四隅に設けられたガイド孔26と、このガイド孔26を緩く貫通するロッド状のガイドロッド27と、を有している。すなわち、各可動プレート25の四隅にガイド孔26を設け、各ガイド孔26にそれぞれ棒状のガイドロッド27を貫通させている。すべての可動プレート25を貫通させた後に棒状のガイドロッド27の両端をハウジング24の前壁24Aと後壁24Bに固定することで、全ての可動プレート25は加圧方向F及びその逆方向に摺動可能となる。
図5に示すように、各可動プレート25には、フィルム外装電池1の下端を支持するように、下端部から加圧の反対方向(図5では左方向)に突出した底壁部28が設けられている。底壁部28の突出長さLは、フィルム外装電池1の厚さより小さい。そのため、フィルム外装電池1を底壁部28に乗せたときに、フィルム外装電池1は底壁部28よりも突出する。この構成により、フィルム外装電池1は可動プレート25の壁内面と隣接する可動プレート25の壁外面とに挟まれて加圧される。
図4において最左端の可動プレート25は、他の可動プレート25よりも少し大きな面積で厚肉な加圧用の厚肉プレート29となっている。この厚肉プレート29には外周に雄ネジ31を切った締付用ロッド30の一端が固定されている。ハウジング24の前壁24Aには締付用ロッド30の外周に形成された雄ネジ31と螺合する雌ネジが形成されたネジ孔32が貫通形成されている。
従って、図6に示すナットランナ23により締付用ロッド30の一端(図6では左端)を時計方向にあるいは反時計方向に回すことで、ネジ噛合い部分を介して締付用ロッド30がハウジング24の前壁24Aに対して加圧方向Fに移動し、厚肉プレート29を加圧方向Fに移動させることができる。しかし後壁24Bの位置は変わらないから、隣接する2枚の可動プレート25の間隔が次第に狭くなる。こうして2枚の可動プレート25の間隔を狭めることにより、これらに狭持されたフィルム外装電池1を加圧する。このような構成により、フィルム外装電池1の全体を均等に加圧することができる。なお、厚肉プレート29は加圧方向(水平方向)Fに往復直線運動をするだけで、締付用ロッド30の回転は伝わらないようになっている。ナットランナ23による加圧力(ナットランナ23の回転締付けトルク)や加圧時間は図示せぬ制御部によって管理・制御されている。
(加圧工程)
第一の加圧工程S14では、複数のフィルム外装電池1を収納した上述の加圧装置20がローラコンベア等により所定の加圧ステージに搬送され、図6に示すナットランナ23を用いて加圧が行われる。
第一の加圧工程S14では、隣り合う2つの可動プレート25の間に1つのフィルム外装電池1を挟み、可動プレートの全体を加圧方向Fに向けて加圧することによって、各フィルム外装電池1の電極積層体10が、フィルム外装体17を介して加圧方向Fに加圧される。このとき、各フィルム外装電池1は、その電極積層体10の部分に左右方向の両側から作用する面圧が、出来る限り均一な状態で保持されるようになっている。
図7は、加圧工程でかけるトルクとフィルム外装電池(フィルム外装体)の内圧の変化の関係を示すグラフである。図7の左側の縦軸はフィルム外装体17の内圧であり、内圧の変化のイメージを折れ線で示した。なお縦軸は加圧前の内圧を基準点(ゼロ)として記載している。右側の縦軸はナットランナ23にかけるトルクQ(Nm)であり、その大きさを黒色の棒グラフで示した。トルクQは、可動プレート25によってフィルム外装電池1を加圧方向(積層方向)Fに加圧する加圧力に対応する(トルクが大きいほど加圧力が大きい)。具体的には、トルクQはナットランナ23によって締付用ロッド30を回転させるトルクである。横軸は時間である。図7に示すように、第一の加圧工程S14は単発的に行われる。このときフィルム外装電池1にかける圧力は、例えばナットランナ23によるトルクQ1に対応する。このQ1に達するまでの加圧時間T1は、例えば1秒〜数秒程度である。第一の加圧工程S14では比較的短時間のうちに所定のトルクQ1をナットランナ23から締付用ロッド30に与えてフィルム外装体を加圧する。
第一の加圧工程S14でのトルクQ1は、弱すぎてもガス排出効果が少なく、強すぎても複数の電極積層体10を均一に加圧できず加圧装置に悪影響がある。さらに電極積層体10と電解質の種類や電極積層体のサイズ等によっても最適値が異なるため、あらかじめ試験を行って最適値を求めておくことが好ましい。
第一の加圧工程S14の次に、ガス移動待機工程を行う(ステップS15)。この工程は、フィルム外装電池1を加圧装置20に挟持して第一の加圧工程で加圧した状態のまま(ナットランナ23の回転位置を変えない、即ち可動プレート25の位置を変えない)で行う。ガス移動待機工程S15は、大部分のガスが電極積層体10から移動・排出されるまで待機する工程である。ガス移動待機工程を設けることにより、加圧された電極積層体10からガスが電極積層体10の外部に十分排出される。
図7に示すように、ガス移動待機工程S15に要する時間T2は、少なくとも10秒は必要である。T2は長いほどトータルのガス排出量は多くなるが、次第にガス移動量即ちガス排出量が逓減することと、待機時間が長いほど製造工程としては製造効率が低下するため、10分以下とすることが好ましい。より好ましくはガス移動待機時間T2は30秒から3分程度である。なおこの間、静置しておく必要はなく、弱い振動を与えることもガス移動を促進するために好ましい。また、ガス移動待機工程は必ずしも動かさずに載置したままにしておく必要はない。例えば初充電工程の場所が離れている場合はガス移動待機工程の間に初充電工程位置まで搬送してもよい。これにより製造工程の時間短縮による効率化が図れる。また搬送時の振動もガス移動に効果がある。
ガス移動待機工程の間に電極積層体10からガスが少しずつ出て行くため、加圧された電極積層体10の厚さはわずかながら小さくなる。しかし可動プレート25の位置は変わらないため、フィルム外装体の内圧は、図7に示すように少しずつ低下していく。この低下量はガスの移動量と関係しているため、上記の時間T2は、フィルム外装体の内圧の低下量又は低下後の圧力値などがあらかじめ定めた数値に達するまでの時間で規定してもよい。
所定の時間T2が経過した後、第二の加圧工程を行う(ステップS16)。第二の加圧工程もまたフィルム外装電池1を加圧装置20に挟持したままで行う。第二の加圧工程S16で最初に与える初期トルクQ2は、図7に示すように、第一の加圧工程でかけたトルクQ1よりも小さい。トルクを第一の加圧工程よりも小さくするのは、大部分のガスは排出されているため、大きなトルクは必要がなく、ガス移動のきっかけを与えるだけでよいからである。また、電極積層体10の全体を均一に加圧することがより重要となるからである。
第二の加圧工程では、初期トルクQ2を含めて複数回に分けて断続的にトルクを与えることが好ましい。つまり、図7に示すように、初期トルクQ2を短時間(例えば1秒程度)で与えた後、その状態で数秒間待機する。次に初期トルクQ2より小さいトルクQ3を短時間(例えば1秒程度)でかけ、数秒間待機する。さらにこの小さいトルクQ3と待機のサイクルを複数回繰り返す。待機時間は、ガスが移動するのを待つ時間である。小さいトルクQ3を繰り返し与えることにより、ガスの新たな移動を促進する。このように、第二の加圧工程で断続的にトルクを追加することにより、ガス移動を促進し、総排出量をできるだけ多くすることができる。そのため、加圧状態を維持して緩みの更なる進行を抑制することができる。第二の加圧工程で断続的に与えるトルクの大きさは、いずれも第一の加圧工程で加えたトルクQ1よりも小さい。図7に示す例では、最初にQ2の初期トルクを与えた後、さらに4回のより小さいトルクQ3を断続的に加えている。しかしこの回数は限定されず、より多いほうが好ましく、例えば5回から10回とすることができる。このときの加圧時間T3は、断続的に追加圧を加えた後に待機する時間を含めた全加圧時間である。
第二の加圧工程により、内圧が低下して緩んだ電極積層体に加圧を少しずつ追加して行うため、緩みの進行が次第に低下、抑制されるとともに締め付けた加圧状態が回復され、適切な加圧力を維持することができる。
第二の加圧工程S16の全加圧時間T3は、第一の加圧工程S14の加圧時間T1よりも長く、例えば20秒〜2分程度、好ましくは30秒〜90秒程度である。これは、ガスをできるだけ電極積層体10から追い出し、内圧の低下と緩みの進行を収まらせるために時間をかけたほうが好ましいためである。
第二の加圧工程S16の後(T3の経過後)、初充電工程を行う(ステップS17)。初充電は規格値まで満充電を行う。第一及び第二の加圧によってフィルム外装体の内圧の低下にかかわらず電極積層体10の加圧状態を維持しているため、適切な加圧状態で初充電を行うことができ、Liの析出が少なく、充放電特性の高いフィルム外装電池を製造することができる。なお初充電工程以降は公知の製造工程を行うことができるので詳細な説明は省略する。
以上のように初充電前にフィルム外装電池を加圧する工程を、2つの工程に分けて行うことにより、フィルム外装体の内圧の低下にかかわらず、加圧装置内での加圧を持続することができる。そして2つの工程はそれぞれ加圧のしかたが異なるため、さらに効果的に加圧を持続することができる。したがって適切な加圧状態で初充電を行うことができ、結果として充放電特性の高いフィルム外装電池を製造することができる。
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるわけではない。例えば、加圧装置の構成は上記の形態に限定されない。例えば加圧構造として螺合式の締付用ロッドではなく、可動プレートを直接押圧するシリンダ形式でもよい。その場合、加圧力はトルクではなく押圧力で規定されるが、第一の加圧工程と第二の加圧工程での押圧力のかけ方が上記の実施形態で説明したような関係であればよい。また可動プレートの支持構造も、可動プレートがフィルム外装電池の全体を均等に加圧できるように加圧方向に移動可能であれば任意である。
また、第一の加圧工程と第二の加圧工程の加圧力及び加圧時間の組み合わせは実施形態のものに限らず、電極積層体と電解液の種類やサイズにより最適な組み合わせを選択することができる。ガス移動待機工程の時間についても、ガス排出効率と製造効率の観点から適宜選択可能である。その他、第一の加圧工程の前と第二の加圧工程の後の工程は特に限定されず、公知の工程を組み合わせることができる。例えば第二の加圧工程の後、初充電工程の前にガス抜きを行ってもよい。
1 フィルム外装電池
10 電極積層体
11 負極
12 正極
13 セパレータ
14 単電池層
15 負極端子
16 正極端子
17 フィルム外装体
18 余剰部
20 加圧装置
23 ナットランナ
24 ハウジング
24A 前壁
24B 後壁(プレート)
24C 底壁
25 可動プレート(プレート)
26 ガイド孔
27 ガイドロッド
28 底壁部
30 締付用ロッド

Claims (8)

  1. 活物質と水系バインダーとを含む負極活物質層を集電体に配置した負極と、正極と、をセパレータを介して積層した電極積層体を電解液とともに、発生したガスを貯留するための余剰部を具備したフィルム外装体に収納したフィルム外装電池の加圧方法であって、
    前記電極積層体を前記フィルム外装体を介して加圧する第一の加圧工程と、
    前記第一の加圧工程の後に、前記電極積層体を前記フィルム外装体を介して再度加圧する第二の加圧工程と、を含み、
    前記第一の加圧工程と前記第二の加圧工程は、前記フィルム外装電池を初充電する初充電工程の前に行われ、
    前記第一の加圧工程と前記第二の加圧工程は、前記フィルム外装電池を挟持した2枚のプレートの間隔を狭めることにより行う、
    加圧方法。
  2. 前記第一の加圧工程と前記第二の加圧工程との間に、ガス移動待機工程を有する、請求項1に記載の加圧方法。
  3. 前記第一の加圧工程の加圧は単発的に行い、前記第二の加圧工程の加圧は複数回に分けて断続的に行う、請求項1又は2に記載の加圧方法。
  4. 前記第二の加圧工程のそれぞれの加圧力は、前記第一の加圧工程の加圧力よりも小さい、請求項3に記載の加圧方法。
  5. 前記第二の加圧工程の全加圧時間は、前記第一の加圧工程の加圧時間よりも長い、請求項1から4のいずれか1項に記載の加圧方法。
  6. 前記第一の加圧工程および前記第二の加圧工程の加圧力は、平板状の前記正極と平板状の前記負極とをセパレータを介して積層した積層方向に加えられる、請求項1から5のいずれか1項に記載の加圧方法。
  7. 前記第一の加圧工程は、前記フィルム外装電池をプレ充電し、発生したガスのガス抜きをして封止した後に行う、請求項1から6のいずれか1項に記載の加圧方法。
  8. 活物質と水系バインダーとを含む負極活物質層を集電体に配置した負極と、正極と、をセパレータを介して積層した電極積層体を電解液とともに、発生したガスを貯留するための余剰部を具備したフィルム外装体に収納したフィルム外装電池の製造方法であって、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の加圧方法を有する製造方法。
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