以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る脱水システムのブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る脱水システム1は、撹拌装置10と脱水装置12とを有する。撹拌装置10は、処理用水W0に第1添加剤L1を加えて撹拌することで、処理用水W1を生成する。そして、撹拌装置10は、処理用水W1に第2添加剤L2を加えて撹拌することで、処理用水W2を生成する。撹拌装置10の具体的な構造については後述する。
本実施形態では、処理用水W0は、汚泥を含む液体であり、下水や工場排水などの廃水である。処理用水W0中の汚泥の濃度(処理用水W0の全体重量に対する汚泥の重量)は、1%以上4%以下程度であるが、それに限られない。また、本実施形態において、第1添加剤L1は、凝集剤であり、さらに言えば高分子凝集剤である。高分子凝集剤としては、例えばカチオン性高分子凝集剤や両性高分子凝集剤等が挙げられる。また、本実施形態において、第2添加剤L2は、繊維であり、より詳しくは繊維状の固形物を含有する液体である。本実施形態における繊維は、古紙パルプであるが、繊維状の物質であれば、これに限られず、例えば古紙溶解液であってもよい。古紙溶解液とは、古紙が粘液状に溶解された液状物質である。撹拌装置10は、処理用水W0に第1添加剤L1としての凝集剤を加えることで、処理用水W0中に分散していた汚泥を、凝集(フロック化)する。撹拌装置10は、この凝集した汚泥を含む処理用水W0を処理用水W1として、第2添加剤L2としての繊維を添加する。これにより、凝集した汚泥に繊維を混合、付着させる。撹拌装置10は、この繊維が混合、付着した汚泥を含む処理用水W1を、処理用水W2として、脱水装置12に向けて排出する。
脱水装置12は、撹拌装置10から流出された処理用水W2中の汚泥を脱水する。すなわち、脱水装置12は、処理用水W2中の汚泥、すなわち繊維が混合、付着した凝集汚泥を、脱水する。脱水装置12は、脱水した汚泥を、汚泥M0として排出する一方、脱水により生成した処理用水W2中の液体成分を、処理用水W3として排出する。処理用水W2中の汚泥には、繊維が混合、付着しているため、含水率を低減させることが可能となる。なお、本実施形態の脱水装置12は、例えばベルトプレスやスクリュープレスなどの機械的な脱水装置であるが、処理用水W2中の汚泥を脱水可能な装置であれば、その構造は任意である。
なお、本実施形態では、処理用水W0が汚泥を含む廃水であったが、撹拌装置10により第1添加剤L1及び第2添加剤L2が添加される液体であれば、廃水に限られない。また、第1添加剤L1及び第2添加剤L2は、凝集剤及び繊維に限られず、任意の添加剤であってもよい。すなわち、撹拌装置10は、処理用水W0に第1添加剤L1及び第2添加剤L2を添加して撹拌する装置であれば、汚泥を凝集させる装置に限られず、汚泥を脱水する脱水システム1に搭載されていなくてもよい。
以下、撹拌装置10について説明する。図2は、本実施形態に係る撹拌装置の構造を示す模式図である。図2に示すように、撹拌装置10は、水槽20と、撹拌ユニット22と、流入部24と、流出部26と、第1添加部28と、第2添加部30と、制御部32とを有する。なお、図2では、鉛直方向に沿った方向を、方向Zとし、方向Zのうち一方の方向を、方向Z1とし、方向Zのうち他方の方向を、方向Z2とする。図2の例では、方向Z1が、鉛直方向上方(地表から離れる方向)であり、方向Z2が、鉛直方向下方(地表に向かう方向)である。
水槽20は、内部に処理用水W0が流入する水槽である。水槽20は、円柱状の水槽であるが、例えば直方体状の水槽であってもよく、その形状は任意である。水槽20は、例えば直径が0.5mであり、方向Zに沿った長さ(高さ)が1mである。ただし、水槽20の各方向の長さは、一例であり、任意である。水槽20は、方向Z1側が、開口部20Aとして開口しているが、開口部20Aが蓋により塞がれていてもよい。
図3は、本実施形態に係る撹拌ユニットの模式図である。撹拌ユニット22は、水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに仕切りつつ、第1区域S1内の液体と第2区域S2内の液体とを別々に撹拌する装置である。図3に示すように、撹拌ユニット22は、回転軸40と、第1撹拌部42と、第2撹拌部44と、仕切り板46とを有する。
図3に示すように、回転軸40は、軸状の部材であり、末端部40Aから先端部40Bまで、軸方向に延在する。すなわち、回転軸40は、第1区域S1から第2区域S2にわたって延在する。回転軸40は、制御部32の制御により、延在する軸方向に沿った中心軸AXを回転軸として、回転する。以下、中心軸AXに対する放射方向外側の方向を、方向R1とし、放射方向内側の方向を、方向R2とする。
図3に示すように、第1撹拌部42は、回転軸40の先端部40Bの近傍に設けられる翼状部材である。言い換えれば、第1撹拌部42は、回転軸40の第1区域S1内における箇所に設けられている。第1撹拌部42は、回転軸40と一体で回転する。第2撹拌部44は、回転軸40において第1撹拌部42とは別の位置に設けられる翼状部材である。言い換えれば、第1撹拌部42は、回転軸40の第2区域S2内における箇所に設けられている。第2撹拌部44は、回転軸40と一体で回転する。第2撹拌部44は、回転軸40の第1撹拌部42が設けられる箇所よりも、末端部40A側に位置している。第1撹拌部42及び第2撹拌部44は、図3の例では、2つの翼を有する形状となっているが、回転することにより液体を撹拌可能であれば、その形状は任意である。例えば、第2撹拌部44は、第1撹拌部42よりも翼の数が多くなっていてもよい。
図3に示すように、仕切り板46は、回転軸40に設けられ、第1撹拌部42が設けられた箇所と第2撹拌部44が設けられた箇所との間に設けられている。仕切り板46は、回転軸40から方向R1(放射方向外側)に向かって延在する板状部材である。仕切り板46は、必ずしも開口部を有さなくてもよいが、中心付近に開口部を有する方が望ましい。また、仕切り板46の形状は、円板状に限られず、例えば四角板状であってもよい。
より詳しくは、仕切り板46は、位置調整機構50と、接続部52と、外周部54と、とを有する。位置調整機構50は、取付部58と調整部59とを有する。取付部58は、環状の部材であり、内周50Aから外周50Bに向けて、放射方向外側(方向R1)に向けて延在する。取付部58は、内周50Aよりも内側が開口しており、回転軸40の外周に嵌め合うように取り付けられている。仕切り板46は、取付部58が回転軸40に取付けられているため、回転軸40と一体で回転する。
接続部52は、一方の端部52Aから他方の端部52Bまで、方向R1に向けて延在する板状(又は軸状)の部材である。接続部52は、一方の端部52Aが取付部58の外周50Bに接続され、他方の端部52Bが外周部54の内周54Aに接続されている。接続部52は、取付部58の周方向に沿って、複数(本実施形態では4つ)設けられている。周方向に沿って隣り合う接続部52同士は、離間している。言い換えれば、周方向に沿って隣り合う接続部52同士の間には、開口部56が開口している。
外周部54は、中心軸AXの周方向の全周にわたって設けられる環状の部材である。外周部54は、内周54Aが接続部52の他方の端部52Bに接続されている。外周部54は、内周54Aから外周54Bまで、方向R1に向けて延在している。すなわち、外周部54は、接続部52の他方の端部52Bから方向R1(放射方向側)に広がる環状の部材である。
このように、仕切り板46は、外周50Bから内周54Aまでにおいて、接続部52が設けられている領域以外の領域が、開口部56として開口している。一方、仕切り板46は、開口部56よりも方向R1側(径方向外側)の領域が、外周部54として、板部材で占められている。すなわち、仕切り板46は、外周部54よりも方向R2側(径方向内側)が、開口部56として開口しているといえる。
仕切り板46は、以上説明したような形状となっており、言い換えれば、リボンスクリューにおいて、スクリューが螺旋状でなく輪状となっている形状であるといえる。ただし、仕切り板46の形状は、以上説明したものに限られず、外周部54よりも方向R2側(径方向内側)が、開口部56として開口しているものであればよい。
また、調整部59は、取付部58に取付けられる。調整部59は、回転軸40に対して、取付部58を固定し、さらにその固定を解除可能となっている。調整部59が取付部58の固定を解除した状態において、取付部58は、回転軸40の軸方向(水槽20に取付けられた場合は方向Z)に沿って移動可能となる。そして、取付部58を移動させた状態で、調整部59で取付部58を再度固定する。すなわち、位置調整機構50(取付部58及び調整部59)は、仕切り板46を、回転軸40の軸方向に沿った位置が移動した状態で固定する。位置調整機構50は、このようにして、仕切り板46を、回転軸40の軸方向(水槽20に取付けられた場合は方向Z)に沿って移動させることができる。すなわち、仕切り板46は、回転軸40に沿って位置が可変となっている。また、第1撹拌部42及び第2撹拌部44も、同様の機能の位置調整機構を有して、回転軸40に沿って位置が可変となっていてもよい。なお、仕切り板46は、例えばユーザによって、位置調整機構50による固定が解除され、回転軸40の軸方向に沿った位置を移動させる。ただし、位置調整機構50は、制御部32の制御により、自動で、仕切り板46の位置を移動させてもよい。
このように、撹拌ユニット22は、回転軸40に、第1撹拌部42と、第2撹拌部44と、仕切り板46とが取り付けられている。従って、第1撹拌部42と第2撹拌部44と仕切り板46とは、回転軸40と一体で、同期して回転する。ただし、仕切り板46は、必ずしも回転軸40に取付けられていなくてもよく、回転しなくてもよい。
この撹拌ユニット22は、水槽20に着脱可能に取り付けられる。図2に示すように、撹拌ユニット22は、回転軸40の先端部40Bが、水槽20の底面20B(水槽20の方向Z2側の面)側に配置されるように、水槽20に取付けられる。すなわち、撹拌ユニット22は、回転軸40が、先端部40Bに向かう軸方向において方向Z2(鉛直方向下方)に沿うように、水槽20に取付けられる。また、回転軸40は、中心軸AXが、水槽20の方向Zに沿った中心軸と一致するように、水槽20に取付けられる。すなわち、撹拌ユニット22は、水槽20に取付けられた場合、第1撹拌部42が、方向Z2側に位置し、仕切り板46が、第1撹拌部42よりも方向Z1側に位置し、第2撹拌部44が、仕切り板46よりも方向Z1側に位置するように、配置される。また、回転軸40の軸方向は、方向Zに沿った方向となる。そして、方向R1は、方向Zを軸方向とした場合の放射方向外側の方向ともいえ、方向R2は、方向Zを軸方向とした場合の放射方向外側の方向であるともいえる。
図2に示すように、撹拌ユニット22を水槽20に取付けた場合、仕切り板46は、水槽20内を、第1区域S1と第2区域S2とに区分けする。第1区域S1は、水槽20内の仕切り板46を隔てた一方の空間であり、第2区域S2は、水槽20内の仕切り板46を隔てた他方の空間である。より詳しくは、第1区域S1は、水槽20内の仕切り板46より方向Z2側(鉛直方向下方側)の空間であり、第2区域S2は、水槽20内の仕切り板46より方向Z1側(鉛直方向上方側)の空間である。なお、上述のように、仕切り板46は、調整部59により、回転軸40の軸方向(方向Z)に沿って位置を変えられる。仕切り板46は、このように水槽20内での位置を変えることで、第1区域S1と第2区域S2との体積比を変化させることができる。
第1区域S1は、連通流路Pを介して、第2区域S2と連通している。連通流路Pは、水槽20の方向R2側(径方向内側)の領域に設けられている。本実施形態における連通流路Pは、仕切り板46の開口部56である。すなわち、第1区域S1は、開口部56を介して第2区域S2に連通している。連通流路Pは、仕切り板46の外周部54より方向R2側に開口しているといえる。なお、図2の例では、仕切り板46の外周部54と水槽20の内周側の側面20Cとは、離間している。従って、仕切り板46の外周部54と水槽20の側面20Cとの間の領域においても、第1区域S1と第2区域S2とが連通している。ただし、仕切り板46の外周部54と水槽20の側面20Cとの間の領域は、例えば開口部56で形成される連通流路Pよりも小さくなっている。外周部54と水槽20の側面20Cとの間の領域を小さくするために、図2に示すように、水槽20の内周側の側面20Cに、仕切り板46側(放射方向内側)に突出する突出板20Dを設けてもよい。これにより、仕切り板46の外周部54と水槽20の側面20C(突出板20D)との間の領域を、より小さくすることができる。また、水槽20が円筒でなく四角形などの多角形の筒状である場合、それぞれの頂点部に突出板20Dを設けることが好ましい。
なお、仕切り板46が開口部56を有さない場合は、仕切り板46の外周部54と水槽20の側面20Cとの間の領域、又は、仕切り板46の外周部54と水槽20の突出板20Dとの間の領域が、連通流路Pとなる。すなわち、仕切り板46は、開口部56によって連通流路Pを形成してもよいし、水槽20の側面20Cとの間に、連通流路Pを形成してもよい。
ここで、第1撹拌部42は、仕切り板46より方向Z2側に位置しているため、第1区域S1内に配置されることとなる。また、第2撹拌部44は、仕切り板46より方向Z1側に位置しているため、第2区域S2内に配置されることとなる。従って、第1撹拌部42は、回転軸40の回転により、第1区域S1内の液体(処理用水W0)を撹拌する。そして、第2撹拌部44は、回転軸40の回転により、第2区域S2内の液体(処理用水W1)を撹拌する。
以下、各部の大きさの関係について説明する。まず、図2に示すように、第1撹拌部42の直径(放射方向に沿った長さ)を、長さD1とする。また、第2撹拌部44の直径(放射方向に沿った長さ)を、長さD2とする。そして、仕切り板46の直径(放射方向に沿った長さ)を、長さD3とする。この場合、長さD3は、長さD1及び長さD2より長い。また、長さD1と長さD2とは、同じ長さである。ただし、長さD1、D2、D3の大小関係は、上記に限られず任意であってもよい。なお、長さD3は、外周部54の外周54Bの直径(放射方向に沿った長さ)であるともいえる。
図4は、本実施形態に係る撹拌装置の構造を示す模式図である。図4は、撹拌装置10を方向Zから見た模式的な断面図である。図4に示すように、水槽20の内径(水槽20の内部空間の放射方向に沿った長さ)を、長さD0とする。そして、仕切り板46の外周部54の内径、すなわち、内周54Aの直径(放射方向に沿った長さ)を、長さD4とする。この場合、長さD3(仕切り板46の直径)は、長さD0に対し、90%以上95%以下の長さであることが好ましい。また、長さD4は、長さD0に対し、30%以上70%以下の長さであることが好ましい。また、方向Zから見た場合の仕切り板46の外周部54の面積(図示なし)は、方向Zから見た場合の水槽20の内部空間の面積に対し、5%以上10%以下であることが好ましい。そして、方向Zから見た場合の開口部56(連通流路P)の開口面積は、方向Zから見た場合の水槽20の内部空間の面積に対し、30%以上50%以下であることが好ましい。なお、ここでの開口部56の開口面積は、開口部56が複数ある場合において、全ての開口部56の合計の面積である。また、開口部56が複数ある場合、1つ1つの開口部56の面積は、小さすぎず、例えば凝集した汚泥より大きいことが好ましい。例えば、1つの開口部56の開口面積は、全ての開口部56の合計の面積に対し、30%以上70%以下であることが好ましい。
撹拌ユニット22は、以上説明したような構造となっている。
図2に戻り、流入部24は、水槽20に接続されて、水槽20に処理用水W0を流入させる。さらに言えば、流入部24は、水槽20の第1区域S1に接続されており、第1区域S1に処理用水W0を流入させる。本実施形態では、流入部24は、水槽20に接続される管であり、内部に処理用水W0が流れている。流入部24は、流れている処理用水W0を、水槽20の第1区域S1に流入させる。流入部24は、水槽20の方向Z2側に接続されており、図2の例では、水槽20の方向Z2側の側面に接続されている。ただし、流入部24は、第1区域S1に接続されていれば(本実施形態では流出部26よりも方向Z2側に設けられていれば)、水槽20に接続されている位置は任意である。
また、流入部24には、流量調整部24Aが設けられている。流量調整部24Aは、例えば開閉弁であり、制御部32によって開閉制御されることにより、処理用水W0の流量を調整する。
図2に示すように、流出部26は、処理用水W2を水槽20から流出させる出口である。流出部26は、水槽20の第2区域S2に接続されており、第2区域S2内の処理用水W2を外部に排出する。本実施形態では、流出部26は、水槽20の側面の方向Z1側の端面に設けられた溝であり、水槽20に溜まった処理用水W2を、排出する。流出部266は、処理用水W2を排出するものであれば、溝状でなくてもよく、例えば管であってもよい。また、流出部26は、第2区域S2に設けられていれば(本実施形態では流入部24よりも方向Z1側に設けられていれば)、水槽20に接続されている位置は任意である。
図2に示すように、第1添加部28は、水槽20の第1区域S1に接続されており、水槽20の第1区域S1内の処理用水W0に、第1添加剤L1を添加する。第1添加部28は、制御部32の制御により、第1添加剤L1を添加する。第1添加部28により第1添加剤L1が添加された処理用水W0は、第1区域S1において第1撹拌部42に撹拌されることで、処理用水W1となる。処理用水W1は、連通流路Pを通って、第2区域S2に流入する。なお、処理用水W1は、本実施形態においては、第1添加剤L1(凝集剤)の添加と撹拌により凝集した汚泥を含む処理用水である。また、第1添加部28は、水槽20でなく流入部24に接続され、流入部24内に第1添加剤L1を添加してもよい。すなわち、第1添加部28は、第1区域S1内の処理用水W0、又は、流入部24内の処理用水W0に、第1添加剤L1を添加すればよい。
図2に示すように、第2添加部30は、水槽20の第2区域S2内の処理用水W1に、第2添加剤L2を添加する。本実施形態では、第2添加部30は、水槽20の方向Z1側に設けられ、水槽20の開口部20Aから、第2区域S2内に第2添加剤L2を添加する。ただし、第2添加部30は、第2区域S2内の処理用水W1に、第2添加剤L2を添加するものであれば、配置は任意である。第2添加部30は、制御部32の制御により、第2添加剤L2を添加する。第2添加部30により第2添加剤L2が添加された処理用水W1は、第2区域S2において第2撹拌部44に撹拌されることで、処理用水W2となる。この処理用水W2は、流出部26により外部に排出される。なお、処理用水W2は、本実施形態においては、第2添加剤L2(繊維)の添加と撹拌により、繊維が混合、付着した凝集汚泥を含む処理用水である。本実施形態において、第2添加剤L2が含む固形成分の繊維の濃度(第2添加剤L2の全体重量に対する繊維の重量)は、4%以上6%以下程度であるが、それに限られない。また、第2添加剤L2は、含有する繊維の重量が、処理用水W0が含有する汚泥の重量に対し、例えば10%以下程度となるように添加されることが好ましい。
制御部32は、撹拌装置10の動作を制御する制御装置(例えばコンピュータ)である。制御部32は、流量調整部24Aを制御して水槽20に流入する処理用水W0の流量を制御する。また、制御部32は、第1添加部28を制御して第1添加剤L1の添加量を制御し、第2添加部30を制御して第2添加剤L2の添加量を制御する。そして、制御部32は、回転軸40を回転させて、撹拌ユニット22、すなわち、第1撹拌部42、第2撹拌部44、仕切り板46を回転させる。本実施形態において、制御部32は、処理用水W0を連続して水槽20内に流入させる連続運転を実施する。この場合、制御部32は、処理用水W0を連続して水槽20内に流入させつつ、第1添加剤L1及び第2添加剤L2を連続して添加させ続け、撹拌ユニット22を回転させ続ける。すなわち、制御部32は、処理用水W0の流入と、第1添加剤L1の添加と、第2添加剤L2の添加と、撹拌ユニット22の回転(撹拌)とを、同時に実行し、かつ連続して実行する。制御部32は、例えば、水槽20内での滞留時間が、1分以上2分以下程度となるように、処理用水W0を連続して流入させる。ただし、この滞留時間は一例である。制御部32は、処理用水W0の流入量、第1添加剤L1の添加量、第2添加剤L2の添加量、及び撹拌ユニット22の回転速度を、一定にしてもよいし、変化させてもよい。
撹拌装置10は、以上のような構造となっている。以下、撹拌装置10による撹拌処理について説明する。図5は、撹拌装置による撹拌処理を説明するための図である。処理用水W0は、流入部24から第1区域S1内に流入する。第1区域S1内の処理用水W0には、第1添加部28により、第1添加剤L1が添加される。第1添加剤L1が添加された処理用水W0は、第1区域S1内において、第1撹拌部42により撹拌される。この撹拌により、第1添加剤L1は、処理用水W0中に適切に分散して、処理用水W0中の汚泥を凝集させる。なお、第1添加剤L1を流入部24に添加した場合は、第1添加剤L1が添加された処理用水W0が、流入部24から第1区域S1に流入し、同様に、第1区域S1内において、第1撹拌部42により撹拌される。すなわち、第1撹拌部42は、第1添加剤L1が添加された第1区域S1内の処理用水W0を、撹拌する。
さらに言えば、第1撹拌部42は、撹拌により、第1区域S1内に、水流B1を発生させる。水流B1は、第1撹拌部42の方向Z2側の位置から、方向R1(放射方向外側)に流れ、水槽20の側面付近に向かう。そして、水流B1は、水槽20の側面付近から方向Z1側に上昇する。ここで、第1区域S1と第2区域S2とは、仕切り板46の外周部54で遮蔽されており、外周部54は、水槽20内の方向R1側に設けられている。従って、水流B1によって水槽20の側面付近から上昇する処理用水W0は、外周部54に阻まれ、第2区域S2への流入が抑制される。そのため、水槽20の側面付近から上昇した処理用水W0は、方向R2(放射方向内側)に向かいつつ、方向Z2に下降して、第1撹拌部42に向かう流れとなる。第1添加剤L1が添加された処理用水W0は、このような流れの水流B1に沿って流れることで撹拌され、第1添加剤L1が適切に分散され、処理用水W0中の汚泥が凝集させる。
そして、外周部54に阻まれて方向R2側に流れる処理用水W0の一部は、中心付近の開口部56(連通流路P)を通って、第2区域S2に流入する。第2区域S2に流入する処理用水W0は、外周部54に阻まれて第1区域S1内を流れてきているので、十分に撹拌され、第1添加剤L1により汚泥が凝集した処理用水W1となっている。
開口部56(連通流路P)から第2区域S2に流入した処理用水W1には、第2添加部30により、第2添加剤L2が添加される。第2添加剤L2が添加された処理用水W1は、第2区域S2内において、第2撹拌部44により撹拌される。この撹拌により、第2添加剤L2は、処理用水W1中に適切に分散して、処理用水W0中の汚泥に繊維を混合、付着させる。
さらに言えば、第2撹拌部44は、撹拌により、第2区域S2内に、水流B2を発生させる。水流B2は、第2撹拌部44の方向Z2側の位置から、方向Z2に下降する。下降した水流B2は、仕切り板46や、開口部56から流入する処理用水W1の流れ(処理用水W0の連続流入による上昇流も含む)に阻まれ、仕切り板46に沿って方向R1に流れ、水槽20の側面付近に向かう。開口部56から流入する処理用水W1も、この水流B2に合流する。そして、水流B2は、水槽20の側面付近から方向Z1側に上昇し、方向R2に流れ、第2撹拌部44に向かう流れとなる。第2添加剤L2が添加された処理用水W1は、このような流れの水流B2に沿って流れることで、第2添加剤L2が適切に分散され、凝集した汚泥に繊維を適切に混合、付着させる。繊維が混合、付着した汚泥を含む処理用水W1は、処理用水W2として、流出部26から外部に排出され、脱水装置12に流入する。
図6は、汚泥の様子を示す模式図である。図6の左側の図は、処理用水W1中の凝集した汚泥Mの形態を示し、右側の図は、処理用水W2中の汚泥M1を示している。図6の右側の図に示すように、処理用水W2中の汚泥M1は、凝集した汚泥Mの周囲に、繊維Fが覆われた形状となっている。また、図6の右側の図に示すように、汚泥Mの周囲に付着せず、処理用水W2に混合されて分散する繊維Fもある。
このように、本実施形態に係る撹拌装置10は、仕切り板46により第1区域S1と第2区域S2とを仕切ることで、撹拌が不十分な処理用水W0(第1添加剤L1が十分に分散していない処理用水W0)が、第2区域に流入することを抑制する。そして、撹拌装置10は、径方向内側に設けられた開口部56(連通流路P)を介して、撹拌された処理用水W1(第1添加剤L1が分散した処理用水W1)を、第2区域S2に流入させる。撹拌装置10は、第2区域S2において、処理用水W1に第2添加剤L2を添加、撹拌することができる。従って、本実施形態に係る撹拌装置10は、処理用水W0に複数種類の添加剤を添加する際に、処理用水W0を適切に撹拌させ、それぞれの添加剤を好適に分散させることができる。そのため、本実施形態に係る撹拌装置10は、汚泥の撹拌効率を向上させることができる。また、汚泥の撹拌効率を向上させることで、汚泥の脱水効率も向上させることができる。なお、撹拌装置10は、処理用水W0を流入させ続けたり、仕切り板46で仕切ったりすることで、第2区域S2内の処理用水W2が第1区域S1に流入することも抑制できる。
さらに、撹拌装置10は、撹拌ユニット22を取り付けることで、1つの水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに区切っている。従って、例えば既存の水槽20に撹拌ユニット22を取り付けるだけで、複数種類の添加剤を添加してそれぞれ撹拌する機能を実現することができるとともに、1つの水槽20内で第1区域S1から第2区域S2に処理用水W1が流入されるため、この際に凝集した汚泥が壊れる、すなわちフロックが崩壊して小さくなってしまうことを抑制することができる。
また、1つの水槽で複数の凝集剤を加える方法として、本実施形態のように水槽内を複数の空間に区分せず、例えば、時間毎に添加する添加剤を切り替えることも考えられる。この場合、連続運転ができなくなる。しかし、本実施形態のように、1つの水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに区切ることで、連続運転が可能となる。
また、本実施形態においては、仕切り板46も回転する。従って、第1区域S1と第2区域S2とにおける撹拌をさらに促進することができるとともに、汚泥や繊維が仕切り板46に堆積することが抑制され、メンテナンスなどが容易となる。
以上説明したように、本実施形態に係る撹拌装置10は、水槽20と、仕切り板46と、流入部24と、第1添加部28と、回転軸40と、第1撹拌部42と、第2添加部30と、第2撹拌部44と、流出部26とを有する。仕切り板46は、水槽20内に設けられ、水槽20内を第1区域S1と第2区域S2とに区分けしつつ、第1区域S1と第2区域S2とを連通する連通流路Pを形成する。第1区域S1は、水槽20内の鉛直方向下方の空間である。第2区域S2は、水槽20内の鉛直方向上方の空間である。また、流入部24は、水槽20に接続され、処理用水W0を第1区域S1に流入させる。第1添加部28は、流入部24内又は第1区域S1内の処理用水W0に第1添加剤L1を添加する。回転軸40は、第1区域S1から第2区域S2にわたって延在する。第1撹拌部42は、回転軸40の第1区域S1内における箇所に設けられ、第1添加剤L1が添加された第1区域S1内の処理用水W0を、撹拌する。第2添加部30は、第1撹拌部42によって撹拌されて、連通流路Pから第2区域S2内に流入した処理用水W1に、第2添加剤L2を添加する。第2撹拌部44は、回転軸40の第2区域S2内における箇所に設けられ、第2添加剤L2が添加された第2区域S2内の処理用水W1を撹拌する。流出部26は、第2撹拌部44によって撹拌された第2区域S2内の処理用水W2を、水槽20の外部に流出させる。
この撹拌装置10は、仕切り板46により、水槽20内を第1区域S1と第2区域S2とを仕切ることで、撹拌が不十分な処理用水W0が第2区域S2に流入することを抑制しつつ、撹拌された処理用水W1を連通流路Pから第2区域S2に流入させることができる。そして、撹拌装置10は、第2区域S2において、処理用水W1に第2添加剤L2を添加、撹拌することができる。従って、本実施形態に係る撹拌装置10は、処理用水W0に複数種類の添加剤を添加する際に、処理用水W0を適切に撹拌させ、それぞれの添加剤を好適に分散させることができる。また、撹拌装置10は、1つの水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに区切っているため、凝集した汚泥の崩壊を抑制し、また、既存の水槽20に容易に設けることができる。すなわち、この撹拌装置10は、既設の設備を維持したまま撹拌効率を向上させ、また、脱水効率も向上させることができる。
また、仕切り板46は、回転軸40に取付けられている。仕切り板46は、回転軸40と一体で回転する。この撹拌装置10は、仕切り板46自身も回転させることで、撹拌をさらに促進することができる。
また、第1撹拌部42及び第2撹拌部44は、回転軸40に接続されている。この撹拌装置10は、第1撹拌部42と第2撹拌部44とを同軸で回転させるため、撹拌による水流を適切なものにすることができ、また、撹拌ユニット22の構造をシンプルにすることができる。
また、撹拌装置10は、位置調整機構50を有する。位置調整機構50は、仕切り板46の水槽20内における位置を変えることで、第1区域S1と第2区域S2との体積比を変更する。この位置調整機構50は、例えば、負荷に応じて第1添加剤L1や第2添加剤L2の添加比率を変えた場合に、仕切り板46の位置を動かすことが可能となり、第1区域S1と第2区域S2とにおける滞留時間を調整することができる。例えば、第1添加剤L1の添加量に対して第2添加剤L2の添加量を多くした場合に、仕切り板46を第1区域S1側に動かして、第2区域S2の体積を大きくして、第2区域S2における滞留時間を長くすることができる。また逆に、第2添加剤L2の添加量に対して第1添加剤L1の添加量を多くした場合に、仕切り板46を第2区域S2側に動かして、第1区域S1の体積を大きくして、第1区域S1における滞留時間を長くすることができる。
また、仕切り板46は、外周部54よりも内側に、連通流路Pとしての開口部56が設けられている。この撹拌装置10は、連通流路Pを径方向内側に設けているため、撹拌が不十分な処理用水W0が第2区域S2に流入することを、より好適に抑制する。
また、仕切り板46は、第1区域S1を水槽20の方向Z2側(鉛直方向下方)の空間とし、第2区域S2を、第1区域S1よりも方向Z1側(鉛直方向上方)の空間とする。この撹拌装置10は、先に処理用水W0が流入する第1区域S1を鉛直方向下方とすることで、第1区域S1及び第2区域S2における撹拌をより効果的にすることができる。
また、第1添加部28は、第1添加剤L1として凝集剤を添加し、第2添加部30は、第2添加剤L2として繊維を添加する。この撹拌装置10は、凝集剤を先に添加するので、凝集剤が第2添加剤L2の繊維によって消費されることを抑制して、脱水効率の低下を抑制することができる。
ただし、上述のように、第1添加剤L1と第2添加剤L2とは、それぞれ凝集剤と繊維とに限られない。第1添加剤L1と第2添加剤L2とは、互いに種類の異なる添加剤であればよい。例えば、第1添加剤L1がカチオン性高分子凝集剤であり、第2添加剤L2がアニオン性高分子凝集剤であってもよい。
また、本実施形態に係る撹拌ユニット22は、水槽20に取付けられて水槽20内の処理用水を撹拌する。撹拌ユニット22は、仕切り板46と、回転軸40と、第1撹拌部42と、第2撹拌部44とを有する。仕切り板46は、水槽20内に設けられ、水槽20内を第1区域S1と第2区域S2とに区分けしつつ、第1区域S1と第2区域S2とを連通する連通流路Pを形成する。第1区域S1は、水槽20内の鉛直方向下方の空間である。第2区域S2は、水槽20内の鉛直方向上方の空間である。回転軸40は、仕切り板46に取付けられ、第1区域S1から第2区域S2にわたって延在する。第1撹拌部42は、回転軸40の第1区域S1内における箇所に設けられ、第1区域S1内の処理用水W0を、撹拌する。第2撹拌部44は、回転軸40の第2区域S2内における箇所に設けられ、第2区域S2内の処理用水W1を撹拌する。この撹拌ユニット22は、1つの水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに区切り、それぞれの区域を撹拌することができる。従って、この撹拌ユニット22によると、既設の設備を維持したまま撹拌効率を向上させ、また、脱水効率も向上させることができる。
また、言い換えれば、撹拌ユニット22は、回転軸40と、第1撹拌部42と、第2撹拌部44と、仕切り板46とを有する。第1撹拌部42は、回転軸40に取付けられ、回転軸40の回転に伴い回転する。第2撹拌部44は、回転軸40の、軸方向において第1撹拌部42が取り付けられた位置とは異なる位置に取付けられる。第2撹拌部44は、回転軸40の回転に伴い回転する。また、仕切り板46は、回転軸40の、第1撹拌部42が設けられた位置と第2撹拌部44が設けられた位置との間に設けられて、回転軸40の放射方向外側に延在する。仕切り板46は、第1撹拌部42が設けられる第1区域S1と、第2撹拌部44が設けられる第2区域S2とを区分けしつつ、第1区域S1と第2区域S2とを連通する連通流路を形成する。この撹拌ユニット22は、1つの水槽20を第1区域S1と第2区域S2とに区切り、それぞれの区域を撹拌することができる。従って、この撹拌ユニット22によると、既設の設備を維持したまま撹拌効率を向上させ、また、脱水効率も向上させることができる。
なお、本実施形態の説明では、仕切り板46は、回転軸40の軸方向に直交する面に沿って、水平方向に延在している。ただし、仕切り板46は、連通流路Pを設けつつ第1区域S1と第2区域S2とに区分けする形状であれば、これに限られない。図7は、仕切り板の他の例を示す図である。図7に示すように、撹拌装置10Aは、仕切り板46Aの形状が異なる撹拌ユニット22Aを有していてもよい。仕切り板46Aは、方向R1(径方向外側)に向かうに従って、第1撹拌部42側、すなわち方向Z2側に傾斜していてもよい。仕切り板46Aがこのように傾斜することにより、仕切り板46Aによる撹拌をより効果的に行うことができる。ただし、図7のような仕切り板46Aの形状は、一例である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。