以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
(水処理システムの構成)
最初に、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る水処理システムの模式的なブロック図である。図1に示すように、第1実施形態に係る水処理システム100は、着水井12と、撹拌装置14と、フロック成長槽16と、沈殿槽18と、ろ過槽20とを有する。水処理システム100は、着水井12に取り込んだ原水W1に水処理を行い、水W5として外部に供給するシステムである。本実施形態では、水W5は、上水である。すなわち、水処理システム100は、浄水施設であり、上水(上水道用の水)である水W5を各家庭などに供給するための施設である。ただし、水W5は、上水であることに限られず、任意の用途の水であってよい。すなわち、水W5が中水であったり、原水W1が下水や産業排水などの廃水であったりしてもよい。言い換えれば、水処理システム100が処理する原水W1の種類と水W5の用途とは、任意のものであってよい。さらに言えば、本実施形態では、原水W1は、微細な固形粒子が含まれる水であるが、固形成分によってスラリー状となったものであってよく、すなわち、例えば汚泥であってもよい。
着水井12は、原水W1を取り込む施設である。着水井12は、例えば河川などからの原水W1が流入され、後段の各設備で水処理を行うために原水W1の流量調整を行う水槽である。
撹拌装置14は、着水井12から原水W1が流入する水槽30を有する。撹拌装置14は、流入管36から、水槽30の内部に原水W1が流入され、この原水W1に添加物Pを添加しつつ、原水W1を撹拌する撹拌用の水槽設備である。撹拌装置14の詳細な構成については後述する。撹拌装置14は、添加物Pが添加されて撹拌された原水W1を、添加水W2として、流出管38から後段のフロック成長槽16に供給する。
フロック成長槽16は、複数の水槽16Aを有し、各水槽16A内に撹拌機16Bが備えられている。フロック成長槽16は、水槽16A内に添加水W2を貯留し、貯留した添加水W2を撹拌機16Bで撹拌する。撹拌機16Bの撹拌速度(回転速度)は、後述する撹拌装置14が有する撹拌部34の撹拌速度(回転速度)より低い。フロック成長槽16は、撹拌機16Bで添加水W2を撹拌することにより、添加水W2内にフロックを生成させ、そのフロックを成長させる。なお、フロック成長槽16は、複数の水槽16Aを有していなくてもよく、1つの水槽16Aのみ有していてもよい。
沈殿槽18は、フロック成長槽16でフロックが成長された添加水W2である、フロック含有水W3が流入する。沈殿槽18は、このフロック含有水W3を貯留することで、成長したフロックを沈殿させる。これにより、沈殿槽18は、フロック含有水W3を、フロックと上澄み水W4とに分離する。すなわち、上澄み水W4は、フロック含有水W3からフロックを分離した水である。
ろ過槽20は、沈殿槽18から上澄み水W4が流入する。ろ過槽20は、例えば砂ろ過を行うろ過部22を備えている。ろ過槽20は、上澄み水W4を、ろ過部22によりろ過して、上澄み水W4から微小な固形成分を分離する。ろ過槽20は、固形成分を分離した上澄み水W4を、水W5として、外部に放出する。以下、原水W1、添加水W2、フロック含有水W3、上澄み水W4、水W5を互いに区別しない場合は、水Wと記載する。水処理システム100は、以上のような構成を有している。
(撹拌装置の構成)
以下、撹拌装置14について詳細に説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る撹拌装置の模式図である。図2は、撹拌装置14の断面図であり、図3は、撹拌装置14の上面図である。図2に示すように、撹拌装置14は、水槽30と、静翼部32と、撹拌部34と、流入管36と、流出管38と、添加物添加部40と、制御部42とを有する。撹拌装置14は、水槽30内に原水W1を取り込み、添加物添加部40によって原水W1に添加物Pを添加しつつ、撹拌部34によって原水W1を撹拌し、添加物Pが添加されて撹拌された原水W1を、添加水W2として外部(ここではフロック成長槽16)に放出する。
図2及び図3に示すように、水槽30は、内部に原水W1が流入する水槽である。水槽30は、例えばX方向に沿った長さが3mであり、Y方向に沿った長さが3mであり、Z方向に沿った長さが4mである。ただし、水槽30の各方向の長さは、一例であり、任意である。なお、X方向は、水平方向に平行な方向である。Y方向は、水平方向に平行であり、かつX方向に直交する方向である。Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であり、すなわち鉛直方向である。また、以下、X方向に沿った一方の方向をX1方向とし、X方向に沿った他方の方向をX2方向とする。同様に、Y方向に沿った一方の方向をY1方向とし、Y方向に沿った他方の方向をY2方向とする。また、以下、Z方向に沿った一方の方向をZ1方向とし、Z方向に沿った他方の方向をZ2方向とする。Z1方向は、鉛直方向の上方に向かう方向(地表から離れる方向)であり、Z2方向は、鉛直方向の下方に向かう方向(地表に向かう方向)である。
水槽30は、底面30Aと、側部30B、30C、30D、30Eとを有する。底面30Aは、水槽30のZ2方向側の面、すなわち底面である。側部30B、30C、30D、30Eは、水槽30の側部である。具体的には、図3に示すように、側部30Bは、水槽30のX1方向側の面である。側部30Cは、水槽30のX2方向側の面であり、側部30Bに対向する(側部30Bの反対側の)面である。側部30Dは、水槽30のY2方向側の面である。側部30Eは、水槽30のY1方向側の面であり、側部30Dに対向する(側部30Dの反対側)の面である。水槽30は、底面30Aに対向する面、すなわち鉛直方向上側(Z1方向側の)面は設けられておらず、鉛直方向上側(Z1方向側)が開放されている。水槽30は、このように、上面が開放された直方体状の水槽であるが、例えば円筒状の水槽であってもよく、その形状は任意である。
図2及び図3に示すように、静翼部32は、水槽30の内部であって、水槽30の底面30Aに設けられている。図3に示すように、静翼部32は、複数の板状部材である板部50A、50B、50C、50Dが、水槽30の中心軸Axの周囲に沿って並んで設けられている。中心軸Axは、水槽30のZ方向に沿った中心軸である。すなわち、静翼部32は、水槽30の底面30Aであって、水槽30の側部30B、30C、30D、30Eよりも、放射方向の内側(中心軸Ax側)に設けられている。板部50A、50B、50C、50Dは、中心軸Ax(Z方向)に対する放射方向に延在している。より詳しくは、板部50A、50B、50C、50Dは、Z方向に沿った中心軸Axに対して、放射方向外側に向かって延在している。具体的には、板部50Aは、中心軸AxよりもX1方向側であってY1方向側に位置しており、Y方向に沿って延在している。板部50Bは、中心軸AxよりもX1方向側であってY2方向側に位置しており、X方向に沿って延在している。板部50Cは、中心軸AxよりもX2方向側であってY2方向側に位置しており、Y方向に沿って延在している。板部50Dは、中心軸AxよりもX2方向側であってY1方向側に位置しており、X方向に沿って延在している。板部50A、50B、50C、50Dは、底面30Aにこのような状態で固定されていて回転せず、静翼部32を構成している。以下、板部50A、50B、50C、50Dを互いに区別しない場合、板部50と記載する。板部50は、本実施形態では4つであったが、数はこれに限られない。
図2に示すように、撹拌部34は、静翼部32よりも鉛直方向の上方(Z2方向側)に設けられ、少なくとも一部が水槽30内に配置されており、水槽30内の原水W1を撹拌する。撹拌部34は、水槽30の側部30B、30C、30D、30Eよりも、放射方向の内側(中心軸Ax側)に設けられている。撹拌部34は、鉛直方向(Z方向)から見て、静翼部32に重畳しており、本実施形態では、中心軸Ax上に配置されている。
さらに詳しくは、図2に示すように、撹拌部34は、回転軸部54と撹拌翼56とを有する。回転軸部54は、水槽30の鉛直方向上方(Z1方向側)から水槽30の内部まで、Z方向に沿って延在する軸状の部材である。回転軸部54は、軸が中心軸Axに重畳しており、制御部42により、中心軸Axを回転軸として回転される。撹拌翼56は、回転軸部54のZ2方向側の先端に取付けられており、水槽30内に位置している。撹拌翼56は、回転軸部54の先端から、中心軸Axに対して放射方向外側に延在する。より詳しくは、撹拌翼56は、回転軸部54の先端から放射方向外側に延在する複数の板状部材から構成される。撹拌翼56は、回転軸部54の回転に伴い回転する。撹拌部34は、回転軸部54の回転によって撹拌翼56を回転させることで、水槽30内の原水W1を撹拌する。なお、撹拌部34は、原水W1を撹拌することが可能であれば、形状は任意である。すなわち、撹拌翼56は、回転することで原水W1に水流を発生させる構造であれば、形状は任意である。
なお、図3に示すように、本実施形態において、撹拌翼56の放射方向外側の端部は、鉛直方向視(Z方向から見た場合)、静翼部32の板部50の放射方向外側の端部と同じ位置まで延在している。ただし、撹拌翼56と板部50の位置関係はこれに限られず、撹拌翼56が板部50よりも放射方向外側まで延在していてもよく、板部50が撹拌翼56よりも放射方向外側まで延在していてもよい。
流入管36は、着水井12と水槽30とに接続された配管である。図2及び図3に示すように、流入管36は、開口である流入口36Aが、水槽30、より詳しくは水槽30の側部30Cに接続されている。すなわち、流入口36Aは、撹拌部34及び静翼部32よりもX2方向側に設けられている。流入口36Aは、側部30CのZ1方向側に位置しており、さらに言えば、静翼部32及び撹拌翼56よりもZ1方向側(鉛直方向上側)に位置している。本実施形態において、流入口36Aは、側部30Cに開口する流入管36の開口部である。流入管36は、着水井12からの原水W1を、流入口36Aから、水槽30内に流入させる。ただし、流入口36Aは、撹拌部34及び静翼部32よりもX2方向側に設けられて、原水W1を水槽30内に流入させるものであれば、側部30Cに開口する流入管36の開口部でなくてもよい。例えば、流入口36Aは、側部30Dや側部30Eの撹拌部34よりもX2方向側の位置に開口してもよい。また、流入口36Aは、例えば水槽30の鉛直方向上方(Z1方向側)であって、撹拌部34よりもX2方向側に位置しており、水槽30の鉛直方向上方から水槽30内に原水W1を流下させてもよい。
また、流入管36は、流量調整部36Bに接続されている。流量調整部36Bは、流入管36から水槽30内に流入する原水W1の流量を調整する。流量調整部36Bは、例えば開閉弁であり、制御部42によって開閉制御されることにより、水槽30内に流入させる原水W1の流量を調整する。ただし、撹拌装置14は、流量調整部36Bを必ずしも設けていなくてもよい。
流出管38は、水槽30とフロック成長槽16とに接続された配管である。図2及び図3に示すように、流出管38は、開口である流出口38Aが、水槽30、より詳しくは水槽30の側部30Bに接続されている。すなわち、流出口38Aは、撹拌部34及び静翼部32よりもX1方向側に設けられている。また、流出口38Aは、側部30BのZ1方向側に位置しており、さらに言えば、静翼部32及び撹拌翼56よりもZ1方向側(鉛直方向上側)に位置している。流出管38は、流出口38Aにおいて、水槽30内で添加物Pが撹拌された原水W1である添加水W2を、水槽30の外部(フロック成長槽16)に流入させる。本実施形態において、流出口38Aは、側部30Bに開口する流出管38の開口部である。ただし、流出口38Aは、撹拌部34よりもX1方向側の側部30Bに設けられて添加水W2を外部に流出させるものであれば、側部30Bに開口する流出管38の開口部でなくてもよい。例えば、流出口38Aは、側部30BのX1方向側の端面に設けられた溝であり、水槽30内の添加水W2を、この溝から外部に流出するものであってもよい。また、側部30BのX1方向側の端面を、他の側部(側部30C、30D、30E)よりも低くして、側部30BのX1方向側の端面のX1方向側を流出口38Aとして、添加水W2を越流方式で外部に流出させてもよい。
このように、流入口36Aは、撹拌部34及び静翼部32よりもX2方向側に設けられており、流出口38Aは、撹拌部34及び静翼部32よりもX1方向側に設けられている。従って、流入口36Aは、撹拌部34よりも、撹拌部34から流出口38Aまでの方向(X1方向)と反対方向側(X2方向)側に設けられているということができる。同様に、流出口38Aは、撹拌部34よりも、撹拌部34から流入口36Aまでの方向(X2方向)と反対方向側(X1方向)側に設けられているということができる。また、更に言い換えれば、流入口36A及び流出口38Aは、撹拌部34及び静翼部32よりも放射方向外側に設けられており、流入口36Aは、撹拌部34及び静翼部32よりも流出口38Aとは反対側の放射方向の外側に設けられているといえる。
図2及び図3に示すように、添加物添加部40は、水槽30内に添加物Pを添加する。具体的には、添加物添加部40は、添加口60が開口しており、添加口60から水槽30内に添加物Pを添加する。本実施形態において、添加物Pは、凝集剤である。すなわち、添加物Pは、原水W1中に含まれる微細な固形粒子を凝集させる薬品であり、本実施形態では液状の薬品である。添加物Pは、例えばPAC(Polyaluminiumchloride ポリ塩化アルミニウム)であるが、これに限られない。添加物添加部40は、添加物Pを原液のまま水槽30内に添加するが、例えば添加物Pに水を加えて添加物Pを希釈した状態で、水槽30内に添加してもよい。希釈する場合の水は、原水W1や水W5など、任意の水であってよい。また、添加物Pは、凝集剤に限られず、原水W1内を分散して原水W1を改質するものであれば、任意の物質であってよい。添加物Pは、例えば、下水汚泥の脱水前の凝集混和槽における凝集剤であってもよい。また、添加物Pは、上水プロセス注入前の活性炭溶解槽における活性炭や活炭スラリーなどであってよいし、微粉炭貯留槽における微粉炭スラリーなどであってもよい。
図2及び図3に示すように、添加口60は、添加位置Sに設けられている。添加位置Sは、水槽30中の原水W1の水面WAよりも鉛直方向上方(Z1方向側)の位置であって、水槽30をZ方向に沿って投影した領域内に位置している。さらに言えば、添加位置Sは、水槽30よりも鉛直方向上方(Z1方向側)の位置である。そして、添加位置Sは、水槽30内の流出口38Aに係る側と撹拌部34を挟んで反対側の位置である。ここで、図3に示すように、撹拌部34の中心を通る仮想線であって、かつ流出口38Aの中心に向かう方向と直交する方向に沿った仮想線を、仮想線Kとする。この場合、水槽30内の流出口38Aに係る側とは、水槽30内をこの仮想線Kによって区分けした場合の2つの空間領域のうち、流出口38Aが存在する側の空間領域(図3でドットが付けられてない領域)を指す。添加位置Sは、この流出口38Aが存在する側の空間領域に対して、撹拌部34を挟んだ反対側に位置している(図3でドットが付けられている領域)。言い換えれば、水槽30内の流出口38Aに係る側とは、仮想線KよりもX1方向側の水槽30内の領域である。そして、添加位置Sは、仮想線KよりもX2方向側の水槽30内の領域である。
別の観点によると、添加位置Sは、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、距離L1が、距離L2よりも長くなる位置である。距離L1は、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)における添加位置Sから流出口38Aまでの距離である。距離L2は、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)における添加位置Sから撹拌部34の中心(中心軸Ax)までの距離である。添加位置Sは、距離L1が距離L2より長い位置となるので、撹拌部34から見て、流出口38Aに対して反対側に位置している。言い換えれば、添加位置Sは、撹拌部34の中心(中心軸Ax)よりもX2方向側(撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向に対する反対方向側)に位置している。また、添加位置Sは、水槽30の側部30Cよりも、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向側(X1方向側)に位置している。すなわち、添加位置Sは、撹拌部34の中心(中心軸Ax)よりもX2方向側であって、水槽30よりもZ1方向側の位置である。
また、さらに言えば、添加位置Sは、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、距離L1が、距離L3よりも長くなる位置である。距離L3は、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)における添加位置Sから撹拌翼56の放射方向外側の端部56Aまでの距離である。端部56Aは、撹拌翼56の最もX2方向側の端部である。すなわち、添加位置Sは、撹拌翼56の端部56AよりもX2方向側(撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向に対する反対方向側)に位置している。このように、添加位置Sは、撹拌部34が添加位置Sと流出口38Aとの間に位置するように、配置されている。
また、以上の説明では、添加位置Sを、撹拌部34との位置関係で規定したが、静翼部32との位置関係でも規定可能である。すなわち、添加位置Sは、水槽30内の流出口38Aに係る側と静翼部32を挟んで反対側の位置である。この場合、仮想線Kは、静翼部32の中心も通る線であるということができる。従って、添加位置Sは、この流出口38Aが存在する側の空間領域に対して、静翼部32を挟んだ反対側に位置しているといえる。また、別の観点では、添加位置Sは、静翼部32から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、添加位置Sから流出口38Aまでの距離が、添加位置Sから静翼部32の中心(中心軸Ax)までの距離よりも長くなる位置ということもできる。すなわち、添加位置Sは、静翼部32の中心(中心軸Ax)よりもX2方向側に位置している。また、添加位置Sは、静翼部32から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、添加位置Sから流出口38Aまでの距離が、添加位置Sから静翼部32の放射方向外側の端部51までの距離よりも長くなる位置ということもできる。ここで、端部51は、各板部50のうちの最もX2方向側の端部である。従って、添加位置Sは、静翼部32の端部51よりもX2方向側(静翼部32から流出口38Aへ向かう方向に対する反対方向側)に位置しているということができる。このように、添加位置Sは、静翼部32が添加位置Sと流出口38Aとの間に位置するように、配置されている。
より詳しくは、添加位置Sは、図3に示すように、添加領域T1内に位置している。添加領域T1は、水槽30内の領域のうち、撹拌部34(静翼部32)の回転中心である中心軸AxよりもX2方向(静翼部32から流出口38Aへ向かう方向に対する反対方向)側の領域である。すなわち、添加領域T1は、中心軸AxよりもX2方向側であって水槽30の側部30CよりもX1方向(静翼部32から流出口38Aへ向かう方向)側の領域である。また、添加位置Sは、添加領域T2内に位置していることがより好ましい。添加領域T2は、水槽30内の領域のうち、撹拌翼56の端部56A(静翼部32の端部51)よりもX2方向側の領域である。すなわち、添加領域T2は、撹拌翼56の端部56A(静翼部32の端部51)よりもX2方向側であて、水槽30の側部30CよりもX1方向側の領域である。なお、添加領域T2は、添加領域T1内に含まれる。以下、添加領域T1、T2を区別しない場合は、添加領域Tと記載する。
添加位置Sは、添加領域T内であれば、添加領域T内のどの位置にあってもよいが、側部30C近傍に位置していることが好ましい。すなわち、添加位置Sは、X方向に沿った側部30Cまでの距離が、X方向に沿った中心軸Axまでの距離や、X方向に沿った端部56A及び端部51までの距離よりも、短いことが好ましい。また、添加領域Tは、流入口36Aが開口した側部30CよりもX1方向側の領域である。従って、添加位置Sは、流入口36AよりもX1方向側に位置しており、流入口36Aと撹拌部34との間(又は流入口36Aと静翼部32との間)に位置しているということもできる。
また、本実施形態では、添加口60(添加位置S)の位置は固定されているが、図3に示すように、添加物添加部40は、制御部42の制御により、添加口60(添加位置S)を、別の位置に移動可能としてもよい。例えば、制御部42は、撹拌部34の撹拌速度や、原水W1の流量などに応じて、添加口60(添加位置S)を、別の位置に移動させる。なお、制御部42は、添加口60(添加位置S)を、添加領域Tの領域内で移動させる。
(撹拌装置の動作)
次に、撹拌装置14の動作、すなわち原水W1に添加物Pを添加して撹拌する動作について説明する。図4及び図5は、第1実施形態に係る撹拌装置の動作を説明する模式図である。図4に示すように、撹拌装置14は、制御部42が流量調整部36Bを制御することにより、流入管36を介して水槽30に原水W1を流入させる。制御部42は、連続して水槽30に原水W1を流入させ続ける(連続運転)が、例えば原水W1の流入と流入停止とを切り替えてもよい(間欠運転)。制御部42は、原水W1の水槽30内での滞留時間、すなわち原水W1が水槽30に留まる時間が、所定の時間(例えば1分以上5分以下)となるように、原水W1の流入量を調整する。原水W1は、流入口36Aから水槽30内に流入し、流出口38Aから外部に流出するため、水槽30の容量と原水W1の流入量とに基づき、滞留時間を設定可能である。
なお、本実施形態において、撹拌装置14による撹拌などの動作は、水槽30内に十分の原水W1が溜まってから開始される。この撹拌動作を行っている最中も、原水W1の流入は連続して行われているため、原水W1の流入と流出とは、続いている。すなわち、撹拌装置14は、原水W1を水槽30内に流入させつつ添加水W2を水槽30から流出させている状態で、撹拌部34で撹拌しつつ、添加物添加部40で添加物Pを添加している。
制御部42は、原水W1を水槽30内に流入させつつ、撹拌部34を作動させ、撹拌部34を回転させる。静翼部32が配置されている状態で撹拌部34を回転させることにより、水槽30内には、上昇水流F1と下降水流F2とが発生する。上昇水流F1は、水槽30内の放射方向内側(中心軸Ax側)に発生する原水W1の水流である。上昇水流F1は、静翼部32から撹拌部34(撹拌翼56)に向かって螺旋状にZ1方向に向かう水流である。そして、下降水流F2は、水槽30内の上昇水流F1よりも放射方向外側(水槽30の側部側)に発生する原水W1の水流である。図5に示すように、下降水流F2は、撹拌部34(撹拌翼56)の放射方向外側を、撹拌部34(撹拌翼56)の周囲に沿って流れる水流である。下降水流F2は、撹拌部34の周囲を回るように流れる。さらに、下降水流F2は、撹拌部34の周囲を回るように流れながら、静翼部32の周囲に向けてZ2方向側に移動する。すなわち、下降水流F2は、撹拌部34の周囲に沿って流れつつ、静翼部32に向けて鉛直方向下方(Z2方向)に螺旋状に下降する。この下降水流F2は、静翼部32に到達すると、静翼部32により、水流が上昇水流F1に変化する。上昇水流F1により撹拌部34(撹拌翼56)に到達した原水W1は、下降水流F2によって静翼部32の周囲まで下降することで、循環する。原水W1は、この上昇水流F1及び下降水流F2によって、撹拌される。また、流出口38A付近の下降水流F2は、一部が分岐して、流出水流F3として流出口38Aから外部に流出する。
制御部42は、添加物添加部40によって、添加位置Sから水槽30内に添加物Pを添加させている。添加位置Sから水槽30内に流下された添加物Pは、水槽30内の原水W1に添加される。例えば、もし添加位置Sが流出口38A付近に位置していると、添加物Pが、下降水流F2によって十分に分散される前に、流出水流F3に巻き込まれて外部に排出されるおそれがある。しかし、本実施形態においては、添加位置Sは、撹拌部34よりもX2方向側、すなわち流出口38Aから離れた箇所に設けられている。従って、添加位置Sから水槽30内に流下された添加物Pは、流出水流F3によって外部に排出される前に、下降水流F2によって十分に混合及び分散される。また、下降水流F2は、撹拌翼56よりも放射方向外側に発生している。従って、添加位置Sが、添加領域T2、すなわち撹拌翼56よりも放射方向外側に位置している場合、添加物Pは、より適切に下降水流F2に巻き込まれるため、より適切に原水W1内に分散される。
なお、本実施形態においては、添加位置Sは、撹拌部34よりもX2方向側の添加領域T1又は添加領域T2内に位置している。ただし、添加位置Sは、水槽30よりも鉛直方向上方(Z1方向側)の位置であって、撹拌部34(静翼部32)よりも放射方向外側の位置であって、かつ、流出口38Aよりも、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れにおいて所定角度θ1以上上流側の位置であってもよい。本実施形態においては、所定角度θ1は、90度であるが、180度以上270度以下であることがより好ましい。すなわち、添加位置Sは、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れにおいて所定角度θ1以上上流であれば、撹拌部34よりもX1方向側に位置していてもよい。この場合でも、添加位置Sは、下降水流F2の流れに対して、流出口38Aよりも十分離れた位置(上流側)に位置していることとなる。従って、添加物Pは、適切に下降水流F2に巻き込まれて、原水W1内に分散される。
より詳しくは、添加位置Sは、添加領域T3内に位置していてもよい。ここで、中心軸Axから流出口38Aまでを結ぶ直線を、線Bとする。また、中心軸Axから水槽30の側部の所定位置までを結ぶ直線を、線Cとする。線Cは、線Bに対して、下降水流F2の流れの上流方向に、所定角度θ1(ここでは90度)だけ傾斜している。従って、線Cは、線Bに対して、下降水流F2の流れの所定角度θ1(ここでは90度)上流側の位置を示している。この場合、添加領域T3は、水槽30内の領域のうち、線Cよりも下降水流F2の流れの上流側の領域である。言い換えれば、添加領域T3は、水槽30内の領域のうち、線Cから下降水流F2の流れの反対方向に回って線Bまでの領域であり、線Cから下降水流F2の流れ方向に回って線Bまでの領域を除いた領域である。なお、線Bは、中心軸Axから流出口38Aの中心を結ぶ線であるが、中心軸Axから流出口38Aの端部38A1までを結ぶ線であってもよい。ここで、端部38A1は、流出口38Aの下降水流F2の流れの上流側の端部であり、図5の例では、流出口38AのY1方向側の端部である。また、図5の例では、下降水流F2は時計回りだが、下降水流F2の流れる方向は、撹拌部34の回転方向によって決まるものであるため、例えば反時計回りであってもよい。
ただし、添加領域T3は、線Cよりも下降水流F2の流れの上流側の領域のうち、撹拌翼56の放射方向外側の端部(又は静翼部32の板部50の放射方向外側の端部)よりも放射方向外側の領域であることが好ましい。このように、撹拌翼56の放射方向外側の端部よりも放射方向の外側を、添加領域T3とすることにより、添加物Pをより適切に下降水流F2に巻き込むことができる。また、添加領域T3は、線Dから線Bまでの領域(線Dから下降水流F2の流れの反対方向に回って線Bまでの領域)を含まないことがより好ましい。線Dは、中心軸Axから流出口38Aの端部38A2までを結ぶ線である。端部38A2は、流出口38Aの下降水流F2の流れの下流側の端部であり、図5の例では、流出口38AのY2方向側の端部である。すなわち、線Bから線Dまでの領域とは、中心軸AxよりもX1方向側の領域のうち、X方向から見て流出口38Aに重畳する領域である。添加領域T3がこの流出口38Aに重畳する領域を含まないことにより、添加物Pが十分分散する前に流出口38Aから外部に流出することをより好適に抑制することができる。なお、添加領域T3も、添加領域T1、T2と区別しない場合は、添加領域Tと記載する。
図6は、流出口の他の例を示す模式図である。上述のように、撹拌装置14は、添加水W2を越流方式で外部に流出させてもよい。図6は、この越流方式の場合を示している。図6に示すように、越流方式の場合、流出口38Aは、側部30BのZ1方向側の領域の全体となる。そして、この場合、線B1は、中心軸Axから流出口38Aの端部38A1までを結ぶ線となり、線C1は、線B1に対して、下降水流F2の流れの上流方向に所定角度θ1(90度)だけ傾斜した線となる。また、線D1は、中心軸Axから流出口38Aの端部38A2までを結ぶ線となる。この場合、添加領域T3は、水槽30内の領域のうち、線C1から下降水流F2の流れの反対方向に回って線D1までの領域であることが好ましい。
図7は、添加位置の他の例を示す模式図である。図5の例では、添加位置Sは、添加領域T2内であって、流入口36Aの近傍に設けられていた。ただし、図7に示すように、添加位置Sは、添加領域T3内であって、流入口36Aが設けられている位置よりも、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れに対して上流側であってもよい。言い換えれば、流入口36Aが設けられている位置は、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れにおいて、流出口38Aよりも上流側であって、添加位置Sよりも下流側であってもよい。流入口36Aをこのような位置に設けることにより、添加位置Sから添加された添加物Pが、下降水流F2に巻き込まれた後、流入口36Aから流入する原水W1に混合される。従って、流入口36Aをこのような位置に設けることにより、添加物Pを、原水W1中により適切に混合及び分散させることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る撹拌装置14は、水槽30と、静翼部32と、撹拌部34と、流出口38Aと、添加物添加部40とを有する。水槽30は、原水W1(液体)が流入する。静翼部32は、水槽30の底面30Aに設けられ、複数の板状部材(板部50)が放射方向に延在している。撹拌部34は、静翼部32よりも鉛直方向の上方(Z1方向側)に設けられ、水槽30内の原水W1(液体)を撹拌する。流出口38Aは、水槽30の側部30Bに設けられ、水槽30内の添加水W2(液体)を外部に流出させる。添加物添加部40は、添加位置Sから水槽30内に添加物Pを添加する。添加位置Sは、水槽30内の原水W1(液体)の水面WAよりも鉛直方向上方(Z1方向側)の位置であって、水槽30内の流出口38Aに係る側と撹拌部34を挟んで反対側における位置である。
この撹拌装置14は、静翼部32と撹拌部34とを有するため、撹拌部34を動作した場合に、水槽30内に、上昇水流F1と下降水流F2とを発生させる。そして、撹拌装置14は、添加物添加部40により、添加位置S、すなわち撹拌部34の中心よりもX2方向側に、添加物Pを添加する。撹拌装置14は、流出口38Aから離れた箇所に添加物Pを添加するため、添加物Pは、流出水流F3によって外部に排出される前に、下降水流F2によって、十分に混合及び分散される。また、添加位置Sは、水槽30よりも鉛直方向上方にあるため、添加口60が原水W1の外部に位置する。従って、この撹拌装置14は、添加口60の目詰りを抑制し、また、目詰まりした場合にも、目視で容易に目詰まりした旨を確認して、目詰まりを解消させることができる。従って、この撹拌装置14によると、添加物Pが添加できなくなることを抑制することができる。このように、この撹拌装置14によると、原水W1に添加物Pを適切に添加させ、原水W1中に添加物Pを適切に分散させることが可能となる。
また、添加位置Sは、静翼部32よりも、静翼部32から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、流出口38Aまでの距離が静翼部32の中心までの距離よりも長くなる位置に設けられている。従って、この撹拌装置14は、流出口38Aから離れた箇所に添加物Pを添加させて、原水W1中に添加物Pを適切に分散させることが可能となる。
また、撹拌部34は、回転可能な回転軸部54と、回転軸部54に取付けられ回転軸部54から放射方向外側に延在する撹拌翼56とを有する。撹拌部34は、回転軸部54の回転に伴い撹拌翼56を回転させて、水槽30内の原水W1(液体)を撹拌する。そして、添加位置Sは、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(ここではX1方向)において、流出口38Aまでの距離L1が撹拌翼56の放射方向外側の端部56Aまでの距離よりも長くなる位置である。この撹拌装置14は、撹拌翼56の外周よりも放射方向外側に添加位置Sを設けている。撹拌翼56の外周よりも放射方向外側には、下降水流F2が発生している。従って、この撹拌装置14は、添加物Pを下降水流F2が発生している箇所に添加して、添加物Pを下降水流F2に適切に巻き込ませることで、原水W1中に添加物Pを適切に分散させることが可能となる。
また、撹拌装置14は、流入口36Aを更に有する。流入口36Aは、撹拌部34から流出口38Aへ向かう方向(X1方向)と反対方向(X2方向)側の水槽30の側部30Cに設けられ、水槽30内に原水W1(液体)を流入させる。そして、添加位置Sは、流入口36Aと撹拌部34との間に位置している。この撹拌装置14は、この添加位置Sから添加物Pを添加することで、原水W1中に添加物Pを適切に分散させることが可能となる。
また、撹拌部34は、水槽30内の原水W1(液体)を撹拌することで、上昇水流F1と下降水流F2とを発生させる。上昇水流F1は、静翼部32から撹拌部34に向けて鉛直方向上方(Z1方向)に螺旋状に上昇する。下降水流F2は、撹拌部34の周囲に沿って流れつつ静翼部32に向けて鉛直方向下方(Z2方向)に螺旋状に下降する。撹拌部34は、添加位置Sから添加された添加物Pを下降水流F2に巻き込むことで、添加物Pを原水W1(液体)内に分散させる。この撹拌装置14は、添加物Pを下降水流F2に巻き込むことで、添加物Pを原水W1内に適切に分散させることができる。
また、本実施形態に係る撹拌装置14は、水槽30と、静翼部32と、撹拌部34と、流出口38Aと、添加物剤添加部40とを有する。撹拌部34は、水槽30内の原水W1(液体)を撹拌することで、上昇水流F1と下降水流F2とを発生させる。上昇水流F1は、静翼部32から撹拌部34に向けて鉛直方向上方(Z1方向)に螺旋状に上昇する。下降水流F2は、撹拌部34の周囲に沿って流れつつ静翼部32に向けて鉛直方向下方(Z2方向)に螺旋状に下降する。そして、添加位置Sは、水槽30内の原水W1(液体)の水面WAよりも鉛直方向上方(Z1方向側)の位置であって、撹拌部34よりも放射方向外側の位置であって、かつ、流出口38Aよりも、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れにおける180度以上270度以下の上流側の位置である。この撹拌装置14は、添加位置Sを、下降水流F2の流れに対して、流出口38Aよりも十分離れた位置(上流側)に配置している。従って、この撹拌装置14は、添加物Pを適切に下降水流F2に巻き込み、添加物Pを原水W1内に適切に分散することができる。
また、撹拌装置14は、水槽30内に原水W1(液体)を流入させる流入口36Aを更に有する。流入口36Aは、下降水流F2の撹拌部34の周囲に沿った流れにおいて、流出口38Aよりも上流側であって添加位置Sよりも下流側に設けられる。この撹拌装置14は、流入口36Aをこのような位置に設けることにより、添加物Pを、原水W1中により適切に混合及び分散させることができる。
また、本実施形態に係る水処理システム100は、撹拌装置14を有する、上水における水処理システムである。この水処理システム100は、撹拌装置14を有するため、上水の水処理を行う際に、低動力で適切に、添加物Pの混合及び分散を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、流入口36Aは、水槽30の鉛直方向上方側(Z1方向側)に設けられていたが、第2実施形態においては、流入口36Aaが、水槽30の鉛直方向下方側(Z2方向側)に設けられている。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る撹拌装置の模式図である。第2実施形態に係る撹拌装置14aは、水槽30aと、流入管36aと、隔壁部70と、開口部72と、遮蔽部74とを有する。流入管36aは、流入口36Aaが、水槽30aの側部30CaのZ2方向側に位置している。より詳しくは、第2実施形態において、流入口36Aaは、静翼部32及び撹拌部34よりもZ2方向側に開口している。
隔壁部70は、水槽30a内に設けられる壁状(板状)の部材である。隔壁部70は、水槽30aの底面30AaよりもZ1方向側に設けられ、底面30Aaに対して、Z方向に沿った方向から見て、重畳している。また、隔壁部70は、流出口38AよりもZ2方向側に設けられ、流入口36AよりもZ1方向側に設けられている。隔壁部70は、水槽30aの内部を、撹拌空間A1と流入空間A2とに区分している。撹拌空間A1は、水槽30aの内部の流出口38Aが設けられている側の空間であり、隔壁部70のZ1方向側の空間である。また、流入空間A2は、撹拌空間A1よりもZ2方向側の空間であって流入口36Aが設けられている側の空間であり、隔壁部70のZ2方向側の空間である。
また、隔壁部70には、開口部72が開口している。開口部72は、隔壁部70の撹拌空間A1側(Z1方向側)の表面から、隔壁部70の流入空間A2側(Z2方向側)の表面まで貫通している。従って、開口部72は、撹拌空間A1と流入空間A2とを連通している。撹拌空間A1は、隔壁部70が設けられる領域において、流入空間A2と隔離されている一方、開口部72が開口する領域において、流入空間A2に連通している。開口部72は、本実施形態においては円形の穴であるが、形状はこれに限られず任意である。
遮蔽部74は、撹拌空間A1内に設けられ、開口部72よりもZ1方向側に設けられる板状の部材である。遮蔽部74は、支持部80に支持されている。支持部80は、末端部から先端部までZ1方向に向かって延在する軸状部材である。支持部80は、末端部が、隔壁部70の表面であって、開口部72の周囲に配置されている。支持部80は、開口部72の周囲に沿って複数設けられている。支持部80同士の間には部材が設けられていない。すなわち、支持部80同士の間は、開放されている。
遮蔽部74は、支持部80の先端部に取付けられている。遮蔽部74は、開口部72よりもZ1方向側に位置しており、Z方向に沿った方向から見て、開口部72に重畳して設けられている。さらに詳しくは、遮蔽部74は、Z方向に沿った方向から見て、開口部72の全域に重畳している。すなわち、遮蔽部74は、開口部72のZ1方向側の全域を覆っている。
遮蔽部74は、開口部72との間に、連通空間A3を形成する。連通空間A3は、撹拌空間A1の一部の空間であり、Z1方向側が遮蔽部74に遮蔽されており、Z2方向側が開口部72に連通している。また、連通空間A3の側方の周囲の領域は、一部が支持部80により遮蔽されているが、支持部80同士の間の領域が、開放されている。すなわち、連通空間A3は、流入空間A2と撹拌空間A1とを遮蔽部74で遮蔽しつつ、流入空間A2と撹拌空間A1とを、開口部72と連通空間A3の側方の周囲の領域とで連通している。
第2実施形態においては、流入口36Aaからの原水W1は、流入空間A2に流入する。流入空間A2に流入した原水W1は、開口部72から連通空間A3に流入し、連通空間A3の側方の周囲の領域から、撹拌空間A1に流入する。そして、撹拌空間A1内には、第1実施形態と同様に、撹拌部34によって、上昇水流F1と下降水流F2とが発生している。また、撹拌空間A1内には、第1実施形態と同じ位置の添加位置Sから、添加物Pが添加されている。従って、添加物Pは、撹拌空間A1内で、第1実施形態と同様に原水W1に適切に混合及び分散される。
第2実施形態で説明したように、撹拌装置14aは、流入口36Aaが、水槽30aの鉛直方向下方側(Z1方向側)に設けられていても、第1実施形態と同様に、添加物Pが原水W1に適切に混合及び分散される。なお、第2実施形態においては、隔壁部70と開口部72と遮蔽部74とが設けられ、水槽30a内を撹拌空間A1と流入空間A2とに区切っている。ただし、撹拌装置14aは、隔壁部70と開口部72と遮蔽部74とを必ずしも設けなくてよく、水槽30a内を撹拌空間A1と流入空間A2とに区切らなくてもよい。この場合、静翼部32は、第1実施形態と同様に、底面30Aaに設けられる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る撹拌装置14bは、添加物添加部40bが、複数の添加口60bを有する点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図9は、第3実施形態に係る撹拌装置の模式図である。図9に示すように、撹拌装置14bは、添加物添加部40bを有する。添加物添加部40bは、筒部90と添加口60bとを有する。筒部90は、水槽30の鉛直方向上方(Z1方向)に配置される筒状の部材であり、Z方向から見て水槽30に重畳する位置に配置される。筒部90は、中空の部材であり、内部に添加物Pが貯留される。添加口60bは、筒部90に設けられる開口であり、筒部90の内部を外部に連通させる。添加口60bは、筒部90のZ2方向側に開口している。また、添加口60bは、筒部90に複数設けられている。添加物添加部40bは、筒部90の内部の添加物Pを、各添加口60bから水槽30内に流下する。
それぞれの添加口60bは、第1実施形態と同様に、添加位置Sに設けられている。すなわち、第3実施形態においては、複数の添加位置Sから、添加物Pを添加している。第3実施形態における添加位置Sは、第1実施形態と同じ領域(添加領域T)内に配置されている。第3実施形態においては、複数の添加位置Sから添加物Pを添加するため、添加物Pを原水W1内により適切に分散させることができる。
なお、図9に示すように、第3実施形態において、筒部90は、長軸状の筒状部材であり、長軸方向が、水槽30の側部30C(Y方向)に沿うように配置されており、撹拌部34よりも側部30C側に配置されている。また、添加口60bは、筒部90の長軸方向に沿って複数設けられている。従って、添加口60bは、Y方向に沿って並んでいる。このように、第3実施形態においては、添加口60bが、撹拌部34よりもX2方向側で、Y方向に沿って並んでいる。従って、添加口60bは、下降水流F2の流れに沿って並ぶこととなり、添加物Pを原水W1内により適切に分散させることが可能となる。ただし、筒部90の形状や添加口60bの配列は、これに限られず任意である。例えば、筒部90は、長軸方向が側部30D(X方向)に沿うように配置されてもよい。この場合、添加口60bは、下降水流F2の上流側に、下降水流F2の流れに沿って(X方向に沿って)並ぶ。
以上説明したように、添加物添加部40bは、筒部90と、添加口60bとを有する。筒部90は、水槽30の鉛直方向上方(Z1方向側)に配置され、内部に添加物Pが設けられる。添加口60bは、筒部90に複数設けられる。添加物添加部40bは、筒部90内の添加物Pを、複数の添加口60bから水槽30内に添加する。この撹拌装置14bは、複数の添加位置Sから添加物Pを添加するため、添加物Pを原水W1内により適切に分散させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。