JP2019081336A - 外観不良判定装置、フィルム状物の製造装置、及び樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は外観不良誘因部を精度よく検知できる外観不良判定装置、フィルム状物の製造装置、及び樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】測定手段及び成形装置と接続され、外観不良誘因部を判定する外観不良判定動作を実行可能な制御手段を有し、外観不良判定動作は、走査方向の各測定点でのフィルム状物の厚みと走査方向の厚みの平均値から各測定点の偏差を経時変化ごとに求める偏差算出工程と、幅方向の同一測定点の経時変化での偏差の平均値を偏差閾値と比較する偏差比較工程と、偏差の平均値が偏差閾値を超えた値をとる測定点を外観不良誘因部と判定する判定工程を有し、走査方向のフィルム状物の厚みの平均値は、判定対象の測定点を中心とする走査方向の所定の範囲に属する測定点の平均値であり、所定の範囲は、フィルム状物の幅よりも狭く、隣接する調整部材の間隔の3倍超過6倍未満である構成とする。
【選択図】図7
【解決手段】測定手段及び成形装置と接続され、外観不良誘因部を判定する外観不良判定動作を実行可能な制御手段を有し、外観不良判定動作は、走査方向の各測定点でのフィルム状物の厚みと走査方向の厚みの平均値から各測定点の偏差を経時変化ごとに求める偏差算出工程と、幅方向の同一測定点の経時変化での偏差の平均値を偏差閾値と比較する偏差比較工程と、偏差の平均値が偏差閾値を超えた値をとる測定点を外観不良誘因部と判定する判定工程を有し、走査方向のフィルム状物の厚みの平均値は、判定対象の測定点を中心とする走査方向の所定の範囲に属する測定点の平均値であり、所定の範囲は、フィルム状物の幅よりも狭く、隣接する調整部材の間隔の3倍超過6倍未満である構成とする。
【選択図】図7
Description
本発明は、フィルム状物をロール状に巻き取られる際に巻こぶ等の外観不良を誘因する外観不良誘因部を防止する外観不良判定装置、フィルム状物の製造装置に関する。また、本発明は、当該フィルム状物の製造装置を使用した樹脂フィルムの製造方法に関する。
Tダイ法で樹脂フィルムを成形する場合、原料又は材料となる樹脂がTダイ金型から押し出され、Tダイ金型から押し出された樹脂を冷却ロールでフィルム状に引き取り、樹脂フィルムの厚みを測定しながら、巻取ロールによって巻き取る。
このTダイ法での成形方法では、幅方向の厚みも均一になるように調整ボルトによって吐出口の開口幅が制御されているものの、樹脂フィルムの目標厚みが薄い場合、樹脂フィルムの測定厚みが目標厚み範囲内に納まっていても、振動等により調整ボルトの緩み等が発生し、樹脂フィルムの幅方向において若干の厚み差が生じてしまう。
そのため、樹脂フィルムを巻取ロールで巻き取る際に、樹脂フィルムの幅方向の周囲に比べて厚い部位が、同一箇所で径方向に重なり続けると巻こぶ等の外観不良が生じ、幅方向において周囲に比べて薄い部位が、同一箇所で径方向に重なり続けると、巻取ロールで巻き取られた樹脂フィルムの表面に大きな凹み等の外観不良が生じる可能性があった。
このTダイ法での成形方法では、幅方向の厚みも均一になるように調整ボルトによって吐出口の開口幅が制御されているものの、樹脂フィルムの目標厚みが薄い場合、樹脂フィルムの測定厚みが目標厚み範囲内に納まっていても、振動等により調整ボルトの緩み等が発生し、樹脂フィルムの幅方向において若干の厚み差が生じてしまう。
そのため、樹脂フィルムを巻取ロールで巻き取る際に、樹脂フィルムの幅方向の周囲に比べて厚い部位が、同一箇所で径方向に重なり続けると巻こぶ等の外観不良が生じ、幅方向において周囲に比べて薄い部位が、同一箇所で径方向に重なり続けると、巻取ロールで巻き取られた樹脂フィルムの表面に大きな凹み等の外観不良が生じる可能性があった。
そこで、特許文献1には、フィルム状物の巻こぶ等の外観不良を誘因する外観不良誘因部を特定する方策が提案されている。具体的には、特許文献1には、フィルム状物の一の測定点における厚みと幅方向全体の測定点平均値から偏差を算出し、当該偏差が所定の範囲外である場合(以下、偏差閾値ともいう)に外観不良候補箇所とし、その外観不良候補箇所が所定以上連続すると外観不良誘因部として検出する外観不良検知方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、外観不良候補箇所が所定の期間連続するかどうかで外観不良誘因部として検出するため、外観不良誘因部を判定するまでに時間差があり、異物が混入し、突然大きな凹凸ができた場合に、当該凹凸を外観不良誘因部として判定するまでフィルム状物の巻き取りを継続してしまうという可能性がある。
そこで、本発明者は、外観不良候補箇所を検出した段階で当該外観不良候補箇所が直接外観不良誘因部であることを判定するべく、特許文献1の外観不良検知方法において外観不良候補箇所と判定する偏差閾値を拡げて試行した。こうすることで、比較的大きな起伏のみを検出し、外観不良候補箇所が外観不良誘因部であることを判定することを試みた。
しかしながら、特許文献1の外観不良判定方法においてそのまま偏差閾値を拡げると、図15のような測定点Aでは、外観不良を構成する凹凸があるにもかかわらず、凹凸を検知できなかった。すなわち、特許文献1の外観不良判定方法では、幅方向全体の厚みで平均厚みを算出しているので、偏差閾値を拡げると外観不良誘因部の厚みが周囲の厚みによって平均厚みが均され、偏差Daが小さくなって偏差閾値内に収まってしまってしまう。そのため、試行した方法では、測定点Aのような厚みの測定点付近の変動が大きい場合であっても他の測定点によって基準となる平均値が均されてしまい、偏差Daが0に近づき、測定点Aを外観不良誘因部として検知できないおそれがあった。
一方、フィルム状物の幅方向において、フィルム状物が広範囲で肉厚となり、その肉厚部分の変化が穏やかに変化している場合(例えば、図15の測定点B)、当該肉厚部分は、巻いても広範囲で厚いため巻こぶを形成しない。すなわち、測定点Bが属するこの肉厚部分は、他の部分に比べて肉厚であるが、実際には巻こぶ等の外観不良を誘因する外観不良誘因部ではない。
それにもかかわらず、特許文献1の外観不良判定方法では、単に幅方向全体の厚みで平均厚みを算出しているため、測定点Bにおいて周囲の厚みによって相対的に肉厚部分の偏差Dbが大きくなって偏差閾値から外れてしまい、外観不良誘因部として過剰に検知してしまうおそれがある。
それにもかかわらず、特許文献1の外観不良判定方法では、単に幅方向全体の厚みで平均厚みを算出しているため、測定点Bにおいて周囲の厚みによって相対的に肉厚部分の偏差Dbが大きくなって偏差閾値から外れてしまい、外観不良誘因部として過剰に検知してしまうおそれがある。
このように特許文献1の外観不良判定方法において、単に偏差閾値の範囲を拡げるだけでは、肉厚部分の幅が極端に狭かったり(例えば、図15の測定点A)、極端に広かったりすると(例えば、図15の測定点B)、外観不良誘因部の検出もれや過剰検知が発生するおそれがあり、改良の余地があった。
そこで、本発明は、フィルム状物をロール状に巻き取った際に外観不良を誘因する外観不良誘因部を精度よく検知する外観不良判定装置を提供することを目的とする。また、外観不良誘因部による外観不良の発生を防止可能なフィルム状物の製造装置及び樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、検知漏れや誤検知の原因の対策として偏差の算出方法について検討した。すなわち、試行した外観不良判定方法の場合、測定点の厚みから幅方向全体の平均値の差分を取ることで偏差を算出していたが、上記したように、局所的に測定点の変動が大きい場合であっても幅方向全体の平均値によって均されるため、測定点付近をより平均値に反映させる必要がある。そこで、本発明者は、測定点付近の変動をより平均値に反映できるように、基準とする平均値の範囲を狭くし、局所的な測定点の変動を反映することを検討した。
Tダイ成形法により成形する場合、フィルム状物の厚みのばらつきは、一般的に成形型の吐出口の間隔に依存する。すなわち、フィルム状物に形成される微視的な凸部の間隔又は凹部の間隔は、理論的には成形型の吐出口の間隔を調整する調整ボルトの間隔と概ね一致する。そのため、調整ボルトの間隔の2倍以上の範囲で測定点の平均値をとれば、小さな凸部又は凹部でも追従して検出できると考えられる。
その一方で、実際には、凸部が連続する場合、凸部同士が重なって山が合成され、大きな凸部となる場合がある。このような場合、上記したようにあまり広範囲の測定点での厚みを抽出して平均値を取ると、平均値が均され凸部を誤検出してしまう。
Tダイ成形法により成形する場合、フィルム状物の厚みのばらつきは、一般的に成形型の吐出口の間隔に依存する。すなわち、フィルム状物に形成される微視的な凸部の間隔又は凹部の間隔は、理論的には成形型の吐出口の間隔を調整する調整ボルトの間隔と概ね一致する。そのため、調整ボルトの間隔の2倍以上の範囲で測定点の平均値をとれば、小さな凸部又は凹部でも追従して検出できると考えられる。
その一方で、実際には、凸部が連続する場合、凸部同士が重なって山が合成され、大きな凸部となる場合がある。このような場合、上記したようにあまり広範囲の測定点での厚みを抽出して平均値を取ると、平均値が均され凸部を誤検出してしまう。
そこで、上記の考察を踏まえ、偏差に算出における最適範囲を検討した結果、導き出された請求項1に記載の発明は、ライン状の吐出口を構成する一対の成形型と、前記吐出口の延び方向に並設され前記吐出口の開口幅を調整する複数の調整部材と、前記吐出口から吐出されるフィルム状物の中間生成物を固化しフィルム状物を形成する固化手段とを備えた成形装置に接続されて使用される外観不良判定装置であって、送出手段と、巻取手段と、測定手段と、制御手段を有し、前記送出手段は、前記成形装置から前記フィルム状物を引き取って前記巻取手段側に送り出すものであり、前記巻取手段は、前記送出手段から送り出された前記フィルム状物を巻き取るものであり、前記測定手段は、前記送出手段と前記巻取手段の間に位置し、かつ、移動中の前記フィルム状物に対して前記フィルム状物の移動方向に対して交差する方向に走査して前記フィルム状物の厚みを測定するものであり、前記制御手段は、前記測定手段及び前記成形装置と直接又は他の部材を介して接続され、外観不良誘因部を判定する外観不良判定動作を実行可能であり、前記外観不良判定動作は、走査方向の各測定点での前記フィルム状物の厚みと前記走査方向の前記フィルム状物の厚みの平均値から各測定点の偏差を経時変化ごとに求める偏差算出工程と、各測定点において、前記フィルム状物の幅方向の同一測定点の経時変化での偏差の平均値を所定の偏差閾値と比較する偏差比較工程と、前記偏差の平均値が前記偏差閾値を超える測定点を外観不良誘因部と判定する判定工程を有し、前記偏差算出工程で使用する前記走査方向の前記フィルム状物の厚みの平均値は、判定対象の測定点を中心とする前記走査方向の所定の範囲に属する測定点の平均値であり、前記所定の範囲は、前記フィルム状物の幅よりも狭く、一の調整部材と、前記一の調整部材に隣接する調整部材の間隔の3倍超過6倍未満の範囲であることを特徴とする外観不良判定装置である。
ここでいう「フィルム状物の中間生成物」とは、フィルム状物を形成するための仕掛品をいい、フィルム状物を固化させる直前の流動性を帯びた状態のものをいう。例えば、「フィルム状物の仕掛品」のフィルム状物の原料やフィルム状物の材料、フィルム状物の原料やフィルム状物の材料の混合物、フィルム状物の前駆体などを含む。
ここでいう「判定対象の測定点」とは、現在の外観不良誘因部であるかどうかの判定の対象となっている測定点をいう。
ここでいう「判定対象の測定点」とは、現在の外観不良誘因部であるかどうかの判定の対象となっている測定点をいう。
請求項2に記載の発明は、前記偏差閾値は、上側閾値と下側閾値があり、前記下側閾値は、−1μm未満の値であり、前記上側閾値は、1μm超過の値であることを特徴とする請求項1に記載の外観不良判定装置である。
ここで、フィルム状物の幅方向の起伏について注目すると、局所的に肉厚部分ができる場合、起伏が大きく肉厚部分付近の変化の割合が大きく、逆に広範囲に肉厚部分ができる場合、起伏が小さく肉厚部分付近の変化の割合が小さい傾向がある。
そこで、発明者は、判断の指標として変化の割合という概念を導入することによって、測定点の偏差が大きい場合に、測定部分が局所的な肉厚部分であるか、広範囲な肉厚部分であるか検出できると考えた。
そこで、発明者は、判断の指標として変化の割合という概念を導入することによって、測定点の偏差が大きい場合に、測定部分が局所的な肉厚部分であるか、広範囲な肉厚部分であるか検出できると考えた。
この考えのもと導き出された請求項3に記載の発明は、前記判定工程において、前記偏差の平均値が前記偏差閾値を超えた値を取り、さらに前記走査方向における変化の割合の絶対値が所定の閾値以上の値を取る測定点を外観不良誘因部と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の外観不良判定装置である。
ここでいう「変化の割合」とは、平均変化率をいい、測定点周囲の変化率だけではなく、一つの測定点での変化率である微分係数も含む。
請求項4に記載の発明は、前記偏差算出工程において、判定対象の測定点が属する測定群の現在の偏差データと過去の各測定群の偏差データとの中から、現在の偏差データを含む所定のデータ数の偏差データを測定時刻の間隔が一定となるように抽出し、抽出した偏差データを使用して、各測定点における偏差を求めるものであり、前記巻取手段で巻き取られたフィルム状物の表面の高低差を検出する高低差検出手段を有し、前記表面の高低差が高低差閾値範囲を超える場合に、前記偏差算出工程で抽出する偏差データの測定時刻の間隔を調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の外観不良判定装置である。
ここでいう「表面の高低差が高低差閾値範囲を超える」とは、表面の高低差が高低差閾値範囲から離れることをいう。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の外観不良判定装置と、前記成形装置を有し、前記成形装置は、前記外観不良誘因部と判定された測定点に対応する調整部材を調整し、前記偏差の平均値が偏差閾値を超えないように前記吐出口の開口幅を調整することを特徴とするフィルム状物の製造装置である。
請求項6に記載の発明は、前記巻取手段で巻き取られた前記フィルム状物の表面の高低差を検出する高低差検出手段を有し、前記表面の高低差が高低差閾値範囲を超える場合に、前記一対の成形型の間隔を調整して前記吐出口の開口幅を調整することを特徴とする請求項5に記載のフィルム状物の製造装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のフィルム状物の製造装置を使用する樹脂フィルムの製造方法であって、樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して樹脂混合物を形成し、当該樹脂混合物を一対の成形型まで押し出す押出工程と、前記吐出口から前記樹脂混合物をフィルム状に吐出する吐出工程と、前記固化手段で前記樹脂混合物を引き取る引取工程と、成形された樹脂フィルムの厚みを測定する厚み計測工程と、前記巻取手段によって前記樹脂フィルムをロール状に巻き取る巻取工程を有し、前記厚み計測工程中に前記外観不良判定動作を実施し、樹脂フィルムの外観不良誘因部の有無を判定することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法である。
本発明の外観不良判定装置によれば、フィルム状物をロール状に巻き取った際の外観不良を誘因する外観不良誘因部を精度よく検知できる。
本発明のフィルム状物の製造装置及びフィルム状物の製造方法によれば、外観不良誘因部による外観不良の発生を防止できる。
本発明のフィルム状物の製造装置及びフィルム状物の製造方法によれば、外観不良誘因部による外観不良の発生を防止できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の第1実施形態の製造装置1は、樹脂フィルム100(フィルム状物)の製造装置であり、具体的には、いわゆるTダイ成形法によって樹脂フィルム100を成形するものである。製造装置1は、図4に示されるような巻こぶや窪み等の外観不良50の発生を防止する外観不良判定動作を実施可能であることを特徴の一つとしている。
製造装置1は、図1のように、主要構成部材として、成形装置2(成形手段)と、外観不良判定装置3と、搬送装置5(送出手段)と、巻取ロール6(巻取手段)を有している。
成形装置2は、樹脂フィルム100を成形する装置であり、供給装置10(供給手段)と、押出装置11と、一対の成形型12a,12bと、冷却ロール15,16(固化手段)と、厚み調整手段17を有している。
供給装置10(供給手段)は、樹脂フィルム100の樹脂原料又は樹脂材料を押出装置11に導入する装置である。
押出装置11は、供給装置10から供給された樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して、流動性を有した樹脂混合物を形成し、当該樹脂混合物を成形型12a,12bに押し出す装置である。
押出装置11は、供給装置10から供給された樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して、流動性を有した樹脂混合物を形成し、当該樹脂混合物を成形型12a,12bに押し出す装置である。
成形型12a,12bは、樹脂混合物を所望の形状に整える成形型であり、具体的には、Tダイ成形型である。成形型12a,12bは、図3のように、形状を整えた樹脂混合物をロール15,16に吐出する吐出口21を形成している。
吐出口21は、開口形状がライン状であって、成形型12a,12bのキャビティと外部を連通させる開口である。
吐出口21は、開口形状がライン状であって、成形型12a,12bのキャビティと外部を連通させる開口である。
冷却ロール15,16は、成形型12a,12bから吐出した樹脂混合物を引き取りながら冷却し、固化させる冷却ロールである。本実施形態の冷却ロール15,16は、円柱状又は棒状であり、周方向に回転しながら成形型12a,12bの吐出口21から吐出された樹脂混合物を引き取り可能となっている。
厚み調整手段17は、樹脂フィルム100の厚みを調整するものであり、成形型12a,12bで構成される吐出口21の開口幅D2(図3参照)を調整し、吐出口21からの単位時間当たりの樹脂混合物の吐出量を調整可能となっている。
厚み調整手段17は、図3のように複数の調整ボルト20(20a〜20f)(調整部材)を備えており、調整ボルト20a〜20fを成形型12aに対して相対的に順方向又は逆方向に回すことで成形型12a,12bの吐出口21の開口幅D2を自動又は手動で調整可能となっている。
厚み調整手段17は、図3のように複数の調整ボルト20(20a〜20f)(調整部材)を備えており、調整ボルト20a〜20fを成形型12aに対して相対的に順方向又は逆方向に回すことで成形型12a,12bの吐出口21の開口幅D2を自動又は手動で調整可能となっている。
調整ボルト20a〜20fは、吐出口21の延び方向に所定の間隔D1を空けて並設されており、各調整ボルト20a〜20fは、成形型12a,12bの吐出口21の開口幅D2を独立して調整可能となっている。
図3に示される吐出口21の延び方向(樹脂フィルム100の幅方向)に隣接する調整ボルト20a,20bの間隔D1は、冷却ロール15,16で成形した後の樹脂フィルム100の幅の1/185以上1/37以下であることが好ましく、1/123.3以上1/46.3以下であることがより好ましい。
また隣接する調整ボルト20a,20bの間隔D1は、10mm以上50mm以下であることが好ましく、15mm以上40mm以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、吐出口21の開口幅D2を緻密に制御でき、幅方向TDにおいて起伏の小さい樹脂フィルム100を成形できる。
なお、調整ボルト20の本数は、実際には多数存在するが、説明を容易にするために、図面には、調整ボルト20a〜20fの計6箇所のみ描写している。
図3に示される吐出口21の延び方向(樹脂フィルム100の幅方向)に隣接する調整ボルト20a,20bの間隔D1は、冷却ロール15,16で成形した後の樹脂フィルム100の幅の1/185以上1/37以下であることが好ましく、1/123.3以上1/46.3以下であることがより好ましい。
また隣接する調整ボルト20a,20bの間隔D1は、10mm以上50mm以下であることが好ましく、15mm以上40mm以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、吐出口21の開口幅D2を緻密に制御でき、幅方向TDにおいて起伏の小さい樹脂フィルム100を成形できる。
なお、調整ボルト20の本数は、実際には多数存在するが、説明を容易にするために、図面には、調整ボルト20a〜20fの計6箇所のみ描写している。
外観不良判定装置3は、巻取ロール6で巻こぶや窪み等の外観不良50を誘因する虞がある外観不良誘因部51の判定を行う装置であり、本実施形態の特徴の一つである外観不良判定動作を実行可能な装置である。
外観不良判定装置3は、図2のように、主要構成部材として、厚み測定手段22(測定手段)と、制御手段23を有している。
厚み測定手段22は、通過する樹脂フィルム100の厚みを計測する機器であり、図5のように厚み計測部26を有している。
厚み計測部26は、樹脂フィルム100の厚みを測定する厚みセンサーであり、樹脂フィルム100の流れ方向MDに対する直交方向(幅方向TD)において、所定の範囲を走査可能となっている。すなわち、厚み計測部26は、移動中の樹脂フィルム100に対して、樹脂フィルム100の移動方向MDに対して交差する方向(走査方向SD)に交互に走査しながら、樹脂フィルム100の幅方向TDの各位置における厚みを測定することが可能となっている。
外観不良判定装置3は、図2のように、主要構成部材として、厚み測定手段22(測定手段)と、制御手段23を有している。
厚み測定手段22は、通過する樹脂フィルム100の厚みを計測する機器であり、図5のように厚み計測部26を有している。
厚み計測部26は、樹脂フィルム100の厚みを測定する厚みセンサーであり、樹脂フィルム100の流れ方向MDに対する直交方向(幅方向TD)において、所定の範囲を走査可能となっている。すなわち、厚み計測部26は、移動中の樹脂フィルム100に対して、樹脂フィルム100の移動方向MDに対して交差する方向(走査方向SD)に交互に走査しながら、樹脂フィルム100の幅方向TDの各位置における厚みを測定することが可能となっている。
制御手段23は、成形装置2や厚み測定手段22と直接又は他の部材を介して接続されており、成形装置2や厚み測定手段22のそれぞれを制御可能となっている。制御手段23は、図2のように、演算手段40と、記憶手段41と、通信手段42を有している。
演算手段40は、記憶手段41に記憶された所定のプログラム等に基づいて演算処理を行う部位である。演算手段40は、厚み測定手段22で検知した走査方向SDの各測定点30(図5参照)での樹脂フィルム100の厚みに基づいて、樹脂フィルム100の外観不良判定を行うことが可能となっている。また、演算手段40は、図1に示される巻取ロール6において回転数検知手段28により検知された軸部27の回転数や回転速度等から、巻取ロール6で巻き取られた樹脂フィルム100の積層回数(軸部27の径方向の積層数)を算出することが可能となっている。
記憶手段41は、あらかじめ設定された所定のプログラムや、厚み測定手段22で測定した樹脂フィルム100の厚み情報、演算手段40によって演算された情報を記憶する部位であり、具体的には、ハードディスク等の記憶媒体である。
通信手段42は、通信用のインターフェイスであり、厚み調整手段17や、厚み測定手段22、巻取ロール6の回転数検知手段28等と無線又は有線によって接続されている。
搬送装置5は、図1のように、成形装置2で成形された樹脂フィルム100が厚み測定手段22を通過するように搬送し、巻取ロール6まで送り出す装置である。
搬送装置5は、複数の搬送ローラー31a〜31gで構成されており、各搬送ローラー31a〜31gが回転することで樹脂フィルム100を伸張した状態で測定点30を通過させることが可能となっている。
搬送装置5は、複数の搬送ローラー31a〜31gで構成されており、各搬送ローラー31a〜31gが回転することで樹脂フィルム100を伸張した状態で測定点30を通過させることが可能となっている。
巻取ロール6(巻取手段)は、厚み測定手段22を通過した樹脂フィルム100を巻き取って回収する部位であり、図1のように、軸部27と、回転数検知手段28(計測装置)を有している。
軸部27は、図示しないモーター等の動力によって周方向に回転し、樹脂フィルム100を外周に巻き取る部位である。すなわち、軸部27は、図4(b)のようにリール29の外周に樹脂フィルム100をロール状に巻き取ることが可能となっている。
回転数検知手段28は、軸部27に接続され、軸部27の回転数を検知するセンサーであり、具体的には、ロータリーエンコーダーなどの回転数検知センサーである。
軸部27は、図示しないモーター等の動力によって周方向に回転し、樹脂フィルム100を外周に巻き取る部位である。すなわち、軸部27は、図4(b)のようにリール29の外周に樹脂フィルム100をロール状に巻き取ることが可能となっている。
回転数検知手段28は、軸部27に接続され、軸部27の回転数を検知するセンサーであり、具体的には、ロータリーエンコーダーなどの回転数検知センサーである。
樹脂フィルム100は、長尺状の延びたフィルムであり、引き延ばした状態において、所定の方向に帯状に延びるフィルムである。樹脂フィルム100は、樹脂混合物を固化して形成されるものであり、具体的には、熱可塑性樹脂によって形成された樹脂である。
樹脂混合物は、樹脂原料又は樹脂材料を溶融させて混合したものである。
樹脂フィルム100は、平均厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましく、40μm以上80μm以下であることがより好ましい。
樹脂フィルム100は、平均幅が200mm以上2.5m以下であることが好ましく、1.4m以上2m以下であることがより好ましい。
これらの範囲であれば、Tダイ成形によって容易に成形することができる。
樹脂混合物は、樹脂原料又は樹脂材料を溶融させて混合したものである。
樹脂フィルム100は、平均厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましく、40μm以上80μm以下であることがより好ましい。
樹脂フィルム100は、平均幅が200mm以上2.5m以下であることが好ましく、1.4m以上2m以下であることがより好ましい。
これらの範囲であれば、Tダイ成形によって容易に成形することができる。
続いて、第1実施形態の製造装置1の各部位の位置関係について説明する。
厚み測定手段22は、図1のように、樹脂フィルム100の流れ方向MDにおいて冷却ロール15,16と巻取ロール6の間に配されている。すなわち、厚み測定手段22の樹脂フィルム100の流れ方向MDの上流側に冷却ロール15,16が位置しており、下流側に巻取ロール6が位置している。また、冷却ロール15,16と巻取ロール6の間には、厚み測定手段22を通過するように樹脂フィルム100を導く搬送装置5が配されている。具体的には、冷却ロール15,16と厚み測定手段22の間には、搬送ローラー31a〜31dが配されており、厚み測定手段22と巻取ロール6の間には、搬送ローラー31e〜31gが配されている。
搬送ローラー31aは、天地方向において、冷却ロール15,16の下端部よりも高い位置に配されている。また、搬送ローラー31a,31c,31e,31gは、樹脂フィルム100が上側の外周面を通過し、搬送ローラー31b,31d,31fは、樹脂フィルム100が下側の外周面を通過する位置関係となっている。そのため、厚み測定手段22は、一定の姿勢に維持され、一定の張力を持ったまま、樹脂フィルム100を測定することが可能となっている。
搬送ローラー31aは、天地方向において、冷却ロール15,16の下端部よりも高い位置に配されている。また、搬送ローラー31a,31c,31e,31gは、樹脂フィルム100が上側の外周面を通過し、搬送ローラー31b,31d,31fは、樹脂フィルム100が下側の外周面を通過する位置関係となっている。そのため、厚み測定手段22は、一定の姿勢に維持され、一定の張力を持ったまま、樹脂フィルム100を測定することが可能となっている。
続いて、厚み測定手段22の樹脂フィルム100の測定点30について説明する。なお、測定点30は、実際には多数存在するが、説明を容易にするために、図5等の図面には、測定点30を測定点30a〜30kの計11箇所のみ描写している。
厚み測定手段22の厚み計測部26は、図5のように、移動中の樹脂フィルム100に対して幅方向TDに一定の間隔で樹脂フィルム100の厚みを測定していき、上記したように樹脂フィルム100の移動方向MDに対して交差する方向(走査方向SD)に往復移動する。そのため、移動する樹脂フィルム100での測定点30a〜30kは、図6のように、ジグザグ状に測定され、各測定点30a〜30kは走査方向SDに直線状に間隔を空けて並んでいる。
各測定点30a〜30kは、図5,図6に示されるように、往路側測定群35と、復路側測定群36を構成している。
往路側測定群35は、一走査測定分の測定点30k〜30aが樹脂フィルム100の移動方向MDにおいて、幅方向TDの一方側の端部(図6では右側端部)から他方側の端部(図6では左側端部)に向かって並んだものである。
復路側測定群36は、一走査測定分の測定点30a〜30kが樹脂フィルム100の移動方向MDにおいて、幅方向TDの他方側の端部(図6では左側端部)から一方側の端部(図6では右側端部)に向かって並んだものである。
往路側測定群35の各測定点30k〜30aは、移動方向MDに対して交差する方向(往路側走査方向SD1)に所定の間隔を空けて直線状に並んでいる。復路側測定群36の各測定点30a〜30kは、移動方向MDに対して交差する方向であって、往路側走査方向SD1と異なる方向SD2に所定の間隔を空けて並んでいる。
各往路側測定群35の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。各復路側測定群36の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。往路側測定群35の並列方向(往路側走査方向SD1)と、復路側測定群36の並列方向(復路側走査方向SD2)は、互いに交差する関係となっている。
各測定点30a〜30kの幅方向TDの間隔は、厚み調整手段17の調整ボルト20a〜20fの吐出口21の延び方向における間隔D1よりも狭い。
往路側測定群35は、一走査測定分の測定点30k〜30aが樹脂フィルム100の移動方向MDにおいて、幅方向TDの一方側の端部(図6では右側端部)から他方側の端部(図6では左側端部)に向かって並んだものである。
復路側測定群36は、一走査測定分の測定点30a〜30kが樹脂フィルム100の移動方向MDにおいて、幅方向TDの他方側の端部(図6では左側端部)から一方側の端部(図6では右側端部)に向かって並んだものである。
往路側測定群35の各測定点30k〜30aは、移動方向MDに対して交差する方向(往路側走査方向SD1)に所定の間隔を空けて直線状に並んでいる。復路側測定群36の各測定点30a〜30kは、移動方向MDに対して交差する方向であって、往路側走査方向SD1と異なる方向SD2に所定の間隔を空けて並んでいる。
各往路側測定群35の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。各復路側測定群36の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。往路側測定群35の並列方向(往路側走査方向SD1)と、復路側測定群36の並列方向(復路側走査方向SD2)は、互いに交差する関係となっている。
各測定点30a〜30kの幅方向TDの間隔は、厚み調整手段17の調整ボルト20a〜20fの吐出口21の延び方向における間隔D1よりも狭い。
続いて、本実施形態の製造装置1による樹脂フィルム100の製造方法について説明する。
本実施形態の樹脂フィルム100の製造方法では、まず、成形装置2において、樹脂フィルム100を成形する成形工程を行う。
この成形工程では、供給装置10から樹脂原料又は樹脂材料を押出装置11に供給し(供給工程)、押出装置11で樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して、樹脂フィルム100の中間生成物たる樹脂混合物を成形型12a,12bに押し出す(押出工程)。そして、成形型12a,12bの吐出口21から樹脂混合物を冷却ロール15,16に向かってフィルム状に吐出する(吐出工程)。
この成形工程では、供給装置10から樹脂原料又は樹脂材料を押出装置11に供給し(供給工程)、押出装置11で樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して、樹脂フィルム100の中間生成物たる樹脂混合物を成形型12a,12bに押し出す(押出工程)。そして、成形型12a,12bの吐出口21から樹脂混合物を冷却ロール15,16に向かってフィルム状に吐出する(吐出工程)。
このとき、樹脂混合物の幅方向TDの吐出量の分布は、厚み調整手段17によって調節されており、制御手段23によって樹脂混合物の吐出量が一定となるように制御されている。
その後、吐出口21からフィルム状に吐出された樹脂混合物は、冷却ロール15,16によって引き取られ(引取工程)、延伸されながら冷却されて固化し、樹脂フィルム100が成形される。
その後、成形装置2で成形された樹脂フィルム100は、搬送装置5によって、厚み測定手段22を通過するように搬送され、厚み測定手段22によって厚みを測定されながら(厚み計測工程)、巻取ロール6によってロール状に巻き取られる(巻取工程)。
このとき、各測定群35,36において、厚み測定手段22によって測定された厚み測定値は、その測定時刻とともに外観不良判定装置3の記憶手段41で記憶される。
またこのとき、計測工程を実施中に、樹脂フィルム100に対して外観不良誘因部51の有無を判定する不良判定工程が行われる。そして、この不良判定工程において、外観不良判定装置3が厚み測定値を用いて外観不良判定動作を行う。
またこのとき、計測工程を実施中に、樹脂フィルム100に対して外観不良誘因部51の有無を判定する不良判定工程が行われる。そして、この不良判定工程において、外観不良判定装置3が厚み測定値を用いて外観不良判定動作を行う。
具体的には、外観不良判定動作では、まず現在の判定対象の測定点30と巻取ロール6の巻取開始点32間の樹脂フィルム100の長さであるフィルムパスライン長さを設定する。
そして、図6,図7のように、現在の判定対象の測定点30(厚み測定手段22で測定した点)が属する1走査分の測定群36において、当該測定群36内での各測定点30a〜30kでの実測値に基づく測定値と、1走査分の測定群36での特定の測定点30の測定値の平均値から偏差を算出した偏差データを算出する(偏差算出工程)(ステップ1)。すなわち、測定群35,36において、走査方向SDに並んだ各測定点30a〜30kでの厚み(測定値)と、算出する測定点30a〜30k近傍の測定点の測定値の平均値から、各測定点30a〜30kでの厚み偏差を演算する。
なお、本実施形態では、樹脂フィルム100の幅方向TDの中央に位置する測定点30fでの測定時刻を基準として、測定群35(測定群36)の属する全ての測定点30a〜30kが同時刻に測定したと仮定して計算を行っている。例えば、一の測定群35に属する測定点30a〜30kでの測定値は、一の測定群35の中央に位置する測定点30fで検知した時刻に測定したと近似して計算を行っている。
一の測定点30の偏差を算出する際の平均値は、一の測定点30を中心として所定の範囲(以下、平均算出範囲Rともいう)に属する全ての測定点の平均値とする。
平均算出範囲Rは、隣接する調整ボルト20,20の間隔D1の3倍超過6倍未満の範囲である。平均算出範囲Rは、隣接する調整ボルト20,20の間隔D1の3.5倍以上5.5倍以下の範囲であることが好ましく、3.95倍以上5.05倍以下の範囲であることがより好ましく、4倍以上5倍以下の範囲であることがさらに好ましい。
また、平均算出範囲Rは、75mm超過150mm未満であることが好ましく、90mm以上140mm以下であることがより好ましく、98.75mm以上126.25mm以下であることがさらに好ましく、100mm以上125mm以下であることが最も好ましい。
上記の算出において、例えば、一の測定点30fの偏差を算出する場合には、一の測定点30fを中心として幅方向TDにおいて前後に2つずつ、計5つの測定点30d〜30hが所定の範囲に属する場合には、一の測定点30fでの厚みを計5つの測定点30d〜30hでの厚みの平均値で割ることとなる。
そして、図6,図7のように、現在の判定対象の測定点30(厚み測定手段22で測定した点)が属する1走査分の測定群36において、当該測定群36内での各測定点30a〜30kでの実測値に基づく測定値と、1走査分の測定群36での特定の測定点30の測定値の平均値から偏差を算出した偏差データを算出する(偏差算出工程)(ステップ1)。すなわち、測定群35,36において、走査方向SDに並んだ各測定点30a〜30kでの厚み(測定値)と、算出する測定点30a〜30k近傍の測定点の測定値の平均値から、各測定点30a〜30kでの厚み偏差を演算する。
なお、本実施形態では、樹脂フィルム100の幅方向TDの中央に位置する測定点30fでの測定時刻を基準として、測定群35(測定群36)の属する全ての測定点30a〜30kが同時刻に測定したと仮定して計算を行っている。例えば、一の測定群35に属する測定点30a〜30kでの測定値は、一の測定群35の中央に位置する測定点30fで検知した時刻に測定したと近似して計算を行っている。
一の測定点30の偏差を算出する際の平均値は、一の測定点30を中心として所定の範囲(以下、平均算出範囲Rともいう)に属する全ての測定点の平均値とする。
平均算出範囲Rは、隣接する調整ボルト20,20の間隔D1の3倍超過6倍未満の範囲である。平均算出範囲Rは、隣接する調整ボルト20,20の間隔D1の3.5倍以上5.5倍以下の範囲であることが好ましく、3.95倍以上5.05倍以下の範囲であることがより好ましく、4倍以上5倍以下の範囲であることがさらに好ましい。
また、平均算出範囲Rは、75mm超過150mm未満であることが好ましく、90mm以上140mm以下であることがより好ましく、98.75mm以上126.25mm以下であることがさらに好ましく、100mm以上125mm以下であることが最も好ましい。
上記の算出において、例えば、一の測定点30fの偏差を算出する場合には、一の測定点30fを中心として幅方向TDにおいて前後に2つずつ、計5つの測定点30d〜30hが所定の範囲に属する場合には、一の測定点30fでの厚みを計5つの測定点30d〜30hでの厚みの平均値で割ることとなる。
続いて、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の巻取回数(積層数)を算出する(ステップ2)。
このとき、巻取回数は、まず、回転数検知手段28によって検知される軸部27の回転数と現在のフィルムパスライン長さをもとに、現在の判定対象の測定点30が巻取ロール6で巻き取られたときの樹脂フィルム100の巻取回数(軸部27の径方向の積層数)を算出する。
その後、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の巻取回数(積層数)に合わせて、図8のように、現在の判定対象の測定点30が属する測定群36の現在の偏差データと、それよりも過去の各測定群35,36の偏差データ(母集団)の中から所定のデータ数Nの偏差データ(標本)を抽出する(ステップ3)。
その後、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の巻取回数(積層数)に合わせて、図8のように、現在の判定対象の測定点30が属する測定群36の現在の偏差データと、それよりも過去の各測定群35,36の偏差データ(母集団)の中から所定のデータ数Nの偏差データ(標本)を抽出する(ステップ3)。
ここで、抽出する偏差データのデータ数Nは、巻取ロール6の軸部27でロール状に巻き取られた樹脂フィルム100のロール外径によって調整する。
具体的には、現在の判定対象の測定点30が巻取ロール6に巻き取られたときの軸部27の径方向の積層数と、あらかじめ設定された樹脂フィルム100の積層数の積層閾値と比較して算出される。すなわち、積層閾値に対する現在の判定対象の測定点30の積層回数によって、今後において巻こぶ等の外観不良50の発生しやすさからデータ数Nを判断する。そのため、抽出する偏差データのデータ数Nは、樹脂フィルム100の材質や厚みなどによってそれぞれ異なる値をとる。
なお、本実施形態では、Nは固定値をとり、Nは50である。すなわち、本実施形態では、多数の偏差データの中から現在の偏差データを含めた50個の偏差データを抽出する。
具体的には、現在の判定対象の測定点30が巻取ロール6に巻き取られたときの軸部27の径方向の積層数と、あらかじめ設定された樹脂フィルム100の積層数の積層閾値と比較して算出される。すなわち、積層閾値に対する現在の判定対象の測定点30の積層回数によって、今後において巻こぶ等の外観不良50の発生しやすさからデータ数Nを判断する。そのため、抽出する偏差データのデータ数Nは、樹脂フィルム100の材質や厚みなどによってそれぞれ異なる値をとる。
なお、本実施形態では、Nは固定値をとり、Nは50である。すなわち、本実施形態では、多数の偏差データの中から現在の偏差データを含めた50個の偏差データを抽出する。
また、本実施形態で標本として抽出する偏差データは、図8のように時系列において、一の測定群の偏差データの測定時刻と、それに隣接する測定群(前記一の測定群に近い時刻に検知した測定群)の偏差データの測定時刻の間隔Tは一定となっている。
すなわち、標本として抽出する偏差データにおいて、現在の偏差データから過去の時分において、抽出する偏差データの時刻と、それに隣接する偏差データ(近い時刻にある偏差データ)の時刻の間隔Tは、一定間隔となっている。
すなわち、標本として抽出する偏差データにおいて、現在の偏差データから過去の時分において、抽出する偏差データの時刻と、それに隣接する偏差データ(近い時刻にある偏差データ)の時刻の間隔Tは、一定間隔となっている。
また、本実施形態の外観不良判定動作では、時系列における抽出する測定群35,36の偏差データの時間間隔も積層閾値に対する現在の判定対象の測定点30の積層回数によって変更している。すなわち、抽出する測定群35,36は、その時系列において、現在の判定対象の測定点30での積層回数によって、時系列において抽出する偏差データ間の間隔を変える。言い換えると、標本として抽出する偏差データにおいて、時系列における一の測定群の測定時刻と、それに隣接する測定群(近い時間にある測定群)の測定時刻との間隔Tを変更する。
この点についてさらに詳細に説明する。
一般に、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ないときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が多く、またロール外径も小さい。
例えば、積層閾値が100回であって、現在の樹脂フィルム100の積層回数が10回の場合、積層閾値(100回)に到達するまでの残りの積層回数(90回)が多い。また、10回しか積層していないので、当然現在のロール外径も小さい。
そのため、図4(a)に示されるような外観不良誘因部51が生じた場合に、図4(b)に示されるように外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりやすく、巻こぶ等の外観不良50が発生しやすいと考えられる。
また、軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ない場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が狭くなる。そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ないときは、時系列において、図8に示される標本として抽出する偏差データ間の間隔Tを狭める。
一方、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多いときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が少なく、ロール外径も大きくなっている。そのため、外観不良誘因部51が生じた場合に外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりにくく、巻こぶ等の外観不良50が発生しにくいと考えられる。
また、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多い場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が広くなる。そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多いときは、時系列において、図8に示される標本として抽出するデータ間の間隔Tを広げる。
一般に、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ないときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が多く、またロール外径も小さい。
例えば、積層閾値が100回であって、現在の樹脂フィルム100の積層回数が10回の場合、積層閾値(100回)に到達するまでの残りの積層回数(90回)が多い。また、10回しか積層していないので、当然現在のロール外径も小さい。
そのため、図4(a)に示されるような外観不良誘因部51が生じた場合に、図4(b)に示されるように外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりやすく、巻こぶ等の外観不良50が発生しやすいと考えられる。
また、軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ない場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が狭くなる。そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が少ないときは、時系列において、図8に示される標本として抽出する偏差データ間の間隔Tを狭める。
一方、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多いときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が少なく、ロール外径も大きくなっている。そのため、外観不良誘因部51が生じた場合に外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりにくく、巻こぶ等の外観不良50が発生しにくいと考えられる。
また、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多い場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が広くなる。そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の積層回数が多いときは、時系列において、図8に示される標本として抽出するデータ間の間隔Tを広げる。
図7のフローチャートの説明に戻ると、ステップ3の後、ステップ3にて抽出した偏差データ(標本)において、各測定点30における時系列ごとの偏差データの値をそれぞれ積算していき、抽出した偏差データの数で割る。すなわち、抽出した偏差データの各測定点30a〜30kにおいて、経時変化ごとの同一測定点30(例えば、測定点30f1,30f2,・・・,30fN:Nはデータ数)間の平均値を各部位について算出する(偏差算出工程)(ステップ4)。
言い換えると、樹脂フィルム100の幅方向TDの同一測定点30間の厚み偏差の積算値を抽出したデータ数Nで割ることで各測定点30での厚み偏差の平均値を求めて偏差データを算出する。すなわち、本実施形態では、40個の偏差データにおいて、樹脂フィルム100の幅方向の同一測定点30での厚み偏差の積算値を算出し、データ数40で割って、厚み偏差の平均値を算出する。
言い換えると、樹脂フィルム100の幅方向TDの同一測定点30間の厚み偏差の積算値を抽出したデータ数Nで割ることで各測定点30での厚み偏差の平均値を求めて偏差データを算出する。すなわち、本実施形態では、40個の偏差データにおいて、樹脂フィルム100の幅方向の同一測定点30での厚み偏差の積算値を算出し、データ数40で割って、厚み偏差の平均値を算出する。
そして、偏差算出工程で求めた経時変化ごとの各部位における平均値が、図9で示される、あらかじめ設定された所定の閾値(以下、偏差閾値D3ともいう)を超えるかどうかを判定し(偏差比較工程)(ステップ5)、偏差閾値D3を超える測定点30がある場合には(ステップ5でYES)、当該偏差閾値D3を超える測定点30を外観不良誘因部51として抽出する(ステップ6)。
このときの偏差閾値D3は、過去のデータから経験的に算出した値であり、あらかじめ設定した値である。偏差閾値D3は、凸部を判別する上側閾値と、凹部を識別する下側閾値がある。すなわち、測定点30における平均値が上側閾値を上回るか、下側閾値を下回るかすると、巻こぶ等の外観不良50を誘因する外観不良誘因部51として抽出する。
上側閾値は、0.2μm以上の値であることが好ましく、0.5μm以上の値であることがより好ましく、1μm超過の値であることがさらに好ましい。
下側閾値は、−0.2μm以下の値であることが好ましく、−0.5μm以下の値であることがより好ましく、−1μm未満の値であることがさらに好ましい。
上記の範囲であれば、過剰検知を抑制できる。
また、上側閾値は、2μm以下の値であることが好ましく、1.8μm以下の値であることがより好ましい。
下側閾値は、−2μm以上の値であることが好ましく、−1.8μm以上の値であることがより好ましい。
本実施形態では、上側閾値と下側閾値の絶対値が同じ値をとっており、いずれも絶対値が1μm超過1.8μm以下の値である。
別の観点から視ると、本実施形態では、測定点30における平均値の絶対値が上側閾値を超えると、巻こぶ等の外観不良50を誘因する外観不良誘因部51として抽出する。
下側閾値は、−0.2μm以下の値であることが好ましく、−0.5μm以下の値であることがより好ましく、−1μm未満の値であることがさらに好ましい。
上記の範囲であれば、過剰検知を抑制できる。
また、上側閾値は、2μm以下の値であることが好ましく、1.8μm以下の値であることがより好ましい。
下側閾値は、−2μm以上の値であることが好ましく、−1.8μm以上の値であることがより好ましい。
本実施形態では、上側閾値と下側閾値の絶対値が同じ値をとっており、いずれも絶対値が1μm超過1.8μm以下の値である。
別の観点から視ると、本実施形態では、測定点30における平均値の絶対値が上側閾値を超えると、巻こぶ等の外観不良50を誘因する外観不良誘因部51として抽出する。
一方、ステップ5にて、偏差閾値D3を超える測定点30がない場合には(ステップ5でNO)、外観不良誘因部51がないと判定し(ステップ7)、ステップ1に戻る。
以上が外観不良判定動作の説明である。
以上が外観不良判定動作の説明である。
上記した外観不良判定動作によって導き出された外観不良誘因部51の幅と厚み偏差から、外観不良誘因部51がなくなるように、すなわち、偏差の平均値が偏差閾値内に収まるように、厚み調整手段17による調整箇所と厚みの調整量を算出する。その後、演算し、算出した調整箇所と調整量の情報を厚み調整手段17に送信する。そして、厚み調整手段17の各調整ボルト20a〜20fを調整することによって、自動的に吐出口21の開口幅D2を調整して成形型12a,12bの吐出口21からの吐出量を最適量に調整し、冷却ロール15,16で固化される樹脂フィルム100の厚みを調整する。
本実施形態の外観不良判定装置3によれば、隣接する調整ボルト20,20の間隔の3倍超過の範囲の平均値に対する偏差を算出する。そのため、樹脂フィルム100の幅方向TDにおいて樹脂フィルム100が局所的に肉厚となり当該肉厚部分の幅が狭い場合において、試行した方法では外観不良誘因部51であるにもかかわらず抽出できなかった測定点30であっても、当該測定点30の周囲の平均値が小さくなって偏差が相対的に大きくなるので、当該測定点30を外観不良誘因部51として検出できる。
また、本実施形態の製造装置1によれば、樹脂フィルム100の幅方向TDにおいて樹脂フィルム100が広範囲で肉厚となり、その肉厚部分の変化が穏やかに変化している場合において、試行した方法では外観不良誘因部51でないにもかかわらず抽出されていた測定点30であっても、測定点30の周囲の平均値が大きくなって偏差が相対的に小さくなり、当該測定点30が外観不良誘因部51として検出されない。そのため、外観不良誘因部51としての誤検出を防止できる。
このように、第1実施形態の製造装置1によれば、巻こぶ等の外観不良50の発生を精度よく抑制することができる。
また、本実施形態の製造装置1によれば、樹脂フィルム100の幅方向TDにおいて樹脂フィルム100が広範囲で肉厚となり、その肉厚部分の変化が穏やかに変化している場合において、試行した方法では外観不良誘因部51でないにもかかわらず抽出されていた測定点30であっても、測定点30の周囲の平均値が大きくなって偏差が相対的に小さくなり、当該測定点30が外観不良誘因部51として検出されない。そのため、外観不良誘因部51としての誤検出を防止できる。
このように、第1実施形態の製造装置1によれば、巻こぶ等の外観不良50の発生を精度よく抑制することができる。
第1実施形態の外観不良判定装置3によれば、偏差の平均値と比較する下側閾値が−1μm未満の値であって上側閾値が1μm超過の値であるため、比較的より大きな起伏のみを検出でき、過剰検知を抑制できる。
第1実施形態の外観不良判定装置3によれば、偏差の平均値と比較する下側閾値が−1.8μm以上の値であって上側閾値が1.8μm以下の値であるため、検出漏れを抑制できる。
第1実施形態の外観不良判定装置3によれば、偏差の平均値と比較する下側閾値が−1.8μm以上の値であって上側閾値が1.8μm以下の値であるため、検出漏れを抑制できる。
第1実施形態の製造装置1によれば、偏差の平均値が偏差閾値内となるように、外観不良誘因部51と判定された測定点30に対応する調整ボルト20を調整して吐出口21の開口幅D2を制御するため、巻こぶ等の外観不良50の発生を精度よく抑制でき、高品質の樹脂フィルム100を製造できる。
第1実施形態の製造装置1によれば、外観不良判定動作を実施し、外観不良誘因部51の有無を判定しながら樹脂フィルム100を製造するため、巻こぶ等の外観不良50の発生を精度よく抑制でき、高品質の樹脂フィルム100を製造できる。
続いて、本発明の第2実施形態の製造装置200について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を振って説明を省略する。
本発明の第2実施形態の製造装置200は、撮影装置201によっても巻こぶ等の外観不良50を検知し、フィードバックするものである。
製造装置200は、図10のように、主要構成部材として、成形装置2と、外観不良判定装置3と、搬送装置5と、巻取ロール6と、撮影装置201を備えている。
撮影装置201は、巻取ロール6に巻き取られた樹脂フィルム100の微細表面を撮影し、樹脂フィルム100の表面のベースラインに対する高低差を検出する高低差検出装置である。
撮影装置201は、図11,図12のように複数台のCCDカメラ202a〜202d及び図示しない光源がそれぞれ幅方向TDに並設されて構成されており、制御手段23と接続されている。
CCDカメラ202a〜202dは、受光素子を内蔵し、当該受光素子は、図示しない光源に対して巻取方向にずれた位置にある。
そして、CCDカメラ202a〜202dは、図示しない光源から樹脂フィルム100の表面に光が照射され、樹脂フィルム100の表面での反射光を受光素子で受光することで樹脂フィルム100の表面が反映された画像データ及びその付随データを取得し、制御手段23に送信可能となっている。
本実施形態の制御手段23は、撮影装置201から受信した画像データ及びその付随データを解析し、幅方向TD全体の微細な凹凸をマッピング可能となっており、さらに撮影装置201から受信したデータから樹脂フィルム100の表面凹凸を定量化可能となっている。
製造装置200は、図10のように、主要構成部材として、成形装置2と、外観不良判定装置3と、搬送装置5と、巻取ロール6と、撮影装置201を備えている。
撮影装置201は、巻取ロール6に巻き取られた樹脂フィルム100の微細表面を撮影し、樹脂フィルム100の表面のベースラインに対する高低差を検出する高低差検出装置である。
撮影装置201は、図11,図12のように複数台のCCDカメラ202a〜202d及び図示しない光源がそれぞれ幅方向TDに並設されて構成されており、制御手段23と接続されている。
CCDカメラ202a〜202dは、受光素子を内蔵し、当該受光素子は、図示しない光源に対して巻取方向にずれた位置にある。
そして、CCDカメラ202a〜202dは、図示しない光源から樹脂フィルム100の表面に光が照射され、樹脂フィルム100の表面での反射光を受光素子で受光することで樹脂フィルム100の表面が反映された画像データ及びその付随データを取得し、制御手段23に送信可能となっている。
本実施形態の制御手段23は、撮影装置201から受信した画像データ及びその付随データを解析し、幅方向TD全体の微細な凹凸をマッピング可能となっており、さらに撮影装置201から受信したデータから樹脂フィルム100の表面凹凸を定量化可能となっている。
制御手段23が撮影装置201の撮影画像内に巻こぶ等のベースラインに対して凸状の外観不良50があることを検知した場合には、外観不良判定動作における判定結果にかかわらず、外観不良50を検知した部分に対応する吐出口21の開口幅D2を狭くし、さらに外観不良判定動作における母集団から抽出する偏差データの間隔Tを狭める。すなわち、抽出する偏差データの測定時刻の間隔を狭める。
一方、制御手段23が撮影装置201の撮影画像内に凹み等のベースラインに対して凹状の外観不良50があることを検知した場合には、外観不良判定動作における判定結果にかかわらず、外観不良50を検知した部分に対応する吐出口21の開口幅D2を広くし、さらに外観不良判定動作における母集団から抽出する偏差データの間隔Tを狭める。
制御手段23は、撮影装置201の撮影データから樹脂フィルム100の算術平均粗さをベースラインとして高低差を算出してマッピングし、樹脂フィルム100内に高低差閾値範囲Hを超える高低差がある部分を検出した場合に、外観不良50を検知したと判定することが好ましい。
高低差閾値範囲Hには、上限として凸状の外観不良を判定する凸側閾値と、下限として凹状の外観不良を判定する凹側閾値がある。
凸側閾値は、50μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが好ましい。
凹側閾値は、−50μm以下であることが好ましく、−200μm以下であることが好ましい。
この範囲であれば、外観不良50の発生による歩留まりの低下を抑制できる。
一方、制御手段23が撮影装置201の撮影画像内に凹み等のベースラインに対して凹状の外観不良50があることを検知した場合には、外観不良判定動作における判定結果にかかわらず、外観不良50を検知した部分に対応する吐出口21の開口幅D2を広くし、さらに外観不良判定動作における母集団から抽出する偏差データの間隔Tを狭める。
制御手段23は、撮影装置201の撮影データから樹脂フィルム100の算術平均粗さをベースラインとして高低差を算出してマッピングし、樹脂フィルム100内に高低差閾値範囲Hを超える高低差がある部分を検出した場合に、外観不良50を検知したと判定することが好ましい。
高低差閾値範囲Hには、上限として凸状の外観不良を判定する凸側閾値と、下限として凹状の外観不良を判定する凹側閾値がある。
凸側閾値は、50μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが好ましい。
凹側閾値は、−50μm以下であることが好ましく、−200μm以下であることが好ましい。
この範囲であれば、外観不良50の発生による歩留まりの低下を抑制できる。
第2実施形態の製造装置200によれば、撮影装置201によって樹脂フィルム100の表面の形状を監視し、樹脂フィルム100の実際の高低差で外観不良50の発生を検知できるので、回収され実際生じた外観不良50の発生状況に合わせて、次のロットの樹脂フィルム100の製造時の外観不良判定動作にフィードバックできる。そのため、外観不良50の発生状況に合わせて偏差算出工程で抽出する標準データの測定時刻の間隔を調整することができ、次回以降の外観不良判定動作においてより精度よく外観不良50を検知できる。
第2実施形態の製造装置200によれば、撮影装置201によって樹脂フィルム100の表面を撮影し、制御手段23によって表面の高低差が高低差閾値範囲Hの上限たる凸側閾値を上回るであるかどうかを判定し、凸側閾値以上の場合に吐出口21の開口幅D2を狭める。
また、第2実施形態の製造装置200によれば、撮影装置201によって樹脂フィルム100の表面を撮影し、制御手段23によって表面の高低差が高低差閾値範囲Hの下限たる凹側閾値を下回るかどうかを判定し、凹側閾値以下の場合に吐出口21の開口幅D2を広げる。
このようにすることで次回以降の外観不良判定動作においてより精度よく外観不良50を検知できる。
また、第2実施形態の製造装置200によれば、撮影装置201によって樹脂フィルム100の表面を撮影し、制御手段23によって表面の高低差が高低差閾値範囲Hの下限たる凹側閾値を下回るかどうかを判定し、凹側閾値以下の場合に吐出口21の開口幅D2を広げる。
このようにすることで次回以降の外観不良判定動作においてより精度よく外観不良50を検知できる。
続いて、本発明の第3実施形態の製造装置300について説明する。なお、第1,2実施形態と同様の構成については同様の符号を振って説明を省略する。
本発明の第3実施形態の製造装置300は、外観不良判定動作が第1実施形態と異なる。
以下、第3実施形態の外観不良判定動作の主な工程について、図13のフローチャートに沿って説明する。
以下、第3実施形態の外観不良判定動作の主な工程について、図13のフローチャートに沿って説明する。
本実施形態の外観不良判定動作では、第1実施形態と同様、まず現在の判定対象の測定点30と巻取ロール6の巻取開始点32間の樹脂フィルム100の長さであるフィルムパスライン長さを設定し、現在の判定対象の測定点30が属する1走査分の測定群36(測定群35)において、当該測定群36(測定群35)内での各測定点30a〜30kでの実測値に基づく測定値と、1走査分の測定群36(測定群35)での各測定点30の測定値の平均値から偏差を算出した偏差データを算出する(ステップ31)。
続いて、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の巻取回数を算出し(ステップ32)、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム100の巻取回数に合わせて、現在の判定対象の測定点30が属する測定群36(測定群35)の現在の偏差データと、それよりも過去の各測定群35,36の偏差データの中から所定のデータ数Nの偏差データを抽出する(ステップ33)。
ステップ33の後、ステップ33にて抽出した偏差データにおいて、各測定点30における時系列ごとの偏差データの値をそれぞれ積算していき、抽出した偏差データの数で割る(ステップ34)。その後、ステップ34で求めた各部位における平均値が、あらかじめ設定された偏差閾値D3を超えるかどうかを判定する(ステップ35)。
そして、偏差閾値D3を超える測定点30がある場合には(ステップ35でYES)、当該走査方向に偏差閾値D3を超える測定点30における隣接する測定点との変化の割合を算出して、起伏の傾きを算出し、傾きが所定の閾値以上であるか判断する(ステップ36)。
この変化の割合の閾値は、絶対値が1.02以上1.78以下であることが好ましく、1.2以上1.6以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、樹脂フィルム100の表面凹凸の勾配を判定できる。
この変化の割合の閾値は、絶対値が1.02以上1.78以下であることが好ましく、1.2以上1.6以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、樹脂フィルム100の表面凹凸の勾配を判定できる。
変化の割合が所定の閾値以上の場合(ステップ36でYES)には、偏差閾値D3を超える測定点30を外観不良誘因部51として判定する(ステップ37)。
一方、ステップ35にて、偏差閾値D3を超える測定点30がない場合には(ステップ35でNO)、外観不良誘因部51がないと判定し(ステップ38)、ステップ31に戻る。
また、ステップ36において、走査方向SDに偏差閾値D3を超える測定点30における隣接する測定点との変化の割合が所定の値未満の場合(ステップ36でNO)は、当該部分が外観不良誘因部51ではないと判定し(ステップ38)、ステップ31に戻る。
また、ステップ36において、走査方向SDに偏差閾値D3を超える測定点30における隣接する測定点との変化の割合が所定の値未満の場合(ステップ36でNO)は、当該部分が外観不良誘因部51ではないと判定し(ステップ38)、ステップ31に戻る。
第3実施形態の製造装置300によれば、外観不良誘因部51の判定に変化の割合の基準を設けているので、幅方向TDにおける凸部又は凹部がシャープなのか、ブロードなのか判定できる。そのため、より正確に検知漏れや誤検知を防止できる。
上記した第2実施形態では、高低差検出手段として撮影装置201を使用し、撮影装置201で撮影した画像をマッピングすることによって高低差を算出していたが、本発明はこれに限定されるものではない。高低差検出手段は、三角測距式変位センサー等の非接触変位センサーであってもよい。
上記した第2実施形態では、撮影装置201によって凸状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を狭くし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を狭めていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
撮影装置201によって凸状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を狭くするだけでもよいし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を狭めるだけでもよい。
同様に、第2実施形態では、撮影装置201によって凹状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を広くし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を広めていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
撮影装置201によって凹状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を広くするだけでもよいし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を狭めるだけでもよい。
撮影装置201によって凸状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を狭くするだけでもよいし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を狭めるだけでもよい。
同様に、第2実施形態では、撮影装置201によって凹状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を広くし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を広めていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
撮影装置201によって凹状の外観不良50を検知した場合に、外観不良50に対応する吐出口21の開口幅D2を広くするだけでもよいし、外観不良判定動作における抽出データの間隔を狭めるだけでもよい。
上記した第2実施形態では、撮影装置201によって外観不良50を検知していたが、本発明はこれに限定されるものではない。撮影装置201が高分解能をもつ場合には、外観不良誘因部51を直接検知してもよい。この場合、外観不良誘因部51の発生位置等を外観不良判定動作にフィードバックすることが好ましい。
上記した第2実施形態では、高低差を算出するにあたって、樹脂フィルム100の算術平均粗さをベースラインとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。ベースラインは適宜設定できる。例えば、最も低い位置をベースラインとしてもよい。この場合、高低差閾値範囲Hの上限たる凸側閾値は、第2実施形態の凸側閾値の二倍となり、下限たる凹側閾値はベースライン、すなわち、0μmとなる。
上記した第3実施形態では、測定点での偏差と偏差閾値D3を比較し、偏差閾値D3を超える測定点を検出してから測定点での変化の割合を算出し、変化の割合が閾値以上であるかを比較していたが、本発明はこれに限定されるものではない。各測定点での変化の割合が閾値以上であるか比較し、変化の割合が閾値以上である測定点を検出してから測定点での偏差と偏差閾値D3を比較してもよい。
上記した第3実施形態では、測定点及び測定点付近の傾きから樹脂フィルム100の表面凹凸の起伏した範囲の程度を検出していたが、本発明はこれに限定されるものではない。測定点又は測定点付近の微分係数から樹脂フィルム100の表面凹凸の起伏した範囲の程度を検出してもよい。
上記した実施形態では、模式的に測定点30が11点の場合について例示して説明したが、上記したように、実際には多数の測定点30を取っている。
測定点30の数は、樹脂フィルム100の幅によって適宜設定されるが、例えば、1000mmの樹脂フィルム100の場合には、測定点30の数は、250点〜1000点であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の外観不良判定動作を行うにあたって十分なデータを抽出することができる。
また、測定点30の間隔は、過去の実施結果から推測される樹脂フィルム100の起伏のできやすさやその大きさ等によって適宜設定されるが、1mm〜3mmであることが好ましい。この範囲であれば、測定点30の間隔が詰まりすぎず、開きすぎないので、測定の無駄が少ない。
測定点30の数は、樹脂フィルム100の幅によって適宜設定されるが、例えば、1000mmの樹脂フィルム100の場合には、測定点30の数は、250点〜1000点であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の外観不良判定動作を行うにあたって十分なデータを抽出することができる。
また、測定点30の間隔は、過去の実施結果から推測される樹脂フィルム100の起伏のできやすさやその大きさ等によって適宜設定されるが、1mm〜3mmであることが好ましい。この範囲であれば、測定点30の間隔が詰まりすぎず、開きすぎないので、測定の無駄が少ない。
上記した実施形態では、複数の測定群35,36の偏差データの中から所定数の偏差データを抽出して、抽出した偏差データから外観不良誘因部51を判定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、全偏差データから外観不良誘因部51を判定してもよい。
上記した実施形態では、巻取ロール6での樹脂フィルム100の積層回数に基づいて、演算に用いる走査データを抽出し、抽出した走査データ間での偏差の平均を算出していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、巻取ロール6での樹脂フィルム100の積層回数にかかわらず、連続する走査データで偏差の平均値を求めてもよい。
上記した実施形態では、偏差閾値D3を一定の値にしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏差閾値D3を可変値にしてもよい。例えば、巻取ロール6での樹脂フィルム100の積層回数に応じて、偏差閾値D3を変更してもよい。具体的には、巻き取りが最終段階で、巻取ロール6での樹脂フィルム100の積層回数が多い場合には、後に大きな巻こぶになりにくいため、図14のように偏差閾値D3の絶対値を高く設定してもよい。こうすることによって、余分な判定を減らすことができる。
上記した実施形態では、本発明のフィルム状物の一例として樹脂製の樹脂フィルム100の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明のフィルム状物は、金属製等の他の材質のフィルムであってもよい。
上記した実施形態では、外観不良判定動作によって、外観不良誘因部51が検出されると自動的に厚みを調整する自動偏肉の成形装置2を備えていたが、本発明はこれに限定されるものではない。成形装置2は、作業者が手動で厚みを調整する手動偏肉の成形装置であってもよい。
上記した実施形態の外観不良判定装置3は、外観不良誘因部51が測定点30から巻取ロール6の巻取開始点32に至る直前に、自動的に巻取ロール6での巻き取りを停止する構成であってもよい。こうすることによって、外観不良誘因部51の直前まで樹脂フィルム100を巻き取ることができる。
上記した実施形態では、各測定点30における測定時刻を、樹脂フィルム100の幅方向TDの中央に対応する測定点30fの測定時刻を基準としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の測定点の測定時刻を基準としてもよい。
上記した実施形態では、2本の冷却ロール15,16によって樹脂混合物を冷却して樹脂フィルム100にしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。1本の冷却ロールによって樹脂混合物を冷却してもよいし、3本以上の冷却ロールによって樹脂混合物を冷却してもよい。
上記した実施形態では、自動又は手動により調整ボルト20a〜20fを回すことによって、吐出口21の開口幅D2を調整していたが、本発明はこれに限定されるものではない。調整ボルト20a〜20fにヒーターを内蔵させ、ヒーター出力を制御することによって、調整ボルト20a〜20fを熱膨張・熱収縮させ、成形型12a,12bの吐出口21の開口幅D2を調整してもよい。
上記した実施形態では、制御手段23は、厚み測定手段22及び成形装置2と直接接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。制御手段23は、厚み測定手段22及び成形装置2と他の部材を介して接続されていてもよい。
上記した実施形態では、固化手段として2つの冷却ロール15,16を使用していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、固化手段の数は、特に限定されない。例えば、固化手段として片方の冷却ロール16のみを用いてもよいし、3つ以上の冷却ロールを用いてもよい。
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加することができる。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アクリル系樹脂の原料を溶融し、さらに調整ボルト20(調整部)が25mm間隔に並んだTダイ成形型から押し出して、製品幅1490mm、目標厚み60μm、全長1000mのアクリル系樹脂製の樹脂フィルム100を製膜した。そして、製膜した樹脂フィルム100を巻取ロール6によってロール状に巻き取った。
製膜時は厚み計(厚み調整手段17)で樹脂フィルム100の幅方向に1850mmを1走査25秒で測定を行った。また、厚み計による幅方向の測定点の間隔は2mmであり厚み偏差を演算する際に用いる平均値を測定点から調整ボルト20の5本分の間隔である100mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、平均化演算のデータサンプリング間隔Tを10m、サンプリングデータ数Nを50、外観不良誘因部51の判定時の各測定点30における偏差閾値D3を±1.5μmに設定して、1分毎に厚みを自動調整しながら1時間製膜した。
実施例1において樹脂フィルム100の巻き取りを行った結果、ロール状の樹脂フィルム100の表面に外観不良が発生しなかった。
アクリル系樹脂の原料を溶融し、さらに調整ボルト20(調整部)が25mm間隔に並んだTダイ成形型から押し出して、製品幅1490mm、目標厚み60μm、全長1000mのアクリル系樹脂製の樹脂フィルム100を製膜した。そして、製膜した樹脂フィルム100を巻取ロール6によってロール状に巻き取った。
製膜時は厚み計(厚み調整手段17)で樹脂フィルム100の幅方向に1850mmを1走査25秒で測定を行った。また、厚み計による幅方向の測定点の間隔は2mmであり厚み偏差を演算する際に用いる平均値を測定点から調整ボルト20の5本分の間隔である100mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、平均化演算のデータサンプリング間隔Tを10m、サンプリングデータ数Nを50、外観不良誘因部51の判定時の各測定点30における偏差閾値D3を±1.5μmに設定して、1分毎に厚みを自動調整しながら1時間製膜した。
実施例1において樹脂フィルム100の巻き取りを行った結果、ロール状の樹脂フィルム100の表面に外観不良が発生しなかった。
(比較例1)
比較例1として外観不良判定動作を行わずに同様の条件で1時間製膜を行い、ロール状に樹脂フィルム100を巻き取った。
比較例1において樹脂フィルム100の巻き取りを行った結果、ロール状の樹脂フィルム100の表面に幅方向において5箇所の外観不良が発生した。
比較例1として外観不良判定動作を行わずに同様の条件で1時間製膜を行い、ロール状に樹脂フィルム100を巻き取った。
比較例1において樹脂フィルム100の巻き取りを行った結果、ロール状の樹脂フィルム100の表面に幅方向において5箇所の外観不良が発生した。
続いて、幅方向に5箇所の外観不良が発生した比較例1の樹脂フィルムの測定結果を使用し、各パラメータにおける外観不良判定動作の精度を検討した。
(実験例1)
厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の3本分の間隔である50mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、その他は実施例1と同様の条件とし、これを実験例1とした。
厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の3本分の間隔である50mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、その他は実施例1と同様の条件とし、これを実験例1とした。
(実験例2)
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の4本分の間隔である75mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例2とした。
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の4本分の間隔である75mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例2とした。
(実験例3)
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の5本分の間隔である100mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例3とした。すなわち、実施例1と同様の条件で各パラメータにおける外観不良判定動作の精度を検討した。
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の5本分の間隔である100mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例3とした。すなわち、実施例1と同様の条件で各パラメータにおける外観不良判定動作の精度を検討した。
(実験例4)
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の6本分の間隔である125mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例4とした。
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の6本分の間隔である125mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例4とした。
(実験例5)
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の7本分の間隔である150mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例5とした。
実験例1において、厚み偏差を演算する際に用いる平均値を調整ボルト20の7本分の間隔である150mmの平均算出範囲Rに属する各測定点での厚みの平均値とし、これを実験例5とした。
以下の表1に実験結果を示す。
表1から読み取れるように、実施例1と同様の条件である実験例3では、後に5箇所の外観不良をもたらす外観不良誘因部を正確に判定でき、検出漏れや過剰検知が発生しなかった。
表1から読み取れるように、平均算出範囲Rが75mm(調整ボルト20の間隔の3倍相当)以下の場合には検出漏れが発生した。すなわち、後に5箇所の外観不良をもたらす外観不良誘因部を全て検出できなかった。
一方、平均算出範囲Rが150mm(調整ボルト20の間隔の6倍相当)以上の場合には過剰検知が発生した。すなわち、後に5箇所の外観不良をもたらす外観不良誘因部以外の部分も外観不良誘因部として検出した。
このことから、調整ボルト20の間隔の3倍超過6倍未満の範囲にすることで、検出漏れや過剰検知の発生を実質的に防止できることが分かった。
表1から読み取れるように、平均算出範囲Rが75mm(調整ボルト20の間隔の3倍相当)以下の場合には検出漏れが発生した。すなわち、後に5箇所の外観不良をもたらす外観不良誘因部を全て検出できなかった。
一方、平均算出範囲Rが150mm(調整ボルト20の間隔の6倍相当)以上の場合には過剰検知が発生した。すなわち、後に5箇所の外観不良をもたらす外観不良誘因部以外の部分も外観不良誘因部として検出した。
このことから、調整ボルト20の間隔の3倍超過6倍未満の範囲にすることで、検出漏れや過剰検知の発生を実質的に防止できることが分かった。
1,200,300 製造装置
2 成形装置
3 外観不良判定装置
5 搬送装置
6 巻取ロール
10 供給装置
11 押出装置
12a,12b 成形型
15,16 冷却ロール(固化手段)
17 厚み調整手段
20,20a〜20f 調整ボルト(調整部材)
21 吐出口
22 厚み測定手段
23 制御手段
26 厚み計測部
30,30a〜30k,30f1,30f2,30fN 測定点
31a〜31g 搬送ローラー
32 巻取開始点
35 往路側測定群
36 復路側測定群
50 外観不良
51 外観不良誘因部
100 樹脂フィルム
201 撮影装置
2 成形装置
3 外観不良判定装置
5 搬送装置
6 巻取ロール
10 供給装置
11 押出装置
12a,12b 成形型
15,16 冷却ロール(固化手段)
17 厚み調整手段
20,20a〜20f 調整ボルト(調整部材)
21 吐出口
22 厚み測定手段
23 制御手段
26 厚み計測部
30,30a〜30k,30f1,30f2,30fN 測定点
31a〜31g 搬送ローラー
32 巻取開始点
35 往路側測定群
36 復路側測定群
50 外観不良
51 外観不良誘因部
100 樹脂フィルム
201 撮影装置
Claims (7)
- ライン状の吐出口を構成する一対の成形型と、前記吐出口の延び方向に並設され前記吐出口の開口幅を調整する複数の調整部材と、前記吐出口から吐出されるフィルム状物の中間生成物を固化しフィルム状物を形成する固化手段とを備えた成形装置に接続されて使用される外観不良判定装置であって、
送出手段と、巻取手段と、測定手段と、制御手段を有し、
前記送出手段は、前記成形装置から前記フィルム状物を引き取って前記巻取手段側に送り出すものであり、
前記巻取手段は、前記送出手段から送り出された前記フィルム状物を巻き取るものであり、
前記測定手段は、前記送出手段と前記巻取手段の間に位置し、かつ、移動中の前記フィルム状物に対して前記フィルム状物の移動方向に対して交差する方向に走査して前記フィルム状物の厚みを測定するものであり、
前記制御手段は、前記測定手段及び前記成形装置と直接又は他の部材を介して接続され、外観不良誘因部を判定する外観不良判定動作を実行可能であり、
前記外観不良判定動作は、走査方向の各測定点での前記フィルム状物の厚みと前記走査方向の前記フィルム状物の厚みの平均値から各測定点の偏差を経時変化ごとに求める偏差算出工程と、
各測定点において、前記フィルム状物の幅方向の同一測定点の経時変化での偏差の平均値を所定の偏差閾値と比較する偏差比較工程と、
前記偏差の平均値が前記偏差閾値を超える測定点を外観不良誘因部と判定する判定工程を有し、
前記偏差算出工程で使用する前記走査方向の前記フィルム状物の厚みの平均値は、判定対象の測定点を中心とする前記走査方向の所定の範囲に属する測定点の平均値であり、
前記所定の範囲は、前記フィルム状物の幅よりも狭く、一の調整部材と、前記一の調整部材に隣接する調整部材の間隔の3倍超過6倍未満の範囲であることを特徴とする外観不良判定装置。 - 前記偏差閾値は、上側閾値と下側閾値があり、
前記下側閾値は、−1μm未満の値であり、
前記上側閾値は、1μm超過の値であることを特徴とする請求項1に記載の外観不良判定装置。 - 前記判定工程において、前記偏差の平均値が前記偏差閾値を超えた値を取り、さらに前記走査方向における変化の割合の絶対値が所定の閾値以上の値を取る測定点を外観不良誘因部と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の外観不良判定装置。
- 前記偏差算出工程において、判定対象の測定点が属する測定群の現在の偏差データと過去の各測定群の偏差データとの中から、現在の偏差データを含む所定のデータ数の偏差データを測定時刻の間隔が一定となるように抽出し、抽出した偏差データを使用して、各測定点における偏差を求めるものであり、
前記巻取手段で巻き取られたフィルム状物の表面の高低差を検出する高低差検出手段を有し、
前記表面の高低差が高低差閾値範囲を超える場合に、前記偏差算出工程で抽出する偏差データの測定時刻の間隔を調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の外観不良判定装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の外観不良判定装置と、前記成形装置を有し、
前記成形装置は、前記外観不良誘因部と判定された測定点に対応する調整部材を調整し、前記偏差の平均値が偏差閾値を超えないように前記吐出口の開口幅を調整することを特徴とするフィルム状物の製造装置。 - 前記巻取手段で巻き取られた前記フィルム状物の表面の高低差を検出する高低差検出手段を有し、
前記表面の高低差が高低差閾値範囲を超える場合に、前記一対の成形型の間隔を調整して前記吐出口の開口幅を調整することを特徴とする請求項5に記載のフィルム状物の製造装置。 - 請求項5又は6に記載のフィルム状物の製造装置を使用する樹脂フィルムの製造方法であって、
樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して樹脂混合物を形成し、当該樹脂混合物を一対の成形型まで押し出す押出工程と、
前記吐出口から前記樹脂混合物をフィルム状に吐出する吐出工程と、
前記固化手段で前記樹脂混合物を引き取る引取工程と、
成形された樹脂フィルムの厚みを測定する厚み計測工程と、
前記巻取手段によって前記樹脂フィルムをロール状に巻き取る巻取工程を有し、
前記厚み計測工程中に前記外観不良判定動作を実施し、樹脂フィルムの外観不良誘因部の有無を判定することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
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JP2017211173A JP2019081336A (ja) | 2017-10-31 | 2017-10-31 | 外観不良判定装置、フィルム状物の製造装置、及び樹脂フィルムの製造方法 |
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- 2017-10-31 JP JP2017211173A patent/JP2019081336A/ja active Pending
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