JP2016036918A - 外観不良判定装置、フィルム状物の製造装置、外観不良判定方法、及びフィルム状物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、Tダイ法での樹脂フィルムの成形では、成形後の樹脂フィルムの厚みを制御する方策として、冷却ロールと巻取ロールとの間にインライン測定器を設置し、冷却ロールと巻取ロール間を移動する樹脂フィルムに対してインライン測定を行う。そして、樹脂フィルムの測定厚みがあらかじめ設定された目標の厚み範囲から外れた場合には、測定厚みが目標の厚み範囲内に収まるように、厚み調整手段によってTダイ金型のリップ間隙を調整して、成形される樹脂フィルムの厚みを制御する。
この特許文献1に記載の製造方法では、樹脂フィルムの厚みを幅方向の位置xの厚み関数とし、この厚み関数を位置xで微分して、厚み関数の極大点は凸部と対応し、厚み関数の極小点は凹部と対応するから、厚み関数の極大点を巻こぶ発生候補として抽出する。
また、この極大点における樹脂フィルムの幅方向の平均厚みからの厚み偏差と、その近傍の凹部の厚み値からの厚み偏差をそれぞれ算出し、これらの厚み偏差をもとに巻こぶ発生候補を絞り込む。そして、この極大点における過去の厚みの履歴から巻こぶ発生候補が巻こぶに発展するか否かを判定して、巻こぶ発生箇所を予測する。
このようにして、特許文献1に記載の製造方法は、予測された巻こぶ発生箇所に対して巻こぶ発生を抑制する厚み制御を行っている。
しかしながら、実際の厚みの極大点は、移動方向の測定位置ごとに変化する場合がある。すなわち、厚み関数の極大点の位置が経時的に変化すると、凸部が重なって巻こぶになりうる場所があっても見逃し、巻こぶの予測が遅れるおそれがある。
具体的には、図12に示されるような厚みデータa〜eが時系列ごとに厚み関数が変化する場合、特許文献1に記載の製造方法では、現在の測定点でのデータである厚みデータeにおける極大点100で発生する巻こぶは予測可能である。
しかしながら、過去の厚みデータaで極大点101であった位置は、現在の測定点(厚みデータe)では極大点ではないので、極大点101に対応する位置での巻こぶの発生の兆候を捉えることができない。そのため、極大点101による巻こぶの発生を見逃すおそれがあった。
この場合、フィルム状物に外観不良誘因部が形成されると、巻き取り回数が増えるにつれて、外観不良誘因部の外側にフィルム状物が重なっていき、巻こぶ等の外観不良が形成される。
このとき、外観不良誘因部が発生しても、外観不良誘因部が軸部上でのどの積層位置にくるかによって、巻こぶ等の外観不良の生じやすさが異なる。
例えば、所定の長さのフィルム状物を巻き取る場合において、巻き取りの初期であって、軸部でのフィルム状物の巻き取り回数が少ない場合には、ロール外径が小さい。そのため、外観不良誘因部が生じた際に、外観不良誘因部が同一箇所で重なる頻度が多い。
また、それ以後の軸部での巻き取り回数も多く残っているので、巻き取り回数が増加するにつれて、外観不良誘因部の外側にフィルム状物が被覆していき、大きな巻こぶ等が形成されやすくなる。
さらに、一の外観不良誘因部の外側に他の外観不良誘因部が被覆されるまでの間隔が狭い。すなわち、一の外観不良誘因部から他の外観不良誘因部までの間隔が狭い。そのため、周方向の狭い範囲で不良判定動作を行い、外観不良誘因部の発生を特定しなければならない。
一方、上記したフィルム状物を巻き取る際に、フィルム状物の巻き取り終盤であって、軸部でのフィルム状物の巻き取り回数が多い場合には、ロール外径が大きい。そのため、外観不良誘因部が生じた際に、外観不良誘因部が同一箇所で重なる頻度が少ない。
また、それ以後の巻き取り回数も少ないので、巻き取り回数が増加しても、外観不良誘因部の外側にフィルム状物が被覆する回数が少なく、大きな巻こぶ等が形成されにくい。
さらに、一の外観不良誘因部の外側に他の外観不良誘因部が被覆されるまでの間隔が広い。そのため、周方向の広い範囲で不良判定動作を行い、外観不良誘因部の発生を特定しなければならない。
すなわち、本発明の構成によれば、フィルム状物の巻き取り回数に応じて、抽出する偏差のデータ(標本)が調整されるので、例えば、外観不良の発生しやすさ等に合わせて、抽出する偏差のデータを調整することができる。
例えば、巻き取り初期であって、フィルム状物の巻き取り回数が少ない場合には、時系列において、抽出する偏差データの間隔を狭める。こうすることによって、フィルム状物の移動方向において、狭い範囲での厚み変化を特定することができる。そのため、外観不良誘因部の存在を緻密に検知することができる。また、検知した外観不良誘因部が巻取装置で重なるかどうかを検知することができる。
また、例えば、巻き取り終盤であって、フィルム状物の巻き取り回数が多い場合には、時系列において、抽出する偏差データの間隔を広げる。こうすることによって、フィルム状物の移動方向において、広い範囲での厚み変化を特定することができる。そのため、巻取装置で検知した外観不良誘因部が重なるかどうかを検知することができる。
しかしながら、巻こぶの発生箇所の幅が厚み調整手段の幅方向の厚み調整ピッチよりも十分に大きい場合は、一度の厚み調整では巻こぶ部分が解消されず、対処が遅れて巻こぶが発生するおそれがある。
さらに、本発明の構成によれば、複数の調整部を有しており、各調整部は、フィルム状物の対応する部位のそれぞれの厚みを独立して調整可能であるので、幅方向において緻密にフィルム状物の厚みを調整できる。そのため、上記した不良検知動作において判断された外観不良誘因部の幅や厚みに合わせて、フィルム状物の厚みを調整することで、迅速に巻こぶ等の外観不良の発生を防止できる。
本発明のフィルム状物の製造装置及びフィルム状物の製造方法によれば、外観不良誘因部による外観不良の発生を防止できる。
供給装置10(供給手段)は、樹脂フィルム30の樹脂原料又は樹脂材料を押出装置11に導入する装置であり、具体的にはホッパーである。
本実施形態の押出装置11は、その内部にスクリュー等が内蔵されており、スクリュー等が回転することによって、樹脂原料又は樹脂材料をかき混ぜながら金型12に押し出すことが可能となっている。
厚み調整手段14での樹脂フィルム30の厚み調整方法としては、例えば、作業者がボルトを回すことで金型12の出口の隙間を開閉して厚み調整する方法や、ヒーターを内蔵したボルトのヒーター出力を制御しボルトの熱膨張を利用して金型12の吐出口25の隙間を開閉して厚み調整する方法などが挙げられる。
本実施形態では、厚み調整手段14は、金型12を締め付ける複数の締付ボルト(調整部)が所定の間隔を空けて幅方向Wに並設されている。また、各締付ボルトは、それぞれヒーターを内蔵しており、自身の熱膨張を利用して金型12の吐出口25の隙間を独立して調整可能となっている。
外観不良判定装置3は、図2に示されるように、厚み測定手段15(測定手段)と、判定手段16と、報知手段19を有している。
厚み測定手段15は、通過する樹脂フィルム30の厚みを計測する機器であり、図4に示されるように厚み計測部26を有している。
厚み計測部26は、樹脂フィルム30の厚みを測定する厚みセンサーであり、図4のように、樹脂フィルム30の移動方向Rに対して直交する方向(幅方向W)において、所定の範囲を走査可能となっている。すなわち、厚み計測部26は、移動中の樹脂フィルム30に対して、樹脂フィルム30の移動方向Rに対して交差する方向(走査方向)に交互に走査しながら、樹脂フィルム30の幅方向Wの各位置における厚みを測定することが可能となっている。
演算手段17は、厚み測定手段15で検知した走査方向の各測定点32(図4参照)での樹脂フィルム30の厚みに基づいて、樹脂フィルム30の外観不良判定を行うことが可能となっている。
また、演算手段17は、図1に示される巻取ロール6において回転数検知手段28により検知された軸部27の回転数や回転速度等から、巻取ロール6で巻き取られた樹脂フィルム30の積層回数(軸部27の径方向の積層数)を算出することが可能となっている。
報知手段19の報知方法は、特に限定されるものではなく、例えば、音、色、映像、言語等により報知することができる。
本実施形態の報知手段19では、画面表示によって報知することが可能となっている。
搬送装置5は、複数の搬送ローラー40a〜40fによって構成されており、各搬送ローラー40a〜40fが回転することによって、樹脂フィルム30を伸張した状態で測定点32を通過させることが可能となっている。
巻取ロール6は、図1のように、軸部27と、回転数検知手段28(計測装置)を有している。
軸部27は、周方向に回転することで樹脂フィルム30を外周に巻き取る部位であり、モーター等の動力によって回転可能となっている。すなわち、軸部27は、図示しないリール等を介して、その外周に樹脂フィルム30をロール状に巻き取ることが可能となっている。
樹脂フィルム30は、樹脂混合物を固化して形成されるものであり、具体的には、熱可塑性樹脂によって形成された樹脂である。
樹脂混合物は、樹脂原料又は樹脂材料を溶融させて混合したものである。
樹脂フィルム30は、平均厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましい。
樹脂フィルム30は、平均幅が200cm以上2m以下であることが好ましい。
これらの範囲であれば、Tダイ成形によって容易に成形することができる。
また、冷却ロール13と巻取ロール6の間には、厚み測定手段15を通過するように、搬送装置5が配されている。具体的には、冷却ロール13と厚み測定手段15の間には、搬送ローラー40aが配されており、厚み測定手段15と巻取ロール6の間には、搬送ローラー40b〜40fが配されている。
搬送ローラー40aは、天地方向において、冷却ロール13の下端部よりも高い位置に配されており、搬送ローラー40bは、搬送ローラー40aと同一の高さに配されている。また、搬送ローラー40a,40bは、樹脂フィルム30が搬送ローラー40a,40bの上側の外周面を通過する位置関係となっている。そのため、厚み測定手段15は、一定の姿勢に維持され、一定の張力を持ったまま、樹脂フィルム30を測定することが可能となっている。
往路側測定群35は、一走査測定分の測定点32k〜32aが樹脂フィルム30の移動方向において、幅方向Wの一方側の端部(図5では右側端部)から他方側の端部(図5では左側端部)に向かって並んだものである。
復路側測定群36は、一走査測定分の測定点32a〜32kが樹脂フィルム30の移動方向において、幅方向Wの他方側の端部(図5では左側端部)から一方側の端部(図5では右側端部)に向かって並んだものである。
往路側測定群35の各測定点32k〜32aは、移動方向に対して交差する方向(往路側走査方向S1)に所定の間隔を空けて直線状に並んでいる。復路側測定群36の各測定点32a〜32kは、移動方向に対して交差する方向であって、往路側走査方向S1と異なる方向に所定の間隔を空けて並んでいる。
また、各往路側測定群35の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。各復路側測定群36の並列方向は、同一方向を向いており、互いに平行となっている。往路側測定群35の並列方向(往路側走査方向S1)と、復路側測定群36の並列方向(復路側走査方向S2)は、互いに交差する関係となっている。
具体的には、不良判定動作のおける外観不良判定方法では、まず現在の測定点32k(32)と巻取ロール6の巻取開始点33間の樹脂フィルム30の長さであるフィルムパスライン長さを設定する。
すなわち、測定群35,36において、走査方向に並んだ各測定点32a〜32kでの厚み(測定値)と、当該各測定点32a〜32kの測定値の平均値から、各測定点32a〜32kでの厚み偏差を演算する。
このとき、図9のグラフのような平均値に対する凹凸が数値となって表れる。
ここで、第1演算に使用する各測定点32の測定値は、図8のように、対象となる測定点32での実測値と、対象となる測定点32の近傍の測定点32での実測値を使用して、移動平均により求めた計算値である。
具体例を挙げると、対象となる測定点32fでの実測値と、当該測定点32fを幅方向に挟んだ所定の範囲の測定点32の各実測値を用いて移動平均を取り、その平均値を測定点32fの測定値としている。
本実施形態では、対象となる測定点32と、当該測定点32に幅方向に隣接する測定点32,32の3点の測定値から移動平均を取って、その値を測定点32の測定値としている。
具体的には、測定点32fの測定値は、測定点32fの実測値と、それに隣接する測定点32e,32gの実測値の平均値を使用している。
また、本実施形態では、樹脂フィルム30の幅方向の中央に位置する測定点32fでの測定時刻を基準として、測定群35(測定群36)の属する全ての測定点32a〜32kが同時刻に測定したと仮定して計算を行っている。例えば、一の測定群35に属する測定点32a〜32kでの測定値は、一の測定群35の中央に位置する測定点32fで検知した時刻に測定したと近似して計算を行っている。
具体的には、現在の測定点32kが巻取ロール6に巻き取られたときの軸部27の径方向の積層数と、あらかじめ設定された樹脂フィルム30の積層数の積層閾値と比較して算出される。すなわち、積層閾値に対する現在の測定点32kの積層回数によって、今後において巻こぶの発生しやすさからデータ数Nを判断する。
そのため、抽出する偏差データのデータ数Nは、樹脂フィルム30の材質や厚みなどによってそれぞれ異なる値をとる。
なお、本実施形態では、Nは固定値をとり、Nは40である。すなわち、本実施形態では、多数の偏差データの中から現在の偏差データを含めた40個の偏差データを抽出する。
また、本実施形態で標本として抽出する偏差データは、図7に示されるように時系列において、一の測定群の偏差データの測定時刻と、それに隣接する測定群(前記一の測定群に近い時刻に検知した測定群)の偏差データの測定時刻の間隔Tは一定となっている。
すなわち、標本として抽出する偏差データにおいて、現在の偏差データから過去の時分において、抽出する偏差データの時刻と、それに隣接する偏差データ(近い時刻にある偏差データ)の時刻の間隔Tは、一定間隔となっている。
一般に、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が少ないときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が多く、またロール外径も小さい。
例えば、積層閾値が100回であって、現在の樹脂フィルム30の積層回数が10回の場合、積層閾値(100回)に到達するまでの残りの積層回数(90回)が多い。また、10回しか積層していないので、当然現在のロール外径も小さい。
そのため、図3(a)に示されるような外観不良誘因部51が生じた場合に、図3(b)に示されるように外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりやすく、巻こぶ等の外観不良50が発生しやすいと考えられる。また軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が少ない場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が狭くなる。
そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が少ないときは、時系列において、図7に示される標本として抽出する偏差データ間の間隔Tを狭める。
一方、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が多いときは、積層閾値に到達するまでの残りの積層回数が少なく、ロール外径も大きくなっている。そのため、外観不良誘因部51が生じた場合に外観不良誘因部51が軸部27の径方向に重なりにくく、巻こぶ等の外観不良50が発生しにくいと考えられる。
また、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が多い場合には、軸部27の径方向において、重なる部位間の間隔が広くなる。そのため、本実施形態では、巻取ロール6の軸部27での樹脂フィルム30の積層回数が多いときは、時系列において、図7に示される標本として抽出するデータ間の間隔Tを広げる。
言い換えると、樹脂フィルム30の幅方向の同一測定点32間の厚み偏差の積算値を抽出したデータ数Nで割ることで各測定点32での厚み偏差の平均値を求めて偏差データを算出する。
すなわち、本実施形態では、40個の偏差データにおいて、樹脂フィルム30の幅方向の同一測定点32の厚み偏差の積算値を算出し、データ数40で割って、厚み偏差の平均値を算出する。
すなわち、測定点32における平均値が上側閾値を上回ると、巻こぶ等の凸状の外観不良を誘因するおそれがある第一外観不良候補箇所として抽出し、測定点32における平均値が下側閾値を下回ると、窪み部等の凹状の外観不良を誘因するおそれがある第二外観不良候補箇所として抽出する。
上側閾値としては、目標厚みの平均値の0.1パーセント以上1パーセント以下の値であることが好ましい。
下側閾値としては、目標厚みの平均値の−1パーセント以上−0.1パーセント以下の値であることが好ましい。
下側閾値は、より正確に抽出する観点から−1μm以上−0.2μm以下の値であることが好ましく、−0.8μm以上−0.2μm以下の値であることがより好ましい。
0.5パーセント未満になると、幅方向閾値が小さすぎて大部分が幅方向閾値を超えてしまい、正確に判定できないおそれがある。
30パーセント超過になると、幅方向閾値が大きすぎて、大部分が幅方向閾値を下回り、正確に判定できないおそれがある。
具体的な数値を挙げると、幅方向閾値は、正確に測定する観点から、20mm以上300mm以下の値であることが好ましく、50mm以上150mm以下の値であることがより好ましい。
ステップ7にて、抽出した外観不良候補箇所が幅方向閾値を超えて連続しない場合には(ステップ7でNo)、外観不良誘因部51がないと判定し(ステップ9)、ステップ1に戻る。
以上が不良判定動作の説明である。
測定点32の数は、樹脂フィルム30の幅によって適宜設定されるが、例えば、1000mmの樹脂フィルム30の場合には、測定点32の数は、250点〜1000点であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の不良判定動作を行うにあたって十分なデータを抽出することができる。
また、測定点32の間隔は、過去の実施結果から推測される樹脂フィルムの起伏のできやすさやその大きさ等によって適宜設定されるが、1mm〜3mmであることが好ましい。この範囲であれば、測定点32の間隔が詰まりすぎず、開きすぎないので、測定の無駄が少ない。
例えば、算出対象の測定点32と、算出対象の測定点32を基準として走査方向におけるその前後の1点〜50点の測定点と、を測定値の算出に用いてもよい。
すなわち、算出対象の測定点32を含めて、3点〜101点の測定点32の実測値を用いて算出対象の測定点32の測定値を算出してもよい。
特に、測定点32の間隔が1mm〜3mmである場合には、算出対象の測定点32と、走査方向における当該測定点32の前後の20点〜40点の測定点と、を測定値の算出に用いることが好ましい。この範囲であれば、移動平均により測定値を算出するにあたって、十分なデータ数を確保できる。
この場合、外観不良誘因部51が存在することを検出すると、報知手段19によって、作業者に外観不良誘因部51の存在を報知する構成であることが好ましい。
この構成により、作業者が外観不良誘因部51の存在を確認でき、厚み調整手段によって厚みを調整できるので、外観不良50の発生を防止できる。
この構成によって、作業者は、報知手段19によって外観不良誘因部51が巻取開始点33に至ることを知得できるので、外観不良50を注意して監視することができ、外観不良50に適宜対処することができる。そのため、外観不良50が発生することを防止でき、歩留まりを向上させることができる。
また、過剰に大きな外観不良誘因部51が検出された場合には、巻き取りを中止することによって、外観不良誘因部51の直前の正常部位まで樹脂フィルム30を巻き取ることができる。
アクリル系樹脂の原料を溶融し、さらに厚み調整ボルト(調整部)が25mm間隔に並んだTダイ(金型12)から押し出して、製品幅1000mm、目標厚み70μm、全長1000mのアクリル系樹脂製のフィルム(樹脂フィルム30)を製膜した。そして、製膜した樹脂フィルム30を軸部27によってロール状に巻き取った。
製膜時は厚み計(厚み測定手段15)で樹脂フィルム30の幅方向に1850mmを1走査24秒で測定を行った。
また、厚み計による測定点32の間隔は、2mmであり、不良判定部に判定閾値として厚み偏差の閾値0.5μm、幅方向閾値を90mm、樹脂フィルム30の積層回数の閾値を95回に設定して、1分毎に厚みを自動調整しながら6時間製膜した。
各測定点32の測定値は、算出対象の測定点と、当該測定点の前後の30点の測定点の計61点の測定点の実測値から移動平均を計算し、その算出値を用いた。
実施例1においてフィルムの巻き取りを行った結果、ロール状のフィルムの表面に外観不良が発生しなかった。
比較例1として不良判定部を作動させず同様の条件で6時間製膜を行い、ロール状にフィルム状物を巻き取った。
比較例1においてフィルムの巻き取りを行った結果、ロール状のフィルムの表面に外観不良が発生した。
2 成形装置(成形手段)
3 外観不良判定装置
5 搬送装置(送出手段)
6 巻取ロール(回収手段,巻取装置)
10 供給装置(供給手段)
12 金型(成形型)
14 厚み調整手段
15 厚み測定手段(測定手段)
17 演算手段
28 回転数検知手段(計測装置)
30 樹脂フィルム(フィルム状物)
Claims (9)
- フィルム状物を送り出す送出手段と、前記フィルム状物を回収する回収手段を有した外観不良判定装置において、
測定手段と、演算手段を有し、
前記測定手段は、前記送出手段と回収手段の間に位置するものであって、かつ、移動中のフィルム状物に対して、フィルム状物の移動方向に対して交差する方向に走査して前記フィルム状物の厚みを測定するものであり、
前記測定手段によって、フィルム状物の前記走査方向の特定の測定点における厚みの計時変化を測定し、
前記演算手段によって、前記走査方向における各測定点でのフィルム状物の厚みと、前記走査方向におけるフィルム状物の厚みの平均値から、各測定点における偏差を計時変化ごとに求め、
各測定点において、フィルム状物の幅方向における同一測定点の計時変化での偏差の平均値を、所定の偏差閾値と比較して、前記偏差の平均値が偏差閾値を超えた測定点を外観不良候補として抽出し、
前記外観不良候補が、前記走査方向において、所定の範囲を超えて連続した場合に、当該連続した測定点を外観不良誘因部と判定する不良判定動作を実行可能であることを特徴とする外観不良判定装置。 - 前記回収手段は、軸部の外周にフィルム状物を巻き取る巻取装置を備えており、
前記偏差の平均値は、標本平均であって、前記不良判定動作時における前記フィルム状物の巻き取り回数に応じて、偏差の母集団から抽出する標本を調整されることを特徴とする請求項1に記載の外観不良判定装置。 - 前記巻取装置は、軸部を回転させることによってフィルム状物を巻き取るものであり、
前記演算手段は、前記巻取装置の軸部の回転数、及び前記測定手段の厚み測定部位から前記巻取装置までのフィルム状物の長さによってフィルム状物の積層回数を算出することを特徴とする請求項2に記載の外観不良判定装置。 - 前記フィルム状物の厚みを調整する厚み調整手段を有し、
前記回収手段は、軸部の外周にフィルム状物を巻き取る巻取装置を備えており、
前記不良判定動作において、外観不良誘因部と判定された位置の厚みを調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外観不良判定装置。 - 前記厚み調整手段は、前記走査方向において、複数に並設された調整部を有し、
各調整部は、フィルム状物の対応する部位のそれぞれの厚みを独立して調整可能であることを特徴とする請求項4に記載の外観不良判定装置。 - 前記偏差閾値は、上側閾値と、下側閾値を有し、
各測定点において、フィルム状物の幅方向における同一測定点の計時変化での偏差の平均値を、前記上側閾値及び下側閾値と比較して、
前記偏差の平均値が上側閾値を上回る測定点を外観不良候補として抽出し、
前記偏差の平均値が下側閾値を下回る測定点も外観不良候補として抽出し、
前記抽出された外観不良候補が、前記走査方向において、所定の範囲を超えて連続した場合に、当該連続した測定点を外観不良誘因部と判定する不良判定動作を実行可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の外観不良判定装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の外観不良判定装置を備えたフィルム状物の製造装置であって、
前記回収手段は、軸部の外周にフィルム状物を巻き取る巻取装置を備えており、
前記フィルム状物は、樹脂フィルムであり、
樹脂材料又は樹脂原料から樹脂フィルムに成形する成形手段と、前記成形手段に樹脂材料又は樹脂原料を供給する供給手段と、樹脂フィルムの厚みを調整する厚み調整手段を有し、
前記送出手段は、前記成形手段で形成された樹脂フィルムを回収手段側に送り出し、
前記厚み調整手段は、移動方向において外観不良誘因部と対応する部位の厚みを調整することを特徴とするフィルム状物の製造装置。 - フィルム状物の外観不良誘因部と判定する外観不良判定方法であって、
測定手段と、演算手段を使用する外観不良判定方法において、
前記測定手段は、移動中のフィルム状物に対して、フィルム状物の移動方向に対して交差する方向に走査して前記フィルム状物の厚みを測定するものであり、
前記測定手段によって、フィルム状物の前記走査方向の特定の測定点における厚みの計時変化を測定し、
前記演算手段によって、前記走査方向における各測定点でのフィルム状物の厚みと、前記走査方向におけるフィルム状物の厚みの平均値から、各測定点における偏差を計時変化ごとに求め、
各測定点において、フィルム状物の幅方向における同一測定点の計時変化での偏差の平均値を、所定の偏差閾値と比較して、前記偏差の平均値が偏差閾値を超えた測定点を外観不良候補として抽出し、
前記外観不良候補が、前記走査方向において、所定の範囲を超えて連続した場合に、当該連続した測定点を外観不良誘因部と判定することを特徴とする外観不良判定方法。 - 請求項7に記載のフィルム状物の製造装置を用いるフィルム状物の製造方法であって、
前記フィルム状物は、樹脂フィルムであり、
成形型を有した成形手段を使用し、
供給手段から樹脂原料又は樹脂材料を成形手段に供給する供給工程と、
前記供給された樹脂原料又は樹脂材料を溶融、混練して樹脂混合物を形成し、当該樹脂混合物を成形型まで押し出す押出工程と、
前記金型から樹脂混合物をフィルム状に吐出する吐出工程と、
前記樹脂混合物を引き取る引取工程と、
前記樹脂フィルムの厚みを樹脂フィルムの幅方向に走査して測定する厚み計測工程と、
前記樹脂フィルムをロール状に巻き取る巻取工程を有し、
前記計測工程中に、樹脂フィルムの外観不良誘因部の有無を判定する不良判定工程を備え、
当該不良判定工程において、前記不良判定動作を行うことを特徴とするフィルム状物の製造方法。
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