JP2019080504A - バラの葉から成る紅茶葉及び該紅茶葉の製造方法 - Google Patents

バラの葉から成る紅茶葉及び該紅茶葉の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の茶葉として使用されているカメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)のような植物とは異なる種類の葉を茶葉として使用した紅茶葉等を提供すること。【解決手段】バラの葉を原料として用いる紅茶葉の製造方法であって、生葉の凍結工程を含むことを特徴とする、前記方法、並びに、バラの紅茶葉、バラの紅茶葉の抽出物、若しくは、これらの加工品、又は、それらを含む飲食品等。【選択図】なし

Description

本発明は、バラ(薔薇)の葉から成る紅茶葉、該紅茶葉の製造方法、該紅茶葉又はその抽出物を含む各種飲食品等に関する。
一般的に、紅茶(葉)とは、摘み取った茶の葉と芽を萎凋(乾燥)させ、それをもみ込む(揉捻)ことによって茶の葉に最初から含まれている酸化酵素により完全発酵(空気中の酸素に触れて活性化した酸化酵素により、カテキン(ポリフェノールの一種)やペクチン、葉緑素(クロロフィル)が酸化発酵する)させ、乾燥させた強発酵茶葉を意味する。因みに、紅茶葉の語源はその抽出液の水色(すいしょく)から、また、英語の black tea はその茶葉の色に由来する。これに対して、緑茶は摘み取った茶の葉を蒸したり炒ったりすることによって酸化発酵を抑えたもの(不発酵茶)に分類され、一定程度だけ酸化酵素により発酵させたもの(「半発酵茶」又は「部分発酵茶」)の代表例が烏龍茶や包種茶である。
お茶の学名は、カメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)であり、つばき科つばき属の一員で、大きく分けて、茶葉の小さな中国種(ver.Sinensis)、その変種とされるアッサム種(ver.Assamica)がある。
[紅茶葉の一般的な製法]
紅茶葉の製法には以下のものがある。
(1)以下の工程を含むオーソドックス製法
1.萎凋(いちょう)“Withering”
2.揉捻(じゅうねん)“Rolling”
3.玉解き・ふるい分け“Roll-breaking”“Green-Sifting”
4.発酵“Fermentation”
5.乾燥“Firing”
(2)アン・オーソドックス製法
1.CTC製法“CTC Manufacturing”
オーソドックス製法で使用される通常の「揉捻機」に代えて、特殊な設計のCTC(“CRUSH(押しつぶす)”“TEAR(引き裂く)”“CURL(丸める)”)機というステンレス製の2本のローラーからなる揉捻機を用いて、ローラーの回転を利用してすき間に葉を巻き込み、ローラーに取り付けた突起物や刃型で、茶葉の細胞組織を破壊・切断し、1〜2mm粒状に丸める製法。ティーバッグの原料に使用されることが多い。
2.ローターバン製法“Rotorvan Manufacturing”
ローターバンという大型の揉捻機で、「肉ひき機」の原理を利用した製法。複数台を使用し、投入口から萎凋後の茶葉を押し込み、圧搾して細かくする。
(3)セミオーソドックス製法
オーソドックス製法による揉捻工程の後に、ローターバン機に通すことでオーソドックス製法に近い香りと味わいを生かしながら、より短時間で製造する方法。
このような紅茶葉(葉)の製法に関する従来技術として、例えば、以下の例を挙げることが出来る。
特許文献1には、紅茶葉の芳香を促進するために、萎凋(枯らす)工程の前に茶葉(カメリア・シネンシス)をジャスモン酸等の老化調整剤で処理することを特徴とするリーフ紅茶葉の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、緑茶用製造プラントを用いて紅茶葉を製造するいくつかの方法が記載されているが、いずれも生葉管理機を用いた萎凋工程が実施されている。
更に、特許文献3には、CTC製法による揉捻機を用いることなく、揉捻工程を行う紅茶葉の製造方法として、せん断および摩擦による機械的処理によって、萎凋した茶葉から実質的に葉によじれのない状態の茶葉を得ることを特徴とする揉捻工程、ならびに発酵工程および乾燥工程を含む、実質的に葉によじれのない紅茶葉の製造方法、この方法によって得られる紅茶葉、ならびに、この紅茶葉を利用した飲食品が記載されている。茶葉の種類等については特に記載されていない。
緑茶用製造プラントの生葉管理機(C1)を用いて茶葉を減水させて茶葉の萎凋を行なう萎凋工程P1と、緑茶用製造プラントの蒸機(C2)を用いて萎凋工程P1後の茶葉を破砕圧壊する茶葉破砕工程P2と、蒸葉処理機(C3),葉打ち機(C4)および該粗揉機(C5),(C6)のうちの少なくとも一つを用いて茶葉を減水させて萎凋補足を行なう萎凋補足工程P3と、緑茶用製造プラントの揉捻機(C7)を用いて萎凋補足工程P3後の茶葉と空気との混合を促進させて茶葉の発酵を促進させる揉捻加重工程P4とを含む。茶葉の種類等については特に記載されていない。
更に、紅茶葉の製法に関連する従来技術として、特許文献4には、紅茶葉等の加工工程に於いて、最初の揉捻工程以降に、乾燥機に投入せずに、急速冷凍して保存することを特徴とする茶葉の保存方法が記載されている。尚、急速冷凍の具体的な手段・条件等及び茶葉の種類等についての記載はない。
特許文献5には、食用に供する生茶葉に含まれるビタミンC等の各種ビタミン群及び各種ミネラル等の有用成分が発酵等により変質することを防ぐ目的で、−15℃以下に急速に凍結されたことを特徴とする冷凍茶葉が記載されている。急速冷凍の具体的な手段・条件としては、例えば、−30℃〜−40℃近辺に冷やされた空気、窒素、炭酸ガス、アンモニア等を吹き付ける方法、−20℃〜−30℃近辺に冷やされたアルコール水溶液等の液体中に浸漬する方法が記載されている。茶葉の種類等についての記載はない。
特許文献6には、急速冷凍処理された生茶葉から生茶葉抽出エキスを抽出する製造方法が記載されている。ここで、急速冷凍処理とは0℃以下まで冷凍開始より1時間以内に冷却することである旨、記載され、その為に使用する装置として、IQF凍結装置、ブライン凍結装置、急速冷凍庫等が挙げられている。又、生茶葉の例として、カメリア・シネンシスが挙げられている。
特開2000−325018号公報 特開2009−232731号公報 特開2012−135265号公報 特開2006−217803号公報 特開2000−50798号公報 特開2011−130740号公報
乾燥させたバラの花弁をポットに入れ熱湯をそそぎ、抽出したお茶や、乾燥させたバラの花弁を既存の紅茶葉に混ぜ、一定期間密閉放置して、香りを移したハーブティは、すでに広く出回っている。また、イブン・シーナ(980年〜1037年)によって発明された水蒸気蒸留法をもちいて、バラの花弁から芳香蒸留水や精油を抽出し、コスメ・食品・雑貨などに使用されている。
本発明の目的は、従来から茶葉として使用されているカメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)のような植物とは異なるバラの葉を茶葉として使用した紅茶葉等を提供することである。
本発明者は、花弁の香りが強いバラの「葉」は、香りの弱いバラの「葉」に比べ、虫の食害が多いことから、バラの「葉」にも酸化発酵の原料となる各種の芳香成分が含まれるのではないかと考え、バラの葉から成る紅茶葉の製造方法を研究した。その結果、従来の紅茶葉の製造方法には見られない新たな製造方法を用いることにより、それを用いて通常の方法で入れた紅茶(例えば、沸騰した湯を紅茶葉の上に注いで抽出した飲料)が、香り、コク、後味、余韻等に優れた非常に美味な飲料であることを初めて見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の[1]〜[9]の態様に関する。
[態様1]
バラの葉を原料として用いる紅茶葉の製造方法であって、生葉の凍結工程を含むことを特徴とする、前記方法。
[態様2]
凍結工程が、バラの生葉を-50〜-20℃の温度下に、少なくとも15分〜2時間、保持することから成る、態様1記載の方法。
[態様3]
以下の工程を含む、態様1又は2記載の方法:
1.生葉の凍結;
2.発酵;及び
3.乾燥。
[態様4]
発酵工程の前及び/若しくは後に行う揉捻工程、並びに/又は、乾燥工程の前に追加の発酵工程を含む、態様3記載の方法。
[態様5]
以下の各工程を順に含む、態様4記載の方法:
生葉の凍結;
一次揉捻;
一次発酵;
二次揉捻;
二次発酵;
焙煎;及び
乾燥。
[態様6]
バラが原種系バラである、態様1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
バラが浪花茨(ナニワイバラ)又はカザンリクである態様6記載の方法。
[態様8]
バラの紅茶葉、バラの紅茶葉の抽出物、若しくは、これらの加工品、又は、それらを含む飲食品。
[態様9]
バラが浪花茨(ナニワイバラ)又はカザンリクである、請求項8記載のバラの紅茶葉、バラの紅茶葉の抽出物、若しくは、これらの加工品、又は、それらを含む飲食品。
本発明によって、バラの葉を原料とした、香り、コク、後味、余韻等に優れた非常に美味な紅茶葉を提供することが可能となる。更に、このバラの紅茶葉を用いた紅茶、それからの抽出物、及び、それらを含む各種の食品等を提供することができる。
[従来の紅茶葉の製造方法]
まず、従来のオーソドックス製法に基づき紅茶葉の製造方法における各工程を説明する。
1.萎凋(いちょう)“Withering”工程
摘み採った生葉の総重量の約77%は水分であり、萎凋は、次の揉む工程で作業をやりやすくするため、生葉に含まれている水分の約半分を平均的に取り除く工程である。摘み採った生葉を網や麻布でできた萎凋棚に広げて、15〜20時間、日陰干しにする「自然萎凋」や、8〜15時間、大量の温風を送ってしおれさせる「人工萎凋」がある。その結果、葉がしおれた状態で握りしめたときに弾力性がなく、握力をゆるめても塊が解けず、茶葉に指の痕が残る程度の状態となる。
2.揉捻(じゅうねん)“Rolling”工程
茶葉に撚れを与えて、茶葉の細胞組織を破壊し、葉の中の酸化酵素を含んだ成分を外部に絞り出し、空気に触れさせて酸化発酵を促して形を整える工程である。この酸化発酵によって紅茶葉の香り・味・コク・水色のベースがつくられる。揉捻発酵時間は通常、45〜90分程度であるが、酸化発酵が進み過ぎるため、発酵を抑える目的で以下の玉解機にかけ、冷却して再び揉む作業を繰り返す。この間に、茶葉は60〜70%程度酸化発酵されるので、この工程は発酵工程とも考えられる。通常、「揉捻機」と呼ばれる機械(代表的な構成では、鋳物の支え台の上に設置された「揉盤」と呼ばれる円盤と、わずかな間隔をあけてその上に吊るされた「揉胴」と呼ばれる円筒から成る)を用いて、揉盤と揉胴との間に萎凋を終えた葉を入れて、揉盤の上で、偏心的な円運動をさせて、葉に「よじる」及び「ひねる」等の操作を加える。
3.玉解き・ふるい分け“Roll-breaking”“Green-Sifting”工程
揉捻工程で茶葉は塊になるので、これをほどいて平均的に空気に触れるようにして、酸化発酵を促進する工程である。通常、自動玉解機(ふるい分け)を用いて行われる。
4.発酵“Fermentation”工程
酸化発酵を促進させる工程である。通常、室温(例えば、25〜26℃)、湿度90%程度の発酵室に茶葉を広げ、数時間放置する。この段階で、緑色だった葉が鮮やかな赤銅色になり、紅茶葉としての芳香を漂わせ始めるが、発酵しすぎると、紅茶葉の命である香気やアロマが損なわれ、水色も黒っぽくなる。
5.乾燥“Firing”工程
発酵終了時の茶葉の水分は約60%であり、引き続き化学変化が起こるため、乾燥機に入れ、100℃前後の高温熱風で茶葉を乾燥させ、酸化酵素による発酵を止める。
[本発明によるバラの紅茶葉の製造方法]
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、バラの葉を原料として用いる紅茶葉(バラの紅茶葉)の製造方法であって、特に、発酵工程の前に、生葉の凍結工程を含むことを特徴とする。尚、本発明の製造方法は、上記のような従来の紅茶葉の製造方法に於ける各工程に準じた方法・条件等による任意の工程を適宜含むことが出来る。
凍結工程は、バラの葉の細胞内水分が凍結し、その結果、液胞等の細胞オルガネラ及び細胞壁等の細胞組織が破壊され、紅茶葉の香り、コク、後味等を引き出す為の発酵をより効果的に促進する作用効果があると考えられる。一方、従来の方法で行われる「萎凋工程」は、生葉に含まれている水分の約半分を平均的に取り除く(葉を萎れさせて柔らかくし、その後の揉捻工程を容易にする)ために行われるものである。従って、凍結工程における上記の作用・効果を得るには、バラの葉の細胞内に十分な水分が保持されていることが好ましく、上記のように生葉細胞内の水分を減少させることが目的の従来の萎凋工程は不要である。
凍結工程は実質的に上記の作用効果が得られる限り、特に、手段、方法及び条件等に制約はないが、例えば、バラの生葉を、-50〜-20℃程度に維持された通常の冷凍庫等内で保管する等の方法によって、該温度下に、少なくとも15分〜2時間程度、保持することによって凍結(冷凍)状態とする。更に、例えば、従来技術に上げた特許文献5及び特許文献6に記載されたような、急速冷凍法を用いることもできる。尚、例えば、生産調整等の目的で長期間(例えば、1カ月〜数ヵ月)凍結状態で保存することもでき、その場合でも、最終的に製造された紅茶葉の外観・品質(味・風味など)が実質的に損なわれることはない。
又、従来の紅茶葉の製造方法では、茶葉の細胞組織を破壊し、酸化発酵を促進させることを目的として揉捻工程が行われており、熟練技術やコストが必要であった。上記の凍結工程によって、「揉捻」と同じように、細胞組織を壊すことができるので、揉捻工程も特に必要ではなくなり、時間の短縮および、コスト削減の点方有利となる。その結果、葉の形状を維持される為に、紅茶葉にお湯をそそぐとゆらゆらと揺れ動く葉の様子を楽しむことができるようになった。
従って、本発明による紅茶葉の製造方法は、より具体的には、以下の工程:
1.生葉の凍結;
2.発酵(室温、例えば、25〜26℃、湿度80〜90%、1〜48時間、好ましくは15〜25時間、更に好ましくは18〜22時間);及び
3.乾燥、を含む方法である。
本明細書の実施例に記載されているように、発酵工程の前及び/若しくは後に揉捻工程、特に、手もみによる揉捻工程を追加することにより、茶葉の形状をより美しく整えることが出来、外観上、好ましい。尚、凍結工程によって茶葉の繊維組織が壊れている為に、手もみによる揉捻でも効率的に実施できる。これらの工程によって、更に発酵が促進され、紅茶葉の甘味、香り、コク、後味韻等をより一層引き立たせることが出来、更に高品質の紅茶葉を製造することが可能となる
更に、乾燥工程の前に追加の発酵工程(二次発酵)を含むことが出来る。特に、最初の発酵工程(一次発酵)後に上記の揉捻工程を実施する場合には、該揉捻工程によって茶葉の繊維組織が更に壊されているので、この揉捻工程後に二次発酵工程を実施することによって発酵がより一層促進される。尚、この二次発酵工程は一次発酵工程に比べて短時間でも良い。また、乾燥工程に先立ち、酸化発酵を停止させ、且つ、茶葉の風味を増加させる目的で、焙煎工程を設けることもできる。
従って、本発明の製造方法の好適な一具体例として、生葉の凍結;一次揉捻;一次発酵; 二次揉捻;二次発酵;焙煎;乾燥、の各工程をこの順に含んでなる方法を挙げられる。これらの工程によって、紅茶葉の甘味、香り、コク、後味韻等をより一層引き立たせることが出来、更に高品質の紅茶葉を製造することが可能となる。
更に、本発明方法に於いて、以上の工程以外の工程も任意の段階に含むことが出来る。例えば、従来の萎凋工程に準じた工程を適当な段階で追加することも可能である。
尚、本明細書に特に記載のない限り、各工程における方法・手段・条件等は従来技術に準じて当業者が適宜、設定することが出来る。
いわゆる「バラ」はバラ科バラ属の一つであり、約150〜200種類以上の原種(野生種)あるとされ、多くの栽培種(園芸種)を有する。バラは樹形から、木立ち性(ブッシュ・ローズまたは木バラ)、半つる性(シュラブ・ローズ)、つる性(「つるバラ」または「クライミング・ローズ」)の3つのタイプに分けられる。つるバラは、広義ではつる性のバラを指し、狭義ではつる性のバラのなかのラージ・フラワード・クライマーと呼ばれる系統を指す。
原種のバラは自生地に適して進化しており、樹形及び性質等も他種多様である。代表的な原種系のバラとして、ナニワイバラ、カザンリク、ハマナシ、ノイバラ、サンショウバラ、及びハトヤバラ等を挙げることできる。
本発明の紅茶葉の製造方法に於いて原料として用いるバラの葉としては、園芸種のバラに比べて原種系のバラの萌芽葉の枚数が多く、茶葉としても収穫量が多く見込める等の理由から、本明細書の実施例に示されているような、浪花茨(ナニワイバラ)及びカザンリク等の原種系のバラ、特につるバラを使用することが好ましい。特に、同じ品種でも、無農薬で栽培したバラと農薬をつかって栽培したバラを比較すると、無農薬栽培のバラのほうが香りがより強いので、無農薬で栽培されたバラを原料として使用することがより好ましい。
[バラの紅茶葉]
本発明は更に、例えば上記の製造方法によって得ることが出来る、「バラの紅茶葉」、「バラの葉を原料として成る紅茶葉」又は「バラの葉からなる紅茶葉」等を提供する。この紅茶葉を用いて調製した紅茶(例えば、沸騰した湯を紅茶葉の上に注いで抽出した飲料)は、香り、コク、後味、余韻等に優れた非常に美味な飲料である。
[バラの紅茶葉の抽出物及び加工品]
本発明は更に、このバラの紅茶葉から抽出して得られるバラの紅茶葉の抽出物、バラの紅茶葉若しくはその抽出物の加工品(「バラの紅茶葉等」ともいう)、並びに、それらの製造方法を提供する。かかる抽出物は、従来の紅茶葉を原料とする当業者に公知の任意の手段・方法に準じて製造することができる。抽出物及び加工品の形態・状態に特に制限はなく、例えば、液体、ペースト状、固形状、粉末状等がある。
例えば、水又は適当な有機酸および/又は有機酸塩等を含有する抽出溶媒により、室温〜100℃で、1分〜数時間、抽出操作が行われる。抽出後、ろ過フィルター及び遠心分離などの適当な分離装置を用いて抽出液を回収し、適宜、殺菌処理を行うことも出来る。更に、こうして得られた抽出液を濃縮処理して濃縮液またはエキス、又は、これらを乾燥してパウダー状とすることもできる。
バラの紅茶葉又はその抽出物からの加工品は、当業者に公知の任意の化学的又は物理的な方法、手段及び条件等によって適宜製造することが可能である。例えば、本発明のバラの紅茶葉にバラの花弁から調製した芳香蒸留水や精油(香油)、各種の調味料又はスパイス等を添加した紅茶葉(フレーバーティー)、本発明のバラの紅茶葉と他の種類の紅茶葉をブレンドした紅茶等も係る加工品に含まれる。
[バラの紅茶葉等を含む飲食品]
本発明は、上記のバラの紅茶葉等を一成分として含む飲食品も提供する。飲食品の代表例としては、例えば、バラの紅茶葉等を一成分として含む紅茶飲料、ケーキ、クッキー、チョコレート並びにゼリーなどの菓子類、ソース、調味料並びにジャムなどの調理品、パスタ類、及び、パン類などを含む。尚、本発明の飲食品には、本発明のバラの紅茶葉を用いて調製した紅茶も含まれる。
これらの各種飲食品は、当業者に公知の任意の方法で容易に製造することができる。尚、これらの各種飲食品を製造する際に、該飲食品の目的・用途等に応じて、本発明のバラの紅茶葉等が更に加工されて、その形状・形態・特性等が変化を受けていても良い。尚、飲食品には、「保健機能食品」、「栄養機能食品」及び「機能性表示食品」等の所謂「健康食品」と呼ばれる飲食品も含まれる。飲食品中に於けるバラの紅茶葉等の含有量も、その用途・目的に当業者が適宜選択することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
バラの品種選定
本発明のバラの紅茶葉の原料となる原種系のバラとして、以下のナニワイバラ及びカザンリクを選んだ。
「ナニワイバラ(Rosa laevigata)」はバラ科の常緑つる性木本であって、中国原産で,庭木として栽培される。1700年頃日本に渡来し、四国、九州では野生化している。全体無毛。茎は細いとげと太い曲ったとげにおおわれる。葉は互生し3小葉からなり、小葉は長さ2〜6cm、幅1〜3cmの卵状楕円形で下半部が最も広く、表面に光沢がある。托葉があるが夏までに脱落する。5〜6月、径5〜8cmの白色5弁花を枝先に1個ずつ開く。花には芳香があり、花柄、萼ともに細いとげが密生する。花の中心に柱頭が平たく固まり、花柱は外に出ない。花がピンクのものをハトヤバラ R.laevigata f.roseaという。(出典元:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
「カザンリク(Kazanlik)」は、別名は「ロサダマスケナトリギンティペタラ」。ダマスク系のオールドローズで、ブルガリアで香水の採取に使われている芳香の高い品種。鮮やかなピンクの花は房咲きで、質感のある花弁。開花期は春の一季咲き。花が開ききる前に収穫して、ポプリに最適。花色:ショッキングピンク、花径:8〜10cm、樹高:1.8〜2.5m、樹形:つる性、香り:強香
生育管理
「ナニワイバラ」「カザンリク」ともに、春に一度だけ花を咲かせる品種であるが、小指の先程度につぼみがふくらんだ段階で、摘蕾した。これは、株の栄養を葉にまわすためである。
更に、園芸品種であるイヴピアッチェ(花弁を食用とする。)及びモッコウバラ(繁殖力が強い)をバラの紅茶葉の原料として使用した。
摘葉
株から、枝が50cm以上に伸びた段階で、茎ごとハサミで切り取った。茎から葉を1枚づつ指ではずした。頂葉と小葉のみ使用した。新枝の葉は細胞組織壁が薄いため、組織が壊れやすく、組織内のポリフェノールが染み出しやすい。成熟枝の葉は、新枝に比べ細胞組織壁が厚いため、発酵しにくいが、このあとの「凍結工程」を経ることで、細胞組織が壊れ、発酵しやすく変化する。
葉の選別
焙煎工程での加熱ムラを防ぐため、葉の大きさごとに区別した。
凍結
選別したバラの生葉を−20℃に設定した凍結庫に入れ、60分程度、保持した。この凍結工程によって、細胞内の液胞が破裂したり、細胞壁が破壊され、以降の発酵が促進された。
一次揉捻
凍結工程終了後、冷凍庫からとりだした葉を手揉みで揉捻した。凍結操作により葉の細胞の組織・繊維が壊れており、撚りやすくなった。
一次発酵
温度25℃、湿度80〜90%で、20時間、発酵機に入れた。葉に含まれるポリフェノール類、ペクチン、葉緑素等と酸素が触れ、酸化(発酵)する。その結果、例えば、ポリフェノールがポリキノンへ変化し、揮発性の高い甘い香りが生じた。
二次揉捻
発酵後、発酵機から取り出し、手揉みで揉捻した。この工程により、葉の形状を美しく整えることができた。
二次発酵
温度25℃、湿度80〜90%で、1時間、発酵機に入れた。手揉みしたことで葉のポリフェノールと酸素が更に接触され、甘い香りの生成が促進された。
焙煎
葉を発酵機から取り出し、手作業で焦がさないように鍋で葉を焙煎した。目安として、茶葉50g当たり20分間焙煎した。加熱することで、酸化酵素の動きが止めると同時に茶葉の風味が増した。
乾燥
茶葉の保存性を高めるために、生葉の20%の重量になるまで食品乾燥機(設定温度:20℃)で湿気を除去した。
以上の方法で製造したバラの紅茶葉にお湯(90℃)をそそいで紅茶を入れ、これを飲んでみた。5人のパネリストにより以下の各項目に関して官能評価を行った。
その結果を以下の表1に示す。「◎」、「○」及び「×」は、全パネリストによる評価の平均として、夫々、「強い」、「普通」及び「弱い」を示している。
Figure 2019080504
表1の結果は、原種系バラを原料として製造した紅茶葉のほうが、甘い後味、バラ由来の独特の芳香(バラ香)、コク、及び余韻等がより優れている(強い)ことを示している。
[比較例]
比較例として、ナニワイバラの葉を原料として用いて、「凍結工程」を行わずに、その代わりに従来の「萎凋工程」(周囲温度25℃、3時間)を行った以外は、上記の実施例と同様の工程を実施して紅茶葉を製造し、同様に紅茶を入れ、試飲した。その結果、甘い後味・コクが薄く、さっぱりとした味で、ハーブティに近かった。更に、バラ香にも欠けていた。
本発明によってバラの葉を原料とした紅茶葉等が提供され、それを利用した新たな飲食品等の更なる開発が期待される。
又、従来の紅茶葉の製造方法では、茶葉の細胞組織を破壊し、酸化発酵を促進させることを目的として揉捻工程が行われており、熟練技術やコストが必要であった。上記の凍結工程によって、「揉捻」と同じように、細胞組織を壊すことができるので、揉捻工程も特に必要ではなくなり、時間の短縮および、コスト削減の点有利となる。その結果、葉の形状を維持される為に、紅茶葉にお湯をそそぐとゆらゆらと揺れ動く葉の様子を楽しむことができるようになった。

Claims (9)

  1. バラの葉を原料として用いる紅茶葉の製造方法であって、生葉の凍結工程を含むことを特徴とする、前記方法。
  2. 凍結工程が、バラの生葉を-50〜-20℃の温度下に、少なくとも15分〜2時間、保持することから成る、請求項1記載の方法。
  3. 以下の工程を含む、請求項1又は2記載の方法:
    1.生葉の凍結;
    2.発酵;及び
    3.乾燥。
  4. 発酵工程の前及び/若しくは後に行う揉捻工程、並びに/又は、乾燥工程の前に追加の発酵工程を含む、請求項3記載の方法。
  5. 以下の各工程を順に含む、請求項4記載の方法:
    生葉の凍結;
    一次揉捻;
    一次発酵;
    二次揉捻;
    二次発酵;
    焙煎;及び
    乾燥。
  6. バラが原種系バラである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. バラが浪花茨(ナニワイバラ)又はカザンリクである請求項6記載の方法。
  8. バラの紅茶葉、バラの紅茶葉の抽出物、若しくは、これらの加工品、又は、それらを含む飲食品。
  9. バラが浪花茨(ナニワイバラ)又はカザンリクである、請求項8記載のバラの紅茶葉、バラの紅茶葉の抽出物、若しくは、これらの加工品、又は、それらを含む飲食品。
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