JP2019077967A - 滅菌袋用原紙および滅菌袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】どの方向からピール荷重を受けたとしても、ピール時の耐紙剥け性に優れ、破袋耐性も良好な滅菌袋用原紙および滅菌袋を提供する。【解決手段】少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成り、アルキルケテンダイマーの添加量がパルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、アクリル系樹脂量が1.0g/m2〜8.0g/m2、若しくは、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成り、アルキルケテンダイマーの添加量がパルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、アクリル系樹脂が0.5g/m2〜4.0g/m2であり、滅菌袋用原紙の厚み方向でアクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在している滅菌袋用原紙。【選択図】図2

Description

本発明は、滅菌袋用原紙および滅菌袋に関する。
医療用器具などは、滅菌袋に収納されて滅菌され、手術や治療に用いる際に滅菌袋を開封し、滅菌袋から取り出して使用される。滅菌袋としては、紙のみで製袋したものと、紙(滅菌袋用原紙)およびフィルムの周縁部同士をヒートシールして製袋したコンビネーションタイプのものがある。近年、透明フィルムを用いることで内容物を確認できるコンビネーションタイプの滅菌袋が増えてきている。また、滅菌処理量の効率化を図るべく、滅菌袋は大型化の傾向にある。
滅菌袋を用いた滅菌の方法としては、ガス滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌などがある。
ガス滅菌では、まず、医療用器具などの被滅菌物を収納し、開口部を封止した滅菌袋(以下、「包装物」ともいう。)を真空容器に入れて真空容器を減圧し、包装物の内部の空気を排出させる。ついで、エチレンオキサイドガス等のガスを真空容器に満たして包装物の内部にガスを浸透させて滅菌する。蒸気滅菌では、オートクレーブなどを用いて包装物を高温の水蒸気に曝し、減圧と加圧を繰り返して滅菌する。放射線滅菌では、放射線を包装物に照射して滅菌する。
滅菌袋や滅菌袋用原紙に要求される特性としては、以下に示すものが挙げられる。
(1)ガスおよび水蒸気の透気性(通気性)が良好であること。
(2)ピンホールがないこと。
(3)サイズ度や湿潤強度(湿潤引張強さ)が高く、耐水性が良好であること。
(4)滅菌後に医療用器具などを滅菌袋から取り出す際に必要な特性であるピール性(フィルムと滅菌袋用原紙が破れずにきれいに剥れること。以下、耐紙剥け性とも言う。)が良好であること。
(5)ヒートシール性を有すること。
(6)滅菌時等の状況下で、破袋耐性を有すること。
ピール性とヒートシール性を兼ね備えた滅菌袋用原紙として、例えば特許文献1には、パルプ繊維に対してアルミン酸塩を含有してなる基紙の片面に、アクリル系共重合体とアルキルケテンダイマー(AKD)とを含有する塗工層を設けた滅菌袋用原紙が開示されている。また、特許文献2には、低透気度基紙に特定物性を有するワックス含有コアシェル型アクリル共重合体を主成分とする含浸剤を規定量含浸させた滅菌紙が開示されている。
特開平9−290808号公報 特開2005−307358号公報
しかし、特許文献1、特許文献2の発明をもってしても、滅菌袋用原紙の破袋耐性、ピール時の耐紙剥け性は充分とは言えない場合があった。
抄造工程においては抄造設備や抄造条件によって、パルプ繊維が配向することがある。特に生産効率を向上させる目的等で抄造速度を速めた際には、その傾向が強くなることがある。一方、滅菌済みの滅菌袋から被滅菌物を取り出す際には、4方がヒートシールされている。通常そうするように滅菌原紙と透明フィルムを一定方向にピールすると、滅菌原紙の抄造方向に対して、縦のピール荷重を受ける辺と横のピール荷重を受ける辺が生ずることとなる。また、滅菌袋用原紙の製造時の巻き替え有無等によって、滅菌袋用原紙と透明フィルムをヒートシールした態様は、滅菌袋用原紙の抄造方向と滅菌袋のピール方向が逆転する場合もある。
発明者は、パルプ繊維の配向状況によって、抄造方向に対して、正方向、逆方向あるいは横方向で、滅菌袋のピール時の耐紙剥け性に差が出てしまうことを見出し、誠意検討の結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の目的は、どの方向からピール荷重を受けたとしても、ピール時の耐紙剥け性が良好であり、かつ破袋耐性に優れる滅菌袋用原紙および滅菌袋を提供することである。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成る滅菌袋用原紙であって、前記アルキルケテンダイマーの添加量が、前記パルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、前記アクリル系樹脂が1.0g/m〜8.0g/mであることを特徴とする滅菌袋用原紙。
[2]少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成る滅菌袋用原紙であって、前記アルキルケテンダイマーの添加量が、前記パルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、前記アクリル系樹脂が0.5g/m〜4.0g/mであり、滅菌袋用原紙の厚み方向で前記アクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在していることを特徴とする滅菌袋用原紙。
[3]ポリプロピレンを有することを特徴とする[1]または[2]に記載の滅菌袋用原紙。
[4][1]、[2]または[3]に記載の滅菌袋用原紙と透明フィルムを備えた、滅菌袋。
[5]前記透明フィルムのヒートシール層がポリプロピレンからなる[4]に記載の滅菌袋。
本発明によれば、どの方向からピール荷重を受けたとしても、ピール時の耐紙剥け性が良好であり、かつ破袋耐性に優れた滅菌袋用原紙および滅菌袋を提供できる。
本発明の実施形態例の滅菌袋を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態例である実施例8の滅菌袋用原紙のSEM写真である。 本発明に係るアクリル系樹脂をポリビニルアルコール(PVA)に変更した比較例4の滅菌袋用原紙のSEM写真である。
[滅菌袋用原紙]
本発明の滅菌袋用原紙(以下、単に「原紙」ともいう。)は、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂とから成り、アルキルケテンダイマーの添加量がパルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、アクリル系樹脂が1.0g/m〜8.0g/mである。若しくは、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂とから成り、アルキルケテンダイマーの添加量が、前記パルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、アクリル系樹脂が0.5g/m〜4.0g/mであり、滅菌袋用原紙の厚み方向で前記アクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在している。
尚、濃度勾配を有するとは、滅菌袋用原紙の一方の面と他方の面とでアクリル系樹脂の存在量に差があることを指し、具体的にはアクリル系樹脂の存在量に10%以上の差があることを指す。滅菌袋用原紙面上のアクリル系樹脂量は、滅菌袋用原紙の一方の面と他方の面からそれぞれ得たサンプルを赤外分光法(IR)で確認すれば良い。
以下、本発明の滅菌袋用原紙について、具体的に説明する。
「第一実施形態」
本発明の滅菌袋用原紙は、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂とからなる。以下、上記必須構成要素と、任意の構成要素について詳細に説明する。
<原紙、基紙>
本実施形態の原紙は、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂を含む。本実施形態の基紙は、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーを含む。基紙は、原紙作製途上の中間体である。
原紙、基紙の厚さは、85〜125μmが好ましく、105〜120μmがより好ましい。
原紙、基紙の坪量は、60〜90g/mが好ましく、70〜80g/mがより好ましい。
(パルプ)
パルプは、原紙、基紙の主原料である。
パルプとしては、木材パルプ、天然繊維、再生繊維、合成繊維などが挙げられる。
木材パルプとしては、例えば針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP;N材)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP;L材)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、L材)等の化学パルプ;グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプやセミケミカルパルプ(CP)などが挙げられる。
天然繊維としては、例えば木綿、わら、竹、エスパルト、バガス、リンター、マニラ麻、亜麻、麻、黄麻、雁皮等のパルプ状繊維などが挙げられる。
これらパルプは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
パルプとしては、木材パルプであることが好ましく、繊維長が長くシート強度が高まる観点から、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材)を含むことが好ましい。
針葉樹晒クラフトパルプの含有量は、パルプ原料の総質量に対して50質量部〜80質量部が好ましく、60〜70質量部がより好ましい。針葉樹晒クラフトパルプの含有量が50質量部未満、あるいは80質量部を越えると、耐紙剥け性が悪化する恐れがある。
滅菌袋用原紙中のパルプの質量は、滅菌袋用原紙からアクリル系樹脂、サイズ剤、紙力剤等の有機物を溶剤(パルプ不溶の)で除去した後、溶剤不溶分を燃焼させて灰分量を測定し、その差分からパルプ量を求めればよい。また、針葉樹晒クラフトパルプの添加量は、原紙を離解したあとに繊維長測定器などを使用して広葉樹晒クラフトパルプ等と識別を行い、存在確率を算出すればよい。
(アルキルケテンダイマー)
アルキルケテンダイマー(以下、AKDとも言う。)は、サイズ剤であり、原紙に耐水性を付与するものである。
AKDとしては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019077967
式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立した、炭素数8〜30のアルキル基である。
AKDの含有量は、パルプの総質量に対して0.1〜0.4質量部であり、0.1〜0.2質量部が好ましい。AKDの量が、上記下限値未満の場合、耐水性不良により耐紙剥け性が悪化する恐れがあり、上記上限値を越えるとAKDがアクリル系樹脂のパルプへの濡れ性を妨げる恐れがある。
滅菌袋用原紙中のAKDは、フーリエ変換赤外分光光度計や、ガズクロマトグラフィー質量分析法により定性、定量することができる。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂は、原紙に耐水性を付与しつつ、耐紙剥け性、破袋耐性を補助するものである。アクリル系樹脂は、あらかじめ抄造スラリー中に添加されても良いし、抄造後の基紙に塗工、あるいは含浸等されても良い。
前記AKDの添加量を低く抑えることで、アクリル系樹脂のパルプへの定着が促進され易くなる。そして、アクリル系樹脂がパルプ繊維間の空隙を塞ぐことなく、パルプ繊維表面を覆うことで、パルプ繊維の配向による影響が軽減され、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性と破袋耐性に優れた特性を得ることができる。すなわち、ヒートシール時に滅菌袋用原紙が、例えば透明フィルムと張り合わされた場合、表面に空隙が残存する本発明の滅菌袋用原紙は、破袋耐性に必要な適度の接着力を発揮すると共に、ピール時には接着力過多による紙剥けをも抑制できるものである。AKDの添加量が多い場合、また、アクリル系樹脂以外のサイズ剤を使用した場合には、パルプ繊維間の空隙が塞がれる傾向がある。図3は、AKD以外のサイズ剤として、ポリビニルアルコールを使用した比較例4の滅菌袋用原紙のSEM写真であるが、図2に示す本実施形態例である実施例8の滅菌袋用原紙のSEM写真と比較すると、繊維間の空隙が塞がってしまっていることが判る。
アクリル系樹脂としては、いずれのものも使用可能であるが、スチレンアクリル樹脂、エチレンアクリル酸共重合体などを好適に用いることができる。これらの中でも、パルプ繊維間の空隙を塞ぐことなく、パルプ繊維表面を覆いやすいという観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましい。
これらアクリル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体とを共重合した共重合体である。
スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどが挙げられる。
これらスチレン系単量体は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
アクリル系単量体としては、例えばアクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸フェニル等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸の誘導体;メタアクリロニトリル、メタアクリルアミド等のメタアクリル酸の誘導体などが挙げられる。
これらアクリル系単量体は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体単位およびアクリル系単量体単位以外の単量体単位(他の単量体単位)を有していてもよい。
他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類などが挙げられる。
これらアクリル系単量体は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
原紙中のアクリル系樹脂量は、1.0g/m〜8.0g/mであり、6.0g/m〜7.5g/mがより好ましい。アクリル系樹脂量が、上記下限値未満であると原紙の耐水性が低下して、耐紙剥け性、破袋耐性が悪化する恐れがあり、上記上限値を越えると破袋耐性が悪化する恐れがある。本第一実施形態の滅菌袋用原紙は、原紙の一方の面と他方の面に存在するアクリル系樹脂量に実質的な差はない。
滅菌袋用原紙中のアクリル系樹脂は、フーリエ変換赤外分光光度計や、ガスクロマトグラフィー質量分析法により定性、定量することができる。
<他の成分>
原紙は、パルプ、AKD、アクリル系樹脂以外の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、ポリオレフィン樹脂、染料、pH調整剤、スライムコントロール剤、消泡剤、粘剤などが挙げられる。以下、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、ポリオレフィン樹脂について詳細を記載する。
(乾燥紙力剤)
乾燥紙力剤は、原紙に乾燥強度を付与するものである。
乾燥紙力剤としては、両性ポリアクリルアミド樹脂等の両性ポリマー;アニオン性ポリアクリルアミド樹脂等のアニオン性ポリマー;カチオン性ポリアクリルアミド樹脂等のカチオン性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、パルプや他の内添剤との定着性の観点から、両性ポリマーが好ましく、両性ポリアクリルアミド樹脂が特に好ましい。
これら乾燥紙力剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
乾燥紙力剤の含有量は、パルプの総質量に対して0.5〜1.5質量部が好ましく、0.6〜1.0質量部がより好ましい。乾燥紙力剤の含有量が、上記下限値以上であれば乾燥強度の高い原紙が得られ易く、上記上限値以下であれば透気度を良好に維持しやすい。
(湿潤紙力剤)
湿潤紙力剤は、原紙に湿潤強度(水に濡れた際の強度)を付与するものである。
湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂(以下「エピクロル樹脂」ともいう。)、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、使用可能な抄紙pH領域が広い、ホルムアルデヒドを含まない、湿潤力が高いなどの観点から、エピクロル樹脂が好ましい。
これら湿潤紙力剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
湿潤紙力剤の含有量は、パルプの総質量に対して0.1〜1.5質量部が好ましく、0.6〜1.0質量部がより好ましい。湿潤紙力剤の含有量が、上記下限値以上であれば滅菌時に湿潤強度の高い原紙が得られ易く、上記上限値以下であれば透気度を良好に維持しやすい。
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂は、原紙と透明フィルム等がヒートシールされる際の、接着助剤として機能する。アクリル系樹脂が、パルプ繊維間の空隙を塞ぐことなく、パルプ繊維表面を覆うことで、透明フィルム等との接着力を限定しながらも、接着部においては接着力を補助する機能をポリオレフィン樹脂が担うことで、耐紙剥け性と破袋耐性を高めやすくする効果を奏する。
ポリオレフィン樹脂とは、オレフィン類やアルケンをモノマーとして合成されるポリマーを指す。この中でも、透明フィルムのヒートシール剤との接着力を確保しやすい点において、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の含有量は、パルプの総質量に対して1〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、4〜10質量部が更に好ましい。
滅菌袋用原紙中のポリオレフィンは、フーリエ変換赤外分光光度計や、ガスクロマトグラフィー質量分析法により定性、定量することができる。
<製造方法>
以下、本第一実施形態の滅菌袋用原紙の製造方法の一実施形態について説明する。本一実施形態は、基紙の両面にアクリル樹脂を塗工することで本発明の滅菌袋用原紙を得ているが、アクリル樹脂を添加する方法は、基紙の一方の面からの含浸でも良いし、このような後加工ではなく、例えば抄造スラリー中に添加する方法を取ることもできる。
本実施形態の滅菌袋用原紙の製造方法は、下記工程(I−1)〜(I−3)を含む。
工程(I−1):パルプとAKDとを含む原材料を混合し、原料スラリー(I)を調製する工程。
工程(I−2):原料スラリー(I)を湿式抄紙し、基紙(I)を得る工程。
工程(I−3):工程(I−2)で得られた基紙(I)の両面に、アクリル系樹脂を含む塗工液(I)を塗工する工程。
(工程(I−1))
工程(I−1)は、パルプとAKDと、必要に応じて他の成分(A)等とを混合し、原料スラリー(I)を調製する工程である。
パルプは、予め叩解しておくことが好ましい。叩解は、シングルディスクリファイナー(SDR)、ダブルディスクリファイナー(DDR)、ビーター等の叩解機により適宜行なうことができる。叩解度は、40゜SR以下が好ましく、20〜35゜SRがより好ましい。
原料スラリー(I)は、パルプとAKDと、必要に応じて他の成分(A)等とを水に分散させることで得られる。
工程(I−1)では、パルプの総質量に対して、AKDが0.1〜0.4質量部となるように混合する。
(工程(I−2))
工程(I−2)は、原料スラリー(I)を湿式抄紙し、基紙(I)を得る工程である。
工程(I−2)で用いる湿式抄紙機としては特に限定されず、一般の抄紙技術に適用されている抄紙機、具体的には長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜式抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを使用できる。
(工程(I−3))
工程(I−3)は、工程(I−2)で得られた基紙(I)の両面に、アクリル系樹脂を含む塗工液(I)を塗工する工程である。
塗工液(I)は、例えばアクリル系樹脂を水等の溶媒に分散することで得られる。
塗工液(I)は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
塗工液(I)中のアクリル系樹脂の乾燥時塗工総量は、1.0g/m〜8.0g/mとなるように設定される。
具体的には、塗工液(I)中のアクリル系樹脂の乾燥時塗工総量は、1.0g/m〜8.0g/mであり、6.0g/m〜7.5g/mがより好ましい。
塗工液(I)の塗工方法としては特に限定されず、例えばサイズプレス塗工、ロードコータ、スクイズコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、トランスファロールコータなどの塗工方式が挙げられる。
基紙(I)上に塗工された塗工液(I)を乾燥することで、滅菌袋用原紙が得られる。
尚、アクリル系樹脂は、塗工により添加する方法の他、粉状または繊維状のものを原料スラリーに添加する方法や、含浸等によって滅菌袋用原紙に導入する方法を取ってもよいが、アクリル系樹脂が滅菌袋用原紙の表面付近に位置しやすいという点において、塗工、または含浸が好ましい。
図2は、パルプ、AKD、スチレンアクリル樹脂、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、ポリプロピレン樹脂からなる実施例8の滅菌袋用原紙のSEM画像である。一方、図3は、パルプ、AKD、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、ポリビニルアルコールからなる比較例4の滅菌袋用原紙のSEM画像である。図2の滅菌袋用原紙は、図3の滅菌袋用原紙と比較して、パルプ繊維間の空隙が、確保されていることが判る。
<作用効果>
以上説明した本実施形態の滅菌袋用原紙は、少なくともパルプと所定量のAKD及びアクリル系樹脂から形成されている。所定量のAKDによって原紙内部に渡って必要な耐水性が確保され、所定量のアクリル系樹脂によって、更なる耐水性強化とパルプ繊維間の空隙確保、言い換えればパルプ繊維への浸透若しくは、パルプ繊維の形態に沿った配置が成されることにより、パルプ繊維の露出が覆い隠されて、パルプ繊維の配向による影響が軽減される。これにより、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れた特性を得ることができる。また、上記のような態様は、例えば透明フィルムとヒートシールされた際にヒートシール剤と原紙の間に適度な接着力を生み、かつアンカー効果をも利用することができるものと考えられる。
よって、本発明の滅菌袋用原紙は、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れ、かつ必要な破袋耐性をも有するという効果を奏する。
また、アクリル系樹脂が基紙の両面に塗工されることで、製袋時にヒートシール面を選ばないという利点もある。なお、本実施形態の滅菌袋用原紙は上述したものに限定されない。
「第二実施形態」
本発明の滅菌袋用原紙は、少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーとアクリル系樹脂とからなり、滅菌袋用原紙の厚み方向で前記アクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在する滅菌袋用原紙である。以下、第一実施形態と同様のものは説明を省略する。
基紙及び、それを構成するパルプ、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂及び、その他の任意成分については、第一実施形態で例示したものと同様のものが挙げられる。
<製造方法>
以下、本第二実施形態の滅菌袋用原紙の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の滅菌袋用原紙の製造方法は、下記工程(I−1)〜(I−3)を含む。
工程(I−1):パルプとAKDとを含む原材料を混合し、原料スラリー(I)を調製する工程。
工程(I−2):原料スラリー(I)を湿式抄紙し、基紙(I)を得る工程。
工程(I−3):工程(I−2)で得られた基紙(I)の一方の面に、アクリル系樹脂を含む塗工液(I)を塗工する工程。
(工程(I−1))
工程(I−1)は、第一実施形態で例示したものと同様の方法を取ることができる。
(工程(I−2))
工程(I−2)についても、第一実施形態で例示したものと同様の方法を取ることができる。
(工程(I−3))
工程(I−3)は、工程(I−2)で得られた基紙(I)の一方の面に、アクリル系樹脂を含む塗工液(I)を塗工する工程である。
塗工液(I)は、例えばアクリル系樹脂を水等の溶媒に分散することで得られる。
塗工液(I)は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
塗工液(I)中のアクリル系樹脂の乾燥時塗工総量は、0.5g/m〜4.0g/mとなるように設定される。
具体的には、塗工液(I)中のアクリル系樹脂の乾燥時塗工総量は、0.5g/m〜4.0g/mであり、3.2g/m〜3.7g/mが好ましい。
塗工液(I)の塗工方法としては特に限定されず、例えばサイズプレス塗工、ロードコータ、スクイズコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、トランスファロールコータなどの塗工方式が挙げられる。
基紙(I)は、通気性を有する紙であるが故、塗工等されたアクリル系樹脂は、基紙(I)の空隙に浸透する。これを適度に抑える方法として、塗工面とは反対の面に、例えば水や空気を供給しながら塗工する方法を取ることが好ましい。このような方法を取ることで、厚み方向でアクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在させた滅菌袋用原紙を得ることができる。
次に、基紙(I)上に塗工された塗工液(I)を乾燥することで、滅菌袋用原紙が得られる。
<作用効果>
以上説明した本実施形態の滅菌袋用原紙は、少なくともパルプと所定量のAKD及びアクリル系樹脂から形成され、アクリル系樹脂が透明フィルム等とヒートシールされる面により多く存在している。所定量のAKDによって原紙内部に渡って必要な耐水性が確保され、透明フィルム等とヒートシールされる面に存在する所定量のアクリル系樹脂によって、更なる耐水性強化とパルプ繊維間の空隙確保、言い換えればパルプ繊維への浸透若しくは、パルプ繊維の形態に沿った配置が成されることにより、パルプ繊維の露出が覆い隠されて、パルプ繊維の配向による影響が軽減される。これにより、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れた特性を得ることができる。また、上記のような態様は、例えば透明フィルムとヒートシールされた際にヒートシール剤と原紙の間に適度な接着力を生み、かつアンカー効果をも利用することができるものと考えられる。
よって、本発明の滅菌袋用原紙は、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れ、かつ必要な破袋耐性をも有するという効果を奏する。
また、アクリル系樹脂を基紙の一方の面に塗工するため、経済面での利点もある。なお、本実施形態の滅菌袋用原紙は上述したものに限定されない。
「滅菌袋」
本発明の滅菌袋は、上述した本発明の滅菌袋用原紙を備える。
滅菌袋の形態としては、例えば滅菌袋用原紙およびフィルムの周縁部同士をヒートシールして製袋したコンビネーションタイプが挙げられる。フィルムは透明であっても不透明であってもかまわない。
フィルムは単層構造であってもよいし、積層構造であってもよいが、フィルムの強度とヒートシール性のバランスを考慮した場合、基材フィルムにヒートシール層が積層した積層構造のフィルム(積層フィルム)が好ましい。基材フィルムとヒートシール層との間には、印刷等が施された中間層が設けられていてもよい。
基材フィルムを構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
ヒートシール層を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンなどが挙げられる。
中間層を構成する樹脂としては、基材フィルムやヒートシール層に用いられる材料を適用することができる。
透明フィルムとしては、PETを主成分とするフィルム上に、ポリプロピレンを主成分とするフィルムが積層した積層フィルムが好ましい。ここで、「主成分」とは90質量%以上を占める成分のことを言い、95質量%以上を占める成分であることが好ましく、100質量%を占める成分であってもよい。ポリプロピレンをヒートシール剤として使用することにより、例えば滅菌袋用原紙にポリプロピレンを添加した場合等において、破袋耐性を向上させやすくする効果を得易い。
コンビネーションタイプの滅菌袋は、例えば所定の大きさのフィルムと滅菌袋用原紙とを重ね合わせ、三方の周縁部をヒートシールすることで得られる。このとき、フィルムはヒートシール層が滅菌袋の内側となるように、滅菌袋用原紙はアクリル系樹脂が充分に存在する面が滅菌袋の内側となるように、両者を重ね合わせる。
また、コンビネーションタイプの滅菌袋を連続生産する場合は、例えば以下のようにしても製造することが好ましい。
まず、ロール状に巻き取られた滅菌袋用原紙の巻回体から滅菌袋用原紙を一対のガイドロールでニップしながら繰り出す。
別途、ロール状に巻き取られたフィルムの巻回体からフィルムを一対のガイドロールでニップしながら繰り出す。
次いで、繰り出された滅菌袋用原紙とフィルムとを重ね合せ、長手方向(走行方向)の両端をヒートシールした後、ロール状に巻き取り、滅菌袋の巻回体を得る。このとき、フィルムはヒートシール層が滅菌袋の内側となるように、滅菌袋用原紙はアクリル系樹脂が充分に存在する面が滅菌袋の内側となるように、両者を重ね合わせる。
滅菌袋の巻回体を使用する際は、滅菌袋の巻回体から滅菌袋を繰り出し、所望の大きさになるように、繰り出し方向に対して垂直に切断し、一方の端部をヒートシールする。切断とヒートシールは同時に行ってもよいし、ヒートシール後に切断してもよい。こうすることで、三方の周縁部がヒートシールされた滅菌袋が得られる。
なお、上記の方法で滅菌袋を連続生産する場合、繰り出された滅菌袋用原紙とフィルムの長手方向(走行方向)の両端をヒートシールする際に、任意の位置で長手方向(走行方向)に対して垂直方向にもヒートシールしてもよい。次いで、長手方向(走行方向)に対して垂直方向に切断することで、三方の周縁部がヒートシールされた滅菌袋が得られる。切断の位置は、得られる滅菌袋の三方の周縁部がヒートシールされ、残りの一方が開口している状態となれば特に制限されないが、垂直方向のヒートシール部の近傍が好ましい。
<作用効果>
以上説明した本実施形態の滅菌袋は、少なくともパルプ、所定量のAKD及びアクリル系樹脂から形成された滅菌袋用原紙と、例えば透明フィルム等で構成されている。滅菌袋用原紙は、所定量のAKDによって原紙内部に渡って必要な耐水性が確保され、透明フィルム等とヒートシールされる面に存在する所定量のアクリル系樹脂によって、更なる耐水性強化とパルプ繊維間の空隙確保、言い換えればパルプ繊維への浸透若しくは、パルプ繊維の形態に沿った配置が成されることにより、パルプ繊維の露出が覆い隠されて、パルプ繊維の配向による影響が軽減される。これにより、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れた特性を得ることができる。また、上記のような態様は、例えば透明フィルムとヒートシールされた際にヒートシール剤と原紙の間に適度な接着力を生み、かつアンカー効果をも利用することができるものと考えられる。また、滅菌袋用原紙中にポリプロピレンを有し、かつ透明フィルムのヒートシール層にポリプロピレンを有する場合には、より高い耐紙剥け性と破袋耐性を有することができる。
よって、本発明の滅菌袋は、どの方向からピール荷重を受けたとしても、耐紙剥け性に優れ、かつ必要な破袋耐性をも有するという効果を奏する。
なお、本実施形態の滅菌袋は上述したものに限定されない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「成分」
各例で用いた原材料、化合物は以下の通りである。
・NBKP:針葉樹晒クラフトパルプ。
・LBKP:広葉樹晒クラフトパルプ。
・ポリプロPZ:ポリプロピレン繊維(ダイワボウポリテック社製、商品名:「ポリプロPZ」)
・AF255:ポリアミドポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名:「アラフィックス255」)。
・PS1280:両性ポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名:「ポリストロン1280」)。
・AD−1640:アルキルケテンダイマー(星光PMC株式会社製、商品名:「サイズ剤AD−1640」)。
・SE2016:スチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、商品名:「SE2016」)。
・T−350:ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:「ゴーセノールT−350」)
「測定・評価」
<透気度の測定>
JIS P 8117に記載の「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法」準拠して、滅菌袋用原紙の透気度を測定した。
<層間剥離強さの測定>
紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)の紙パルプ試験方法No.19−1:2000に記載の「板紙−すき合わせ層のはく離強さ試験方法−」に準拠して、滅菌袋用原紙の層間剥離強さを測定した。
<サイズ度の測定>
JIS P 8122に記載の「紙及び板紙−サイズ度試験方法−ステキヒト法」準拠して、滅菌袋用原紙のサイズ度を測定した。
<湿潤引張強さの測定>
JIS P 8135に記載の「紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法−」準拠して、滅菌袋用原紙の湿潤引張強さを測定した。
<紙剥け性の評価>
「準備・測定」
1.滅菌袋用原紙をA4サイズに切出し、1時間調湿(23℃、50%RH)する。
2.ヒートシーラー(ホギメディカル社製:バッグシーラー HS−400)を用い、シール温度200℃、加圧時間2.5秒で、滅菌用原紙とPET基材フィルムにポリプロピレン樹脂のヒートシール層が積層されたフィルムを接合幅20mmで3辺を貼り合わせる。
3.ヒートシールした滅菌袋を再度1時間調湿(23℃、50%RH)する。
4.調湿後の滅菌袋を1辺が接合された態様で15mm幅に切出し、テンシロンにて速度300mm/minで滅菌袋用原紙とフィルムを90°剥離する。3辺を測定することで抄造方向、逆抄造方向、横方向の剥離を再現することができる。
5.剥離後の剥離面を以下の評価基準に従って評価する。
(評価基準)
5:目視では繊維の毛羽立ちが全く見られない。
4:限られた部分に、極少ない繊維の毛羽立ちがある。
3:所々に極少ない繊維の毛羽立ちがある。
2:繊維の毛羽立ちが目立つ部分が限られた範囲にある。
1:前面に繊維の毛羽立ちがある。
本評価方法で5〜2であれば、実用上問題なく滅菌袋として使用することができるものである。
<破袋耐性試験>
「準備・測定」
1.ステンレスバットに医療鋼製器具を入れ、それを滅菌袋に入れる。
2.ヒートシーラー(ホギメディカル社製:バッグシーラー HS−400)を用い、シール温度200℃、加圧時間2.5秒で、開口部をヒートシールし、オートクレーブにて135℃、30分の蒸気滅菌処理を行う。
3.蒸気滅菌処理後の滅菌袋を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価する。
(評価基準)
5:破袋が生じていない。かつ、シール部の部分剥離も見られない。
4:破袋は生じていないが、シール部の幅方向の一部に0.5mm以上、3mm未満の剥離が見られる。
3:破袋は生じていないが、シール部の幅方向の一部に3mm以上、6mm未満の剥離が見られる。
2:破袋は生じていないが、シール部の幅方向の一部に6mm以上、10mm未満の剥離が見られる。
1:ヒートシール部の幅方向において剥離が見られる。
本評価方法で5〜2であれば、実用上問題なく滅菌袋として使用することができるものである。
<ヒートシール強さの測定>
滅菌袋における滅菌袋用原紙と積層フィルムとのシール強度(貼り合せ強さ)を、物理特性試験「層間剥離強さ」(旧JIS P8139)に準拠して測定した。
「総合評価」
耐紙剥け性(抄造方向、逆抄造方向、横方向)と破袋耐性試験の結果(点数)を以下の式に基づいて計算し、以下の評価基準に基づいて総合評価を実施した。
{(耐紙剥け性(抄造方向)+耐紙剥け性(逆抄造方向)+耐紙剥け性(横方向))÷3+破袋耐性試験}÷2
(評価基準)
◎ :紙剥け性オール5で、かつ破袋耐性試験の結果が5
○+:紙剥け性各方向と、破袋耐性試験の結果の平均値が4.0以上、5.0未満
○ :紙剥け性各方向と、破袋耐性試験の結果の平均値が3.0以上、4.0未満
△ :紙剥け性各方向と、破袋耐性試験の結果の平均値が2.0以上、3.0未満
× :紙剥け性各方向と、破袋耐性試験の結果の平均値が2.0未満
「実施例1」
<滅菌袋用原紙の製造>
NBKP70質量部と、LBKP30質量部とを混合し、叩解度29°SRに調整したパルプ100質量部に対して、乾燥紙力剤(PS1280)0.8質量部と、湿潤紙力剤(AF100)0.8質量部と、アルキルケテンダイマー(AD−1640)0.15質量部とを添加し、固形分濃度が0.5質量%となるように水に分散させて、原料スラリーを調製した。
別途、濃度が10質量%になるように、スチレンアクリル樹脂(SE2016)を水に溶解させ、塗工液(I)を調製した。
長網抄紙機を用い、坪量70g/m、厚さ100μmとなるように原料スラリーを湿式抄紙し、基紙を得た。
基紙の一方の面に、塗工液(I)を塗工した後、ドライヤーパートで乾燥し、基紙のもう一方の面にも塗工液(I)を塗工・乾燥して、スチレンアクリル樹脂総量が6.4g/mで、基紙の両面にスチレンアクリル樹脂が実質的に同じ量存在する実施例1の滅菌袋用原紙を得た。
得られた滅菌袋用原紙について、層間剥離強さ、透気度、サイズ度、湿潤引張強さを測定した。結果を表1に示す。
<滅菌袋の製造>
PETフィルム上にPPフィルムが積層した積層フィルムと、滅菌袋用原紙とを重ね合わせ、三辺の周縁部をヒートシールして、滅菌袋を得た。このとき、積層フィルムはPPフィルムが滅菌袋の内側となるよう、両者を重ね合わせた。
得られた滅菌袋を用いて、耐紙剥け性(抄造方向、逆抄造方向、横方向)、破袋耐性(ヒートシール強さ、破袋耐性試験)について評価した。結果を表1に示す。
「実施例2〜16」
表2に示す配合組成になるように原料スラリーを調製し、かつスチレンアクリル樹脂量が表2に示す値となるように塗工液(I)の濃度および塗工量を調製した以外は、実施例1と同様にして滅菌袋用原紙および滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例17」
PETフィルム上にPPフィルムが積層した積層フィルムを、PETフィルム上にPEフィルムが積層した積層フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例18」
基紙の塗工面とは反対の面にエアーを供給しながら、もう一方の面に、塗工液(I)を塗工した後、ドライヤーパートで乾燥し、基紙の一方の面と他方の面とでスチレンアクリル樹脂の存在量に濃度勾配を有した、スチレンアクリル樹脂総量が3.2g/mの滅菌袋用原紙を得て、スチレンアクリル樹脂塗工面と積層フィルムをヒートシールしたこと以外は、実施例1と同様にして滅菌袋用原紙および滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例19、20」
表2に示す配合組成になるように原料スラリーを調製し、かつスチレンアクリル樹脂量が表2に示す値となるように塗工液(I)の濃度および塗工量を調製した以外は、実施例18と同様にして滅菌袋用原紙および滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例1〜3」
表2に示す配合組成になるように原料スラリーを調製し、かつスチレンアクリル樹脂量が表2に示す値となるように塗工液(I)の濃度および塗工量を調製した以外は、実施例1と同様にして滅菌袋用原紙および滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例4」
塗工液(I)を、スチレンアクリル樹脂から、ポリビニルアルコール(PVA)へ変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の滅菌袋用原紙、滅菌袋を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019077967
Figure 2019077967
表1、2の結果より明らかなように、各実施例で得られた滅菌袋用原紙は、耐紙剥け性に優れ、破袋耐性についても充分な特性を有していた。特に実施例8〜10のポリプロピレンを有する滅菌袋用原紙と、ヒートシール層がポリプロピレンである透明フィルムの組み合わせは、格別な耐紙剥け性と破袋耐性を示した。
対して、比較例1、4の滅菌袋用原紙は、破袋耐性試験において低い評価となり、比較例2、3は、耐紙剥け性が劣る結果となった。
10 滅菌袋
1 滅菌袋用原紙
2 フィルム

Claims (5)

  1. 少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成る滅菌袋用原紙であって、
    前記アルキルケテンダイマーの添加量が、前記パルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、
    前記アクリル系樹脂が1.0g/m〜8.0g/mであることを特徴とする滅菌袋用原紙。
  2. 少なくともパルプと、アルキルケテンダイマーと、アクリル系樹脂から成る滅菌袋用原紙であって、
    前記アルキルケテンダイマーの添加量が、前記パルプの質量に対して0.1質量部〜0.4質量部であり、
    前記アクリル系樹脂が0.5g/m〜4.0g/mであり、
    滅菌袋用原紙の厚み方向で前記アクリル系樹脂が濃度勾配を有して存在していることを特徴とする滅菌袋用原紙。
  3. ポリプロピレンを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の滅菌袋用原紙。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の滅菌袋用原紙と透明フィルムを備えた、滅菌袋。
  5. 前記透明フィルムのヒートシール層がポリプロピレンからなる請求項4に記載の滅菌袋。
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