以下、一実施形態に係る車両用シート制御装置を搭載した車両について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、フロントシートは車両の前部座席(助手席)であり、リアシートは助手席の後方に配置される後部座席である。
図1に示すように、フロントシート1fは、シートクッション2fと、シートクッション2fの後端部に対してリクライニング可能に設けられたシートバック3fと、シートバック3fの上端に設けられたヘッドレスト4fと、シートバック3fの下端部に対して回転可能に設けられたオットマン5rと、を備えている。車両の床部Flには、車両前後方向に延びる二本のロアレール6fが並列に設けられている。ロアレール6fには、ロアレール6f上を車両前後方向に相対移動可能なアッパレール7fが装着されている。そして、シートクッション2fは、アッパレール7f上に支持されており、アッパレール7fと一体にロアレール6f上を車両前後方向にスライド可能となっている。
リアシート1rは、シートクッション2rと、シートクッション2rの後端部に対してリクライニング可能に設けられたシートバック3rと、シートバック3rの上端に設けられたヘッドレスト4rと、を備えている。フロントシート1fと同様に、車両の床部Flには車両前後方向に延びる二本のロアレール6rが並列に設けられるとともにロアレール6rにはアッパレール7rが装着されており、シートクッション2rは、アッパレール7rと一体にロアレール6r上を車両前後方向にスライド可能となっている。
シートクッション2f,2rは、フロントシート1f及びリアシート1rの乗員の臀部を主に支持し、シートバック3f,3rは、フロントシート1f及びリアシート1rの乗員の背部を主に支持する。ヘッドレスト4f,4rは、フロントシート1f及びリアシート1rの乗員の頭部を主に支持し、オットマン5rは、リアシート1rの乗員の脚部、詳しくは、踵や足裏を主に支持する。以降の説明では、シートクッション2f、シートバック3f及びヘッドレスト4fをフロントシート1fのシート要素SEfとし、シートクッション2r、シートバック3r、ヘッドレスト4r及びオットマン5rをリアシート1rのシート要素SErとする。ここで、オットマン5rは、リアシート1rの乗員のための構成である点で、リアシート1rの構成部材の1つと言うこともできる。
フロントシート1fには、シートスライドアクチュエータ11f、シートリクライニングアクチュエータ12f及びオットマンアクチュエータ13rが設けられている。フロントシート1fは、アクチュエータ11f,12fにより、シート要素SEfを駆動するパワーシートとして構成されている。
詳しくは、シートスライドアクチュエータ11fは、駆動源となるモータM1fを有しており、シートクッション2f(フロントシート1f全体)を車両前後方向にスライドさせる。これにより、フロントシート1fは、二点鎖線矢印で示すように、車両前後方向におけるスライド位置を調整可能となっている。
シートリクライニングアクチュエータ12fは、駆動源となるモータM2fを有しており、シートバック3fの全体を、該シートバック3fの上端部分の位置が車両後方に移動するようにリクライニングさせる。これにより、フロントシート1fは、二点鎖線矢印で示すように、シートバック3fのリクライニング位置を調整可能となっている。
リアシート1rには、シートスライドアクチュエータ11r及びシートリクライニングアクチュエータ12rが設けられている。リアシート1rは、アクチュエータ11r,12rにより、シート要素SErを駆動するパワーシートとして構成されている。
詳しくは、シートスライドアクチュエータ11rは、駆動源となるモータM1rを有しており、シートクッション2r(リアシート1r全体)を車両前後方向にスライドさせる。これにより、リアシート1rは、二点鎖線矢印で示すように、車両前後方向におけるスライド位置を調整可能となっている。
シートリクライニングアクチュエータ12rは、駆動源となるモータM2rを有しており、シートバック3rの全体を、該シートバック3rの上端部分の位置が車両後方に移動するようにリクライニングさせる。これにより、リアシート1rは、二点鎖線矢印で示すように、シートバック3rのリクライニング位置を調整可能となっている。
オットマンアクチュエータ13rは、駆動源となるモータM3rを有しており、オットマン5rをシートバック3rに支持される基端部を中心として回転させる。詳しくは、オットマンアクチュエータ13rは、オットマン5rを、リアシート1rに向かって展開した展開位置と展開位置よりも車両前方に退避した退避位置との間で回転させる。これにより、オットマンアクチュエータ13rは、二点鎖線矢印で示すように、オットマン5rの回転位置を調整可能となっている。なお、本実施形態において、退避位置は、オットマン5rがシートバック3fに収納される収納位置でもある。以降の説明では、オットマン5rが退避位置から車両後方に向かって回転している状態を「展開状態」とも言う。
こうした点で、本実施形態では、アクチュエータ11f,12fが「第1アクチュエータ」の一例に相当し、アクチュエータ11r,12r,13rが「第2アクチュエータ」の一例に相当している。
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。
車両には、上記アクチュエータ11f,12fを制御するフロントECU15fと、上記アクチュエータ11r,12r,13rを制御するリアECU15rと、が設けられている。フロントECU15f及びリアECU15rは、車内ネットワーク16を介して接続されている。本実施形態において、フロントECU15f及びリアECU15rは「車両用シート制御装置」の一例に相当する。
フロントECU15fは、「記憶部」の一例としてのメモリ31fを有する。メモリ31fには、フロントシート1fの設定フロントシート位置が複数記憶されている。設定フロントシート位置は、フロントシート1fの動作範囲内の位置であり、例えば、乗員が車両から降りる際に降りやすい位置として予め設定された降車位置や、フロントシート1f及びリアシート1rの間の空間を広げるためにフロントシート1fを可能な限り前方に移動させた前寄位置や、乗員の好みに応じて登録された登録シート位置等である。
フロントECU15fは、モータM1f,M2fに接続されており、モータM1f,M2fに対する駆動電力の供給を通じて、シート要素SEf(シートクッション2f及びシートバック3f)を動作させる。つまり、フロントECU15fは、シート要素SEfを動作させて、フロントシート1fのシート位置を変化させる。
詳しくは、モータM1f,M2fには、その回転に同期したパルス信号を出力する回転センサS1f,S2fが設けられている。回転センサS1f,S2fが出力するパルス信号Sp1f,Sp2fは、アクチュエータ11f,12fにより駆動されるシート要素SEfの動作に同期している。フロントECU15fは、予め設定された初期値を基にパルス信号Sp1f,Sp2fのパルス変化をカウント(積算)することにより、シート要素SEfの位置を検出する。
また、フロントECU15fには、「操作部」の一例として、乗員の操作によりシート要素SEfの位置を調整するためのフロント操作部21fが接続されている。フロント操作部21fは、フロントシート1fに対応する位置、例えば、フロントシート1fの側部等、フロントシート1fの乗員にとって操作しやすい位置に設けられている。フロント操作部21fは、フロントオートスイッチ22fと、フロントマニュアルスイッチ23fと、を有している。
フロントオートスイッチ22fは、メモリ31fに記憶された設定フロントシート位置までフロントシート1fを自動で動作させるためのスイッチであり、フロントマニュアルスイッチ23fは、フロントシート1fを手動で動作させるためのスイッチである。このため、フロントオートスイッチ22fは、メモリ31fに記憶された複数の設定フロントシート位置に対応付けられた複数のスイッチを有することが好ましい。また、フロントマニュアルスイッチ23fは、シートクッション2fのスライド位置を調整するスイッチ及びシートバック3fのリクライニング位置を調整するスイッチを有することが好ましい。さらに、フロント操作部21fは、フロントオートスイッチ22fの操作により自動で動作中のフロントシート1fを停止させるためのスイッチを備えることが好ましい。
フロントECU15fには、フロント操作部21fへの操作入力に応じた操作入力信号Sswfのほか、車内ネットワーク16を介して、例えば車両の起動状態(例えばイングニッションキーの操作位置やスタートスイッチのオンオフ)を示すイグニッション信号SigやリアECU15rからの信号等の各種信号が入力される。そして、フロントECU15fは、入力される各種信号に基づいてフロントシート1fのシート要素SEfの位置を制御し、フロントシート1fを動作させる。
リアECU15rは、「記憶部」の一例としてのメモリ31rを有する。メモリ31rには、リアシート1rの設定リアシート位置が複数記憶されている。設定リアシート位置は、リアシート1rの動作範囲内の位置であり、例えば、乗員が車両から降りる際に降りやすい位置として予め設定された降車位置や、乗員の好みに応じて登録された登録シート位置等である。
リアECU15rは、モータM1r,M2r,M3rに接続されており、モータM1r,M2r,M3rに対する駆動電力の供給を通じて、シート要素SEr(シートクッション2r、シートバック3r、オットマン5r)を動作させる。つまり、リアECU15rは、シート要素SErを動作させて、リアシート1rのシート位置を変化させる。
詳しくは、モータM1r,M2r,M3rには、上記モータM1f,M2fと同様に、その回転に同期したパルス信号を出力する回転センサS1r,S2r,S3rが設けられている。リアECU15rは、フロントECU15fと同様に、予め設定された初期値を基にパルス信号Sp1r,Sp2r,Sp3rのパルス変化をカウントすることにより、シート要素SErの位置を検出する。
また、リアECU15rには、「操作部」の一例として、乗員の操作によりシート要素SErの位置を調整するためのリア操作部21rが接続されている。リア操作部21rは、リアシート1rに対応する位置、例えば、リアシート1rの側部等、リアシート1rの乗員にとって操作しやすい位置に設けられている。リア操作部21rは、リアオートスイッチ22rと、リアマニュアルスイッチ23rと、を有している。
リアオートスイッチ22rは、メモリ31rに記憶された設定リアシート位置までリアシート1rを自動で動作させるためのスイッチであり、フロントマニュアルスイッチ23fは、リアシート1rを手動で動作させるためのスイッチである。このため、リアオートスイッチ22rは、メモリ31rに記憶された複数の設定リアシート位置に対応付けられた複数のスイッチを有することが好ましい。また、リアマニュアルスイッチ23rは、シートクッション2rのスライド位置を調整するスイッチ、シートバック3rのリクライニング位置を調整するスイッチ及びオットマン5rの回転位置を調整するスイッチを有することが好ましい。さらに、リア操作部21rは、リアオートスイッチ22rの操作により自動で動作中のリアシート1rを停止させるためのスイッチを備えることが好ましい。
リアECU15rには、リア操作部21rへの操作入力に応じた操作入力信号Sswrのほか、車内ネットワーク16を介して、例えばイグニッション信号SigやフロントECU15fからの信号等の各種信号が入力される。そして、リアECU15rは、入力される各種信号に基づいてリアシート1rのシート要素SErの位置を制御し、リアシート1rを動作させる。
次に、フロントシート1f及びリアシート1rの動作を制限するために、フロントECU15f及びリアECU15rが実行する処理の内容について説明する。
フロントECU15fは、フロントオート動作開始条件が成立した場合に、アクチュエータ11f,12fを制御し、フロントシート1fを設定フロントシート位置まで自動で動作させる。詳しくは、フロントECU15fは、上記開始条件が成立した場合に、シート要素SEfの位置が設定フロントシート位置に対応する位置となるように、シート要素SEfを自動で動作させる。以降の説明では、フロントオート動作開始条件の成立により、フロントシート1fが動作することを「フロントオート動作」とも言う。フロントECU15fにおいて、フロントオート動作開始条件は、フロントオートスイッチ22fが操作された場合及びイグニッション信号Sigがオフ状態を示すとともにドアが開状態とされた場合等に成立する。
フロントECU15fは、乗員等によりフロントマニュアルスイッチ23fが操作された場合に、フロントマニュアルスイッチ23fの操作内容に基づいて、フロントシート1fを動作させる。詳しくは、フロントECU15fは、フロントマニュアルスイッチ23fが操作されている間、シートクッション2fをスライド動作させたり、シートバック3fをリクライニング動作させたりする。以降の説明では、フロントマニュアルスイッチ23fの操作により、フロントシート1fを動作することを「フロントマニュアル動作」とも言う。
リアECU15rは、リアオート動作開始条件が成立した場合に、アクチュエータ11r,12r,13rを制御し、リアシート1rを設定リアシート位置まで自動で動作させる。詳しくは、リアECU15rは、上記開始条件が成立した場合に、シート要素SErの位置が設定リアシート位置に対応する位置となるように、シート要素SErを自動で動作させる。以降の説明では、リアオート動作開始条件の成立により、リアシート1rが動作することを「リアオート動作」とも言う。リアECU15rにおいて、リアオート動作開始条件は、リアオートスイッチ22rが操作された場合及びイグニッション信号Sigがオフ状態を示すとともにドアが開状態とされた場合等に成立する。
リアECU15rは、乗員等によりリアマニュアルスイッチ23rが操作された場合には、リアマニュアルスイッチ23rの操作内容に基づいて、リアシート1rを動作させる。詳しくは、リアECU15rは、リアマニュアルスイッチ23rが操作されている間、シートクッション2rをスライド動作させたり、シートバック3rをリクライニング動作させたりする。以降の説明では、リアマニュアルスイッチ23rの操作により、リアシート1rを動作することを「リアマニュアル動作」とも言う。
こうした点で、本実施形態において、フロントECU15fは、フロントオート動作及びフロントマニュアル動作を実行する制御部15f1を備えていると言え、リアECU15rは、フロントオート動作及びフロントマニュアル動作を実行する制御部15r1を備えていると言える。
ところで、本実施形態のような車両において、フロントシート1f及びリアシート1rは車両前後方向に並んでいるため、フロントシート1fを車両後方に動作させたり、リアシート1rを車両前方に移動させたりすると以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、フロントシート1f及びリアシート1rが互いに近付くことで、フロントシート1f及びリアシート1rが接触したり、リアシート1rの乗員に窮屈感を与えたりするおそれがある。
そこで、フロントECU15f及びリアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rを車両前後方向に動作させる際に、上記問題が発生することを抑制するために、フロントシート1f及びリアシート1rの動作を制限する。
詳しくは、フロントECU15fは、フロントオート動作時及びフロントマニュアル動作時において、フロントシート1f及びリアシート1rの間の空間SPの大きさに応じて、フロントシート1fの動作を制限する。具体的には、フロントECU15fは、空間SPが過度に小さくなることを抑制するために、シートクッション2fの車両後方へのスライド動作及びシートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を制限する。
また、リアECU15rは、リアオート動作時及びリアマニュアル動作時において、フロントシート1f及びリアシート1rの間の空間SPの大きさに応じて、リアシート1rの動作を制限する。具体的には、リアECU15rは、空間SPが過度に小さくなることを抑制するために、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作及びオットマン5rの展開位置に向かう回転動作を制限する。
こうした点で、本実施形態において、フロントECU15fは、フロントシート1fの動作を制限する制限部15f2を備えていると言え、リアECU15rは、リアシート1rの動作を制限する制限部15r2を備えていると言える。
なお、本実施形態における空間SPとは、フロントシート1f全体とリアシート1r全体との間の空間を言う。すなわち、空間SPは、フロントシート1fのシートクッション2fが車両後方にスライド動作する場合、フロントシート1fのシートバック3fが車両後方にリクライニング動作する場合、リアシート1rのシートクッション2rが車両前方にスライド動作する場合及びオットマン5rが退避位置から展開位置に向かって回転動作する場合に小さくなる。
ところで、本実施形態において、フロントオート動作時には、フロントシート1fが設定フロントシート位置まで自動で動作し、フロントマニュアル動作時には、フロントマニュアルスイッチ23fに対する操作が行われている間だけフロントシート1fが動作する。このため、フロントシート1fの動作を停止させたい状況が生じた場合、フロントシート1fの動作を停止させるまでに要する時間は、フロントマニュアル動作時よりもフロントオート動作時の方が長くなりやすい。したがって、フロントオート動作時及びフロントマニュアル動作時において、フロントシート1fの動作を停止させるときの空間SPの大きさを等しくすると、次のような問題が生じるおそれがある。
すなわち、フロントオート動作時において、フロントシート1fの動作を停止させたい状況が生じたにも関わらずフロントシート1fの動作を早期に停止できない場合に、フロントシート1fがリアシート1rに近付き過ぎるおそれがある。この場合には、リアシート1rの乗員に窮屈感を与えることになる。一方、フロントマニュアル動作時において、フロントシート1fの車両前側の領域を広くするなどの理由によりフロントシート1fを車両後方に大きく動作させたい場合に、フロントシート1fの動作が早期に停止されることで、フロントシート1fを十分に車両後方に動作できないおそれがある。この場合には、フロントシート1fの車両前方の領域を広くすることができない点で、フロントマニュアル動作にフロントシート1fの乗員の意思を十分に反映できない。
そこで、フロントECU15fは、フロントシート1fの動作を制限するときの空間SPの大きさを、フロントオート動作時の方がフロントマニュアル動作時よりも大きくする。同様の理由により、リアECU15rは、リアシート1rの動作を制限するときの空間SPの大きさを、リアオート動作時の方がリアマニュアル動作時よりも大きくする。詳しくは、フロントECU15f及びリアECU15rは、図2に示す2種類のマップを使い分けることで、フロントシート1f及びリアシート1rの動作を制限するときの空間SPの大きさを、マニュアル動作時よりもオート動作時の方を大きくする。
以下、図2を参照して、2種類のマップについて説明する。
図2(a),(b)に示すように、第1のマップ及び第2のマップは、フロントシート1fのシートバック3fのリクライニング位置Pfと、車両前後方向におけるフロントシート1fのシートクッション2f及びリアシート1rのシートクッション2rの間の距離(以下、「シート間距離Ds」とも言う。)と、に基づいて設定されている。
縦軸のリクライニング位置Pfは、図中の上側に向かうほどシートバック3fが車両後方に倒れていることを示し、横軸のシート間距離Dsは、図中の右側に向かうほどシートクッション2f及びシートクッション2rの距離が短いことを示す。つまり、図中において、空間SPは右上に向かうほど小さくなり、左下に向かうほど大きくなる。なお、シート間距離Dsは、フロントシート1fのシートクッション2fのスライド位置とリアシート1rのシートクッション2rのスライド位置との相対的な位置関係で定まる距離である。
図2(a)に示すように、第1のマップは、フロントシート1fの動作許可範囲及びリアシート1rの動作許可範囲が、第2のマップよりも小さく設定される。言い換えれば、第1のマップは、第2のマップよりも空間SPが大きくなるように、シートクッション2f,2rのスライド動作可能な範囲、シートバック3fのリクライニング動作可能な範囲及びオットマン5rの回転可能な範囲が設定されている。
詳しくは、図2(a)に示すように、シート間距離Dsが第1の距離D1未満且つ第2の距離D2以上の場合、シートバック3fは、第1リクライニング位置P1よりも後傾した範囲が動作制限範囲とされ、第1リクライニング位置P1よりも前傾した範囲が動作許可範囲とされる。また、シート間距離Dsが第2の距離D2未満且つ第3の距離D3以上の場合、シート間距離Dsが短くなるに連れて、シートバック3fの動作制限範囲が大きくなり、シートバック3fの動作許可範囲が小さくなる。さらに、シート間距離Dsが第3の距離D3の場合、シートバック3fは、第2リクライニング位置P2よりも後傾した範囲が動作制限範囲とされ、第2リクライニング位置P2よりも前傾した範囲が動作許可範囲とされる。なお、第2リクライニング位置P2は、第1リクライニング位置P1よりも前傾した位置である。
したがって、シート間距離Dsが長い場合には、フロントシート1fのシートクッション2fとリアシート1rのシートクッション2rとが離れている点で、シートバック3fの後傾する動作が制限されにくい。一方、シート間距離Dsが短い場合には、フロントシート1fのシートクッション2fとリアシート1rのシートクッション2rとが近付いている点で、シートバック3fの後傾する動作が制限されやすい。
一方、シートバック3fが第3リクライニング位置P3と当該第3リクライニング位置P3よりも後傾した第2リクライニング位置P2との間に位置する場合、シート間距離Dsが第3の距離D3よりも短くなる範囲が動作制限範囲とされ、シート間距離Dsが第3の距離D3よりも長くなる範囲が動作許可範囲とされる。また、シートバック3fが第2リクライニング位置P2と第1リクライニング位置P1との間に位置する場合、リクライニング位置Pfが後傾するに連れて、シート間距離Dsの動作制限範囲が大きくなり、シート間距離Dsの動作許可範囲が小さくなる。さらに、シートバック3fが第1リクライニング位置P1の場合、シート間距離Dsは、第2の距離D2よりも短くなる範囲が動作制限範囲とされ、第2の距離D2よりも長くなる範囲が動作許可範囲とされる。
したがって、シートバック3fが前傾している場合には、シート間距離Dsの動作許可範囲が大きい点で、シートクッション2f及びシートクッション2rが接近する動作が制限されにくい。一方、シートバック3fが後傾している場合には、シート間距離Dsの動作許可範囲が小さい点で、シートクッション2f及びシートクッション2rが接近する動作が制限されやすい。
また、第1のマップでは、動作許可範囲(制限付き動作許可範囲)と動作制限範囲とを区画する境界線B1の内側に、境界線B1と略並行な補助境界線SB1が設定されている。境界線B1の内側の範囲(動作許可範囲)は、オットマン5rが展開状態又は退避位置にあるときのフロントシート1f及びリアシート1rのシートクッション2f,2rのスライド動作及びフロントシート1fのシートバック3fのリクライニング動作の許可範囲を示している。一方、境界線B1と補助境界線SB1の間の範囲(制限付き動作許可範囲)は、オットマン5rが退避位置にあるときのフロントシート1fのシートバック3fのリクライニング動作及びフロントシート1f及びリアシート1rのシートクッション2rのスライド動作の許可範囲を示している。こうした点で、オットマン5rの回転動作は、動作許可範囲内において許可され、制限付き動作許可範囲及び動作制限範囲において制限される。
なお、本実施形態において、オットマン5rは、使用状態において、フロントシート1fのシートバック3fからリアシート1rに向かって突出するように配置される。このため、オットマン5rが使用状態にある場合には、オットマン5rが退避位置にある場合に比べて空間SPが小さくなりやすい。オットマン5rが展開状態にあるときの許可範囲(動作許可範囲)よりも、オットマン5rが退避位置にあるときの許可範囲(動作許可範囲及び制限付き動作許可範囲)の方が大きいのはこのためである。
図2(b)に示すように、第2のマップは、第1のマップと同様の傾向を有しつつ、フロントシート1fの動作許可範囲及びリアシート1rの動作許可範囲が、第1のマップよりも大きく設定される。言い換えれば、第2のマップは、第1のマップよりも空間SPが小さくなるように、シートクッション2f,2rのスライド動作可能な範囲、シートバック3fのリクライニング動作可能な範囲及びオットマン5rの回転可能な範囲が設定されている。
詳しくは、図2(b)に示すように、シート間距離Dsが第1の距離D1未満且つ第5の距離D5以上の場合、シートバック3fは、第4リクライニング位置P4よりも後傾した範囲が動作制限範囲とされ、第4リクライニング位置P4よりも前傾した範囲が動作許可範囲とされる。なお、第5の距離D5は第2の距離D2よりも短い距離であり、第4リクライニング位置P4は第1リクライニング位置P1よりも後傾した位置である。
また、シート間距離Dsが第5の距離D5未満且つ第6の距離D6以上の場合、シート間距離Dsが短くなるに連れて、シートバック3fの動作制限範囲が大きくなり、シートバック3fの動作許可範囲が小さくなる。さらに、シート間距離Dsが第6の距離D6の場合、シートバック3fは、第5リクライニング位置P5よりも後傾した範囲が動作制限範囲とされ、第5リクライニング位置P5よりも前傾した範囲が動作許可範囲とされる。なお、第6の距離D6は第3の距離D3よりも短い距離であり、第5リクライニング位置P5は、第2リクライニング位置P2よりも後傾した位置であって且つ第4リクライニング位置P4よりも前傾した位置である。
また、シートバック3fが第3リクライニング位置P3と第5リクライニング位置P5との間に位置する場合、シート間距離Dsが第6の距離D6よりも短くなる範囲が動作制限範囲とされ、シート間距離Dsが第6の距離D6よりも長くなる範囲が動作許可範囲とされる。また、シートバック3fが第5リクライニング位置P5と第4リクライニング位置P4との間に位置する場合、リクライニング位置Pfが後傾するに連れて、シート間距離Dsの動作制限範囲が大きくなり、シート間距離Dsの動作許可範囲が小さくなる。さらに、シートバック3fが第4リクライニング位置P4の場合、シート間距離Dsは、第5の距離D5よりも短くなる範囲が動作制限範囲とされ、第5の距離D5よりも長くなる範囲が動作許可範囲とされる。
さらに、第2のマップでも、境界線B2と略平行な補助境界線SB2が設定されている。つまり、第2のマップでも、第1のマップと同様に、動作許可範囲、制限付き動作許可範囲及び動作制限範囲が設定されている。
なお、第1のマップ及び第2のマップにおいて、シート要素SEf,SErの動作の制限は、マップ上における動作制限範囲内に進入しようとするシート要素SEf,SErの動作の停止及びマップの動作制限範囲との境界位置に停止しているシート要素SEf,SErの動作制限範囲に向かう動作の開始を許可しないことを含む。
続いて、フロントECU15f及びリアECU15rがフロントシート1f及びリアシート1rの動作を制限するときのマップの使い分けについて説明する。
図1に示すように、フロントECU15fは、所定のサンプリング周期毎に、パルス信号Sp1f,Sp2fに基づいてシートクッション2fのスライド位置及びシートバック3fのリクライニング位置Pfを検出し、これらの位置を示す位置信号Sspを出力する。なお、本実施形態のフロントECU15fは、シートクッション2fのスライド位置及びシートバック3fのリクライニング位置Pfの厳密な位置ではなく、スライド範囲及びリクライニング範囲を複数の範囲に分割した内のどの範囲にスライド位置及びリクライニング位置Pfが位置するかの大まかな位置を出力する。
リアECU15rは、所定のサンプリング周期毎に、パルス信号Sp1r,Sp2r,Sp3rに基づいてシートクッション2rのスライド位置、シートバック3rのリクライニング位置Pf及びオットマン5rの回転位置を検出する。続いて、リアECU15rは、検出したシート要素SErの位置とフロントECU15fからの位置信号Sspとに基づいて、シート間距離Dsを算出する。さらに、リアECU15rは、シート間距離Ds及びシートバック3fのリクライニング位置Pfを上記第1のマップ及び第2のマップに当てはめ、フロントシート1f及びリアシート1rの動作を制限するか否かを判定する。
詳しくは、リアECU15rは、リアオート動作を実行する場合には、第1マップに基づいて、リアシート1rの動作を制限するか否かを判定し、リアマニュアル動作を実行する場合には、第2のマップに基づいて、リアシート1rの動作を制限するか否かを判定する。
なお、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップ及び第2のマップ上の動作制限範囲内にある場合であっても、空間SPを大きくするようなリアシート1rの動作を許可する。詳しくは、リアECU15rは、リアシート1rのシートクッション2rを車両後方にスライド動作させたり、オットマン5rを展開状態から退避位置に回転動作させたりする動作を許可する。
また、リアECU15rは、第1のマップ上でフロントシート1f及びリアシート1rの動作の制限が必要な場合、フロントECU15fにフロントシート1fの動作の制限が必要である旨を示す第1制限信号Sli1を出力する。また、リアECU15rは、第2のマップ上でフロントシート1f及びリアシート1rの動作の制限が必要な場合、フロントECU15fにフロントシート1fの動作の制限が必要である旨を示す第2制限信号Sli2を出力する。
一例として、図2(a),(b)に示すように、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が点X1にある状態からリアシート1rのシートクッション2rを車両前方にスライド動作させる場合を考える。シートクッション2rが車両前方にスライド動作して、点X2になったとき、言い換えれば、第1のマップ上で制限付き動作許可範囲に入ったとき、リアECU15rは、リアマニュアル動作時であれば、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を継続する。一方、リアECU15rは、リアオート動作時であって且つオットマン5rが使用状態にあれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を停止する。このとき、リアECU15rは第1制限信号Sli1を出力する。リアECU15rは、リアオート動作時であって且つオットマン5rが退避位置にあれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を継続する。
その後、フロントシート1f及びリアシート1rが点X3の状態になったとき、言い換えれば、第1のマップ上で動作制限範囲に入ったとき、リアECU15rは、リアマニュアル動作時であれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を継続する。一方、リアECU15rは、リアオート動作時であれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を停止する。このとき、リアECU15rは第1制限信号Sli1を出力する。
さらに、フロントシート1f及びリアシート1rが点X4の状態になったとき、言い換えれば、第2のマップ上で制限付き動作許可範囲に入ったとき、リアECU15rは、リアマニュアル動作時であって且つオットマン5rが使用状態にあれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を停止する。このとき、リアECU15rは第2制限信号Sli2を出力する。一方、リアECU15rは、リアマニュアル動作時であって且つオットマン5rが退避位置にあれば、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を継続する。
そして、フロントシート1f及びリアシート1rが点X5の状態になったとき、言い換えれば、第2のマップ上で動作制限範囲に入ったとき、リアECU15rは、リアマニュアル動作時であっても、シートクッション2rの車両前方のスライド動作を停止する。このとき、リアECU15rは第2制限信号Sli2を出力する。
こうして、オットマン5rが退避位置にある状況下において、リアオート動作時には点X3において、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作が停止される。一方、リアマニュアル動作時には点X3よりもシートクッション2rが車両前方に移動した点X5において、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作が停止される。よって、本実施形態において、リアECU15rがリアシート1rの動作を制限するときの空間SPの大きさは、リアオート動作時の方がリアマニュアル動作時よりも大きくなる。
フロントECU15fは、フロントオート動作時には、リアECU15rから車内ネットワーク16を介して第1制限信号Sli1が入力されたか否かによって、フロントシート1fの動作を継続したり停止したりする。詳しくは、フロントECU15fは、第1制限信号Sli1が入力された場合、フロントオート動作に伴うフロントシート1fの動作を停止し、第1制限信号Sli1が入力されない場合、フロントオート動作に伴うフロントシート1fの動作を継続する。
また、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作時には、リアECU15rから車内ネットワーク16を介して第2制限信号Sli2が入力されたか否かによって、フロントシート1fの動作を継続したり停止したりする。詳しくは、フロントECU15fは、第2制限信号Sli2が入力された場合、フロントマニュアル動作に伴うフロントシート1fの動作を停止し、第2制限信号Sli2が入力されない場合、フロントマニュアル動作に伴うフロントシート1fの動作を継続する。
なお、フロントECU15fは、第1制限信号Sli1及び第2制限信号Sli2が入力された場合であっても、空間SPを大きくするようなフロントシート1fの動作を許可する。詳しくは、リアECU15rは、フロントシート1fのシートクッション2fを車両前方にスライド動作させたり、フロントシート1fのシートバック3fを車両前方にリクライニング動作させたりする動作を許可する。
一例として、図2(a),(b)に示すように、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1の点Y1にある状態からシートバック3fを車両後方にリクライニング動作する場合を考える。ただし、この場合では、オットマン5rが退避位置に位置しているものとする。
フロントシート1f及びリアシート1rが第2の点Y2の状態になったとき、言い換えれば、第1のマップにおいて動作制限範囲に入ったとき、リアECU15rから第1制限信号Sli1が出力される。このとき、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作時であれば、第1制限信号Sli1が入力されても、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を継続する。一方、フロントオート動作時であれば、第1制限信号Sli1が入力された時点で、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を停止する。その後、フロントシート1f及びリアシート1rが第3の点Y3の状態になったとき、言い換えれば、第2のマップの動作制限範囲に入ったとき、リアECU15rから第2制限信号Sli2が出力される。このとき、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作時であっても、シートバック3fの車両後方へのクライニング動作を停止する。
こうして、フロントオート動作時には第2の点Y2において、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作が停止される。一方、フロントマニュアル動作時には第2の点Y2よりもシートバック3fが後傾した第3の点Y3において、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作が停止される。よって、本実施形態において、フロントECU15fがフロントシート1fの動作を制限するときの空間SPの大きさは、フロントオート動作時の方がフロントマニュアル動作時よりも大きくなる。
次に、図3に示すフローチャートを参照して、フロントECU15fに第1制限信号Sli1及び第2制限信号Sli2を出力するために、リアECU15rが実行する処理の流れについて説明する。本処理は、所定の制御サイクル毎に実行される処理である。
図3に示すように、リアECU15rは、各種のセンサ及び車内ネットワーク16から各種の情報を取得する(ステップS11)。すなわち、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rのシートクッション2fのスライド位置と、フロントシート1fのリクライニング位置Pfと、オットマン5rの回転位置と、を含む情報を取得する。
続いて、リアECU15rは、オットマン5rの回転位置に基づいて、オットマン5rが展開状態か否かを判定する(ステップS12)。オットマン5rが展開状態である(ステップS12:YES)、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が、第1のマップ上における動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS13)。フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップ上における動作許可範囲内にある場合(ステップS13:YES)、リアECU15rは、その処理を後述するステップS15に移行する。一方、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップ上における動作許可範囲内にない場合(ステップS13:NO)、リアECU15rはフロントECU15fに向けて第1制限信号Sli1を出力する(ステップS14)。その後、リアECU15rは、その処理を次のステップS15に移行する。
ステップS15において、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が、第2のマップ上における動作許可範囲内にあるか否かを判定する。フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップ上における動作許可範囲内にある場合(ステップS15:YES)、リアECU15rは、その処理を終了する。一方、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップ上における動作許可範囲内にない場合(ステップS15:NO)、リアECU15rはフロントECU15fに向けて第2制限信号Sli2を出力する。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
一方、先のステップS12において、オットマン5rが展開状態でない場合(ステップS12:NO)、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が、第1のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS17)。フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にある場合(ステップS17:YES)、リアECU15rは、その処理を後述するステップS19に移行する。一方、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にない場合(ステップS17:NO)、リアECU15rはフロントECU15fに向けて第1制限信号Sli1を出力する(ステップS18)。その後、リアECU15rは、その処理を次のステップS19に移行する。
ステップS19において、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が、第2のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にあるか否かを判定する。フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にある場合(ステップS19:YES)、リアECU15rは、本処理を終了する。一方、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップ上における動作許可範囲内又は制限付き動作許可範囲内にない場合(ステップS19:NO)、リアECU15rはフロントECU15fに向けて第2制限信号Sli2を出力する(ステップS20)。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
なお、ステップS14,S16,S18,S20における制限信号の出力は、次回の制御サイクルにおいて図3に示す処理を実行し始めるまで継続するものとする。
次に、図4に示すフローチャートを参照して、リアオート動作及びリアマニュアル動作を継続するか否かを判定するためにリアECU15rが実行する処理の流れについて説明する。
図4に示すように、リアECU15rは、各種のセンサ及び車内ネットワーク16から各種の情報を取得する(ステップS31)。続いて、リアECU15rは、リアオート動作中か否かを判定する(ステップS32)。リアオート動作中の場合(ステップS32:YES)、リアECU15rは、第1のマップにおいて、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS33)。
フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップの動作許可範囲内にある場合(ステップS33:YES)、リアECU15rは、リアオート動作を継続する(ステップS34)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を継続したり、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を継続したりする。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
ステップS33において、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第1のマップの動作許可範囲内にない場合(ステップS33:NO)、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が制限付き動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS35)。
フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が制限付き動作許可範囲内にある場合(ステップS35:YES)、リアECU15rは、リアオート動作を一部制限する(ステップS36)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を継続する一方で、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を制限する。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
ステップS35において、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が動作制限範囲にある場合(ステップS35:NO)、リアECU15rは、リアオート動作を制限する(ステップS37)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を制限したり、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を制限したりする。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
一方、先のステップS32において、リアオート動作中でない場合、リアECU15rは、リアマニュアル動作中か否かを判定する(ステップS38)。リアマニュアル動作中の場合、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップの動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS39)。フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップの動作許可範囲内にある場合(ステップS39:YES)、リアECU15rは、リアマニュアル動作を継続する(ステップS40)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を継続したり、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を継続したりする。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
ステップS39において、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が第2のマップの動作許可範囲内にない場合(ステップS39:NO)、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が制限付き動作許可範囲内にあるか否かを判定する(ステップS41)。
フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が制限付き動作許可範囲内にある場合(ステップS41:YES)、リアECU15rは、リアマニュアル動作を一部制限する(ステップS42)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を継続する一方で、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を制限する。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
ステップS41において、フロントシート1f及びリアシート1rの位置関係を示す点が動作制限範囲にある場合(ステップS41:NO)、リアECU15rは、リアマニュアル動作を制限する(ステップS42)。すなわち、リアECU15rは、シートクッション2rの車両前方へのスライド動作を制限し、オットマン5rの展開位置に向かう回転動作を制限する。その後、リアECU15rは、本処理を終了する。
なお、先のステップS38において、リアマニュアル動作中でない場合(ステップS38:NO)、すなわち、リアシート1rが何ら動作していない場合、リアECU15rは、その処理を終了する。
次に、図5に示すフローチャートを参照して、フロントオート動作及びフロントマニュアル動作を継続するか否かを判定するためにフロントECU15fが実行する処理の流れについて説明する。
図5に示すように、フロントECU15fは、各種のセンサ及び車内ネットワーク16から各種の情報を取得する(ステップS51)。続いて、フロントECU15fは、フロントオート動作中か否かを判定する(ステップS52)。フロントオート動作中の場合(ステップS52:YES)、フロントECU15fは、リアECU15rから第1制限信号Sli1の入力があるか否かを判定する(ステップS53)。
第1制限信号Sli1の入力がない場合(ステップS53:NO)、フロントECU15fは、フロントオート動作を継続する(ステップS54)。すなわち、フロントECU15fは、シートクッション2fの車両後方へのスライド動作を継続したり、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を継続したりする。その後、フロントECU15fは、本処理を終了する。一方、第1制限信号Sli1の入力がある場合(ステップS53:YES)、フロントECU15fは、フロントオート動作を制限する(ステップS55)。すなわち、フロントECU15fは、シートクッション2fの車両後方へのスライド動作を制限したり、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を制限したりする。その後、フロントECU15fは、本処理を終了する。
先のステップS52において、フロントオート動作中でない場合(ステップS52:NO)、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作中か否かを判定する(ステップS56)。フロントマニュアル動作中の場合(ステップS56:YES)、フロントECU15fは、リアECU15rから第2制限信号Sli2の入力があるか否かを判定する(ステップS57)。
第2制限信号Sli2の入力がない場合(ステップS57:NO)、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作を継続する(ステップS58)。すなわち、フロントECU15fは、シートクッション2fの車両後方へのスライド動作を継続したり、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を継続したりする。その後、フロントECU15fは、本処理を終了する。一方、第2制限信号Sli2の入力がある場合(ステップS57:YES)、フロントECU15fは、フロントマニュアル動作を制限する(ステップS59)。すなわち、フロントECU15fは、シートクッション2fの車両後方へのスライド動作を制限したり、シートバック3fの車両後方へのリクライニング動作を制限したりする。
なお、先のステップS56において、フロントマニュアル動作中でない場合(ステップS56:NO)、すなわち、フロントシート1fが何ら動作していない場合、フロントECU15fは、その処理を終了する。
以下、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)上記実施形態において、フロントオート動作時には、フロントシート1fが設定フロントシート位置まで自動で動作し、フロントマニュアル動作時には、フロントオートスイッチ22fに対する操作が行われている間だけフロントシート1fが動作する。このため、フロントシート1fの動作を停止させたい状況が生じた場合、フロントシート1fの動作を停止させるまでに要する時間は、フロントマニュアル動作時よりもフロントオート動作時の方が長くなりやすい。
そこで、フロントECU15fは、フロントシート1fの動作を制限するときの空間SPの大きさを、フロントオート動作時の方がフロントマニュアル動作時よりも大きくする。このため、フロントオート動作時において、車両の乗員などが瞬時の判断でフロントシート1fの動作を停止できない場合には、空間SPが小さくなる前にフロントシート1fの動作を停止できる。このため、リアシート1rの乗員に窮屈感を与えることを抑制できる。一方、フロントマニュアル動作時において、車両の乗員などが瞬時の判断でフロントシート1fの動作を停止できる場合には、空間SPが小さくなるまでフロントシート1fの動作を継続できる。このため、フロントマニュアル動作に、フロントシート1fの乗員の意思を反映させることができる。こうして、フロントECU15fは、乗員の利便性を損なうことを抑制しつつ、フロントシート1f及びリアシート1rの過度な接近を抑制できる。
(2)フロントECU15fは、フロントオート動作時及びフロントマニュアル動作時において、シートクッション2fのスライド動作及びシートバック3fのリクライニング動作を制限することで、フロントシート1fの動作を制限できる。
(3)上記実施形態によれば、リアシート1rが動作するときに、フロントシート1fが動作するときと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、リアオート動作時において、車両の乗員などが瞬時の判断でリアシート1rの動作を停止できない場合には、空間SPが小さくなる前にリアシート1rの動作を停止できる。一方、リアマニュアル動作時において、車両の乗員などが瞬時の判断でリアシート1rの動作を停止できる場合には、空間SPが小さくなるまでリアシート1rの動作を継続できる。こうして、リアECU15rは、乗員の利便性を損なうことを抑制しつつ、フロントシート1f及びリアシート1rの過度な接近を抑制できる。
(4)リアECU15rは、リアオート動作時及びリアマニュアル動作時において、シートクッション2rのスライド動作及びオットマン5rの回転動作を制限することで、リアシート1rの動作を制限できる。
(5)フロントECU15f及びリアECU15rは、第1のマップ及び第2のマップの参照により、フロントシート1fの動作及びリアシート1rの動作を制限する。このため、フロントECU15f及びリアECU15rは、フロントシート1fの動作及びリアシート1rの動作を制限するか否かを判定する際の演算負荷を低減できる。
なお、上記実施形態は、以下に示すように変更してもよい。
・第1のマップ及び第2のマップにおいて、制限付き動作制限範囲を設けなくてもよい。
・第1のマップ及び第2のマップにおいて、制限付き動作制限範囲を複数の範囲に細分化してもよい。例えば、制限付き動作制限範囲は、オットマン5rを所定角度まで回転動作することを許容する第1制限付き動作制限範囲と、オットマン5rの回転動作を制限する制限付き第2動作制限範囲と、を有してもよい。
・第1のマップ及び第2のマップにおいて、境界線B1,B2及び補助境界線SB1,SB2の傾き及び配置は、フロントシート1f及びリアシート1rの形状、構造及び動作範囲などに応じて、適宜に変更してもよい。
・フロントシート1f及びリアシート1rの間の床部Flに車両上方に突出する突出部が設けられている場合には、フロントシート1fのスライド動作時において展開状態のオットマン5rが床部Flの突出部に接触しないように、第1のマップ及び第2のマップにおける補助境界線SB1,SB2を設定することが好ましい。
・フロントECU15f及びリアECU15rは、1つのECUで構成してもよい。
・フロントECU15fは、第1のマップ及び第2のマップを自ら参照して、オート動作及びマニュアル動作の継続の可否を判定してもよい。この場合、フロントECU15fが参照する第1のマップ及び第2のマップと、リアECU15rが参照する第1のマップ及び第2のマップとは、異なるマップとしてもよい。
・フロントECU15fは、フロントシート1fの動作を制限する場合、リアECU15rは、リアシート1rの動作を制限しなくてもよい。
・リアECU15rは、第1のマップ及び第2のマップを参照することなく、第1制限信号Sli1及び第2制限信号Sli2を出力してもよい。例えば、リアECU15rは、フロントシート1f及びリアシート1rのシートクッション2f,2rのスライド位置並びにフロントシート1fのリクライニング位置Pfなどから、空間SPの大きさを演算する演算式の演算結果に基づいて、第1制限信号Sli1及び第2制限信号Sli2を出力してもよい。
・図3に示すフローチャートのステップS12において、リアECU15rは、オットマン5rの状態に関わらず、その処理をステップS13に移行してもよい。
・フロントシート1fは、シートクッション2fのスライド動作及びシートバック3fのリクライニング動作の少なくとも一方の動作が可能なパワーシートであればよい。同様に、リアシート1rは、シートクッション2rのスライド動作及びオットマン5rの回転動作の少なくとも一方の動作が可能なパワーシートであればよい。
・フロントシート1fはパワーシートでなくてもよい。この場合であっても、リアシート1rの動作を制限することで、上記実施形態の効果を得ることができる。また、リアシート1rはパワーシートでなくてもよい。この場合であっても、フロントシート1fの動作を制限することで、上記実施形態の効果を得ることができる。
・フロント操作部21fは、リアシート1rをリアオート動作させるためのスイッチと、リアシート1rをリアマニュアル動作させるためのスイッチと、を有してもよい。同様に、リア操作部21rは、フロントシート1fをフロントオート動作させるためのスイッチと、フロントシート1fをフロントマニュアル動作させるためのスイッチと、を有してもよい。
・オットマン5rは、リアシート1rのシートクッション2rの前端部に設けてもよい。
・上記実施形態において、3列以上のシートがある車両に本構成の制御を適用してもよく、例えば3列シートの車両に本構成を適用する場合、一列目シートをフロントシート1fとすれば二列目シートがリアシート1rとなり、また、二列目シートをフロントシート1fとすれば三列目シートがリアシート1rとなる。
・上記実施形態では、フロントシート1fをシートクッション2fのスライド位置、シートバック3fのリクライニング位置Pfを調整可能なシートとして構成したが、これに限らず、少なくとも車両前後方向への変位を伴うシート要素SEf,SErの位置を調整可能であればよく、フロントシート1fの構成は適宜変更可能である。例えばシートクッション2fのリフト位置を調整可能としてもよく、この場合には、車両後方への変位を伴うリフト位置の調整を制限することになる。同様に、リアシート1rの構成も、少なくとも車両前後方向への変位を伴うシート要素SEf,SErの位置を調整可能であれば、適宜変更可能である。
以下、上記実施形態及び変形例から把握される技術的思想について記載する。
車両用シート制御装置は、アクチュエータの駆動により車両前後方向に動作するリアシートの動作範囲のうちの任意の位置である設定リアシート位置を記憶する記憶部と、リアオート動作開始条件の成立により前記アクチュエータを駆動し、前記リアシートを前記設定リアシート位置まで自動で動作させるリアオート動作と、操作部に対する操作が行われている間だけ前記アクチュエータを駆動し、当該操作に応じて前記リアシートを動作させるリアマニュアル動作と、を実行する制御部と、前記リアオート動作及び前記リアマニュアル動作の実行時に、前記リアシート及び当該リアシートの車両前方に配置されるフロントシート1fの間の空間の大きさに応じて、前記リアシートの動作を制限する制限部と、を備える。車両用シート制御装置において、前記制限部が前記リアシートの動作を制限するときの前記空間の大きさは、前記リアオート動作時の方が前記リアマニュアル動作時よりも大きい。