JP2019074510A - センサ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスセンサの劣化を短時間で且つ精度良く検出する。【解決手段】 センサ制御装置1は、酸素濃度が15%を超えている(測定室28に含まれる酸素の濃度が高い)と判断した場合に、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セルに流す。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セルに一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セルに発生する第1差電圧を検出する。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セルに一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セルに発生する第2差電圧を検出する。【選択図】 図3

Description

本開示は、ガスセンサを制御するセンサ制御装置に関する。
従来、一対の第1電極を有する固体電解質体を備えた酸素濃度検出セルと、一対の第2電極を有する固体電解質体を備えたポンプセルとを備えるガスセンサを制御するセンサ制御装置が知られている。このようなセンサ制御装置は、酸素濃度検出セルの一対の第1電極間に生じる電圧が制御目標電圧となるように、ポンプセルの一対の第2電極間に流れるポンプ電流を制御する。
特許文献1には、制御目標電圧を第1目標電圧としてポンプ電流を制御している状態における第1素子抵抗と、制御目標電圧を第2目標電圧としてポンプ電流を制御している状態における第2素子抵抗との差分を用いて、酸素濃度検出セルの劣化を検出するセンサ制御装置が記載されている。
特開2014−48279号公報
しかし、特許文献1に記載のセンサ制御装置では、酸素濃度検出セルの劣化を検出するために制御目標電圧を切り替えて測定室内における酸素濃度を変化させる必要があるために、劣化検出に時間が掛かるという問題があった。
本開示は、ガスセンサの劣化を短時間で且つ精度良く検出することを目的とする。
本開示の一態様は、ガスセンサを制御するセンサ制御装置である。センサ制御装置に接続されるガスセンサは、被測定ガスが導入される測定室と、酸素濃度検出セルと、ポンプセルとを備える。酸素濃度検出セルは、第1固体電解質体と、第1固体電解質体上に形成された一対の第1電極とを有し、一対の第1電極のうち一方の第1電極が測定室に面して配置され、他方の第1電極が基準ガス雰囲気に設定される基準ガス室に配置されて、測定室と基準ガス室との間の酸素分圧差に応じた電圧を発生させる。ポンプセルは、第2固体電解質体と、第2固体電解質体上に形成された一対の第2電極とを有し、一対の第2電極のうち一方の第2電極が測定室に面して配置されて、一対の第2電極の間に流れるポンプ電流に応じて、測定室内に導入された被測定ガスに含まれる酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う。本開示のセンサ制御装置は、酸素濃度検出セルに生じる電圧が、制御目標電圧として設定される第1目標電圧となるように、ポンプセルに流すポンプ電流を通電制御するように構成される。
そして、本開示のセンサ制御装置は、条件判断部と、検出用通電部と、第1検出部と、第2検出部とを備える。
条件判断部は、測定室に含まれる酸素の濃度が高いことを示す予め設定された劣化検出条件が成立したか否かを判断するように構成される。
検出用通電部は、劣化検出条件が成立したと条件判断部が判断した場合に、予め設定された一定の電流値を有する劣化検出用電流を酸素濃度検出セルに流すように構成される。
第1検出部は、検出用通電部が酸素濃度検出セルに劣化検出用電流を流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セルに劣化検出用電流が流れていることにより酸素濃度検出セルに発生する第1セル電圧を検出するように構成される。
第2検出部は、検出用通電部が酸素濃度検出セルに劣化検出用電流を流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セルに劣化検出用電流が流れていることにより酸素濃度検出セルに発生する第2セル電圧を検出するように構成される。
このように構成された本開示のセンサ制御装置は、酸素濃度検出セルに劣化検出用電流を流してから第1検出時間および第2検出時間が経過した時点で、それぞれ第1セル電圧および第2セル電圧を検出する。このため、本開示のセンサ制御装置は、ガスセンサの劣化を判断するために必要な情報(すなわち、第1セル電圧および第2セル電圧)を短時間で取得することができ、これにより、ガスセンサの劣化を短時間で検出することができる。
また、本開示のセンサ制御装置は、測定室に含まれる酸素の濃度が高いことを示す予め設定された劣化検出条件が成立した場合に、第1セル電圧および第2セル電圧を検出する。これにより、本開示のセンサ制御装置は、ガスセンサの劣化の検出精度を向上させることができる。
また、本開示の一態様では、具体的には、劣化検出条件は、測定室に含まれる酸素の濃度が予め設定された検出開始判定値を超えることであるようにしてもよい。
また、本開示の一態様では、具体的には、ポンプセル停止部を備え、劣化検出条件は、エンジンが停止してから予め設定された検出開始時間が経過することであるようにしてもよい。ポンプセル停止部は、当該センサ制御装置を搭載する車両のエンジンが停止すると、ポンプセルによる酸素の汲み出しまたは汲み入れを停止させるように構成される。
また、本開示の一態様では、具体的には、ポンプセル停止部を備え、劣化検出条件は、当該センサ制御装置を搭載する車両のエンジンが停止し、且つ、酸素濃度検出セルに発生する電圧が予め設定された検出開始電圧以下であるようにしてもよい。
また、本開示の一態様では、具体的には、目標電圧設定部を備え、劣化検出条件は、目標電圧設定部にて制御目標電圧が第1目標電圧から第2目標電圧に切り替えられることであるようにしてもよい。目標電圧設定部は、ガスセンサによる特定ガス成分の濃度検出期間には、制御目標電圧として第1目標電圧を設定する一方、ガスセンサの劣化検出期間には、第1目標電圧と異なる電圧値である第2目標電圧に設定するように構成される。ここで、第2目標電圧は、酸素濃度検出セルに生じる電圧が、第1目標電圧となるようにポンプ電流が通電制御された場合よりも、測定室に含まれる酸素の濃度が高くなるようにポンプ電流を通制御させられる電圧値が設定される。
なお、この態様においては、劣化検出条件は、目標電圧設定部にて制御目標電圧が第1目標電圧から第2目標電圧に切り替えられ、且つ、制御目標電圧が第2電圧に設定されてから予め設定された安定化時間が経過することであるようにしてもよい。こうすることで、ガスセンサの劣化の検出精度をより向上させることができる。
また、本開示の一態様では、第2セル電圧から第1セル電圧を減算した減算値を劣化判定電圧として、劣化判定電圧に基づいて、ガスセンサの劣化を判断するように構成された劣化判断部を備えるようにしてもよい。これにより、本開示のセンサ制御装置は、精度良くガスセンサの劣化を検出することができる。
また、本開示の一態様では、第1セル電圧および第2セル電圧に基づいてポンプ電流の電流値を補正するように構成されたポンプ電流補正部を備えるようにしてもよい。これにより、本開示のセンサ制御装置は、ガスセンサに劣化が生じていても、酸素濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
また、本開示の一態様では、インピーダンス検出用通電部と、第3検出部と、ヒータ制御部と、制御補正部とを備えるようにしてもよい。
インピーダンス検出用通電部は、予め設定された一定の電流値を有するインピーダンス検出用電流を酸素濃度検出セルに流すように構成される。第3検出部は、インピーダンス検出用通電部が酸素濃度検出セルにインピーダンス検出用電流を流してから予め設定された第3検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セルにインピーダンス検出用電流が流れていることにより酸素濃度検出セルに発生する第3セル電圧を検出するように構成される。
ヒータ制御部は、第3検出部により検出された第3セル電圧を用いて、酸素濃度検出セルおよびポンプセルを加熱するヒータの通電を制御するように構成される。制御補正部は、第1セル電圧および第2セル電圧に基づいて、ヒータ制御部による制御を補正するように構成される。
これにより、本開示のセンサ制御装置は、ガスセンサの劣化に起因して第3セル電圧が変動した場合であっても、ヒータによるガスセンサの温度制御の精度低下を抑制することができる。
また、本開示の一態様では、具体的には、制御補正部は、第1セル電圧および第2セル電圧に基づいて、ヒータを制御するための制御量の目標値を補正することにより、ヒータ制御部による制御を補正するようにしてもよい。
センサ制御装置1を構成要素とするシステムの概略構成を示す図である。 ガスセンサ3の概略構成を示す図である。 センサ制御装置1の概略構成を示す図である。 第1実施形態のインピーダンス検出処理を示すフローチャートである。 劣化判定処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の濃度算出処理を示すフローチャートである。 目標補正処理を示すフローチャートである。 ヒータ制御処理を示すフローチャートである。 インピーダンスRpvsの複素インピーダンスプロットである。 バルク抵抗と電極抵抗を説明するための酸素濃度検出セル13の断面図である。 電極抵抗と制御温度との関係を示すグラフである。 酸素濃度が0.1%である場合の電極抵抗比と制御温度との関係を示すグラフである。 酸素濃度が20%である場合の電極抵抗比と制御温度との関係を示すグラフである。 第2実施形態のインピーダンス検出処理を示すフローチャートである。 第3実施形態のインピーダンス検出処理を示すフローチャートである。 第4実施形態の濃度算出処理を示すフローチャートである。 第4実施形態のインピーダンス検出処理を示すフローチャートである。 第5実施形態のインピーダンス検出処理を示すフローチャートである。
(第1実施形態)
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態のセンサ制御装置1は、車両に搭載され、図1に示すように、ガスセンサ3を制御する。
センサ制御装置1は、エンジン5を制御する電子制御装置9との間で通信線8を介して、データを送受信することが可能に構成されている。以下、電子制御装置9をエンジンECU9という。ECUは、Electronic Control Unitの略である。
ガスセンサ3は、エンジン5の排気管7に取り付けられ、排気ガス中の酸素濃度を広域にわたって検出するものであり、リニアラムダセンサとも呼ばれる。
ガスセンサ3は、図2に示すように、センサ素子10と、ヒータ30と、端子Ip+と、端子COMと、端子Vs+とを備える。
センサ素子10は、ポンプセル11と、多孔質拡散層12と、酸素濃度検出セル13と、補強板14とを備える。
ポンプセル11は、部分安定化ジルコニアにより板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体21と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成されたポンプ電極22,23と、ポンプ電極22を覆う多孔質保護層24を備える。ポンプ電極22は、多孔質保護層24に覆われることにより被毒物質などから保護される。ポンプ電極22は端子Ip+に接続され、ポンプ電極23は端子COMに接続される。
酸素濃度検出セル13は、部分安定化ジルコニアにより板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体25と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成された検出電極26,27とを備える。検出電極26は端子COMに接続され、検出電極27は端子Vs+に接続される。
ポンプセル11と酸素濃度検出セル13との間には、ポンプセル11と酸素濃度検出セル13とを電気的に絶縁するために絶縁性材料(例えば、アルミナなど)を主体に形成された図示しない絶縁層が介在し、その絶縁層の一部に多孔質拡散層12が設けられている。なお、多孔質拡散層12は、センサ素子10の内部に導入される被測定ガスの拡散律速を行うために、絶縁性材料(例えば、アルミナなど)を主体として多孔質状に形成されている。
ポンプセル11と酸素濃度検出セル13との間には、多孔質拡散層12と図示しない絶縁層とにより包囲された中空状の測定室28が形成されている。すなわち、測定室28は、多孔質拡散層12を介して測定ガス雰囲気と連通されている。また、測定室28には、ポンプ電極23と、検出電極26とが配置されている。
補強板14は、酸素濃度検出セル13のうち測定室28に対向する面とは反対側の面に、検出電極27を挟み込むようにして密着して配置されている。これにより、補強板14は、センサ素子10の全体的な強度を向上させている。なお、補強板14は、ポンプセル11および酸素濃度検出セル13を構成する各固体電解質体21,25と略同じ大きさであるとともに、セラミックを主体とする材料にて板状に形成されている。
このように構成されたセンサ素子10において、酸素濃度検出セル13の検出電極27から検出電極26に向かう方向に一定の微小電流Icpを流して、測定室28から検出電極27の側に酸素をポンピングすることにより、検出電極27の周囲に形成された基準ガス室29には略一定濃度の酸素が蓄積されることになる。このようにして基準ガス室29に蓄積された略一定濃度の酸素は、センサ素子10において被測定ガスにおける酸素濃度を検出する際の基準ガス濃度(基準酸素濃度)となる。このため、検出電極27は、自己生成基準電極とも称される。
ヒータ30は、平板状に形成されており、補強板14に積層され、ポンプセル11、酸素濃度検出セル13および補強板14とともに一体化されている。ヒータ30は、アルミナを主体とする材料にて形成され、その内部には、白金を主体とする材料にて形成されたヒータ配線31を備えている。ヒータ30は、後述するヒータ制御回路42から供給される電力により、センサ素子10の温度が活性化温度(例えば、550〜900℃)となるように制御される。
なお、ガスセンサ3は、ヒータ30による加熱によりセンサ素子10が活性化することで、ガス検出が可能な状態となる。
センサ素子10では、被測定ガスである内燃機関からの排気ガスが、多孔質拡散層12を介して測定室28に拡散する。センサ素子10は、内燃機関に供給される混合気が理論空燃比に保たれている状態のもとで測定室28に内燃機関からの排気ガスが導入された状態では、測定室28と基準ガス室29との間の酸素濃度差により、酸素濃度検出セル13に450mVの起電力を発生する特性を有する。すなわち、検出電極26と検出電極27との間には、450mVの電位差が生じることになる。
なお、酸素濃度検出セル13は、検出電極26と検出電極27との間での酸素濃度差に応じた電圧(起電力)を発生する特性を有する。そして、検出電極27が面する基準ガス室29の酸素濃度は略一定濃度である。このため、酸素濃度検出セル13は、測定室28の酸素濃度に応じた電圧を検出電極26と検出電極27との間に発生させる。
ところで、内燃機関に供給される混合気の空燃比の変化に応じて、排気ガスに含まれる酸素濃度は変化し、これにより、センサ素子10の測定室28に含まれる酸素濃度が変化する。そこで、センサ制御装置1は、検出電極26と検出電極27との間の電位差が450mVに保たれるように、ポンプセル11に流れるポンプ電流Ipを制御する。つまり、測定室28の雰囲気が理論空燃比と同じ状態になるようにポンプ電流Ipを制御することで、ポンプセル11によって酸素のポンピングが行われる。このため、センサ制御装置1は、このポンプ電流Ipの通電状態(例えば、通電方向および電流積算値など)に基づいて、排気ガス中の酸素濃度を算出することができる。
ポンプセル11は、ポンプ電極22とポンプ電極23との間に通電される電流の通電方向に応じて、測定室28からの酸素の汲み出しと、測定室28への酸素の汲み入れとを切換可能に構成されている。またポンプセル11は、ポンプ電極22とポンプ電極23との間に通電される電流の大きさに応じて、酸素のポンピング量を調整可能に構成されている。
センサ制御装置1は、図3に示すように、センサ制御回路41と、ヒータ制御回路42と、マイクロコンピュータ43(以下、マイコン43)とを備える。
センサ制御回路41は、特定用途向集積回路(すなわち、ASIC)で実現されている。ASICは、Application Specific ICの略である。
ヒータ制御回路42は、ヒータ配線31の両端が接続され、マイコン43から入力されるPWM制御信号に基づいて、ヒータ配線31の両端に供給される電圧をPWM制御してヒータ30を発熱させる。PWMは、Pulse Width Modulationの略である。
マイコン43は、CPU、ROM、RAMおよびフラッシュメモリ等を備える。マイクロコンピュータの各種機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPUが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
センサ制御回路41は、抵抗R1,R2と、オペアンプOP1,OP2,OP3,OP4,OP5と、スイッチSW1と、3個のスイッチSW2と、2個のスイッチSW3と、スイッチSW4と、コンデンサC1,C2とを備える。さらにセンサ制御回路41は、PID制御回路51と、差動増幅回路52と、Icp供給回路53と、電流源54,55,56,57と、制御部58と、出力端子59,60と、受信ポート61とを備える。
ガスセンサ3の端子COMは、接続配線81を介してVcent点に接続される。ガスセンサ3の端子Ip+は、接続配線82とスイッチSW4とを介してオペアンプOP2の出力端子に接続される。ガスセンサ3の端子Vs+は、接続配線83を介してオペアンプOP4の非反転入力端子に接続される。なお、端子COMの電圧と、端子Vs+の電圧はそれぞれ、図示しない回路により、マイコン43に入力される。
また端子Vs+は、Icp供給回路53に接続されている。Icp供給回路53は、上述の微小電流Icpを流す定電流源回路である。Icp供給回路53、接続配線83、酸素濃度検出セル13および接続配線81は、この順に接続されて、微小電流Icpを流す電流路を構成している。
オペアンプOP2の反転入力端子は、Vcent点に接続される。オペアンプOP2の非反転入力端子には、3.6Vの基準電圧が印加される。オペアンプOP2の出力端子は、上述のように、スイッチSW4と接続配線82とを介してガスセンサ3の端子Ip+に接続される。
オペアンプOP4の非反転入力端子は、上述のように、接続配線83を介してガスセンサ3の端子Vs+に接続される。オペアンプOP4の出力端子は、オペアンプOP4の反転入力端子に接続されるとともに、スイッチSW1を介してオペアンプOP1の非反転入力端子に接続される。コンデンサC1は、一端がスイッチSW1とオペアンプOP1と接続点に接続されるとともに、他端が接地される。
オペアンプOP1の出力端子は、オペアンプOP1の反転入力端子に接続されるとともに、PID制御回路51の入力端子ITに接続される。オペアンプOP1は、コンデンサC1およびスイッチSW1とともにサンプルホールド回路を形成している。
PID制御回路51は、上述の入力端子ITに加えて、基準端子RTおよび出力端子OTを備える。基準端子RTは、Vcent点に接続される。出力端子OTは、抵抗R1を介してVcent点に接続される。
PID制御回路51は、オペアンプOP4およびオペアンプOP1を介して入力端子ITに印加される端子Vs+の電圧と、基準端子RTに印加されるVcent点の電圧との間の電圧差が、制御目標電圧として設定される第1目標電圧(本実施形態では450mV)となるように、ポンプ電流Ipの大きさをPID制御する。具体的には、PID制御回路51にて、目標制御電圧と酸素濃度検出セル13の両端に発生する電圧Vsとの偏差がPID演算され、オペアンプOP2にフィードバックされることで、オペアンプOP2は、ポンプセル11にポンプ電流Ipを流す。
差動増幅回路52は、ポンプ電流Ipの大きさを電圧信号に変換する抵抗R1の両端電圧(すなわち、PID制御回路51の出力端子OTの電位Vpidと、電位Vcentとの差分)を差動増幅して、ガス検出信号Vipとして出力する。差動増幅回路52の出力端子は、センサ制御回路41の出力端子59に接続される。
オペアンプOP3の反転入力端子は、抵抗を介してオペアンプOP4の出力端子に接続される。オペアンプOP3の非反転入力端子は、抵抗を介してオペアンプOP1の出力端子に接続される。オペアンプOP3の出力端子は、スイッチSW2と抵抗R2とを介してオペアンプOP5の非反転入力端子に接続される。コンデンサC2は、一端が抵抗R2とオペアンプOP5と接続点に接続されるとともに、他端が接地される。オペアンプOP5の出力端子は、オペアンプOP5の反転入力端子に接続されるとともに、センサ制御回路41の出力端子60に接続される。オペアンプOP5は、コンデンサC2、スイッチSW2および抵抗R2とともに信号ホールド回路を形成している。
電流源54は、一定電流−Iconstを流す。電流源54は、一端がスイッチSW2と接続配線83とを介してガスセンサ3の端子Vs+に接続され、他端が接地される。
電流源55は、一定電流−Iconstとは極性が逆になっている一定電流+Iconstを流す。電流源55は、一端が電源に接続され、他端がスイッチSW3と接続配線83とを介してガスセンサ3の端子Vs+に接続される。
電流源56は、一定電流−Iconstを流す。電流源56は、一端が電源に接続され、他端がスイッチSW2と接続配線81とを介してガスセンサ3の端子COMに接続される。
電流源57は、一定電流+Iconstを流す。一端がスイッチSW3と接続配線81とを介してガスセンサ3の端子COMに接続され、他端が接地される。
制御部58は、ASIC内に構成されたロジック回路であり、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4をオン/オフする制御を実行する。制御部58は、センサ制御回路41の受信ポート61を介して、マイコン43から送信されるデータを受信する。
次に、酸素濃度を検出する場合におけるセンサ制御装置1の動作について説明する。
酸素濃度を検出する場合には、制御部58は、スイッチSW1,SW4をオンにし、スイッチSW2,SW3をオフにする。これにより、ガスセンサ3の端子Vs+の電圧は、ボルテージフォロアとして構成されているオペアンプOP4およびオペアンプOP1を介してPID制御回路51の入力端子ITに印加される。そして、上述のように、PID制御回路51は、目標制御電圧と電圧Vsとの偏差に基づいてPID演算を実行し、オペアンプOP2は、ポンプセル11にポンプ電流Ipを流す。さらに、上述のように、差動増幅回路52は、ガス検出信号Vipをマイコン43へ出力する。マイコン43は、ガス検出信号Vipの電圧値を、図示しないA/D変換回路を用いてデジタル値に変換した後に、マイコン43が備えるマップまたは計算式に基づいて、ガス検出信号Vipに対応する酸素濃度を算出する。
次に、酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsを検出する場合におけるセンサ制御装置1の動作について説明する。
インピーダンスRpvsを検出する場合には、制御部58は、スイッチSW2,SW4をオンにし、スイッチSW1,SW3をオフにする。これにより、スイッチSW1をオフにする直前における端子Vs+の電圧がコンデンサC1により保持される。このため、オペアンプOP1は、スイッチSW1をオフにする直前における端子Vs+の電圧をPID制御回路51とオペアンプOP3へ出力する。
さらに、電流源56、スイッチSW2、接続配線81、酸素濃度検出セル13、接続配線83、スイッチSW2および電流源54が、この順に接続されて、一定電流−Iconstを流す電流路が形成される。これにより、一定電流−Iconstが酸素濃度検出セル13に流れているときにおける端子Vs+の電圧がオペアンプOP4の非反転入力端子に印加される。このため、オペアンプOP4は、一定電流−Iconstが酸素濃度検出セル13に流れているときにおける端子Vs+の電圧をオペアンプOP3へ出力する。
オペアンプOP3は、差動増幅回路を構成している。このため、オペアンプOP3は、オペアンプOP1から入力された端子Vs+の電圧と、オペアンプOP4から入力された端子Vs+の電圧との差分に応じた電圧を、差電圧ΔVsとして出力する。すなわち、オペアンプOP3は、スイッチSW1をオフにする直前における端子Vs+の電圧と、一定電流−Iconstが流れているときにおける端子Vs+の電圧との差に対応する差電圧ΔVsを出力する。そして、スイッチSW2がオンであるため、差電圧ΔVsがオペアンプOP5の非反転入力端子に印加される。これにより、オペアンプOP5は、差電圧ΔVsを出力端子60へ出力する。なお、差電圧ΔVsを、一定電流−Iconstの電流値で除算することにより、酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsが算出される。
スイッチSW2をオンにしてから予め設定された第1パルスオン時間(本実施形態では、60μs)が経過すると、制御部58は、スイッチSW3,SW4をオンにし、スイッチSW1,SW2をオフにする。これにより、スイッチSW2をオフにする直前における差電圧ΔVsがコンデンサC2により保持される。このため、オペアンプOP5は、スイッチSW2をオフにする直前における差電圧ΔVsを出力端子60へ出力する。
さらに、電流源55、スイッチSW3、接続配線83、酸素濃度検出セル13、接続配線81、スイッチSW3および電流源57が、この順に接続されて、一定電流+Iconstを流す電流路が形成される。これにより、一定電流+Iconstが酸素濃度検出セル13に流れる。このようにして酸素濃度検出セル13に逆極性の電流を流すことにより、酸素濃度検出セル13に生じる電圧Vsが正常な値に戻るまでの時間を短縮する。
スイッチSW3をオンにしてから予め設定された第2パルスオン時間(本実施形態では、60μs)が経過すると、制御部58は、スイッチSW3をオフにする。その後、排気ガス中の酸素濃度に応じた電圧Vsを酸素濃度検出セル13が出力することが可能となるまでの時間として予め設定された安定化待機時間が経過すると、制御部58は、スイッチSW1をオンにする。
このようにセンサ制御回路41は、排気ガス中の酸素濃度に応じたガス検出信号Vipを出力するとともに、酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsに応じた差電圧ΔVsを定期的に更新し、出力する。
このように構成されたセンサ制御装置1において、マイコン43は、後述するインピーダンス検出処理、劣化判定処理、濃度算出処理、目標補正処理およびヒータ制御処理を実行する。
次に、マイコン43が実行するインピーダンス検出処理の手順を説明する。インピーダンス検出処理は、車両のキースイッチがオン状態からオフ状態に切り替わったときに実行される処理である。なお、キースイッチがオン状態からオフ状態に切り替わることにより、エンジンECU9は、エンジン5を停止させるためのエンジン停止処理を実行する。
インピーダンス検出処理が実行されると、マイコン43は、図4に示すように、まずS10にて、センサ制御回路41から取得した最新のガス検出信号Vipに基づいて、排気ガス中の酸素濃度を算出する。そしてS20にて、S10で算出された酸素濃度が15%を超えているか否かを判断する。ここで、酸素濃度が15%以下である場合には、S10に移行する。一方、酸素濃度が15%を超えている場合には、S30にて、ポンプセル11の駆動を停止する。具体的には、マイコン43は、スイッチSW4をオフにすることを指示する通電終了指令をセンサ制御回路41の制御部58へ送信する。
そしてS40にて、一定電流−Iconstの通電を開始する。具体的には、マイコン43は、スイッチSW2をオンにするとともにスイッチSW1,SW3,SW4をオフにすることを指示する通電開始指令をセンサ制御回路41の制御部58へ送信する。
次にS50にて、RAMに設けられたタイマを起動する。このタイマは、例えば1μs毎にインクリメントするタイマであり、起動されると、その値が0からインクリメント(すなわち、1加算)する。そしてS60にて、予め設定された第1検出時間(本実施形態では60μs)が経過したか否かを判断する。具体的には、マイコン43は、タイマの値が第1検出時間に相当する値以上であるか否かを判断する。
ここで、第1検出時間が経過していない場合には、S60の処理を繰り返すことにより、第1検出時間が経過するまで待機する。そして第1検出時間が経過すると、S70にて、マイコン43に入力された最新の差電圧ΔVsを、第1差電圧ΔVs1として取得する。
さらにS80にて、予め設定された第2検出時間(本実施形態では1ms)が経過したか否かを判断する。具体的には、マイコン43は、タイマの値が第2検出時間に相当する値以上であるか否かを判断する。
ここで、第2検出時間が経過していない場合には、S80の処理を繰り返すことにより、第2検出時間が経過するまで待機する。そして第2検出時間が経過すると、S90にて、マイコン43に入力された最新の差電圧ΔVsを、第2差電圧ΔVs2として取得する。
次にS100にて、第2差電圧ΔVs2から第1差電圧ΔVs1を減算した減算値を劣化判定電圧DVsとして算出する。そしてS110にて、S100で算出された劣化判定用電圧DVsをマイコン43のフラッシュメモリに記憶する。その後、S120にて、定電流−Iconstの通電を終了して、インピーダンス検出処理を終了する。具体的には、マイコン43は、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4をオフにすることを指示する通電終了指令をセンサ制御回路41の制御部58へ送信する。
次に、マイコン43が実行する劣化判定処理の手順を説明する。劣化判定処理は、車両のキースイッチがオフ状態からオン状態に切り替わってマイコン43に電源が供給されることによりマイコン43が起動した直後に実行される。
劣化判定処理が実行されると、マイコン43は、図5に示すように、まずS210にて、最新の劣化判定用電圧DVsをフラッシュメモリから読み出す。そしてS220にて、S210で読み出した劣化判定用電圧DVsが予め設定された劣化判定値TH1以上であるか否かを判断する。ここで、劣化判定用電圧DVsが劣化判定値TH1未満である場合には、劣化判定処理を終了する。一方、劣化判定用電圧DVsが劣化判定値TH1以上である場合には、S230にて、酸素濃度検出セル13が劣化している旨を示す劣化通知をエンジンECU9へ送信し、劣化判定処理を終了する。
次に、マイコン43が実行する濃度算出処理の手順を説明する。濃度算出処理は、マイコン43の動作中において繰り返し実行される処理である。
濃度算出処理が実行されると、マイコン43は、図6に示すように、まずS310にて、マイコン43に入力された最新のガス検出信号Vipを取得する。さらにS320にて、S210にて読み出した劣化判定用電圧DVsを用いて、S310で取得したガス検出信号Vipを補正する。具体的には、マイコン43は、例えば、劣化判定用電圧DVsの値と、補正後のガス検出信号Vipの値との対応関係が設定された検出信号補正マップを参照して、ガス検出信号Vipを補正する。
そしてS330にて、上述のように、マイコン43が備えるマップまたは計算式に基づいて、S320で補正されたガス検出信号Vipに対応する酸素濃度を算出し、濃度算出処理を一旦終了する。
次に、マイコン43が実行する目標補正処理の手順を説明する。目標補正処理は、車両のキースイッチがオフ状態からオン状態に切り替わってマイコン43に電源が供給されることによりマイコン43が起動した直後に実行される。
目標補正処理が実行されると、マイコン43は、図7に示すように、まずS410にて、劣化判定用電圧DVsをフラッシュメモリから読み出す。そしてS420にて、ガスセンサ3の温度制御に用いる目標値である目標差電圧ΔVstgを補正し、目標補正処理を終了する。具体的には、マイコン43は、劣化判定用電圧DVsの値と、補正後の目標差電圧ΔVstgの値との対応関係が設定された目標差補正マップを参照して、目標差電圧ΔVstgを補正する。
次に、マイコン43が実行するヒータ制御処理の手順を説明する。ヒータ制御処理は、マイコン43の動作中において繰り返し実行される処理である。
ヒータ制御処理が実行されると、マイコン43は、図8に示すように、まずS510にて、マイコン43に入力された最新の差電圧ΔVsを取得する。さらにS520にて、S510で取得された差電圧ΔVsに基づいて、差電圧ΔVsが補正後の目標差電圧ΔVstgとなるように、ヒータ30に供給する電力のデューティ比を算出する。
そしてS530にて、S520にて算出されたデューティ比に応じたPWM制御信号をヒータ制御回路42へ出力して、ヒータ制御処理を終了する。
図9は、一定電流−Iconstの通電時間が60μs、0.3ms、1.0ms、10msおよび100msである場合における酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsの複素インピーダンスプロットである。
測定点P1,P2,P3,P4はそれぞれ、測定室28内における酸素濃度が20%である場合において、通電時間が60μs、0.3ms、1.0msおよび10msであるときのインピーダンスRpvsを示す。
測定点P11,P12,P13,P14,P15はそれぞれ、測定室28内における酸素濃度が0.1%である場合において、通電時間が60μs、0.3ms、1.0ms、10msおよび100msであるときのインピーダンスRpvsを示す。
そして、酸素濃度検出セル13のバルク抵抗は、図10の矢印AL1に示すように、一定電流−Iconstが酸素イオン伝導性固体電解質体25の内部を流れることにより発生する抵抗である。本実施形態では、酸素濃度検出セル13のバルク抵抗は、一定電流−Iconstの通電時間が60μsであるときのインピーダンスRpvsの実数部Z’と定義した。したがって、酸素濃度が20%である場合のバルク抵抗は、測定点P1におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’である。さらに、酸素濃度が0.1%である場合のバルク抵抗は、測定点P11におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’である。
また、酸素濃度検出セル13の電極抵抗は、図10の矢印AL2,AL3に示すように、一定電流−Iconstが酸素イオン伝導性固体電解質体25と検出電極26,27との界面を流れることにより発生する抵抗である。本実施形態では、酸素濃度検出セル13の電極抵抗は、一定電流−Iconstの通電時間が1.0msであるときのインピーダンスRpvsの実数部Z’から、一定電流−Iconstの通電時間が60μsであるときのインピーダンスRpvsの実数部Z’を減算した減算値と定義した。したがって、したがって、酸素濃度が20%である場合の電極抵抗は、測定点P3におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’から、測定点P1におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’を減算した減算値である。さらに、酸素濃度が0.1%である場合の電極抵抗は、測定点P13におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’から、測定点P11におけるインピーダンスRpvsの実数部Z’を減算した減算値である。
図11は、酸素濃度が20%,0.1%である場合における酸素濃度検出セル13の電極抵抗とガスセンサ3の制御温度との関係を示すグラフである。図11において、直線L1,L2はそれぞれ、酸素濃度が20%,0.1%である場合における酸素濃度検出セル13の電極抵抗とガスセンサ3の制御温度との関係を示す。図11に示すように、酸素濃度検出セル13の電極抵抗は、ガスセンサ3の制御温度の上昇に応じて線形に減少している。また、酸素濃度が20%である場合における制御温度に対する電極抵抗の変化率は、酸素濃度が0.1%である場合と比較して、同程度である。なお、ガスセンサ3の制御温度とは、ガスセンサ3に対してヒータを用いて一定温度制御を実行するために設定される目標となる温度のことをいうものである。
図12は、酸素濃度が0.1%である場合における電極抵抗比とガスセンサ3の制御温度との関係を示すグラフである。図12において、折れ線L3は、新品の状態にあるガスセンサ3を一定温度制御のもと駆動(通常駆動)させた際の酸素濃度検出セル13の電極抵抗比と制御温度との関係を示す。折れ線L4は、新品の状態にあるガスセンサ3を150時間連続駆動(連通通電)させた後における、耐久劣化後のガスセンサ3の酸素濃度検出セル13の電極抵抗比と制御温度との関係を示す。電極抵抗比は、新品の状態にあるガスセンサ3を駆動させた際の酸素濃度検出セル13であって、制御温度が695℃であるときの電極抵抗値で規格化した値である。
図12の矢印AL11に示すように、新品の状態にあるガスセンサ3を一定温度制御のもと駆動させたときと、ガスセンサ3を一定温度制御のもと150時間連通駆動させた後とを比較すると、同じ電極抵抗比であるときの制御温度の差が5℃程度である。すなわち、酸素濃度が0.1%である場合には、酸素濃度検出セル13の電極抵抗とガスセンサ3の制御温度との対応関係が大きく変化し、電極抵抗と制御温度に相関が得られない傾向にある。
図13は、酸素濃度が20%である場合における電極抵抗比とガスセンサ3の制御温度との関係を示すグラフである。図13において、折れ線L5は、新品の状態にあるガスセンサ3を一定温度制御のもと駆動(通常駆動)させた際の酸素濃度検出セル13の電極抵抗比と制御温度との関係を示す。折れ線L6は、新品の状態にあるガスセンサ3を150時間連続駆動(連通通電)させた後における酸素濃度検出セル13の電極抵抗比と制御温度との関係を示す。
例えば図13における測定点P11と測定点P12とで示すように、新品の状態にあるガスセンサ3を一定温度制御のもと駆動させたときと、ガスセンサ3を一定温度制御のもと150時間連続駆動させた後とを比較すると、同じ電極抵抗比であるときの制御温度の差が1℃程度である。すなわち、酸素濃度が20%である場合には、酸素濃度検出セル13の電極抵抗とガスセンサ3の制御温度との対応関係の変化は小さく、電極抵抗と制御温度に相関が得られる傾向にある。
このように構成されたセンサ制御装置1は、ガスセンサ3を制御する。ガスセンサ3は、排気ガスが導入される測定室28と、酸素濃度検出セル13と、ポンプセル11とを備える。
酸素濃度検出セル13は、酸素イオン伝導性固体電解質体25と、酸素イオン伝導性固体電解質体25上に形成された一対の検出電極26,27とを有する。検出電極26が測定室28に面して配置され、検出電極27が基準ガス雰囲気に設定される基準ガス室29に配置されて、測定室28と基準ガス室29との間の酸素分圧差に応じた電圧を発生させる。
ポンプセル11は、酸素イオン伝導性固体電解質体21と、酸素イオン伝導性固体電解質体21上に形成された一対のポンプ電極22,23とを有する。ポンプ電極23が測定室28に面して配置されて、一対のポンプ電極22,23の間に流れるポンプ電流に応じて、測定室28内に導入された排気ガスに含まれる酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う。センサ制御装置1は、酸素濃度検出セル13の一対の検出電極26,27間に生じる電圧が、制御目標電圧として設定される第1目標電圧(本実施形態では450mV)となるように、ポンプセル11の一対のポンプ電極22,23の間に流すポンプ電流の通電状態を制御する。
センサ制御装置1は、測定室28に含まれる酸素の濃度が15%を超えているか否かを判断する。センサ制御装置1は、酸素濃度が15%を超えていると判断した場合に、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セル13に流す。
センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第1差電圧ΔVs1を検出する。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第2差電圧ΔVs2を検出する。
このようにセンサ制御装置1は、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstを流してから第1検出時間および第2検出時間が経過した時点で、それぞれ第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2を検出する。このため、センサ制御装置1は、ガスセンサ3の劣化を判断するために必要な情報(すなわち、第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2)を短時間で取得することができ、これにより、ガスセンサ3の劣化を短時間で検出することができる。
またセンサ制御装置1は、測定室28に含まれる酸素の濃度が15%を超えている場合に、第1セル電圧および第2セル電圧を検出する。これにより、センサ制御装置1は、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れる時間が長くなっても、図13に示すように、酸素濃度検出セル13の電極抵抗とガスセンサ3の制御温度との対応関係の変動を抑制することができる。つまり、測定室28に含まれる酸素の濃度が15%を超えていることを示す劣化検出条件が成立した際に、第1セル電圧および第2セル電圧を検出することが、ガスセンサ3の劣化の検出精度を高める観点から好ましい。なお、第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2は、酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsに応じて変化する。そして、上述のように、酸素濃度検出セル13のインピーダンスRpvsは、少なくともバルク抵抗と電極抵抗とを含んでいる。このため、センサ制御装置1は、ガスセンサ3の劣化の検出精度を向上させることができる。
またセンサ制御装置1は、第2差電圧ΔVs2から第1差電圧ΔVs1を減算した減算値を劣化判定電圧DVsとして、劣化判定電圧DVsに基づいて、ガスセンサ3の劣化を判断する。これにより、センサ制御装置1は、精度良くガスセンサ3の劣化を検出することができる。
またセンサ制御装置1は、劣化判定用電圧DVsに基づいてガス検出信号Vipを補正する。これにより、センサ制御装置1は、ガスセンサ3に劣化によりインピーダンスRpvsの変動が生じていても、酸素濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
またセンサ制御装置1は、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セル13に流す。そ
してセンサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1パル
スオン時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れて
いることにより酸素濃度検出セル13に発生する差電圧ΔVsを検出する。
またセンサ制御装置1は、差電圧ΔVsを用いて、酸素濃度検出セル13およびポンプセル11を加熱するヒータ30の通電を制御する。そしてセンサ制御装置1は、劣化判定用電圧DVsに基づいて目標差電圧ΔVstgを補正することにより、ヒータ30の通電制御を補正する。
これにより、センサ制御装置1は、ガスセンサ3の劣化に起因して差電圧ΔVsが変動した場合であっても、ヒータ30によるガスセンサ3の温度制御の精度低下を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、排気ガスは被測定ガスに相当し、酸素イオン伝導性固体電解質体25は第1固体電解質体に相当し、検出電極26,27は一対の第1電極に相当する。
また、酸素イオン伝導性固体電解質体21は第2固体電解質体に相当し、ポンプ電極22,23は一対の第2電極としての処理に相当する。
また、S20は条件判断部としての処理に相当し、S40は検出用通電部としての処理に相当し、S60,S70は第1検出部としての処理に相当し、S80,S90は第2検出部としての処理に相当する。
また、一定電流−Iconstは劣化検出用電流に相当し、第1差電圧ΔVs1は第1セル電圧に相当し、第2差電圧ΔVs2は第2セル電圧に相当する。
また、S220は劣化判断部としての処理に相当し、S320はポンプ電流補正部としての処理に相当する。
また、スイッチSW2、電流源54,56および制御部58はインピーダンス検出用通電部に相当し、オペアンプOP3は第3検出部に相当し、S510〜S530はヒータ制御部としての処理に相当し、S410〜S420は制御補正部としての処理に相当する。
また、一定電流−Iconstはインピーダンス検出用電流に相当し、第1パルスオン時間は第3検出時間に相当し、差電圧ΔVsは第3セル電圧に相当し、目標差電圧ΔVstgはヒータを制御するための制御量の目標値に相当する。
(第2実施形態)
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
第2実施形態のセンサ制御装置1は、インピーダンス検出処理が変更された点が第1実施形態と異なる。
第2実施形態のインピーダンス検出処理は、S10〜S30の代わりにS810〜S830の処理を実行する点が第1実施形態と異なる。
すなわち、第2実施形態のインピーダンス検出処理が実行されると、マイコン43は、図14に示すように、まずS810にて、S30と同様にして、ポンプセル11の駆動を停止する。そしてS820にて、S50と同様にして、RAMに設けられたタイマを起動する。その後、S830にて、予め設定された検出開始時間(本実施形態では、例えば1秒)が経過したか否かを判断する。具体的には、マイコン43は、タイマの値が検出開始時間に相当する値以上であるか否かを判断する。
ここで、検出開始時間が経過していない場合には、S830の処理を繰り返すことにより、検出開始時間が経過するまで待機する。そして、検出開始時間が経過すると、S40に移行する。
このように構成されたセンサ制御装置1は、車両のエンジン5が停止すると、ポンプセル11による酸素の汲み出しまたは汲み入れを停止させる。そしてセンサ制御装置1は、エンジン5が停止してから予め設定された検出開始時間が経過していると判断した場合に、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セル13に流す。
さらにセンサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第1差電圧ΔVs1を検出する。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第2差電圧ΔVs2を検出する。
このようにセンサ制御装置1は、エンジン5が停止してから予め設定された検出開始時間が経過することにより、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなったと判断できるため、第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2を検出する。これにより、センサ制御装置1は、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなった(例えば、酸素の濃度15%を超えている)雰囲気下において第1セル電圧および第2セル電圧を検出することができ、ガスセンサ3の劣化の検出精度を向上させることができる。

以上説明した第2実施形態において、S810はポンプセル停止部としての処理に相当し、S830は条件判断部としての処理に相当する。
(第3実施形態)
以下に本開示の第3実施形態を図面とともに説明する。なお第3実施形態では、第2実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
第3実施形態のセンサ制御装置1は、インピーダンス検出処理が変更された点が第2実施形態と異なる。
第3実施形態のインピーダンス検出処理は、S820,S830の代わりにS825,S835の処理を実行する点が第2実施形態と異なる。
すなわち、第3実施形態のインピーダンス検出処理では、マイコン43は、図15に示すように、S810の処理が終了すると、S825にて、端子Vs+の電圧と端子COMの電圧との差をセル電圧Vsとして算出する。そしてS835にて、S825で算出されたセル電圧Vsが予め設定された検出開始電圧(本実施形態では、例えば0.1V)以下であるか否かを判断する。
ここで、セル電圧Vsが検出開始電圧を超えている場合には、S825に移行する。一方、セル電圧Vsが検出開始電圧以下である場合には、S40に移行する。
このように構成されたセンサ制御装置1は、エンジン5が停止し、且つ、セル電圧Vsが予め設定された検出開始電圧以下であると判断した場合に、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セル13に流す。
さらにセンサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第1差電圧ΔVs1を検出する。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第2差電圧ΔVs2を検出する。
このようにセンサ制御装置1は、セル電圧Vsが予め設定された検出開始電圧以下になり、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなったと判断できるため、第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2を検出する。これにより、センサ制御装置1は、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなった(例えば、酸素の濃度15%を超えている)雰囲気下において第1セル電圧および第2セル電圧を検出することができ、ガスセンサ3の劣化の検出精度を向上させることができる。
以上説明した第3実施形態において、S835は条件判断部としての処理に相当する。
(第4実施形態)
以下に本開示の第4実施形態を図面とともに説明する。なお第4実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。
第4実施形態のセンサ制御装置1は、インピーダンス検出処理が変更された点が、まず、第1実施形態と異なる。また、第1実施形態のインピーダンス検出処理は、車両のキースイッチがオン状態からオフ状態に切り替わったときに実行される処理であったが、第4実施形態では、車両のキースイッチがオン状態のまま実行される処理となっており、濃度算出処理が変更されている点も、第1実施形態と異なる。
具体的に、センサ制御装置1は、エンジンECU9から送信されるインピーダンス検出処理のための処理実行信号を受信することにより、インピーダンス検出処理が実行されるように構成されている。エンジンECU9が上記処理実行信号を送信する条件は、エンジンECU9にて任意に設定すればよいが、例えば、車両の走行距離が特定距離(例えば、3000km)を更新する毎に処理実行信号を送信したり、車両の駆動時間が一定時間を更新する毎に処理実行信号を送信したり、または、車両が特定の運転状態を満たしたときに処理実行信号を送信したりする条件を設定すればよい。なお、本実施形態では、車両の走行距離が特定距離を更新する毎にエンジンECU9が処理実行信号をセンサ制御装置1に送信し、センサ制御装置1は処理実行信号を受信することでインピーダンス検出処理を実行するように構成されている。
まず、第4実施形態の濃度算出処理について、図16を用いて説明する。第4実施形態の濃度算出処理では、第1実施形態のS310〜S330の処理に加えて、S910〜SS930の処理を実行する点が追加されている。第4実施形態の濃度算出処理が実行されると、マイコン43は、まずS910にて、インピーダンス検出処理が実行されているか否かを判断する。S910にてインピーダンス検出処理が実行されていないと判断される(S910:NO)と、S920に移行し、ポンプ電流Ipの大きさをPID制御するための制御目標電圧を第1目標電圧(本実施形態では450mV)に設定する。マイコン43は、S920の処理を実行した後、第1実施形態のS310〜S330の処理を順に実行する。
一方、S910にて、インピーダンス検出処理が実行されていると判断される(S910:YES)と、S930に移行し、ポンプ電流Ipの大きさをPID制御するための制御目標電圧を第2目標電圧(本実施形態では20mV)に設定し、濃度算出処理を終了する。なお、この濃度算出処理は、本第4実施形態では、車両のキースイッチがオン状態である期間は、所定間隔毎に繰り返し実行される。
ここで、制御目標電圧が第1目標電圧(本実施形態では450mV)に設定された場合には、センサ制御装置1は、第1実施形態でも説明したように、測定室28の雰囲気が理論空燃比と同じ状態になるようにポンプセル11に流すポンプ電流Ipの通電状態を制御する。この第1目標電圧は、ガスセンサ3による酸素濃度の検出期間に設定される制御目標電圧に相当する。
一方、制御目標電圧が第1目標電圧よりも低い電圧値である第2目標電圧(本実施形態では20mV)に設定された場合には、センサ制御装置1は、測定室28の酸素の濃度が理論空燃比よりも高くなるようにポンプ電流Ipを流す通電制御を行なう。このように制御目標電圧が第2目標電圧に設定されたもとでは、センサ制御装置1は、制御目標電圧が第1目標電圧に設定された場合よりも、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなるようにガスセンサ3を通電制御する。この第2目標電圧は、後述するが、ガスセンサ3の劣化検出期間に設定される制御目標電圧に相当する。
次いで、第4実施形態のインピーダンス検出処理について、図17を用いて説明する。第4実施形態のインピーダンス検出処理では、S10〜S30の代わりにS955,S965,S975の処理を実行する点が第1実施形態と異なっている。すなわち、第4実施形態のインピーダンス検出処理が実行されると、マイコン43は、まずS955にて、制御目標電圧が第2目標電圧に切り替わっているか否かを判断する。上記したように、センサ制御装置1は、エンジンECU9からインピーダンス検出処理のための処理実行信号を受信すると、図15に示した濃度検出処理のS910、S920の処理を通じて制御目標電圧が第2目標電圧に設定されるようになっており、インピーダンス検出処理では、濃度検出処理のもと制御目標電圧が第1目標電圧から第2目標電圧に切り替わっているか否かを判断する。制御目標電圧が第2目標電圧に切り替わっていない場合には、S955の処理を繰り返すことにより、第2目標電圧に切り替わるまで待機する。そして、制御目標電圧が第2目標電圧に切り替わっていると判断されると、S965に移行する。
S965では、RAMに設けられたタイマを起動する。その後、S965にて、予め設定された安定化時間(本実施形態では5秒)が経過したか否かを判断する。具体的には、マイコン43は、タイマの値が安定化時間に相当する値以上であるか否かを判断する。ここで、安定化時間が経過していない場合には、S975の処理を繰り返すことにより、安定化時間が経過するまで待機する。そして、安定化時間が経過すると、S40に移行し、それ以降第1実施形態と同様にS50〜S120の処理を、順次、マイコン43が実行する。
このように構成されたセンサ制御装置1は、エンジンECU9からインピーダンス検出処理のための処理実行信号を受信すると、制御目標電圧を第1目標電圧から第2目標電圧に切り替える。そしてセンサ制御装置1は、第2目標電圧に制御目標電圧を設定したもとでポンプ電流Ipの通電状態を制御し、測定室28に含まれる酸素の濃度を高める。センサ制御装置1は、制御目標電圧が第1目標電圧から第2目標電圧に切り替わってから予め設定された安定化時間が経過していると判断している場合に、一定電流−Iconstを酸素濃度検出セル13に流す。
さらにセンサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第1差電圧ΔVs1を検出する。センサ制御装置1は、一定電流−Iconstを流してから第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、酸素濃度検出セル13に一定電流−Iconstが流れていることにより酸素濃度検出セル13に発生する第2差電圧ΔVs2を検出する。
このようにセンサ制御装置1は、S955およびS975の2つの判断条件が肯定される(S955:YES、且つ、S975:YES)ことにより、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなったと判断できるため、第1差電圧ΔVs1および第2差電圧ΔVs2を検出する。これにより、センサ制御装置1は、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなった雰囲気下において第1セル電圧および第2セル電圧を検出することができ、ガスセンサ3の劣化の検出精度を向上させることができる。
以上説明した第4実施形態において、濃度検出処理のS910〜S930は目標電圧設定部としての処理に相当し、S955およびS975の2つが条件判断部としての処理に相当する。なお、第4実施形態では、条件判断部としての処理として、ガスセンサ3の劣化の検出精度が安定して向上するようにS955およびS75の2つの判定条件を用いたが、測定室28に含まれる酸素の濃度が高くなった雰囲気下でガスセンサ3の劣化検出を実行すれば、劣化検出の精度が向上する効果は期待できるため、図17に示したインピーダンス検出処理から、S965およびS975の処理を省略して、S955のみを条件判断部としての処理に用いるようにしてもよい。
(第5実施形態)
以下に本開示の第5実施形態を図面とともに説明する。なお第5実施形態では、上記した第3実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。第5実施形態のセンサ制御装置1は、インピーダンス検出処理が変更された点が第3実施形態と異なる。
第5実施形態のインピーダンス検出処理は、第3実施形態のS70とS80との処理の間に、S1010〜S1050の処理を追加した点が異なる。第3実施形態では、酸素濃度検出セル13に対して一定電流−Iconstを流してから第1検出時間が経過した時点の第1差電圧ΔVs1を取得し、その後に一定電流−Iconstを通電し続けて、第2検出時間が経過して時点の第2差電圧ΔVs2を取得する態様であったが、第5実施形態では、第1差電圧ΔVs1を取得するための一定電流−Iconstの通電と、第2差電圧ΔVs2を取得するための一定電流−Iconstの通電とを、別々に実行するようにしている。
第5実施形態のインピーダンス検出処理が実行されると、マイコン43は、図18に示すように、第1実施形態と同様のS810〜S70の処理を実行する。そしてS70の処理が終了すると、S1010に移行し、定電流−Iconstの通電を終了する。その後、S1020に移行し、S825と同様に、セル電圧Vsを算出し、S1030にて、S1020で算出されたセル電圧Vsが予め設定された検出開始電圧(本実施形態では、例えば0.1V)以下であるか否かを判断する。セル電圧Vsが検出開始電圧以下である場合には、S1030の処理を繰り返す。一方、セル電圧Vsが検出開始電圧を超えている場合には、S1040に移行して、一定電流−Iconstの通電を、再度、開始する。そして、S1050に移行し、RAMに設けられたタイマをリセットし、再起動する。第1差電圧ΔVs1は既にS70にて取得しているため、S1050の処理終了後は、S80に進み、それ以降は第3実施形態と同様のS80〜S120の処理を順次実行し、インピーダンス検出処理を終了する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記実施形態では、ガスセンサとして酸素センサを用いるものを説明したが、酸素以外のガス(例えば、NOxなど)を検出するガスセンサであってもよい。例えば、ポンプセルと酸素濃度検出セルとの間に設けられる測定室と連通する第2の測定室を設けると共に、第2の測定室の内外に一対の電極を有する第2のポンプセルを設けたNOxセンサに対して、本発明を適用してもよい。このNOxセンサでは、ポンプセル11によって測定室中の酸素濃度が所定濃度に調整され、この酸素濃度が調整されたガスが第2の測定室に導入される。そして、第2のポンプセルの一対の電極間に所定の電圧値を印加することで、第2の測定室に導入されたガス中のNOxが解離し、解離によって生じた酸素に応じて第2のポンプセルに電流が流れることになる。この第2のポンプセルに流れる電流がNOx濃度と相関があるため、被測定ガス中のNOxを検出することができる。このようなNOxセンサにおいても、ポンプセルと酸素濃度検出セルとの間に配置される測定室に含まれる酸素の濃度が高いことを示す予め設定された劣化検出条件が成立したと判断した際に、上記したように、酸素濃度検出セルを通じて取得される第1セル電圧および第2セル電圧を用いることで、NOxセンサの劣化検出の精度を向上させることができる。
また、上記実施形態で説明したポンプセル11と酸素濃度検出セル13とを有するセンサ素子10の構造も当該実施形態のものに限定されるものではない。例えば、酸素濃度検出セル13に一定の微小電流Icpを流す構成を廃止し、酸素濃度検出セル13の検出電極27が排気ガスには晒されず基準ガス雰囲気(例えば大気)に晒されるように、センサ素子10自身に大気を導入する流路としての基準ガス室を設けた構成を採用し、検出電極26、27間に酸素分圧差に応じた電圧を発生させるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、劣化判定処理等を行うために、劣化判定用電圧Dvsを記憶させて使用する態様としたが、劣化判定用電圧Dvsをインピーダンス値に変換して記憶させて使用する態様を採ってもよい。その場合、劣化判定処理のS220に用いられる劣化判定値TH1や目標補正処理のS420で補正される目標差電圧ΔVstgもインピーダンスに対応した値として適宜設定すれば良い。
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
上述したセンサ制御装置1の他、当該センサ制御装置1を構成要素とするシステム、当該センサ制御装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、センサ制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
1…センサ制御装置、3…ガスセンサ、11…ポンプセル、13…酸素濃度検出セル、21…酸素イオン伝導性固体電解質体、22,23…ポンプ電極、25…酸素イオン伝導性固体電解質体、26,27…検出電極、28…測定室、29…基準ガス室、43…マイクロコンピュータ

Claims (10)

  1. 被測定ガスが導入される測定室と、
    第1固体電解質体と、前記第1固体電解質体上に形成された一対の第1電極とを有し、一対の前記第1電極のうち一方の前記第1電極が前記測定室に面して配置され、他方の前記第1電極が基準ガス雰囲気に設定される基準ガス室に配置されて、前記測定室と前記基準ガス室との間の酸素分圧差に応じた電圧を発生させる酸素濃度検出セルと、
    第2固体電解質体と、前記第2固体電解質体上に形成された一対の第2電極とを有し、一対の前記第2電極のうち一方の前記第2電極が前記測定室に面して配置されて、一対の前記第2電極の間に流れるポンプ電流に応じて、前記測定室内に導入された前記被測定ガスに含まれる酸素の汲み出しまたは汲み入れを行うポンプセルと、を備えるガスセンサに接続されるとともに、前記酸素濃度検出セルに生じる前記電圧が、制御目標電圧として設定される第1目標電圧となるように、前記ポンプセルに流す前記ポンプ電流を通電制御するセンサ制御装置であって、
    前記測定室に含まれる酸素の濃度が高いことを示す予め設定された劣化検出条件が成立したか否かを判断するように構成された条件判断部と、
    前記劣化検出条件が成立したと前記条件判断部が判断した場合に、予め設定された一定の電流値を有する劣化検出用電流を前記酸素濃度検出セルに流すように構成された検出用通電部と、
    前記検出用通電部が前記酸素濃度検出セルに前記劣化検出用電流を流してから予め設定された第1検出時間が経過した時点で、前記酸素濃度検出セルに前記劣化検出用電流が流れていることにより前記酸素濃度検出セルに発生する第1セル電圧を検出するように構成された第1検出部と、
    前記検出用通電部が前記酸素濃度検出セルに前記劣化検出用電流を流してから前記第1検出時間より長くなるように予め設定された第2検出時間が経過した時点で、前記酸素濃度検出セルに前記劣化検出用電流が流れていることにより前記酸素濃度検出セルに発生する第2セル電圧を検出するように構成された第2検出部と
    を備えるセンサ制御装置。
  2. 請求項1に記載のセンサ制御装置であって、
    前記劣化検出条件は、前記測定室に含まれる酸素の濃度が予め設定された検出開始判定値を超えることであるセンサ制御装置。
  3. 請求項1に記載のセンサ制御装置であって、
    当該センサ制御装置を搭載する車両のエンジンが停止すると、前記ポンプセルによる酸素の汲み出しまたは汲み入れを停止させるように構成されたポンプセル停止部を備え、
    前記劣化検出条件は、前記エンジンが停止してから予め設定された検出開始時間が経過することであるセンサ制御装置。
  4. 請求項1に記載のセンサ制御装置であって、
    当該センサ制御装置を搭載する車両のエンジンが停止すると、前記ポンプセルによる酸素の汲み出しまたは汲み入れを停止させるように構成されたポンプセル停止部を備え、
    前記劣化検出条件は、当該センサ制御装置を搭載する車両のエンジンが停止し、且つ、前記酸素濃度検出セルに発生する電圧が予め設定された検出開始電圧以下であることであるセンサ制御装置。
  5. 請求項1に記載のセンサ制御装置であって、
    前記ガスセンサによる特定ガス成分の濃度検出期間には、前記制御目標電圧として前記第1目標電圧を設定する一方、前記ガスセンサの劣化検出期間には、前記第1目標電圧と異なる電圧値である第2目標電圧に設定する目標電圧設定部を備え、
    前記第2目標電圧は、前記酸素濃度検出セルに生じる前記電圧が、前記第1目標電圧となるように前記ポンプ電流が通電制御された場合よりも、前記測定室に含まれる酸素の濃度が高くなるように前記ポンプ電流を通電制御させられる電圧値であり、
    前記劣化検出条件は、前記目標電圧設定部にて前記制御目標電圧が前記第1目標電圧から前記第2目標電圧に切り替えられることであるセンサ制御装置。
  6. 請求項5に記載のセンサ制御装置であって、
    前記劣化検出条件は、前記目標電圧設定部にて前記制御目標電圧が前記第1目標電圧から前記第2目標電圧に切り替えられ、且つ、前記制御目標電圧が第2電圧に設定されてから予め設定された安定化時間が経過することであるセンサ制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のセンサ制御装置であって、
    前記第2セル電圧から前記第1セル電圧を減算した減算値を劣化判定電圧として、前記劣化判定電圧に基づいて、前記ガスセンサの劣化を判断するように構成された劣化判断部を備えるセンサ制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のセンサ制御装置であって、
    前記第1セル電圧および前記第2セル電圧に基づいて前記ポンプ電流の電流値を補正するように構成されたポンプ電流補正部を備えるセンサ制御装置。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のセンサ制御装置であって、
    予め設定された一定の電流値を有するインピーダンス検出用電流を前記酸素濃度検出セルに流すように構成されたインピーダンス検出用通電部と、
    前記インピーダンス検出用通電部が前記酸素濃度検出セルに前記インピーダンス検出用電流を流してから予め設定された第3検出時間が経過した時点で、前記酸素濃度検出セルに前記インピーダンス検出用電流が流れていることにより前記酸素濃度検出セルに発生する第3セル電圧を検出するように構成された第3検出部と、
    前記第3検出部により検出された前記第3セル電圧を用いて、前記酸素濃度検出セルおよび前記ポンプセルを加熱するヒータの通電を制御するように構成されたヒータ制御部と、
    前記第1セル電圧および前記第2セル電圧に基づいて、前記ヒータ制御部による制御を補正するように構成された制御補正部と
    を備えるセンサ制御装置。
  10. 請求項9に記載のセンサ制御装置であって、
    前記制御補正部は、前記第1セル電圧および前記第2セル電圧に基づいて、前記ヒータを制御するための制御量の目標値を補正することにより、前記ヒータ制御部による制御を補正するセンサ制御装置。
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