JP5795998B2 - ガスセンサ制御装置 - Google Patents
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Description
一方、上述の目標電圧を変更すれば、測定室で起電力セルが晒されるガス雰囲気を、理論空燃比相当の雰囲気に対してリッチ状態やリーン状態に制御することが可能である。従って、ガス雰囲気を変えて、素子抵抗を取得することが可能である。
そこで、このガスセンサ制御装置では、起電力セル電圧の目標電圧を変更して、電流制御手段でポンプ電流を制御することにより、ガス雰囲気の異なる2つの状態を作り出し、これらの状態における上述の第1素子抵抗と第2素子抵抗との差分を用いて、検出素子の劣化を検知する劣化検知手段を備えている。かくして、これら第1素子抵抗と第2素子抵抗との差分から、ガスセンサの検出素子の劣化を検知することができる。
ところで、前述したように、第1素子抵抗及び第2素子抵抗を取得する際には、第1目標電圧あるいは第2目標電圧を起電力セル電圧の目標電圧に設定する。このため、第1素子抵抗あるいは第2素子抵抗の値は、基準目標電圧を目標電圧としたときの被制御素子抵抗の値とは異なる。従って、被制御素子抵抗に代えて、第1素子抵抗あるいは第2素子抵抗を用いてヒータの通電制御をすることはできない。
これに対し、このガスセンサ制御装置では、第1期間中及び第2期間中は、抵抗値代替手段により、予め定めた抵抗値を被制御素子抵抗として用いてヒータへの通電を制御する。これにより、検出素子の素子温度を適切に維持しつつ、第1素子抵抗及び第2素子抵抗を取得することができ、検出素子の劣化をさらに適切に検知することができる。
ガスセンサ2は、車両(図示しない)の内燃機関ENG(エンジン)の排気管EPに装着され、排気ガスEG(被測定ガス)中の酸素濃度(空燃比)を検出して、内燃機関ENGにおける空燃比フィードバック制御に用いる空燃比センサ(全領域酸素センサ)である。このガスセンサ2は、図2に示すように、酸素濃度を検出するセンサ素子部3(検出素子)、及びセンサ素子部3を加熱するヒータ部80(ヒータ)を有する。
ガスセンサ制御装置1は、このガスセンサ2に接続され、これを制御する。また、ガスセンサ制御装置1は、接続バス101を介して、車両のCANバス102に接続され、ECU100との間でデータの送受信が可能とされている。ガスセンサ制御装置1は、マイクロプロセッサ30と、ガスセンサ2のセンサ素子部3を制御するセンサ素子部制御回路40と、ヒータ部80を制御するヒータ部制御回路70とを備えている。
同様に、起電力セル24は、板状でジルコニアを主体とした酸素イオン伝導性を有する固体電解質体からなる電解質層24cを基体とし、その両面に多孔質の白金を主体とする一対の電極22,28(多孔質電極)が形成されている。具体的には、電解質層24cの一方の面(図中、下方)である外面24Eに外電極28が、他方の面(図中、上方)である内面24Iに内電極22が、それぞれ形成されている。
センサ素子部3の端子COMは、接続経路43及び抵抗器Rを介してVcent点に接続している。また、端子Ip+は、接続経路42を介して、第2オペアンプOP2の出力端子に接続している。さらに、端子Vs+は、接続経路41を介して、第4オペアンプOP4の非反転入力端子+に接続している。また、端子Vs+は、定電流源回路62にも接続している。この定電流源回路62は、前述した一定の微小電流Icpを起電力セル24に流す。
また、第2オペアンプOP2のうち、一方の入力端子はVcent点に接続され、他方の入力端子には基準電圧Vc(=+3.6V)が印加されている。そして、前述の通り、出力端子は接続経路42を介して、センサ素子部3の端子Ip+に接続されている。なお、Vcent点は、PID制御回路69の基準端子RTにも接続されている。
マイクロプロセッサ30は、このガス検出信号(酸素濃度信号)VipをA/D入力ポート31を通じ、デジタル値に変換して取得すると共に、取得した値を接続バス101を通じて、ECU100に向けて送出する。
センサ素子部制御回路40において、第1オペアンプOP1は、第1スイッチSW1及びコンデンサC1と共にサンプルホールド回路を形成している。電圧変化量ΔVsの検出動作を行う際には、第1スイッチSW1は、制御部59によりオン状態からオフ状態に切り換えられる。これにより、このサンプルホールド回路は、電圧変化量ΔVsの検出動作を行う直前のセンサ素子部3の端子Vs+(起電力セル24の電極28)の電位(第4オペアンプOP4の出力)を保持する。このため、電圧変化量ΔVsの検出動作を行っている間(第1スイッチSW1がオン状態の間)は、電圧変化量ΔVsの検出動作を行う直前の端子Vs+の電位(第1オペアンプOP1に保持されたホールド電圧)が、PID制御回路69に入力され、このホールド電圧に応じたガス検出信号Vipが、ガス検出信号出力端子44から出力される。
なお、電圧変化量ΔVsの検出動作中、即ち、第2スイッチSW2がオン状態となる期間は、制御部59により制御され、本実施形態では、60μsecとされている。しかし、第2スイッチSW2がオフ状態となった後も、電圧変化量ΔVsは第5オペアンプOP5に保持されている。このため、マイクロプロセッサ30は、電圧変化量ΔVsの検出動作中(60μsec間)に電圧変化量ΔVsを取得する必要はなく、第2スイッチSW2がオフ状態となった後の任意のタイミングで、保持された電圧変化量ΔVsを取得することができる。
なお、このとき検知された素子抵抗Rpvs、即ち、起電力セル電圧Vsが基準目標電圧Vrf(=450mV)となるようにポンプ電流Ipを制御した状態での素子抵抗Rpvsの値を被制御素子抵抗Rfとする。そして、この被制御素子抵抗Rfが所定の目標抵抗値Rtaとなるように、ヒータ部制御回路70によって、ヒータ部80への通電がフィードバック制御され、センサ素子部3が所定の活性化温度となるように加熱される。
ところで、検知される素子抵抗Rpvsの値は、空燃比の違い(ガス雰囲気)の影響を受ける。また、ガス雰囲気が異なる2つの状態で検知された素子抵抗Rpvsについて、その差分を取ると、劣化後の差分は、劣化前の差分に比べて大きくなる。
そこで、このガスセンサ制御装置1では、起電力セル電圧Vsの目標電圧Vrを、基準目標電圧Vrf=450mVから変更することにより、測定室20中のガス雰囲気を異なる2つの状態とし、それぞれの状態で素子抵抗Rpvsを取得して、その差分を取ることで、センサ素子部3(検出素子)の劣化の度合いを示す劣化度IDを得ている。
また、他方の状態は、具体的には、第2目標電圧Vr2=200mVを起電力セル電圧Vsの目標電圧Vrとして、ポンプ電流Ipを制御することにより、測定室20中のガス雰囲気をリーン状態としている。そして、この状態(リーン状態)で素子抵抗Rpvsを取得し、この値を第2素子抵抗Rpvs2とする。
そして、これら第1素子抵抗Rpvs1と第2素子抵抗Rpvs2との差分ΔRpvs(=Rpvs1−Rpvs2)から、劣化度IDを算出する。なお、本実施形態では、差分ΔRpvsをそのまま劣化度IDとしている(ID=ΔRpvs)。
さらに、算出した劣化度IDに基づいて素子温度が一定値に維持されるように目標抵抗値Rtaを補正する。具体的には、本実施形態では、マイクロプロセッサ30のメモリ(不図示)内に別途記憶していたテーブルを参照して、劣化度IDに対応する補正された目標抵抗値Rtaを得る。
図6に示す制御プログラムは、マイクロプロセッサ30が実行するメインルーチンからの呼び出しで実行されるプログラムであり、劣化検知処理の他に、ガス検出信号Vipの取得、素子抵抗Rpvsの取得、ヒータ部80の通電制御等を含んでいる。
そして、ステップS1では、ガス検出信号Vip(酸素濃度)を10msec毎に取得する。このガス検出信号Vipの値は、別途、接続バス101を通じて、ECU100に向けて送出される。
ステップS3では、センサ素子部制御回路40により、電圧変化量ΔVsを検出し、この電圧変化量ΔVsから起電力セル24の素子抵抗Rpvsを取得する。
そして、ステップS7では、計測モード値Fが0または1のいずれであるかを判断する。前述の通り、初期化処理ルーチンで、F=0に初期化されているので、最初は、ステップS8に進む。
そして、ステップS20に進み、ヒータ制御を行った後、本制御プログラムを一旦終了する。
ステップS10では、ステップS3で取得した素子抵抗Rpvsの値を、第1素子抵抗Rpvs1として保存する(Rpvs1=Rpvs)。
次いで、ステップS11では、計測モード値Fを1に変更する。そして、続くステップS12で目標電圧Vrを基準目標電圧Vrf(=450mV)に戻し、ステップS13でカウント値Cを0にリセットする。これにより、目標電圧Vrを第1目標電圧Vr1としていた第1期間TD1が終了する。
そして、ステップS20に進み、ヒータ制御を行った後、本制御プログラムを終了する。
ステップS14では、起電力セル電圧Vsの目標電圧Vrが第2目標電圧Vr2(=200mV)に変更済みであるか否かを判断する。まだ、目標電圧Vrが第2目標電圧Vr1(=200mV)に変更されていない場合(No)は、ステップS15に進み、目標電圧Vrを第2目標電圧Vr2(=200mV)に変更する(第2期間TD2開始)。これにより、起電力セル電圧Vsが第2目標電圧Vr1(=200mV)となるように、ポンプ電流Ipが制御される。
そして、ステップS20に進み、ヒータ制御を行った後、本制御プログラムを一旦終了する。
ステップS16では、ステップS3で取得した素子抵抗Rpvsの値を、第2素子抵抗Rpvs2として保存する(Rpvs2=Rpvs)。
次いで、ステップS17では、第1素子抵抗Rpvs1と第2素子抵抗Rpvs2との差分ΔRpvs(=Rpvs1−Rpvs2)から劣化度IDを算出する。本実施形態では、差分ΔRpvsをそのまま劣化度IDとする(ID=ΔRpvs)。
そして、続くステップS18では、マイクロプロセッサ30のメモリ(不図示)内のテーブルを参照して、劣化度IDに対応する補正された目標抵抗値Rtaを得る(目標抵抗値Rtaを補正する)。
次いで、ステップS19では、計測モード値Fを0にリセットする。そして、ステップS12に進み、目標電圧Vrを基準目標電圧Vrf(=450mV)に戻し、ステップS13でカウント値Cを0にリセットする。これにより、目標電圧Vrを第2目標電圧Vr2としていた第2期間TD2が終了すると共に、劣化検知処理が完了する。
そして、ステップS20に進み、ヒータ制御を行った後、本制御プログラムを終了する。
また、センサ素子部制御回路40のPID制御回路69が、電流制御手段に相当し、さらに、センサ素子部制御回路40のうち、PID制御回路69の基準定電圧源69a、第1定電圧源69b1、第2定電圧源69b2及びアナログマルチプレクサMUX1、制御部59並びに、ステップS9,S15,S12を実行しているマイクロプロセッサ30が、目標電圧設定手段に相当する。また、このうち、ステップS12を実行しているマイクロプロセッサ30が、基準目標電圧設定手段に相当する。
さらに、電圧変化量ΔVsの検出動作を行うセンサ素子部制御回路40及びステップS3を実行しているマイクロプロセッサ30が、素子抵抗取得手段に相当する。また、ステップS5を実行しているマイクロプロセッサ30及びステップS4でYesとなった場合にステップS5をスキップする処理が、抵抗値代替手段に相当する。
さらに、ステップS10,S16,S17を実行しているマイクロプロセッサ30が、劣化検知手段に相当し、このうち、ステップS17を実行しているマイクロプロセッサ30が、劣化度算出手段に相当する。また、ステップS18を実行しているマイクロプロセッサ30が、劣化補正手段に相当する。
さらに、ヒータ部制御回路70及びステップS5,S20を実行しているマイクロプロセッサ30が、ヒータ通電制御手段に相当する。
これにより、第1期間TD1あるいは第2期間TD2への移行にあたり、ヒータ部80への通電制御の状態が急変しないので、第1期間TD1中及び第2期間TD2中も、センサ素子部3の素子温度を安定して保持することができる。このため、第1素子抵抗Rpvs1及び第2素子抵抗Rpvs2を安定して取得することができ、センサ素子部3の劣化を適切に検知することができる。
例えば、実施形態では、ガスセンサ2として、排気ガスEG中の酸素濃度(空燃比)を検出する空燃比センサを用いたが、「ガスセンサ」は、空燃比センサに限られず、窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するNOxセンサなどであっても良い。
また、ガスセンサは排気管に装着されるものに限定されず、EGR装置を備えるエンジンの吸気管に装着されて、吸気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサに本発明を適用しても良い。
また、劣化度IDを得る代わりに、差分ΔRpvsから、劣化を有無を検知して、ガスセンサ2の劣化時に警告信号を出す構成としても良い。
2 ガスセンサ
3 センサ素子部(検出素子)
14 ポンプセル
14c 電解質層(第2電解質体)
24 起電力セル
24c 電解質層(第1電解質体)
12,16 (ポンプセルの)電極(第2電極)
22,28 (起電力セルの)電極(第1電極)
Vs+,Ip+,COM (センサ素子部の)端子
80 ヒータ部(ヒータ)
Ip ポンプ電流
Vs 起電力セル電圧
Vip ガス検出信号(酸素濃度信号)
ΔVs 電圧変化量
Rpvs (起電力セルの)素子抵抗
30 マイクロプロセッサ
40 センサ素子部制御回路(素子抵抗取得手段)
59 制御部(目標電圧設定手段)
69 PID制御回路(電流制御手段)
69a 基準定電圧源(目標電圧設定手段)
69b1 第1定電圧源(目標電圧設定手段)
69b2 第2定電圧源(目標電圧設定手段)
MUX1 アナログマルチプレクサ(目標電圧設定手段)
70 ヒータ部制御回路(ヒータ通電制御手段)
ENG 内燃機関(エンジン)
EP 排気管
EG 排気ガス(被測定ガス)
100 ECU
Vr 目標電圧
Vrf 基準目標電圧
Vr1 第1目標電圧
Vr2 第2目標電圧
Rpvs1 第1素子抵抗
Rpvs2 第2素子抵抗
Rf 被制御素子抵抗
Rta 目標抵抗値
S3 素子抵抗取得手段
S4,S5 抵抗値代替手段
S9,S15,S12 目標電圧設定手段
S12 基準目標電圧設定手段(目標電圧設定手段)
S10,S16,S17 劣化検知手段
S17 劣化度算出手段
S18 劣化補正手段
S5,S20 ヒータ通電制御手段
Claims (6)
- 第1固体電解質体及びこの第1固体電解質体上に形成された一対の第1電極を有する起電力セルと、第2固体電解質体及びこの第2固体電解質体上に形成された一対の第2電極を有するポンプセル、とを備える検出素子を有し、特定ガス濃度を検出するガスセンサのガスセンサ制御装置であって、
上記一対の第1電極間に生じる起電力セル電圧が目標電圧となるように、上記一対の第2電極間を流れるポンプ電流を制御する電流制御手段と、
第1目標電圧、及び、上記第1目標電圧よりも低電位の第2目標電圧のいずれかを、上記目標電圧に設定する目標電圧設定手段と、
上記検出素子のうち、上記起電力セルの素子抵抗を取得する素子抵抗取得手段と、
上記第1目標電圧を上記目標電圧として、上記電流制御手段で上記ポンプ電流を制御した状態での上記素子抵抗の値である第1素子抵抗と、上記第2目標電圧を上記目標電圧として、上記電流制御手段で上記ポンプ電流を制御した状態での上記素子抵抗の値である第2素子抵抗との差分を用いて、上記検出素子の劣化を検知する劣化検知手段と、を備える
ガスセンサ制御装置。 - 請求項1に記載のガスセンサ制御装置であって、
前記劣化検知手段は、
前記差分から、前記検出素子の劣化の度合いを示す劣化度を算出する劣化度算出手段を含む
ガスセンサ制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のガスセンサ制御装置であって、
前記ガスセンサは、前記検出素子を加熱するヒータを有し、
前記目標電圧設定手段は、
前記特定ガス濃度を検出する際に用いる基準目標電圧を前記目標電圧に設定する基準目標電圧設定手段を含み、
上記基準目標電圧を上記目標電圧として、前記電流制御手段で前記ポンプ電流を制御した状態での前記素子抵抗の値である被制御素子抵抗が目標抵抗値となるように、上記ヒータへの通電をフィードバック制御するヒータ通電制御手段と、を備え、
上記ヒータ通電制御手段は、
前記第1目標電圧を上記目標電圧としている第1期間中、及び、前記第2目標電圧を上記目標電圧としている第2期間中は、上記被制御素子抵抗として、予め定めた抵抗値を用いる抵抗値代替手段を有する
ガスセンサ制御装置。 - 請求項3に記載のガスセンサ制御装置であって、
前記基準目標電圧は、前記第1目標電圧よりも低電位であり、且つ、前記第2目標電圧よりも高電圧である
ガスセンサ制御装置。 - 請求項3または請求項4に記載のガスセンサ制御装置であって、
前記抵抗値代替手段は、
前記第1期間と前記第2期間とが互いに連続する場合には、これらの期間のうち先に開始される期間の開始直前に得た前記被制御素子抵抗の値を、
上記第1期間と上記第2期間とが連続しない場合には、それぞれの期間の開始直前に得た上記被制御素子抵抗の値を、
前記予め定めた抵抗値とする
ガスセンサ制御装置。 - 請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載のガスセンサ制御装置であって、
前記劣化検知手段は、
前記差分から、前記検出素子の劣化の度合いを示す劣化度を算出する劣化度算出手段を含み、
上記劣化度に基づき、前記被制御素子抵抗及び前記目標抵抗値のいずれかを補正する劣化補正手段を備える
ガスセンサ制御装置。
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