JP2019074216A - 貯蔵庫 - Google Patents

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隆史 黒岩
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Abstract

【課題】食材の細胞壁を適度に破壊可能な貯蔵庫を提供する。【解決手段】貯蔵庫10は、食材を貯蔵可能な冷却庫本体12と、冷却庫本体12の内気を冷却する冷却装置50と、少なくとも冷却装置50を制御する制御部48と、冷却庫本体12の庫内温度110、及び、食材の芯温度(食材の温度)212の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、制御部48は、温度取得手段により取得した取得温度が、食材内の水分の氷晶化が進行可能な温度である1段階目の庫内設定温度(設定温度A)116となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップAと、冷却ステップAの実行後、取得温度が、食材内の水分の氷晶化の進行が阻止される温度である2段階目の庫内設定温度(設定温度B)120となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップBと、を実行することに特徴を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、貯蔵庫に関する。
従来の貯蔵庫として、例えば特許文献1に記載の冷却装置が知られている。この冷却装置は、加熱調理後の食材を急速冷却する冷却装置であって、冷却室内を冷却する冷凍機器と、冷凍機器を制御する制御部と、を備えている。制御部は、冷却室内の食材の温度が、予定温度になるまで急速冷却する冷却モードを備えている。一般的に、冷却室内を−20℃から−40℃になるまで短時間で急速冷却すると、冷却室内の食材の細胞壁や組織の破壊を防ぐことができ、食材の劣化を抑えることができる。
特開2017−26264号公報
上記構成において、急速冷却により食材の細胞壁や組織の破壊を抑えることができるものの、食材の細胞壁や組織を適度に破壊させたい場合もある。例えば、食材の一例として大根を、冷却室内の温度を−5℃から−10℃として所定時間(例えば、3時間)凍らせると、大根の内部の水分が凍結して体積膨張すると共に、氷晶化が進行することにより、大根の細胞壁は適度に破壊される。これにより、大根の食感を適度に残しつつ、細胞壁が破壊されることで大根の煮汁が浸み込み易くなり、調理時間の短縮を図ることができる。
しかしながら、上記構成において、冷却室内の温度を−5℃から−10℃の温度に設定して大根を冷却すると、所定時間経過後も同じ温度で冷却運転を続けるため、大根の細胞壁が破壊され過ぎてしまい、食感が落ちてしまうという問題がある。
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、前記制御部は、前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材内の水分の氷晶化が進行可能な温度である設定温度Aとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップAと、前記冷却ステップAの実行後、前記取得温度が、前記食材内の水分の氷晶化の進行が阻止される温度である設定温度Bとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップBと、を実行することに特徴を有する。
冷却ステップAにより、取得温度が設定温度Aまで冷却されると、食材の水分の氷晶化が進み、一様に食材の細胞壁が破壊される。その後、冷却ステップBにより、取得温度が設定温度Bとなるまで冷却されると、食材の細胞壁の破壊の進行が阻止される。これにより、食材の細胞壁が適度に破壊された状態で、食材を保存することができる。
また、前記冷却庫本体の内気を加熱するヒータを備え、前記制御部は、前記冷却ステップBの実行後、前記取得温度が、前記食材の解凍が進行可能な温度である設定温度Cとなるまで、前記ヒータを作動させる加熱ステップと、を備えるものとすることができる。
加熱ステップにより取得温度が設定温度Cとなると、食材の解凍が進行する。これにより、貯蔵庫から食材を取り出した後の解凍時間が短くなり、調理時間を短くすることができる。
また、前記食材は、大根であるものとすることができる。
大根を冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、大根の細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、大根の細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、大根の食感を適度に残すことができる。また、例えば、大根を煮て調理する場合、冷却ステップAにより大根の細胞壁が一様に破壊されることから、大根の内部に煮汁が浸み込み易くなる。これにより、調理時間を短くすることができる。
また、前記食材は、玉ねぎであるものとすることができる。
玉ねぎを冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、玉ねぎの細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、玉ねぎの細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、玉ねぎの食感を適度に残すことができる。また、例えば、玉ねぎを炒めて調理する場合、炒め始めると直ぐに、氷晶化された玉ねぎの内部の水分が溶けて玉ねぎの表面に出てくるため、玉ねぎの内部の水分が早く減り、玉ねぎを炒める時間を短くすることができる。
また、前記食材は、きのこ類であるものとすることができる。
きのこ類を冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、きのこ類の細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、きのこ類の細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、きのこ類の適度な食感、旨み、及び香りを残すことができる。また、細胞壁が破壊されることで、きのこ類の内部の旨み及び香りが細胞壁の外に出るため、旨み及び香りを舌で感じやすくなり、総合的に旨み及び香りの高い調理物にすることが可能となる。
また、上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、他の構成として、食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、前記制御部は、前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材が凍結しない温度であり、且つ、前記食材の菌の増殖を抑える温度である設定温度Dとなるまで、前記冷却装置を作動させる冷却ステップCと、前記冷却ステップCの実行後、前記取得温度が、前記食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である設定温度Eとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップDと、を実行するものとすることができる。
例えば、水分を多く含む加熱調理後の食材を冷却庫本体の内部に入れ、取得温度が設定温度Eとなるまで食材が急速冷却されると、食材から出る湯気が凍り付き、食材に霜が付いてしまう。そこで、一旦、取得温度が設定温度Dとなるまで冷却する。これにより、食材の凍結及び菌の増殖を防ぎつつ、食材から出る湯気を止めることができる。この状態になった後、さらに、取得温度が設定温度Eとなるまで急速冷却することで、食材に霜が付くことを防止できる。
また、上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、他の構成として、食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、前記制御部は、前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材が凍結しない限界温度である設定温度Fとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップEと、前記冷却ステップEの実行後、取得した前記取得温度が前記食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である設定温度Gとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップFと、を実行するものとすることができる。
例えば、加熱調理後の高温の食材を冷却庫本体の内部に入れ、食材の芯温が設定温度Gとなるまで急速冷却する場合、食材の外表面温度と比較して、芯温の温度は下がるのに時間がかかるため、食材の内部で氷晶化が進み、内部の細胞壁が破壊されてしまう。しかし、上記構成のようにすることで、一旦、取得温度が、食材を凍結しない限界温度である設定温度Fとなるまで冷却した後、取得温度が設定温度Gとなるまで急速冷却することで、食材の内部で氷晶化が進むことを防止できる。
本発明によれば、食材の細胞壁を適度に破壊可能な貯蔵庫を提供することができる。
実施形態に係る冷却庫の正面図 正面視からの各装置の配置を示す冷却庫の断面図 側面視からの各装置の配置を示す冷却庫の断面図 冷却庫の電気的構成を示すブロック図 3段階冷却運転、タイマー制御の設定画面の図 3段階冷却運転、タイマー制御における庫内温度の変化を表すグラフ図 2段階冷却運転、芯温制御の設定画面の図 2段階冷却運転、芯温制御における庫内温度及び芯温の変化を表すグラフ図 2段階冷却運転、芯温制御の設定画面の図 2段階冷却運転、芯温制御における庫内温度、芯温、及び外表面温度の変化を表すグラフ図 タイマー解凍の設定画面の図 タイマー解凍における庫内温度の変化を表すグラフ図
本実施形態の貯蔵庫10について、図1から図12を参照しつつ説明する。以降の説明では、図3のX方向を前方、図1から図3のZ方向を上方、図1及び図2のY方向を右方とする。
貯蔵庫10は、食材を短時間で冷却する急速冷却庫(所謂、ブラストチラー)であって、図3に示すように、前面が開口した断熱箱体製の冷却庫本体12と、冷却庫本体12に開閉可能に取り付けられた扉14と、冷却庫本体12の下方に設けられた操作パネル40と、操作パネル40の下方に設けられた機械室30と、を備えている。また、貯蔵庫10は、冷却庫本体12の内部を冷却する冷却装置50を備えており、冷却装置50は、圧縮機52、凝縮器54、減圧器、及び冷却器58を有している。
冷却庫本体12内の左側には、図1に示すように、箱形状をなす冷却器ケース16が設けられている。 冷却器ケース16の右側は、食材を収納するトレーを載置する載置棚22が配された貯蔵室20とされている。
冷却器ケース16は、両側面が開口しており、図2に示すように、内部に冷却器58が配されている。冷却器58は、所謂、蒸発器であって、所定の間隔で前後方向に並べられた複数の板状のフィンと、複数の板状のフィンを貫通するように配されており、多重に折り返した形状をなす冷媒管とから構成されている。冷却器58の右側には、図2に示すように、庫内ファン17が上下に2つ設けられている。冷却器ケース16には、庫内ファン17を冷却器58とは反対側から覆うように、庫内ファンカバー18が装着されている。庫内ファンカバー18には、2つの庫内ファン17と対応する位置に、それぞれ通風口が開口して設けられている。庫内ファン17が作動すると、冷却庫本体12の貯蔵室20から通風口を通って、冷却器58に向けて風が送風される。
機械室30は、図3に示すように、前面が開口しており、開口部を覆うように、前方からエアフィルタ32が装着されている。機械室30内に、凝縮器54、圧縮機52、及び減圧器が配されている。凝縮器54は、機械室30の開口部付近に配されており、凝縮器54の後面側には、凝縮器ファン56が設けられている。凝縮器ファン56は、凝縮器54を空冷するファンであり、凝縮器ファン56が作動すると、機械室30の前方から、エアフィルタ32を通って、凝縮器54に風が送風される。圧縮機52は、凝縮器ファン56の後方に配されている。
圧縮機52、凝縮器54、減圧器、及び冷却器58は、冷媒管により接続されている。圧縮機52、凝縮器54、及び減圧器により、圧縮、凝縮及び減圧された冷媒は、冷却器58に送られる。冷媒が冷却器58内の冷媒管を通過すると、冷媒が気化されて周囲の熱を奪い、冷却器58の周囲が冷却される。冷却器58により冷却された内気は、庫内ファン17により冷却庫本体12内を循環し、冷却庫本体12内が冷却される。冷却器58を通過した冷媒は、再度、圧縮機52に戻され、冷凍サイクルが構成される。
冷却器58の右側面側には、図2に示すように、ヒータ60が設けられている。ヒータ60が作動すると、冷却器58に付着した霜が融解し、霜が除去される。また、冷却庫本体12の内部を加熱し、内部の温度を昇温させる。
冷却庫本体12の内部には、図示しないものの、冷却庫本体12の内部の温度を検知する庫内温度センサ24、及び食材の芯温を検知する芯温センサ26が設けられている。芯温センサ26は、温度を検知可能な棒状の検知部を有しており、検知部を食材に差し込むことで、食材の芯温を検知する。
操作パネル40は、図1、図3に示すように、板状をなしており、前後方向に方形状に開口する開口部を有しており、開口部には、タッチパネル42が取り付けられている。タッチパネル42は、前面に視覚情報を表示可能となっており、ユーザは、タッチパネル42に表示された文字、画像等を指等で押圧することで、冷却運転の設定値を入力可能となっている。
操作パネル40の後方には、図2、図3に示すように、コントロールボックス46が設けられており、コントロールボックス46の内部には、制御部48が設けられている。制御部48は、所謂、マイコンボードであって、図4に示すように、演算部及び記憶部を備えている。制御部48と、圧縮機52、凝縮器ファン56、庫内ファン17、及びヒータ60とは電気的に接続されており、制御部48から各装置を制御可能となっている。また、図4に示すように、制御部48には、タッチパネル42、庫内温度センサ24、及び芯温センサ26が電気的に接続されている。
制御部48は、庫内温度センサ24又は芯温センサ26から取得された温度が設定温度になるまで、冷却装置50の圧縮機52、及び凝縮器ファン56を作動させ、冷却庫本体12の内部を冷却する制御を行うことができる。また、庫内温度センサ24又は芯温センサ26から取得された温度が設定温度になるまで、ヒータ60を作動させ、冷却庫本体12の内部を加熱する制御を行うことができる。
制御部48は、2段階冷却運転モード、及び、3段階冷却運転モードを備えている。2段階冷却運転モードは、冷却庫本体12の内部の温度を、2段階に分けて変化させる運転モードである。制御部48は、2段階冷却運転モードにおいて、冷却庫本体12の内部の温度を変化させるタイミングを決定する手段として、芯温制御による手段、及びタイマー制御による手段を有しており、いずれかの制御手段によりタイミングが決定される。芯温制御による手段は、芯温センサ26から取得された芯温が所定温度に達した際に温度を変化させる手段である。タイマー制御による手段は、運転時間が所定時間を経過した際に温度を変化させる手段である。
3段階冷却運転モードは、冷却庫本体12の内部の温度を、3段階に分けて変化させる運転モードであって、温度を変化させるタイミングを決定する手段は、2段階冷却運転モードと同様、芯温制御による手段、及び、タイマー制御のいずれかの手段となる。
ユーザは、タッチパネル42を操作することで、2段階冷却運転モード、及び、3段階冷却運転モードのいずれかの選択が可能となっている。タッチパネル42の前面の表示画面44には、図5及び図7に示すように、段階設定部100が表示されており、ユーザが段階設定部100の「2段階冷却」を指で押すと、2段階冷却運転モードが選択され、図7に示す3段階冷却運転モードの設定画面となる。また、ユーザが段階設定部100の「3段階冷却」を指で押すと、3段階冷却運転モードが選択され、図5に示す3段階冷却運転モードの設定画面が表示される。表示画面44の段階設定表示部102には、選択された冷却運転モード名が表示される。
ユーザは、タッチパネル42を操作することで、芯温制御、及び、タイマー制御のいずれかの選択が可能となっている。タッチパネル42の表示画面44には、図5及び図7に示すように、温度変化設定部104が表示されており、ユーザが温度変化設定部104の「芯温」を指で押すと、図7に示す芯温制御による手段となり、「タイマー」を指で押すと、図5に示すタイマー制御による手段となる。表示画面44の温度変化設定表示部106には、「芯温」及び「タイマー」のいずれかの選択された制御手段の名称が表示される。
食材として大根を、3段階冷却運転モードでタイマー制御により冷却する場合について説明する。先ず、図示しないトレーに大根を乗せ、貯蔵室20の載置棚22にトレーをセットし、扉14を閉める。庫内温度センサ24から取得された庫内温度110は、図5に示すように、タッチパネル42の表示画面44に表示される。3段階冷却運転前の庫内温度110は、25℃となっている。
次に、図5に示すように、タッチパネル42の表示画面44から、各段階の冷却設定時間、各段階の庫内設定温度、及び各段階の庫内ファン17の風速をそれぞれ設定する。庫内ファン17の風速は、1から6の範囲で設定され、設定値が高い程、風速が強くなる。風速を1に設定すると、庫内ファン17は10Hzで回転し、風速を6に設定すると、庫内ファン17は60Hzで回転する。風速は、1段階目から3段階目まで、全て6に設定する。
1段階目の冷却設定時間114は180分に設定し、1段階目の庫内設定温度(設定温度A)116は、大根内の水分の氷晶化が進行可能な温度帯である−5℃から−10℃の範囲内に設定する。本実施形態では、1段階目の庫内設定温度116は、−5℃に設定する。
2段階目の冷却設定時間118は540分に設定し、2段階目の庫内設定温度(設定温度B)120は、大根内の水分の氷晶化が阻止される温度帯である−20℃以下に設定する。本実施形態では、2段階目の庫内設定温度120は、−25℃に設定する。
3段階目の冷却設定時間122は180分に設定し、3段階目の庫内設定温度(設定温度C)124は、大根の解凍が進行可能な温度であって、且つ、完全解凍しない温度帯である−2℃から−5℃の範囲内で設定する。本実施形態では、3段階目の庫内設定温度124は、−2℃に設定する。ここで、完全解凍しない温度帯とするのは、例えば3段階目の庫内設定温度124を0℃以上に設定すると、大根の解凍が進行しすぎて大根からドリップが出るため、ドリップが出ることを防止するためである。
設定完了後、スタートボタンが押されると、タイマー制御における3段階冷却運転が開始される。3段階冷却運転の開始後は、表示画面44に運転開始からの冷却時間である冷却時間112が表示される。
3段階冷却運転において、制御部48は、先ず、冷却ステップAを実行する。次に、1段階目の冷却設定時間114の経過後、冷却ステップBを実行する。次に、2段階目の冷却設定時間118の経過後、加熱ステップを実行する。3段階目のステップの実行後、3段階目の冷却設定時間122が経過すると、3段階冷却運転が完了となる。
制御部48の各ステップを、図6を用いて説明する。
冷却ステップAでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、取得した庫内温度110が1段階目の庫内設定温度116となるまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、庫内温度110が1段階目の庫内設定温度116である−5℃に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定となるように保冷制御を行う。この状態で所定時間経過すると、大根の芯温も1段階目の庫内設定温度116に近づく。これにより、大根の水分の氷晶化が進行し、大根の内部の細胞壁は、一様に破壊されていく。
冷却ステップBでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度120に到達するまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度120である−25℃に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定となるように保冷制御を行う。この状態で所定時間経過すると、大根の芯温も2段階目の庫内設定温度120に近づく。これにより、大根の水分の氷晶化の進行が阻止され、大根の内部の細胞壁の破壊が停止する。
加熱ステップでは、先ず、制御部48は、ヒータ60を作動させ、冷却庫本体12の内部を加熱する。次に、庫内温度110が3段階目の庫内設定温度124である−2℃に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定となるように保冷制御を行う。この状態で所定時間経過すると、大根の芯温も3段階目の庫内設定温度124に近づき、大根の解凍が進行する。
3段階冷却運転の合計運転時間は900分(15時間)となっている。例えば、17時に大根の冷却を開始すれば、翌朝の8時に運転が完了する。運転完了後、大根の解凍が進行しているため、すぐに調理を開始することができる。
次に、貯蔵室20から取り出された大根を、煮て調理する場合について説明する。大根の細胞壁は冷却ステップAの実行により適度に破壊されているため大根の内部に煮汁が浸み込み易くなる。これにより、調理時間を短くすることができる。また、冷却ステップAの実行後、冷却ステップBが実行されることで、大根の内部の細胞壁が適度に破壊された状態で、大根が保存されるため、大根が軟らかくなりすぎることを防止でき、大根に適度な食感を残すことができる。
食材としてたまねぎを、3段階冷却運転モードでタイマー制御により冷却する場合について説明する。たまねぎを3段階冷却運転冷却で冷却する場合についても、上述した大根と同じ冷却設定時間、冷却設定温度で実行される。これにより、適度にたまねぎの細胞壁が破壊され、適度な食感が残された状態となる。
次に、貯蔵室20の内部から取り出されたたまねぎを、炒めて調理する場合について説明する。たまねぎを炒めると直ぐに、氷晶化された玉ねぎの内部の水分が溶けて、玉ねぎの表面に出てくる。これにより、玉ねぎの内部の水分が早く減り、玉ねぎを炒める時間を短くすることができる。
食材としてきのこ類を、3段階冷却運転モードでタイマー制御により冷却する場合について説明する。きのこ類を3段階冷却運転冷却で冷却する場合についても、上述した大根と同じ冷却設定時間、冷却設定温度で実行される。これにより、適度にきのこ類の細胞壁が破壊され、適度な食感、旨み、及び香りが残された状態となる。また、細胞壁が破壊されることで、きのこ類の内部の旨み及び香りが細胞壁の外に出るため、旨み及び香りを舌で感じやすくなり、総合的に旨み及び香りの高い調理物にすることが可能となる。
加熱調理され、湯気が出ている食材を、2段階冷却運転モードで芯温制御により冷却する場合について説明する。先ず、図示しないトレーに食材を乗せ、貯蔵室20の載置棚22にトレーをセットする。次に、芯温センサ26の検知部を食材に差し込み、扉14を閉める。芯温センサ26から取得された食材の芯温度(食材の温度)212及び現在の庫内温度110は、図7に示すように、タッチパネル42の表示画面44に表示されており、それぞれ、60℃、及び25℃となっている。
次に、図7に示すように、タッチパネル42から、冷却時間、庫内温度、及び庫内ファン17の風速を設定する。風速は、1段階目、2段階目共に、6に設定する。
1段階目の設定芯温度(設定温度D)214、及び1段階目の庫内設定温度(設定温度D)216は、食材が凍結しない温度帯であり、且つ、食材の菌の増殖を抑える温度帯である10℃以下に設定する。本実施形態では、1段階目の設定芯温度214を3℃、1段階目の庫内設定温度216を1℃とする。ここで、1段階目の設定芯温度214を3℃以下としない理由は、芯温度212を所定時間内に3℃以下にするには、1段階目の庫内設定温度216を0℃以下に設定して冷却する必要があるが、このようにすると、食材の外表面温度が0℃以下となり、食材の表面が凍結してしまうからである。
2段階目の設定芯温度(設定温度E)218、及び2段階目の庫内設定温度(設定温度E)220は、食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度帯に設定する。本実施形態では、図7に示すように、2段階目の設定芯温度218は−20℃に設定し、2段階目の庫内設定温度220は、−25℃に設定する。
設定完了後、スタートボタンを押すと、芯温制御における2段階冷却運転が開始される。2段階冷却運転において、制御部48は、先ず、冷却ステップCを実行し、次に、冷却ステップDを実行する。
制御部48の各ステップを、図8を用いて説明する。
冷却ステップCでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、庫内温度110が1段階目の庫内設定温度216となるまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、芯温度212が、1段階目の設定芯温度214となるまで待機する。芯温度212が、1段階目の設定芯温度214に達すると、食材からの湯気が止まる。
芯温度212が1段階目の設定芯温度214に到達すると、冷却ステップDが実行される。冷却ステップDでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度220に到達するまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度220に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定となるように保冷制御を行う。この状態で所定時間経過すると、芯温度212は徐々に下がっていき、2段階目の設定芯温度218に到達する。これにより、食材に含まれる水分の氷晶化の進行が阻止され、食材内の細胞壁の破壊が停止する。
このように、冷却ステップCで食材から出る湯気を止めてから、冷却ステップDで食材を急速冷却することで、湯気が凍ることで起きる食材の霜付きを抑えることができる。なお、芯温度212が1段階目の設定芯温度214に到達する時間222が予め分かっている場合、タイマー制御により2段階冷却運転をしても良い。
加熱調理された高温の食材を、2段階冷却運転モードで芯温制御により冷却する場合について説明する。先ず、図示しないトレーに食材を乗せ、貯蔵室20の載置棚22にトレーをセットする。次に、芯温センサ26の検知部を食材に差し込み、扉14を閉める。芯温センサ26から取得された芯温度212及び現在の庫内温度110は、図9に示すように、タッチパネル42の表示画面44に表示されており、それぞれ、95℃、及び25℃となっている。
次に、図9に示すように、タッチパネル42で、冷却時間、庫内温度、及び庫内ファン17の風速を設定する。風速は、1段階目、2段階目共に、6に設定する。
1段階目の設定芯温度(設定温度F)314、及び1段階目の庫内設定温度(設定温度F)316は、食材が凍結しない限界温度に設定する。本実施形態では、1段階目の設定芯温度314を3℃、1段階目の庫内設定温度316を1℃とする。ここで、1段階目の設定芯温度314を3℃以下としない理由は、芯温度212を所定時間内に3℃以下にするには、1段階目の庫内設定温度316を0℃以下に設定して冷却する必要があるが、このようにすると、食材の外表面温度が0℃以下となり、食材の表面が凍結してしまうからである。
2段階目の設定芯温度(設定温度G)318、及び2段階目の庫内設定温度(設定温度G)320は、食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度帯に設定する。本実施形態では、図9に示すように、2段階目の設定芯温度318は−20℃に設定し、2段階目の庫内設定温度320は、−25℃に設定する。
設定完了後、スタートボタンを押すと、芯温制御における2段階冷却運転が開始される。2段階冷却運転において、制御部48は、先ず、冷却ステップEを実行し、次に、冷却ステップFを実行する。
制御部48の各ステップを、図10を用いて説明する。
冷却ステップEでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、庫内温度110が1段階目の庫内設定温度316となるまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、芯温度212が、1段階目の設定芯温度314となるまで待機する。芯温度212が、1段階目の設定芯温度314に達すると、図10の破線グラフで示す食材の外表面温度324と、芯温度212とは、略同じ温度となる。
芯温度212が1段階目の設定芯温度314に到達すると、冷却ステップFが実行される。冷却ステップFでは、先ず、制御部48は、冷却装置50を作動させ、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度316に到達するまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。次に、庫内温度110が2段階目の庫内設定温度316に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定となるように保冷制御を行う。この状態で所定時間経過すると、芯温度212は、2段階目の設定芯温度318に到達する。これにより、食材に含まれる水分の氷晶化の進行が阻止され、食材内の細胞壁の破壊が停止する。
このように、芯温が下がりにくい高温の食材において、冷却ステップEで、食材の芯温を、食材が凍結しない限界温度となるまで下げてから、冷却ステップFで食材を急速冷却することで、食材の内部で氷晶化が進むことを防止できる。なお、芯温度212が1段階目の設定芯温度314に到達する時間322が予め分かっている場合、タイマー制御により2段階冷却運転をしても良い。
制御部48は、冷却運転制御の他、解凍運転制御を行うことも可能となっており、今すぐ解凍モード、及び、タイマー解凍モードを備えている。今すぐ解凍モードは、直ぐに食材の解凍運転を実行するモードである。タイマー解凍モードは、先ず保冷運転を行うステップを実行し、次に解凍運転を行うステップを実行するモードである。ユーザは、タッチパネル42を操作することで、今すぐ解凍モード、及び、タイマー解凍モードのいずれか一方の選択が可能となっている。タッチパネル42の表示画面44には、図11に示すように、解凍設定部400が表示されており、ユーザが解凍設定部400の「今すぐ解凍」を指で押すと、今すぐ解凍モードが選択される。また、解凍設定部400の「タイマー解凍」を指で押すと、「タイマー解凍モード」が選択され、図11に示すタイマー解凍モードの設定画面となる。表示画面44の解凍モード表示部402には、選択された解凍モード名である「タイマー解凍」の文字が表示される。
食材として、マグロの柵をタイマー解凍する場合について説明する。先ず、保冷運転の設定では、図11に示すように、1段階目の設定時間408、1段階目の庫内設定温度410、及び1段階目の風速412を入力する。本実施例では、1段階目の設定時間408は780分、1段階目の庫内設定温度410は−20℃、1段階目の風速412は6に設定する。
次に、解凍運転の設定では、図11に示すように、2段階目の設定時間414、2段階目の庫内設定温度416、及び2段階目の風速418を入力する。本実施例では、2段階目の設定時間414は120分、2段階目の庫内設定温度416は−3℃、2段階目の風速418は1に設定する。ここで、2段階目の庫内設定温度416を−3℃としているのは、プラスの温度帯とすると食材のドリップが流出するため、ドリップの流出を抑えるためである。
設定完了後、スタートボタンを押すと、タイマー解凍モードの運転が開始され、表示画面44に残りの保冷時間404が表示される。
制御部48の各ステップを、図12を用いて説明する。
保冷運転を行うステップでは、制御部48は冷却装置50を作動させ、庫内温度110が1段階目の庫内設定温度410である−20℃になるまで、冷却庫本体12の内部を冷却する。これにより、食材は、1段階目の庫内設温度410にて保冷される。
保冷運転を行うステップの実行後、1段階目の設定時間408である780分が経過すると解凍運転を行うステップが実行される。解凍運転を行うステップでは、制御部48は、先ず、ヒータ60を作動させ、冷却庫本体12の内部を加熱する。次に、庫内温度110が、2段階目の庫内設定温度416である−3℃に到達すると、制御部48は、庫内温度110が一定になるように保冷制御を行う。これにより、食材の解凍が進行する。
解凍運転を行うステップの実行後、2段階目の設定時間414である120分が経過すると、解凍運転が停止し、タイマー解凍モードの運転が完了する。解凍されたマグロの柵を包丁で切ると、マグロの柵は完全解凍していないことから、適度な弾力を有しており、食材の切断面を奇麗に仕上げることができる。包丁で切ったマグロを皿に並べている間に、マグロは完全解凍するため、新鮮な状態で刺身を提供することができる。
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
貯蔵庫10は、食材を貯蔵可能な冷却庫本体12と、冷却庫本体12の内気を冷却する冷却装置50と、少なくとも冷却装置50を制御する制御部48と、冷却庫本体12の庫内温度110、及び、食材の芯温度(食材の温度)212の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、制御部48は、温度取得手段により取得した取得温度が、食材内の水分の氷晶化が進行可能な温度である1段階目の庫内設定温度(設定温度A)116となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップAと、冷却ステップAの実行後、取得温度が、食材内の水分の氷晶化の進行が阻止される温度である2段階目の庫内設定温度(設定温度B)120となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップBと、を実行することに特徴を有する。
本実施形態によれば、冷却ステップAにより、取得温度が1段階目の庫内設定温度(設定温度A)116まで冷却されると、食材の水分の氷晶化が進み、一様に食材の細胞壁が破壊される。その後、冷却ステップBにより、取得温度が2段階目の庫内設定温度(設定温度B)120となるまで冷却されると、食材の細胞壁の破壊の進行が阻止される。これにより、食材の細胞壁が適度に破壊された状態で、食材を保存することができる。
また、冷却庫本体12の内気を加熱するヒータ60を備え、制御部48は、冷却ステップBの実行後、取得温度が、食材の解凍が進行可能な温度である3段階目の庫内設定温度(設定温度C)124となるまで、ヒータ60を作動させる加熱ステップと、を備えるものとすることができる。
加熱ステップにより取得温度が3段階目の庫内設定温度(設定温度C)124となると、食材の解凍が進行する。これにより、貯蔵庫10から食材を取り出した後の解凍時間が短くなり、調理時間を短くすることができる。
また、食材は、大根であるものとすることができる。
大根を冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、大根の細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、大根の細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、大根の食感を適度に残すことができる。また、例えば、大根を煮て調理する場合、冷却ステップAにより大根の細胞壁が一様に破壊されることから、大根の内部に煮汁が浸み込み易くなる。これにより、調理時間を短くすることができる。
また、食材は、玉ねぎであるものとすることができる。
玉ねぎを冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、玉ねぎの細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、玉ねぎの細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、玉ねぎの食感を適度に残すことができる。また、例えば、玉ねぎを炒めて調理する場合、炒め始めると直ぐに、氷晶化された玉ねぎの内部の水分が溶けて玉ねぎの表面に出てくるため、玉ねぎの内部の水分が早く減り、玉ねぎを炒める時間を短くすることができる。
また、食材は、きのこ類であるものとすることができる。
きのこ類を冷却ステップAにより冷却すると、氷晶化によって、きのこ類の細胞壁が一様に破壊される。さらに、冷却ステップAの実行後に、冷却ステップBが実行されると、きのこ類の細胞壁は適度に破壊された状態で保存される。これにより、きのこ類の適度な食感、旨み、及び香りを残すことができる。また、細胞壁が破壊されることで、きのこ類の内部の旨み及び香りが細胞壁の外に出るため、旨み及び香りを舌で感じやすくなり、総合的に旨み及び香りの高い調理物にすることが可能となる。
また、貯蔵庫10は、食材を貯蔵可能な冷却庫本体12と、冷却庫本体12の内気を冷却する冷却装置50と、少なくとも冷却装置50を制御する制御部48と、冷却庫本体12の庫内温度110、及び、食材の芯温度(食材の温度)212の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、制御部48は、温度取得手段により取得した取得温度が、食材が凍結しない温度であり、且つ、食材の菌の増殖を抑える温度である1段階目の設定芯温度(設定温度D)214及び1段階目の庫内設定温度(設定温度D)216となるまで、冷却装置50を作動させる冷却ステップCと、冷却ステップCの実行後、取得温度が、食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である2段階目の設定芯温度(設定温度E)218及び2段階目の庫内設定温度(設定温度E)220となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップDと、を実行するものとすることができる。
例えば、水分を多く含む加熱調理後の食材を冷却庫本体12の内部に入れ、取得温度が設定温度Eとなるまで食材が急速冷却されると、食材から出る湯気が凍り付き、食材に霜が付いてしまう。そこで、一旦、取得温度が(設定温度D)214及び1段階目の庫内設定温度(設定温度D)216となるまで冷却する。これにより、食材の凍結及び菌の増殖を防ぎつつ、食材から出る湯気を止めることができる。この状態になった後、さらに、取得温度が2段階目の設定芯温度(設定温度E)218及び2段階目の庫内設定温度(設定温度E)220となるまで急速冷却することで、食材に霜が付くことを防止できる。
また、貯蔵庫10は、食材を貯蔵可能な冷却庫本体12と、冷却庫本体12の内気を冷却する冷却装置50と、少なくとも冷却装置50を制御する制御部48と、冷却庫本体12の庫内温度110、及び、食材の芯温度(食材の温度)212の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、制御部48は、温度取得手段により取得した取得温度が、食材が凍結しない限界温度である1段階目の設定芯温度(設定温度F)314及び1段階目の庫内設定温度(設定温度F)316となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップEと、冷却ステップEの実行後、取得した取得温度が食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である2段階目の設定芯温度(設定温度G)318及び2段階目の庫内設定温度(設定温度G)320となるまで冷却装置50を作動させる冷却ステップFと、を実行するものとすることができる。
例えば、加熱調理後の高温の食材を冷却庫本体12の内部に入れ、食材の芯温が設定温度Gとなるまで急速冷却する場合、食材の外表面温度と比較して、芯温の温度は下がるのに時間がかかるため、食材の内部で氷晶化が進み、内部の細胞壁が破壊されてしまう。しかし、上記構成のようにすることで、一旦、取得温度が、食材を凍結しない限界温度である1段階目の設定芯温度(設定温度F)314及び1段階目の庫内設定温度(設定温度F)316となるまで冷却した後、取得温度が2段階目の設定芯温度(設定温度G)318及び2段階目の庫内設定温度(設定温度G)320となるまで急速冷却することで、食材の内部で氷晶化が進むことを防止できる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態において、冷却ステップAの1段階目の冷却設定時間114を180分としたが、所望の食感に応じて、冷却時間をこれもりも短くしても良いし、長くしても良い。
(2)本実施形態では、タイマー制御における3段階冷却運転モードにおいて、3段階目を加熱ステップとし、食材を解凍する構成としたが、食材によっては、加熱ステップを設けず、タイマー制御における2段階冷却運転モードとする構成としても良い。例えば、あさり等の貝類は、加熱ステップで解凍すると貝が開かなくなるため、タイマー制御における2段階冷却運転モードとしても良い。
10…貯蔵庫
12…冷却庫本体
48…制御部
50…冷却装置
60…ヒータ
110…庫内温度
116…1段階目の庫内設定温度(設定温度A)
120…2段階目の庫内設定温度(設定温度B)
124…3段階目の庫内設定温度(設定温度C)
212…食材の芯温度(食材の温度)
214…1段階目の設定芯温度(設定温度D)
216…1段階目の庫内設定温度(設定温度D)
218…2段階目の設定芯温度(設定温度E)
220…2段階目の庫内設定温度(設定温度E)
314…1段階目の設定芯温度(設定温度F)
316…1段階目の庫内設定温度(設定温度F)
318…2段階目の設定芯温度(設定温度G)
320…2段階目の庫内設定温度(設定温度G)

Claims (7)

  1. 食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、
    前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、
    少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、
    前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、
    前記制御部は、
    前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材内の水分の氷晶化が進行可能な温度である設定温度Aとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップAと、
    前記冷却ステップAの実行後、前記取得温度が、前記食材内の水分の氷晶化の進行が阻止される温度である設定温度Bとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップBと、を実行する貯蔵庫。
  2. 前記冷却庫本体の内気を加熱するヒータを備え、
    前記制御部は、
    前記冷却ステップBの実行後、前記取得温度が、前記食材の解凍が進行可能な温度である設定温度Cとなるまで、前記ヒータを作動させる加熱ステップと、を備える請求項1に記載の貯蔵庫。
  3. 前記食材は、大根である請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫。
  4. 前記食材は、玉ねぎである請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫。
  5. 前記食材は、きのこ類である請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫。
  6. 食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、
    前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、
    少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、
    前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、
    前記制御部は、
    前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材が凍結しない温度であり、且つ、前記食材の菌の増殖を抑える温度である設定温度Dとなるまで、前記冷却装置を作動させる冷却ステップCと、
    前記冷却ステップCの実行後、前記取得温度が、前記食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である設定温度Eとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップDと、を実行する貯蔵庫。
  7. 食材を貯蔵可能な冷却庫本体と、
    前記冷却庫本体の内気を冷却する冷却装置と、
    少なくとも前記冷却装置を制御する制御部と、
    前記冷却庫本体の庫内温度、及び、前記食材の温度の少なくとも一方を取得する温度取得手段と、を備え、
    前記制御部は、
    前記温度取得手段により取得した取得温度が、前記食材が凍結しない限界温度である設定温度Fとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップEと、
    前記冷却ステップEの実行後、取得した前記取得温度が前記食材の水分の氷晶化の進行を阻止する温度である設定温度Gとなるまで前記冷却装置を作動させる冷却ステップFと、を実行する貯蔵庫。
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