JP2019073230A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】スノー性能と騒音性能とを両立できる空気入りタイヤの提供。【解決手段】空気入りタイヤのトレッドパターンは、ショルダー側主溝32及びセンター側主溝34と、ショルダー陸部領域の第1のラグ溝52と、ショルダー側主溝32の側からセンター側主溝34に向かって延び、ミドル陸部領域内で閉塞する第2のラグ溝54と、ミドル陸部領域の第1のサイプ56と、センターラグ溝から遠ざかるように延び、センター陸部領域内で閉塞する第3のラグ溝58と、を備える。第1のラグ溝52、第2のラグ溝54、第1のサイプ56、及び第3のラグ溝58は、延長線を形成するように延在している。トレッドパターンは、さらに、ミドル陸部領域において、隣り合う延長線の間のタイヤ周方向領域を、センター側主溝34の側からショルダー側主溝32に向かって延びてミドル陸部領域内で閉塞する第4のラグ溝66を備える空気入りタイヤ。【選択図】図3

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
オールシーズンタイヤでは、雪上路面走行時の性能だけでなく、乾燥路面走行時の性能も求められる。従来、雪上性能と、乾燥路面での操縦安定性能との両立を目的としたタイヤが知られている(特許文献1)。
特許文献1のタイヤでは、トレッド部のトレッド面に、タイヤ周方向に沿って延在する4本の周方向主溝により、タイヤ周方向に延在する5本の陸部が形成され、当該陸部が、センター陸部と、ミドル陸部と、ショルダー陸部とで構成されている。特許文献1のタイヤでは、各陸部にタイヤ周方向に対して交差するラグ溝およびサイプが形成されることで、排水性や排雪性を有して雪上性能を得ることができる、とされている。さらに、特許文献1のタイヤでは、ミドル陸部において、ラグ溝の一端が周方向主溝に開口して他端がミドル陸部内で終端する第一サブ溝と、ラグ溝の一端が周方向主溝に開口して他端がミドル陸部内で終端するとともに当該ラグ溝の終端にサイプの一端が開口して他端がミドル陸部内で終端して設けられた第二サブ溝と、を個々に独立して有したことで、ミドル陸部がタイヤ周方向に連続するリブとして構成され、ミドル陸部の剛性が高くなり乾燥路操縦安定性能を得ることができ、この結果、雪上性能および乾燥路操縦安定性能を両立することができる、とされている。
特許第5765492号公報
スノー路面には、踏み固められた圧雪で覆われた圧雪路面や、踏み固められていない新雪で覆われた新雪路面が含まれている。特許文献1のタイヤでは、このような種々のスノー路面が存在する状況での操縦安定性が不十分である。
また、オールシーズンタイヤでは、乾燥路面走行時の性能として、走行時の騒音の発生を抑制できること、すなわち、騒音性能が良好であることも求められている。ラグ溝が設けられたタイヤでは、走行時に周方向主溝で発生した気柱共鳴音が車両外側方向に放出されて、車外騒音が大きくなる場合がある。
本発明は、スノー性能と騒音性能とを両立できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、トレッドパターンをトレッド部に備えた空気入りタイヤであって、
前記トレッドパターンは、
タイヤセンターラインに対してタイヤ幅方向の一方の側に、互いに間隔をあけて配置され、タイヤ周方向に延びるショルダー側主溝及びセンター側主溝と、
前記ショルダー側主溝のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー陸部領域において、タイヤ幅方向外側から前記ショルダー側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第1のラグ溝と、
前記ショルダー側主溝と前記センター側主溝に挟まれたミドル陸部領域において、前記ショルダー側主溝を横切るように前記第1のラグ溝が延長した方向に沿って前記ショルダー側主溝の側から前記センター側主溝に向かって延びて前記ミドル陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第2のラグ溝と、
前記ミドル陸部領域において、前記第2のラグ溝の閉塞端から前記センター側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第1のサイプと、
前記センター側主溝のタイヤ幅方向内側に位置し、タイヤセンターラインを通るセンター陸部領域において、前記センター側主溝を横切るように前記第1のサイプが延長した方向に沿って前記センター側主溝の側から、前記センター側主溝から遠ざかるように延びて前記センター陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第3のラグ溝と、を備え、
前記第1のラグ溝、前記第2のラグ溝、前記第1のサイプ、及び前記第3のラグ溝は、タイヤ周方向に互いに間隔をあけた複数本の延長線を形成するように延在し、
前記トレッドパターンは、さらに、前記ミドル陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を、前記センター側主溝の側から前記ショルダー側主溝に向かって延びて前記ミドル陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第4のラグ溝を備える、ことを特徴とする。
さらに、前記ミドル陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記第4のラグ溝の閉塞端から前記ショルダー側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第2のサイプを備えることが好ましい。
さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝を横切るように前記第2のサイプが延長した方向に沿って前記ショルダー側主溝の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて前記第1のラグ溝と交互に配置された複数の第3のサイプを備えることが好ましい。
さらに、前記ミドル陸部領域において、前記第2のラグ溝と前記第4のラグ溝とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、前記ショルダー側主溝の側から前記センター側主溝の側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第4のサイプを備えることが好ましい。
さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝から離れた位置から、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のラグ溝を備えることが好ましい。
前記第1のラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部は、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向内側で閉塞していることが好ましい。
さらに、前記ショルダー陸部領域において、前記第1のラグ溝の閉塞端から、前記延長線に沿ってタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のサイプを備えることが好ましい。
前記第2のラグ溝が位置するタイヤ幅方向の範囲と、前記第4のラグ溝が位置するタイヤ幅方向の範囲は部分的に重なっていることが好ましい。
前記第2のラグ溝、前記第3のラグ溝、及び前記第4のラグ溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度は、50°〜90°であることが好ましい。
さらに、前記センター陸部領域において、前記センター側主溝を横切るように前記第4のラグ溝が延長した方向に沿って延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第6のサイプを備えることが好ましい。
さらに、前記センター陸部領域において、前記第3のラグ溝と前記第6のサイプの間のタイヤ周方向領域を、前記センター側主溝の側から、前記センター側主溝から遠ざかるように延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数本の第7のサイプを備えることが好ましい。
さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝から離れた位置から、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のラグ溝と、
前記ショルダー陸部領域において、前記第1のラグ溝と前記第5のラグ溝とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、前記ショルダー側主溝の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された第8のサイプと、を備えることが好ましい。
本発明によれば、スノー性能と騒音性能とを両立できる空気入りタイヤが得られる。
本実施形態の空気入りタイヤの一例を示す外観斜視図である。 本実施形態の空気入りタイヤのプロファイル断面の一例を示す図である。 図1のタイヤのトレッドパターンの一例を示す図である。
(タイヤの全体説明)
以下、本発明の空気入りタイヤについて説明する。図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以降、タイヤという)10を示す外観斜視図である。図2は、タイヤ10の断面を示すタイヤ断面図である。
タイヤ10は、例えば乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤは、JATMA YEAR BOOK 2012(日本自動車タイヤ協会規格)のA章に定められるタイヤをいう。この他、B章に定められる小型トラック用タイヤおよびC章に定められるトラック及びバス用タイヤに、タイヤ10を適用することもできる。
タイヤ幅方向は、タイヤの回転軸と平行な方向である。タイヤ幅方向外側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を表すタイヤセンターラインCL(図2参照)から離れる側である。また、タイヤ幅方向内側は、タイヤ幅方向において、タイヤセンターラインCLに近づく側である。タイヤ周方向は、タイヤの回転軸を回転の中心として回転する方向である。タイヤ径方向は、タイヤの回転軸に直交する方向である。タイヤ径方向外側は、前記回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ径方向内側は、前記回転軸に近づく側をいう。
(タイヤ構造)
図2は、本実施形態のタイヤ10のプロファイル断面図である。タイヤ10は、トレッドパターンを有するトレッド部10Tと、一対のビード部10Bと、トレッド部10Tの両側に設けられ、一対のビード部10Bとトレッド部10Tに接続される一対のサイド部10Sと、を備える。
タイヤ10は、骨格材として、カーカスプライ12と、ベルト14と、ビードコア16とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム部材18と、サイドゴム部材20と、ビードフィラーゴム部材22と、リムクッションゴム部材24と、インナーライナゴム部材26と、を主に有する。
カーカスプライ12は、一対の円環状のビードコア16の間を巻きまわしてトロイダル形状を成した、有機繊維をゴムで被覆したカーカスプライ材で構成されている。カーカスプライ12は、ビードコア16の周りに巻きまわされてタイヤ径方向外側に延びている。カーカスプライ12のタイヤ径方向外側に2枚のベルト材14a,14bで構成されるベルト14が設けられている。ベルト14は、タイヤ周方向に対して、所定の角度、例えば20〜30度傾斜して配されたスチールコードにゴムを被覆した部材で構成され、下層のベルト材14aが上層のベルト材14bに比べてタイヤ幅方向の幅が長い。2層のベルト材14a,14bのスチールコードの傾斜方向は互いに逆方向である。このため、ベルト材14a,14bは、交錯層となっており、充填された空気圧によるカーカスプライ12の膨張を抑制する。
ベルト14のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム部材18が設けられ、トレッドゴム部材18の両端部には、サイドゴム部材20が接続されてサイド部10Sを形成している。サイドゴム部材20のタイヤ径方向内側の端には、リムクッションゴム部材24が設けられ、タイヤ10を装着するリムと接触する。ビードコア16のタイヤ径方向外側には、ビードコア16の周りに巻きまわす前のカーカスプライ12の部分と、ビードコア16の周りに巻きまわしたカーカスプライ12の巻きまわした部分との間に挟まれるようにビードフィラーゴム部材22が設けられている。タイヤ10とリムとで囲まれる空気を充填するタイヤ空洞領域に面するタイヤ10の内表面には、インナーライナゴム部材26が設けられている。
この他に、ベルト材14bとトレッドゴム部材18との間には、ベルト14のタイヤ径方向外側からベルト14を覆う、有機繊維をゴムで被覆した2層のベルトカバー30を備える。
(トレッドパターン)
図3は、図1のタイヤ10のトレッドパターンの一例を示す図である。
トレッドパターンは、ショルダー側主溝32と、センター側主溝34と、複数の第1のラグ溝52と、複数の第2のラグ溝54と、複数の第1のサイプ56と、複数の第3のラグ溝58と、複数の第4のラグ溝66と、を備える。
ショルダー側主溝32及びセンター側主溝34は、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の一方の側(図3において左側)に、互いに間隔をあけて配置され、タイヤ周方向に延びる溝である。なお、図3に示すトレッドパターンを備えるタイヤ10は、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の一方の側が車両内側(イン側)を向くよう装着されるが、上記タイヤ幅方向の他方の側が車両外側(アウト側)を向くよう装着されてもよい。
第1のラグ溝52は、ショルダー側主溝32のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー陸部領域42において、タイヤ幅方向外側からショルダー側主溝32に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。図3に示す例において、第1のラグ溝52は、延在方向の途中で屈曲しており、タイヤ幅方向と平行な方向に延在する外側部分52aと、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在する内側部分52bと、を有している。図3に示す例において、第1のラグ溝52の屈曲位置は、後述するショルダー細溝31が通るタイヤ幅方向位置である。
第2のラグ溝54は、ショルダー側主溝32とセンター側主溝34に挟まれたミドル陸部領域44において、ショルダー側主溝32を横切るように第1のラグ溝52が延長した方向に沿ってショルダー側主溝32の側からセンター側主溝34に向かって延びてミドル陸部領域44内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。ショルダー側主溝32を横切るように第1のラグ溝52が延長した方向とは、ショルダー側主溝32側の第1のラグ溝52の端部の延在方向を意味し、図3に示す例において、第1のラグ溝52の内側部分52bの延在方向である。第2のラグ溝54がこのように延びていることにより、第1のラグ溝52及び第2ラグ溝54は、ショルダー側主溝32を横切って延びる1本の長いラグ溝を形成する。この長いラグ溝は、溝体積が大きく、大きい雪柱剪断力が得られる。このため、新雪路面において操縦安定性が向上する。一方、タイヤ周方向に隣り合う上記長いラグ溝の間のタイヤ周方向の領域では、接地面積が大きく、路面との摩擦力が確保されるので、圧雪路面において操縦安定性が向上する。本明細書において、圧雪路面には、氷上路面が含まれる。
第1のサイプ56は、ミドル陸部領域44において、第2のラグ溝54の閉塞端からセンター側主溝34に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。このため、ミドル陸部は変形しやすく、第2のラグ溝54が雪柱を押し固める効果が増す。図3に示す例において、第1のサイプ56は、第1のラグ溝52の内側部分52bの延在方向に沿って延びている。
第3のラグ溝58は、センター側主溝34のタイヤ幅方向内側に位置し、タイヤセンターラインCLを通るセンター陸部領域46において、センター側主溝34を横切るように第1のサイプ56が延長した方向に沿ってセンター側主溝34の側から、センター側主溝34から遠ざかるように延びてセンター陸部領域46内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。センター側主溝34を横切るように第1のサイプ56が延長した方向とは、図3に示す例において、第1のラグ溝52の内側部分52bの延在方向に沿った方向と略等しい方向である。このように、第3のラグ溝58には、センター側主溝34を挟んで、第1のサイプ56が対向しているため、センター側主溝34を挟んで他のラグ溝が対向している場合と比べ、センター側主溝34と交差する方向の溝体積が小さく、気柱共鳴音が低減される。センター側主溝34の付近の領域は接地圧が高く、気柱共鳴音が大きくなりやすいため、このような第3のラグ溝58の配置によって、車外騒音が効果的に低減できる。また、第3のラグ溝58により雪柱剪断力が得られるため、新雪路面での操縦安定性が向上する。
第1のラグ溝52、第2のラグ溝54、第1のサイプ56、及び第3のラグ溝58は、タイヤ周方向に互いに間隔をあけた複数本の第1の延長線80を形成するように延在している。第1の延長線80は、ショルダー側主溝32及びセンター側主溝34を横切って、第1のラグ溝52、第2のラグ溝54、第1のサイプ56、及び第3のラグ溝58を、この順に、互いに接続するように延びる仮想線である。タイヤ10のトレッドパターンでは、第1の延長線80に沿って進むとき、陸部領域において、剛性の低い部分と、剛性の高い部分とが交互に表れる。剛性の低い部分は、具体的に、ラグ溝が延在するタイヤ幅方向領域の部分であり、上述したように、新雪路面における操縦安定性が向上する。一方、剛性の高い部分は、具体的に、サイプが延在するタイヤ幅方向領域の部分であり、上述したように、圧雪路面における操縦安定性が向上する。このように、陸部領域を第1の延長線80に沿って進むときに、新雪路面における操縦安定性が向上する部分と、圧雪路面における操縦安定性が向上する部分とが交互に表れる形態によって、タイヤ10では、新雪路面における操縦安定性と圧雪路面における操縦安定性とがバランスよく発揮される。
第1の延長線80は、延在方向の途中で、屈曲あるいは湾曲して延在していてもよい。途中で屈曲あるいは湾曲している場合の、屈曲あるいは湾曲した部分の前後での延在方向の角度差は30度以下である。図3に示す例において、第1の延長線80は、ショルダー細溝31を境として、タイヤ幅方向外側の部分はタイヤ幅方向と平行な方向に延在し、タイヤ幅方向内側の部分はタイヤ幅方向に対し、例えば10°〜25°傾斜している。
なお、ショルダー細溝31は、ショルダー陸部領域42において、ショルダー側主溝32と間隔をあけて配置され、ショルダー側主溝32の溝幅より狭く、タイヤ周方向に延びる溝である。ショルダー細溝31は、ショルダー陸部を変形しやすくし、横力に対するエッジ効果によってスノー性能を向上させる。
第4のラグ溝66は、ミドル陸部領域44において、隣り合う第1の延長線80の間のタイヤ周方向領域を、センター側主溝34の側からショルダー側主溝32に向かって延びてミドル陸部領域44内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第4のラグ溝66のセンター側主溝34側の端は、第3のラグ溝58のセンター側主溝34側の端とは、タイヤ周方向の異なる位置に位置しているため、センター側主溝34と交差する方向の溝体積が小さく、気柱共鳴音が低減される。このため、車外騒音が低減され、騒音性能に優れる。また、第4のラグ溝66により雪柱剪断力が得られるため、新雪路面での操縦安定性が向上する。タイヤ10のトレッドパターンでは、タイヤ周方向に隣り合う第1の延長線80の間のタイヤ周方向領域に、第4のラグ溝66があることで、陸部領域において、タイヤ周方向にも、陸部の剛性の低い部分と、剛性の高い部分とが交互に表れやすく、同じタイヤ幅方向位置においてタイヤ周方向に沿って進むとき、新雪路面における操縦安定性が向上する部分と、圧雪路面における操縦安定性が向上する部分とが交互に表れやすい。したがって、タイヤ10によれば、第1の延長線80に沿った方向、および、タイヤ周方向に沿った方向において、陸部領域に、新雪路面における操縦安定性が向上する部分と、圧雪路面における操縦安定性が向上する部分とが交互に表れる形態によって、新雪路面における操縦安定性と圧雪路面における操縦安定性とがバランスよく発揮される。このため、種々のスノー路面が存在する状況での操縦安定性(以降、スノー性能ともいう)に優れる。
なお、第4のラグ溝66は、タイヤ周方向に互いに間隔をあけた複数本の第2の延長線90を形成するように延在している。第2の延長線90は、タイヤ周方向に、第1の延長線80と交互に形成される。第2の延長線90は、例えば、第4のラグ溝66と、後述する、第2のサイプ64、第3のサイプ62、第5のラグ溝60、第6のサイプ68の少なくともいずれか1つとともに形成されてもよい。第2の延長線90は、延在方向の途中で、屈曲あるいは湾曲して延在していてもよい。途中で屈曲あるいは湾曲している場合の、屈曲あるいは湾曲した部分の前後での延在方向の角度差は30度以下である。
一実施形態によれば、さらに、複数の第2のサイプ64を備えていることが好ましい。第2のサイプ64は、ミドル陸部領域44において、隣り合う第1の延長線80の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、第4のラグ溝66の閉塞端からショルダー側主溝32に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第2のサイプ64が設けられていることで、ミドル陸部が変形しやすく、第4のラグ溝66が雪柱を押し固める効果が増す。また、陸部領域において、第2の延長線90に沿った方向及びタイヤ周方向に、剛性の高い部分と低い部分が交互に表れやすく、新雪路面及び圧雪路面での操縦安定性がさらにバランスよく発揮される。
この場合に、トレッドパターンは、さらに、複数の第3のサイプ62を備えることが好ましい。第3のサイプ62は、ショルダー陸部領域42において、隣り合う第1の延長線80の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、ショルダー側主溝32を横切るように第2のサイプ64が延長した方向に沿ってショルダー側主溝32の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて第1のラグ溝52と交互に配置されている。ショルダー側主溝32を横切るように第2のサイプ64が延長した方向とは、図3に示す例において、上記した、第1のラグ溝52の内側部分52bの延在方向に沿った方向と略平行な方向である。このように、タイヤ周方向に隣り合う、第1のラグ溝52および第2のラグ溝54の間のタイヤ周方向の領域は、第2のサイプ64及び第3のサイプ62が設けられていることで、接地面積が大きく、路面との摩擦力が確保される。また、第3のサイプ62を備えることで、第5のラグ溝60の閉塞端とショルダー側主溝32との間の陸部の部分の剛性が下がり、路面と衝突して発生する打音が低減される。この結果、車外騒音が低減される。
一実施形態によれば、トレッドパターンは、さらに、複数の第4のサイプ74を備えることが好ましい。第4のサイプ74は、ミドル陸部領域44において、第2のラグ溝54と第4のラグ溝66との間のタイヤ周方向領域を、ショルダー側主溝32の側からセンター側主溝34の側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第4のサイプ74によって、第2のラグ溝54を囲む陸部の部分と、第4のラグ溝66を囲む陸部の部分の動きが分断され、それぞれのラグ溝54、66が雪柱を固める効果が増す。
一実施形態によれば、トレッドパターンは、さらに、複数の第5のラグ溝60を備えることが好ましい。第5のラグ溝60は、ショルダー陸部領域42において、隣り合う延長線80の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、ショルダー側主溝32から離れた位置から、トレッド部10Tの接地端10aのタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第5のラグ溝60は、図3に示す例において、ショルダー細溝31から、タイヤ幅方向外側に延びている。
接地端10a、10bは、タイヤ10を正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重の88%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向の両端である。正規リムとは、JATMAに規定される「測定リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
第5のラグ溝60は、ショルダー側主溝32に連通せず、ショルダー陸部領域42内で閉塞していることにより、気柱共鳴音を抑制しつつ、接地端10aのタイヤ幅方向外側まで延びていることで、荷重の大きいショルダー領域で、雪柱剪断力による、新雪路面での操縦安定性が向上する。
一実施形態によれば、第1のラグ溝52のタイヤ幅方向外側の端部は、トレッド部10Tの接地端10aのタイヤ幅方向内側で閉塞していることが好ましい。これにより、第1のラグ溝52によって発生する気柱共鳴音が低減され、車外騒音が抑制される。
この場合に、トレッドパターンは、さらに、複数の第5のサイプ50を備えることが好ましい。第5のサイプ50は、ショルダー陸部領域42において、第1のラグ溝52の閉塞端から、第1の延長線80に沿ってタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第5のサイプ50が設けられていることで、ショルダー陸部が変形しやすく、第1のラグ溝52が雪柱を押し固める効果が増す。
一実施形態によれば、第2のラグ溝54が位置するタイヤ幅方向の範囲と、第4のラグ溝66が位置するタイヤ幅方向の範囲は、部分的に重なっていることが好ましい。タイヤ周方向に交互に配置された第2のラグ溝54と第4のラグ溝66の延在領域が、タイヤ幅方向にオーバーラップしていることで、ミドル陸部のタイヤ幅方向中央部の剛性を適度に低下させることができ、第2のラグ溝54及び第4のラグ溝66のそれぞれが雪柱を固める効果が向上する。
第2のラグ溝54、第3のラグ溝58、及び第4のラグ溝66のタイヤ周方向に対する傾斜角度は、50°〜90°であることが好ましい。上記傾斜角度が50°未満であると、制駆動時に十分な雪柱剪断力が得られない場合がある。上記傾斜角度は、65°〜80°であることがより好ましい。これにより、制駆動時と旋回時のスノー性能のバランスが良好になる。
一実施形態によれば、さらに、複数の第6のサイプ68を備えることが好ましい。第6のサイプ68は、センター陸部領域46において、センター側主溝34を横切るように第4のラグ溝66が延長した方向に沿って延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第6のサイプ68が設けられていることにより、タイヤ周方向に隣り合う、第3のラグ溝58を囲む陸部の部分の動きが分断され、第3のラグ溝58が雪柱を固める効果が増す。また、タイヤ周方向に隣り合う第3のラグ溝58の間のタイヤ周方向領域の接地面積を大きくし、路面との摩擦力が確保され、圧雪路面において操縦安定性が向上する。
この場合に、トレッドパターンは、さらに、複数の第7のサイプ76を備えることが好ましい。第7のサイプ76は、センター陸部領域46において、第3のラグ溝58と第6のサイプ68の間のタイヤ周方向領域を、センター側主溝34の側から、センター側主溝34から遠ざかるように延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第7のサイプ76によって、上記した、第3のラグ溝58を囲む陸部の部分の動きを分断する効果が大きくなり、第3のラグ溝が雪柱を固める効果がさらに増す。
一実施形態によれば、トレッドパターンは、複数の第5のラグ溝60を備える場合に、さらに、第8のサイプ72を備えることが好ましい。第8のサイプ72は、ショルダー陸部領域42において、第1のラグ溝52と第5のラグ溝60とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、ショルダー側主溝32の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第8のサイプ72が設けられていることにより、第1のラグ溝52を囲む陸部の部分と、第5のラグ溝60を囲む陸部の部分の動きが分断され、第1のラグ溝52が雪柱を固める効果と、第5のラグ溝60による排雪性が増す。
第8のサイプ72は、図3に示す例において、ショルダー細溝31を横切って、タイヤ幅方向外側に延び、後述する接地端10aのタイヤ幅方向外側まで延びている。
本実施形態のタイヤ10では、第1の延長線80に沿った方向、および、タイヤ周方向に沿った方向において、陸部領域に、新雪路面における操縦安定性が向上する部分と、圧雪路面における操縦安定性が向上する部分とが交互に表れる形態によって、新雪路面における操縦安定性と圧雪路面における操縦安定性とがバランスよく発揮される。このため、スノー性能に優れる。また、本実施形態のタイヤ10では、第3のラグ溝58には、センター側主溝34を挟んで、第1のサイプ56が対向しているため、気柱共鳴音が低減され、車外騒音が効果的に低減される。このようなタイヤ10は、オールシーズンタイヤとして好適に用いられる。
なお、図3に示すトレッドパターンにおいて、第1のラグ溝52及び第2のラグ溝54は、ショルダー側主溝32に開口し、第3のラグ溝58及び第4のラグ溝66は、センター側主溝34に開口している。また、図3に示すトレッドパターンにおいて、第1のサイプ56、第7のサイプ76は、センター側主溝34に開口し、第2のサイプ64、第3のサイプ62は、ショルダー側主溝32に開口し、第4のサイプ74は、ショルダー側主溝32及びセンター側主溝34の両方に開口し、第6のサイプ68、第8のサイプ72は、センター側主溝34及び第2のセンター側主溝36(後述)の両方に開口している。
第1〜第5の第ラグ溝、第1〜第8のサイプは、延在方向の端が底上げされ、延在方向の両端の間の部分より浅くなっていてもよい。
タイヤ10において、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の他方の側のトレッドパターンの領域の形態は、特に制限されず、一実施形態によれば、上記説明した、タイヤ幅方向の一方の側の形態と、タイヤセンターラインCLに対して線対称であり、別の一実施形態によれば、上記説明した、タイヤ幅方向の一方の側の形態と、タイヤセンターラインCL上の点に対して点対称であり、さらに別の一実施形態によれば、例えば、図3に示す、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の他方の側(図3において右側)の形態である。ここで、図3の右側に示す形態について説明する。
上記説明した、ショルダー側主溝を第1のショルダー側主溝、センター側主溝を第1のセンター側主溝というとき、図3に示すトレッドパターンは、タイヤセンターラインCLに対して他方の側の領域において、第2のショルダー側主溝38と、第2のセンター側主溝36と、複数の第1のショルダーサイプ51と、複数の第1のショルダーラグ溝53と、複数の第1のミドルラグ溝55と、複数の第1のミドルサイプ57と、複数の第2のミドルラグ溝67と、複数の第2のショルダーサイプ65と、複数の第2のショルダーラグ溝63と、複数の第3のショルダーサイプ71と、複数の第3のミドルサイプ73と、を備える。
第2のショルダー側主溝38及び第2のセンター側主溝36は、タイヤセンターラインCLに対してタイヤ幅方向の他方の側(図3において右側)に、互いに間隔をあけて配置され、タイヤ周方向に延びる溝である。
第1のショルダーサイプ51は、第2のショルダー陸部領域49において、第1のショルダーラグ溝53の閉塞端から、タイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第1のショルダーラグ溝53は、第2のショルダー側主溝38のタイヤ幅方向外側に位置する第2のショルダー陸部領域49において、タイヤ幅方向外側から第2のショルダー側主溝38に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第1のミドルラグ溝55は、第2のショルダー側主溝38と第2のセンター側主溝36に挟まれた第2のミドル陸部領域47において、第2のショルダー側主溝38を横切るように第1のショルダーラグ溝53が延長した方向に沿って第2のショルダー側主溝38の側から第2のセンター側主溝36に向かって延びて第2のミドル陸部領域47内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。第2のショルダー側主溝38を横切るように第1のショルダーラグ溝53が延長した方向とは、第2のショルダー側主溝38側の第1のショルダーラグ溝53の端部の延在方向を意味する。
第1のミドルサイプ57は、第2のミドル陸部領域47において、第1のミドルラグ溝55の閉塞端から第2のセンター側主溝36に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第2のミドルラグ溝67は、第2のミドル陸部領域47において、タイヤ周方向に隣り合う第1のミドルラグ溝55の間のタイヤ周方向領域を、第2のセンター側主溝36の側から第2のショルダー側主溝38に向かって延びて第2のミドル陸部領域47内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第2のショルダーサイプ65は、第2のショルダー陸部領域49において、タイヤ周方向に隣り合う第1のショルダーラグ溝53の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、ショルダー側主溝32を横切るように第2のサイプ64が延長した方向に沿ってショルダー側主溝32の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて第1のラグ溝52と交互に配置されている。
第2のショルダーラグ溝63は、第2のショルダー陸部領域49において、タイヤ周方向に隣り合う第1のショルダーラグ溝53の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、第2のショルダー側主溝38から離れた位置から、トレッド部10Tの接地端10bのタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第3のショルダーサイプ71は、第2のショルダー陸部領域49において、第1のショルダーラグ溝53と第2のショルダーラグ溝63とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、第2のショルダー側主溝38の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
第3のミドルサイプ73は、第2のミドル陸部領域47において、第1のミドルラグ溝55と第2のミドルラグ溝67とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、第2のショルダー側主溝38の側から第2のセンター側主溝36の側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置されている。
図3の右側に示す形態は、ショルダー細溝39を備えていてもよい。ショルダー細溝39は、ショルダー陸部領域49において、ショルダー側主溝38と間隔をあけて配置され、ショルダー側主溝38の溝幅より狭く、タイヤ周方向に延びる溝である。
(比較例、実施例)
本実施形態の空気入りタイヤの効果を調べるために、タイヤのトレッドパターンを種々変更し、スノー性能、騒音性能を調べた。試作したタイヤは、サイズが225/65R17、図2に示す断面形状を有し、表1、表2、および下記に示す形態を除いて図3に示すトレッドパターンを基調とした。
表1および表2に、各タイヤのトレッドパターンに関する形態とその評価結果を示す。
表1および表2において、「第1〜第3のラグ溝と第1のサイプの配置」の欄に関して、「延長線」は、第1〜第3のラグ溝及び第1のサイプが上記説明した第1の延長線を形成するよう延在していることを意味する。
「ランダム1」は、図3に示すトレッドパターンにおいて、第1のラグ溝のショルダー側主溝側の端と、第2のラグ溝のショルダー側主溝側の端とが互いに最も離れるように、ショルダー陸部領域を、ミドル陸部領域に対してタイヤ周方向にずらした形態であって、表1に示す形態を採用した形態を意味する。
「ランダム2」は、図3に示すトレッドパターンにおいて、第1のラグ溝のショルダー側主溝側の端と、第2のラグ溝のショルダー側主溝側の端とが互いに最も離れるように、ミドル陸部領域を、ショルダー陸部領域に対してタイヤ周方向にずらした形態、言い換えると、第4のラグ溝のセンター側主溝側の端と第3のラグ溝のセンター側主溝側の端とが互いに最も接近するように、ミドル陸部領域を、ショルダー陸部領域に対してタイヤ周方向にずらした形態であって、表1に示す形態を採用した形態を意味する。
「第1のサイプなし」は、第1のサイプを設けなかった点を除いて、第1〜第3のラグ溝の配置が、上記「延長線」を満たす形態を意味する。
表1および表2において、「第5のラグ溝が主溝に貫通しているか」の欄に関して、「貫通」とは、第5のラグ溝が、ショルダー側主溝32に開口していることをいう。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、スノー性能、騒音性能を評価し、その結果を表1及び表2に併せて示した。各評価は、試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2400ccの前輪駆動車に装着し、ウォームアップ後の空気圧を230kPaとした条件にて行った。
スノー性能
他の車両が走行した後の新雪路面と圧雪路面とが混在する雪上路面のテストコースにて0〜80km/時のレンジでテストドライバーが走行したときの操舵性、直進性等について官能評価を行い、比較例1を100とする指数で示した。この指数が大きいほど、スノー性能が優れていることを意味する。指数が104以上だったものを、スノー性能に優れると評価した。
騒音性能
各試験タイヤを、スノー性能の評価試験で用いたのと同じ試験車両に装着し、欧州騒音規制条件(ECE R117)に準拠して車外での通過騒音を計測した。評価結果は、計測値の逆数を用い、比較例1を100とする指数で示した。この指数が大きいほど、騒音性能が優れていることを意味する。指数が100以上だったものを、騒音性能の低下を抑制できたと評価した。
また、スノー性能の指数が104以上であり、かつ、騒音性能の指数が100以上である場合を、騒音性能の低下を抑制しつつスノー性能を向上することができた、すなわち、スノー性能と騒音性能とを両立できたと判断した。
Figure 2019073230
Figure 2019073230
実施例1〜9と、比較例1〜4との比較から、第1のラグ溝、第2のラグ溝、第1のサイプ、及び第3のラグ溝が延長線を形成するように延在し、さらに、第4のラグ溝を備えることにより、スノー性能と騒音性能とを両立できることがわかる。
実施例1と実施例2の比較から第4のラグ溝を備えることで、車外騒音が低減し、かつスノー性能がさらに向上することがわかる。
実施例2と実施例3の比較から第2のサイプを備えることで、車外騒音が低減し、かつスノー性能がさらに向上することがわかる。
実施例3と実施例4の比較から第3のサイプを備えることで、車外騒音が低減し、かつスノー性能がさらに向上することがわかる。
これらの結果から、第2〜第4のサイプを備えることで、陸部の路面に対する打音が低減し、車外騒音が低減することがわかる。
実施例4と実施例5の比較から、第5のラグ溝がショルダー陸部領域内で閉塞していることにより、車外騒音が低減することがわかる。
実施例5と実施例6の比較から、第1のラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部が接地端の内側に位置していることで、車外騒音が低減することがわかる。また、第1のラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部が接地端の外側に位置する場合と同程度のスノー性能が得られることがわかる。
実施例6と実施例7の比較から、第2ラグ溝と第4ラグ溝が延在するタイヤ幅方向の範囲が重なっていることで、スノー性が向上することがわかる。
実施例8と、実施例7、9の比較から、第2ラグ溝、第3のラグ溝、第4ラグ溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度が50°以上であることで、スノー性能が向上することがわかる。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明の空気入りタイヤは上記実施形態あるいは実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 タイヤ
10T トレッド部
31 ショルダー細溝
32 ショルダー側主溝
34 センター側主溝
42 ショルダー陸部領域
44 ミドル陸部領域
46 センター陸部領域
50 第5のサイプ
52 第1のラグ溝
54 第2のラグ溝
56 第1のサイプ
58 第3のラグ溝
60 第5のラグ溝
62 第3のサイプ
64 第2のサイプ
66 第4のラグ溝
68 第6のサイプ
72 第8のサイプ
74 第4のサイプ
76 第7のサイプ

Claims (12)

  1. トレッドパターンをトレッド部に備えた空気入りタイヤであって、
    前記トレッドパターンは、
    タイヤセンターラインに対してタイヤ幅方向の一方の側に、互いに間隔をあけて配置され、タイヤ周方向に延びるショルダー側主溝及びセンター側主溝と、
    前記ショルダー側主溝のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー陸部領域において、タイヤ幅方向外側から前記ショルダー側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第1のラグ溝と、
    前記ショルダー側主溝と前記センター側主溝に挟まれたミドル陸部領域において、前記ショルダー側主溝を横切るように前記第1のラグ溝が延長した方向に沿って前記ショルダー側主溝の側から前記センター側主溝に向かって延びて前記ミドル陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第2のラグ溝と、
    前記ミドル陸部領域において、前記第2のラグ溝の閉塞端から前記センター側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第1のサイプと、
    前記センター側主溝のタイヤ幅方向内側に位置し、タイヤセンターラインを通るセンター陸部領域において、前記センター側主溝を横切るように前記第1のサイプが延長した方向に沿って前記センター側主溝の側から、前記センター側主溝から遠ざかるように延びて前記センター陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第3のラグ溝と、を備え、
    前記第1のラグ溝、前記第2のラグ溝、前記第1のサイプ、及び前記第3のラグ溝は、タイヤ周方向に互いに間隔をあけた複数本の延長線を形成するように延在し、
    前記トレッドパターンは、さらに、前記ミドル陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を、前記センター側主溝の側から前記ショルダー側主溝に向かって延びて前記ミドル陸部領域内で閉塞し、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第4のラグ溝を備える、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. さらに、前記ミドル陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記第4のラグ溝の閉塞端から前記ショルダー側主溝に向かって延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第2のサイプを備える、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝を横切るように前記第2のサイプが延長した方向に沿って前記ショルダー側主溝の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて前記第1のラグ溝と交互に配置された複数の第3のサイプを備える、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. さらに、前記ミドル陸部領域において、前記第2のラグ溝と前記第4のラグ溝とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、前記ショルダー側主溝の側から前記センター側主溝の側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第4のサイプを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝から離れた位置から、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のラグ溝を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第1のラグ溝のタイヤ幅方向外側の端部は、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向内側で閉塞している、請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. さらに、前記ショルダー陸部領域において、前記第1のラグ溝の閉塞端から、前記延長線に沿ってタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のサイプを備える、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記第2のラグ溝が位置するタイヤ幅方向の範囲と、前記第4のラグ溝が位置するタイヤ幅方向の範囲は部分的に重なっている、請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第2のラグ溝、前記第3のラグ溝、及び前記第4のラグ溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度は、50°〜90°である、請求項1から8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. さらに、前記センター陸部領域において、前記センター側主溝を横切るように前記第4のラグ溝が延長した方向に沿って延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第6のサイプを備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. さらに、前記センター陸部領域において、前記第3のラグ溝と前記第6のサイプの間のタイヤ周方向領域を、前記センター側主溝の側から、前記センター側主溝から遠ざかるように延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数本の第7のサイプを備える、請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. さらに、前記ショルダー陸部領域において、隣り合う前記延長線の間のタイヤ周方向領域を延びるよう、前記ショルダー側主溝から離れた位置から、前記トレッド部の接地端のタイヤ幅方向外側まで延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数の第5のラグ溝と、
    前記ショルダー陸部領域において、前記第1のラグ溝と前記第5のラグ溝とのタイヤ周方向の間のタイヤ周方向領域を、前記ショルダー側主溝の側からタイヤ幅方向外側に延び、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された第8のサイプと、を備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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