以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪などの車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機を備える場合、電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転状態通知部70と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線などの多重通信線やシリアル通信線、無線通信網などによって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面などに取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。カメラ10は、自車両Mの周辺に存在する他車両および道路環境を撮像する。カメラ10は、「撮像部」の一例である。例えば、カメラ10は、自車両Mと一車線の道路で向かい合う他車両m(図3参照)が存在する場合に、当該他車両mを撮像する。「一車線の道路」とは、2台の4輪車両がすれ違うだけの十分な幅がない道路を意味する。「自車両Mと一車線の道路で向かい合う他車両m」は、「自車両Mと一車線の道路ですれ違う他車両m」を意味し、以下では「特定他車両m」と称する。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。また、物体認識装置16は、必要に応じて、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。例えば、通信装置20は、自車両Mと一車線の道路で向かい合う特定他車両mと通信を行い、特定他車両mが手動運転を実行しているか否かを示す情報を取得する。通信装置20は、「車車間通信部」の一例である。「特定他車両mが手動運転を実行しているか否かを示す情報」とは、特定他車両mが手動運転を実行していることを直接的に示す情報に限定されず、特定他車両mが自動運転を実行中であることを示す情報、または特定他車両mが自動運転を実行していないことを示す情報などでもよい。通信装置20は、特定他車両mと通信を行うことで取得した情報を自動運転制御装置100に出力する。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサなどを含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。また、第1地図情報54は、道路幅を示す情報(例えば、特定の道路が一車線の道路であることを示す情報)を含んでもよい。経路決定部53により決定された地図上経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された地図上経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報或いは車線の境界の情報などを含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。例えば、第2地図情報62は、道路幅を示す情報(例えば、特定の道路が一車線の道路であることを示す情報)を含んでもよい。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
運転状態通知部70は、自車両Mの運転状態を外部(例えば特定他車両mの乗員)に通知する通知部である。例えば、運転状態通知部70は、自車両Mが自動運転を実行中であるか否かを示す情報を外部に通知する。運転状態通知部70は、自車両Mの運転状態(例えば、自車両Mが自動運転を実行中であること)を表示する表示部であってもよく、自車両Mの運転状態を音声により出力するスピーカなどであってもよい。運転状態通知部70は、例えば、自車両Mが自動運転を実行中の状態で一車線の道路に特定他車両mが存在した場合、自動運転制御装置100の制御に基づき、自車両Mが自動運転中であることを示す情報を特定他車両mの乗員に通知する。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力される。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、記憶部170とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、状況判定部140と、行動計画生成部150とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニングなどによる交差点の認識と、予め与えられた条件(例えば、パターンマッチング可能な信号や道路標示などがあること)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現される。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体(自車両Mの周辺に存在する他車両を含む)の位置、および速度、加速度などの状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナーなどの代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体両の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、物体の「状態」とは、他車両の挙動を含む。すなわち、認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づき、他車両(例えば特定他車両m)の挙動を認識する。また、認識部130は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mがこれから通過するカーブの形状を認識する。認識部130は、カーブの形状をカメラ10の撮像画像から実平面に変換し、例えば、二次元の点列情報、或いはこれと同等なモデルを用いて表現した情報を、カーブの形状を示す情報として行動計画生成部150に出力する。
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。また、これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
本実施形態では、認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報、第1地図情報54から得られる情報、および第2地図情報62から得られる情報のうち少なくとも1つに基づき、自車両Mが走行中の道路および自車両Mが走行予定の道路が、一車線の道路であるか否かを認識する。
また、認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報、第1地図情報54から得られる情報、および第2地図情報62から得られる情報のうち少なくとも1つに基づき、自車両Mの周辺の道路環境を認識する。道路環境とは、道路の幅や、道路に存在する障害物、道路に沿って存在する建物、道路に沿ってまたは道路に存在する車両が退避できる領域(退避スペースAR)などである。
図3は、退避スペースARの一例を示す図である。退避スペースARは、自車両Mの全体を包含可能なスペースに限らず、自車両Mの一部が進入可能なスペースであってもよい。自車両Mの一部が進入可能なスペースとは、自車両Mの一部がそのスペースに進入することにより特定他車両mが対象の道路を通行することを可能にするスペースである。
認識部130は、当該認識部130が認識した情報を、状況判定部140および行動計画生成部150に出力する。
図2に戻り説明すると、状況判定部140は、認識部130により認識された情報に基づき、自車両Mの周囲の状況に関する判定を行う。例えば、状況判定部140は、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在するか否か、および、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在する場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する。状況判定部140により判定された判定結果は、行動計画生成部150に出力される。なお、状況判定部140の詳細は、後述する。
行動計画生成部150は、物体認識装置16から入力される情報、MPU60から入力される情報、認識部130により認識された情報、および状況判定部140により判定された判定結果などに基づき、自車両Mの行動計画を生成する。例えば、行動計画生成部150は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自動運転において順次実行されるイベントを決定する。イベントには、例えば、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、前走車両に追従する追従走行イベント、前走車両を追い越す追い越しイベント、障害物との接近を回避するための制動および/または操舵を行う回避イベント、カーブを走行するカーブ走行イベント、交差点や横断歩道、踏切などの所定のポイントを通過する通過イベント、車線変更イベント、合流イベント、分岐イベント、自動停止イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのテイクオーバイベントなどがある。
行動計画生成部150は、起動したイベントに応じて、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。各機能部の詳細については後述する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
行動計画生成部150は、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在する場合、認識部130により認識された情報および状況判定部140により判定された判定結果に基づき、自車両Mの行動計画を生成する。例えば、行動計画生成部150は、状況判定部140によって自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定された場合、認識部130によって認識されている退避スペースARへ自車両Mを移動させる行動計画を生成する。一方で、行動計画生成部150は、状況判定部140によって自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定された場合、安全上の措置(例えば、特定他車両mの挙動およびその他の状態を細かく監視する、自車両Mがいつでも退避スペースARへ移動できる自由度を残す、など)を取りつつ、特定他車両mが退避スペースARに移動することを前提とした行動計画を生成する。すなわち、行動計画生成部150は、一車線の道路を自車両Mが優先して走行する行動計画を生成する。
第2制御部160は、行動計画生成部150によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部150により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
図1に戻り説明すると、走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
次に、状況判定部140について詳しく説明する。図4は、状況判定部140の機能構成図である。状況判定部140は、例えば、すれ違い車両判定部142と、退避要否判定部144とを有する。なお、状況判定部140が判定基準として用いる情報は、例えば、記憶部170に記憶されている。
[すれ違い車両判定部]
すれ違い車両判定部142は、認識部130により認識された他車両のなかで、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在するか否かを判定する。例えば、すれ違い判定部132は、自車両Mが走行中の道路が一車線の道路であると認識部130によって認識されている状況で、自車両Mの前方から自車両Mに接近する他車両が認識部130によって認識された場合に、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在すると判定する。
[退避要否判定部]
退避要否判定部144は、すれ違い車両判定部142によって自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在すると判定された場合、すれ違い車両判定部142によって存在すると判定された特定他車両mの種別または走行意思に基づいて、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する。このような機能を実現するため、退避要否判定部144は、例えば、他車両種別判定部144aと、他車両走行意思判定部144bと、行動決定部144cとを有する。
なお、以下の処理において、退避要否判定部144が自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する場合は、例えば、認識部130によって所定の条件が満たされることが予め認識されていることを前提としてもよい。「所定の条件」とは、例えば、特定他車両mが移動可能な退避スペースARが存在すること、および特定他車両mに後続車が存在しないことなどである。なお、退避要否判定部144が自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する場合は、上記に加えて、例えば少なくとも1つの退避スペースARが所定の条件を満たす退避スペースARであることを前提としてもよい。「所定の条件を満たす退避スペースAR」とは、例えば、特定他車両mから所定の距離内に存在する退避スペースARでもよいし、特定他車両mが後進することなく移動可能な退避スペースARでもよいし、自車両Mよりも特定他車両mの近くに位置する退避スペースARでもよい。
他車両種別判定部144aは、例えばカメラ10を介して入力される情報に基づいて、特定他車両mの種別を判定する。本実施形態では、他車両種別判定部144aは、特定他車両mの種別として、特定他車両mが業務車両であるか否か、および特定他車両mが所定マークを有するか車両であるか否かを判定する。
「業務車両」とは、業務を遂行するために走行する車両を意味する。「業務車両」とは、配送車やタクシーなどである。配送車は、荷物または出前のような食品の宅配業者の配送トラックなどである。例えば、他車両種別判定部144aは、カメラ10によって撮像された特定他車両mの画像のなかに、業務車両であることを示す特定の特徴要素が存在する場合に、特定他車両mが業務車両であると判定する。「業務車両であることを示す特定の特徴要素」とは、配送車の場合、車両に描かれた特定の業者を示すマーク(例えば、会社のロゴマークや色の配置)などである。「業務車両であることを示す特定の特徴要素」とは、タクシーの場合、車両の上部に設けられた表示灯や、「空車」或いは「賃走」などの文字が表示された電光表示板である。なお、他車両種別判定部144aは、業務車両であることを示す情報を通信装置20による車車間通信によって特定他車両mから取得した場合に、特定他車両mが業務車両であると判定してもよい。
「所定マーク」とは、初心者マークや、高齢者であることを示すマークなどである。例えば、他車両種別判定部144aは、カメラ10によって撮像された特定他車両mの画像に所定マークが存在するか否かを判定する。他車両種別判定部144aは、カメラ10によって撮像された特定他車両mの画像に所定マークが存在する場合に、特定他車両mが所定マークを有する車両であると判定する。なお、他車両種別判定部144aは、所定マークが貼られた車両(または前記所定マークと同じ意味を持つ登録が行われた車両)であることを示す情報を通信装置20による車車間通信によって特定他車両mから取得した場合に、特定他車両mに所定マークを有する特定他車両であると判定する。
他車両走行意思判定部144bは、認識部130により認識された特定他車両mの挙動または状態に基づき、特定他車両mの走行意思を判定する。例えば、他車両走行意思判定部144bは、特定他車両mの走行意思として、自車両Mとのすれ違いにおいて、道路を特定他車両mが優先して走行しようとする意志があるか、或いは道路を自車両Mに譲ろうとする意思があるかを判定する。
本実施形態では、他車両走行意思判定部144bは、認識部130により認識された特定他車両mの挙動または状態が特定の挙動または状態に該当するか否かに基づき、特定他車両mの走行意思を判定する。例えば、他車両走行意思判定部144bは、認識部130により認識された特定他車両mの挙動または状態が、特定他車両mが停止せずに接近してくる挙動であるか否か、特定他車両mが減速する挙動(特定他車両mが停止する挙動を含む)であるか否か、および前方点灯装置に特定の動作をさせた状態であるか否かを判定する。「前方点灯装置に特定の動作をさせた状態」とは、例えば、いわゆるパッシングをさせた状態、すなわち特定他車両mの前方点灯装置を瞬間的に発光させた状態(前方点灯装置を瞬間的に上向き(ハイビーム)で点灯させた状態でもよい)である。なお、「前方点灯装置に特定の動作をさせた状態」とは、上記例に限定されず、ハザードランプを点灯させた状態、または点灯していた前方点灯装置を消灯させた状態などでもよい。そして、他車両走行意思判定部144bは、特定他車両mが停止せずに接近してくる挙動を示す場合に、特定他車両mに道路を特定他車両mが優先して走行しようとする意志があると判定する。一方で、他車両走行意思判定部144bは、特定他車両mが減速する挙動(特定他車両mが停止する挙動を含む)、または前方点灯装置に特定の動作をさせた状態を示す場合に、特定他車両mに道路を自車両Mに譲ろうとする意思があると判定する。
行動決定部144cは、他車両種別判定部144aにより判定された特定他車両mの種別、または他車両走行意思判定部144bにより判定された特定他車両mの走行意思に基づいて、退避スペースARへの自車両Mの移動が必要か否かを判定する。
行動決定部144cは、例えば、他車両種別判定部144aによって特定他車両mが業務車両であると判定された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。行動決定部144cは、他車両種別判定部144aによって特定他車両mが所定マークを有する車両であると判定された場合(すなわち、カメラ10により撮像された画像に所定マークが存在する場合)に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。
行動決定部144cは、他車両走行意思判定部144bによって特定他車両mに道路を優先して走行しようとする意志があると判定された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。すなわち、行動決定部144cは、認識部130により認識された特定他車両mの挙動が、特定他車両mが停止せずに前進する挙動であると判定された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。
一方で、行動決定部144cは、他車両走行意思判定部144bによって特定他車両mに道路を自車両Mに譲ろうとする意思があると判定された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する。すなわち、行動決定部144cは、認識部130により認識された特定他車両mの挙動が、特定他車両mが減速する挙動である場合、または認識部130により認識された特定他車両mの状態が前方点灯装置に特定の動作をさせた状態であると判定された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する。
さらに、行動決定部144cは、通信装置20によって特定他車両mが手動運転を実行していることを示す情報が取得された場合、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要ないと判定してもよい。ただしこれは、自車両Mよりも特定他車両mに近い位置、または特定他車両mから所定の距離内に退避スペースARが存在することを前提としてもよい。またこれは、運転状態通知部70(図1参照)によって自車両Mが自動運転中であることが特定他車両mの乗員に通知されていることを前提としてもよい。
ここで、行動決定部144cは、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する場合に、例えば、上述した複数の要素(判定の根拠とする複数の要素)に対して予め設定された優先順序に従って、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する。本実施形態では、行動決定部144cは、特定他車両mの種別と、特定他車両mの走行意思と、特定他車両mが手動で運転されているか否かの3つの要素が判定された場合、特定他車両mが手動で運転されているか否かよりも特定他車両mの種別および特定他車両mの走行意思を優先させ、さらに、特定他車両mの走行意思を特定他車両mの種別よりも優先させて、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する。
例えば、行動決定部144cは、通信装置20によって特定他車両mが手動で実行していることを示す情報が取得された場合であっても、特定他車両mが業務車両または所定マークを有する車両であると判定された場合は、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。同様に、行動決定部144cは、通信装置20によって特定他車両mが手動で実行していることを示す情報が取得された場合であっても、特定他車両mに道路を優先して走行しようとする意志があると判定された場合は、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。また、行動決定部144cは、特定他車両mが業務車両または所定マークを有する車両であると判定された場合であっても、特定他車両mに道路を自車両Mに譲ろうとする意思があると判定された場合は、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する。
行動決定部144cは、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定した場合、その判定結果を行動計画生成部150に出力する。行動計画生成部150は、行動決定部144cによって自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定された場合、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御して自車両Mを走行させ、自車両Mを退避スペースARに退避させる行動計画を生成する。一方で、行動計画生成部150は、行動決定部144cによって退避スペースARへの自車両Mの移動が必要でないと判定された場合、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御して自車両Mをすれ違い予定位置に向けて移動させる。
次に、自動運転制御装置100により実行される処理の流れの一例について説明する。図5は、自動運転制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下に示すフローは、所定の周期毎に繰り返し実行される。ただし、自動運転制御装置100により実行される処理は、下記の例に限定されない。
まず、認識部130は、物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mの周辺に位置する他車両、および自車両Mが走行する道路環境(例えば、自車両Mが走行中の道路および自車両Mが走行予定の道路が一車線の道路であるか否か)を認識する(ステップS101)。
次に、すれ違い車両判定部142は、認識部130により認識された他車両のなかで、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在するか否かを判定する(ステップS102)。特定他車両mが存在しない場合、本フローの処理は終了する。
次に、退避要否判定部144は、特定他車両mの走行意思を判定可能であるか否かを判定する(ステップS103)。例えば、退避要否判定部144は、認識部130によって認識された特定他車両mの挙動または状態が特定の挙動または状態に該当する場合、特定他車両mの走行意思を判定可能であると判定する。一方で、退避要否判定部144は、認識部130によって認識された特定他車両mの挙動または状態が特定の挙動または状態でない場合、特定他車両mの走行意思を判定不可能であると判定する。
退避要否判定部144は、特定他車両mの走行意思を判定可能であると判定した場合、特定他車両mに道路を優先して走行しようとする意志があるか、或いは道路を譲ろうとする意志があるかを判定する(ステップS104)。退避要否判定部144は、特定他車両mに道路を優先して走行しようとする意志があると判定した場合、後述するS111の処理に移行する。一方で、退避要否判定部144は、特定他車両mに道路を譲ろうとする意志があると判定した場合、後述するS113の処理に移行する。
退避要否判定部144は、特定他車両mの走行意思を判定不可能であると判定した場合、特定他車両mの種別または所定マークの有無を判定する(ステップS105)。退避要否判定部144は、特定他車両mが業務車両である、または、特定他車両mが所定マークを有する車両であると判定した場合、後述するS111の処理に移行する。
退避要否判定部144は、特定他車両mが業務車両でなく、且つ、特定他車両mが所定マークを有する車両でないと判定した場合、通信装置20によって特定他車両mが手動運転であることを示す情報を取得しているか否かを判定する(ステップS106)。退避要否判定部144は、通信装置20によって特定他車両mが手動運転であることを示す情報を取得している場合、後述するS113の処理に移行する。
退避要否判定部144は、通信装置20によって特定他車両mが手動運転であることを示す情報を取得していない場合、所定のスコアリングによるスコア(または評価関数により計算された値)が閾値以上であるか否かを判定する。所定のスコアリングは、例えば、自車両Mと特定他車両mとのうちいずれが退避スペースARに移動しやすいかを示すスコアリングである。所定のスコアリングは、例えば、自車両Mと退避スペースARとの距離、特定他車両mと退避スペースARとの距離、自車両Mが退避スペースARに移動するために必要な操舵量、および特定他車両mが退避スペースARに移動するために必要な操舵量などを総合的に考慮したスコアリングである。退避要否判定部144は、所定のスコアリングによって得られたスコアが閾値以上の場合、後述するS111の処理に移行する。一方で、退避要否判定部144は、所定のスコアリングによって得られたスコアが閾値未満の場合、後述するS113の処理に移行する。なお、「所定のスコアリングによるスコア」および「評価関数により計算された値」は、「所定の計算によって導出された値」と総称されてもよい。
退避要否判定部144は、特定他車両mに道路を優先して走行しようとする意志がある、特定他車両mが業務車両である、特定他車両mが所定マークを有する車両である、または所定のスコアリングによって得られたスコアが閾値以上である場合、自車両Mの退避スペースARの移動が必要であると判定する(S111)。この場合、行動計画生成部150は、退避スペースARへ自車両Mを移動させる行動計画を生成する(S112)。
一方で、退避要否判定部144は、特定他車両mに道路を譲ろうとする意志がある、特定他車両mが業務車両でない、特定他車両mが所定マークを有する車両でない、または所定のスコアリングによって得られたスコアが閾値未満である場合、自車両Mの退避スペースARの移動が必要でないと判定する(S113)。この場合、行動計画生成部150は、特定他車両mが退避スペースARへ移動することを前提とした行動計画を生成する(S114)。
以上のような構成によれば、対面通行をより滑らかに行うことができる。すなわち、本実施形態の自動運転制御装置100は、すれ違い車両判定部142により存在すると判定された特定他車両mの種別または特定他車両mの走行意思に基づいて、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要か否かを判定する。このような構成によれば、特定他車両mの種別または特定他車両mの走行意思に基づいて、自車両Mが退避スペースARへ移動するか否かを判定することができる。これにより、自車両Mと特定他車両mが道路上で互いに向かい合って停止してしまう状況や、自車両Mと特定他車両mの両方が道路を譲り合ってしまう状況の発生を低減させることができる。その結果、対面通行をより滑らかに行うことができる。
本実施形態では、退避要否判定部144は、特定他車両mが業務車両である場合に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。言い換えると、自動運転制御装置100は、特定他車両mが業務車両である場合に、自車両Mを退避スペースARに移動させることで、業務車両の走行を優先させる。ここで、業務車両は、業務を遂行するために走行しているため、業務車両の走行を優先させることはその業務の円滑化を通じて社会全体の利益に繋がる。また、業務車両は、業務の遂行に時間的な制約を持つ場合が多く、一般車両に比べて先を急いでいる可能性が高い。そのため、本実施形態では、特定他車両mが業務車両である場合に、業務車両の走行を優先させる。このような構成によれば、社会全体の利益に貢献するとともに、急いでいる車両の邪魔をしないことで、結果的に自車両Mおよび特定他車両mの対面通行をさらに円滑にすることができる。
本実施形態では、退避要否判定部144は、カメラ10により撮像された特定他車両mの画像に所定マークが存在する場合に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。このような構成によれば、初心者マークや高齢者であることを示すマークを有した車両に対して道路を譲ることができる。この場合も、初心者や高齢者が運転する車両の邪魔をしないことで、安全性をさらに高めるとともに、結果的に自車両Mおよび特定他車両mの対面通行をさらに円滑にすることができる場合がある。
本実施形態では、退避要否判定部144は、特定他車両mの挙動が停止せずに接近してくる挙動である場合に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要であると判定する。このような構成によれば、道路を譲る意思がないと推定される車両と道路上で向かい合う状況の発生を低減することができる。これにより、対面通行をより滑らかに行うことができる。
本実施形態では、退避要否判定部144は、特定他車両mの挙動が減速する挙動である場合に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する。このような構成によれば、特定他車両mに道路を譲る意思がある場合に、自車両Mまでも道路を譲ることで、自車両Mと特定他車両mの両方が道路を譲り合ってしまう状況の発生を低減させることができる。これにより、対面通行をより滑らかに行うことができる。
本実施形態では、退避要否判定部144は、特定他車両mの状態が前方点灯装置に特定の動作をさせた状態である場合に、自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する。このような構成によれば、特定他車両mに道路を譲る意思がある場合に、自車両Mまでも道路を譲ることで、自車両Mと特定他車両mの両方が道路を譲り合ってしまう状況の発生を低減させることができる。これにより、対面通行をより滑らかに行うことができる。
本実施形態では、退避要否判定部144は、通信装置20により特定他車両mが手動運転を実行していることを示す情報が取得された場合に、自車両Mの退避スペースへの移動が必要でないと判定する。このような構成によれば、自車両Mが自動運転で、特定他車両mが手動運転の場合に、手動運転の特定他車両mが道路を譲ってくれるだろうと判断して退避せずに走行することができる。この場合、退避の行動計画を生成するために必要な複雑な処理を行うことなく、走行を継続することができる。
なお、実施形態の構成は、上記例に限定されない。例えば、退避要否判定部144は、通信装置20により特定他車両mが手動運転を実行していることを示す情報が取得された場合に自車両Mの退避スペースARへの移動が必要でないと判定する機能を有しなくてもよい。この場合は、図5においてステップS106の代わりに、ステップS107の処理が行われる。
以上説明した処理により、場面に応じて、自車両Mまたは特定他車両mが、より適切に退避スペースに退避するため、より滑らかに対面通行が行われ、交通経済の負担を軽減させることができる。
以上説明した実施形態によれば、自車両Mの周辺に存在する他車両を認識する認識部130と、認識部130により認識された他車両のなかで、自車両Mと一車線の道路ですれ違う特定他車両mが存在するか否かを判定するすれ違い車両判定部142と、すれ違い車両判定部142により存在すると判定された特定他車両mの種別と特定他車両mの走行意思とのうち少なくとも一方に基づいて、退避スペースARへの自車両Mの移動が必要か否かを判定する退避要否判定部144とを備えることにより、対面通行をより滑らかに行うことができる。
[ハードウェア構成]
上述した実施形態の自動運転制御装置100は、例えば、図6に示すようなハードウェアの構成により実現される。図6は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、RAM100−3、ROM100−4、フラッシュメモリやHDDなどの二次記憶装置100−5、およびドライブ装置100−6が、内部バス或いは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100−6には、光ディスクなどの可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100−5に格納されたプログラム100−5aがDMAコントローラ(不図示)などによってRAM100−3に展開され、CPU100−2によって実行されることで、第1制御部120、および第2制御部160が実現される。また、CPU100−2が参照するプログラムは、ドライブ装置100−6に装着された可搬型記憶媒体に格納されていてもよいし、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
記憶装置と前記記憶装置に格納されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
自車両の周辺に存在する他車両を認識し、
前記認識された他車両のなかで、前記自車両と一車線の道路ですれ違う特定他車両が存在するか否かを判定し、
前記特定他車両の種別または走行意思に基づいて、退避スペースへの前記自車両の移動が必要か否かを判定する、ように構成されている、
車両制御装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。