JP2019064935A - 水系分散液、水系組成物、化粧料 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の水系分散液は、水と、非イオン性界面活性剤と、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子と、を含有し、カルボキシビニルポリマーを含有するジェルに配合した場合の凝集粒子径が60μm以下の分散液である。
本実施形態の水系分散液は、液体状であってもよく、ジェル状であってもよい。
また、カルボキシビニルポリマーを含有するジェルに配合したとは、カルボキシビニルポリマージェルを90質量部と、本実施形態の水系分散液10質量部とを混合することを意味する。
凝集粒子径の最大値が60μmを超える場合には、カルボキシビニルポリマーを含有する化粧料中で、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が凝集しやすいことを示している。このような酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が、カルボキシビニルポリマーを含む水系化粧料に配合された場合には、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が肌に均一に塗布されることが難しくなる。その結果、所望の紫外線遮蔽性能(SPF)が得られない。また、肌に塗布した時の感触が悪化する。
なお、本実施形態において、平均分散粒子径とは、動的光散乱法によって測定される粒度分布の累積体積百分率が50%のときの粒径(D50)を意味する。
例えば、pH安定剤として、水系分散液中に、0.01質量%以上かつ1.0質量%以下のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有させてもよい。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対する非イオン性界面活性剤の含有量が0.1質量部以上であれば、水系の化粧料に適用した場合に、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子同士の凝集を抑制することができる。そのため、肌に塗布した時にも酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子同士の凝集が抑制され、紫外線遮蔽性が低下することを抑制することができる。一方、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対する非イオン性界面活性剤の含有量が10.0質量部以下であれば、粘度が高くなり過ぎず適度な範囲となり、容易に撹拌することができるため、均一な分散液が得られる。
なお、本実施形態の水系分散液において、各成分の合計含有量は100質量%であり、各成分の合計含有量が100質量%を超えることはない。
非イオン性界面活性剤としては、水と任意の割合で混合でき、化粧料に使用できるものであれば特に限定されない。
このような非イオン性界面活性剤としては、エステル型界面活性剤、エーテル型界面活性剤、エステル・エーテル型界面活性剤等を用いることができる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの非イオン性界面活性剤中でも、粘度低下や増粘、他成分への影響が少なく、化粧料を容易に作製することができる点から、エーテル型界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルがさらに好ましい。
分散液における酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の含有量が上記範囲であることにより、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が高濃度で含有されているため、処方の自由度を向上することができるとともに、分散液の粘度が容易な程度とすることができる。
以下、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の例について、具体的に説明する。
酸化ケイ素被膜が緻密な酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の一例としては、酸化亜鉛粒子の表面を酸化ケイ素被膜により被覆してなる酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子であって、酸化ケイ素被膜中のケイ素のQ3環境における存在比をQ3、酸化ケイ素被膜中のケイ素のQ4環境における存在比をQ4としたとき、Q3+Q4≧0.6かつQ4/(Q3+Q4)≧0.5である酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が挙げられる。さらに、この酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の光触媒活性によって生じるブリリアントブルーの分解率が3%以下となる程度に、酸化亜鉛粒子全体を酸化ケイ素被膜が均一に被覆していることが好ましい。
なお、緻密な酸化ケイ素被膜の「緻密さ」と酸化ケイ素の「縮合度」との間には密接な関係があり、酸化ケイ素の縮合度が高くなればなるほど酸化ケイ素被膜の緻密性が高まることとなる。
すなわち、ここでいう緻密な酸化ケイ素被膜の「緻密な」とは、Q3+Q4≧0.6かつQ4/(Q3+Q4)≧0.5を満たすほど、酸化ケイ素の縮合度が高い状態の酸化ケイ素被膜のことを意味する。
ここで、Qn(n=0〜4)とは、酸化ケイ素の構成単位であるSiO4四面体単位の酸素原子のうちの架橋酸素原子、すなわち、2つのSiと結合している酸素原子の数に応じて決まる化学的構造のことである。
これらQ0、Q1、Q2、Q3、Q4それぞれの環境に帰属されるシグナルの面積比を、Q0、Q1、Q2、Q3、Q4と表記する。ただし、Q0+Q1+Q2+Q3+Q4=1である。
まず、ブリリアントブルーを所定の含有量(例えば、5ppm)にしたブリリアントブルー水溶液を調製し、このブリリアントブルー水溶液からスクリュー管に所定量採取し、この採取したブリリアントブルー水溶液に、酸化亜鉛粒子換算で、この水溶液の質量の1質量%の酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を投入し、超音波分散して懸濁液を調製する。
次いで、この懸濁液に、紫外線照射ランプを用いて、所定の波長の紫外線を所定距離(例えば、10cm)から所定時間(例えば、6時間)照射する。
紫外線照射ランプとしては、例えば、殺菌ランプGL20(波長253.7nm、紫外線出力7.5W:東芝社製)を用いることができる。
そして、これらの測定値を用いて、下記の式(1)によりブリリアントブルーの分解率Dを算出する。
D=(A0−A1)/A0 ・・・(1)(但し、A0はブリリアントブルー水溶液(5ppm)の吸光光度スペクトルの吸収極大波長(630nm)における吸光度、A1は上記の上澄み液の吸光光度スペクトルの吸収極大波長における吸光度である。)
なお、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子同士が凝集している場合には、この凝集体の凝集粒子径を測定するのではない。この凝集体を構成している酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子(一次粒子)を所定数測定し、平均一次粒子径とする。
ここで、亜鉛イオンの溶出率が60質量%以下であることが好ましいとした理由は、亜鉛イオンの溶出率が60質量%以下であれば、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子自体の安定性が向上し、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を化粧料に適用した場合に、溶出する亜鉛イオンが、有機系紫外線遮蔽剤、増粘剤等の水溶性高分子等と反応することが抑制され、その反応によって、化粧料としての性能が低下したりすることが抑制され、変色したりすることも抑制され、粘度の増減を生じることも抑制されるためである。
pH=5の緩衝液としては、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を分散させることができる緩衝液であれば特に限定されず、例えば、0.1Mフタル酸水素カリウム水溶液500mlと、0.1M水酸化ナトリウム水溶液226mlとを混合した後、水を加えて全体量を1000mlとした緩衝液が好適に用いられる。
なお、平均一次粒子径が50nm以上の酸化亜鉛粒子を用いる場合には、150℃〜600℃で焼成してもよい。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の他の例としては、酸化亜鉛粒子の表面を酸化ケイ素被膜により被覆してなる酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子であって、Mg、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種を含有する酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が挙げられる。この酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を用いることが好ましい理由は、次の通りである。
一方、酸化ケイ素被膜中に含まれるアルカリ金属と置換されたMg、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種は、置換後には、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の酸化ケイ素被膜中に存在する。これらの置換されたMg、Ca、Baは、水への溶解度が低いケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム等として存在する。
透明性の高い水系分散液を得たい場合、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ50nm以下であることが好ましい。一方、水系分散液の紫外線遮蔽性を向上させたい場合、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、50nm以上かつ2μm以下であることが好ましく、50nm以上かつ500nm以下であることがより好ましい。
ここで、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子における酸化亜鉛粒子の含有量が50質量%以上であれば、所望の紫外線遮蔽効果が得られる。そのような酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を含む化粧料において、所望の紫外線遮蔽効果を得ようとした場合、大量の酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を使用する必要がない。
一方、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子における酸化亜鉛粒子の含有量が99質量%以下であれば、この酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子における酸化亜鉛粒子の割合が高くなり過ぎることがない。そのため、酸化亜鉛粒子の表面を酸化ケイ素被膜で充分に覆うことができ、酸化亜鉛粒子の光触媒活性や亜鉛イオンの溶出を充分に抑制することができる。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子における、酸化ケイ素被膜中に含まれるMg、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種の合計の質量百分率は、酸化ケイ素被膜中に含まれるアルカリ金属の質量百分率より大であることが好ましい。さらに、酸化ケイ素被膜中に含まれるアルカリ金属の質量百分率の、酸化ケイ素被膜中に含まれるMg、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種の合計の質量百分率に対する比(アルカリ金属の質量百分率/Mg、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種の合計の質量百分率)は、0.001以上かつ0.6以下であることが好ましく、0.01以上かつ0.5以下であることがより好ましく、0.1以上かつ0.4以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、アルカリ金属とは、一般的に知られているものを指し、具体的には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)からなる群から選択される少なくとも1種を意味する。
酸化ケイ素被膜中に含まれるアルカリ金属の質量百分率の下限値は任意に選択できる。アルカリ金属の質量百分率は0%でもよく、他の例を挙げれば、例えば、0.0001質量%以上や0.001質量%以上などであってもよい。
さらに、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の酸化ケイ素被膜は、「ケイ素のQ3環境における存在比をQ3、Q4環境における存在比をQ4としたとき、Q3+Q4≧0.6かつQ4/(Q3+Q4)≧0.5」を満たすことが好ましい。
本実施形態の水系分散液における水の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整される。水系分散液の処方の自由度向上の観点から、水の含有量は、5質量%以上かつ70質量%以下であることが好ましく、20質量%以上かつ65質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上かつ60質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の水系分散液の製造方法は、所定量の非イオン性界面活性剤と、水と、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子と、を均一に混合できる方法であれば、特に限定されない。
例えば、本実施形態の酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子と、非イオン性界面活性剤と、水と、を公知の分散装置で、機械的に分散する方法が挙げられる。
分散装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
本実施形態の水系組成物は、本実施形態の水系分散液と、水溶性のビニルポリマーとを含有する組成物である。
本実施形態の水系組成物は、液体状であってもよく、ジェル状であってもよい。
水系組成物の粘度が上記範囲内であることにより、水系組成物を水中油型の化粧料に好適に用いることができる。
40℃で1ヶ月間保管しても、水系組成物の粘度が上記範囲内であることにより、水中油型の化粧料としての性能を保持できていることになるため好ましい。
pHが上記範囲内であることにより、水中油型の化粧料に好適に用いることができる。
40℃で1ヶ月間保管しても、水素イオン指数が上記範囲内であることにより、化粧料の水素イオン指数として使用できる性能を保持できていることになるため好ましい。
このように、促進条件下、すなわち、1ヶ月間経過後の粘度を、初期条件下での粘度低下後の粘度にて割った値を、上記範囲内とすることにより、本実施形態の水系組成物の粘度を中長期に亘って維持することができる。上記のような水系組成物は、本明細書で述べられる条件を制御(調整)することで得られる。
これらの水溶性のビニルポリマーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対する水溶性のビニルポリマーの含有量が0.02質量部以上かつ6.0質量部以下であれば、水系の化粧料に適用された場合にでも、紫外線遮蔽性の向上効果が得られやすいため好ましい。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対するアルコール類の含有量が10質量部以上であれば、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の分散性をより向上させることができる。一方、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対するアルコール類の含有量が100質量部以下であれば、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子含有水系組成物を化粧料に配合した場合におけるべたつきや感触の悪化を抑制することができる。
これらのアルコール類の中でも、グリセリンは化粧料の感触改善や保湿効果で、化粧料に汎用されている点で好ましい。
なお、本実施形態の水系組成物において、各成分の合計含有量は100質量%であり、各成分の合計含有量が100質量%を超えることはない。
本実施形態の化粧料は、本実施形態の水系分散液および本実施形態の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有してなる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
水性原料としては、精製水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
粉末原料としては、有色顔料、白色顔料、パール剤、体質顔料等が挙げられる。
また、本実施形態の化粧料は、本実施形態の水系分散液および本実施形態の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種を油相または水相に配合して、O/W型またはW/O型のエマルションとしてから、化粧品基剤原料と配合することによっても得られる。
本実施形態の水中油型の化粧料は、本実施形態の水系分散液および本実施形態の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種を水相に含有してなる。
水相には、必要に応じて、分散剤、安定剤、水溶性バインダー(水溶性高分子)、増粘剤、アルコール等、一般的に水系の化粧料で用いられる添加剤を含んでいてもよい。
油相には、必要に応じて、油溶性防腐剤、紫外線吸収剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、植物油、動物油、溶媒等、一般的に化粧料で用いられる添加剤を適宜含んでいてもよい。
このような油成分としては、高級アルコール、高級脂肪酸、および、高級アルコールと高級脂肪酸が結合してなる脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含有するものが好ましい。油成分がこれらの成分を含有することで、ハリ感や保湿感が向上するとともに、これらの効果の持続性が向上する。また、メトキシ桂皮酸エチルヘキシルのように液体の有機系紫外線吸収剤を油成分として用いることもできる。
本実施形態では、水相と油相の分離を抑制する観点から、脂肪酸エステルのエステル価は低い方が好ましい。具体的には、脂肪酸エステルとしては、エステル価が95〜170のものを用いることが好ましい。このような脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル(エステル価100〜111)、2−エチルヘキサン酸セチル(エステル価135〜160)等が挙げられる。
キレート剤としては、化粧料に用いられものであれば特に限定されない。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、クエン酸、フィチン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が用いられる。これらの中でも、汎用性が高い点から、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好ましい。
ここで、キレート剤の含有量が0.01質量%以上であれば、水中油型の化粧料において、所望の特性が得られる。一方、キレート剤の含有量が1.0質量%以下であれば、水中油型の化粧料を安全に使用できる。例えば、化粧料においてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の配合量は、医薬部外品原料規格において1.0%以下に規制されている。
有機系紫外線遮蔽剤としては、化粧料に用いられものであれば特に限定されない。有機系紫外線遮蔽剤としては、例えば、アントラニラート類、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β’−ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロナート誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン類、ビスベンゾアゾリル誘導体、p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体等が挙げられる。有機系紫外線遮蔽剤としては、前記の群から選択される少なくとも1種が用いられる。
酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径が10nm以上であれば、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の結晶性が低くなることがないため、充分な紫外線遮蔽性を示すことができる。一方、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径が2μm以下であれば、ぎらつき、きしみ等が生じることがなく、使用の感触が向上するとともに、分散安定性が向上し、安定な水中油型の化粧料が得られる。なお、本実施形態において、分散粒子径とは、複数の酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子が集まって分散している状態の粒子径(二次粒子径)を意味する。
他の成分としては、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子等の無機系紫外線遮蔽剤、有機系紫外線遮蔽剤、美白剤、増粘剤等、化粧料に一般的に用いられる添加剤や化粧品基剤原料等が挙げられる。
本実施形態の水中油型の化粧料の製造方法は、本実施形態の水系分散液および本実施形態の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種が水相に含有され、油成分が油相に含有された水中油型(O/W)の化粧料を作製できる方法であれば特に限定されない。
[酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子の作製]
酸化亜鉛粒子(平均粒子径35nm;住友大阪セメント製)と水を混合し、次いで、超音波分散を行い、酸化亜鉛粒子の含有量が20質量%の酸化亜鉛水系懸濁液を調製した。
次いで、この酸化亜鉛水系懸濁液を、この酸化亜鉛水系懸濁液中の酸化亜鉛粒子の質量に対して、酸化ケイ素換算で20質量%のケイ酸ソーダを含むケイ酸ソーダ水溶液に加え、強く撹拌し、懸濁液とした。
次いで、この懸濁液を60℃に加温し、この懸濁液を撹拌しながら希塩酸を徐々に添加してpHを6.5〜7に調整した。その後、2時間静置し、その後、さらに、この懸濁液中の酸化亜鉛粒子の質量と同質量の塩化カルシウム水溶液(塩化カルシウム2水和物50質量%)を加えて撹拌し、さらに2時間静置した。
次いで、この懸濁液を遠心分離機により固液分離し、得られた固形物を水にて洗浄した。その後、この固形物を150℃にて乾燥し、さらに500℃にて15時間、熱処理(焼成)を行い、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を作製した。
次いで、この懸濁液を60℃に加温し、この懸濁液を撹拌しながらアンモニア水および水を添加して、懸濁液のpHを10〜11に調整した。なお、水の添加量は、後に添加するテトラエトキシシラン2−プロパノール溶液中のテトラエトキシシランに対して120質量%となるようにした。
さらに、この懸濁液に、テトラエトキシシラン2−プロパノール溶液を、テトラエトキシシランの滴下量が、酸化ケイ素に換算して酸化亜鉛の全質量に対して15質量%(ケイ酸ソーダ由来の酸化ケイ素量も含めた合計)となるように、ゆっくり滴下し、6時間攪拌を継続した。次いで、この懸濁液を遠心分離機により固液分離し、得られた固形物を120℃にて乾燥した。次いで、この乾燥物を500℃で3時間熱処理(焼成)を行い、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛を得た。
純水35.6質量部と、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(商品名:エマルゲン2025G、花王社製)を23質量%含む水溶液14.4質量部とをホモディスパーにより混合した。
次いで、この混合液に得られた酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子50.0質量部を混合し、卓上型超音波洗浄機(商品名:W−113MK−II、本多電子社製)により10分間、分散処理し、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子を50質量%およびポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを3.3質量%含有する実施例1の水系分散液を得た。
カルボキシビニルポリマー(商品名:Carbopol Ultrez 10 polymer、Lubrizol Advanced Materials社製)を純水に溶解し、次いで、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、カルボキシビニルポリマーを0.2質量%含有するpH7.5のカルボキシビニルポリマージェルを得た。
得られた0.2質量%カルボキシビニルポリマージェル90質量部と、実施例1の水系分散液10質量部とを混合し、実施例1の水系組成物を得た。
実施例1の水系組成物を2枚のスライドガラスではさみ、光学顕微鏡で観察した。光学顕微鏡象を図1に示す。
光学顕微鏡の観察により計測した凝集粒子径の最大値は30μmであった。
実施例1の水系組成物を用いて、石英基板上に厚み12μmとなるように塗膜を形成し、その塗膜の分光透過率をSPFアナライザー UV−1000S(Labsphere社製)にて測定した。結果を図2に示す。SPF値は7であった。
実施例1の水系組成物を作製した後(0時間)の粘度を、BII型回転粘度計(東機産業社製)で、20℃、30回転の条件下で測定した。この組成物を40℃で保管し、所定の時間毎に粘度を測定した。結果を図3に示す。
なお、リファレンスとして、カルボキシビニルポリマーを0.2質量%含有するpH7.5のカルボキシビニルポリマージェルについても、同様に粘度を測定した。結果を図3に示す。
実施例1において、純水35.6質量部と、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを23質量%含む水溶液14.4質量部を用いる替わりに、純水42.8質量部とポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを23質量%含む水溶液7.2質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の水系分散液を得た。
光学顕微鏡観察により計測した凝集粒子径の最大値は40μmであった。
実施例1において、純水35.6質量部と、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを23質量%含む水溶液14.4質量部を用いる替わりに、純水48.6質量部とポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを23質量%含む水溶液1.4質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の水系分散液を得た。
光学顕微鏡観察により計測した凝集粒子径の最大値は50μmであった。
実施例1において、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを用いる替わりに、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(製品名:レオドールTW−P120、花王社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の水系分散液を得た。
光学顕微鏡観察により計測した凝集粒子径の最大値は60μm以下であった。
実施例1において、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを用いる替わりに、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(製品名:レオドールTW−O120V、花王社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の水系分散液を得た。
光学顕微鏡観察により計測した凝集粒子径の最大値は60μm以下であった。
実施例1において、純水35.6質量部と、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを23質量%含む水溶液14.4質量部を用いる替わりに、純水50.0質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例のポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを含まない水系分散液を得た。
光学顕微鏡観察より計測した凝集粒子径の最大値は130μmであった。
実施例1において、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルを用いる替わりに、イオン性界面活性剤であるPOE(3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム(製品名:NIKKOL ECT−3NEX、日光ケミカルズ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の水系分散液を得た。
比較例2の水系組成物は、水系分散液とカルボキシビニルポリマージェルを混合するとすぐに粘度の低下が観察されたため、凝集粒子径の測定はしなかった。
Claims (6)
- 水と、非イオン性界面活性剤と、酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子と、を含有し、
カルボキシビニルポリマーを含有するジェルに配合した場合の凝集粒子径が60μm以下であることを特徴とする水系分散液。 - 前記酸化ケイ素被覆酸化亜鉛粒子100質量部に対する前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.1質量部以上かつ10.0質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の水系分散液。
- 前記非イオン性界面活性剤が、エーテル型であることを特徴とする請求項1または2に記載の水系分散液。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系分散液と、水溶性のビニルポリマーとを含有することを特徴とする水系組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系分散液および請求項4に記載の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有することを特徴とする化粧料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系分散液および請求項4に記載の水系組成物からなる群から選択される少なくとも1種を水相に含有してなることを特徴とする水中油型の化粧料。
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