JP2009051831A - 紫外線遮蔽性無機粒子分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽能を有する無機粒子を高濃度で含有しているにもかかわらず、分散体の粘度が低く、紫外線遮蔽能を有する無機粒子の分散安定性に優れた紫外線遮蔽性無機粒子分散体及びその製造方法並びに該分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料を提供すること。
【解決手段】炭素数1〜4の低級アルコール及びシリコーンオイルを含有し、該低級アルコールの含有量が10〜80重量%である溶媒中に、有機材料で被覆された、1次数平均粒子径が0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する無機粒子と高分子分散剤とが分散してなり、該無機粒子の濃度が7.5〜18体積%である紫外線遮蔽性無機粒子分散体であって、前記無機粒子の分散後の2次体積平均粒子径が0.2μm以下であり、前記高分子分散剤の分散重量平均粒径が無機粒子間の平均距離の0.01〜0.7である紫外線遮蔽性無機粒子分散体及びその製造方法並びに該分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線遮蔽性無機粒子分散体に関する。さらに詳しくは、紫外線遮蔽性無機粒子分散体及びその製造方法並びに該分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料に関する。
紫外線遮蔽性の無機粒子を日焼け止め化粧料等に用いる場合、肌への密着性、耐水性、耐皮脂性等を考慮して、疎水性に表面処理された粉体を、予め化粧料として配合する粉体の含有量以上で配合している。また、粉体の単位重量あたりの肌への被覆面積を増大させ、紫外線遮蔽性を向上させつつ、塗布時の透明性を高めるためには、分散体に含まれている紫外線遮蔽性無機粒子をメディアミル等により微粒子化し、分散安定化させることが有効である。
しかしながら、メディアミル等により、無機粒子等に対して微分散処理を施す場合、分散体中の無機粒子の濃度が増加するに伴って、粒子間距離が著しく狭くなるのみならず、微粒子の表面積が増加し、特に有機材料で被覆されていない無機粒子の親水性の表面が露出するため、疎水性のシリコーンオイルとの親和性が低下し、無機粒子同士が凝集しやすくなったり、分散体が増粘し、ゲル化したりする。特に、2種以上の無機粒子を同時に分散させる場合、異粒子間の凝集が生じ、分散体の分散安定性が著しく低下する場合がある。この分散時の凝集を抑制するために、粒子表面を疎水化するための処理剤の種類を変えたり、被覆量を増加させるという表面処理技術が開発されている。
分散体に配合される分散媒には、肌への親和性や塗布時の感触を向上させるために、低分子量の直鎖シリコーンオイルや環状シリコーンオイル等の揮発性のあるシリコーンオイルが主成分として用いられているが、エタノールに代表される揮発性の高い低級アルコールも、化粧料に清涼感を付与する等の目的で配合されている。
低級アルコールは、金属酸化物等の無機粒子が有する親水性表面との親和性が高いことから、低級アルコール中で親水性粒子を分散させると、分散安定性の良好な分散体を得ることができる。この分散安定性は、低級アルコールが水に近い誘電率を有している極性溶媒であることから、静電反発力に起因するものと考えられる。
しかし、分散体中の無機粒子の含有量を増加させて微粒子化すると、分散体の分散安定性を高めるためには、より大きな無機粒子同士の反発力が必要となる。無機粒子同士の反発力が小さいと、粒子同士が合一し、その結果として、分散体の増粘やゲル化が見られる。
そこで、分散体の増粘やゲル化を抑制するために、例えば、シリコーンオイルを主成分とする溶媒に極性溶媒を分散体中で30重量%以下の範囲で添加し、ミル等を利用して微粒化させて分散させることが提案されている(特許文献1参照)。しかし、極性溶媒を添加した場合、添加しない場合と比較して、添加される分散剤による分散安定化が著しく低下することがある。そこで、分散安定化させるために、親水性の粒子表面へのポリシロキサン等の高分子の吸着を効率的に行う必要があるが、低級アルコールを高含有量で含有する分散媒は、ポリシロキサンによる分散安定化の効果が小さく、分散体の増粘やゲル化の抑制には十分に寄与しない。
また、前記のほかにも、エタノールを10重量%以上配合した分散体が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この分散体では、粒子濃度を30重量%以下(約7.5体積%以下)とすることが分散安定性の観点から好適であるとされているが、分散体中の粒子濃度が高くなるほど増粘やゲル化が生じるため、分散安定性に劣るという欠点がある。
一方、分散手段においては、連続的に循環するビーズを供給し、分散体1kgを分散処理するときの電力量(動力原単位)を向上させたボールミルが提案されている(特許文献3参照)。しかし、動力原単位を高くし過ぎると、微粒化させた粒子が再凝集し、分散安定性が低下してしまうという欠点がある。
特許文献4には、分散体中の粒子濃度が25重量%の分散体の製造方法が記載されている。メディア径が1.5mmのペイントシェーカーで分散体を作製することが記載されているが、この方法では、粒子を破壊する粉砕処理には適しているが、このメディア径では、メディア1個あたりのエネルギーが大きいために、無機粒子の表面処理が剥がされてしまうおそれがある。
また、横型のメディアミルを使用した水系の分散方法が特許文献5に記載されているが、この方法を用いても、非水系で分散体中の粉体濃度が30重量%以上では、動力原単位が大きいために、再凝集してしまうといった欠点がある。一方、動力原単位が小さすぎる場合、分散力が小さいために無機粒子が微細化せず、化粧料としての機能が発揮しないといった欠点がある。
非特許文献1には、分散力を動力原単位で管理できることが記載されている。さらに、酸化チタンの分散結果が示されているが、非水系の分散体に対しては、分散体1kgあたりの動力原単位が大き過ぎるため、有機材料で被覆されていない粒子の親水性の表面が露出し、疎水性のシリコーンオイルとの親和性が低下し、無機粒子同士が凝集しやすくなり、安定な分散体は得られないおそれがある。
特許第3391802号明細書 特開2000-290156号公報 特開2002-143707号公報 特開2002-338245号公報 特開2004-8993号公報 J. Soc. Powder Technol., Japan, Vol.41, p.578-585(2004)
このように従来の技術では、分散体中の粒子濃度が高く、さらに分散安定性が良好で、化粧料としての使用感が良い紫外線遮蔽性無機粒子の分散体を製造することは、未だ不十分である。また、揮発性のシリコーンオイルに分散させる粒子濃度を高くすることによって、紫外線の遮蔽効果を高め、配合の自由度を向上させることは、従来の化粧料と比較して商品価値を大きく進歩させるものであり、この点においても改善が望まれている。
本発明は、低級アルコール及びシリコーンオイルを含む溶媒中で、紫外線遮蔽能を有する無機粒子を高濃度で含有しているにもかかわらず、分散体の粘度が低く、紫外線遮蔽能を有する無機粒子の分散安定性に優れた紫外線遮蔽性無機粒子分散体及びその製造方法並びに該分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料を提供することを課題とする。
本発明は、
[1] 炭素数1〜4の低級アルコール及びシリコーンオイルを含有し、該低級アルコールの含有量が10〜80重量%である溶媒中に、有機材料で被覆された、1次数平均粒子径が0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する無機粒子と高分子分散剤とが分散してなり、該無機粒子の濃度が7.5〜18体積%である紫外線遮蔽性無機粒子分散体であって、前記無機粒子の分散後の2次体積平均粒子径が0.2μm以下であり、前記高分子分散剤の分散重量平均粒径が無機粒子間の平均距離の0.01〜0.7である紫外線遮蔽性無機粒子分散体、
[2] 炭素数1〜4の低級アルコール及びシリコーンオイルを含有し、該低級アルコールの含有量が10〜80重量%である溶媒中に、有機材料で被覆された、1次数平均粒子径が0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する無機粒子と高分子分散剤とを分散させて、紫外線遮蔽性無機粒子分散体を製造する方法であって、分散処理を、1パスごとに供給槽と受槽を交互に切り替えながら行う多重パス方式により行い、分散体1kgあたり0.01〜0.2kWhの電力量で行う、前記[1]記載の紫外線遮蔽性無機粒子分散体の製造方法、並びに
[3] 前記[1]記載の紫外線遮蔽性無機粒子分散体を含有してなる紫外線遮蔽性化粧料
に関する。
本発明によれば、低級アルコール、シリコーンオイル、高分子分散剤及び紫外線遮蔽能を有する無機粒子を含有する分散体において、無機粒子間の平均距離に対してある範囲内の粒径で分散した高分子分散剤が配合されているため、無機粒子の分散安定性に優れた分散体及びその製造方法、さらに分散体が配合された紫外線遮蔽性化粧料が提供される。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、低級アルコール及びシリコーンオイルを含有する溶媒中に、有機材料で被覆された紫外線遮蔽能を有する無機粒子(以下、紫外線遮蔽性無機粒子という)と高分子分散剤とが分散したものであり、高分子分散剤の分散重量平均粒径と、無機粒子間の平均距離が特定の関係にある点に大きな特徴を有する。
即ち、高分子分散剤の分散重量平均粒径が、無機粒子間の平均距離の0.01未満であると、高分子分散剤としての効果が少ない。一方、0.7を超えると、高分子分散剤が分散後の無機粒子間を橋架けしてしまい、無機粒子の合一が発現し、分散体の凝集が生じる。これらの観点から、高分子分散剤の分散重量平均粒径は、無機粒子間の平均距離の0.01〜0.7であり、分散体の長期間にわたる分散体の安定性を維持させる観点から、0.03〜0.3が好ましい。
分散体中の高分子分散剤の分散重量平均粒径は、所定の配合比率に調整した低級アルコール及びシリコーンオイルに高分子分散剤を配合して測定する。本発明においては、後述の実施例に記載の方法により、動的光散乱法による測定値を重量換算して算出する。
分散体中の高分子分散剤の分散重量平均粒径は、例えば、分散体中の低級アルコールとシリコーンオイルとの混合比により調整することができる。低級アルコールとシリコーンオイルの混合溶媒において、低級アルコールの配合率が高いほど、高分子分散体は分散体中で小さく丸まった状態となって、無機粒子間には進入しやすくなるが、無機粒子への吸着効果が小さくなる。この状態では、分散体製造時の動力が大きすぎると高分子分散剤が無機粒子から脱離し、かえって分散体の安定性が低下する。一方、前記混合溶媒において、シリコーンオイルの配合率が高いほど、分散体中での高分子分散剤の無機粒子への吸着効果が大きくなるが、高分子分散剤の分散粒径が大きいために分散体が凝集しやすくなる。以上の観点から、高分子分散剤が無機粒子間に進入可能な粒径に調整すること及び分散体製造時に動力が作用しても無機粒子から高分子分散剤が脱離し難くする観点から、溶媒中の低級アルコールの含有量は10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%であり、さらに分散体製造時の分散処理は、分散体1kgあたり0.01〜0.2kWhの電力量で行うことが好ましい。
本発明において、無機粒子間の平均距離は、Woodcock,LV., Proceeding of a workshop on Glass Forming Liquids, vol.277, p.113-124(1985)より引用した、式(A):
Figure 2009051831
(式中、Dは無機粒子間の平均距離(μm)、Pは無機粒子の2次体積平均粒子径(μm)、Cは無機粒子の分散体中の濃度(体積%)を示す)
から算出される。
本発明において、無機粒子の2次体積平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体としてエタノールを用い、温度25℃にて測定する。
本発明において、分散体中の無機粒子の濃度(体積%)は、分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子の重量を無機粒子の密度で除した値と分散体の重量を分散体の密度で除した値から算出する。例えば、分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子が無機粒子Aと無機粒子Bである場合、まず、分散体中の無機粒子Aの重量を無機粒子Aの密度で除した値(A)、分散体中の無機粒子Bの重量を無機粒子Bの密度で除した値(B)、分散体の重量を分散体の密度で除した値を(C)とすると、その分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子の濃度(体積%)は、
Figure 2009051831
から算出される。さらに具体的な例を挙げると、酸化亜鉛粒子を34.3重量%、酸化チタン粒子を5.7重量%含有した分散体の場合には、酸化亜鉛粒子の密度が5.6g/cm3、酸化チタン粒子の密度が4.2g/cm3である。また、このときの分散体の密度は、1.28g/cm3である。これらの値を用いて濃度(体積%)を算出すると、
(34.3/5.6+5.7/4.2)/(100/1.28)×100=9.6
となる。
上記に示した方法により紫外線遮蔽性の無機粒子の濃度を算出すると、酸化亜鉛粒子を34.3重量部、酸化チタン粒子を5.7重量部含有した分散体の場合には、分散体中の無機粒子濃度が40重量%の場合は9.6体積%、分散体中の粒子濃度が45重量%の場合は11体積%、分散体中の粒子濃度が50重量%の場合は約14体積%、分散体中の粒子濃度が60重量%の場合は18体積%になる。
紫外線遮蔽性無機粒子は、UVBからUVAまでの広範囲な紫外線を吸収する又は散乱する効果を有する金属酸化物からなる粒子であることが好ましく、なかでも紫外線を吸収又は散乱する効果が高い観点から、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる金属酸化物粒子であることがより好ましい。
本発明に好適な紫外線遮蔽性無機粒子の市販品としては、例えば、酸化亜鉛粒子として、FINEX-25、FINEX-50、FINEX-75(以上、堺化学社製)、MZ500シリーズ、MZ700シリーズ(以上、石原産業社製)、ZnO-350(住友大阪セメント社製)等が挙げられる。酸化チタン粒子としては、TTO-55シリーズ、TTO-51シリーズ(以上、石原産業社製)、JRシリーズ、JAシリーズ(以上、テイカ社製)等が挙げられる。また、酸化セリウム粒子としては、ニッキ社、セイケミカル社、日本電工社等から販売されている高純度酸化セリウムが挙げられる。
紫外線遮蔽性無機粒子に不純物ドープを含有させることにより、遮蔽領域を波長の長い紫外線A領域に拡張することも可能である。例えば、酸化亜鉛粒子や酸化チタン粒子には、W、P、Ta、Nb、Sb、Mo等の5価以上の元素やZn、Al、Mg、Ca、Fe等の3価以下の元素を不純物ドープとして含有させることにより、遮蔽領域の拡張に対してより高い効果が奏される。
本発明において、紫外線遮蔽性無機粒子の1次数平均粒子径は、紫外線遮蔽性無機粒子を分散処理した際の紫外線遮蔽性と可視光透明性の観点から、0.1μm以下であり、好ましくは0.001〜0.1μm、より好ましくは0.01〜0.05μmである。紫外線遮蔽性無機粒子の1次数平均粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)等による観察から得られた写真を用い、その写真を画像解析することにより算出される個数平均粒径である。
本発明において、紫外線遮蔽性無機粒子の分散後の2次体積平均粒子径は、紫外線遮蔽性無機粒子を分散処理した際の紫外線遮蔽性と可視光透明性の観点から、0.2μm以下であり、好ましくは0.05〜0.15μmである。
紫外線遮蔽性無機粒子の形状は、特に限定されず、通常、本発明の分散体の用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の分散体を化粧料に用いる場合には、紫外線の散乱効果、感触及び取り扱いやすさの観点から、球状、板状、楕円球状、花びら状等の形状が好ましい。紫外線遮蔽性無機粒子の形状は、透過型電子顕微鏡によって観察することができる。
本発明において、紫外線遮蔽性無機粒子には、無機粒子の撥水性を向上する観点から、有機材料で被覆された粒子が用いられる。
有機材料としては、汗や水に対する耐水性の向上を目的として通常化粧料用粉体に用いられる有機材料、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン樹脂、パーフルオロ基含有化合物等のフッ素化合物等が挙げられる。
シリコーンオイルの吸油量は、特に限定されないが、吸油量が少ないことが紫外線遮蔽性無機粒子を高濃度で分散させたとき、分散体の粘度を低減化できる観点から好ましい。前記シリコーンオイルは、通常、紫外線遮蔽性化粧料中に配合されるシリコーンオイルと同様であればよい。
有機材料で紫外線遮蔽性無機粒子を被覆する方法としては、例えば、有機材料を含有する溶媒に無機粒子を分散させ、溶媒を除去したあと、加熱処理し、脱水素反応を行う方法、超臨界二酸化炭素中に有機材料を溶解させ、その後急激に減圧することによって、無機粒子に被覆させる方法等が挙げられる。
紫外線遮蔽性無機粒子における前記有機材料の被覆量は、本発明の分散体の分散安定性を高め、紫外線遮蔽性無機粒子表面への有機材料の吸着を促進させる観点から、0.3mg/m2以上が好ましく、0.7〜1.5mg/m2がより好ましい。
さらに、紫外線遮蔽性無機粒子は、得られる分散体中で分散し易い状態にあることが好ましく、分散助剤用ゾル、例えばAl2O3ゾル等のゾルの安定化剤により被覆されていてもよい。また、超微粒子酸化チタンの場合、超微粒子の表面をAl、Si、Zr、Mg、Zn、Ce、Ti及びFeからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物又はそれらの含水物で、無機粒子を被覆して分散安定性を向上させることもできる。これらの被覆層は、前記有機材料の層の上下いずれであってもよい。
分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子の濃度は、化粧料に配合する際の自由度を高める観点から、7.5〜18体積%であり、好ましくは9〜14体積%である。紫外線遮蔽性無機粒子の濃度は、無機粒子が効率よく紫外線を遮蔽することができ、また、分散体中の溶媒量の増加により、肌に塗布したときの使用感の悪化を防止する観点から、7.5体積%以上であり、分散体自体の安定性の低下を防止する観点から、18体積%以下である。
本発明における高分子分散剤としては、非イオン性、カチオン性の櫛状高分子分散剤が好ましく、カチオン性の櫛状高分子分散剤がより好ましい。さらに好ましくは、溶媒中での分散粒径調整の観点から、疎水性マクロマーと親水性マクロマーを有する櫛状高分子分散剤であって、親水性マクロマーを好ましくは40〜80重量%、より好ましくは40〜60重量%含有する高分子分散剤が望ましい。このような疎水性マクロマーと親水性マクロマーを有する櫛状高分子分散剤としては、例えば、シロキサン鎖を骨格(疎水性マクロマー)として、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン基やオキサゾリン基、アミノ基等の親水性マクロマーが付加したもの等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルポリシロキサン・ポリオキシプロピレンアルキルポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・アルキルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられる。
櫛状の高分子分散剤の具体例としては、主鎖にポリシロキサン結合を有し、隣接する側鎖間の主鎖の分子量が好ましくは15000以下、より好ましくは10000以下であるポリシロキサン系櫛状の高分子(以下、単に「ポリシロキサン系櫛状ポリマー」という)が望ましい。また、隣接する側鎖間の主鎖の分子量は、櫛状ポリマーの紫外線遮蔽性無機粒子への吸着性を高める観点から、2000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。ポリシロキサン系櫛状ポリマーの具体例としては、側鎖の構成成分としてシリコーンマクロモノマーを有する(メタ)アクリレート系櫛状の高分子(以下、単に「(メタ)アクリレート系櫛状ポリマー」という)、側鎖の構成成分としてシリコーンマクロモノマーを有する(メタ)アクリルアミド系櫛状の高分子(以下、単に「(メタ)アクリルアミド系櫛状ポリマー」という)からなる群より選ばれた1種以上の櫛状の高分子等が挙げられる。櫛状の高分子が有するポリシロキサン結合は、主鎖又は側鎖に存在していればよい。
ポリシロキサン系櫛状ポリマーの側鎖は、親水性基を有することが好ましい。好ましいポリシロキサン系櫛状ポリマーの側鎖としては、例えば、アミノアルキル基、アミノエチルアミノアルキル基、式(I):
Figure 2009051831
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を示す)
で表される基、式(II):
Figure 2009051831
(式中、R4は炭素数1〜3のアルキル基、xは2又は3を示す)
で表される基等が挙げられる。
紫外線遮蔽性無機粒子の親水性表面に対する親和性の高いアミノアルキル基、アミノエチルアミノアルキル基、カルボキシル基等の極性を有する反応性官能基が紫外線遮蔽性無機粒子への吸着部位となる櫛状の高分子においては、前記反応性官能基は、主鎖及び側鎖のいずれかに存在していればよい。紫外線遮蔽性無機粒子の親水性表面に対する親和性を高める観点から、反応性官能基は、複数存在していることが好ましい。複数の反応性官能基を有するものは、一旦紫外線遮蔽性無機粒子に吸着すると脱着しにくくなるため、比較的少ない添加量でも分散効果を発現させることができる。
主鎖にポリシロキサン結合が存在し、側鎖として有する、紫外線遮蔽性無機粒子の親水性表面に対する親和性の高いアミノアルキル基、アミノエチルアミノアルキル基、カルボキシル基等の反応性官能基が紫外線遮蔽性無機粒子への吸着部位となる櫛状の高分子においては、隣接する側鎖間の主鎖の分子量は、官能基当量としてその製品カタログ等に記載されている。
(メタ)アクリレート系櫛状ポリマー及び(メタ)アクリルアミド系櫛状ポリマーは、いずれも、アクリルシリコーンとして市販されており、商業的に容易に入手することができる。好適な(メタ)アクリレート系櫛状ポリマーとしては、主鎖中に炭素数4〜30のアルキル(メタ)アクリレートを有する(メタ)アクリレート系櫛状ポリマー等が挙げられる。また、好適な(メタ)アクリルアミド系櫛状ポリマーとしては、主鎖中に窒素置換した炭素数4〜30の(メタ)アクリルアミドを有する(メタ)アクリルアミド系櫛状ポリマー等が挙げられる。
高分子分散剤の重量平均分子量は、溶媒中での分散粒径調整の観点から、好ましくは6000以上、より好ましくは8000以上であり、無機粒子への吸着性を高める観点から、好ましくは500000以下、より好ましくは100000以下である。なお、高分子分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、光散乱法等の一般的な分析方法によって測定することができる。
高分子分散剤としては、低級アルコール及びシリコーンオイル等の溶媒に対して相溶性が高いものが好ましい。より詳しくは、分散体を低粘度化させる効果に優れているものが好ましい。高分子分散剤と溶媒の相溶性は、前記溶媒中に高分子分散剤を分散、溶解させた時、高分子分散剤と溶媒との混合溶液の析出物の有無で判断することができ、高分子分散剤の溶解性が悪い場合には、高分子分散剤の析出物が発生する。
分散体中の高分子分散剤の含有量は、紫外線遮蔽性無機粒子100重量部に対して、分散体の安定性の観点から、3重量部以上が好ましく、分散体の粘度制御の観点から、60重量部以下が好ましい。これらの観点から、高分子分散剤の含有量は、紫外線遮蔽性無機粒子100重量部に対して、3〜60重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。また、分散体中の高分子分散剤の含有量は、分散体の保存安定性の観点から、溶媒と高分子分散剤の総量中、2〜20重量%が好ましく、4〜15重量%がより好ましい。
紫外線遮蔽性無機粒子に対する高分子分散剤の吸着量は、種々の方法により定量化することが可能であるが、例えば、分散体に遠心分離処理を行い、その上澄み液をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、遊離している高分子を定量化することによって、紫外線遮蔽性の微粒子に対して吸着している高分子量を算出することができる。そのため、分散処理が施されていない分散体の場合、紫外線遮蔽性無機粒子が有機材料で完全に被覆されているために、高分子分散剤が無機粒子に吸着する場所がなく、吸着量はゼロである。一方、分散処理を行った分散体は、無機粒子を被覆している有機材料の一部が破壊されることで、そこに高分子分散剤が吸着する。これにより、分散した無機粒子同士の合一がなく、安定な分散体が得られる。そのため、分散が進行するほど紫外線遮蔽性の無機粒子に対する高分子分散剤の吸着量は増加し、分散体の安定性が向上する。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、溶媒として、低級アルコール及びシリコーンオイルを含有する。
低級アルコールの炭素数は、1〜4である。低級アルコールとしては、化粧料原料基準等の化粧料に関する原料基準に適合するものが好ましく、エタノール及びイソプロパノールがより好ましい。
高分子分散剤の分散粒径を制御し、分散処理後の紫外線遮蔽性無機粒子に高分子分散剤を吸着させて、分散体の分散安定性を高める観点から、溶媒中の低級アルコールの含有量は、前記のように、10〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%である。
シリコーンオイルは、化粧料原料基準等の化粧料に関する原料基準に適合するものであることが好ましく、例えば、オクタメチルポリシロキサン、テトラデカメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のほか、トリメチルシロキンケイ酸、式(III)又は(IV):
Figure 2009051831
(式中、R5及びR6はそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜40の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、アルケニル基又はフルオロアルキル基を示し、R8は炭素数7〜40の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、アルケニル基又はフルオロアルキル基を示し、yは2以上の数であり、zは3以上の数であり、yとzの和は5〜6000である)
で表される単位を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、これらの中でも、化粧料として配合したときの使用感の観点から、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びメチルシクロポリシロキサンが好ましい。
シリコーンオイルの25℃における動粘度は、分散体の流動性を得る観点から、好ましくは1〜500mm2/s、より好ましくは1〜100mm2/sである。動粘度の測定法については、例えば、一定の体積の液体が流体が落下するのに必要な時間から算出できる方法が挙げられる。動粘度の測定器として、例えば、細管式動粘度計(蕪木科学器械工業(株)製)や全自動微量動粘度計(ビスコテック(株)製)等が挙げられる。
溶媒中のシリコーンオイルの含有量は20〜90重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましい。
本発明の分散体には、さらに無機塩を含有させてもよい。無機塩としては、分散体の粘度を低減し、分散安定性を高める観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が好ましい。無機塩の含有量は、分散体中、1重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、高分子分散剤の存在下で、紫外線遮蔽性無機粒子を溶媒に分散させることによって得ることができる。より具体的には、例えば、高分子分散剤と溶媒の混合物に、無機粒子を添加し、ホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー等の無機粒子の分散に好適な分散機等で予備分散させ、さらに、透明性や紫外線遮蔽性を向上させる観点から、無機粒子を微細化させる方法が挙げられる。かかる微細化の方法としては、メディアミル等を用いた分散処理により、無機粒子を粉砕又は解砕させる方法等が挙げられる。
分散処理に用いられるメディアミルとしては、例えば、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等が挙げられる。具体的には、シンマルエンタープライゼス(株)製のダイノーミル、寿工業(株)製のウルトラアペックスミル、アペックスミル、浅田鉄工(株)のピコミル等が挙げられる。
分散処理には、多重パス方式、循環方式等の方式がある。多重パス方式は、1パスごとに供給槽と受槽を交互に切り替えながら分散処理を行う方式であり、例えば、メディアミルを使用する場合、分散体を、メディアミルに供給する撹拌槽からすべての分散体をメディアミルに通過させて、分散体を受ける撹拌槽に戻すプロセスを繰り返して分散させる方法である。一方、循環方式は、分散体を、メディアミルに供給する撹拌槽とメディアミルの間を撹拌槽内部の分散体が全てなくならないうちに何回も循環させて分散する方法である。しかしながら、循環方式による供給方法であると、循環回数が少ないうちは、分散体をメディアミルに供給する撹拌槽の内部で未処理の粒子とミルから出てきた粒子が混ざってしまい、紫外線遮蔽性の無機粒子の粒度分布がばらつくことによって、分散体の分散安定性が低くなる。従って、分散体の分散安定性の観点から、多重パス方式での分散処理が好ましい。また、効率よく分散体を製造するうえでも多重パス方式での分散処理が好ましい。
メディアミルに用いられるメディアとしては、ガラス、ジルコニア、樹脂等が挙げられるが、本発明の分散体を化粧料に用いる場合、安全性の観点からガラスビーズが好ましい。ガラスビーズの粒径は、特に限定されないが、十分な分散性を得る観点から、0.01〜0.5mmが好ましい。メディアミル内へのガラスビーズの充填率及び撹拌周速は、使用するメディアミルの種類によって異なるので一概には決定することができない。通常、メディアの充填率及び撹拌周速は、装置に推奨されている値であることが好ましい。分散処理時の分散速度は、メディアの粒径や充填率、メディアミルの撹拌周速、供給速度等によって調節することができる。
本発明では、分散体1kgを処理する際に必要な電力量を動力原単位と呼ぶ。動力原単位の算出方法は、(分散時の動力−空動力(無負荷時の動力))/(分散装置への分散液の単位時間当たりの供給量)で示され、分散体に対してどの程度の動力が分散力に寄与しているかを示す指標となる。
本発明において、動力原単位は、0.01kWh/kg未満であると分散力が弱いために紫外線遮蔽性無機粒子が微粒化しない。一方、動力原単位が0.2kWh/kgより大きいと、紫外線遮蔽性無機粒子を被覆している高分子分散剤のみならず、無機粒子自体をも破壊してしまうおそれがあり、紫外線の遮蔽性を低下させたり、分散体の分散安定性が低下する原因となる。これらの観点から、動力原単位は、0.01〜0.2kWh/kgが好ましく、0.05〜0.15kWh/kgがより好ましく、0.07〜0.13kWh/kgがさらに好ましい。
さらに、分散体としての安定性を強化する観点から、微細に分散した紫外線遮蔽性無機粒子間に進入した高分子分散剤は無機粒子に強固に吸着することが好ましい。そのためには、例えば、分散処理時に、紫外線遮蔽性の無機粒子をマイナスに、高分子分散剤をプラスに帯電させることによって、互いに分散体中で引きあう状態することが好ましい。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、化粧料に使用することができる。従って、本発明においては、さらに、本発明の分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料を提供する。化粧料の態様は、特に限定されないが、例えば、ローション、ミルク、クリーム等が挙げられる。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体の化粧料中の含有量は、化粧料の種類により異なるが、化粧料としての使用感を損なうことなく、効率よく紫外線遮蔽効果を得る観点から、紫外線遮蔽性無機粒子の含有量が、化粧料中、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましく0.05〜40重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%となるように、調整されることが好ましい。
本発明の化粧料には、さらに、一般に化粧料に用いられる他の成分、例えば、酸化鉄(ベンガラ)、有機の紫外線吸収剤(例えば、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル等)、グリセリン、低級アルコール、シリコーンオイル、水等が必要に応じて適宜配合されていてもよい。
本発明の分散体を含有した紫外線遮蔽性化粧料の調製方法は特に限定されず、例えば、本発明の分散体と、必要に応じて添加されるその他の成分とを高速撹拌装置、高圧乳化装置などの混合装置により処理する方法等が挙げられる。
オキサゾリン変性シリコーンの製造例1
硫酸ジエチル3.76g(0.024moL)及び2-エチル-2-オキサゾリン65.3g(0.66moL)を、脱水した酢酸エチル140gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-ポロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量:100000、アミン等量:20500)500g(アミノ基にして0.024moL)の50重量%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(537g、収率:95%)として得た。重量平均分子量は149000であった。この淡黄色ゴム状固体を高分子分散剤1とする(親水性マクロマー含有率;12重量%)。
オキサゾリン変性シリコーンの製造例2
硫酸ジエチル7.57g(0.049moL)及び2-エチル-2-オキサゾリン263.3g(2.66moL)を、脱水した酢酸エチル550gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-ポリピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量:60000、アミン等量:3870)250g(アミノ基にして0.065moL)の50重量%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(505g、収率:97%)として得た。重量平均分子量は88400であった。この淡黄色ゴム状固体を高分子分散剤2とする(親水性マクロマー含有率:49重量%)。
〔分散体中の高分子分散剤の分散重量平均粒径を測定するための溶液の調製法と測定法〕
高分子分散剤5重量部と、エタノール及びメチルシクロポリシロキサン(SH245、東レ・ダウコーニング社製)の混合溶液95重量部とを均一に混合して高分子分散剤の含有率が5重量%の分散体を調製し、大塚電子(株)製のダイナミック光散乱光度計DLS-7000Hによって、分散体中の高分子分散剤の大きさを測定した。表1には、種々のエタノール及びメチルシクロポリシロキサンの溶媒比でポリマーの大きさを測定した結果を示す。
Figure 2009051831
実施例1〜8及び比較例1〜5
表2に示す量で、エタノール、メチルシクロポリシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:SH245)、及び高分子分散剤を混合した。
その後、ディスパー翼を用いて350r/minの撹拌下で、表2に示す量の紫外線遮蔽性無機粒子を予備分散槽に投入し、均一になることを確認した後、室温下、回転数10000r/minで10分間予備分散を行った。その後、予備分散で得られた混合液をメディアミル(ダイノーミル:シンマルエンタープライゼス社製)で分散処理(0.2mmのガラスビーズ、ビーズ充填率:85体積%、撹拌翼の周速:14m/s、多重パス方式)を表2に示すパス回数で行い、無機粒子分散体を得た。
得られた無機粒子分散体の見かけ粘度をB型粘度計(東京計器(株)製、BM型)で測定した。但し、見かけ粘度が500mPa・s未満の時はローターNo.2/60r/min、見かけ粘度が500mPa・s以上、2000mPa・s未満の時はローターNo.3/60r/min、みかけ粘度が2000mPa・s以上のときはローターNo.4/60r/minで測定した。
また、1時間静置後の無機粒子分散体の外観を肉眼で観察し、以下の評価基準に従って、分散体の安定性を評価した。結果を表2に示す。
〔評価基準〕
◎:無機粒子が非常に良好な分散状態を維持している。
○:無機粒子が良好な分散状態を維持している。
△:無機粒子の分散がやや不十分である。
×:分散体がゲル化もしくは分離しているか、粉体が沈降している。
Figure 2009051831
図1に、分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子の2次体積平均粒子径が100nmの場合における、分散体中の無機粒子の濃度(体積%)に対する平均粒子間距離との関係を示す。紫外線遮蔽性無機粒子の2次体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA-920」((株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体としてエタノールを用い、温度25℃にて測定した。
図2に、実施例1の無機粒子分散体の製造における、パス回数ごとの紫外線遮蔽性無機粒子に対する高分子分散剤の吸着量変化を示す。分散処理を行なっていない場合(0パス時)には、無機粒子を被覆している有機材料が破壊していないために高分子分散剤が吸着していない。一方、分散処理が進行することによって、無機粒子を被覆している有機材料が破壊し、その破壊した場所に高分子分子分散剤が吸着することで紫外線遮蔽性の無機粒子に対する高分子分散剤の吸着量は増加している。
実施例9
表3に示す成分からなる紫外線遮蔽性化粧料を製造し、以下に示す分散安定性、紫外線遮蔽効果及び使用感を評価した。結果を表3に示す。
(製法)
成分(1)及び(2)を混合して均一な溶液I相を得た。次に、成分(3)〜(7)からなる実施例1で得られた無機粒子分散体にさらに成分(8)を混合して得られた溶液II相を、撹拌しながら溶液I相に添加した。さらに、その混合液に、その他の成分(9)、(10)及び(11)を順に添加し、均一にすることにより化粧料を製造した。
(評価方法)
(1)分散安定性
各化粧料を50mL容のガラス瓶に充填し、1時間静置後の外観を肉眼で観察し、以下の評価基準に従って、化粧料の分散安定性を評価した。
〔評価基準〕
○:無機粒子が良好な分散状態を維持している。
△:無機粒子の分散がやや不十分である
×:化粧料が分離しているか、粉体が沈降している
(2)紫外線遮蔽効果
各化粧料のSPF値を測定し、以下の評価基準に従って、紫外線遮蔽効果を評価した。化粧料のSPFは、ジ オプトメトリクス グループ(The Optmetrics Group)社製のSPF-290アナライザーを用い、本マニュアルの基本測定法により測定した。
〔評価基準〕
○:SPF値が10以上
△:SPF値が5以上10未満
×:SPF値が5未満
(3)使用感
各化粧料の適量を上腕内側部に塗布したときの感触から、以下の評価基準に従って、使用感を評価した。
〔評価基準〕
○:みずみずしくさっぱりした感触
△:みずみずしさが少なく、さっぱり感があまりない感触
×:みずみずしさがなく、さっぱり感のない感触
Figure 2009051831
実施例10
表4に示す成分からなる紫外線遮蔽性化粧料を、実施例9と同様にして製造し、実施例9と同様にして分散安定性、紫外線遮蔽効果及び使用感を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2009051831
以上の結果より、実施例の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、比較例の無機粒子分散体に比べて、分散安定性に優れており、実施例の紫外線遮蔽性無機粒子分散体を配合した化粧料は、紫外線遮蔽効果に優れ、使用感も良好であることが分かる。
本発明の紫外線遮蔽性無機粒子分散体は、例えば、紫外線遮蔽性化粧料等に好適に使用しうるものである。
分散体中の紫外線遮蔽性無機粒子の2次体積平均粒子径が100nmの場合における、分散体中の無機粒子の濃度(体積%)に対する平均粒子間距離との関係を示す図である。 実施例1の無機粒子分散体の製造における、パス回数ごとの紫外線遮蔽性無機粒子に対する高分子分散剤の吸着量変化を示す図である。

Claims (4)

  1. 炭素数1〜4の低級アルコール及びシリコーンオイルを含有し、該低級アルコールの含有量が10〜80重量%である溶媒中に、有機材料で被覆された、1次数平均粒子径が0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する無機粒子と高分子分散剤とが分散してなり、該無機粒子の濃度が7.5〜18体積%である紫外線遮蔽性無機粒子分散体であって、前記無機粒子の分散後の2次体積平均粒子径が0.2μm以下であり、前記高分子分散剤の分散重量平均粒径が無機粒子間の平均距離の0.01〜0.7である紫外線遮蔽性無機粒子分散体。
  2. 紫外線遮蔽能を有する無機粒子が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる金属酸化物粒子である請求項1記載の紫外線遮蔽性無機粒子分散体。
  3. 炭素数1〜4の低級アルコール及びシリコーンオイルを含有し、該低級アルコールの含有量が10〜80重量%である溶媒中に、有機材料で被覆された、1次数平均粒子径が0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する無機粒子と高分子分散剤とを分散させて、紫外線遮蔽性無機粒子分散体を製造する方法であって、分散処理を、1パスごとに供給槽と受槽を交互に切り替えながら行う多重パス方式により行い、分散体1kgあたり0.01〜0.2kWhの電力量で行う、請求項1又は2記載の紫外線遮蔽性無機粒子分散体の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の紫外線遮蔽性無機粒子分散体を含有してなる紫外線遮蔽性化粧料。
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