JP2019064631A - 液体内容物包装用の積層体、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体 - Google Patents

液体内容物包装用の積層体、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】製造適正に優れ、包装材料が元から含有している溶出性の有機物と、殺菌・滅菌処理の際に包装体を構成する樹脂の分解等により発生する臭気に対して高い吸着効果を発揮して、液体内容物への耐臭味変化性に優れた、液体内容物包装用の積層体及び該積層体を用いて作製した液体内容物用包装体を提供する。【解決手段】基材層とシーラント層を有する、液体内容物包装用の積層体であって、前記シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレン含有層を有し、前記低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成され、前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である、液体内容物包装用の積層体及び該積層体を用いて作製した液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体。【選択図】図1

Description

本発明は、包装材料が元から含有している溶出性の有機物と、殺菌・滅菌処理の際に包装材料から発生する臭気成分とが、包装体内の液体内容物に移って内容物に変味や変臭を与えてしまうことを防ぐ、耐臭味変化性に優れた、液体内容物包装用の積層体、及び該積層体を用いて作製した、液体内容物用包装材料と液体内容物用包装体に関する。
包装材料において、臭気を吸着する臭気吸着剤を内包した包装材料が提案されている(特許文献1)。このような包装材料においては、合成ゼオライトや活性炭といった臭気吸着剤が、樹脂材料中に練り込まれている。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
無機多孔体上に化学吸着剤を担持させてなる臭気吸着剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献2)、主な吸着対象物は特定の官能基を有する臭気成分を吸着するのみであって、樹脂材料を選定しない状況では、官能基を有さない有機物の発生量を抑制できず、臭気成分を十分に吸着し得るものではない。
特許第2538487号公報 特開2014−233408号公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、包装材料が元から含有している溶出性の有機物を低減することによって、UV照射、ホットパック、ボイル、γ線照射、EB照射等の殺菌・滅菌処理の際に、包装体を構成する樹脂の分解等により発生する臭気物質を低減して、液体内容物への耐臭味変化性に優れ、製膜性、シール強度、突刺し強度、耐ピンホール性に優れた液体内容物包装用の積層体及び該積層体を用いて作製した液体内容物用包装材料と液体内容物用包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討の結果、
基材層とシーラント層を有する液体内容物包装用の積層体であって、前記シーラント層が特定の低溶出性ポリエチレン低溶出性ポリエチレン含有層を有する積層体、及び該積層体を用いて作製した液体内容物用包装材料、更には該液体内容物用包装材料を用いて作製した液体内容物用包装体が、上記の目的を達成することを見出した。
本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層とシーラント層を有する、液体内容物包装用の積層体であって、
前記シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレン含有層を有し、
前記低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成され、
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である、
液体内容物包装用の積層体。
2.前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、上記1に記載の、液体内容物包装用の積層体。
3.前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、上記1または2に記載の、液体内容物包装用の積層体。
4.前記低溶出性ポリエチレンが、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、上記1〜3の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
5.前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、上記1〜4の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
6.上記1〜5の何れかに記載の液体内容物包装用の積層体を用いて作製された、液体内容物用包装材料。
7.上記6に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
本発明の液体内容物包装用の積層体のシーラント層は、特定の低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成された低溶出性ポリエチレン含有層を有しているため、包装材料が元から含有している溶出性の有機物や臭気が低減され、UV照射、γ線照射、EB照射、ホットパック、ボイル、等の殺菌・滅菌処理の際に積層体を構成する樹脂の分解等により発生する臭気も低減される。
本発明の液体内容物用包装材料を用いて液体内容物用包装体を作製した場合に、充填された液体内容物中に溶出する有機物の量を低減し、臭味変化を抑制することができる。
したがって、本発明の液体内容物用包装材料は、殺菌・滅菌処理に付される、液体の食品や医薬品、医療品の包装材料として好適である。
本発明の液体内容物包装用の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の液体内容物包装用の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の液体内容物包装用の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
本発明の液体内容物包装用の積層体及び該積層体を用いて作製した液体内容物用包装体について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<本発明の液体内容物包装用の積層体の層構成>
本発明の液体内容物包装用の積層体は、基材層とシーラント層を有する。
該シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成された低溶出性ポリエチレン含有層を有し、シーラントとして機能する層のみであってもよく、低溶出性ポリエチレン含有層3のみからなる層であってもよく、基材層や接着剤層を含んでいてもよい。
更に、シーラント層1は、図1、2のように、低溶出性ポリエチレン含有層3と、低溶出性ポリエチレンを含有しない非低溶出性ポリエチレン含有層2との多層構造でもよい。
また、図3に示されるように、低溶出性ポリエチレン含有層3は、主体となる低溶出性ポリエチレンの種類や含有量が同一または異なる3a、3b等の多層構造であってもよい。
本発明の液体内容物包装用の積層体を用いた包装材料によって液体内容物用包装体を作製した際は、該包装体の液体内容物と接する最内層は、低溶出性ポリエチレン含有層3であっても、非低溶出性ポリエチレン含有層2であってもよい。
さらに、図示しないが、低溶出性ポリエチレン含有層3は、主体となる低溶出性ポリエチレンの種類や含有量が同一または異なる3層またはそれ以上からなっていてもよい。
<低溶出性ポリエチレン>
本発明の積層体のシーラント層は、ヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少ない、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成された低溶出性ポリエチレン含有層を有する。
有機物の溶出量が少ないことによって、本発明の積層体を用いた液体内容物用包装体に充填された液体内容物中に溶出する有機物の濃度を低減して、臭味変化を抑制することができる。
ここで、液体内容物中の有機物の濃度は、本発明においては、全有機体炭素(TOC=Total Organic Carbon)の濃度によって示される。
TOCは、水中の酸化され得る有機物(有機炭素体)全量の濃度を炭素量の濃度で示したものであり、代表的な水質指標の一つとして用いられているものであって、JIS K0805(有機体炭素(TOC)自動計測器)等で規格化されている。
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である。
ここで、単体原料としての前記低溶出性ポリエチレンに関する溶出性TOCの濃度を、原料ペレット等の状態ではなく、フィルム化された状態で測定する理由は、低溶出性ポリエチレンは、シーラント層形成等のフィルム化される際に、様々な熱履歴等を与えられてTOCの溶出量を増加させてしまうことがあるからである。
本発明における低溶出性ポリエチレンからなる、15cm×44cm×50μm厚のパウチ包装袋内に、充填水として蒸留水を1kg充填して溶出させた後の、前記充填水中のTOCの増加濃度は、0.01ppm以上、1.5ppm以下であることが好ましく、0.02ppm以上、1.45ppm以下であることがより好ましく、0.025ppm以上、1.4ppm以下であることが更に好ましい。
充填水中のTOCの増加濃度が1.5ppmよりも大きいと、充填水の臭味の変化を抑制することが困難であり、0.01ppmよりも小さいものを得る為には費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、上記の範囲であることが好ましい。
ここで、上記のパウチ袋に含有されている溶出性成分の全量が充填水1000gに溶出した場合の、充填水中のTOCの増加濃度は、下記のように算出される。
パウチ袋比重:S[g/cm3
パウチ袋サイズ:15cm×44cm×50μm厚
パウチ袋重量:W=15×44×50×10-4×2×S=6.6×S[g]
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの濃度:C[ppm]
とすると、
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの全重量=C×W[g]
これが水1000gに溶出するので、
充填水中のTOCの増加濃度=C×W/1000=C×6.6×S×10-3[ppm]
例えば、パウチ袋を構成する低溶出性ポリエチレンフィルムの比重が0.92、含有される溶出性TOCの濃度が1.7ppmの場合は、
充填水中のTOCの増加濃度=1.7×6.6×0.92×10-3=0.01[ppm]のように算出される。
具体的なTOCの増加濃度の求め方としては、例えば、上記のパウチ包装袋内に、充填水として40℃〜80℃の蒸留水を1000g充填し、25℃〜50℃、数日〜4週間保管後の該充填水のTOC濃度を全有機体炭素計や、HS−GCで測定して、ブランクとして該蒸留水のTOC濃度を差し引いて求めることができる。
本発明においては、シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(15cm×44cm)の包装体を作製し、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gを充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC−L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定することを標準方法として、TOCの増加濃度を求める。
そして、得られた充填水のTOC増加濃度と、充填水質量部とシーラントフィルム質量部から、シーラントフィルムに含有されていた溶出性TOC濃度を算出する。
低溶出性ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
低溶出性ポリエチレンフィルムからの有機物の溶出量を低くする為には、下記の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリエチレンを製造する際に、未反応原料残存量や低分子量生成物や副生成物の量を低減することや、重合触媒を除去することが効果的である。具体的には、原料純度を向上したり、反応温度や圧力等の条件を精密に制御したり、蒸留や洗浄によって未反応原料や低分子量生成物や副生成物や重合触媒を除去したり、高温のままで空気中の酸素に触れることによる酸化を防止したりする方法が挙げられる。
製造されたポリエチレンをペレット化する際には、有機物の溶出量を上昇させてしまいそうな、滑剤、酸化防止剤、その他、の添加剤の使用を制限する方法が挙げられる。
ポリエチレンをフィルム化する際には、有機物の溶出量を上昇させてしまいそうな、滑剤、酸化防止剤、溶剤、その他、の添加剤の使用を制限し、高温による酸化を防止したりする方法が挙げられる。
本発明の積層体のシーラントフィルムが、ヒートシール性を有し、低溶出性ポリエチレンを含有することによって、該積層体を含む包装材料は、優れたヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少なく、包装体内の液体内容物のTOCの濃度増加を低くすることができる。
また、ポリエチレンは、UV等の滅菌・殺菌処理に対して耐性があって分解され難い性質があるという点で、好適である。
これらの低溶出性ポリエチレンの中でも、タイプとしては、LLDPEが好ましく、また更には、C4、C6、C8の側鎖を有するLLDPEは、有機物の溶出量を低くし得る傾向にある為、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPE等が更に好ましい。
ここで、C4、C6、C8とは、LLDPEと一部共重合して、記載数値数の炭素数のモノマーが側鎖に存在することを示している。例えば、C4はブテン−1、C6はヘキセン−1、または4メチルペンテン−1、C8はオクテン−1の構造の側鎖を表す。
あるいは、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である低溶出性ポリエチレンが好ましく、0.905g/cm3以上、0.933g/cm3以下である低溶出性ポリエチレンがより好ましい。密度がこの範囲である低溶出性ポリエチレンは、有機物の溶出量を低くし得る傾向にある。
また、低溶出性ポリエチレンは、酸化防止剤やアンチブロック剤等の添加剤を少量含むこともできる。
また更に、本発明における低溶出性ポリエチレンは、単体でフィルムにした際に、屈曲に起因する耐ピンホール性に優れていることが好ましい。
包装体は、包装工程中や輸送中の振動による局所的繰り返し屈曲によって疲労破壊が進行してピンホールを発生することがある為、特に食品・医療用品等用の包装材料は耐ピンホール性が重要である。
本発明における低溶出性ポリエチレンの耐ピンホ−ル性は、例えば、低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下であることが好ましい。
シーラント層のフィルムのピンホール発生個数が上記範囲であれば、ピンホール耐性が必要な用途の場合に、実用に耐え得る包装材料を作製することができる。
<低溶出性ポリエチレン含有層>
本発明における低溶出性ポリエチレン含有層は、上記の低溶出性ポリエチレンを含む樹脂組成物から形成される。
更には、高溶出性のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
<非低溶出性ポリエチレン含有層>
本発明における非低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有しない層であり、必要に応じて有する層である。
汎用のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
<基材層>
本発明において、基材層は、包装される内容物の種類や、物流において要求される機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造性等に応じて、種々の材料が適用され得る。熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
樹脂の種類としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂を含むフィルムを使用することができる。
上記の樹脂を含むフィルムの中でも、本発明においては基材層には、未延伸ナイロンフィルム、延伸ナイロンフィルム、PETフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルムが好ましく、特に、ポリエチレン系樹脂フィルムである、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムや低密度ポリエチレンフィルム、並びに未延伸ナイロンフィルムが好ましい。またポリエチレン系樹脂フィルムは、低溶出性ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。
基材層は、上記から選択される1種または2種以上の樹脂を用いたフィルムを含有することが好ましく、1層で構成されていても、同一組成または異なる組成の2層以上で構成されていてもよい。
本発明において、上記基材層は、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて単層、又は多層製膜したものを用いることができる。また、基材層の厚みは、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは6〜150μm、より好ましくは9〜130μmである。
また、本発明の積層体における基材層には、積層体の加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々の改質用樹脂やプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。この場合、これら添加剤を基材層に、極微量〜数10質量%まで、その目的に応じて任意に含有させればよい。本発明においては、一般的な添加剤としては、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸着剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を任意に含有させることができる。
またさらには、基材層は、高伸縮性、耐ピンホール性を付与するために、種々の材料の樹脂層を有することもできる。例えば、6ナイロン、66ナイロン、6/66ナイロン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の層を有することができ、特に6/66ナイロン共重合体の層を有することが好ましい。
<低溶出性ポリエチレン含有層及び非低溶出性ポリエチレン含有層の形成>
(製膜・積層方法)
本発明において、シーラント層の各層や基材層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
低溶出性ポリエチレン含有層や非低溶出性ポリエチレン含有層を、場合により接着層を介して、他の層上にエクストルージョンコーティングすることにより積層することや、例えば、複数の、低溶出性ポリエチレン含有層と非低溶出性ポリエチレン含有層とを、インフレーション法やキャスト法により共押出しにより形成することもできる。
エクストルージョンコーティングにより積層する場合においては、まず、低溶出性ポリエチレン含有層を形成する樹脂組成物や非低溶出性ポリエチレン含有層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、低溶出性ポリエチレン含有層や非低溶出性ポリエチレン含有層の形成と被積層面への接着と積層を同時に行う。
エクストルージョンコーティングにより積層する場合の、低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる低溶出性ポリエチレンや非低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.2〜50g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
MFRが0.2g/分未満、又は50g/分以上では加工適正の面で有効になり難い。
インフレーション法を用いる場合においては、低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる低溶出性ポリエチレンや非低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.2〜10.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜9.5g/10分である。
MFRが0.2g/10min未満、又は10.0g/10分以上では加工適正の面で劣る傾向にある。
または、予め製膜された低溶出性ポリエチレン含有層と非低溶出性ポリエチレン含有層とを、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、サンドラミネーション等により、接着層を介してラミネートしてもよい。
<接着層>
本発明では、シーラント層−基材層間、並びにシーラントフィルムの各層間に、接着層を設けて積層することも可能である。
接着層は、接着剤または任意のアンカーコート剤からなってよい。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
また、接着層は、EC(エクストルージョンコート)層、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤等からなる層であってよい。
このような接着層を形成する成分としては、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル−エチレン共重合体等のポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸とポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等との共重合体からなるポリアクリル酸系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、LDPE等のポリオレフィン系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
アンカーコート剤としては、例えば、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、酸変性ポリエチレン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を使用することができる。
接着層をエクストルージョンコーティングでラミネートする場合は、特に限定されないが、接着剤を、接着対象層上にエクストルージョンコーティングすることにより形成することができる。
エクストルージョンコーティングにおいては、まず、接着剤を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融物を接着対象層上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、接着層の形成と接着対象層への接着と積層を同時に行う。
接着層としてドライラミネート用接着剤を用いる場合は、溶媒へ分散または溶解した接着剤を一方の層上に塗布し乾燥させて、もう一方の接着対象層を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させて積層する。
ノンソルベントラミネート用接着剤を用いる場合は、溶媒へ分散または溶解せずに接着剤自身を層上に塗布し乾燥させて、もう一方の接着対象層を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させて積層する。
接着層は、上記接着剤を、例えばロールコート、グラビアロールコート、キスコート等で施すことにより形成され、そのコーティング量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が望ましい。接着剤のコーティング量を上記範囲とすることで、良好な接着性が得られる。
シーラント層の各層間をサンドラミネーションにより積層する場合に、接着層は、加熱溶融させて押出機で適用可能な任意の樹脂を用いることができる。具体的には、上記の非臭気吸着層に用いられる熱可塑性樹脂を好ましく使用できる。
<包装材料>
本発明の液体内容物包装用包装材料は、本発明の液体内容物包装用の積層体から作成されるものであり、基材層とシーラント層のみからなるものであってもよく、必要に応じて、機能材層、接着層等を有することもできる。機能層、接着剤層等は、公知のものを公知の方法で積層して用いることができる。
<包装体>
本発明の液体内容物包装体は、例えば、本発明の液体内容物包装用包装材料を製袋してなるものであり、ヒートシール性が良好な面が対向するように、包装材料を折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
<液体内容物>
本発明において、液体内容物とは、飲料水、ジュース類、点滴用輸液、醤油、ソース、等の調味液体、つゆ、はちみつ、タレ、ドレッシング等の液体全般を指すものである。
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[基材層フィルム]
基材層フィルムA:マルチトロン(タマポリ(株)社製、PE層25μm/無延伸ナイロン層20μm/PE層25μmなる3層構成のフィルム)
[低溶出性ポリエチレン及び高溶出性ポリエチレン]
Figure 2019064631
<実施例1>
表1記載のウルトゼックス1520Lを用いて、製膜温度160℃のインフレーション
製膜により、膜厚50μmの単層のシーラントフィルムを得た。
次いで、上記で得たシーラントフィルムと、基材層フィルムAとを、接着層材料のEC(エクストリュージョンコーティング)により下記条件でラミネートし、フィルム状の積層体を得て、得られた積層体を包装材料として用いて、製膜性、突き刺し強度、耐ピンホール性、TOC溶出濃度(吸着効果)、臭味変化について評価した。評価結果は表2に示す。
積層体の構成は、下記の通り。
PE層25μm/無延伸ナイロン層20μm/PE層25μm/EC層15μm/シーラントフィルムA50μm(計135μm厚)
(ラミネート条件)
押出し温度:330℃
接着層材料:LDPE(ノバテックLC520)
接着層厚:15μm
<実施例2〜8、比較例1>
表1の記載に従ってポリエチレンを選択して用いて、実施例1と同様に製膜して、膜厚50μmの単層のシーラントフィルムを得て、積層体を作製して、同様に評価した。評価結果は表2に示す。
<実施例9>
表1記載のウルトゼックス1520Lとウルトゼックス2021L、並びに、基材層として無延伸ナイロン(宇部興産(株)社製、UBE5033B、ポリアミド6/66共重合体)と無延伸ナイロン層との接着層に変性ポリオレフィン(三井化学社製、アドマーNF557)を用いて、インフレーション製膜(製膜温度は、ウルトゼックス1520L層とウルトゼックス2021L層:160℃、無延伸ナイロン層:240℃)により、基材層を挟んで両面にシーラント層を有する、下記層構成の積層体を得て、実施例1と同様に評価した。評価結果は表2に示す。
(積層体の層構成)
ウルトゼックス1520L層10μm/ウルトゼックス2021L層30μm/接着層10μm/無延伸ナロン層20μm/接着層10μm/ウルトゼックス2021L層30μm/ウルトゼックス1520L層10μm(計120μm厚)
<実施例10>
表1記載の、非低溶出性ポリエチレンのエボリューSP2020と、ウルトゼックス3500ZAを用いて、製膜温度160℃のインフレーション製膜により、下記構成の計50μm厚の3層のシーラントフィルムを得た。
(シーラント層の層構成)
エボリューSP2020層3μm/ウルトゼックス3500ZA層44μm/エボリューSP2020層3μm(計50μm厚)
次いで、上記で得たシーラントフィルムと基材層フィルムAとを、実施例1と同様にラミネートし、フィルム状の積層体を得て、同様に評価した。評価結果は表2に示す。
<評価>
[製膜性]
シーラントフィルムの外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:フィルムに皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:フィルムに皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
[ヒートシール性]
実施例及び比較例で作製した積層体を10cm×10cmに切り分け、半分に折って重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP−701−A)を用いて、1cm×10cmの領域をヒートシールしたサンプルを作製した(端部はヒートシールされずに接着しておらず、二股に分かれている状態)。
このサンプルを、15mm幅で短冊状に切り、二股に分かれている各端部を引張試験機に装着して引張強度(N/15mm)を測定して、合否判定した。
ヒートシール条件
温度:160℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
引張強度試験条件
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:50N
合否判定
○:30N/15mm以上であり、合格。
×:30N/15mm未満であり、不合格。
[TOC増加濃度]
実施例及び比較例で得られた各シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(15cm×44cm)の包装体を各々2個作製し、1つの包装体にはUV照射殺菌処理を施した。
そして、得られた各包装体に、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gを充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC−L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定した。
次いで、充填前の水についても同様にTOC濃度を測定した。
各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度−充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
[耐ピンホール性]
実施例及び比較例で作製したシーラントフィルムをA4サイズ(30cm×21cm)に断裁し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)社製、BE−1005)で、屈曲後、各サンプルの30cm×21cmの面内に発生したピンホールの数をカウントした。
温度:23℃
ゲルボ屈曲回数:5000回
[臭味変化]
実施例及び比較例で得られた各シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(13cm×17cm)を作製した。シーラントフィルムには予めUV照射殺菌処理を施した。UV照射殺菌処理条件は下記の通り。
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
ここで得られたパウチ袋に、65℃に加熱した水(サントリー(株)社製、日本の天然水)100gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、その後、10℃、1週間保管後に官能評価を実施した。
評価指標は下記の通り。官能評価実験の参加者は5人であり、平均値を算出して評価結果とした。
1:臭味がきつい
2:臭味が多少軽減している
3:臭味が大幅に軽減している
4:充填前の水と同等
Figure 2019064631
<結果まとめ>
低溶出性ポリエチレンを用いた全実施例の包装体は良好な製膜性、シール強度、突刺し強度、耐ピンホール性を示し、TOC増加濃度も小さく、内容の臭味変化も良好な結果を示した。
更に、耐ピンホール性に優れた低溶出性ポリエチレンを用いた実施例1〜6、9、10は、耐ピンホール性に劣った低溶出性ポリエチレンを用いた実施例7、8よりも、優れた耐ピンホール性を示した。
低溶出性ポリエチレン含有層を有さない比較例1は、良好な製膜性、シール強度、突刺し強度、耐ピンホール性を示したが、TOC増加濃度が大きく、内容物への臭味の悪影響を及ぼす結果を示した。
1.シーラント層
2.非低溶出性ポリエチレン含有層
3.低溶出性ポリエチレン含有層
3a.低溶出性ポリエチレン含有層(濃度a)
3b.低溶出性ポリエチレン含有層(濃度b)
4.基材層

Claims (7)

  1. 基材層とシーラント層を有する、液体内容物包装用の積層体であって、
    前記シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレン含有層を有し、
    前記低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成され、
    前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である、
    液体内容物包装用の積層体。
  2. 前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、請求項1に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  3. 前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、請求項1または2に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  4. 前記低溶出性ポリエチレンが、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  5. 前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の液体内容物包装用の積層体を用いて作製された、液体内容物用包装材料。
  7. 請求項6に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
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