JP2019064322A - 樹脂製タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂製タンクにおいて、口金を容易に着脱自在にするとともに、筒状注入部の製造上の寸法誤差を許容して口金を着脱できるようにする。【解決手段】筒状注入部40の内周面93a、先端面93b、及び外周面93cを覆う口金41を備える樹脂製タンクにおいて、燃料タンク本体35は、口金41を燃料タンク本体35に固定する口金固定具42が固定される口金固定部91を備え、口金41は、外周面93cを覆う環状のスカート部110を備え、スカート部110は、外周面93cの上部に嵌合する嵌合部115をその上部に備えるとともに、嵌合部115よりも大径の大径部116をその下部に備え、口金41は、大径部116から口金41の径方向外側に延出するステー部113を備え、口金固定具42が挿通される固定孔121がステー部113に設けられる。【選択図】図13

Description

本発明は、樹脂製タンクに関する。
従来、樹脂製のタンク本体と、タンク本体に設けられる液体注入用の樹脂製の筒状注入部と、筒状注入部に係合する口金と、口金と筒状注入部との間に設けられるシール部材とを備える樹脂製タンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、口金は、シール部材の下方に位置するクリップ部を下端部に備え、このクリップ部を筒状注入部の外周部に加締めることで固定される。
特開2016−16698号公報
しかし、上記従来の樹脂製タンクでは、口金が加締めによって固定されるため、製造時に加締め工程を要する上に、メンテナンス等の際に口金の着脱が困難であり、取り外された口金の再利用も難しい。このため、口金を筒状注入部に容易に着脱自在にすることが望まれる。また、筒状注入部の製造上の寸法誤差を許容して、口金を筒状注入部に着脱できることが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製タンクにおいて、口金を容易に着脱自在にするとともに、筒状注入部の製造上の寸法誤差を許容して口金を着脱できるようにすることを目的とする。
本発明は、樹脂製のタンク本体(35)と、前記タンク本体(35)に設けられる液体注入用の樹脂製の筒状注入部(40)と、前記筒状注入部(40)に係合し、前記筒状注入部(40)の内周面(93a)、先端面(93b)、及び外周面(93c)を覆う口金(41)とを備える樹脂製タンクにおいて、前記タンク本体(35)は、前記口金(41)を前記タンク本体(35)に固定する固定具(42)が固定される固定部(91)を備え、前記口金(41)は、前記外周面(93c)を覆う環状のスカート部(110)を備え、前記スカート部(110)は、前記外周面(93c)の上部に嵌合する嵌合部(115)をその上部に備えるとともに、前記嵌合部(115)よりも大径の大径部(116)をその下部に備え、前記口金(41)は、前記大径部(116)から前記口金(41)の径方向外側に延出するステー部(113)を備え、前記固定具(42)が挿通される固定孔(121)がステー部(113)に設けられることを特徴とする。
また、上記発明において、前記固定孔(121)は、前記口金(41)が前記筒状注入部(40)に対して前記筒状注入部(40)の径方向に所定距離だけ移動可能なように、前記固定具(42)の径よりも大径であっても良い。
また、上記発明において、前記タンク本体(35)の内面には、前記タンク本体(35)内に貯留される燃料の透過を低減させるバリアシート層(36)が設けられ、前記固定部(91)は、前記タンク本体(35)の表面に埋め込まれるナット(99)であり、前記固定具(42)は、前記ナット(99)に螺合するボルト(101)であり、前記ナット(99)は、前記タンク本体(35)の内側へ突出する突出部(98)に埋め込まれ、前記突出部(98)の先端面(98a)は、半球状の凸形状であっても良い。
さらに、上記発明において、前記固定部(91)は、前記筒状注入部(40)を中心とする同心円上に、略等間隔で複数設けられても良い。
また、上記発明において、前記口金(41)は、前記ステー部(113)の周縁から立ち上がるリブ(122)を備え、前記リブ(122)は、前記スカート部(110)の周囲に複数設けられる前記固定孔(121)の間に亘って連続しても良い。
また、上記発明において、前記大径部(116)は、前記嵌合部(115)に対し平行な平行部(117)と、前記嵌合部(115)から前記平行部(117)まで徐々に拡径する拡径部(118)とを備えても良い。
また、上記発明において、前記筒状注入部(40)は、前記口金(41)の前記嵌合部(115)が嵌合する部分に、機械加工で仕上げられた仕上げ加工部(90)を備えても良い。
また、上記発明において、前記筒状注入部(40)は、前記口金(41)の前記大径部(116)によって覆われる基端部(95)を有し、前記基端部(95)の外径は、前記筒状注入部(40)において前記嵌合部(115)に覆われる部分の外径よりも大径であっても良い。
また、上記発明において、前記口金(41)の前記嵌合部(115)と前記筒状注入部(40)の前記外周面(93c)との間には、シール部材(92)が介装されても良い。
本発明に係る樹脂製タンクによれば、樹脂製のタンク本体と、タンク本体に設けられる液体注入用の樹脂製の筒状注入部と、筒状注入部に係合し、筒状注入部の内周面、先端面、及び外周面を覆う口金とを備え、タンク本体は、口金をタンク本体に固定する固定具が固定される固定部を備え、口金は、外周面を覆う環状のスカート部を備え、スカート部は、外周面の上部に嵌合する嵌合部をその上部に備えるとともに、嵌合部よりも大径の大径部をその下部に備え、口金は、大径部から口金の径方向外側に延出するステー部を備え、固定具が挿通される固定孔がステー部に設けられる。
この構成によれば、筒状注入部に係合する口金は、大径部から延出するステー部の固定孔に挿通される固定具によって、タンク本体の固定部に固定されるため、固定具を着脱することで、筒状注入部に対し容易に着脱される。さらに、口金は、嵌合部より大径の大径部を有し、大径部と筒状注入部の外周面との間の隙間の分を、ステー部と一体に移動できる。これにより、筒状注入部の製造上の寸法誤差があったとしても、口金の移動によって誤差を吸収できる。このため、筒状注入部の製造上の寸法誤差を許容して口金を着脱できる。
また、上記発明において、固定孔は、口金が筒状注入部に対して筒状注入部の径方向に所定距離だけ移動可能なように、固定具の径よりも大径であっても良い。この構成によれば、口金は、固定具に対して固定孔が移動可能な分を、筒状注入部の径方向に移動できる。このため、筒状注入部の製造上の寸法誤差を許容して口金を着脱できる。
また、上記発明において、タンク本体の内面には、タンク本体内に貯留される燃料の透過を低減させるバリアシート層が設けられ、固定部は、タンク本体の表面に埋め込まれるナットであり、固定具は、ナットに螺合するボルトであり、ナットは、タンク本体の内側へ突出する突出部に埋め込まれ、突出部の先端面は、半球状の凸形状であっても良い。この構成によれば、突出部の先端面は、半球状の凸形状であるため、突出部の先端面に設けられるバリアシート層への応力集中を防止でき、固定部の配置の自由度を向上できる。
さらに、上記発明において、固定部は、筒状注入部を中心とする同心円上に、略等間隔で複数設けられても良い。この構成によれば、固定部に作用する外力が効果的に分散されるため、筒状注入部の周囲の応力集中を低減できる。
また、上記発明において、口金は、ステー部の周縁から立ち上がるリブを備え、リブは、スカート部の周囲に複数設けられる固定孔の間に亘って連続しても良い。この構成によれば、口金の強度及び剛性を向上でき、口金によって筒状注入部を効果的に保護できる。
また、上記発明において、大径部は、嵌合部に対し平行な平行部と、嵌合部から平行部まで徐々に拡径する拡径部とを備えても良い。この構成によれば、大径部は、嵌合部に対し平行な平行部を備えるため、平行部と筒状注入部の外周面との間の隙間を管理し易い。また、拡径部によってスカート部の剛性を向上でき、口金によって筒状注入部を効果的に保護できる。
また、上記発明において、筒状注入部は、口金の嵌合部が嵌合する部分に、機械加工で仕上げられた仕上げ加工部を備えても良い。この構成によれば、筒状注入部における口金の嵌合部が嵌合する部分を機械加工で高精度に加工できる。機械加工で生じる寸法誤差は、口金の移動によって吸収できる。
また、上記発明において、筒状注入部は、口金の大径部によって覆われる基端部を有し、基端部の外径は、筒状注入部において嵌合部に覆われる部分の外径よりも大径であっても良い。この構成によれば、口金の大径部に対応させて筒状注入部の基端部を大径にでき、筒状注入部の強度及び剛性を向上できる。
また、上記発明において、口金の嵌合部と筒状注入部の外周面との間には、シール部材が介装されても良い。この構成によれば、口金の移動によって寸法誤差を吸収する場合に、シール部材の撓みによって、嵌合部と筒状注入部の外周面との間の密閉性を確保できる。
本発明の第1の実施の形態に係る自動二輪車の前部を左後方側から見た斜視図である。 燃料タンクを左上方側から見た斜視図である。 燃料タンクを車幅の中央で切断した断面図である。 燃料タンクを分割した状態を示す左側面図である。 燃料タンク本体の製造工程を示す模式図である。 燃料タンクの板厚方向の構成を示す断面図である。 平面部において、上半体と下半体とが接合される部分の断面図である。 図7において、接合の前の状態を示す断面図である。 前部取付ステーを左上方側から見た斜視図である。 図9のX−X断面図である。 後部取付ステーを左後方側から見た斜視図である。 図11のXII−XII断面図である。 図2のXIII−XIII断面図である。 口金取付筒部の加工を説明する断面図である。 口金固定部の内側突出部の周辺部を燃料タンク本体の内側から見た図である。 寸法誤差がある場合の口金の取付状態を示す断面図である。 第2の実施の形態における燃料タンクの取り付け構造を左上方側から見た斜視図である。 燃料タンクの取り付け構造を前方側から見た模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動二輪車の前部を左後方側から見た斜視図である。
自動二輪車1は、車体フレームFにパワーユニットとしてのエンジン10が支持され、前輪2を操舵可能に支持する操舵系11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪(不図示)を支持するスイングアーム(不図示)が車体フレームFの後部側に設けられる車両である。自動二輪車1は、運転者が跨るようにして着座するシート13が車体フレームFの後部の上方に設けられる鞍乗り型車両である。
車体フレームFは、ヘッドパイプ部14と、左右一対のメインフレーム15,15と、ダウンフレーム16と、左右一対のピボットフレーム(不図示)と、左右一対のシートフレーム17,17(左側のシートフレームは不図示)と、左右一対のサブフレーム(不図示)とを備える。
ヘッドパイプ部14は、車体フレームFの前端に設けられる。
メインフレーム15,15は、ヘッドパイプ部14から後下がりに後方へ延びる。
ダウンフレーム16は、ヘッドパイプ部14においてメインフレーム15,15の下方の位置から下方に延び、前輪2の後方で屈曲して後方に延びる。
上記ピボットフレームは、メインフレーム15,15の後端部から下方に延びてダウンフレーム16の後端に接続される。
シートフレーム17,17は、メインフレーム15,15の後端部から後方へ延びる。
上記サブフレームは、上記ピボットフレームから後上方に延びてシートフレーム17,17の後部に接続される。
操舵系11は、ヘッドパイプ部14に軸支されるステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20の上端に固定されるトップブリッジ21と、ステアリングシャフト20の下端に固定されるボトムブリッジ22と、トップブリッジ21及びボトムブリッジ22に支持される左右一対のフロントフォーク23,23と、トップブリッジ21に固定される操舵用のハンドル24とを備える。
前輪2は、フロントフォーク23,23の下端部に軸支される。フロントフェンダー25はボトムブリッジ22に支持される。
エンジン10は、メインフレーム15,15の下方に位置し、車両前後方向では、ダウンフレーム16と上記ピボットフレームとの間に配置される。
シート13は、シートフレーム17,17の上方に配置され、シートフレーム17,17に支持される。
燃料タンク30(樹脂製タンク)は、メインフレーム15,15に沿うようにメインフレーム15,15の上方に配置され、メインフレーム15,15に支持される。燃料タンク30は、車両前後方向では、ヘッドパイプ部14とシート13との間に配置される。シート13の前端部は、燃料タンク30の後部の上面を上方から覆う。
図2は、燃料タンク30を左上方側から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、燃料タンク30の前部の上面には、給油口31が設けられる。給油口31にはタンクキャップ32が取り付けられ、給油口31はタンクキャップ32によって閉じられる。
燃料タンク30には、給油口31を周囲から囲うトレイ33が取り付けられる。トレイ33は、タンクキャップ32の下端と燃料タンク30の上面との間に配置される。
トレイ33は、下方に延びるドレン管33aが設けられる。給油時等に零れた燃料はトレイ33によって受けられ、ドレン管33aから下方に排出される。
図3は、燃料タンク30を車幅の中央で切断した断面図である。図4は、燃料タンク30を分割した状態を示す左側面図である。
図2〜図4を参照し、燃料タンク30は、樹脂製の燃料タンク本体35(タンク本体)と、燃料タンク本体35の内面の略全体に設けられるバリアシート層36とを備える。
バリアシート層36は、燃料タンク本体35を構成する素材よりも燃料の透過性が小さい素材で構成される。バリアシート層36によって、燃料タンク30内に貯留されるガソリン等の燃料が燃料タンク30を透過して外部に漏れることが抑制される。
燃料タンク本体35の前部の上部には、前方へ突出する前部取付ステー37(取付ステー)が設けられる。
燃料タンク本体35の前部は、前部取付ステー37に上方から挿通されるタンク固定具39a(固定具、図1参照)によって、ヘッドパイプ部14の後部の上面に固定される。
燃料タンク本体35の後部の下部には、下方へ突出する後部取付ステー38L,38R(取付ステー)が左右一対設けられる。
メインフレーム15,15は、上方に延出するタンクステー15a,15a(図1)を後部に備える。
燃料タンク本体35の後部は、後部取付ステー38L,38Rに車幅方向外側からそれぞれ挿通されるタンク固定具39b,39b(固定具、図1参照)によって、タンクステー15a,15aに固定される。
燃料タンク本体35は、燃料注入用(液体注入用)の筒状注入部40を前部の上部に備える。筒状注入部40は、上下方向に延びる円筒であり、筒状注入部40の上端部は、給油口31を形成する。
筒状注入部40は、燃料タンク本体35を構成する樹脂材料と同一の樹脂材料によって構成されており、燃料タンク本体35と一体に形成される。
図2に示すように、筒状注入部40には、金属製の口金41(図3及び図4では不図示)が取り付けられる。口金41は、上方から挿通される複数の口金固定具42(固定具)によって、燃料タンク本体35の上面に固定される。
また、燃料タンク本体35は、燃料ポンプ43が取り付けられるポンプ取付開口部44を下面に備える。
燃料タンク本体35は、燃料タンク本体35の上側部分を構成する上半体45(分割体、一方の分割体)と、燃料タンク本体35の下側部分を構成する下半体46(分割体、他方の分割体)とに分割されている。燃料タンク本体35は、上半体45と下半体46とを接合することでタンク状に形成される。
上半体45は、下面が下方に開口するケース状に形成される。上半体45の下面の開口の周縁部は、下半体46に接合される上側接合部47(フランジ部)である。車両側面視では、上側接合部47は、後部で略水平に延びる平面部47aと、平面部47aに対し傾斜して前上がりに前方へ延びる斜面部47bとを備える。
前部取付ステー37は、上半体45の前端部に設けられる。筒状注入部40は、上半体45の前部の上面に設けられる。
下半体46は、上面が上方に開口するケース状に形成される。下半体46の上面の開口の周縁部は、上半体45に接合される下側接合部48(フランジ部)である。車両側面視では、下側接合部48は、平面部47aに対して平行な平面部48aと、斜面部47bに対して平行な斜面部48bとを備える。平面部47aは平面部48aに接合され、斜面部47bは斜面部48bに接合される。
後部取付ステー38L,38Rは、下半体46の後部に設けられる。ポンプ取付開口部44は、下半体46の下面に設けられる。
詳細には、上半体45及と下半体46とは、上半体45の上側接合部47の下面により構成される上側接合面47c(接合面)と、下半体46の下側接合部48の上面により構成される下側接合面48c(接合面)とが合わさる部分で溶着されることで一体化される。
バリアシート層36は、上半体45の内面に結合される上側バリアシート層36a(一方のバリアシート層)と、下半体46の内面に結合される下側バリアシート層36b(他方のバリアシート層)とを備える。
図5は、燃料タンク本体35の製造工程を示す模式図である。
図5を参照し、押し出し成形用のダイ51に、バリアシート層36を構成する複数の材料が供給され、シート状の成形体50がダイ51から押し出される。
成形体50は、真空成形機52によって、燃料タンク本体35の内面に沿う形状に賦形される。賦形されたバリアシート層36は、トリミング用の金型(不図示)によって、周縁部をトリミングされる。
トリミングされたバリアシート層36は、燃料タンク本体35を成形するインジェクション成形の金型53内にセットされ、燃料タンク本体35のインジェクション成形の際に燃料タンク本体35に一体化される。すなわち、バリアシート層36は、インサート成形によって燃料タンク本体35の内面に結合される。
ここで、上側バリアシート層36aと下側バリアシート層36bとは個別に成形される。
上側バリアシート層36aは、上半体45のインジェクション成形の際に上半体45に結合され、下側バリアシート層36bは、下半体46のインジェクション成形の際に下半体46に結合される。
その後、上側接合面47c及び下側接合面48cが加熱によって溶かされ、上側接合面47cと下側接合面48cとが圧着されることで、上半体45と下半体46とが一体化される。
図6は、燃料タンク30の板厚方向の構成を示す断面図である。
燃料タンク30は、燃料タンク本体35の1層と、5層で構成されるバリアシート層36とによって6層で構成される。
バリアシート層36は、バリア層55と、バリア層55の両面に設けられる接着層56,56と、接着層56,56を介してバリア層55の両側に接着される外層57a,57bとを備える。
燃料タンク本体35の材質は、一例として、高密度ポリエチレン(HDPE)である。
バリア層55は、高密度ポリエチレンよりも燃料を透過させ難い材質で構成される。バリア層55は、一例として、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)で構成される。
外層57a,57bは、燃料タンク本体35と同じ材質で構成され、一例として、高密度ポリエチレンで構成される。
バリアシート層36は、燃料タンク本体35側の外層57aを介して燃料タンク本体35の内面に結合される。バリアシート層36は、燃料タンク本体35と同一の材質の外層57aを介して燃料タンク本体35の内面に結合されるため、燃料タンク本体35への密着性が高く、燃料タンク本体35に強固に結合される。
バリアシート層36は、外層57bが燃料タンク本体35内に露出して燃料に接する。このため、燃料のバリア層55への直接的な接触が防止される。
図7は、平面部47a,48aにおいて、上半体45と下半体46とが接合される部分の断面図である。
上側接合部47は、上半体45の外面から燃料タンク本体35の外側に突出するフランジ状に形成されている。上側接合部47は、上半体45の全周に亘って設けられる。
上側接合部47の幅W1は、上半体45の側壁部45a(壁部)の厚さt1よりも大きい。
フランジ状の上側接合部47の先端部の上面には、上側接合面47cと平行な押圧面47dが形成される。
また、上半体45は、上側接合部47の先端面の上部から上方に延びる周縁リブ47eを備える。周縁リブ47eは、上半体45の略全周に亘って設けられる。
押圧面47dは、周縁リブ47eと上半体45の外面との間に形成される溝部58の底面である。
上半体45は、溝部58に係合して押圧面47dを押圧する押圧冶具J1によって、下半体46の下側接合面48cに押し付けられる。
押圧面47dは、押圧冶具J1の押圧方向Pにおいて、上側接合面47cに重なる。このため、押圧冶具J1によって上側接合面47cを直接的に押圧でき、良好に圧着を行うことができる。
下側接合部48は、下半体46の外面から燃料タンク本体35の外側に突出するフランジ状に形成されている。下側接合部48は、下半体46の全周に亘って設けられる。
下側接合部48の幅W2は、下半体46の側壁部46a(壁部)の厚さt2よりも大きい。
フランジ状の下側接合部48の先端部の下面には、下側接合面48cと平行な押圧面48dが形成される。
また、下半体46は、下側接合部48の先端面の下部から下方に延びる周縁リブ48eを備える。周縁リブ48eは、下半体46の略全周に亘って設けられる。
押圧面48dは、周縁リブ48eと下半体46の外面との間に形成される溝部59の底面である。
下半体46は、溝部59に係合して押圧面48dを押圧する押圧冶具J2によって、上半体45の上側接合面47cに押し付けられる。
押圧面48dは、押圧冶具J2の押圧方向Pにおいて、下側接合面48cに重なる。このため、押圧冶具J2によって下側接合面48cを直接的に押圧でき、良好に圧着を行うことができる。
押圧方向Pは、上半体45及び下半体46の接合方向である。
上側バリアシート層36aの端縁は、上側接合面47cの近傍に設けられ、この端縁には、燃料タンク本体35の外側に向かって屈曲する屈曲部61が形成される。
屈曲部61は、上半体45の内面に沿う上側バリアシート層36aの本体部36a1に対し、略直角に屈曲する。
詳細には、屈曲部61は、上側接合面47cから距離Dだけ上方に離間した位置で、上半体45の内面に埋め込まれている。屈曲部61は、上側接合面47cと平行に燃料タンク本体35の外側へ延びる。
屈曲部61は、押圧方向Pにおいて、押圧面47dと上側接合面47cとの間に配置される。屈曲部61の長さは、側壁部45aの厚さt1よりも小さい。
下側バリアシート層36bの端縁は、下側接合面48cの近傍に設けられ、この端縁には、燃料タンク本体35の外側に向かって屈曲する屈曲部62が形成される。
屈曲部62は、下半体46の内面に沿う下側バリアシート層36bの本体部36b1に対し、略直角に屈曲する。
詳細には、屈曲部62は、下側接合面48cから距離Dだけ下方に離間した位置で、下半体46の内面に埋め込まれている。屈曲部62は、下側接合面48cと平行に燃料タンク本体35の外側へ延びる。
屈曲部62は、押圧方向Pにおいて、押圧面48dと下側接合面48cとの間に配置される。屈曲部62の長さは、側壁部46aの厚さt2よりも小さい。
屈曲部61,62は、真空成形機52(図5)による賦形の際に形成された成形体50の周縁部の屈曲部分を、上記トリミング用の金型(段落0023参照)の切れ刃によってトリミングすることで形成される。屈曲部61,62の先端には、上記切れ刃によって屈曲部61,62の厚さ方向にトリミングされた切断面61a,62aが形成される。このため、屈曲部61,62を容易に形成できるとともに、屈曲部61,62を高精度に形成できる。
屈曲部61,62は、インジェクション成形の金型53(図5)によって上半体45及び下半体46を成形する際に、上半体45及び下半体46に埋め込まれる。このため、屈曲部61,62を容易に埋め込むことができる。
図8は、図7において、接合の前の状態を示す断面図である。
図8に示すように、上側接合部47は、接合する前の状態では、圧着代L1と、溶融代L2との分だけ押圧方向Pに厚く形成されている。
同様に、下側接合部48は、接合する前の状態では、圧着代L1と、溶融代L2との分だけ押圧方向Pに厚く形成されている。
溶融代L2は、上側接合部47及び下側接合部48を圧着代L1の部分まで加熱する際に溶融される部分であり、燃料タンク本体35の完成品には残されない。
圧着代L1は、溶着の際に圧着される部分であり、圧着代L1の部分の一部は、圧力によって上側接合面47c及び下側接合面48cからはみ出るはみ出し部63,63(図7)となる。
バリアシート層36の屈曲部61,62は、外側のはみ出し部63から上下に離間している。
本第1の実施の形態では、バリアシート層36の屈曲部61,62は、上側接合面47c及び下側接合面48cから上下方向にそれぞれ離間しており、上側接合面47c及び下側接合面48cに対して溶着されない。これにより、上側接合面47cと下側接合面48cとの溶着の際に、上側バリアシート層36a及び下側バリアシート層36bについて溶着を管理する必要がないため、上半体45と下半体46とを容易に溶着できる。
また、屈曲部61と屈曲部62との間には、バリアシート層36が存在しない領域があるが、この領域は小さいため、この領域からの燃料の外側への透過は許容される。
図8に示すように、上側接合部47及び下側接合部48は、押圧方向Pにおける周縁リブ47e,48eの端から溶融代L2の先端まで延びる出代部をそれぞれ有する。この出代部の長さは出代寸法L3である。出代寸法L3は、上側接合面47c及び下側接合面48cに対して直交する方向の長さである。なお、出代寸法L3は、例えば、押圧面47d,48dから溶融代L2の先端までの長さであっても良い。
図4に示すように、溶着に伴って上半体45と下半体46と押圧方向Pに移動させる際、上側接合部47の平面部47aと下側接合部48の平面部48aとを平行にした状態では、上側接合面47cと下側接合面48cとの間の隙間Gの大きさは、いずれの場所においても等しい。すなわち、平面部47aと平面部48aとの間の隙間Gと、斜面部47bと斜面部48bとの間の隙間Gとは大きさが等しい。ここで、隙間Gは、押圧方向Pの隙間である。このため、押圧方向Pの押圧力を上側接合部47及び下側接合部48の全体に均等に作用させることができる。
また、出代寸法L3は、上側接合部47の全周及び下側接合面48cの全周に亘って等しい。
斜面部47b,48bは、押圧方向Pに対して傾斜しているため、溶着の際に斜面部47b,48bに作用する押圧力は、平面部47a,48aに作用する押圧力よりも小さくなる。
本第1の実施の形態では、図7を参照し、斜面部47b,48b(図4)の部分の上側接合部47及び下側接合部48の幅W3(図7の仮想線の部分)は、平面部47a,47aの部分の幅W1,W2よりも小さい。
これにより、斜面部47b,48bの部分における上側接合面47c及び下側接合面48cの面積が小さくなり、押圧方向Pの押圧力による斜面部47b,48bの面圧が大きくなる。このため、上側接合部47及び下側接合部48の全体に作用する面圧を均一化でき、良好に溶着できる。
次に、前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rの構造について説明する。
図9は、前部取付ステー37を左上方側から見た斜視図である。図10は、図9のX−X断面図である。
図9及び図10を参照し、前部取付ステー37は、上半体45の前端部において、燃料タンク本体35の幅方向(車幅方向)の中央部に設けられ、給油口31の前方に位置する。
前部取付ステー37は、上半体45の上面の前縁から上方に延出する縦壁部70と、縦壁部70の上端から前方に延びる板状の前方延出部71と、前方延出部71を板厚方向に上下に貫通する取付孔72とを備える。
縦壁部70は、上半体45の上面の前縁に沿って上方に延びる板状に形成される。縦壁部70の後面は、後面リブ73,73によって、上半体45の前端部の上面に接続される。
後面リブ73,73は、縦壁部70の後面の左右の側縁部に一対設けられる。後面リブ73,73の後縁は、給油口31側に向けて後下がりに下る。
前方延出部71は、前上がりに前方へ延びる。前方延出部71の下面は、補強リブ74,74(リブ)によって縦壁部70の前面に接続される。補強リブ74,74は、前方延出部71の左右の側縁から左右一対で下方に延び、後端が縦壁部70の前面の左右の側縁部に接続される。補強リブ74,74の前縁は、車両側面視で後下がりに傾斜する。補強リブ74,74の下端部74aは、フランジ状の上側接合部47の上部に接続される。補強リブ74,74は、上側接合部47から前方延出部71の下面まで延びる。
取付孔72は、丸穴である。取付孔72は、前方延出部71において左右の補強リブ74,74の間に設けられる。
取付孔72には、防振性を備える円筒状のカラー部材75が嵌合され、タンク固定具39aは、カラー部材75の孔に上方から挿通される。タンク固定具39aはボルトである。
タンク固定具39aは、カラー部材75を介し、前部取付ステー37を車体フレームF(図1)に締結する。
図10に示すように、前部取付ステー37の縦壁部70は、上側接合面47c及び下側接合面48cに対し上方に離間した上半体45の上面から上方に延出する。すなわち、前部取付ステー37は、上側接合面47c及び下側接合面48cから上下方向に離間した位置で上半体45に一体に設けられる。
これにより、前部取付ステー37を介して上半体45に伝達される外力は、上側接合面47c及び下側接合面48cに集中せずに、上半体45の上面部に分散される。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍のバリアシート層36への外力の影響を低減でき、バリアシート層36を効果的に保護できる。
前方延出部71の上面において取付孔72と縦壁部70との間には、燃料タンク本体35の幅方向に延びる上面溝71aが設けられる。
また、前方延出部71の下面において、取付孔72と前方延出部71の前端との間には、前後方向に延びる下面溝71bが設けられる。
上面溝71a及び下面溝71bが設けられる部分では、前方延出部71の板厚が小さくなり、前方延出部71の強度が小さくなる。すなわち、上面溝71a及び下面溝71bは、前方延出部71の強度を小さくする脆弱部である。前方延出部71の強度は、取付孔72の周囲に設けられる上面溝71a及び下面溝71bの部分で低くなる。
前部取付ステー37に過度な外力が作用する場合、前部取付ステー37は、上面溝71a及び下面溝71bの周辺部で先に破損し、外力の一部は前部取付ステー37で吸収される。このため、過度な外力が前部取付ステー37を介してバリアシート層36に伝達されることを抑制でき、バリアシート層36を保護できる。
図11は、後部取付ステー38Lを左後方側から見た斜視図である。図12は、図11のXII−XII断面図である。なお、後部取付ステー38L,38Rは左右対称に設けられるため、ここでは後部取付ステー38Lについて詳細に説明し、後部取付ステー38Rの説明を簡略化する。
図11及び図12を参照し、後部取付ステー38Lは、下半体46の後部における左側縁部に設けられる。なお、後部取付ステー38Rは、下半体46の後部における右側縁部に設けられる。
後部取付ステー38Lは、下半体46の下面の側縁部から下方に延びる側壁部80と、側壁部80の下端部に一体に設けられる筒状部81とを備える。
側壁部80は、自動二輪車1の車幅方向に面する板状に形成されており、側面視では、下方に向けて先細る逆三角形状に形成される。
筒状部81は、側壁部80の下端部から車幅方向外側に突出する筒状に形成される。筒状部81は、後部取付ステー38Lを車幅方向に貫通する取付孔82を中心に備える。
側壁部80の外側面には、筒状部81の上部と下半体46の下面とを上下に接続する補強リブ83,83(リブ)が一対設けられる。補強リブ83,83は、前後方向に互いに離間して一対設けられる。
補強リブ83,83の上端部83aの一部は、フランジ状の下側接合部48の下部に接続される。補強リブ83,83は、下側接合部48から筒状部81まで延びる。
図1及び図11を参照し、取付孔82には、防振性を備える円筒状のカラー部材84が嵌合され、タンク固定具39bは、カラー部材84の孔に車幅方向外側から挿通される。タンク固定具39bはボルトである。
タンク固定具39bは、カラー部材84を介し、後部取付ステー38Lをタンクステー15a,15aに締結する。
図12に示すように、後部取付ステー38Lの側壁部80は、上側接合面47c及び下側接合面48cに対し下方に離間した下半体46の下面から下方に延出する。すなわち、後部取付ステー38Lは、上側接合面47c及び下側接合面48cから上下方向に離間した位置で下半体46に一体に設けられる。
これにより、後部取付ステー38Lを介して下半体46に伝達される外力は、上側接合面47c及び下側接合面48cに集中せずに、下半体46の下面部に分散される。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍のバリアシート層36への外力の影響を低減でき、バリアシート層36を効果的に保護できる。
補強リブ83,83の下端部において筒状部81の外周の近傍には、車幅方向内側に凹む溝83b,83bが設けられる。
溝83b,83bが設けられる部分では、補強リブ83,83の板厚が小さくなり、後部取付ステー38Lの強度が小さくなる。すなわち、溝83b,83bは、後部取付ステー38Lの強度を小さくする脆弱部である。後部取付ステー38Lの強度は、取付孔82の周囲に設けられる溝83b,83bの部分で低くなる。
後部取付ステー38Lに過度な外力が作用する場合、後部取付ステー38Lは、溝83b,83bの周辺部で先に破損し、外力の一部は後部取付ステー38Lで吸収される。このため、過度な外力が後部取付ステー38Lを介してバリアシート層36に伝達されることを抑制でき、バリアシート層36を保護できる。
図1〜図3を参照し、前部取付ステー37と後部取付ステー38L,38Rとは、前後方向及び上下方向に互いに離間して配置される。
詳細には、前部取付ステー37は、上半体45の前端部の上部に設けられ、後部取付ステー38L,38Rは、下半体46の後部の下部に設けられる。すなわち、前部取付ステー37と後部取付ステー38L,38Rとは、前後方向及び上下方向に互いに離間するとともに、上半体45と下半体46とに分けて設けられる。これにより、前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rから燃料タンク本体に作用する外力を、燃料タンク本体の広い範囲に分散させることができる。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍のバリアシート層36への応力集中を抑制でき、バリアシート層36を効果的に保護できる。
次に、口金41の取付構造について説明する。
図13は、図2のXIII−XIII断面図である。
図13に示すように、口金41は、筒状注入部40に係合して取り付けられる。また、口金41は、口金固定具42によって、燃料タンク本体35の上面に設けられる口金固定部91(固定部)に固定される。口金41と筒状注入部40との間には、シール部材92が介装される。
筒状注入部40は、上半体45の上面から上方に延出する口金取付筒部93と、燃料タンク本体35の内側に延びるタンク内筒部94とを一体に備える。
筒状注入部40は、図5の金型53によるインジェクション成形の際に、燃料タンク本体35と一体に形成される。
口金取付筒部93は、上半体45の上面から上方に延出する基端部95と、基端部95よりも上方に位置する上部96(嵌合部によって覆われる部分)とを備える。基端部95と上部96とは同軸に設けられるが、基端部95の外径は、上部96の外径よりも大きい。
口金取付筒部93の上部96の外周部には、径方向内側に凹む環状のシール溝96aが設けられる。
口金取付筒部93の内周面93aは、全長に亘って同一径である。
口金取付筒部93の先端面93bは、平坦である。先端面93bの内縁及び外縁には面取り部が設けられる。
口金取付筒部93の外周面93cには、基端部95及び上部96の外径の相違によって、上下の中間部に段差が形成される。
図14は、口金取付筒部93の加工を説明する断面図である。
口金取付筒部93は、図5の金型53によるインジェクション成形の後に、図14に示す仕上げ加工部90が、機械加工によって高精度に仕上げられる。機械加工は、例えばフライス加工である。
詳細には、仕上げ加工部90は、シール溝96aを含む上部96の外周面93c、先端面93b、及び内周面93aである。
口金固定部91は、上半体45の上面から上方に突出する外側突出部97と、燃料タンク本体35の内側へ突出する内側突出部98(突出部)とを備える。外側突出部97及び内側突出部98は、燃料タンク本体35を構成する樹脂が突出したものである。
また、口金固定部91は、外側突出部97及び内側突出部98に埋め込まれるナット99を備える。
詳細には、口金固定部91は、外側突出部97の平坦な上面から下方に凹む穴部100を備え、ナット99は、穴部100の下方に埋め込まれる。ナット99のねじ部99aは穴部100から上方に露出する。ナット99の下端の外周部には、面取り部99bが設けられる。
口金固定部91が内側突出部98を備えることで、ナット99の埋め込み長さを大きく確保でき、ナット99を強固に燃料タンク本体35に結合できる。
内側突出部98の先端面98aは、半球状の凸形状に形成されており、滑らかな曲面状である。
図15は、口金固定部91の内側突出部98の周辺部を燃料タンク本体35の内側から見た図である。
図2、図13及び図15を参照し、口金固定部91は、筒状注入部40を中心とする同心円上に、略等間隔で複数設けられる。
バリアシート層36は、内側突出部98にも設けられる。内側突出部98に設けられるバリアシート層36は、先端面98aに沿う滑らかな曲面状の曲面部36cとなる。このため、内側突出部98に設けられるバリアシート層36への応力集中を防止でき、バリアシート層36を燃料タンク本体35の内面に強固に密着させることができる。
また、バリアシート層36は、タンク内筒部94の基端部の周囲に、燃料タンク本体35の内側に向かって延出する折り返し部36dを備える。折り返し部36dは、タンク内筒部94の基端部の外周部に沿う環状に形成され、タンク内筒部94の外周部に結合される。
口金固定具42は、口金固定部91のナット99に締結される口金固定ボルト101(ボルト)と、口金固定ボルト101のねじ部が挿通されるカラー102とを備える。
カラー102は、口金固定部91の穴部100に嵌合する筒部102aと、筒部102aから突出するフランジ部102bとを備える。
口金41は、口金取付筒部93の外周面93cを覆う筒状のスカート部110と、口金取付筒部93の内周面93aに嵌合する内筒部111と、スカート部110の上縁と内筒部111の上縁とを繋ぐ端面部112と、スカート部110の下端部から口金41の径方向外側に延出する板状のステー部113とを備える。
スカート部110、端面部112、及び内筒部111は、金属板を曲げ加工して一体に設けられる。ステー部113は、スカート部110に接合される。
口金41は、金属製であり、筒状注入部40よりも強度が高い。このため、給油所等での給油時に、給油口31に挿入される給油ノズルから筒状注入部40を保護できる。
内筒部111の内周部には、タンクキャップ32(図1)の外周のねじ部が螺合する雌ねじ部111aが設けられる。内筒部111は、口金取付筒部93の内周面93aの略全長に亘って設けられる。
端面部112は、内筒部111の上縁から径方向外側に延びる。端面部112は、口金41の軸方向視では、筒状注入部40と同軸の環状に形成される。
端面部112は、口金取付筒部93の先端面93bを上方から覆う。端面部112と先端面93bとの間には空間が設けられる。
スカート部110は、先端面93bの外周部から下方に屈曲し、内筒部111と平行に下方に延びる。
スカート部110は、外周面93cにおける上部96の部分に嵌合する嵌合部115と、外周面93cにおける基端部95の部分を覆う大径部116とを備える。
嵌合部115の内周面は、上部96の外周面93cに密着する。上部96のシール溝96aには、シール部材92が設けられる。シール部材92は、シール溝96aと嵌合部115との間で圧縮されて変形し、上部96とスカート部110との間をシールする。
スカート部110の大径部116は、嵌合部115から上半体45の上面近傍まで下方に延びる。大径部116は、内径及び外径が嵌合部115よりも大径に形成される。
大径部116は、口金取付筒部93の外周面93cから離間するように、嵌合部115よりも大径に設けられる。
詳細には、大径部116は、嵌合部115に平行な平行部117と、嵌合部115から平行部117まで徐々に拡径する拡径部118とを備える。
平行部117は、口金取付筒部93の基端部95と平行に設けられ、基端部95を外側から覆う。平行部117と基端部95との間には、径方向に隙間S1が形成される。
図2及び図13を参照し、口金41のステー部113は、大径部116の外周部から各口金固定部91に向かって径方向外側に延出する複数の取付部119と、隣り合う取付部119,119を周方向に接続する接続部120とを備える。
取付部119には、口金固定具42が挿通される固定孔121が設けられる。詳細には、固定孔121には、口金固定具42のカラー102が挿通される。
固定孔121は、口金41が口金固定具42に対して所定距離だけ移動なように、カラー102の外径よりも大径に形成される。固定孔121の内周とカラー102の外周との間には、調整用隙間S2が形成される。
また、ステー部113は、その周縁から立ち上がる周縁リブ122(リブ)を備える。周縁リブ122は、取付部119及び接続部120に沿ってステー部113の全周に設けられる。
ここで、燃料タンク本体35に対する口金41の組み付け手順の一例を説明する。
図13に示すように、口金41は、スカート部110と内筒部111との間に口金取付筒部93を狭持するように、口金取付筒部93の軸方向に差し込まれ、口金取付筒部93に装着される。
口金41は、ステー部113の各取付部119が各口金固定部91の上面に当接することで、口金取付筒部93の軸方向に位置決めされる。
カラー102は、ステー部113の固定孔121に上方から挿通され、口金固定部91の穴部100にセットされる。カラー102の下端はナット99の上面に当接する。
口金固定ボルト101がナット99に締結されると、ステー部113の固定孔121の周縁部は、カラー102のフランジ部102bと口金固定部91の上面との間に狭持される。これにより、口金41は、口金固定ボルト101によって燃料タンク本体35の口金固定部91に締結される。
本第1の実施の形態では、口金41は、口金取付筒部93に差し込まれた状態で口金固定ボルト101によって締結されて燃料タンク本体35に固定される。このため、メンテナンスの際等に、口金41を取り外す場合には、口金固定ボルト101を取り外すとともに口金41を引き抜くことで、口金取付筒部93から容易に口金41を取り外すことができる。また、口金41は、口金取付筒部93に加締められていないため、取り外された口金41を再利用して口金取付筒部93に取り付けできる。
図16は、寸法誤差がある場合の口金41の取付状態を示す断面図である。
口金取付筒部93には、製造上の寸法公差が設定される。図16では、口金取付筒部93の上部96の外径が寸法公差の最小値であり、口金取付筒部93の内径が寸法公差の最大値である場合が一例として示されている。
図16のように、口金取付筒部93の実寸法が、公差の中央値に対してずれている場合、口金41は、口金取付筒部93の中心を通る軸線Cに対して、軸線41aが口金取付筒部93の径方向にずれた状態で組み付けされ得る。
本実施の形態では、口金41の固定孔121の内周と口金固定具42のカラー102の外周との間に調整用隙間S2(図13)が設けられているとともに、大径部116と基端部95との間には、径方向に隙間S1(図13)が設けられている。ここでは、調整用隙間S2と隙間S1と同程度の大きさである。
これにより、口金41は、調整用隙間S2及び隙間S1に対応する分だけ口金取付筒部93の径方向に移動でき、その状態で口金固定ボルト101によって固定されることができる。このため、口金取付筒部93の製造上の寸法公差を許容して、口金41を口金取付筒部93に取り付けできる。
ここで、隙間S1は、調整用隙間S2によって口金41を移動した場合であっても隙間S1が0にならないように設定される。すなわち、大径部116と筒状注入部40との間には、常に隙間S1が形成される。
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、樹脂製の燃料タンク30は、上半体45及び下半体46を接合して設けられる樹脂製の燃料タンク本体35と、燃料タンク本体35の内面に設けられ、燃料タンク本体35からの燃料の透過を低減させるバリアシート層36とを備え、バリアシート層36の端縁は、上半体45及び下半体46同士が合わさって接合される上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍に設けられ、バリアシート層36の端縁は、燃料タンク本体35の外側に向かって屈曲する屈曲部61,62を有し、屈曲部61,62は、上側接合面47c及び下側接合面48cから離間した位置で燃料タンク本体35に埋め込まれている。
この構成によれば、バリアシート層36の端縁は、燃料タンク本体35の外側に向かって屈曲する屈曲部61,62が燃料タンク本体35に埋め込まれるため、燃料タンク本体35に強固に結合され、上側接合面47c及び下側接合面48cの接合時の影響を受け難い。さらに、屈曲部61,62は、上側接合面47c及び下側接合面48cから離間した位置にあり、上側接合面47c及び下側接合面48cでは接合されない。これにより、上側接合面47c及び下側接合面48cの接合の際に、バリアシート層36の接合の管理をする必要がないため、樹脂製の燃料タンク30を容易に製造できる。
また、バリアシート層36の屈曲部61,62は、それぞれ上側接合面47c及び下側接合面48cと平行に燃料タンク本体35の外側に延びる。この構成によれば、屈曲部61,62の面は、上側接合面47c及び下側接合面48cの接合方向に対して垂直になるため、上半体45及び下半体46の接合時に発生する力を効率良く受けることができる。
また、上側接合面47cを端面に備える上側接合部47の幅W1は、燃料タンク本体35の側壁部45aの厚さt1よりも大きく、下側接合面48cを端面に備える下側接合部48の幅W2は、燃料タンク本体35の側壁部46aの厚さt2よりも大きい。この構成によれば、上側接合面47c及び下側接合面48cの面積を大きく確保できるため、上側接合面47c及び下側接合面48cの接合強度を大きくできる。
さらに、上側接合部47及び下側接合部48は、燃料タンク本体35の外側に突出するフランジ状に形成され、上側接合部47及び下側接合部48は、上側接合部47及び下側接合部48が圧着される際に押圧される押圧面47d,48dを備え、押圧面47d,48dは、押圧方向Pにおいて上側接合面47c及び下側接合面48cに重なる。この構成によれば、押圧面47d,48dが押圧方向Pにおいてそれぞれ上側接合面47c及び下側接合面48cに重なる部分では、押圧面47d,48dの押圧力を上側接合面47c及び下側接合面48cに直接的に伝達できる。このため、強固に接合できる。
また、バリアシート層36は、一方の分割体である上半体45に設けられる上側バリアシート層36aと、他方の分割体である下半体46に設けられる下側バリアシート層36bとを備え、上側バリアシート層36aの屈曲部61と下側バリアシート層36bの屈曲部62とは、互いに離間した状態で燃料タンク本体35に埋め込まれている。この構成によれば、屈曲部61と屈曲部62とは、上側接合面47c及び下側接合面48cでは互いに接合されない。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの接合の際に、バリアシート層36の接合の管理をする必要がないため、燃料タンク30を容易に製造できる。
また、バリアシート層36は、エチレンビニルアルコール共重合体の層であるバリア層55の両面に接着層56,56を介してそれぞれ高密度ポリエチレンの層である外層57a,57bが接着されたものであり、バリアシート層36は、外層57aを介し、高密度ポリエチレン製の燃料タンク本体35の内面に結合される。この構成によれば、バリアシート層36は、高密度ポリエチレンの層である外層57aが、外層57aと同じ材質の高密度ポリエチレン製の燃料タンク本体35の内面に結合される。このため、バリアシート層36を強固に燃料タンク本体35の内面に結合できる。
また、屈曲部61,62の先端には、切れ刃によって厚さ方向にトリミングされた切断面61a,62aが形成されている。このため、屈曲部61,62の寸法精度を向上でき、屈曲部61,62を適切に燃料タンク本体35に埋め込むことができる。
また、上側接合面47c及び下側接合面48cは、上側接合面47c及び下側接合面48cの圧着方向(押圧方向P)に垂直な平面部47a,48aと、平面部47a,48aに対して傾斜する斜面部47b,48bとを備え、上側接合面47c及び下側接合面48cを端面に備える上側接合部47及び下側接合部48は、燃料タンク本体35の外側に突出するフランジ状に形成され、上側接合部47及び下側接合部48は、上側接合面47c及び下側接合面48cが圧着される際に押圧される押圧面47d,48dを備え、斜面部47b,48bにおける上側接合部47及び下側接合部48の幅W3は、平面部47a,48aにおける上側接合部47及び下側接合部48の幅W1,W2よりも小さい。
この構成によれば、圧着の際、斜面部47b,48bは、圧着方向(押圧方向P)に垂直な平面部47a,48aに比して小さな圧着力を受けるが、斜面部47b,48bの幅W3は平面部47a,48aの幅W1,W2よりも小さいため、斜面部47b,48bの面圧は十分な大きさになる。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの全体を良好に接合できる。
また、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、樹脂製の燃料タンク30は、上半体45と下半体46とを接合して設けられる樹脂製の燃料タンク本体35と、燃料タンク本体35の内面に設けられ、燃料タンク本体35からの燃料の透過を低減させるバリアシート層36と、燃料タンク本体35を車体に取り付ける前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rとを備える。前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rは、上半体45と下半体46とが合わさって接合される上側接合面47c及び下側接合面48cに対し、上下方向に離間した位置で燃料タンク本体35に設けられる。
この構成によれば、前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rが、上半体45と下半体46との上側接合面47c及び下側接合面48cに対し上下方向に離間した位置で燃料タンク本体35に設けられるため、上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍のバリアシート層36に前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rからの外力が影響することを抑制できる。このため、外力に対しバリアシート層36を効果的に保護できる。
また、前部取付ステー37と後部取付ステー38L,38Rとは、上下方向及び前後方向に互いに離間している。この構成によれば、複数の前部取付ステー37及び後部取付ステー38L,38Rから燃料タンク本体35に作用する外力を、燃料タンク本体35の広い範囲に分散させることができる。このため、外力に対しバリアシート層36を効果的に保護できる。
また、前部取付ステー37と後部取付ステー38L,38Rとは、上半体45と下半体46とに分かれて設けられる。この構成によれば、前部取付ステー37と後部取付ステー38L,38Rから燃料タンク本体35に作用する外力は、上半体45及び下半体46に分散される。このため、外力に対しバリアシート層36を効果的に保護できる。
さらに、取付ステーは、燃料タンク本体35の前部に設けられる前部取付ステー37と、燃料タンク本体35の後部に設けられる後部取付ステー38L,38Rとを備え、前部取付ステー37は、上半体45における左右の中央部に設けられ、後部取付ステー38L,38Rは、下半体46の左右に一対設けられる。この構成によれば、外力は、燃料タンク本体35の前部の前部取付ステー37及び燃料タンク本体35の後部の後部取付ステー38L,38Rから、前後方向に分散するとともに、上半体45と下半体46とに分散して上側接合面47c及び下側接合面48cに作用する。このため、バリアシート層36を効果的に保護できる。また、前部取付ステー37と左右の後部取付ステー38L,38Rとの3点支持となるため、最小の構成で効果的に燃料タンク本体35を強固に取り付けできる。
また、前部取付ステー37は、車体フレームFに固定されるタンク固定具39aが挿通される取付孔72を備え、前部取付ステー37は、取付孔72の近傍に脆弱部としての上面溝71a及び下面溝71bを備える。また、後部取付ステー38L,38Rは、車体フレームFに固定されるタンク固定具39bが挿通される取付孔82を備え、後部取付ステー38L,38Rは、取付孔82の近傍に脆弱部としての溝83b,83bを備える。この構成によれば、過度な外力が作用する場合には、上側接合面47c及び下側接合面48cから離間した位置にある前部取付ステー37と左右の後部取付ステー38L,38Rの上面溝71a、下面溝71b、及び溝83b,83bが上側接合面47c及び下側接合面48cよりも先に破損する。このため、燃料タンク本体35内のバリアシート層36を保護できる。
また、脆弱部は、取付孔72,82の周囲に設けられる上面溝71a、下面溝71b、及び溝83b,83bである。この構成によれば、脆弱部を上側接合面47c及び下側接合面48cから遠い位置にコンパクトに設けることができ、前部取付ステー37と左右の後部取付ステー38L,38Rから上側接合面47c及び下側接合面48cに作用する外力が低減されるため、バリアシート層36を保護できる。
また、上側接合面47cは、燃料タンク本体35の外方に延出するフランジ部である上側接合部47に設けられ、前部取付ステー37は、上側接合部47から延びる補強リブ74を備える。この構成によれば、前部取付ステー37の強度及び剛性を上側接合部47及び補強リブ74によって大きくできる。このため、前部取付ステー37によって燃料タンク本体35を強固に支持できる。
また、下側接合面48cは、燃料タンク本体35の外方に延出するフランジ部である下側接合部48に設けられ、後部取付ステー38L,38Rは、下側接合部48から延びる補強リブ83,83を備える。この構成によれば、後部取付ステー38L,38Rの強度及び剛性を下側接合部48及び補強リブ83,83によって大きくできる。このため、後部取付ステー38L,38Rによって燃料タンク本体35を強固に支持できる。
さらに、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、樹脂製の燃料タンク30は、樹脂製の燃料タンク本体35と、燃料タンク本体35に設けられる液体注入用の樹脂製の筒状注入部40と、筒状注入部40に係合し、筒状注入部40の内周面93a、先端面93b、及び外周面93cを覆う口金41とを備え、燃料タンク本体35は、口金41を燃料タンク本体35に固定する口金固定具42が固定される口金固定部91を備える。口金41は、外周面93cを覆う環状のスカート部110を備え、スカート部110は、外周面93cの上部96に嵌合する嵌合部115をその上部に備えるとともに、嵌合部115よりも大径の大径部116をその下部に備え、口金41は、大径部116から口金41の径方向外側に延出するステー部113を備え、口金固定具42が挿通される固定孔121がステー部113に設けられる。
この構成によれば、筒状注入部40に係合する口金41は、大径部116から延出するステー部113の固定孔121に挿通される口金固定具42によって、燃料タンク本体35の口金固定部91に固定されるため、口金固定具42を着脱することで、筒状注入部40に対し容易に着脱される。さらに、口金41は、嵌合部115より大径の大径部116を有し、大径部116と筒状注入部40の外周面93cとの間の隙間S1の分を、ステー部113と一体に移動できる。これにより、筒状注入部40の製造上の寸法誤差があったとしても、口金41の移動によって誤差を吸収できる。このため、筒状注入部40の製造上の寸法誤差を許容して口金41を着脱できる。
また、固定孔121は、口金41が筒状注入部40に対して筒状注入部40の径方向に所定距離だけ移動可能なように、口金固定具42の径よりも大径である。この構成によれば、口金41は、口金固定具42に対して固定孔121が移動可能な分を、筒状注入部40の径方向に移動できる。このため、筒状注入部40の製造上の寸法誤差を許容して口金41を着脱できる。
また、燃料タンク本体35の内面には、燃料タンク本体35内に貯留される燃料の透過を低減させるバリアシート層36が設けられ、口金固定部91は、燃料タンク本体35の表面に埋め込まれるナット99であり、口金固定具42は、ナット99に螺合する口金固定ボルト101であり、ナット99は、燃料タンク本体35の内側へ突出する内側突出部98に埋め込まれ、内側突出部98の先端面98aは、半球状の凸形状である。この構成によれば、内側突出部98の先端面98aは、半球状の凸形状であるため、内側突出部98の先端面98aに設けられるバリアシート層36への応力集中を防止でき、口金固定部91の配置の自由度を向上できる。
さらに、口金固定部91は、筒状注入部40を中心とする同心円上に、略等間隔で複数設けられる。この構成によれば、口金固定部91に作用する外力が効果的に分散されるため、筒状注入部40の周囲の応力集中を低減できる。
また、口金41は、ステー部113の周縁から立ち上がる周縁リブ122を備え、周縁リブ122は、スカート部110の周囲に複数設けられる固定孔121の間に亘って連続する。これにより、口金41の強度及び剛性を向上でき、口金41によって筒状注入部40を効果的に保護できる。
また、大径部116は、嵌合部115に対し平行な平行部117と、嵌合部115から平行部117まで徐々に拡径する拡径部116とを備える。この構成によれば、平行部117と筒状注入部40の外周面93cとの間の隙間S1を管理し易い。また、拡径部116によってスカート部110の剛性を向上でき、口金41によって筒状注入部を効果的に保護できる。
また、筒状注入部40は、口金41の嵌合部115が嵌合する部分(上部96)に、機械加工で仕上げられた仕上げ加工部90を備える。この構成によれば、筒状注入部40における口金41の嵌合部115が嵌合する部分を機械加工で高精度に加工できる。機械加工で生じる寸法誤差は、口金41の移動によって吸収できる。
また、筒状注入部40は、口金41の大径部116によって覆われる基端部95を有し、基端部95の外径は、筒状注入部40において嵌合部115に覆われる部分(上部96)の外径よりも大径である。この構成によれば、口金41の大径部116に対応させて筒状注入部40の基端部95を大径にでき、筒状注入部40の強度及び剛性を向上できる。
また、口金41の嵌合部115と筒状注入部40の外周面93cとの間には、シール部材92が介装される。この構成によれば、口金41の移動によって寸法誤差を吸収する場合に、シール部材92の撓みによって、嵌合部115と筒状注入部40の外周面93cとの間の密閉性を確保できる。
[第2の実施の形態]
以下、図17及び図18を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、車体フレームF2に合わせて、取付ステーの構成が上記第1の実施の形態から変更されている。
図17は、第2の実施の形態における燃料タンク230の取り付け構造を左上方側から見た斜視図である。図18は、燃料タンク230の取り付け構造を前方側から見た模式図である。
自動二輪車201は、車体フレームF2と、燃料タンク230とを備える。自動二輪車201の他の部品は図17では不図示であるが、自動二輪車201は自動二輪車1と同様に構成される。
車体フレームF2は、ヘッドパイプ部14と、ヘッドパイプ部14から後下がりに後方へ延びる1本のメインフレーム215と、ダウンフレーム16と、メインフレーム215から後方に延びるシートフレーム217とを備える。
メインフレーム215は、左右に突出するタンク支持部215a,215aを側面に備える。
燃料タンク230は、燃料タンク本体235と、バリアシート層36(図3参照)とを備える。
燃料タンク本体235は、メインフレーム215を上方から左右に跨ぐように配置され、メインフレーム215に支持される。
燃料タンク本体235は、メインフレーム215の上方に配置される上部235aと、上部235aからメインフレーム215の左右の側方を通って下方に延びる左右一対の側部235b,235bとを備える。
燃料タンク本体235は、上半体245と下半体246とを、接合面247c,248cで互いに接合することでタンク状に形成される。
上半体245において側部235b,235bの内側面には、タンク支持部215a,215aが嵌合する前部取付ステー237,237(取付ステー)が設けられる。燃料タンク本体235の前部は、タンク支持部215a,215aに取り付けられる。
前部取付ステー237,237は、接合面247c,248cから上方に離間している。
このため、接合面247c,248cの近傍のバリアシート層36に前部取付ステー237,237からの外力が影響することを抑制できる。このため、外力に対しバリアシート層36を効果的に保護できる。
上半体245は、後端部から後方に延びる後部取付ステー238を備える。燃料タンク本体235の後部は、後部取付ステー238に上方から挿通されるタンク固定具239によって車体フレームF2に固定される。
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、燃料タンク本体35を構成する分割体として、上半体45と下半体46とを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料タンク本体35は3つ以上の半体に分割されていても良い。例えば、2つの分割体で構成される上半体に下半体46を接合して燃料タンク本体を形成しても良い。
上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の樹脂製燃料タンクは、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両、4輪以上を備えた鞍乗り型車両など全ての鞍乗り型車両に適用可能である。また、車両以外の樹脂製燃料タンクに本発明を適用しても良い。
30 燃料タンク(樹脂製タンク)
35 燃料タンク本体(タンク本体)
36 バリアシート層
40 筒状注入部
41 口金
42 口金固定具(固定具)
90 仕上げ加工部
91 口金固定部(固定部)
92 シール部材
93a 内周面
93b 先端面
93c 外周面
95 基端部
96 上部(嵌合部によって覆われる部分)
98 内側突出部(突出部)
98a 先端面
99 ナット
101 口金固定ボルト(ボルト)
110 スカート部
113 ステー部
115 嵌合部
116 大径部
117 平行部
118 拡径部
121 固定孔
122 周縁リブ(リブ)

Claims (9)

  1. 樹脂製のタンク本体(35)と、前記タンク本体(35)に設けられる液体注入用の樹脂製の筒状注入部(40)と、前記筒状注入部(40)に係合し、前記筒状注入部(40)の内周面(93a)、先端面(93b)、及び外周面(93c)を覆う口金(41)とを備える樹脂製タンクにおいて、
    前記タンク本体(35)は、前記口金(41)を前記タンク本体(35)に固定する固定具(42)が固定される固定部(91)を備え、
    前記口金(41)は、前記外周面(93c)を覆う環状のスカート部(110)を備え、
    前記スカート部(110)は、前記外周面(93c)の上部に嵌合する嵌合部(115)をその上部に備えるとともに、前記嵌合部(115)よりも大径の大径部(116)をその下部に備え、
    前記口金(41)は、前記大径部(116)から前記口金(41)の径方向外側に延出するステー部(113)を備え、
    前記固定具(42)が挿通される固定孔(121)がステー部(113)に設けられることを特徴とする樹脂製タンク。
  2. 前記固定孔(121)は、前記口金(41)が前記筒状注入部(40)に対して前記筒状注入部(40)の径方向に所定距離だけ移動可能なように、前記固定具(42)の径よりも大径であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製タンク。
  3. 前記タンク本体(35)の内面には、前記タンク本体(35)内に貯留される燃料の透過を低減させるバリアシート層(36)が設けられ、
    前記固定部(91)は、前記タンク本体(35)の表面に埋め込まれるナット(99)であり、前記固定具(42)は、前記ナット(99)に螺合するボルト(101)であり、
    前記ナット(99)は、前記タンク本体(35)の内側へ突出する突出部(98)に埋め込まれ、
    前記突出部(98)の先端面(98a)は、半球状の凸形状であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製タンク。
  4. 前記固定部(91)は、前記筒状注入部(40)を中心とする同心円上に、略等間隔で複数設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の樹脂製タンク。
  5. 前記口金(41)は、前記ステー部(113)の周縁から立ち上がるリブ(122)を備え、前記リブ(122)は、前記スカート部(110)の周囲に複数設けられる前記固定孔(121)の間に亘って連続することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の樹脂製タンク。
  6. 前記大径部(116)は、前記嵌合部(115)に対し平行な平行部(117)と、前記嵌合部(115)から前記平行部(117)まで徐々に拡径する拡径部(118)とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の樹脂製タンク。
  7. 前記筒状注入部(40)は、前記口金(41)の前記嵌合部(115)が嵌合する部分に、機械加工で仕上げられた仕上げ加工部(90)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の樹脂製タンク。
  8. 前記筒状注入部(40)は、前記口金(41)の前記大径部(116)によって覆われる基端部(95)を有し、前記基端部(95)の外径は、前記筒状注入部(40)において前記嵌合部(115)に覆われる部分の外径よりも大径であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の樹脂製タンク。
  9. 前記口金(41)の前記嵌合部(115)と前記筒状注入部(40)の前記外周面(93c)との間には、シール部材(92)が介装されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の樹脂製タンク。
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