JP2019063921A - サイアロン工具 - Google Patents

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Toshiyuki Ueno
敏之 上野
尚志 吉岡
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尚志 吉岡
昭次郎 當麻
Shojiro Toma
昭次郎 當麻
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Abstract

【課題】耐熱合金等の被削材との耐反応性に優れ、切削試験において高い耐摩耗性を有するサイアロン材料からなる工具の提供。【解決手段】サイアロンセラミックス材料からなる工具であって、サイアロンセラミックス材料が、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相を含み、α-サイアロン相及びβ-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率として15%を超えない範囲でα-サイアロン相を含んでいてもよく、サイアロンセラミックス材料の断面積に現れるガラス相の占める面積百分率が6〜10%であり、ガラス相及び任意のα-サイアロン相構成粒子はイットリウム元素及び軽希土類元素を含み、軽希土類元素がネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される特定軽希土類元素の一種以上であることを特徴とする工具、該工具を用いたニッケル基超耐熱合金の加工方法、及び該工具の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコンアルミニウム酸窒化物[サイアロン(SiAlON)]製のセラミックス工具、特にセラミックス切削工具に関する。
サイアロンセラミックス材料(以下、単に「サイアロン材料」と呼ぶことがある。)とは、基本的にケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び窒素(N)からなるセラミックス材料であり;窒化ケイ素(Si34)中のケイ素(Si)原子及び窒素(N)原子の位置に、アルミニウム(Al)原子及び酸素(O)原子がそれぞれ置換型固溶したβ−サイアロン相;この置換型固溶と共に結晶格子間に金属元素(希土類元素)が侵入型固溶したα−サイアロン相、及び、結晶粒界にバインダーとして機能するガラス相が含まれている。
そして、サイアロン材料は優れた硬度と高い強度を有し、特に高温下での耐衝撃性、耐摩耗性に優れている。このため、高速度機械加工、ニッケル基超耐熱合金の加工等に用いる工具として最適な材料と考えられ、より優れた性能を達成すべく改良が続けられている(特許文献1〜3参照)。
特許第4971194号公報 特許第5629843号公報 特許第4191268号公報
日本セラミック協会学術論文誌 第98巻 第1号(1990)36-42 日本金属学会誌 第63巻 第6号(1999)760-769
たとえば、ニッケル基超耐熱合金の加工においては、一般的に切削速度Vc1000m/min以上の高速転削加工が行われる。このような高速切削の環境下では、サイアロン材料からなる工具(以下、単に「サイアロン工具」と呼ぶ場合がある。)は被削材とは断続的に接触し、刃先には大きな衝撃が掛かるため摩耗が進行する。摩耗が進行して損傷した工具は、一定時間使用後に交換されるが、工具交換が頻繁に行われると、使用機械の停止時間が発生し生産性の低下につながるため、長時間加工が行えるような工具が望まれている。
さらに、高速切削の使用条件では工具の摩耗進行が短時間に急速に進むため、工具交換時間を不適切に設定した場合、サイアロン工具を保持するホルダー自体も損傷し、場合によっては使用する機械へも悪影響を及ぼす可能性がある。このような背景の中、特にニッケル基超耐熱合金の高速切削加工に使用されるサイアロン工具に対しては、耐摩耗性の向上、耐久性の向上が強く求められている。
このように、特にニッケル基超耐熱合金の高速切削加工において生じる高温環境下においても、なお高い耐摩耗性を有するサイアロン材料からなる工具(以下、単に「サイアロン工具」と呼ぶ場合がある。)がさらに望まれていた。
本発明者らが鋭意検討した結果、切削時において高温となる工具の刃先材料と被削材との間の高温反応性が、工具の耐摩耗性、耐久性に大きく影響することがわかってきた。すなわち、サイアロン工具がニッケル基超耐熱合金の高速切削時に曝される1000℃以上の温度域において、接触部に低強度の反応生成物が生じること、高速切削時にはサイアロン工具は高温だけではなく高い応力状態にもさらされており、低強度の反応生成物は生成する都度はぎ取られてゆくこと、そして、このようなメカニズムにより摩耗が大きく進行するため、サイアロン工具とニッケル基超耐熱合金の反応性を抑制することで、摩耗が抑制できることがわかってきた。
より具体的には、サイアロン材料に含まれる侵入型固溶金属元素として、特定の希土類元素の組み合わせを用いることで、サイアロン材料と被削材(ニッケル基超耐熱合金等)との間の高温反応性を大きく抑制することができ、その結果、サイアロン工具の高い耐摩耗性、耐久性を実現することができた。
すなわち、本発明の第一の態様は、
サイアロンセラミックス材料からなる工具であって、
前記サイアロンセラミックス材料が、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相を含み、
前記α-サイアロン相及び前記β-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率として15%を超えない範囲で前記α-サイアロン相を含んでいてもよく、
前記サイアロンセラミックス材料の断面積に現れるガラス相の占める面積百分率が6〜10%であり、
前記ガラス相及び前記任意のα-サイアロン相構成粒子はイットリウム元素及び軽希土類元素を含み、
前記軽希土類元素がネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類元素であることを特徴とする工具である。
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様のサイアロンセラミックス材料からなる工具を用いて、ニッケル基超耐熱合金を加工する方法である。
本発明の第三の態様は、
(I)窒化珪素(Si34)42〜54モル%、窒化アルミニウム(AlN)26〜46モル%、酸化アルミニウム(Al23)9〜22モル%、酸化イットリウム1.8〜3.4モル%、並びに酸化ネオジム、酸化プラセオジム及び酸化サマリウムからなる群から選択される一種以上の特定軽希土類酸化物0.2〜2.1モル%を、合計100モル%となるように含み、前記窒化珪素(Si34)のモル数に対する前記酸化イットリウムと前記軽希土類酸化物中の全希土類元素のモル数との比の百分率が、7.0%〜13.0%である原料粉末混合物を準備する工程と、
(II)前記原料粉末混合物を溶媒または分散剤の共存下、粉砕混合する工程と、
(III)前記粉砕混合した原料粉末混合物を噴霧乾燥する工程と、
(IV)前記乾燥した原料粉末混合物をプレス成形後、焼結する工程と、
(V)工程(IV)で得られた焼結体を、所望の工具の形状に加工する工程と、を含むこと特徴とする、サイアロンセラミックス材料からなる工具の製造方法である。
本発明により提供されるサイアロン工具は、切削加工により生じる高温下においても、ニッケル基超耐熱合金等の被削材との間の高温反応性を大きく抑制することができ、その結果、高い耐摩耗性、耐久性を実現することができる。
サイアロン材料からなる工具と被削材であるニッケル基超耐熱合金との間の界面反応試験(試験例1)の概略を示す図である。 各種のサイアロン材料からなる工具の界面反応試験(試験例1)により得られた界面反応層厚さを、サイアロン材料に含まれるβ-サイアロンのz値に対してプロットしたグラフである。 (a)サイアロンサンプルとしてY23を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (b)サイアロンサンプルとしてYN4を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (c)サイアロンサンプルとしてYN5を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (d)サイアロンサンプルとしてYP1を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (e)サイアロンサンプルとしてYP2を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (f)サイアロンサンプルとしてYS1を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 (g)サイアロンサンプルとしてYS2を用いた界面反応試験(試験例1)終了後、試験サンプル(サイアロンサンプル/ニッケル基超耐熱合金サンプル)を切断して得られた接触界面の断面の電子顕微鏡写真(上段の写真:2000倍、下段の写真:5000倍)である。 切削加工試験(試験例2)により得られた各種のサイアロン材料からなる工具の先端部摩耗幅(mm)を切削距離(m)に対してプロットしたグラフである。 (a)各種のサイアロン材料からなる工具の切削加工試験(試験例2)に用いる装置の概略を示す。 (b)切削加工試験(試験例2)における切削の態様を示す概略図である。 (a)切削加工試験(試験例2)により得られるインサート工具の摩耗の具体例を示す図である。 (b)前記(a)に示される摩耗のうち、すくい面摩耗の拡大写真を示す。 (c)前記(a)に示される摩耗のうち、逃げ面摩耗の拡大写真を示す。
[1]本発明の第一の態様について
本発明の第一の態様は、
サイアロンセラミックス材料からなる工具であって、
前記サイアロンセラミックス材料が、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相を含み、
前記α-サイアロン相及び前記β-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率として15%を超えない範囲で前記α-サイアロン相を含んでいてもよく、
前記サイアロンセラミックス材料の断面積に現れるガラス相の占める面積百分率が6〜10%であり、
前記ガラス相及び前記任意のα-サイアロン相構成粒子はイットリウム元素及び軽希土類元素を含み、
前記軽希土類元素がネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類元素であることを特徴とする工具である。
本態様のサイアロンセラミックス工具は、適量を超えては存在しない任意のα-サイアロン相構成粒子と、棒状のβ-サイアロン相構成粒子と、これら粒子間に適量で存在するガラス相とを含むサイアロンセラミックス材料からなる工具であり、ガラス相及び任意のα-サイアロン相構成粒子中にイットリウム元素と特定軽希土類元素との組み合わせを含む。
イットリウム元素と特定の軽希土類元素(ネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素から成る群から選択される一種以上)との好ましい配合量の比は、良好な耐高温反応性の観点から、(軽希土類元素の合計元素モル数)/(イットリウム元素のモル数)の元素モル比が0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。また、機械的特性の観点から(軽希土類元素の合計元素モル数)/(イットリウム元素のモル数)の元素モル比が0.5以下であることが好ましい。
(1−1)
本態様のサイアロン工具は、重希土類元素であるイットリウム元素、及び軽希土類元素であるネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類元素を組み合わせて添加されていることにより、被削材(ニッケル基超耐熱合金等の耐熱合金)との高温反応性を抑制し、もって高速乾燥条件での切削加工においても長寿命を実現しうる。かかる耐高温反応性について、最も効果の高いのがイットリウム/プラセオジム系(YP系)であり、次に効果が高いのがイットリウム/サマリウム系(YS系)、次いでイットリウム/ネオジム系(YN系)である(図2参照)。切削中のサイアロン工具と被削材の界面にはほとんど酸素が供給されない状態と考えられ、サイアロン自体にある酸素により一種の不導体被膜を被削材との間に形成し、酸化物の安定性に応じて耐高温反応性が改善していることが考えられる。
試験例1(界面反応試験)においても示されているとおり、サイアロン材料を被削材(ニッケル基超耐熱合金等の耐熱合金)と高温高圧下に接触状態にしておくと、接触界面のサイアロン材料側に被削材からの浸食と思われる変性組織が形成されることがわかった(図3参照)。また、この変性組織は、サイアロンが、浸潤してきた被削材由来の金属元素(Cr、Ni、Nb及びMo等)による分解により形成され、前記変性組織は界面反応層と考えられた[後記の(1−2)参照]。
そして、図2に示すとおり、同じz値で比較すると、重希土類元素であるイットリウム元素単独添化系(「Y系」)に比べて、イットリウム元素と特定軽希土類元素、すなわちネオジム元素、プラセオジム元素またはサマリウム元素とを併用添加した系(それぞれ「YN系」、「YP系」、「YS系」)では界面反応層の厚みが小さい傾向があることがわかった。これは、イットリウム元素と特定軽希土類元素(ネオジム元素、プラセオジム元素またはサマリウム元素)とを組み合わせることで、浸潤してきた被削材由来の金属元素との反応[後記の(1−2)参照]が抑制されることを意味する。
逆に、イットリウム元素と他の軽希土類元素、すなわちランタン元素またはセリウム元素とを併用添加した系(「YL系」、「YC系」)では、重希土類元素であるイットリウム元素単独添化系(「Y系」)に比べて、界面反応層の厚みが大きい傾向があることがわかった。
ここで、z値とは(1−5)において後記するように、β-サイアロン相において、窒化ケイ素(Si34)中のケイ素(Si)原子及び窒素(N)原子の位置に、アルミニウム(Al)原子及び酸素(O)原子がそれぞれ等モルで置換型固溶した程度を示すパラメーターである。
さらに、図4(試験例2参照)に示すとおり、実際の高速乾燥条件での切削加工においても、最も高温となり、高温での耐摩耗性が最も問題となるサイアロン工具の工具先端部の摩耗幅を調べたところ、イットリウム元素単独添化系(「Y系」)のサイアロン工具よりも、イットリウム元素とネオジム元素またはプラセオジム元素とを併用添加した系(「YN系」、「YP系」)のサイアロン工具の方が、摩耗が少なかった。この結果は、同じz値で互いに異なる系を比べた場合の一般的な界面反応層の厚さ(試験例1)の傾向と相関があると考えられる(図2参照)。
(1−2)
サイアロンと類似の結晶構造を有する窒化ケイ素セラミックスが、高温において、
下式(1):
Si34+Ni→Ni(Si)+2N2↑ (1)
のようにNiとの接触によって分解され、Niの高濃度Si固溶体[Ni(Si)]が生成することが知られている(非特許文献1参照)。
これとの類推により、前記(1−1)で言及した変性組織も被削材由来の金属元素がサイアロンを分解して形成されているものと考えられる。実際、前記(1−1)で言及した試験例1の変性組織の近傍のEDX(Energy Dipersive X−ray)元素マッピング像を分析すると、被削材に由来すると考えられるCr、Ni、Nb及びMoの浸潤が確認できた。
またCr、Mo、Nbは窒化物を生成しやすい。
これらのことより、高温でサイアロン材料と被削材、たとえばニッケル耐熱合金(ニッケル基超耐熱合金合金等)が接触すると、まずNiとサイアロンの界面で、Niによるβ−サイアロンの分解反応が生じ、NiがSiを取り込みながらサイアロン材料内へ浸潤すると考えられる。さらに、該浸潤部において、拡散したCr、Mo、Nb等の窒化物形成可能元素が窒化物となっているものと考えられる。そしてNiが浸潤した領域では、サイアロン材料にもともと含まれている酸化物が未反応のまま取り残され、浸潤部内に細かく残留しているものと考えられる。
サイアロン材料中のネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)といった元素は、この機構の最初にあたるNiによるサイアロンの分解を抑制しているものと考えられる。
(1−3)
なお、図2からは、サイアロン材料のいずれの系においても、z値の増加につれて、界面反応層の厚みが減少する傾向のあることもわかった。z値はβ−サイアロン中のAlの固溶の程度を示し、z値が大きいほど、Alが高濃度に固溶している。Alは被削材由来の金属元素に浸潤されている領域においても反応せず残留するため、z値が大きいほど耐高温反応性に優れるものと考えられる。
また、ネオジム元素、プラセオジム元素またはサマリウム元素を添加しても、z値自体は大きくならないが、サイアロン材料中に存在する、イットリウム元素に加えて、これらの特定軽希土類元素の添加が、Cr、Ni、Nb、Moとの反応を抑制するものと考えられる。
また、図2から明らかなように、イットリウム元素に加えて、ネオジム元素、プラセオジム元素またはサマリウム元素を添加した系(それぞれ「YN系」、{YP系}、「YS系」)では、z値の変化に伴う界面反応層の厚みの変化が他の系に比べて小さい。これは、「YN系」、「YP系」、「YS系」では、耐高温反応性がAlの固溶の程度による影響を比較的受け難いことを意味し、安定して耐高温安定性が得られるメリットがある。
これに対して、他の系、たとえばイットリウム元素に加えて、ランタン元素またはセリウム元素を添加した系(「YL系」、「YC系」)では、z値の低下に伴う界面反応層の厚みの変動が大きく、Alの固溶の程度をより厳しく制御しなければいけないデメリットがある。
他方で、z値が高いほど一般的な機械的強度は低下する傾向があることから、低いz値でも界面反応層厚さが依然として低く抑えることのできる系が最も有利である。このような意味において、イットリウム元素に加えて、ネオジム元素、プラセオジム元素またはサマリウム元素を添加した系(それぞれ「YN系」、{YP系}、「YS系」)は、それ以外の系(たとえば、「Y系」、「YL系」、「YC系」)に比べて優れた高温時における機械的強度を有する。試験例2において、YN4の方が「Y系」であるY21よりも界面反応層厚さがやや大きい(すなわち、耐高温反応性がやや劣る)にも拘わらず、YN4の先端部摩耗幅の方が小さい結果が得られたのは、YN4のz値の方がかなり低く、そもそも一般的機械強度の点でずっと有利であった上に、z値が低くても耐高温反応性の低下が比較的低く抑えられ、機械的強度の逆転を許さなかったことによると考えられる。
(1−4)
本発明の第二の態様で詳しく説明するが、本態様のサイアロン工具に用いられるサイアロン材料は、原料金属酸化物粉末を焼結することによって得ることができ、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相が主要構成成分として含まれる。
原料組成や焼結条件によっては、さらに12H-サイアロン、15R-サイアロン、21R-サイアロン等のポリタイプサイアロンが含まれる場合もある。もっとも、高温時の耐摩耗性の観点からは,断面観察において実質的にβ-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相で構成されており、X線回折法による分析においてもβ-サイアロン相及び任意のα-サイアロン相以外のポリタイプサイアロン相は検出されないことが望ましい。なお、本願明細書に記載の実施例においては、X線回折法によるポリタイプサイアロンは実質的には検出されなかった(1重量%未満)。
(1−5)
β-サイアロン相とは、下式(2):
Si6-zAlzz8-z 式(2)
(ここで、0≦z≦4)
の化学構造を有するβ-サイアロンの粒子(β-サイアロン相構成粒子)により構成される相である。β−窒化ケイ素(Si34)中のケイ素(Si)原子及び窒素(N)原子の位置に、アルミニウム(Al)原子及び酸素(O)原子がそれぞれ置換型固溶した構造を有するため、β−窒化ケイ素と類似の結晶形を有する。
上記式(1)中に現れるz値は、窒化ケイ素(Si34)中のケイ素(Si)原子及び窒素(N)原子の位置に、アルミニウム(Al)原子及び酸素(O)原子がそれぞれ置換型固溶した程度を示すパラメーターである。このz値については、出発原料の配合組成が影響するものの、その他に窒化物原料(窒化ケイ素、窒化アルミニウム)の表面酸化などの要因で変化するため、配合組成のみでの制御が難しく、出来なりの評価が必要である。焼結体としてのz値の評価はX線回折法による。これはX線回折法が結晶の格子定数を評価可能できるところ、Si34結晶へのAl及びOの固溶により結晶の格子定数が変化するため、X線回折法でz値を算出できる。
サイアロン工具の耐高温反応性の観点からは、z値はより大きい方が好ましく、たとえば0.4以上、あるいはさらに0.5以上、あるいはさらに0.6以上とすることができる。
他方で、サイアロン工具の一般的な機械的強度の観点からは、z値はより小さい方が好ましく、たとえば1.3以下、あるいはさらに1.2以下、あるいはさらに1.0以下とすることができる。また、該軽希土類元素がネオジムやサマリウムである場合、たとえば1.0以下とすることができ、該軽希土類尾元素がプラセオジムの場合、たとえば1.3以下、あるいはさらに1.2以下とすることができる。
(1−6)
さらに、ガラス相とは、焼結後に無定形相として存在する相をいう。このガラス相は原料粉末の焼結時には液相として存在し、焼結して得られるサイアロン材料の緻密化に寄与する。後記(3−1)でも説明するように、主原料である窒化珪素(Si34)の表面にあるシリカ(SiO2)と焼結助剤との焼結時の反応により液相が生成する。
また、ガラス相中には重希土類元素であるイットリウム元素、及び軽希土類元素であるネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類元素が含まれるが、これらの元素の存在は、エネルギー分散型X線分析の方法により検出することができる。
(1−7)
α-サイアロン相とは、下式(3):
x(Si,Al)12(O,N)16 式(3)
(ここで、0≦x≦2、Mは侵入型固溶元素)
の化学構造を有するα-サイアロンの粒子(α-サイアロン相構成粒子)により構成される相をいい、α-サイアロンはα-窒化珪素(α-Si34)と類似の結晶形を有する。
そして、本態様における侵入型固溶元素Mは希土類元素であるが、本態様の侵入型固溶元素Mは、重希土類元素であるイットリウム元素と、軽希土類元素であるネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類元素である。なお、ここにいう重希土類元素とは、イットリウム族元素とも呼ばれ、希土類元素の中でもその水酸化物の塩基性が比較的弱い元素である。これに対して、軽希土類元素とは、セリウム族元素とも呼ばれ、希土類元素の中でもその水酸化物の塩基性が最も強い一群の元素である。
そして、本発明の第三の態様で説明するが、本態様にいう侵入型固溶元素Mは、原料金属酸化物中に含まれる、重希土類酸化物であるイットリウム酸化物、及び軽希土類酸化物であるネオジム酸化物、プラセオジム酸化物及びサマリウム酸化物からなる群から選択される一種以上の特定軽希土類酸化物に由来する。
なお、α-サイアロン相中のイットリウム元素及び特定軽希土類元素の存在は、エネルギー分散型X線分析の方法により検出することができる。
(1−8)
α-サイアロン相は、α-サイアロン相及びβ-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率(以下、「α/(α+β)率」と呼ぶこともある)として15%を超えない量で、本態様のサイアロン工具の材料中に任意に含まれていてもよい。かかる重量百分率は、X線回折装置を用いた回折データを解析することによって見積もることができる。
もっとも、一般にα-サイアロン相は、サイアロン材料の硬さ(ビッカース硬度等)を向上させる。かかる観点からは、α-サイアロン相及びβ-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率として6.5%以上、あるいはさらに7%以上含まれることが好ましい。
(1−9)
ガラス相は、サイアロン材料の断面積に現れる面積百分率として6〜10%の量で含まれる。かかる面積百分率は、走査電子顕微鏡を用いて見積もることができる。
ガラス相は特に、サイアロン材料の高温特性に影響を及ぼす。後記(3−1)でも説明するように、ガラス相は、原料粉末混合物からサイアロンを焼結により製造する際には、適量の液相として存在し、β-サイアロン相構成粒子の成長、及びそのアスペクト比の増加に寄与する。かかる観点から、本態様では、サイアロン材料の断面において、面積百分率として少なくとも6%のガラス相が含まれる。さらに、本願発明ではガラス相に希土類元素を含むので比較的融点が高く、ガラス相が比較的多く含まれていても高温(たとえば1000℃以上)における強度は比較的維持される。もっとも、高温における強度向上に最も寄与するのは、棒状構造を有するβ-サイアロン相構成粒子であることから、ガラス相の面積百分率の上限として10%までとしている。
(1−10)
β-サイアロン相は、本態様のサイアロン工具の材料中の第一の主構成成分であり、β-サイアロン粒子の棒状構造により、サイアロン材料の破壊靭性を向上させることができる。かかる観点からは、β-サイアロン相構成粒子の数が多いほど、またβ-サイアロン相構成粒子のアスペクト比が大きいほど好ましい。これにより、高い硬さクリープ耐性(応力指数nが少なくとも25以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは40以上)を示すのに有利である。
より具体的には、サイアロン材料の断面の6.5μm×14.5μmの領域内に2μm以上の最大径を有するβ-サイアロン相構成粒子が好ましくは10個以上、より好ましくは12個以上、さらに好ましくは14個以上存在することが好ましい。
かかるβ-サイアロン相構成粒子の測定は、たとえば、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズS−4800)により1万倍の画像をランダムに5視野(それぞれ6.5μm×14.5μm)取得し,画像処理ソフト イメージプロを用いて二値化処理により、6.5μm×14.5μmの観察視野中に現れる最大径2μm以上のβ-サイアロン粒子の数平均を求めることで行うことができる。また、観察すべきサイアロン断面は、ガラス相の面積百分率の測定(実施例表2の脚注3参照)と同様に作製することができ、サイアロン断面につき、スパッタによりプラチナを1.5nm程度被覆して観察することができる。
また、2μm以上の最大径を有するβ-サイアロン相構成粒子の平均アスペクト比が3.5以上であることが好ましく、3.9以上であることがより好ましい。
β-サイアロン相構成粒子の平均アスペクト比の測定は、たとえば、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズS−4800)により1万倍の画像をランダムに5視野(それぞれ6.5μm×14.5μm)取得し,画像処理ソフト イメージプロを用いて二値化処理により、6.5μm×14.5μmの観察視野中に現れる最大径2μm以上のβ-サイアロン粒子の平均アスペクト比を求めることで行うことができる。
なお、各β-サイアロン粒子のアスペクト比は粒子の断面を楕円に近似して、その短軸長さに対する長軸長さの比として求めることができる。また、楕円近似の方法としては、粒子断面の最長径を楕円長軸として採用した後、等しい断面積になるように短軸の長さを決めることにより行うことができる。
また、β-サイアロン相構成粒子の最大径とは、走査電子顕微鏡写真により観察される粒子の平面形状を通過する直線を考え、そのような直線のうち、該粒子の平面を最も長く通過する直線の長さを意味する。
なお、硬さクリープ耐性は、たとえば高温顕微硬度計ニコンQM−2を用い、真空下、1100℃にて立方晶窒化ホウ素(cBN)圧子(ビッカース圧子)を用いて、圧子の押込み時間を10秒から480秒まで変化させ,圧痕形状から硬さクリープ挙動を測定することができる(荷重:1kg重)。
硬さクリープ耐性の評価は、下式(4):
u=[2A2nt(F/E)nexp(−Qc/RT)+u0 2n1/2n (4)
u:圧子の押込み深さ
0:押込みクリープの定常状態が始まるときの圧子の押し込み深さ
2:材料定数
n:応力指数
t:押込み時間
F:荷重
E:ヤング率
Qc:クリープの活性化エネルギー
R:気体定数
T:試験温度
を基礎にして、応力指数nを見積もることによって行うことができる。すなわち、u>>u0の場合、上式(4)は、押し込みクリープ曲線(圧子の押し込み深さu vs.押込み時間t)を両対数グラフに書き直すと1本の直線になることを示すことができ、このときの直線部分の勾配s(=[∂ln t/∂ln u]T)が1/2nに等しいことから、下式(5)により求めることができる(非特許文献2参照)。
n=(1/2)[∂ln t/∂ln u]T (5)
この応力指数nが大きいほどクリープによる変形が小さいといえる。
[2]本発明の第二の態様について
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様のサイアロン材料からなる工具を用いて、ニッケル基超耐熱合金を加工する方法である。
(2−1)
サイアロン材料からなる工具は、切削用工具として好適に用いることができる。かかる切削用工具としては、サイアロン材料をインサート(刃先交換チップ)と呼ばれる使い捨ての刃先に加工して、該インサートを支持体(ホルダー)の先端に取り付けた構造を有することが多い(試験例2、図5参照)。旋回、掘削、フライス加工等の金属加工に好適である。
(2−2)
対象となるニッケル基超耐熱合金としては、耐熱合金として知られる任意のニッケル基超耐熱合金を用いることができる。
係るニッケル基超耐熱合金としては、たとえば、モネル(商標、Ni−Cu系)、ハステロイ(商標、Ni−Fe−Mo系)、ニクロム(商標、Ni−Cr系)、インコネル(商標、Ni−Cr−Fe系)、パーマロイ(商標、Ni−Fe系)、コンスタンタン(商標、Cu−Ni系)、ジュラニッケル(商標、Ni−Al−Ti系)、コバール(商標、Co−Ni−Fe系)、アルメル(商標、Ni−Al系)、クロメル(商標、Ni−Cr系)、インバー(インバール、商標、Fe−Ni系)、エリンバー(エリンバール、商標、Fe−Ni−Cr系)、ワスパロイ(商標、Ni−Co−Cr)等を例示できる。
[3]本発明の第三の態様について
本発明の第三の態様は、
(I)窒化珪素(Si34)42〜54モル%、窒化アルミニウム(AlN)26〜46モル%、酸化アルミニウム(Al23)9〜22モル%、酸化イットリウム1.8〜3.4モル%、並びに酸化ネオジム、酸化プラセオジム及び酸化サマリウムからなる群から選択される一種以上の特定軽希土類酸化物0.2〜2.1モル%を、合計100モル%となるように含み、前記窒化珪素(Si34)のモル数に対する前記酸化イットリウムと前記特定軽希土類酸化物中の全希土類元素のモル数との比の百分率が、7.0%〜13.0%である原料粉末混合物を準備する工程と、
(II)前記原料粉末混合物を溶媒または分散剤の共存下、粉砕混合する工程と、
(III)前記粉砕混合した原料粉末混合物を乾燥する工程と、
(IV)前記乾燥した原料粉末混合物をプレス成形後、焼結する工程と、
(V)工程(IV)で得られた焼結体を、所望の工具の形状に加工する工程と、を含むこと特徴とする、サイアロンセラミックス材料からなる工具の製造方法である。
本態様は、本発明の第一の態様のサイアロンセラミックス工具を製造する方法に相当する。
サイアロン焼結体の形成過程においては、希土類元素は可能性として、任意のα-サイアロン相の形成に寄与する部分と、ガラス相に残留する部分とがあり、その比率が他の原料である窒化珪素,窒化アルミニウム,酸化アルミニウム(さらに窒化珪素粉末表面に自然に存在する酸化ケイ素)のバランスで変化してしまうため制御がそれほど容易とはいえない。
(3−1)
工程(I)はサイアロンセラミックスを製造するための原料混合物を特定の組成範囲で準備する工程である。得られるサイアロンセラミックス焼結体における、β-サイアロン相と任意のα-サイアロン相との重量比や、ガラス相の含有率は、原料混合物の組成範囲に大きく影響される。
ここで、窒化珪素(Si34)は焼結セラミックスを形成するための主原料であり、その他の窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化イットリウム及び特定軽希土類酸化物は焼結助剤に相当する。
すなわち、後の工程である工程(IV)において、焼結助剤は窒化珪素(Si34)の粒子内に固溶して、β-サイアロン相及び任意のα-サイアロン相を形成する。
他方で、焼結助剤は、後の工程である工程(IV)において、窒化珪素(Si34)の表面に存在するシリカ(SiO2)と反応して液相を形成し、焼結後はガラス相として残存する。
ここで、焼結助剤としての希土類酸化物(酸化イットリウム及び特定軽希土類酸化物)は、ガラス相の形成及び前記(1−7)にいう侵入型固溶元素Mとなって任意のα-サイアロン相の形成に関与する。
また焼結中の前記液相が適量存在することは、β-サイアロン相構成粒子の棒状粒子の成長促進や該棒状粒子のアスペクト比向上に有利に働くものと考えられる。
焼結中の液相は、焼結後はサイアロンセラミックス中のガラス相となることから、液相の量を制御することにより、焼結後のサイアロンセラミックス中のガラス相の量を制御することができる。そして、窒化珪素(Si34)、酸化アルミニウム(Al23)及び窒化アルミニウム(AlN)の間の比率を固定した場合、窒化珪素(Si34)に対する希土類酸化物(酸化イットリウム及び特定軽希土類酸化物)の量を調節することで、β-サイアロン相に対するα-サイアロン相や液相の割合を制御できるものと考えられる。すなわち、希土類酸化物の添加によりβ-サイアロンではなく別の結晶相であるα-サイアロンが形成されやすくなり、また、β-サイアロン相という結晶相の形成が妨げられることで液相が形成されやすくなると考えられる。
また、用いる希土類酸化物(酸化イットリウム及び特定軽希土類酸化物)中の酸化イットリウムの割合を増やすことで、α-サイアロン相がより形成されやすくなる。重希土類元素であるイットリウムは、軽希土類元素に比べてイオン半径が小さい傾向があり、少ない量でも窒化珪素中に固溶しやすくα-サイアロン相となりやすいからである。
このように、本願発明の所望のサイアロンセラミックスを得る上で、希土類酸化物により提供される希土類元素が重要な働きをしている。すなわち、一部の希土類元素はα-サイアロン相における侵入型固溶元素Mとなり、任意のα-サイアロン相生成に寄与する。また一部の希土類元素はガラス相に固溶し,ガラス相の融点などの熱的性質や,他物質との反応性に寄与する。またさらに焼結時の液相に存在することでβ-サイアロン相の粒成長、特にβ-サイアロン相は棒状に延伸するところ、そのアスペクト比や粒成長を変化させる。
かかる観点から、本願発明においては、窒化珪素(Si34)のモル数に対する酸化イットリウム及び特定軽希土類酸化物中の希土類元素の全モル数の比の百分率を、好ましくは7.0%〜13.0%、より好ましくは8.0%〜13.0%、更に好ましくは8.0%〜10.0%に調節するのが、適量のガラス相の形成、及びβ-サイアロン相の粒成長や高いアスペクト比の点で好ましい。
また、適量のα-サイアロン相を得る観点からは、さらに(軽希土類元素の合計元素モル数)/(イットリウム元素のモル数)の元素モル比が0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。また、耐高温反応性の観点から(軽希土類元素の合計元素モル数)/(イットリウム元素のモル数)の元素モル比が0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。
さらに、本願発明では、α/(α+β)率制御の観点から、原料粉末混合物中に含まれる酸化アルミニウム(アルミナ)と窒化アルミナの合計モル数に対する窒化アルミニウムのモル数の比の百分率が60〜75%であることが好ましい。
また、高温時の耐摩耗性の観点からは、ポリサイアロン相はできるだけ存在しない方が好ましく、サイアロンの断面積に現れる、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相の面積百分率を向上させる観点からは、原料粉末混合物中に含まれるアルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比が、1.9〜2.8であることが好ましく、2.0〜2.8であることがより好ましい。また、このパラメーターは、主原料である窒化珪素(Si34)の量に対する、焼結助剤である窒化アルミニウム(AlN)及び酸化アルミニウム(Al23)の量を反映するものであるから、このパラメータを制御することでも、液相の割合を調節することができる。
(3−2)
なお、主原料である窒化珪素(Si34)は、α-窒化珪素相及びβ-窒化珪素相の合計重量に対するα-窒化珪素相の重量百分率が90%以上であることが、焼結性向上の観点で好ましい。なお、α-窒化珪素相の重量百分率(以下、窒化珪素について、単にα-相率と呼ぶ場合がある。)はX線回折により測定することができる。
(3−3)
工程(II)は、工程(I)で準備した原料粉末混合物を、溶媒または分散剤の共存下、粉砕混合する工程である。
溶媒としてはエタノール、その他公知の分散剤を用いることができる。
また、粉砕メディアとしては、従来公知の任意の装置を用いることができるが、窒化珪素ボールを加え転動ミルで混合を行うことが、混合粉の均一性と汚染防止の点で好ましい。
(3−4)
工程(III)は、工程(II)で得られた粉砕混合した原料粉末混合物を乾燥する工程である。
乾燥には、従来公知の任意の装置を用いることができるが、スプレードライにより乾燥を実施することが成形体の均一性の点で好ましい。
(3−5)
工程(IV)は、工程(III)で得られた乾燥した原料粉末混合物をプレス成形後、焼結する工程である。
焼結条件としては、雰囲気炉中の窒素雰囲気下、0.1〜0.9MPaの圧力、1800℃程度の温度で数時間程度で焼結を行うことが好ましい。
(3−6)
工程(V)は、工程(IV)で得られた焼結体を、所望の工具の形状に加工する工程である。たとえば、平面研削盤や上下面研削盤、外周研削盤などを用いて、ダイヤモンド砥石、ダイヤモンド砥粒により研磨、研削加工を行うことができる。
[作製例]サイアロン材料の作製
各種サイアロン材料を、下記表1に示す原料組成物から作製した。
以下、より具体的に上記表1中のYN4サイアロン材料、YP2サイアロン材料及びY23サイアロン材料(比較品)の作製例を代表例として示す。
表1中のその他のサイアロン材料についても、上記表1に示される原料組成を基にして、同様に作製した。
[YN4サイアロン材料の作製]
窒化珪素粉末(α相率91%以上,平均粒径約0.7μm)、窒化アルミニウム粉末(平均粒径約1.1μm)、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末(平均粒径約0.3μm)及び酸化イットリウム(イットリア)粉末(平均粒径約3μm)及び酸化ネオジム粉末(平均粒径約3μm)を63:16:14:5:2の重量比に混合した。
得られた固相混合物を、固相となる該混合物の重量と同重量のエタノールに溶解させ、さらに2重量%(前記固相混合物100g当たり2g添加)の凝固剤(ポリビニルアセタール樹脂)を加え、固相混合物重量の2.5倍の窒化ケイ素ボール(φ5mm)とともに横置き回転ミルを用いて約100rpmにて10時間以上混合した。
得られたスラリーを窒素気流中で噴霧乾燥した後、成形圧約60MPaで錠剤形(直径約17mm,厚さ10mm)に成形して焼結を行った.焼結は約9気圧に加圧した窒素中で1800℃、4時間以上保持することで、YN4サイアロン材料の焼結体を得た。
[YP2サイアロン材料の作製]
窒化珪素粉末(α相率91%以上,平均粒径約0.7μm)、窒化アルミニウム粉末(平均粒径約1.1μm)、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末(平均粒径約0.3μm)及び酸化イットリウム(イットリア)粉末(平均粒径約3μm)及び酸化プラセオジム粉末(平均粒径約3μm)を70:12.3:12.3:3.8:1.6の重量比に混合した。これを前記YN4サイアロン材料の作製と同様の方法で、YP2サイアロン材料の焼結体を得た。
[Y23サイアロン材料(比較品)の作製]
窒化珪素粉末(α相率91%以上,平均粒径約0.7μm)、窒化アルミニウム粉末(平均粒径約1.1μm)、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末(平均粒径約0.3μm)及び酸化イットリウム(イットリア)粉末(平均粒径約3μm)を70:12.25:12.25:5.5の重量比に混合した。これを前記YN4サイアロン材料の作製と同様の方法で、Y23サイアロン材料(比較品)の焼結体を得た。
[試験例1]界面反応試験
被削材であるニッケル基超耐熱合金(インコネル718)と、サイアロン工具との間の界面反応性を調べるため、以下のような実験を行った。
前記作製例で得られた各種サイアロン材料の焼結体(表1参照)を、直径13mm、厚み1mm程度の円盤状に切りだし、サイアロンサンプルとして用いた。
インコネル718については、直径20mm、厚み3mmの円盤状サンプルをニッケル基超耐熱合金サンプルとして用いた。
前記のように準備したサイアロンサンプルとニッケル基超耐熱合金サンプルの両者を図1に示すように重ね合わせて試験サンプルを作製した。次いで、図1に示すように試験サンプルにサイアロンサンプル側から数100kgの荷重を加えながら、真空中で試験サンプルを加熱した。昇温速度は50℃/分、保持温度1200℃、保持時間5分間の条件で加熱し、冷却後、試験サンプルを切断してサイアロンサンプルとニッケル基超耐熱合金サンプルとの接触界面の観察を行った。図3及び図4は、代表的にサイアロンサンプルが、Y23(比較品)、YN4、YN5、YP1、YP2、YS1、YS2サイアロン材料でそれぞれ構成される場合の接触界面の電子顕微鏡写真を示す。各写真画像の上部の暗組織がサイアロンサンプル、下部の明組織がニッケル基超耐熱合金サンプルである。
この観察の結果、サイアロンサンプルとニッケル基超耐熱合金サンプルとの接触加熱により、その界面のサイアロンサンプル側にニッケル基超耐熱合金サンプルからの浸食と思われる変性組織が認められた。そしてその変性組織の厚さは配合組成によって異なっていた。この変性組織は、後記するようにニッケル基超耐熱合金サンプル側からニッケル基超耐熱合金中のCr、Ni、Mo、Nb等の金属成分がサイアロンサンプル側に浸潤したものと考えられた。すなわち、この変性組織はサイアロン材料とニッケル基超耐熱合金合金との間の界面反応層であり、その層の厚さ(界面反応層厚さ)がサイアロン材料とニッケル基超耐熱合金合金との間の反応性の大きさと相関があるものと考えられた。
下記表2には、各種サイアロンサンプルを構成するサイアロン材料の組成パラメーターと共に、観察された界面層反応厚さを示す。
[軽希土類元素の界面反応層厚さに及ぼす影響]
図2は、上記表2における各種サイアロンサンプルの界面反応層厚さを、z値に対してプロットした図である。各系の間の傾向を観察しやすくするために、最小二乗法に基づき各系について直線を描いている。
この図からも明らかなように、同じz値で比較すると、単純な酸化イットリウム単独添加品(「Y系」)より、酸化ネオジム、酸化プラセオジムまたは酸化サマリウムを酸化イットリウムと複合添加したもの(それぞれ「YN系」、「YP系」、「YS系」)の方が、界面反応層が薄く、被削材成分のサイアロン材料内部への浸潤が抑制される傾向がみられる。たとえば、希土類酸化物として、重希土類酸化物であるイットリウム酸化物(イットリア)のみを添加した「Y系」については、z=0.6において12μm以上の厚い反応層が形成された。これに対し、酸化イットリウム(イットリア)と酸化ネオジムを複合添加した「YN系」、酸化イットリウムと酸化プラセオジムを複合添加した「YP系」、酸化イットリウムと酸化サマリウムを複合添加した「YS系」では同程度のz=0.6近傍で、反応層厚さがYN系で約9μm、YP系で約2μm、YS系で約4μmとなり、ニッケル基超耐熱合金成分の浸潤深さが低く抑えられることが明らかとなった。
これに対して、酸化ランタンまたは酸化セリウムを酸化イットリウムと複合添加したもの(それぞれ「YL系」、「YC系」)では、同じz値で比較すると、単純な酸化イットリウム単独添加品(「Y系」)よりも界面反応層が厚い傾向があると考えられた。
このように単純な酸化イットリウム単独添加品(「Y系」)を基準に採ると、同じ軽希土類元素酸化物でありながら、酸化ネオジム、酸化プラセオジムまたは酸化サマリウムのグループ(「YN系」、「YP系」、「YS系」)と、酸化ランタンまたは酸化セリウムのグループ(「YL系」、「YC系」)との間で、被削材成分のサイアロン材料内部への浸潤の程度が大きく異なることがわかった。
[z値の界面反応層厚さに及ぼす影響]
また、何れの系においても、z値が増加するのに従い、界面反応層厚さが減少する傾向が見られた。
そして、界面反応層が比較的薄い「YN系」、「YP系」、「YS系」ではz値の変動に対する界面反応層厚さの変化量が比較的少ないのに対して、界面反応層が比較的厚い「YL系」、「YC系」では、Z値の変動に対する界面反応層厚さの変化量が比較的大きい傾向を示した。
これは、「YL系」、「YC系」では、僅かなz値の変動により界面反応層厚さが大きく変動するのに対して、「YN系」、「YP系」、「YS系」では、z値の変動に対しても、比較的安定して薄い界面反応層厚さが得られ易いことを意味する。すなわち、「YN系」、「YP系」、「YS系」では、界面反応層の厚みを安定的に低く制御しやすい利点がある。
[試験例2]
前記作製例で得られた各種サイアロン材料(前記表1参照)のうち、Y21(比較品)、YN4及びYP2をそれぞれインサート工具(RNGN120700TN)形状に加工し、切削加工に供した。
切削加工は、被削材インコネル718、使用工具(直径50mm、単一刃切削)、切削条件を刃先速度(Vc)1000m/min、送り速度(Vf) 828mm/min、切り込み量(ap) 1.5mm、切り込み幅(ae) 30mm、冷却液無(dry)、アップカットのフライス加工とした(図5参照)。
所定の距離ごとに摩耗部を顕微鏡で観察し、最も高温となる先端部の摩耗幅(先端部摩耗幅)を評価した(図6参照)。図6に、加工に用いた後のサイアロンインサートの摩耗の一例を示す。境界部では被削材や切り子との衝突などで摩耗が進み、先端部では最も高温となり、高温反応由来の摩耗形態となっている。
結果を下記表3に示す。
表3の先端部摩耗幅のデータを切削距離に対してプロットすることにより、図4のグラフを得た。
この図4からも明らかなように、酸化イットリウム(イットリア)のみが添加されたY23では摩耗が大きく進むのに対し、酸化イットリウム及び酸化ネオジムを併用添加したYN4、及び酸化イットリウム及び酸化プラセオジムを併用添加したYP2では、Y23に比べて摩耗が抑制された。たとえば、切削距離1.2mで比較するとYN4では20%程度、YP2では60%も摩耗が抑制された。
なお、比較品のY21は比較的高いz値(0.89)を有し、元々、一般的な機械的強度が比較的低い領域にある。もっとも、比較的高いz値(0.89)を有していることから、耐高温反応性には比較的有利である。
これに対して、YN4は、Y21の原料中の重希土類酸化物である酸化イットリウムの一部を軽希土類酸化物である酸化ネオジムに置き換えて作製されたサイアロンに相当する。比較的低いz値(0.56)を有し、元々、一般的な機械的強度が高い領域にある。もっとも、比較的低いz値(0.56)を有していることから、耐高温反応性には不利であり、イットリウムとネオジムの併用系とすることで、Y21に比べるとやや劣るものの、同じz値を有するY系に比べて耐高温反応性を改善させている(Y系に比べて、界面反応層厚さのz値依存性は低い)。
以上のような一般的な機械的強度及び対高温反応性の総合的な結果から、本試験例2において、YN4の方がY21に比べて耐摩耗性が良好な結果が得られている。

Claims (10)

  1. サイアロンセラミックス材料からなる工具であって、
    前記サイアロンセラミックス材料が、β-サイアロン相、ガラス相及び任意のα-サイアロン相を含み、
    前記α-サイアロン相及び前記β-サイアロン相の合計重量に対する重量百分率として15%を超えない範囲で前記α-サイアロン相を含んでいてもよく、
    前記サイアロンセラミックス材料の断面積に現れるガラス相の占める面積百分率が6〜10%であり、
    前記ガラス相及び前記任意のα-サイアロン相構成粒子はイットリウム元素及び軽希土類元素を含み、
    前記軽希土類元素がネオジム元素、プラセオジム元素及びサマリウム元素からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする工具。
  2. 前記工具が、切削用インサート工具であることを特徴とする請求項1に記載の工具。
  3. 前記サイアロンセラミックス材料中のβ-サイアロン相のz値が0.4〜1.3であることを特徴とする請求項2に記載の工具。
  4. 前記α-サイアロン相及びβ-サイアロン相の合計重量に対するα-サイアロン相の重量百分率が6.5%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の工具。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の工具を用いて、ニッケル基超耐熱合金を加工する方法。
  6. (I)窒化珪素(Si34)42〜54モル%、窒化アルミニウム(AlN)26〜46モル%、酸化アルミニウム(Al23)9〜22モル%、酸化イットリウム1.8〜3.4モル%、並びに酸化ネオジム、酸化プラセオジム及び酸化サマリウムからなる群から選択される一種以上の特定軽希土類酸化物0.2〜2.1モル%を、合計100モル%となるように含み、前記窒化珪素(Si34)のモル数に対する前記酸化イットリウムと前記特定軽希土類酸化物中の全希土類元素のモル数との比の百分率が、7.0%〜13.0%である原料粉末混合物を準備する工程と、
    (II)前記原料粉末混合物を溶媒または分散剤の共存下、粉砕混合する工程と、
    (III)前記粉砕混合した原料粉末混合物を乾燥する工程と、
    (IV)前記乾燥した原料粉末混合物をプレス成形後、焼結する工程と、
    (V)工程(IV)で得られた焼結体を、所望の工具の形状に加工する工程と、を含むこと特徴とする、サイアロンセラミックス材料からなる工具の製造方法。
  7. 前記工具が、切削用インサート工具であることを特徴とする請求項6に記載の工具の製造方法。
  8. 前記原料粉末混合物中に含まれるアルミニウム原子のモル数に対する珪素原子のモル数の比が、1.9〜2.8であることを特徴とする、請求項6または7に記載の工具の製造方法。
  9. 前記酸化イットリウム及び前記特定軽希土類酸化物中の希土類元素について、(前記軽希土類元素の合計元素モル数)/(前記イットリウム元素のモル数)の元素モル比が0.2以上、かつ0.5以下であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の工具の製造方法。
  10. 前記原料粉末混合物中に含まれる酸化アルミニウム(アルミナ)と窒化アルミニウムの合計モル数に対する窒化アルミニウムのモル数の比の百分率が60〜75%であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の工具の製造方法。
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