JP2019059050A - ポリイミドフィルム製造用離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】製膜性及び剥離性が良好なポリイミドフィルム製造用離型フィルムを提供すること。【解決手段】厚み50〜250μmのポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.3〜5.0μmの離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が10nm以下、最大突起高さ(Rp)が100nm以下であり、前記離型層が少なくとも1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と表面張力調整剤を含有する混合物の硬化物であるポリイミドフィルム製造用離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム製造用離型フィルムに関するものであり、詳しくはポリイミドフィルム製造時の塗膜濡れ性、フィルムの剥離性不良による品質劣化が発生しないポリイミドフィルム製造用離型フィルムに関するものである。
従来、太陽電池又はディスプレイ等の各種表示部材の基材材料として、ガラスが用いられてきた。しかしながら、ガラスは、割れやすい、重いとった欠点があるとともに、近年のディスプレイの薄型化、軽量化及びフレキシブル化に際して、必ずしも充分な材質特性を有していなかった。そのためガラスに代わる材料として、ポリイミドフィルムやシリカを含むハイブリッドフィルムのような有機材料と無機材料の複合材料も検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、公知のアクリル系樹脂を基材として有し、基材上に設けられた機能層を有する積層フィルムは、フレキシブルデバイスの表示部材又は前面板として用いるには屈曲性が必ずしも充分ではなかった。そこで、特許文献2のようなポリイミドフィルムが提案されているが、ポリイミドフィルムの製造時の基材からの剥離性が不十分であるため品質的に問題があった。それを解消するために特許文献3に記載されるように、ポリイミドフィルムの組成を改良するなどの剥離性向上方法も提案され、品質の良いポリイミドフィルムが得られている。しかしながら、製膜用基材としてガラスを用いると連続生産ができず、PET単体は連続生産ができるが耐熱性に問題があり、SUSベルトは剥離性に問題があった。
特許第5006747号公報 特開2016−093992号公報 特開2017−025204号公報
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムを製造するための基材フィルムとして特定組成及び特定厚みの離型層を有する離型フィルムを使用することで、製膜性及び剥離性に優れ、良好な品質のポリイミドフィルムが得られることを見出した。そして、本発明の課題は、製膜性及び剥離性が良好なポリイミドフィルム製造用離型フィルムを提供することである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 厚み50〜250μmのポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.3〜5.0μmの離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が10nm以下、最大突起高さ(Rp)が100nm以下であり、前記離型層が少なくとも1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と表面張力調整剤を含有する混合物の硬化物であるポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
2. ヘイズが1.0%以下である上記第1に記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
3. 表面張力調整剤が、アクリル系レベリング剤である上記第1又は第2に記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
4. 前記離型層の、畑・北崎 拡張ホークスの式により算出される表面自由エネルギーが35mJ/m以上である上記第1〜第3のいずれかに記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
本発明のポリイミドフィルム製造用離型フィルムを用いることで、従来の工程と比較して、連続生産が可能となり、耐熱性、製膜製及び剥離性が良く、ポリイミドフィルム剥離時の変形が少ないため、品質の良いポリイミドフィルムを製造できるポリイミドフィルム製造用離型フィルムの提供が可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の超薄層ポリイミドフィルム製造用離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有しており、前記離型層は、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と表面張力調整剤を有する混合物を少なくとも含む塗膜が硬化されてなるポリイミドフィルム製造用離型フィルムを好ましい態様とするものである。
(ポリエステルフィルム)
本発明の離型フィルムにおいて基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成型したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由からポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの固有粘度は0.50〜0.70dl/gが好ましく、0.52〜0.62dl/gがより好ましい。固有粘度が0.50dl/g以上の場合、延伸工程で破断が発生しづらく好ましい。逆に、0.70dl/g以下の場合、所定の製品幅に裁断するときの裁断性が良く、寸法不良が発生しないので好ましい。また、原料は十分に真空乾燥することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得て、該未延伸フィルムを一軸又は二軸延伸することにより得ることが出来る。二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。縦、横おのおのの方向に1〜8倍、特に2〜6倍の延伸をすることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが50〜250μmであることが好ましく、さらに好ましくは75〜250μmであり、より好ましくは、100μm〜188μmである。フィルムの厚みが50μm以上であれば、フィルム生産時や離型層の加工工程、ポリイミドフィルムの成型の時に、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが250μm以下であれば、使用後に廃棄するフィルムの量が極度に多くならず、環境負荷を小さくする上で好ましく、さらには、使用する離型フィルムの面積当たりの材料が少なくなるため経済的観点からも好ましい。
上記ポリエステルフィルム基材は、単層であっても2層以上の多層であっても構わない。積層構成としては、離型層を塗布する側の層を表面層A、その反対面の層を表面層B、これら以外の芯層を芯層Cとすると、厚み方向の層構成は離型層/表面層A/表面層B、あるいは離型層/表面層A/芯層C/表面層B等の積層構造が挙げられる。当然ながら芯層Cは複数の層構成であっても構わない。また、表面層Bには粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性を付与するため、表面層B上には粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムにおいて、離型層を塗布する面を形成する表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は10nm以下が好ましい。Saが10nm以下であると、離型層の領域表面平均粗さ(Sa)を小さく調節する上で好ましい。より好ましくは表面層AのSaは7nm以下である。表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であって構わない。ここで、表面層A上に後述のアンカーコート層などを設ける場合は、アンカーコート層積層後の領域表面平均粗さ(Sa)が前記範囲に入ることが好ましい。また、表面層Aの最大突起高さ(Rp)は200nm以下であることが好ましい。前記表面層Aの最大突起高さ(Rp)は200nm以下であると、離型層の最大突起高さ(Rp)を小さくする上で好ましい。前記表面層Aの最大突起高さ(Rp)はより好ましくは100nm以下である。
本発明におけるポリエステルフィルム基材が積層フィルムである場合において、離型層を塗布する表面層Aと反対面を形成する表面層Bは、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を含有することが好ましい。含有される粒子含有量は、表面層B中に粒子の合計で5000〜15000ppmであることが好ましい。表面層Bのシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上、Saが1nm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、ポリイミドフィルムの製造に好適なものとなる。
上記表面層Bに含有する粒子としては、透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましい。シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子などを用いることができ、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記表面層Bに添加する粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、離型フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、離型層表面に粗大粒子によるピンホールが発生するおそれがなく好ましい。なお、粒子の平均粒子径の測定方法は、加工後のフィルムの断面の粒子を走査型電子顕微鏡で観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法で行うことができる。本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積を円周率(π)で除し、平方根を算出し2倍した値である。
表面層Bには素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒子径の異なるものを含有させてもよい。
表面層Bに粒子を含まない場合は、表面層B上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることも好ましい。本コート層を設ける手段は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムの製膜中に塗工する所謂インラインコート法で設けることが好ましい。
表面層Bの領域表面平均粗さ(Sa)は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、さらに好ましくは30nm以下である。また、表面層Bにコート層で易滑性を持たせる場合は、表面層BのSaは、コート層を積層した表面を測定するものとする。
また、経済性の観点から上記表面層A以外の層(表面層Bもしくは前述の芯層C)には、50〜90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、表面層Bに含まれる滑剤の種類や量、粒子径ならびに領域表面平均粗さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために表面層A及び/または表面層Bの表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。コート層も設ける場合は、各層のSaはコート層表面の測定値で代用する。
(離型層)
本発明における離型層は、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と表面張力調整剤を有する混合物を少なくとも含む塗膜を硬化してなることが好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることで、ポリイミド層との投錨効果を抑制し、適度な剥離力を得ることができる。また、離型層の耐溶剤性を向上させることができるためポリイミドワニス塗工時に溶剤による離型層の浸食なども防げるため好ましい。
また、表面張力調整剤を用いることで適度な離型層表面の表面自由エネルギーを得ることができ、ポリイミドワニス塗布時にハジキなどが発生せず、欠陥など無い品質の良いポリイミドフィルムが得られる。
(1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
本発明で用いる1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合とは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものを言い、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分子量としては200〜5000が好ましく、200〜1000がさらに好ましい。分子量が200以上あれば塗工性が良好で好ましく、分子量が5000以下であれば、十分な硬化性が得られるため好ましい。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなどのモノマー類やそのアルキレンオキサイド変性物、分子内に3以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、グリシジルエーテルアクリレートなどのオリゴマー類や、アクリル共重合体のようなポリマー類を使用することができる。
本発明で用いる表面張力調整剤には、シリコーン系、フッ素系、アクリル系など、得られる離型層の表面自由エネルギーに依存する以外は、特に限定されないが、その中でもアクリル系レベリング剤が好ましい。表面張力調整剤は1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができる。添加量としては、全体の固形分比で、0.01〜5%添加することが好ましく、0.1〜1%の添加量がさらに好ましい。0.01%以上添加されていれば十分に表面自由エネルギーを制御することができ、5%以下であればポリイミドフィルムへの移行を抑制することができる。
表面張力調整剤として、市販品としては例えば、ビックケミー・ジャパン社製BYKシリーズ、Elementis社のDaproシリーズ、AGCセイミケミカル社のサーフロンシリーズ、DIC社のメガファックシリーズ、共栄社化学社のポリフローシリーズなど特に限定なく使用できる。
アクリル系レベリング剤としては、アクリル樹脂を基本骨格としているレベリング剤であり、一部シリコーンで変性されていても良い。市販品としては例えば、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-358N、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK3-441、BYK-3550、ポリフローNo.7、ポリフローNo.50E、ポリフローNo.54N、ポリフローNo.75、ポリフローNo.77、ポリフローNo.85、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95、ポリフローNo.99Cなどが挙げられる。表面自由エネルギーを調整するために、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができるし、シリコーン系やフッ素系レベリング剤を併用することもできる。
(光重合開始剤)
本発明の離型層を紫外線を用いて硬化する場合には、光重合開始剤を添加することが必要となる。光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく、中でも2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の添加量は、特に限定されない。例えば、用いられる樹脂に対して0.1から20質量%程度を用いることが好ましい。
本発明の離型層には、粒子径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明の離型層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型塗布層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型層が0.3〜5.0μmとなる範囲がよく、より好ましくは、0.3〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.3〜1.5μmである。離型層の厚みが0.3μm以上であると混合物の硬化性がよく離型層の硬化性が向上するため良好な剥離性能が得られ好ましい。また、5.0μm以下であると、離型フィルムの厚みが薄くなってもカールを起こしにくくポリイミドフィルムを成型、乾燥する過程で走行性不良を起こさず好ましい。
本発明の離型フィルムは、離型層表面の平滑性が高いことが好ましい。そのため、離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)が10nm以下であることが好ましい。また、前記のSaを満足し、且つ離型層表面の最大突起高さ(Rp)が100nm以下であることが更に好ましい。さらには領域表面平均粗さ(Sa)は5nm以下であることが好ましく、その際同時に最大突起高さ(Rp)が80nm以下であることが特に好ましい。領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であれば、ポリイミドフィルム形成時に、ピンホールなどの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。前記のSaを満足し、且つ離型層表面の最大突起高さ(Rp)が100nm以下であれば、更にピンホール欠点を生じるおそれが少なくなり好ましい。前記の領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であっても構わず、0.3nm以上であっても構わない。最大突起高さ(Rp)も小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。
本発明の離型層フィルムの離型層表面の表面自由エネルギーは、35mJ/m以上であることが好ましい。より好ましくは、40mJ/m以上である。35mJ/m以上であるとポリイミドワニスを塗工したときにハジキが発生しづらく均一に塗工することができるため好ましい。上記範囲とすることで塗工時にハジキがなく、離型性に優れた離型フィルムを提供できる。
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、硬化させる方法が用いられる。
本発明の離型層を基材フィルム上に溶液塗布により塗布する場合の溶媒乾燥の乾燥温度は、50℃以上、100℃以下であることが好ましく、60℃以上、90℃以下であることがより好ましい。その乾燥時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。さらに溶剤乾燥後、活性エネルギー線を照射し硬化反応を進行させることが好ましい。この時用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線などが使用することができるが、紫外線が使用しやすく好ましい。照射する紫外線量としては光量で30〜300mJ/cmが好ましく、より好ましくは、30〜200mJ/cmである。30mJ/cm以上とすることで樹脂の硬化が十分進行し、300mJ/cm以下とすることで加工時の速度を向上させることができるため経済的に離型フィルムを作成することができ好ましい。
前記活性エネルギー線を照射するときの雰囲気は、一般的な空気中でも窒素ガス雰囲気下でも構わない。窒素ガス雰囲気では、酸素濃度を減少させることでラジカル反応がスムーズに進行し離型層の弾性率を向上させることができるが、空気中で照射しても実用上問題なければ、空気中で照射する方が経済的観点から好ましい。
本発明において、離型層を塗布するときの塗液の表面張力は、特に限定されないが30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を前記のようにすることで、塗工後の塗れ性が向上し、乾燥後の塗膜表面の凹凸を低減することができる。
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
離型フィルムのヘイズは、1%以下であることが好ましい。ポリイミドフィルムの品質はインライン欠点検出器で品質確認を行うが、ヘイズが1%以下であれば欠点検査に悪影響なく使用することができる。
(ポリイミドフィルム)
本発明でいうポリイミドフィルムとはポリイミド系フィルムをさし、このポリイミド系フィルムは、ポリイミド系高分子、及び、γブチロラクトン及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含む。ポリイミド系高分子とは、式(PI)、式(a)、式(a’)又は式(b)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種含む重合体を意味する。上記ポリイミドは、下記(PI)式で表される繰り返し構造単位を有していてもよい。ここで、Gは4価の有機基であり、Aは2価の有機基である。
Gとしては、非環式脂肪族基、環式脂肪族基、及び、芳香族基からなる群から選ばれる4価の有機基が挙げられる。Gは、環式脂肪族基又は芳香族基であることが好ましい。芳香族基としては、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、および、2以上の芳香族環を有しそれらが直接または結合基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基等が挙げられる。樹脂フィルムの透明性、及び着色の抑制の観点から、Gは、環式脂肪族基であってもよいし、フッ素系置換基を有する、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基又は非縮合多環式芳香族基であってもよい。より具体的には、飽和又は不飽和シクロアルキル基、飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアルキルアリール基、及び、これらの内の任意の2つの基(同一でもよい)が直接又は結合基により相互に連結された基が挙げられる。結合基としては、−O−、炭素数1〜10のアルキレン基、−SO2−、−CO−又は−CO−NR−(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を表す)が挙げられる。Gの炭素数は通常2〜32であり、2〜27であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜8であることがさらに好ましく、3〜8であることが特に好ましい。Gが環式脂肪族基又は芳香族基である場合、炭素原子の一部がヘテロ原子で置き換えられていてもよい。Gの例は、飽和又は不飽和シクロアルキル基、飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基であり、これらは3〜8の炭素原子を有することができる。ヘテロ原子の例は、O、N又はSが挙げられる。
具体的には、Gは以下の式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)又は式(26)で表される基であることができる。式中の*は結合手を示す。ここで、Zは、単結合、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arは炭素数6〜20のアリール基を表し、その例はフェニレン基(ベンゼン環)である。これらの基の水素原子のうち少なくとも1つが、フッ素系置換基で置換されていてもよい。
Aとしては、非環式脂肪族基、環式脂肪族基及び芳香族基からなる群から選択された2価の有機基が挙げられる。Aで表される2価の有機基は、環式脂肪族基及び芳香族基であることが好ましい。芳香族基としては、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、および2以上の芳香族環を有しそれらが直接または結合基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基が挙げられる。樹脂フィルムの透明性、及び着色の抑制の観点から、Aの少なくとも一部には、フッ素系置換基が導入されていることが好ましい。
より具体的には、Aは、飽和又は不飽和シクロアルキル基、飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアルキルアリール基、及び、これらの内の任意の2つの基(同一でもよい)が直接又は結合基により相互に連結された基が挙げられる。ヘテロ原子としては、O、N又はSが挙げられ、結合基としては、−O−、炭素数1〜10のアルキレン基、−SO2−、−CO−又は−CO−NR−(Rはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を表す)が挙げられる。
Aで表される2価の有機基の炭素数は、通常2〜40であり、好ましくは5〜32であり、より好ましくは12〜28であり、さらに好ましくは24〜27である。
具体的には、Aは以下の式(30)、式(31)、式(32)、式(33)又は式(34)で表される基であることができる。式中の*は結合手を示す。ここで、Z1〜Z3は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−SO2−、−CO−又は―CO―NR−(Rはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を表す)であることができる。下記の基において、Z1とZ2、及び、Z2とZ3は、それぞれ、各環に対してメタ位又はパラ位にあることが好ましい。
また、Z1と末端の単結合、Z2と末端の単結合、及び、Z3と末端の単結合とは、メタ位又はパラ位にあることが好ましい。1つの例は、Z1及びZ3が−O−であり、かつ、Z2が−CH2−、−C(CH3)2−又は−SO2−である。これらの基の水素原子のうち少なくとも1つが、フッ素系置換基で置換されていてもよい。
A及びGの少なくとも一方において、少なくとも1つの水素原子が、フッ素基及びトリフルオロメチル基などフッ素原子を含むフッ素系置換基、水酸基、スルホン基、炭素数1〜10のアルキル基等からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基で置換されていてもよい。また、A及びGがそれぞれ環式脂肪族基又は芳香族基である場合に、上記A及びGの少なくとも一方がフッ素系置換基を有することが好ましく、A及びGの両方がフッ素系置換基を有することがより好ましい。
ポリイミド系高分子は、式(PI)、式(a)、式(a’)又は式(b)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種含む重合体であってもよい。式(a)中のG2は3価の有機基を表し、A2は2価の有機基を表す。式(a’)中のG3は4価の有機基を表し、A3は2価の有機基を表す。式(b)中のG4及びA4は、それぞれ2価の有機基を表す。
式(a)中のG2は、3価の基である点以外は、式(PI)中のGと同様の基から選択することができる。例えば、G2は、Gの具体例として例示された式(20)〜式(26)で表される基における4つの結合手のうちいずれか1つが水素原子に置き換わった基であってもよい。式(a)中のA2は式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
式(a’)中のG3は、式(PI)中のGと同様の基から選択することができる。式(a’)中のA3は、式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
式(b)中のG4は、2価の基である点以外は、式(PI)中のGと同様の基から選択することができる。例えば、G4は、Gの具体例として例示された式(20)〜式(26)で表される基における4つの結合手のうちいずれか2つが水素原子に置き換わった基であってもよい。式(b)中のA4は、式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
式(PI)、式(a)、式(a’)又は式(b)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種含む重合体であるポリイミド系高分子は、ジアミン類と、テトラカルボン酸化合物又はトリカルボン酸化合物(酸クロライド化合物およびトリカルボン酸無水物などのトリカルボン酸化合物類縁体を含む)の少なくとも1種類とを重縮合させることにより得られる縮合型高分子であってもよい。出発原料としては、これらに加えて、さらにジカルボン酸化合物(酸クロライド化合物などの類縁体を含む)を用いることもある。式(a’)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びテトラカルボン酸化合物から誘導される。式(a)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びトリカルボン酸化合物から誘導される。式(b)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びジカルボン酸化合物から誘導される。ジアミン類及びテトラカルボン酸化合物の具体例は、上述のとおりである。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂環式トリカルボン酸、非環式脂肪族トリカルボン酸およびそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられる。トリカルボン酸化合物は、好ましくは芳香族トリカルボン酸、脂環式トリカルボン酸、非環式脂肪族トリカルボン酸およびそれらの類縁の酸クロライド化合物である。トリカルボン酸化合物は、2種以上併用してもよい。
溶剤に対する溶解性、樹脂フィルム10を形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、トリカルボン酸化合物は、脂環式トリカルボン酸化合物及び芳香族トリカルボン酸化合物であることが好ましい。樹脂フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、トリカルボン酸化合物は、フッ素系置換基を有する脂環式トリカルボン酸化合物及びフッ素系置換基を有する芳香族トリカルボン酸化合物であることが好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、非環式脂肪族ジカルボン酸およびそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられる。ジカルボン酸化合物は、好ましくは芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、非環式脂肪族ジカルボン酸およびそれらの類縁の酸クロライド化合物である。ジカルボン酸化合物は、2種以上併用してもよい。
溶剤に対する溶解性、樹脂フィルム10を形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、ジカルボン酸化合物は、脂環式ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物であることが好ましい。樹脂フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、ジカルボン酸化合物は、フッ素系置換基を有する脂環式ジカルボン酸化合物及びフッ素系置換基を有する芳香族ジカルボン酸化合物であることが好ましい。
ポリイミド系高分子は、異なる種類の複数の上記の繰り返し単位を含む共重合体でもよい。ポリイミド系高分子の重量平均分子量は、通常10,000〜500,000である。ポリイミド系高分子の重量平均分子量は、好ましくは、50,000〜500,000であり、さらに好ましくは100,000〜500,000又は70,000〜400,000である。重量平均分子量は、GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量である。ポリイミド系高分子の重量平均分子量が大きい方が高い屈曲性を得られやすい傾向があり、ポリイミド系高分子の重量平均分子量が大きすぎると、ワニスの粘度が高くなり、加工性が低下する傾向がある。
ポリイミド系高分子は、上述のフッ素系置換基等によって導入できるフッ素原子等のハロゲン原子を含んでいてもよい。ポリイミド系高分子がハロゲン原子を含むことにより、樹脂フィルムの弾性率を向上させ且つ黄色度を低減させることができる。これにより、樹脂フィルムにキズ及びシワ等が発生することを抑制し、且つ、樹脂フィルムの透明性を向上させることができる。例えばフッ素原子は、ジアミン類及びテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一方として、フッ素基又はトリフルオロメチル基等のフッ素系置換基を有する化合物を用いることで、ポリイミドの分子内に導入することができる。ポリイミドにおけるハロゲン原子(又はフッ素原子)の含有量は、ポリイミド系高分子の質量を基準として、1質量%〜40質量%であることが好ましく、1質量%〜30質量%であることがより好ましい。
以下に、実施例を用いて本発明のさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。
(離型層厚み)
離型層の厚みは、光干渉式膜厚計(F20、フィルメトリクス社製)を用いて測定した。(離型層の屈折率は1.52として算出)
(ヘイズ)
離型フィルムのヘイズは、ヘイズメーター(NDH5000、日本電色社製)を用いて測定した。
(領域表面粗さSa、最大突起高さRp)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100、菱化システム社製)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(Rp)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
(表面自由エネルギー)
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、ブロモナフタレン(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の解析ソフトを用いて行った。
(ポリイミドフィルム塗布性の評価)
ポリイミドワニス(三菱ガス化学社製、製品名:ネオプリム(登録商標)S−100)を、アプリケーターを用いて、離型フィルムの離型層上に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、140℃で10分間乾燥し、乾燥後の表面状態を目視観察した。
○:ハジキなどがなく全面均一に塗布されている。
△:若干ハジキはあるが、一通り塗布されている。
×:ハジキが多く、塗工できない。
(ポリイミドフィルムの剥離性評価)
ポリイミドワニス(三菱ガス化学社製、製品名:ネオプリム(登録商標)S−100)を、アプリケーターを用いて、離型フィルムの離型層上に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、140℃で10分間乾燥した。その後、ポリイミドフィルムを離型面から剥離し、剥離したポリイミドの表面状態を目視観察した。
○:剥離もスムーズで、剥離した面に異常なし
×:剥離できないか、剥離した面に剥離跡など異常あり
(離型剤1の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−DPH、分子量:578、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、表面張力調整剤(ビックケミージャパン社製、BYK−3550、シリコーン変性アクリル樹脂、固形分濃度:55重量%)0.2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤1を調製した。
(離型剤2の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−DPH、分子量:578、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、シリコーン変性アクリル系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−3550、固形分濃度:55重量%)2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤2を調製した。
(離型剤3の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−DPH、分子量:578、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、アクリル系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−355、アクリル樹脂、固形分濃度:52重量%)0.2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤3を調製した。
(離型剤4の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−TMM−3L、分子量:298、アクリロイル基数:3、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、シリコーン変性アクリル系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−3550、固形分濃度:55重量%)0.2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤4を調製した。
(離型剤5の調製)
ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:U−6LPA、分子量:760、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、シリコーン変性アクリル系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−3550、固形分濃度:55重量%)0.2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤5を調製した。
(離型剤6の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−DPH、分子量:578、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、UV架橋型シリコーン系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−UV3500、固形分濃度:100重量%)0.1重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤6を調製した。
(離型剤7の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−DPH、分子量:578、アクリロイル基数:6、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、シリコーン系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−307、固形分濃度:97重量%)0.1重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤7を調製した。
(離型剤8の調製)
ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A−200、分子量:308、アクリロイル基数:2、固形分濃度:100重量%)94.9重量部、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア(登録商標)907、固形分濃度:100重量%)5重量部、シリコーン変性アクリル系レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK−3550、固形分濃度:55重量%)0.2重量部を混合し、MEK/トルエン/IPA=1/1/1の溶媒で希釈して、20%の離型剤8を調製した。
(実施例1)
ポリエステルフィルム(東洋紡社製、製品名:コスモシャイン(登録商標)A4300、厚み:188μm)の一方の面に、マイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布し、90℃で30秒乾燥後、高圧水銀ランプを用いて150mJ/cmとなるように紫外線を照射することでポリイミドフィルム製造用離型フィルムを得た。
ここで、ポリエステルフィルムとしては、A4300(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)を使用した。A4300は、表面層A側(離型層形成面)及び表面層B側(反離型層形成面)の両面にインラインコート層を設けた構成をしている。A4300の表面層A及びBともに、Saは2nmであった。
(実施例2〜7、9,10、比較例1、2)
表1に記載の通り、離型剤、ポリエステルフィルムの厚みを変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルム製造用離型フィルムを得た。
(実施例8)
ポリエステルフィルム(東レ社製、製品名:ルミラー(登録商標)U483、厚み:100μm)の一方の面に、マイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布し、90℃で30秒乾燥後、高圧水銀ランプを用いて150mJ/cmとなるように紫外線を照射することでポリイミドフィルム製造用離型フィルムを得た。
(比較例3)
ポリエステルフィルム(東洋紡社製、製品名:コスモシャイン(登録商標)A4100厚み:188μm)を使用した。ここで、A4100(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)を使用した。A4100は、片方方面にのみインラインコート層を設けた構成をしている。A4100のインラインコート層のない側の表面のSaは1nm、反対面のインラインコーコート層の表面のSaは2nmであった。本比較例においては、インラインコート層のない側の表面をそのまま離型層として使用した。
上記実施例1〜10および比較例2で作成したポリイミドフィルム製造用離型フィルムを評価したところ、官能基数が3つ以上のウレタンアクリレートを用いた実施例1〜10では、剥離性も良好なものが得られたが、比較例2で示した官能基数が2つのウレタンアクリレートを用いた場合は、剥離性が十分ではない結果が得られた。これらの結果から、剥離性と低カール性を両立するためには、ウレタンアクリレートの官能基数を3つ以上、より好ましくは6つ以上とすることがよいことがわかった。
本発明のポリイミドフィルム製造用離型フィルムによれば、従来のポリイミドフィルム製造工程と比較して、ポリイミドの塗布性、剥離性に優れ、かつポリイミドフィルム剥離後の離型層表面の変形が少なく、欠点が少なく、良好な品質のポリイミドフィルムを製造できるポリイミドフィルム製造用離型フィルムの提供を可能とした。

Claims (4)

  1. 厚み50〜250μmのポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.3〜5.0μmの離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が10nm以下、最大突起高さ(Rp)が100nm以下であり、前記離型層が少なくとも1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と表面張力調整剤を含有する混合物の硬化物であるポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
  2. ヘイズが1.0%以下である請求項1に記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
  3. 表面張力調整剤が、アクリル系レベリング剤である請求項1又は2記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
  4. 前記離型層の、畑・北崎 拡張ホークスの式により算出される表面自由エネルギーが35mJ/m以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム製造用離型フィルム。
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