JP2016175357A - 離型ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリエステルフィルム表面の動摩擦係数が低く、ポリエステルフィルム表面に粗大突起物がなく、また視認性の良好な、液晶偏光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジスト用、多層基盤、セラミックグリーンシート製造用などの各種離型用途として有用な離型ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 粒子を実質的に含まず、少なくとも一軸方向に延伸された多層ポリエステルフィルムの一方の最外層に結晶核剤を含有し、当該最外層上に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。【選択図】 なし
Description
本発明は、フィルム表面の動摩擦係数が低く、フィルム表面に粗大突起物がなく、また視認性の良好な離型ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等を有しており、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、金属ラミネートフィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、太陽電池裏面保護フィルム、タッチパネル式表示装置の透明導電性フィルムのベースフィルム、液晶表示装置に用いられるプリズムシート用のベースフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
また、離型用フィルムは、ポリエステルを基材として、離型性のある樹脂層、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂などを塗布し形成される。特に、液晶偏光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジスト用、多層基盤、セラミックグリーンシート製造用などの各種離型用途として使用されている。
ポリエステルフィルムには、滑り性や巻き特性などを向上させて取り扱いを容易にするために、粒子を適量配合し微細な突起を形成させることが一般的である。しかし、ポリエステルフィルムの表面の平坦性が重要となる用途では、粒子を配合することは好ましくない。例えば離型フィルムでは粒子による突起形状が被離型基材に転写し、製品品質に悪影響を与える可能性がある。また、光学用途やフィルムを透かして検査する工程のような視認性が重要となる場合では、粒子を配合することでフィルムに粒状感が発生し、視認性が低下する。
粒子を配合しない場合、あるいは粒子の配合量が少ない場合は、フィルム表面は平滑となり、良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となり、フィルムにキズが入りやすくなる。そこで、滑り性や巻き特性を維持しつつ、表面特性をより平滑に設計された、視認性の良好なポリエステルフィルムが必要とされる状況にある。
本発明は、フィルム表面の動摩擦係数が低く、フィルム表面に粗大突起がなく、また視認性の良好な離型ポリエステルフィルムに関するものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、粒子を実質的に含まず、少なくとも一軸方向に延伸された多層ポリエステルフィルムの一方の最外層に結晶核剤を含有し、当該最外層上に離型層を有することを特徴とする離型フィルムに存ずる。
本発明によれば、フィルム表面の動摩擦係数が低く、フィルム表面に粗大突起物がなく、また視認性の良好な離型ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出されたシートを延伸したフィルムである。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンー2、6ナフタレート等が例示される。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは15〜150μmの範囲である。
本発明のポリエステルフィルムには、実質的には粒子を含有させないことが必要である。ポリエステルフィルム用に粒子を供する場合、フィルムの巻上げ工程、塗工工程、蒸着工程等での作業性を向上させる上で、微粒子が含有されていることが通常である。しかしながら、粒子自体はポリエステルと構造が異なるため親和性が高くなく、その結果フィルム内で粒子同士が凝集し、フィルム表面上にて粗大突起を形成する原因となり、フィルムの平滑性に限界が生じる。
ここで挙げる粒子としてはシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂架橋体のような高分子架橋体を挙げることができる。これら粒子がフィルム内に存在すると、ポリエステルフィルム表面に粗大突起を形成させやすい。
本発明のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層中には、フィルム表面の摩擦係数を軽減させるべく、結晶核剤を含有する必要がある。結晶核剤の層内の含有量は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上が特に好ましい。結晶核剤含有量が0.1重量%未満だと、フィルムの表面摩擦負荷は軽減されないことがある。
本発明において、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層中の結晶核剤含有量は5.0重量%未満であることが好ましく、4.0重量%未満がさらに好ましく、3.0重量%未満が特に好ましい。結晶核剤含有量が5.0重量%以上だと、ポリエステルフィルム製造時に、押出機のスクリューやポリマーフィルターに負荷がかかりにくくなり、未溶融のポリエステルがダイスから押出される傾向が強くなることがある。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により少なくとも3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料を用いたA/B/A構成、さらにC原料を用いたA/B/C構成またはそれ以外の3層以上の構成のフィルムとすることができる。
具体的に3層のポリエステルフィルムについて説明する。例えば、A/B/Cの層構成であれば、A層とC層、あるいは、A層またはC層に結晶核剤を含有させることが、フィルム表面の摩擦負荷軽減のため必要である。一方、B層に結晶核剤を含有させることも可能だが、フィルム表面の摩擦負荷軽減には寄与しない。
層構成をA/B/Aとしても同様のことが言える。すなわち、A層に結晶核剤を含有させることが、フィルム表面の摩擦負荷軽減のため必要である。一方、B層に結晶核剤を含有させることも可能だが、フィルム表面の摩擦負荷軽減には寄与しない。
本発明のポリエステルフィルム中の結晶核剤は、主にポリエステルの結晶化速度向上効果を有するものであれば、その種類は特に制限されるものではない。例えば、ジベンジリデンソルビトール(DBS)化合物、1,3−O−ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ジアルキルベンジリデンソルビトール、少なくとも一つの塩素または臭素置換基を有するソルビトールのジアセタール、ジ(メチルまたはエチル置換ベンジリデン)ソルビトール、炭素環を形成する置換基を有するビス(3,4−ジアルキルベンジリデン)ソルビトール、脂肪族、脂環族、および芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸または多塩基性ポリカルボン酸、相当する無水物および金属塩などの有機酸の金属塩化合物、環式ビス−フェノールホスフェート、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸などの二環式ジカルボン酸および塩化合物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−ジカルボキシレートなどの二環式ジカルボキシレートの飽和の金属または有機の塩化合物、1,3:2,4−O−ジベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−1−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−2−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−エチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロル− ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトールなどのジアセタール化合物、ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4−6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]、燐酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウムや、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の脂肪酸、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベニン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、シリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子、グリセロール、グリセリンモノエステルなどの高級脂肪酸エステル、および類似物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、透明性やポエリステルへの分散性などから、有機系化合物が特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの製造時に結晶核剤を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルフィルム製膜時に結晶核剤をフィーダーから投入しても良く、また、あらかじめ混練押出機を用い、乾燥させた結晶核剤と乾燥させたポリエステル原料とを溶融混合させて得られたマスターバッチを、ポリエステルフィルム製膜時に活用する方法などによって行われる。
本発明では、必要に応じて添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤結晶核剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常90〜140℃、好ましくは95〜120℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常90〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルム製造に関しては、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常90〜140℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
本発明において得られたポリエステルフィルムの片方の最外層上に形成する離型層に使用することのできる硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
本発明において使用する、アルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂の例としては以下のようなものが挙げられる。まず、アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、ジオルガノポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4モル%、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)が挙げられる。
次に、アルキル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれる未反応性シリコーン樹脂は、通常1〜10重量%の範囲であり、好ましくは1〜5重量%である。未反応性シリコーン樹脂の含有量が1%より低いと速度依存性が高くなり、5重量%を超えると、硬化性が著しく低下し、密着性も悪化する不具合がある。
本発明において高速域の剥離力を小さくするために、シリコーンオイルを添加してもよい。シリコーンオイルはストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルと称されるシリコーンオイルで、以下のようなものが挙げられる。ストレートシリコーンとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。また、変性シリコーンオイルとしては、側鎖型タイプのポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、ポリエーテル・長鎖アルキル変性・アラルキル変性、フェニル変性、両末端型のポリエーテル変性、ポリエーテル・メトキシ変性などが挙げられる。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれるシリコーンオイル成分は、通常1〜10重量%の範囲であり、好ましくは1〜5重量%である。シリコーンオイル成分の含有量が1%より低いと速度依存性が高くなり、5重量%を超えると、移行性が高く、粘着剤加工時にロール汚れや粘着剤面に移行して、粘着剥離力低下などが生じてしまうことがある。
本発明において日東電工株式会社製No.502テープによる残留接着率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。残留接着率が80%より低いと、移行性が高く、粘着剤加工時にロール汚れや粘着剤面に移行して、粘着剥離力低下などが生じてしまうことがある。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、X−62−5039、X−62−5040、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−C6010、XS56−C4880、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、LTC300B、LTC856、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するため、剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/m2の範囲である。
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムでは、離型層をきれいに、かつ頑丈にするため、付加型の反応を促進する白金系触媒を用いてもよい。本成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系化合物、白金黒、白金担持シリカ、白金担持活性炭が例示される。離型層中の白金系触媒含有量は、通常0.3〜3.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲が良い。離型層中の白金系触媒含有量が0.3重量%よりも低い場合、剥離力の不具合や、塗布層での硬化反応が不十分になるため、面状悪化などの不具合を生じる場合があり、一方、離型層中の白金系触媒含有量が3.0重量%を超える場合には、コストがかかる、また、反応性が高まり、ゲル異物が発生する等の工程不具合を生じてしまうことがある。
また、付加型の反応は非常に反応性が高いため、場合によっては、反応抑制剤として、アセチレンアルコールを添加することがある。その成分は炭素−炭素3重結合と水酸基を有する有機化合物であるが、好ましくは、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールおよびフェニルブチノールからなる群から選択される化合物である。
本発明における、剥離力とは、両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)を離型層面に貼り付け、室温にて1時間放置した後に、基材フィルムと剥離角度180°、任意の引張速度でテープを剥離したときに引張試験機で測定した値を言う。本発明において特定の剥離力を調整する方法は、離型層中の組成を選択することにより達成することができるが、その他の手段も採用でき、主にシリコーン離型層の離型剤の種類を、所望の剥離力に応じて変更することが好ましく、さらには、剥離力は用いる離型剤の塗布量に大きく依存するため、その離型剤の塗布量を調整する方法がさらに好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、この実施例に限定されるものではない。なお、多層成形体の諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)極限粘度(dl/g)
ポリエステルチップを粉砕したサンプルを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
ポリエステルチップを粉砕したサンプルを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
(2)結晶核剤の滴点
JIS K2220に基づいて評価する。すなわち、カップに試料結晶核剤を押し込み、試料を満たす。次に温度計を差し込み、加熱浴中で加熱し、試料がカップの開口部から滴下した時の温度を滴点とする。
JIS K2220に基づいて評価する。すなわち、カップに試料結晶核剤を押し込み、試料を満たす。次に温度計を差し込み、加熱浴中で加熱し、試料がカップの開口部から滴下した時の温度を滴点とする。
(3)結晶核剤の酸価
JIS K 2501に基づいて中和滴定法により評価する。すなわち、試料を約0.05g量とり、200mLのトールビーカに投入する。次に、 滴定溶剤(キシレン+ジメチルホルムアミド(1+1)150mLを添加する。 ビーカ加熱装置にて液温を80℃に加熱し、試料を溶解させる。4) 液温が80℃で一定になった後、滴定液(0.1mol/L 水酸化カリウム・エタノール溶液 f=1.0)を用いて滴定を行い、酸価を求める。
JIS K 2501に基づいて中和滴定法により評価する。すなわち、試料を約0.05g量とり、200mLのトールビーカに投入する。次に、 滴定溶剤(キシレン+ジメチルホルムアミド(1+1)150mLを添加する。 ビーカ加熱装置にて液温を80℃に加熱し、試料を溶解させる。4) 液温が80℃で一定になった後、滴定液(0.1mol/L 水酸化カリウム・エタノール溶液 f=1.0)を用いて滴定を行い、酸価を求める。
(4)結晶核剤のけん化価
JIS K 0070に基づいて評価する。すなわち、試料1.5〜2.0gを200mL三角フラスコに採取する。 0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液25.0mLを加えて、三角フラスコに冷却管を取り付ける。 時々振り混ぜながら加熱し、還流するエタノールの環が冷却管の上端に達しないように温度を調節して穏やかに加熱する。30分沸騰させた後直に冷却し内容物が寒天状に固まらないうちにエタノール25mLを加え0.5mol/L塩酸(f=1.006)で滴定する。空試験(結晶核剤試料無)を行い、0.5mol/L塩酸の滴定量の平均値を求める。
JIS K 0070に基づいて評価する。すなわち、試料1.5〜2.0gを200mL三角フラスコに採取する。 0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液25.0mLを加えて、三角フラスコに冷却管を取り付ける。 時々振り混ぜながら加熱し、還流するエタノールの環が冷却管の上端に達しないように温度を調節して穏やかに加熱する。30分沸騰させた後直に冷却し内容物が寒天状に固まらないうちにエタノール25mLを加え0.5mol/L塩酸(f=1.006)で滴定する。空試験(結晶核剤試料無)を行い、0.5mol/L塩酸の滴定量の平均値を求める。
けん化価(mg/g) = (空試験時の滴定量(mL)−試料の滴定量(mL))×滴定液のファクタ(1.006)×濃度換算係数(28.05mg/mL)/試料採取量(g)
(5)離型層付与後の動摩擦係数(μd)
ポリエステルフィルムの表面において、冷却ドラムに接する面をA−1面、反対の冷却ドラムに接しない面をA−2面とする。フィルムを巻き取った際には、A−1面とA−2面が接するため、A−1面とA−2面との動摩擦係数が重要である。以下の方法でA−1面とA−2面との動摩擦係数を求めた。
ポリエステルフィルムの表面において、冷却ドラムに接する面をA−1面、反対の冷却ドラムに接しない面をA−2面とする。フィルムを巻き取った際には、A−1面とA−2面が接するため、A−1面とA−2面との動摩擦係数が重要である。以下の方法でA−1面とA−2面との動摩擦係数を求めた。
幅10mm、長さ100mmの平滑なガラス板上にフィルムを貼り付け、その上に幅18mm、長さ120mmに切り出したフィルムを直径8mmの金属ピンに押し当て、金属ピンをガラス板の長手方向に、加重30g、40mm/分で滑らせて摩擦力を測定し、10mm滑らせた点での摩擦係数を動摩擦係数として評価した。なお、測定は、室温23±1℃ 、湿度50±0.5%RHの雰囲気下で行った。測定回数(N)は10回とし、その平均値を採用する。
動摩擦係数(μd)=Fd/おもり荷重
(上記式中、Fdの単位はg重、おもり荷重の単位はg重である)
(上記式中、Fdの単位はg重、おもり荷重の単位はg重である)
(6)離型層付与後の算術平均粗さRa(nm)、最大断面高さRt(nm)
(株)小坂研究所のSurfcorder SE3500を使用した。測定条件は下記のとおりである。
Cutoff 0.08mm
Filter ガウス
E. Length 2.500mm
S. Length 0.081mm
レべリング 直線(全域)
Start−up Cutoff X 0.5
Data 15625points
Drive Speed 0.1mm/s
(株)小坂研究所のSurfcorder SE3500を使用した。測定条件は下記のとおりである。
Cutoff 0.08mm
Filter ガウス
E. Length 2.500mm
S. Length 0.081mm
レべリング 直線(全域)
Start−up Cutoff X 0.5
Data 15625points
Drive Speed 0.1mm/s
(7)離型層付与後の剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/min.で、180°剥離を行った。次のような基準で判断する。
○:40mN/cmより小さい
×:40mN/cmより大きい
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/min.で、180°剥離を行った。次のような基準で判断する。
○:40mN/cmより小さい
×:40mN/cmより大きい
(8)離型層付与後の移行性(残留接着率)
試料フィルムをA4大に切り取り、フィルムの測定面に粘着テープ(日東電工製「No.502」)をゴムローラーを用いて貼り合わせた後、1時間経過後に、粘着テープを剥がし、その粘着テープを、表面を洗浄したステンレス板にゴムローラーを用いて貼り合わせる。上部チャックに粘着テープ、下部チャックにステンレス板を固定し、300mm/minの速度で、180°方向に引き剥がし、接着力(1)を測定する。試料と貼り合わせない粘着テープ(日東電工製「No.502」)を用い、上述と同じ手順で接着力(2)を測定する。残留接着率は次式により求める。
残留接着率(%)=接着力(1)÷接着力(2)×100
試料フィルムをA4大に切り取り、フィルムの測定面に粘着テープ(日東電工製「No.502」)をゴムローラーを用いて貼り合わせた後、1時間経過後に、粘着テープを剥がし、その粘着テープを、表面を洗浄したステンレス板にゴムローラーを用いて貼り合わせる。上部チャックに粘着テープ、下部チャックにステンレス板を固定し、300mm/minの速度で、180°方向に引き剥がし、接着力(1)を測定する。試料と貼り合わせない粘着テープ(日東電工製「No.502」)を用い、上述と同じ手順で接着力(2)を測定する。残留接着率は次式により求める。
残留接着率(%)=接着力(1)÷接着力(2)×100
(9)離型層付与後のヘーズ
JIS−K−7136に準じ、株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーター「HM−150」により、フィルムヘーズを測定した。
JIS−K−7136に準じ、株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーター「HM−150」により、フィルムヘーズを測定した。
(10)離型層付与後の視認性
波長蛍光灯光を透過させてフィルムの視認性(透明性、粒状感など)を目視観察し、評価した。
○:フィルムの透明性は良好で、粒状感も良好である
×:フィルムの透明性、粒状感のいずれか、または両方が悪く、光学用途には適さない
波長蛍光灯光を透過させてフィルムの視認性(透明性、粒状感など)を目視観察し、評価した。
○:フィルムの透明性は良好で、粒状感も良好である
×:フィルムの透明性、粒状感のいずれか、または両方が悪く、光学用途には適さない
(11)総合判定
動摩擦係数、粗大突起物、視認性、剥離力などを総合的に判断し、フィルム表面の動摩擦係数が低く、フィルム表面に粗大突起物がなく、また視認性の良好な離型ポリエステルフィルムを○、不十分なものを×とする。
動摩擦係数、粗大突起物、視認性、剥離力などを総合的に判断し、フィルム表面の動摩擦係数が低く、フィルム表面に粗大突起物がなく、また視認性の良好な離型ポリエステルフィルムを○、不十分なものを×とする。
<モンタン酸エステル結晶核剤(1)>
グリセリンを水酸化ナトリウム触媒環境下で250℃の条件で脱水縮合させ、ポリグリセリンを得る。得られたポリグリセリンと、モンタン酸と直接エステル化させることで、モンタン酸の複合エステルとして、モンタン酸エステル(1)を得た。適点は73−79℃、酸価(mgKOH/g)は13−26、けん化価(mgKOH/g)は170−195、溶融粘度(mPa・s)は150であった。
グリセリンを水酸化ナトリウム触媒環境下で250℃の条件で脱水縮合させ、ポリグリセリンを得る。得られたポリグリセリンと、モンタン酸と直接エステル化させることで、モンタン酸の複合エステルとして、モンタン酸エステル(1)を得た。適点は73−79℃、酸価(mgKOH/g)は13−26、けん化価(mgKOH/g)は170−195、溶融粘度(mPa・s)は150であった。
<ポリエステル(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm2)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm2)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステルを製造した。
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm2)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm2)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステルを製造した。
上記ポリエステルを出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(1)を得た。
<ポリエステル(2)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を、平均粒子径2.7μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーと共に添加し、常法に従って重合した。その際、ポリエステル樹脂中のシリカ濃度が3000ppm程度となるように、スラリーの量を調整した。反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(2)を得た。得られたポリエステルチップの極限粘度は、0.61dl/gであった。
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を、平均粒子径2.7μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーと共に添加し、常法に従って重合した。その際、ポリエステル樹脂中のシリカ濃度が3000ppm程度となるように、スラリーの量を調整した。反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(2)を得た。得られたポリエステルチップの極限粘度は、0.61dl/gであった。
実施例1:
上記ポリエステル(1)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を99.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、上記ポリエステル(1)をポリエステル層(B)の原料とした。
上記ポリエステル(1)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を99.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、上記ポリエステル(1)をポリエステル層(B)の原料とした。
ポリエステル層(A)については、280℃に設定した口径30mmのベント付二軸押出機にて吐出量5kg/hr、押出機スクリュー回転数を33rpmの条件とし、さらにギアポンプとフィルターを通過させて溶融体を得る。
一方、ポリエステル層(B)については、280℃に設定した口径44mmのベント付二軸押出機にて吐出量60kg/hr、押出機スクリュー回転数を302rpmの条件とし、さらにギアポンプとフィルターを通過させて溶融体を得る。
一方、ポリエステル層(B)については、280℃に設定した口径44mmのベント付二軸押出機にて吐出量60kg/hr、押出機スクリュー回転数を302rpmの条件とし、さらにギアポンプとフィルターを通過させて溶融体を得る。
得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/A=5/115/5の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を15℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる積層シートを得た。
さて、当該積層シートを縦方向に84℃で3.0倍延伸した後テンターに導き、130℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱固定を行い、横方向に2%弛緩し、平均厚みが125μmのポリエステルフィルムを得た。
上記二軸配向積層ポリエステルフィルムに関して、下記に示す離型剤組成−Aからなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.12g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度150℃、ライン速度30m/分の条件でロール状の実施例1に示す離型ポリエステルフィルムを得た。
さて、当該積層シートを縦方向に84℃で3.0倍延伸した後テンターに導き、130℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱固定を行い、横方向に2%弛緩し、平均厚みが125μmのポリエステルフィルムを得た。
上記二軸配向積層ポリエステルフィルムに関して、下記に示す離型剤組成−Aからなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.12g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度150℃、ライン速度30m/分の条件でロール状の実施例1に示す離型ポリエステルフィルムを得た。
<離型剤組成−A>
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学工業製) 20部
付加型白金触媒(PL−50T:信越化学工業製) 0.2部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学工業製) 20部
付加型白金触媒(PL−50T:信越化学工業製) 0.2部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)
実施例2:
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を99.9:0.1の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を99.9:0.1の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
比較例1:
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(2)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を91.9:8.0:0.1の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(2)およびモンタン酸エステル結晶核剤(1)を91.9:8.0:0.1の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
比較例2:
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(2)を92.0:8.0の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(2)を92.0:8.0の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
比較例3:
実施例1において、上記ポリエステル(1)のポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、上記ポリエステル(1)のポリエステルをポリエステル層(A)の原料とすることを除いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの物性値および適性について表1にまとめた。
当該実施例および比較例より、フィルム内の粒子が実質的に存在しない状態で、表層に結晶核剤を含有させることで、視認性を維持したまま、粗大突起物の指標であるRt、動摩擦係数であるμdの減少が確認できた。
本発明のフィルムは。例えば、液晶偏光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジスト用、多層基盤、セラミックグリーンシート製造用などの各種離型用途として有用な離型フィルムとして、好適に利用することができる。
Claims (2)
- 粒子を実質的に含まず、少なくとも一軸方向に延伸された多層ポリエステルフィルムの一方の最外層に結晶核剤を含有し、当該最外層上に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。
- 結晶核剤が有機系化合物である請求項1に記載の離型フィルム。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN111873588A (zh) * | 2019-12-23 | 2020-11-03 | 江苏东材新材料有限责任公司 | 一种高密着性mlcc制程用离型膜基膜及其制备方法 |
-
2015
- 2015-03-23 JP JP2015058841A patent/JP2016175357A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111873588A (zh) * | 2019-12-23 | 2020-11-03 | 江苏东材新材料有限责任公司 | 一种高密着性mlcc制程用离型膜基膜及其制备方法 |
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