JP2019058466A - 医療用セメントおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に骨セメントは、重合開始剤の存在下、ポリメチルメタクリレート等の重合体の粉体を含む粉剤と、メチルメタクリレート等の単量体の液体を含む液剤とを、混合して作られている。そして、骨セメントの混合は、医師等が施術中の適切なときに、粉剤と液剤とを混合して作られる。
そして、メチルメタクリレートを用いた骨セメントは推体等の生体への溶出が起こりやすいことが知られている(特許文献1参照)。
[1]重合体(A)、単量体(B)、および重合開始剤(C)を含有する医療用セメントであって、
前記単量体(B)は、下記式(B1)に示す単量体(B1)および下記式(B2)に示す単量体(B2)を有することを特徴とする医療用セメント。
(式(B1)中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R2は炭素数4以上の2価の炭化水素基を示し、R3は水素原子、または(メタ)アクリロイル基を示す。)
(式(B2)中、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R5は2価の炭化水素基を示し;Xはそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子、もしくはメチレン基を示し;ただし、2つのXのうち少なくとも1つはヘテロ原子を示し;mは0〜2を示し;nは0〜2を示し;m+n≧1を示す。)
(式(B3)中、R6は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R7は炭素数1〜3のアルカンジイル基を示し;R8は水素原子、または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
前記単量体(B)は、下記式(B1)に示す単量体(B1)および下記式(B2)に示す単量体(B2)を有することを特徴とする液剤。
(式(B1)中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R2は炭素数4以上の2価の炭化水素基を示し、R3は水素原子、または(メタ)アクリロイル基を示す。)
(式(B2)中、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R5は2価の炭化水素基を示し;Xはそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子、もしくはメチレン基を示し;ただし、2つのXのうち少なくとも1つは酸素原子を示し;mは0〜2を示し;nは0〜2を示し;m+n≧1を示す。)
前記[7]に記載の液剤;
からなるセメント用キット。
本発明の医療用セメントは、重合体(A)、単量体(B)、および重合開始剤(C)を含有し、
前記単量体(B)は、前記式(B1)に示す単量体(B1)および前記式(B2)に示す単量体(B2)を有する。
重合体(A)は、本発明の医療用セメントを硬化させてなる成形体に圧縮強度などの機械的強度を付与するものである。そして、重合体(A)は、医療用セメントの製造に用いられる粉剤に含まれる成分であり、粒子である。
重合体(A)を構成する1官能の単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;
スチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、およびp−イソプロペニルフェノール等のスチレン系単量体;
アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、およびN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体;
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−、又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ならびに
エチレン、プロピレン、およびブタジエン等のオレフィン系単量体;
等が挙げられる。
これら1官能の単量体は1種のみであっても2種以上であってもよい。
なお、本発明における(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートのどちらかであることを示す。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、およびトリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性単量体;が挙げられる。
重合体(A)の粒子は一次粒子であっても、二次粒子であってもよい。
医療用セメントに含まれる、重合体(A)の含有割合は、通常、40〜80質量%、好ましくは、50〜65質量%であり、前記範囲内であれば、医療用セメント製造時のハンドリング性に優れ、さらに強度に優れた成形体を製造することができる。
単量体(B)は、医療用セメントの製造に用いられる液剤に含まれる成分である。
単量体(B)は、常温で液体である。なお、本発明における「常温」は1気圧における23℃を示す。
単量体(B)は、前記式(B1)に示す単量体(B1)および前記式(B2)に示すように、環状カーボネート構造またはラクトン構造を有する単量体(B2)を有する。
また、単量体(B)が、重合開始剤(C)の作用により、重合反応することで、医療用セメントを硬化し、成形体を形成する。
また、単量体(B2)は、環状カーボネート構造又はラクトン構造を有していることから、通常、dDは15〜20、dPは10〜18、dHは5〜10である。
単量体(B1)および単量体(B2)のdDおよびdHは、重合体(A)のdDおよびdHとほぼ同じ値であるが、単量体(B1)のdPは、重合体(A)のdPに比べて低く、単量体(B2)のdPは、重合体(A)のdPに比べて高い。
つまり、単量体(B1)と単量体(B2)からなる混合液のHSPの座標は、重合体(A)のHSPの座標とほぼ同じ座標に調整可能である。
(式(B1)中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R2は炭素数4以上の2価の炭化水素基を示し、R3は水素原子、または(メタ)アクリロイル基を示す。)
前記R2における炭素数4以上の2価の炭化水素基としては、例えば、
ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、およびヘプタデカン−1,17−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基、およびトリシクロデカンジイル等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
フェニレン基、トシレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、キシリレン基、アントラセニレン基等の2価の芳香族炭化水素基;が挙げられる。
これらの中でも、分岐状アルカンジイル基を有する単量体(B1)を含む単量体(B)が重合体(A)を良好に膨潤させることができることから好ましい。
iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、およびn−ノニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエチル(メタ)アクリレート、およびアダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジフェニル(メタ)アクリレート、p−ジフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチルメタクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、およびトリフェニルメチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート系単量体;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、およびトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系単量体;が挙げられる。
単量体(B)中に含まれる単量体(B1)の含有割合は、通常、5〜80質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜35質量%である。
単量体(B)中に含まれる単量体(B1)の含有割合が前記範囲内であれば疎水性組織への接着性に優れた医療用セメントになる。
(式(B2)中、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R5は2価の炭化水素基を示し;Xはそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子、もしくはメチレン基を示し;ただし、2つのXのうち少なくとも1つはヘテロ原子を示し;mは0〜2を示し;nは0〜2を示し;m+n≧1を示す。)
前記R5における炭素数3以上の炭化水素基としては、例えば、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、2−エチルヘキシレン等の直鎖状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
フェニレン基、トシレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、キシリレン基、アントラセニレン基等の2価の芳香族炭化水素基;が挙げられる。
これらの中でも、直鎖アルカンジイル基を有する単量体(B2)が単量体(B1)等の他の単量体との共重合性に優れることから、溶出の少ない成形体を形成することができるため好ましい。
(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)プロピル(メタ)アクリレート、および(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)ブチル(メタ)アクリレート等の環状カーボネート構造含有(メタ)アクリレート系単量体;
2−(メタ)アクリロイルオキシアセトキシ−3−メチル−γ−ブチロラクトン、2−(メタ)アクリロイルオキシアセトキシ−3,3−ジメチル−γ−ブチロラクトン、2−(メタ)アクリロイルオキシアセトキシ−4−メチル−γ−ブチロラクトン、2−(メタ)アクリロイルオキシアセトキシ−4,4−ジメチル−γ−ブチロラクトン、および2−(メタ)アクリロイルオキシアセトキシ−3−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン構造含有(メタ)アクリレート系単量体;が挙げられる。
単量体(B)中に含まれる単量体(B2)の含有量は、単量体(B)中に含まれる単量体(B1)100質量部に対して、通常、30〜300質量部、好ましくは50〜200質量部、より好ましくは80〜150質量部である。
単量体(B)中に含まれる単量体(B2)の含有量が前記範囲内であればセメント混練時の稠度発現の点に優れた医療用セメントになる。
(式(B3)中、R6は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R7は炭素数1〜3のアルカンジイル基を示し;R8は水素原子、または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
前記R7における炭素数1〜3のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、およびプロピレン基等が挙げられる。
前記R8における炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、およびプロピオキシ基等が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、およびプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系単量体;
メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、およびエトキシメチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体;が挙げられる。
単量体(B)中に含まれる単量体(B3)の含有量は、単量体(B)中に含まれる単量体(B1)100質量部に対して、通常、50〜300質量部、好ましくは60〜200質量部、より好ましくは70〜180質量部である。
単量体(B)中に含まれる単量体(B3)の含有量が前記範囲内の単量体(B)は、重合体(A)をとの相溶性を良好に膨潤させることができることから好ましい。
スチレン、およびジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;および10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のリン酸基含有アクリレートが挙げられる。
医療用セメント中に含まれる単量体(B)の含有量が前記範囲内であれば医療用セメント製造時のハンドリング性に優れ、さらに強度に優れた成形体を製造することができる。
重合開始剤(C)は、単量体(B)の重合を開始させる成分である。
重合開始剤(C)としては、有機過酸化物、アゾ化合物、および酸化剤(C11)と還元剤(C12)からなるレドックス系開始剤(C1)が挙げられる。これらの中でも体温付近で穏やかにラジカルを発生させることができることから、周囲組織への悪影響が小さいため、レドックス系開始剤が好ましい。
医療用セメント中に含まれる重合開始剤(C)の含有量は、医療用セメント中に含まれる重合体(A)100質量部に対して、通常、1〜15質量部、好ましくは2〜10質量部であり、前記範囲内であれば、溶出の少ない成形体を形成できることから好ましい。
本発明の医療用セメントは、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合体(A)、単量体(B)、および重合開始剤(C)以外のその他成分を含有してもよい。
前記その他成分としては、無機粒子;ヒドロキノン、およびtert−ブチルヒドロキノン等の重合禁止剤;ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤;シリコーンゴム等の軟質剤;クエン酸エステル等の可塑剤;ならびに抗菌剤および抗生物質等の薬剤;を挙げられる。
二酸化チタンは体液内でアパタイトを形成する機能を有することから、医療用セメントを硬化してなる成形体に高い生体活性能を付与することが可能となり;
酸化ジルコニウムや硫酸バリウムはX線に対して造影効果を有することから、酸化ジルコニウムや硫酸バリウムを含有する医療用セメントは、施術中に医療用セメントが適切に適用されているのかを視覚的に確認することが可能なる。
前記無機粒子は目的に合わせてその種類を選べばよい。
医療用セメント中に含まれる無機粒子の含有割合は、通常、30質量%以下、好ましくは10〜20質量%である。
本発明の成形体は、本発明の医療用セメントを硬化させてなる。
前記「硬化」とは、医療用セメント中に含まれる単量体(B)が重合開始剤(C)により重合して、重合体(A)と共に相互侵入網目構造またはセミ相互侵入網目構造を形成することを示す。
虫歯治療におけるコンポジットレジンを行う場合は、成形体に硬さが必要であるため、外部から温水などを用いて加熱硬化させればよい。
本発明のセメント用キットは、重合体(A)と、レッドクス系開始剤(C1)における酸化剤(C11)とを含む粉剤;および単量体(B)と、レッドクス系開始剤(C1)における還元剤(C12)とを含む液剤;からなる。
本発明のセメント用キットは、粉剤と液剤の2剤を混合するのみで容易に医療用セメントを製造することができることから、施術者の経験や能力に依存せず、適切な医療用セメントを製造することができる。
粉剤および液剤の詳細を後述する。
粉剤は、重合体(A)と、レッドクス系開始剤(C1)における酸化剤(C11)とを含む。
重合体(A)は常温で粉体の化合物であり、また、酸化剤(C11)も常温で粉体の化合物である。
また、粉剤中に含まれる重合体(A)100質量部に対して、レッドクス系開始剤(C1)における酸化剤(C11)の含有量は、通常、0.6〜6質量部、好ましくは2〜4質量部である。
そのような成分としては、例えば、前記無機粒子、ゲンタマイシン等の抗菌剤、およびシリコーンゴム等の軟質剤が挙げられる。
粉剤は、吸湿や光による分解を抑えるため、通常、褐色瓶等の遮光能を有する容器に入れて保管する。
本発明の液剤は、単量体(B)と、レッドクス系開始剤(C1)における還元剤(C12)とを含み、前記単量体(B)は、前記式(B1)に示す単量体(B1)および前記式(B2)に示す単量体(B2)を含有する。
ここで単量体(B)は、常温において液体である。
また、レドックス系開始剤(C1)は、常温において液体であっても、固体であってもどちらでもよいが、レドックス系開始剤(C1)が液体である場合は、液体である単量体(B)と混合しており、レドックス系開始剤(C1)が固体である場合は、液体である単量体(B)に溶解している必要がある。
また、液剤中に含まれる単量体(B)100質量部に対して、レッドクス系開始剤(C1)における還元剤(C12)の含有量は、通常、1〜5質量部、好ましくは2〜4質量部である。
そのような成分としては、例えば、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン等の重合禁止剤が挙げられる。
液剤は、漏洩や単量体の重合反応を抑えるため、通常、褐色のアンプル瓶やスクリュー瓶等の遮光能を有する容器に入れて保管する。
ポリテトラフルオロエチレン製の容器に、重合体(A)として、ポリメタクリル酸メチル(製品名「MBX−8」、積水化成品工業(株)製、平均粒子径:8μm、数平均分子量:310,000、dD:18.6、dP:10.5、dH:5.1)8g、造影剤として、硫酸バリウム(販売コード:022−00425、和光純薬工業(株)製)1gを入れた。さらに、レドックス系開始剤(C1)の酸化物(C11)として、過酸化ベンゾイル(製品コード:B3152、東京化成(株)製)0.7gを入れ、脱気しながら、ミキサー(機器名「あわとり練太朗ARV−310」、THINKY社製)にて、1000rpmで3分間攪拌して、粉剤1を得た。
ポリテトラフルオロエチレン製の容器に、単量体(B)として、2−エチルヘキシルメタクリレート(略して「EHMA」)1.5g、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(略して「CCMA」)1.5g、およびメチルメタクリレート(略して「MMA」)7gを入れた。さらに、レッドクス系開始剤(C1)の還元剤(C12)として、N,N−ジメチル−p−トルイジン(略して「DMPT」)0.5gを入れ、スターラーにて5分間攪拌し、液剤1を製造した。
下記表1に示す単量体(B)の種類および量を用いた以外は、実施例1Aと同様の操作にて、液剤2〜9を製造した。表1に液剤1〜9のHSPのdD、dPおよびdHを記載した。
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
HDMA:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
CCMA:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MEA:メトキシエチルアクリレート
DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン
ポリテトラフルオロエチレン製の容器に、粉剤1を9.7g入れ、次いで、液剤1を10.5g入れ、ポリテトラフルオロエチレン製のスパチュラで60rpmで外観が透明になるまで攪拌し、医療用セメント1を製造した。攪拌に要した時間は3分であった。
実施例1Bにおいて、液剤1の代わりに液剤2〜9を用いた以外は、実施例1Bと同様の操作にて、医療用セメント2〜9の製造を行った。外観が透明になるまで攪拌に要した時間を、「溶解能」として以下の基準にて評価した。評価結果を下記表2に示す。
A:4分未満で外観が透明になった場合。
B:4分以上、5分未満で外観が透明になった場合。
C:5分以上、1000分未満で外観が透明になった場合。
D:1000分で外観が透明にならなかった場合。
ポリテトラフルオロエチレン製の円柱型容器(容積:6mmφ/h=12mm)に、医療用セメント1を充填し、封入した。封入後の容器を30℃で12時間静置した。静置後、容器から内容物を取り出し、円柱状の成形体1を製造した。
成形体1を、万能試験機(製品名「3382デュアルコラム床置型試験機」、イントロン社製)に取り付け、圧縮強度を測定したところ(クロスヘッドスピード:0.5mm/分)、50MPaであった。
また、成形体1を、2.5倍の体積のイオン交換水に37℃で5日間侵漬した。侵漬後の成形体1を乾燥し、侵漬前後での成形体1の重量変化にて、成形体1からの単量体(B)の溶出量を算出したところ、3質量%以下の重量減少であった。
実施例1Cにおいて、医療用セメント1の代わりに、医療用セメント2〜9を用いた以外は、実施例1Bと同様の操作にて、成形体2〜9の製造を行った。
次いで、実施例1Cと同様に、製造した成形体の圧縮強度を測定した。また、実施例1Cと同様に製造した成形体の溶出量を測定した。なお、溶出量は下記基準にて評価した。
A:3質量%未満の重量減少。
B:3質量%以上、5質量%未満の重量減少。
C:5質量%以上の重量減少。
Claims (8)
- 重合体(A)、単量体(B)、および重合開始剤(C)を含有する医療用セメントであって、
前記単量体(B)は、下記式(B1)に示す単量体(B1)および下記式(B2)に示す単量体(B2)を有することを特徴とする医療用セメント。
(式(B1)中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R2は炭素数4以上の2価の炭化水素基を示し、R3は水素原子、または(メタ)アクリロイル基を示す。)
(式(B2)中、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R5は2価の炭化水素基を示し;Xはそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子、もしくはメチレン基を示し;ただし、2つのXのうち少なくとも1つはヘテロ原子を示し;mは0〜2を示し;nは0〜2を示し;m+n≧1を示す。) - 前記重合体(A)が、(メタ)アクリル系単量体由来の構造単位を含む重合体である請求項1の医療用セメント。
- 前記単量体(B1)100質量部に対して、前記単量体(B2)が50〜200質量部有する請求項1または2に記載の医療用セメント。
- 前記単量体(B)が、さらに、下記式(B3)に示す単量体(B3)を有する請求項1〜3のいずれかに記載の医療用セメント。
(式(B3)中、R6は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R7は炭素数1〜3のアルカンジイル基を示し;R8は水素原子、または炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。) - 前記重合開始剤(C)が、酸化剤(C11)と還元剤(C12)からなるレッドクス系開始剤(C1)である、請求項1〜4の何れかに記載の医療用セメント。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の医療用セメントを硬化させてなる成形体。
- 単量体(B)と、レッドクス系開始剤(C1)における還元剤(C12)とを有する液剤であって、
前記単量体(B)は、下記式(B1)に示す単量体(B1)および下記式(B2)に示す単量体(B2)を有することを特徴とする液剤。
(式(B1)中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R2は炭素数4以上の炭化水素基を示し、R3は水素原子、または(メタ)アクリロイル基を示す。)
(式(B2)中、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を示し;R5は炭化水素基を示し;Xはそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子、もしくはメチレン基を示し;ただし、2つのXのうち少なくとも1つは酸素原子を示し;mは0〜2を示し;nは0〜2を示し;m+n≧1を示す。) - 重合体(A)と、レッドクス系開始剤(C1)における酸化剤(C11)とを含む粉剤:
請求項7に記載の液剤;
からなるセメント用キット。
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