JP2019058105A - 発酵乳の製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Horiuchi
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    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23CDAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
    • A23C9/00Milk preparations; Milk powder or milk powder preparations
    • A23C9/12Fermented milk preparations; Treatment using microorganisms or enzymes

Abstract

【課題】シンプルな製造工程で濃厚タイプの発酵乳を安価に製造する発酵乳の製造方法の提供。【解決手段】脂肪分を5重量%以上で含む原料乳を調製する原料乳調整工程と,原料乳のメディアン粒子径が0.7μm以下となるように当該原料乳を均質化する均質化工程と,均質化後の原料乳を発酵させる発酵工程とを含む発酵乳の製造方法。前記均質化工程の前又は後に,前記原料乳を90〜115℃で1〜10分間加熱殺菌する加熱殺菌工程を、また,原料乳に含まれる溶存酸素濃度を低減させる脱酸素工程をさらに含む発酵乳の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は,発酵乳の製造方法に関する。本発明は,ギリシャヨーグルトや水切りヨーグルトの様な粘性の高い濃厚な発酵乳を製造する方法に関する。
近年,ギリシャヨーグルトや水切りヨーグルトの様に水分を除去して固形分を濃縮した粘性の高いヨーグルト(発酵乳)の需要が高まりつつある。ギリシャヨーグルトを製造する際には,一般的に,セパレーターを用いたホエイの分離処理やホエイを濾し取る膜処理を行うことによって水分を除去する方法がとられる(特許文献1)。また,水切りヨーグルトは,家庭でも作成することができ,一般的には市販されているプレーンヨーグルトを布などで濾してホエイを除去する方法がとられる。これらのヨーグルトは,風味が濃厚であり,また高い粘性を持つという特徴がある。
例えば,特許文献1には,調製したヨーグルトミックスをpH4.7未満まで発酵し,発酵後のヨーグルトのホエイを除去し,ヨーグルトをオーバーランが105〜200%となるまで攪拌することで,濃厚タイプヨーグルトが得られることが開示されている。
国際公開WO/2011/078107号パンフレット
しかしながら,従来の方法により濃厚タイプのヨーグルトを製造するには,前述のとおりホエイなどの水分を除去するための分離処理や膜処理を行う必要があるため,大量生産しようとすると製造工程数が増加し,結果としてヨーグルトの製造コストが嵩むという問題があった。また,従来の製造方法では,ホエイを除去することとしているため,一定量のヨーグルトを得ようとするとその分多くの原料乳が必要となり,原料コストも嵩むという問題がある。
そこで,本発明は,シンプルな製造工程で濃厚タイプの発酵乳を安価に製造することを目的とする。
本発明の発明者は,上記の従来技術の問題を解決する手段について鋭意検討した結果,原料乳における脂肪分を高濃度(5重量%以上)に調整し,かつ,原料乳に含まれる固形分を微細化する(メディアン径が0.7μm以下となる)ように原料乳を均質化することで,ホエイを除去する工程を経ることなく,粘性の高い濃厚タイプの発酵乳を製造することができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば従来技術の問題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
本発明は,発酵乳の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は,原料乳調整工程と,均質化工程と,発酵工程を含む。原料乳調整工程は,脂肪分を5重量%以上で含む原料乳を調製する工程である。脂肪分含有量の上限は特に制限されないが,例えば15重量%以下であることが好ましい。均質化工程は,原料乳に含まれる固形分のメディアン粒子径が0.7μm以下となるように当該原料乳を均質化する工程である。メディアン径の下限は特に制限されないが,例えば0.1μm以上であることが好ましい。発酵工程は,均質化後の原料乳を発酵させる工程である。なお,発酵工程は,乳酸菌スターターが接種された原料乳を容器に充填した後に静置発酵させる後発酵工程であることが好ましい。この場合,プレーンヨーグルトなどの後発酵型の発酵乳を得ることができる。
上記のように,原料乳の脂肪含有量を高く調整し,かつ,均質化工程において原料乳中の脂肪やタンパク質などの固形成分を微細化することにより,製造過程においてホエイ(液体画分)をカード(個体画分)から分離除去する工程を行わずに,高粘性の濃厚タイプの発酵乳を得ることができる。また,本発明にて実施される原料乳調整工程,発酵工程,及び均質化工程はいずれも一般的なプレーンヨーグルトの製造方法でも実施されている工程であるため,このような通常のヨーグルトの製造方法と同じシンプルな工程で,濃厚タイプの発酵乳を製造することが可能となる。さらに,ホエイを分離除去する必要がないため,原料乳の全量を使用して発酵乳を製造することができ,従来と比較して濃厚タイプの発酵乳を安価で製造することができるようになる。
本発明に係る製造方法は,均質化工程の前又は後に,原料乳を90〜115℃で1〜10分間加熱殺菌する加熱殺菌工程をさらに含むことが好ましい。このように,一般的に高温短時間殺菌処理(HTST殺菌)と称される温度帯及び時間帯にて原料乳を加熱殺菌することにより,他の殺菌処理方法に比較してカードの軟化を抑制し,粘性の高い濃厚な発酵乳を得ることができる。原料乳を120℃以上で加熱する超高温加熱処理処理(UHT殺菌)や,原料乳を50〜65℃で30分以上加熱する低温長時間殺菌処理(LTLT殺菌)では,カードの軟化が懸念されるため,ギリシャヨーグルトの様な高粘性の発酵乳を製造しにくくなると考えられる。このため,本発明では,高温短時間殺菌処理(HTST殺菌)を採用することが好ましい。
本発明に係る製造方法は,発酵工程の前に,原料乳に含まれる溶存酸素濃度を低減させる脱酸素工程をさらに含むこととしてもよい。原料乳の溶存酸素濃度を低減させることで発酵乳の粘度をさらに高くすることができる。
本発明に係る製造方法において,最終的に得られる発酵乳は,その粘度が4000cp〜12000cpであることが好ましい。このように,本発明によれば,粘性の高い濃厚タイプの発酵乳を製造することができる。
本発明は,シンプルな製造工程でギリシャヨーグルトの様な濃厚タイプの発酵乳を安価に製造することができる。
図1は,本発明に係る発酵乳の製造方法のフローの一例を示している。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
なお,本願明細書において,「A〜B」とは「A以上B以下」であることを意味する。
本発明は,粘性の高い濃厚タイプの発酵乳の製造方法に関する。本発明によって製造される発酵乳の例は,ヨーグルトである。ヨーグルトは,後発酵型のプレーンタイプやハードタイプであることが好ましい。
図1に示されるように,本発明の実施形態に係る発酵乳の製造方法は,原料乳調製工程(S1),均質化工程(S2),加熱殺菌工程(S3),乳酸菌スターター接種工程(S4),及び発酵工程(S5)を含む。
原料乳調製工程(S1)は,発酵乳の元となる原料乳を調製する工程である。原料乳は,ヨーグルトベースやヨーグルトミックスとも呼ばれる。原料乳は,乳,濃縮乳,全脂粉乳,脱脂乳,脱脂濃縮乳,脱脂粉乳,部分脱脂乳,部分脱脂濃縮乳,部分脱脂粉乳,及び乳たんぱく質濃縮物からなる群より選択される1種または2種以上を含む。本発明において,原料乳には公知のものを用いることができる。例えば,原料乳は,生乳のみからなるもの(生乳が100%のもの)であってもよい。また,原料乳は,生乳に,脱脂粉乳,クリーム,水などを混合して調製したものであってもよい。また,原料乳は,これらの他に,殺菌乳,全脂乳,脱脂乳,全脂濃縮乳,脱脂濃縮乳,全脂粉乳,バターミルク,有塩バター,無塩バター,ホエー,ホエー粉,ホエータンパク質濃縮物(WPC),ホエータンパク質単離物(WPI),α−La(アルファ−ラクトアルブミン),β−Lg(ベータ−ラクトグロブリン),乳糖などを混合(添加)して調製したものであってもよい。また,原料乳は,予め温めたゼラチン,寒天,増粘剤,ゲル化剤,安定剤,乳化剤,ショ糖,甘味料,香料,ビタミン,ミネラルなどを適宜添加して調製したものであってもよい。ただし,ゼラチン,寒天,増粘剤,ゲル化剤,安定剤などの発酵乳の硬度を高めるための添加剤は,発酵乳の風味を損なうことが懸念されるため,原料乳に添加しないことが好ましい。
本発明では,高粘性の発酵乳を得るために脂肪含有量が高くなるように原料乳を調製する。原料乳に含まれる脂肪分(特に乳脂肪分)の下限は,5重量%以上であればよく,5.5重量%,6重量%,7重量%,8重量%,9重量%,又は10重量%であってもよい。また,原料乳に含まれる脂肪分の上限は,15重量%以下であることが好ましく,14重量%,13重量%,12重量%,11重量%,又は10重量%であってもよい。基本的に原料乳中の脂肪含有量はそのまま発酵乳の脂肪含有量に反映される。発酵乳の脂肪含有量を高めることで,その風味を濃厚なものとすることができる。原料乳の脂肪含有量を高めるためには,例えば原料乳中における乳や,濃縮乳,全脂粉乳,クリームなどの乳脂肪分を含有する材料の割合を高くすればよい。なお,「クリーム」は,日本の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)で定める「生乳,牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの」であって,基本的に乳脂肪分を18.0重量%以上で含有している。また,原料乳にクリームを配合してその乳脂肪分を高く調整する場合,そのクリームは適度なホイップ(起泡)状態とされたホイップクリームを使用することとしてもよい。ホイップクリームは,生クリームやフレッシュクリームを撹拌して空気を含有させたものである。
また,原料乳にホエータンパク質濃縮物(WPC)を混合することとしてもよい。「ホエータンパク質濃縮物」とは,平均粒子径が2〜10μmであるホエータンパク質を主成分とする粒子の濃縮体である。ホエータンパク質濃縮物を原料乳に加えることで,原料乳の調製により,最終的に得られる発酵乳の強度を向上させることができる。例えば,原料乳には,ホエータンパク質濃縮物が1〜20重量%又は5〜15重量%で含まれていることとしてもよい。
均質化工程(S2)は,原料乳を均質化する工程である。均質化工程では,主に原料乳に含まれるタンパク質および/または脂肪分によって構成される粒子(脂肪球)を細かく粉砕(微細化)する。均質化工程は,1回のみ行われてもよいし,2回行われてもよいし,3回以上行われてもよい。原料乳を均質化する方法としては,例えば原料乳を加圧して押し出しながら狭い間隙を通過させる方法や,原料乳を減圧して吸引しながら狭い間隙を通過させる方法が挙げられる。均質化工程では,原料乳に含まれる固形成分のメディアン粒子径が0.7μm以下となるように,原料乳を加圧又は吸引する圧力やその流速が調整される。また,原料乳を均質化する工程は,原料乳を発酵させる工程の直前まで,原料乳に含まれる固形成分のメディアン粒子径が0.7μm以下となるように行うようにしてもよい。なお,「メディアン粒子径」とは,体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径を意味する。
均質化処理後の原料乳のメディアン粒子径の上限は,0.7μmであればよく,0.6μm又は0.55μmであることが好ましく,0.5μmであることが特に好ましい。均質化処理後の原料乳のメディアン粒子径の下限は,0.1μmであることが好ましく,0.2μm又は0.3μmであることとしてもよい。均質化工程において,原料乳を加圧(又は吸引)する圧力の下限は,20MPaであることが好ましく,22MPa又は25MPaであってもよい。また,原料乳を加圧(又は吸引)する圧力の下限は,40MPaであることが好ましく,38MPa又は35MPaであってもよい。このように,均質化処理において原料乳に強い圧力を負荷し,その原料乳中に含まれる固形成分のメディアン径を0.7μm以下,好ましくは0.5μm以下まで微細化する。なお,均質化処理は,公知の均質機(ホモゲナイザー)を用いた処理に限られず,その他に攪拌やホモミキサー,エクストルーダーなどによる公知の剪断処理も含まれる。
加熱殺菌工程(S3)は,原料乳を発酵する前に,原料乳を加熱して殺菌する工程である。加熱殺菌工程では,高温短時間殺菌を行うことが好ましい。高温短時間殺菌とは,原料乳を90〜115℃で1〜10分間加熱殺菌することを意味する。図1に示した実施形態において,加熱殺菌工程は,均質化工程後に行われる。ただし,加熱殺菌工程は,均質化工程前に行うこととしてもよい。
高温短時間殺菌における加熱温度の下限は,90℃以上であればよく,95℃又は100℃であってもよい。また,高温短時間殺菌における加熱温度の上限は,115℃以下であればよく,110℃又は105℃としてもよい。また,高温短時間殺菌における加熱時間の下限は,1分,2分,又は5分であることが好ましく,加熱時間の上限は,10分,9分,又は8分であることが好ましい。
また,加熱によって原料乳を殺菌した後,乳酸菌スターター添加工程の前に,高温になっている原料乳を発酵に適した温度域(発酵温度域)にまで冷却することが好ましい。発酵温度とは,微生物(乳酸菌など)が活性化して,当該微生物の増殖促進される温度を意味する。例えば原料乳の発酵温度域は,30〜60℃が一般的である。本発明においては,加熱殺菌後に高温になっている培地を,例えば30〜60℃の培養温度域にまで冷却することが好ましく,40〜50℃まで冷却することがより好ましい。
乳酸菌スターター接種工程(S4)は,加熱殺菌後に発酵温度域にまで冷却された原料乳に,乳酸菌スターターを接種(添加)する工程である。なお,乳酸菌スターター接種工程では,加熱殺菌後に原料乳が所定温度まで低下した後に乳酸菌スターターを接種してもよいし,加熱殺菌工程後に原料乳が所定温度まで低下している最中に乳酸菌スターターを接種してもよい。乳酸菌スターターは,原料乳に対して,0.1重量%以上で添加することが好ましい。具体的には,乳酸菌スターターは,原料乳に対して,0.1〜15重量%,0.5〜10重量%,又は1〜5重量%で添加すればよい。なお,乳酸菌スターターが接種された原料乳を発酵乳基材ともいう。
乳酸菌スターターは,ブルガリア菌を含むことが好ましい。「ブルガリア菌」とは,ラクトバチルス・ブルガリクス(L. bulgaricus)である。また,乳酸菌スターターは,ブルガリア菌に加えて,サーモフィルス菌を含むことが好ましい。「サーモフィルス菌」とは,ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)である。また,本発明において,乳酸菌には,ブルガリア菌とサーモフィルス菌の他に,公知の乳酸菌が含まれていてもよい。公知の乳酸菌の例は,ガセリ菌(ラクトバチルス・ガッセリ(L. gasseri)),ラクティス菌(ラクトコッカス・ラクティス(L. lactis)),クレモリス菌(ラクトコッカス・クレモリス(L. cremoris)),ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium))などある。
発酵工程(S5)は,乳酸菌スターターによって原料乳を発酵させる工程である。発酵工程では,乳酸菌スターターが接種された原料乳(発酵乳基材)を発酵温度域(例えば30〜60℃)に保持しながら発酵させて発酵乳を得る。本発明において,発酵工程としては,後発酵を採用することが好ましい。後発酵とは,乳酸菌スターターが接種された原料乳を容器に充填した後に静置発酵させることを意味する。後発酵型の発酵乳を製造する際には,原料乳を均質化及び殺菌してから,その原料乳に乳酸菌スターターを添加した後に,容器に充填することが一般的である。なお,容器は,発酵乳(乳製品)の製造において一般的に用いられる容器であればよく,例えばプラスチック製,ガラス製,又は紙製等の容器を採用することができる。また,発酵乳基材が充填された容器は密封された状態で静置されることが好ましい。なお,ここにいう「静置」とは,発酵乳基材を攪拌しないことを意味するものであり,例えば発酵乳基材を収容した容器を移動するような場合であっても,発酵乳基材が撹拌されないのであれば「静置」に該当する。後発酵によれば,いわゆるプレーンタイプやハードタイプといった一定の硬度を持つヨーグルトが得られる。
ここで,発酵工程では,原料乳を発酵させる条件を,原料乳や乳酸菌の種類や数量,発酵乳の風味や食感などを考慮して,発酵温度や発酵時間などを適宜調整すればよい。例えば,発酵工程では,原料乳が発酵温度域に1時間以上で保持されていることが好ましい。具体的には,発酵工程では,原料乳を保持する期間(発酵時間)は,1時間〜12時間であることが好ましく,2時間〜8時間であることがより好ましく,3時間〜5時間であることがさらに好ましい。また,発酵工程では,原料乳を発酵させる条件を,発酵後の発酵乳が所定の乳酸酸度(酸度)やpHをなることを目標にして適宜調節してもよい。具体的に,発酵工程は,発酵乳の乳酸酸度が0.7%又は0.8%に到達するまで継続することが好ましい。なお,原料乳の酸度(乳酸酸度)は,乳等省令の「乳等の成分規格の試験法」に従って測定することができる。具体的には,試料の10gに,炭酸ガスを含まないイオン交換水を10mLで添加してから,指示薬として,フェノールフタレイン溶液を0.5mLで添加する。そして,水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L)を添加しながら,微紅色が消失しないところを限度として滴定し,その水酸化ナトリウム溶液の滴定量から試料の100g当たりの乳酸の含量を求めて,酸度(乳酸酸度)とする。なお,フェノールフタレイン溶液は,フェノールフタレインの1gをエタノール溶液(50%)に溶かして100mLにフィルアップして調整される。
発酵を終えた後(例えば所定の酸度に達した後),発酵乳は冷却される。発酵乳を冷却することで,発酵の進行が抑制される。このとき,発酵乳を発酵温度域(例えば30〜60℃)よりも低温になるまで冷却する。例えば発酵乳は15℃以下まで冷却されることが好ましい。具体的には,発酵乳は,1〜15℃に冷却されていることが好ましく,3〜12℃に冷却されていることがより好ましく,5〜10℃に冷却されていることがさらに好ましい。このように,発酵乳を食用に適した温度に冷却することで,発酵乳の風味(酸味など)や食感(舌触りなど)や物性(硬さなど)が変化することを抑制や防止できる。
また,図示は省略するが,本発明の製造方法は,さらに脱酸素工程を含んでいてもよい。脱酸素工程は,原料乳に含まれる溶存酸素濃度を低減させる工程である。脱酸素工程は,上記発酵工程の前に行えばよく,例えば原料乳調整工程と均質化工程の間や,均質化工程と発酵工程の間に行うことができる。脱酸素工程は,発酵開始時における原料乳の溶存酸素濃度が通常よりも低くなるようにする。例えば,脱酸素工程を行った原料乳は,溶存酸素濃度が5ppm以下,3ppm以下,又は1ppm以下となることが好ましい。原料乳の溶存酸素濃度を低減することで乳酸酸度が所定の数値に早く到達するため,発酵時間が短縮し生産効率を向上させることができる。
原料乳の溶存酸素濃度を低減する方法は,例えば原料乳に不活性ガスを注入して原料乳の酸素と不活性ガスを置換する方法であってもよいし,原料乳を低圧または真空の状態に保持して脱気することによって原料乳の酸素を除去する方法であってもよい。原料乳の溶存酸素濃度を低減する方法および設備は,上述した方法に限らず公知の方法および設備を用いることができる。
上述した本発明の実施形態に係る製造方法によれば,ホエイを除去する特別な処理を行わなくても,通常の発酵乳を製造する場合と同じシンプルな工程により,ギリシャヨーグルトの様な高い粘性を持つ濃厚タイプの発酵乳を安価に製造することができる。本発明により得られた発酵乳は,撹拌後の粘度(B型粘度計TVB-10(東機産業)で測定)が4000cp以上となることが好ましい。発酵乳の粘度の下限は,4000cp以上であることが好ましく,4400cp,5000cp,6000cp,又は7000cpであることが特に好ましい。発酵乳の粘度の上限は特に制限されないが,食べやすさを考慮すると,12000cp以下であることが好ましく,10000cp以下であることが特に好ましい。
[評価方法]
(メディアン粒子径の測定方法)
メディアン粒子径は,各実施例及び比較例において各種条件で調整した原料乳,及び各種条件で製造した発酵乳を撹拌したものについて,レーザー回折式の粒度分布測定装置SALD-2200(島津製作所製)を用いて測定した。具体的には,原料乳又は撹拌後の糊状の発酵乳をイオン交換水で希釈し,その回折・散乱の光強度の分布の最大値が35〜75%(絶対値:700〜1500)になるように調整した。そして,粒度分布測定装置用のソフトウェアWingSALD IIを用いて,その光強度の分布を解析し,原料乳に含まれる固形成分のメディアン粒子径を求めた。なお,発酵乳の撹拌は,B型粘度計TVB-10(東機産業)の4号(M23)ローターを用いて,60rpmで30秒間撹拌した。
(発酵乳の粘度の測定方法)
各実施例及び比較例の条件にて製造した発酵乳を撹拌した際の粘度をB型粘度計TVB-10(東機産業)を用いて測定した。発酵乳の撹拌は,B型粘度計TVB-10の4号(M23)ローターを用いて,60rpmで30秒間行った。
[実施例1]
(高脂肪:5.0%,脂肪微細化:0.60μm,HTST殺菌)
ステンレス容器にて,生乳:862g,脱脂粉乳:25g,生クリーム:33g,水道水:60gを混合してヨーグルトベース(原料乳)を調製した。ヨーグルトベースの無脂乳固形分(SNF)は10.0%であり,脂肪分(FAT)は5.0%であった。その後,ヨーグルトベースを20L/hの流量,25MPaの圧力で均質化した。均質化後のヨーグルトベースに含まれる固形成分(特に脂肪球)のメディアン粒子径は0.60μmであった。均質化後のヨーグルトベースを95℃で5分間加熱殺菌した後に,43℃に冷却した。そして,LB81バルクスターター(ブルガリアヨーグルトLB81に用いている乳酸菌を用いた種菌)を20g(2重量%)でヨーグルトベースに接種した後にカップ容器(容量:100g,プラスチック製)へ充填し,発酵室(43℃)で乳酸酸度が0.7%に到達するまで発酵し,その後5℃まで冷却し,実施例1に係る発酵乳を製造した。
実施例1に係るヨーグルトを撹拌した後にその粘度を測定したところ,4430cpであった。また,このヨーグルトは,スプーンですくって逆さにしても落ちてこない程度に強い粘性を持つものであった。
[実施例2]
(高脂肪:5.0%,脂肪微細化:0.44μm,HTST殺菌)
実施例2では,上記実施例1と同条件で調整したヨーグルトベースを20L/hの流量,35MPaの圧力で均質化した。均質化後のヨーグルトベースに含まれる固形成分のメディアン粒子径は,0.44μmであった。実施例2では,均質化処理の条件を実施例1と異ならせた以外は,実施例1とすべて同じ条件でヨーグルトを製造した。
実施例2に係るヨーグルトを撹拌した後にその粘度を測定したところ,7090cpであった。また,このヨーグルトは,スプーンですくって逆さにしても落ちてこない程度に強い粘性を持つものであった。
[実施例3]
(高脂肪:10.0%,脂肪微細化:0.59μm,HTST殺菌)
ステンレス容器にて,生乳:800g,脱脂粉乳:25g,生クリーム:145g,水道水:10gを混合してヨーグルトベース(原料乳)を調製した。ヨーグルトベースの無脂乳固形分(SNF)は10.0%であり,脂肪分(FAT)は10.0%であった。その後,ヨーグルトベースを20L/hの流量,35MPaの圧力で均質化した。均質化後のヨーグルトベースに含まれる固形成分(特に脂肪球)のメディアン粒子径は0.59μmであった。均質化後のヨーグルトベースを95℃で5分間加熱殺菌した後に,43℃に冷却した。そして,LB81バルクスターター(ブルガリアヨーグルトLB81に用いている乳酸菌を用いた種菌)を20g(2重量%)でヨーグルトベースに接種した後にカップ容器(容量:100g,プラスチック製)へ充填し,発酵室(43℃)で乳酸酸度が0.7%に到達するまで発酵し,その後5℃まで冷却し,実施例3に係る発酵乳を製造した。
実施例3に係るヨーグルトを撹拌した後にその粘度を測定したところ,9540cpであった。また,このヨーグルトは,スプーンですくって逆さにしても落ちてこない程度に十分に強い粘性を持つものであった。
[比較例1]
(高脂肪,HTST殺菌)
比較例1では,上記実施例1と同条件で調整したヨーグルトベースを15MPaの圧力で均質化した。均質化後のヨーグルトベースに含まれる固形成分のメディアン粒子径は,0.76μmであった。比較例1では,均質化処理の条件を実施例1と異ならせた以外は,実施例1とすべて同じ条件でヨーグルトを製造した。
比較例1に係るヨーグルトを撹拌した後にその粘度を測定したところ,2050cpであった。また,このヨーグルトは,スプーンですくって逆さにすると簡単に落ちてくる程度の粘性しか有しておらず,ギリシャヨーグルトの様な強い粘性を有するものではなかった。このことから,ヨーグルトベースを高脂肪組成とし,それに高温短時間殺菌を行うだけでは十分な粘性を得ることができず,それらに加えてヨーグルトベース内の固形成分を微細化するように均質化処理を行うことが重要になることが確認された。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
本発明は,発酵乳の製造方法に関する,従って,本発明は,発酵乳の製造業において好適に利用しうる。

Claims (4)

  1. 脂肪分を5重量%以上で含む原料乳を調製する原料乳調整工程と,
    前記原料乳のメディアン粒子径が0.7μm以下となるように当該原料乳を均質化する均質化工程と,
    前記均質化後の原料乳を発酵させる発酵工程と,を含む
    発酵乳の製造方法。
  2. 前記均質化工程の前又は後に,前記原料乳を90〜115℃で1〜10分間加熱殺菌する加熱殺菌工程をさらに含む
    請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  3. 前記発酵工程の前に,原料乳に含まれる溶存酸素濃度を低減させる脱酸素工程をさらに含む
    請求項1又は請求項2に記載の発酵乳の製造方法。
  4. 前記発酵乳は,粘度が4000cp〜12000cpである
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の発酵乳の製造方法。
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