JP2019056398A - 液体封入マウント - Google Patents
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Abstract
【課題】振動発生部から振動が入力された際に、可動部材が収容室の壁面に当接することで生じる異音を抑えることができる液体封入マウントを提供する。
【解決手段】液体封入マウント10は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、これらの両取付部材同士を連結する弾性体13と、液体Lが封入された前記第1取付部材内の液室16を、弾性体を壁面の一部とする主液室16aと、副液室16bと、に区画する仕切り部材20と、仕切り部材に設けられた収容室18内に、第1取付部材の軸方向に変形可能または変位可能に収容された可動部材40と、を備える。可動部材40の外周縁部には傾斜突起部が形成されている。仕切り部材には、収容室と主液室とを連通する第1連通孔19aが形成されている。第1連通孔の横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室側の端部で最も大きくなる。
【選択図】図1
【解決手段】液体封入マウント10は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、これらの両取付部材同士を連結する弾性体13と、液体Lが封入された前記第1取付部材内の液室16を、弾性体を壁面の一部とする主液室16aと、副液室16bと、に区画する仕切り部材20と、仕切り部材に設けられた収容室18内に、第1取付部材の軸方向に変形可能または変位可能に収容された可動部材40と、を備える。可動部材40の外周縁部には傾斜突起部が形成されている。仕切り部材には、収容室と主液室とを連通する第1連通孔19aが形成されている。第1連通孔の横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室側の端部で最も大きくなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する液体封入マウント(防振装置)に関する。
この種の液体封入マウントとして、例えば下記特許文献1に記載の構成が知られている。この液体封入マウントは、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これらの両取付部材を連結する弾性体と、液体が封入された第1取付部材内の液室を、弾性体を壁面の一部とする主液室と、副液室と、に区画する仕切り部材と、仕切り部材に設けられた収容室内に、第1取付部材の軸方向に変形可能または変位可能に収容された可動部材と、を備えている。仕切り部材には、収容室と、主液室および副液室と、を各別に連通する複数の連通孔が設けられている。
上記従来の液体封入マウントでは、振動発生部からの入力に基づいて主液室の液圧が変動したときに、可動部材が軸方向に変位または変形して収容室の壁面に当接することで、例えば仕切り部材が振動する等して異音が生じるという課題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、振動発生部から振動が入力された際に、可動部材が収容室の壁面に当接することで生じる異音を抑えることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の液体封入マウントは、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これらの両取付部材同士を連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする主液室と、副液室と、に区画する仕切り部材と、前記仕切り部材に設けられた収容室内に、前記第1取付部材の軸方向に変形可能または変位可能に収容された可動部材と、を備え、前記仕切り部材には、前記収容室と前記主液室とを連通する第1連通孔、および前記収容室と前記副液室とを連通する第2連通孔が形成され、前記可動部材のうち、少なくとも外周縁部には前記第1取付部材の中心軸線に沿う軸方向および径方向の双方向に対して傾斜した方向に突出する傾斜突起部が形成されており、前記第1連通孔の横断面積は、前記軸方向に変化し、かつ前記収容室側の端部で最も大きくなることを特徴とする。
本発明の液体封入マウントによれば、可動部材の外周縁部に軸方向および径方向の双方向に対して傾斜した方向に突出する傾斜突起部が形成されているため、液体封入マウントに振動が入力されて傾斜突起部が収容室の壁面に当接する際に、傾斜突起部をせん断変形させながら振動エネルギーを吸収させることができる。このため、例えば可動部材を圧縮変形させて振動エネルギーを吸収する場合と比較して、可動部材の変形量や変形に要する時間が大きくなり、可動部材の変形に伴う反力の急激な上昇が抑えられ、可動部材の変形による緩衝効果を強めることができる。
さらに、仕切り部材には収容室と主液室とを連通する第1連通孔が形成され、該第1連通孔の横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室側の端部で最も大きくなるため、振動の入力に伴って第1連通孔を通して収容室内に流入する液体の流動方向が分散され、可動部材に作用する液圧を小さくすることができる。これにより、収容室の壁面に当接する際の可動部材の速度が抑えられて液体封入マウントが振動しにくくなり、異音の発生を抑制することができる。
さらに、仕切り部材には収容室と主液室とを連通する第1連通孔が形成され、該第1連通孔の横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室側の端部で最も大きくなるため、振動の入力に伴って第1連通孔を通して収容室内に流入する液体の流動方向が分散され、可動部材に作用する液圧を小さくすることができる。これにより、収容室の壁面に当接する際の可動部材の速度が抑えられて液体封入マウントが振動しにくくなり、異音の発生を抑制することができる。
ここで、前記第1連通孔の内周面のうち前記収容室側の端部に連なる部分には、前記軸方向の収容室側に向かうに従い漸次拡径する拡径部が形成されていてもよい。
この場合、第1連通孔の収容室側の端部に連なる拡径部に沿って液体が流動するため、第1連通孔を通過して可動部材に向かう液体の流動方向を分散させて可動部材に作用する液圧を抑制する効果をより高めることができる。
また、前記可動部材のうち、前記傾斜突起部よりも前記径方向の内側に位置する部分に、前記軸方向に突出する複数の直突起部が形成され、前記第1連通孔の前記収容室側の端部は、前記複数の直突起部に前記軸方向で対向していてもよい。
この場合、第1連通孔の収容室側の端部が、可動部材に形成された複数の直突起部に対向しているため、第1連通孔を通して収容室内に流れ込む液体の流動方向が複数の直突起部の表面に沿って分散する。これにより、液体の流動方向をより確実に分散させて、可動部材に作用する液圧を抑制する効果を確実に奏功させることができる。
本発明によれば、振動発生部から振動が入力された際に、可動部材が収容室の壁面に当接することで生じる異音を抑えることができる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、防振装置(液体封入マウント)10は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を弾性的に連結する弾性体13と、第1取付部材11の内側に配置され、第1取付部材11の内側に形成された液室16を、弾性体13を壁面の一部とする主液室16aと、副液室16bと、に区画する仕切り部材20とを備えている。
図1に示すように、防振装置(液体封入マウント)10は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を弾性的に連結する弾性体13と、第1取付部材11の内側に配置され、第1取付部材11の内側に形成された液室16を、弾性体13を壁面の一部とする主液室16aと、副液室16bと、に区画する仕切り部材20とを備えている。
なお、これらの各部材はそれぞれ第1取付部材11の中心軸線Oと同軸に設けられている。以下、中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向に沿って、第1取付部材11側を下側といい、第2取付部材12側を上側という。また、軸方向から見た平面視で中心軸線Oに直交する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
ここで、前述の液室16は、仕切り部材20により、上側の主液室16aと、下側の副液室16bとに区画されている。
ここで、前述の液室16は、仕切り部材20により、上側の主液室16aと、下側の副液室16bとに区画されている。
また、主液室16aおよび副液室16bには、例えばエチレングリコール、水、シリコーンオイルなどの液体Lが封入されている。
防振装置10は、例えば自動車等に装着され、エンジンの振動が車体に伝達するのを抑える。防振装置10では、第2取付部材12が振動発生部としての図示されないエンジンに連結される一方、第1取付部材11が図示されないブラケットを介して振動受部としての車体に連結される。
防振装置10は、例えば自動車等に装着され、エンジンの振動が車体に伝達するのを抑える。防振装置10では、第2取付部材12が振動発生部としての図示されないエンジンに連結される一方、第1取付部材11が図示されないブラケットを介して振動受部としての車体に連結される。
第1取付部材11は、上側に形成された第1筒部11aと、第1筒部11aの下側に形成された第2筒部11bと、第1筒部11aおよび第2筒部11bを連結する段部11cとを備えている。第1筒部11a、第2筒部11bおよび段部11cは、中心軸線Oと同軸に配置されて一体に形成されている。第1取付部材11の上端部が弾性体13により液密状態で閉塞され、かつ第1取付部材11の下端部がダイヤフラム14により液密状態で閉塞されることにより、第1取付部材11の内側に液体Lが封入可能となっている。
第2取付部材12は、第1取付部材11の第1筒部11aよりも上側に配置されている。
第2取付部材12は、第1取付部材11の第1筒部11aよりも上側に配置されている。
弾性体13は、例えばゴム材料等からなる部材である。弾性体13は、第1取付部材11の上端部から上側に向けて突出し、かつ上側に向かうに従い漸次縮径された円錐台状の変形部13aと、この変形部13aから第1取付部材11の内周面に沿って下側に向けて延びる被覆部13bとを備えている。
被覆部13bは、第1取付部材11の内周面に加硫接着されており、第1取付部材11の内周面は、その全域に亘って弾性体13で覆われている。変形部13aと被覆部13bとは一体に形成されている。
被覆部13bは、第1取付部材11の内周面に加硫接着されており、第1取付部材11の内周面は、その全域に亘って弾性体13で覆われている。変形部13aと被覆部13bとは一体に形成されている。
図1に示すように、先述の仕切り部材20は、表裏面が軸方向を向く円板状の上側部材19と、上側部材19の下側に配設された下側部材15と、により形成されている。上側部材19および下側部材15は、例えばアルミニウム合金や樹脂などにより形成されている。上側部材19および下側部材15の剛性は、例えば、振動発生部からの入力振動に基づいてこれらの部材に液体Lの動的圧力が作用したときに、これらの部材が変形しない程度に設定されている。
仕切り部材20は、全体として円板状に形成され、第1取付部材11内(被覆部13b内)に嵌合されている。上側部材19の上面は主液室16aに面しており、上側部材19は主液室16aの隔壁の一部を形成している。下側部材15の下面は副液室16bに面しており、下側部材15は副液室16bの隔壁の一部を形成している。
仕切り部材20は、全体として円板状に形成され、第1取付部材11内(被覆部13b内)に嵌合されている。上側部材19の上面は主液室16aに面しており、上側部材19は主液室16aの隔壁の一部を形成している。下側部材15の下面は副液室16bに面しており、下側部材15は副液室16bの隔壁の一部を形成している。
上側部材19は、上側部材19を上下方向に貫通する複数の第1連通孔19aと、第1連通孔19aより径方向内側において下方に向けて突出する固定部19bと、固定部19bより径方向内側において上方に向けて窪む凹部19cと、を有する。
下側部材15は、環状のフランジ部15aと、フランジ部15aの内周縁から上方に向けて延びる内筒部15bと、フランジ部15aの外周縁から上方に向けて延びる外筒部15cと、外筒部15cの径方向外側に形成された制限通路21と、を有する。フランジ部15aの上面と、内筒部15bの外周面と、外筒部15cの内周面と、上側部材19の下面と、により、仕切り部材20の収容室18が画成されている。収容室18および制限通路21は、互いに独立している。
下側部材15は、環状のフランジ部15aと、フランジ部15aの内周縁から上方に向けて延びる内筒部15bと、フランジ部15aの外周縁から上方に向けて延びる外筒部15cと、外筒部15cの径方向外側に形成された制限通路21と、を有する。フランジ部15aの上面と、内筒部15bの外周面と、外筒部15cの内周面と、上側部材19の下面と、により、仕切り部材20の収容室18が画成されている。収容室18および制限通路21は、互いに独立している。
制限通路21は、主液室16aと副液室16bとを連通する。制限通路21は、仕切り部材20の下側部材15における外周面に周方向に沿って延び、かつ収容室18を回避して配置されている。制限通路21は、例えば周波数が10Hz前後のシェイク振動が防振装置10に入力されたときに共振(液柱共振)が発生するようにチューニングされていてもよい。
仕切り部材20にはさらに、第1連通孔19a、および第2連通孔15dが設けられている。第1連通孔19a、および第2連通孔15dは、収容室18の壁面のうち後述する可動部材40と軸方向に対向する部分から軸方向の外側に向けて延び、収容室18と、主液室16aまたは副液室16bと、を各別に連通する。第1連通孔19aは収容室18と主液室16aとを連通し、第2連通孔15dは収容室18と副液室16bとを連通している。
第1連通孔19aは、上側部材19に複数形成されている。第2連通孔15dは、下側部材15に複数形成されている。
各第1連通孔19aの軸方向に直交する断面における横断面積は、軸方向に沿って変化している。各第1連通孔19aの内周面には、横断面積が軸方向で一定の直行部19dと、下方(収容室側)に向かうに従い漸次拡径する拡径部19eと、が形成されている。直行部19dは軸方向において、主液室16a側に開口する上端開口から、第1連通孔19aの中央部まで延在している。拡径部19eは軸方向において、直行部19dの下端である第1連通孔19aの中央部から、収容室18側に開口する下端開口まで延在している。第1連通孔19aの横断面積は、収容室18側に開口する下端開口において最も大きくなっている。
各第1連通孔19aの軸方向に直交する断面における横断面積は、軸方向に沿って変化している。各第1連通孔19aの内周面には、横断面積が軸方向で一定の直行部19dと、下方(収容室側)に向かうに従い漸次拡径する拡径部19eと、が形成されている。直行部19dは軸方向において、主液室16a側に開口する上端開口から、第1連通孔19aの中央部まで延在している。拡径部19eは軸方向において、直行部19dの下端である第1連通孔19aの中央部から、収容室18側に開口する下端開口まで延在している。第1連通孔19aの横断面積は、収容室18側に開口する下端開口において最も大きくなっている。
ここで収容室18内には、可動部材40(可動板、メンブラン)が配置されている。可動部材40は、収容室18内に、軸方向に変形可能または変位可能に収容されている。可動部材40は、例えばゴム材料などにより表裏面が軸方向を向く板状に形成され、弾性変形可能とされている。可動部材40は、主液室16aと副液室16bとの圧力差に応じて軸方向に変形または変位する。
図2に示すように、可動部材40は、中心軸線Oと同軸に配置された環状の本体部41を備える。本体部41には、その外周縁部から軸方向および径方向の双方向に対して傾斜した方向に突出する傾斜突起部42と、本体部41のうち傾斜突起部42よりも径方向の内側に位置する部分に配置され、軸方向に突出する直突起部43と、本体部41を上下方向に貫く複数の貫通孔41aと、が形成されている。
傾斜突起部42は、可動部材40の本体部41における外周縁部の上方および下方に一対形成されている。各傾斜突起部42は、本体部41の外周縁部の全周にわたって環状に形成されている。各傾斜突起部42の根本部における径方向の幅(以降、根本幅Wという)は、各傾斜突起部42の根本部から先端部までの軸方向の高さ(以降、高さHという)よりも小さい。なお、根本幅Wは、本体部41の上面若しくは下面に沿い、かつ径方向に延びる仮想直線上における傾斜突起部42の幅である。また、高さHは、上記仮想直線から傾斜突起部42の先端部までの軸方向における長さである。
直突起部43は、本体部41の上面および下面に複数形成されている。各直突起部43は、中心軸線Oと同軸の環状に形成されている。各直突起部43の径方向における幅は、先端に向かうに従い漸次小さくなっている。各直突起部43は、本体部41のうち、傾斜突起部42が形成された外周縁部に連なる外周部に形成されている。本体部41の上側に形成された傾斜突起部42および各直突起部43の先端部の軸方向における位置は、互いに同等である。同様に、本体部41の下側に形成された傾斜突起部42および各直突起部43の先端部の軸方向における位置は、互いに同等である。なお、傾斜突起部42および直突起部43は周方向において途切れていてもよく、このようにすると可動部材40全体の剛性を低下させて変形しやすくすることができる。
可動部材40にはさらに、本体部41の内周縁部から上方および下方に突出する内側被固定部44(被固定部)と、本体部41のうち内側被固定部44と直突起部43との間の部分から上方および下方に突出する外側被固定部45(被固定部)と、が形成されている。内側被固定部44および外側被固定部45は、中心軸線Oと同軸の環状に形成されている。内側被固定部44の軸方向における厚さは、外側被固定部45の軸方向における厚さよりも大きい。2つの被固定部44、45はそれぞれ、本体部41のうち外周縁部より径方向の内側に位置する部分に形成されており、上側部材19および下側部材15によって上下方向に挟持されることで、仕切り部材20に固定されている。これにより、可動部材40は被固定部44、45を固定端として変形するため、可動部材40のうち被固定部44、45から径方向に離れた部分ほど軸方向に変位および加速しやすい。
なお、縦断面視において、傾斜突起部42の体積を直突起部43の体積よりも小さく形成してもよい。この場合、本体部41の外周縁部に形成されているために加速しやすい傾斜突起部42の質量を低減して、傾斜突起部42が収容室18の壁面に当接する際の衝撃を抑えることができる。
次に、このように構成された防振装置10の作用を説明する。
防振装置10に振動が入力されて、主液室16a内の液体Lの圧力が変動すると、可動部材40が収容室18内で軸方向に変形または変位する。より詳しくは、主液室16a内の液体Lが第1連通孔19aを通して収容室18内に流動する。このとき、液体Lは第1連通孔19aの拡径部19eに沿って流動するため、流動方向が分散する。また、収容室18内に流入した液体Lは可動部材40の複数の直突起部43に当たり、液体Lの流動方向が直突起部43の表面に沿ってさらに分散する。これにより、可動部材40に作用する液圧が抑えられて、可動部材40のうち収容室18の壁面に当接する部分の速度が抑制される。
可動部材40に液圧が作用すると、可動部材40の被固定部44、45が仕切り部材20に固定されているため、可動部材40はこの被固定部44、45を固定端として外周縁部が最も大きく軸方向に変位するように弾性変形する。このとき、可動部材40の外周縁部に形成された各傾斜突起部42の先端部が、収容室18の上下の壁面に当接して、各傾斜突起部42が根本部から倒れて水平な姿勢に近づくようにせん断変形する。
可動部材40に液圧が作用すると、可動部材40の被固定部44、45が仕切り部材20に固定されているため、可動部材40はこの被固定部44、45を固定端として外周縁部が最も大きく軸方向に変位するように弾性変形する。このとき、可動部材40の外周縁部に形成された各傾斜突起部42の先端部が、収容室18の上下の壁面に当接して、各傾斜突起部42が根本部から倒れて水平な姿勢に近づくようにせん断変形する。
ここで、傾斜突起部42の根本幅Wは高さHよりも小さいため、例えば根本幅Wが高さHよりも大きい場合と比較して、傾斜突起部42が水平な姿勢に倒れるまでの傾斜突起部42の変位量が大きくなる。このように、傾斜突起部42の変位量を大きくすることで、傾斜突起部42の変形に要する時間を長くして、傾斜突起部42が収容室18の壁面に当接した際の傾斜突起部42の加速度を抑えることが可能となり、可動部材40から仕切り部材20に伝わる振動を吸収および減衰させることができる。
なお、防振装置10に比較的大きな振幅を有する振動が作用して、主液室16a内の液体Lの圧力が変動したときは、制限通路21を通して主液室16aおよび副液室16bの相互間で液体Lが流通し、液柱共振が生じることで、振動を吸収および減衰させることができる。
以上説明したように、本実施形態の防振装置10によれば、可動部材40の外周縁部に軸方向および径方向の双方向に対して傾斜した方向に突出する傾斜突起部42が形成されているため、防振装置10に振動が入力されて傾斜突起部42が収容室18の壁面に当接する際に、傾斜突起部42をせん断変形させながら振動エネルギーを吸収させることができる。このため、例えば可動部材40を圧縮変形させて振動エネルギーを吸収する場合と比較して、可動部材40の変形量や変形に要する時間が大きくなり、可動部材40の変形に伴う反力の急激な上昇が抑えられ、可動部材40の変形による緩衝効果を強めることができる。
さらに、仕切り部材20には収容室18と主液室16aとを連通する第1連通孔19aが形成され、該第1連通孔19aの横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室18側の端部で最も大きくなるため、振動の入力に伴って第1連通孔19aを通して収容室18内に流入する液体Lの流動方向が分散され、可動部材40に作用する液圧を小さくすることができる。これにより、収容室18の壁面に当接する際の可動部材40の速度が抑えられて防振装置10が振動しにくくなり、異音の発生を抑制することができる。
さらに、仕切り部材20には収容室18と主液室16aとを連通する第1連通孔19aが形成され、該第1連通孔19aの横断面積は軸方向に変化し、かつ収容室18側の端部で最も大きくなるため、振動の入力に伴って第1連通孔19aを通して収容室18内に流入する液体Lの流動方向が分散され、可動部材40に作用する液圧を小さくすることができる。これにより、収容室18の壁面に当接する際の可動部材40の速度が抑えられて防振装置10が振動しにくくなり、異音の発生を抑制することができる。
また、第1連通孔19aの内周面のうち収容室18側の端部に連なる部分には、軸方向の収容室18側に向かうに従い漸次拡径する拡径部19eが形成されているため、この拡径部19eに沿って液体Lが流動することで、第1連通孔19aを通過して可動部材40に向かう液体Lの流動方向を分散させて、可動部材40に作用する液圧を抑制する効果をより高めることができる。
さらに、横断面積が軸方向で変化し、かつ収容室18側の端部で最も大きくなる第1連通孔19aを有する仕切り部材20を容易に成形することが可能となる。
さらに、横断面積が軸方向で変化し、かつ収容室18側の端部で最も大きくなる第1連通孔19aを有する仕切り部材20を容易に成形することが可能となる。
また、第1連通孔19aの収容室18側の端部が、可動部材40に形成された複数の直突起部43に対向しているため、第1連通孔19aを通して収容室18内に流れ込む液体Lの流動方向が複数の直突起部43の表面に沿って分散する。これにより、液体Lの流動方向をより確実に分散させて、可動部材40に作用する液圧を抑制する効果を確実に奏功させることができる。
また、傾斜突起部42の先端部と、複数の直突起部43の先端部と、の軸方向における位置が互いに同等であるため、傾斜突起部42および直突起部43と収容室18の壁面との間の隙間を均一にすることができる。これにより、傾斜突起部42の先端部および直突起部43の先端部の全体が均一に収容室18の壁面と当接しやすくなり、可動部材40に局所的に大きな反力が生じることによる異音の発生や可動部材40の耐久性の低下をより確実に抑制することができる。
また、傾斜突起部42および直突起部43と収容室18の壁面との間の隙間が均一に小さくなっているため、可動部材40が収容室18内で加速しにくくなり、傾斜突起部42および直突起部43が収容室18の壁面に当接する際の速度を抑えて異音の発生をより確実に抑制することができる。
また、可動部材40の被固定部44、45が径方向の内側において仕切り部材20に固定されているため、可動部材40の外周縁部に形成された傾斜突起部42をより確実に収容室18の壁面と当接させて、傾斜突起部42がせん断変形して振動エネルギーを吸収することによる緩衝効果の向上をより確実に奏功させることができる。
また、可動部材40の被固定部44、45が径方向の内側において仕切り部材20に固定されているため、可動部材40の外周縁部に形成された傾斜突起部42をより確実に収容室18の壁面と当接させて、傾斜突起部42がせん断変形して振動エネルギーを吸収することによる緩衝効果の向上をより確実に奏功させることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では複数の直突起部43が形成された可動部材40を用いたが、これに限られず、直突起部43が形成されていない可動部材40を採用してもよい。
また、前記実施形態では傾斜突起部42の先端部および複数の直突起部43の先端部の軸方向における位置が互いに同等に形成されていたが、これに限られず、各突起部の先端部の軸方向における位置が不均一な可動部材40を採用してもよい。例えば各突起部42、43が形成されている位置が、被固定部44、45から径方向に離れるに従って、各突起部42、43の高さHが漸次小さくなっていてもよい。この場合、可動部材40のうち、被固定部44、45から径方向に離れた部分ほど軸方向の変位量が大きくなるため、各突起部42、43の先端部をより均一に収容室18の壁面に当接させることができる。
また、前記実施形態では傾斜突起部42の先端部および複数の直突起部43の先端部の軸方向における位置が互いに同等に形成されていたが、これに限られず、各突起部の先端部の軸方向における位置が不均一な可動部材40を採用してもよい。例えば各突起部42、43が形成されている位置が、被固定部44、45から径方向に離れるに従って、各突起部42、43の高さHが漸次小さくなっていてもよい。この場合、可動部材40のうち、被固定部44、45から径方向に離れた部分ほど軸方向の変位量が大きくなるため、各突起部42、43の先端部をより均一に収容室18の壁面に当接させることができる。
また、前記実施形態では可動部材40の被固定部44、45が仕切り部材20に固定されていたが、可動部材40は仕切り部材20に固定されていなくてもよい。この場合には、防振装置10への振動の入力に伴って、可動部材40全体を軸方向に変位させつつ弾性変形させることができる。
また、前記実施形態では、第2取付部材12とエンジンとを接続し、第1取付部材11と車体とを接続する場合の説明をした。しかしながら、本発明はこれに限られず、逆に接続するように構成してもよいし、他の振動発生部と振動受部とに防振装置10を設置してもよい。
また、前記実施形態で示した可動部材40に代えて、例えば図3に示す可動部材40を用いてもよい。図3に示す可動部材40では、本体部41の外周縁部より径方向の内側の部分に、複数の傾斜突起部42が形成されている。このようにすると、防振装置10に振動が入力された際、複数の傾斜突起部42が全体として収容室18の壁面に当接してせん断変形する。これにより、可動部材40のうち、せん断変形によって振動エネルギーを吸収する部分の割合が大きくなり、可動部材40の変形による緩衝効果をより高めることができる。
また、図3で示した可動部材40に代えて、例えば図4に示す可動部材40を用いてもよい。図3で示した可動部材40では、各傾斜突起部42が上下で対称の位置に形成されていたが、図4に示す可動部材40では、各傾斜突起部42が形成されている位置が上下で非対称となっている。詳しくは、本体部41の外周縁部より径方向の内側に形成された傾斜突起部42のうち、本体部41の下側に形成された傾斜突起部42が、本体部41の上側かつ径方向において隣接する位置に形成された2つの傾斜突起部42の間に形成されている。このように、本体部41の上側と下側とで、傾斜突起部42を千鳥状に配設することで、可動部材40全体の変形の態様や変形のしやすさを調節することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、図2および図4に示す可動部材40の形状を組み合わせて、複数の直突起部43が本体部41の上側と下側とで千鳥状に配設された可動部材40を用いてもよい。
10…防振装置(液体封入マウント)、11…第1取付部材、12…第2取付部材、13…弾性体、15d…第2連通孔、16…液室、16a…主液室、16b…副液室、18…収容室、19a…第1連通孔、19e…拡径部、20…仕切り部材、24…固定端部、40…可動部材、42…傾斜突起部、43…直突起部、44…内側被固定部、45…外側被固定部、L…液体、O…中心軸線
Claims (3)
- 振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、
これらの両取付部材同士を連結する弾性体と、
液体が封入された前記第1取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする主液室と、副液室と、に区画する仕切り部材と、
前記仕切り部材に設けられた収容室内に、前記第1取付部材の軸方向に変形可能または変位可能に収容された可動部材と、を備え、
前記仕切り部材には、前記収容室と前記主液室とを連通する第1連通孔、および前記収容室と前記副液室とを連通する第2連通孔が形成され、
前記可動部材のうち、少なくとも外周縁部には前記第1取付部材の中心軸線に沿う軸方向および径方向の双方向に対して傾斜した方向に突出する傾斜突起部が形成されており、
前記第1連通孔の横断面積は、前記軸方向に変化し、かつ前記収容室側の端部で最も大きくなることを特徴とする液体封入マウント。 - 前記第1連通孔の内周面のうち前記収容室側の端部に連なる部分には、前記軸方向の収容室側に向かうに従い漸次拡径する拡径部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体封入マウント。
- 前記可動部材のうち、前記傾斜突起部よりも前記径方向の内側に位置する部分に、前記軸方向に突出する複数の直突起部が形成され、
前記第1連通孔の前記収容室側の端部は、前記複数の直突起部に前記軸方向で対向していることを特徴とする請求項1または2に記載の液体封入マウント。
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JP2017180315A JP2019056398A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 液体封入マウント |
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JP7438000B2 (ja) | 2020-04-08 | 2024-02-26 | Toyo Tire株式会社 | 液封入式防振装置 |
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- 2017-09-20 JP JP2017180315A patent/JP2019056398A/ja active Pending
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