JP2019056081A - 重金属等汚染対策材及び前記汚染対策材を用いた重金属等汚染対策工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、土壌中の重金属等を不溶化することができ、土壌を固化して強度を向上させ、再泥化を抑制するととともに、改良土のpHを中性領域に保持することができる、重金属等汚染対策材及び当該対策材を用いた重金属等汚染対策工法を提供する。【解決手段】本発明の重金属等汚染対策材は、ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を必須含有成分とし、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中ドロマイト系化合物を55〜95質量%、硫酸第一鉄を5〜45質量%の割合で含有するとともに、高分子材料をドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有し、且つ重金属等汚染対策材中にMgOを0.5〜8質量%含む。である。【選択図】なし
Description
本発明は、重金属等汚染対策材及び前記汚染対策材を用いた重金属等汚染対策工法に関し、特に、重金属等を不溶化するとともに、固化性能により処理土壌の強度を向上かつ再泥化を抑制し、土壌pHを中性に保持することができる、土壌改質性能を有する重金属等汚染対策材及び前記汚染対策材を用いた重金属等汚染対策工法に関する。
従来より、土壌中における重金属等不溶化材としては、塩化第二鉄や硫酸第一鉄等の鉄粉系不溶化材、セメント系不溶化材、酸化マグネシウム(MgO)系不溶化材、生石灰や石膏系、高炉スラグ系材料などによる土壌固化材が知られている。
塩化第二鉄や硫酸第一鉄等の鉄粉系不溶化材は、不溶化できる重金属類が砒素などに限られており、複合的な汚染について対応することが困難であるという問題がある。
塩化第二鉄や硫酸第一鉄等の鉄粉系不溶化材は、不溶化できる重金属類が砒素などに限られており、複合的な汚染について対応することが困難であるという問題がある。
セメント系固化材やMgO系の固化材または生石灰や高炉スラグ系材料による土壌固化材が提案されている。
しかし、これらの従来の土壌固化材は、セメントや生石灰等の影響で、改質後の土壌のpHが10以上とアルカリ性が強くなってしまい、不溶化土壌のpHが長期的に高い状態が続くため、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出てしまい、植生への影響が考えられる。また重金属不溶化能力が低いため、中性領域では溶出していなかった重金属類が溶出する問題がある。
しかし、これらの従来の土壌固化材は、セメントや生石灰等の影響で、改質後の土壌のpHが10以上とアルカリ性が強くなってしまい、不溶化土壌のpHが長期的に高い状態が続くため、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出てしまい、植生への影響が考えられる。また重金属不溶化能力が低いため、中性領域では溶出していなかった重金属類が溶出する問題がある。
酸化マグネシウム(MgO)系の固化材としては、特開2003−225640号公報(特許文献1)に、土壌強度向上用に有機高分子凝集剤や複数の不溶化助剤を添加した固化不溶化材が提案されている。
このような材料は固化・不溶化特性には優れるものの、pHが未処理土壌と比べてアルカリ性になりやすく、セメント系固化材等と同様に、周辺環境へ影響を及ぼす可能性があることから、改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
このような材料は固化・不溶化特性には優れるものの、pHが未処理土壌と比べてアルカリ性になりやすく、セメント系固化材等と同様に、周辺環境へ影響を及ぼす可能性があることから、改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
土壌pHがアルカリ性になるのを防ぐため、特開2014−185300号公報(特許文献2)には、石膏や高炉スラグをベースとし、酸化マグネシウムや硫酸アルミニウムを添加してpHが中性になるように調整した土壌固化材が提案されている。
しかし、pHは中性に保持されるが、改良土のコーン指数は200〜400kN/m2程度と低いため、改良土の使用用途が制限されている。また、コーン指数を200〜400kN/m2まで向上させるには土壌1m3あたり100kg以上の固化材の添加が必要になり、改良土壌固化材量の増加及びコストの面で適切ではなく、更に、重金属の不溶化性能については記載されていない。また、石膏系固化材は水和生成物である二水石膏が水溶性であるため、雨水等の水分に長期的に暴露する環境では改良土が再泥化してコーン指数が低下するという問題がある。
しかし、pHは中性に保持されるが、改良土のコーン指数は200〜400kN/m2程度と低いため、改良土の使用用途が制限されている。また、コーン指数を200〜400kN/m2まで向上させるには土壌1m3あたり100kg以上の固化材の添加が必要になり、改良土壌固化材量の増加及びコストの面で適切ではなく、更に、重金属の不溶化性能については記載されていない。また、石膏系固化材は水和生成物である二水石膏が水溶性であるため、雨水等の水分に長期的に暴露する環境では改良土が再泥化してコーン指数が低下するという問題がある。
従来は重金属汚染土壌に対して土壌の強度向上等の改質を行う場合、不溶化材と固化材とを個別に添加していたが、固化性能と不溶化性能を一つの材料で発現させる材料が期待されている現状があり、更に、周辺環境への影響を抑制するため、改良土のpHが中性領域になる材料のニーズが高まっている。
また、近年、改質した土壌を、湖岸や海岸等に水面埋め立て処理する場合があり、埋め立て後も安定的に重機等が走行できるよう、水分と接触した場合でも再泥化抑制機能を持つ材料のニーズが高まっている。
また、近年、改質した土壌を、湖岸や海岸等に水面埋め立て処理する場合があり、埋め立て後も安定的に重機等が走行できるよう、水分と接触した場合でも再泥化抑制機能を持つ材料のニーズが高まっている。
pH中性型固化不溶化材としては、特許第5748015号公報(特許文献3)に、軽焼MgOと硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄を組み合わせたpH中性型固化不溶化材が提案されており、特許第5315096号公報(特許文献4)には、焼石膏(半水石膏)とアルミニウム化合物とカルシウム成分及び/またはマグネシウム成分を含むpH中性型固化不溶化材が提案されている。
しかし、特許文献3に示される固化不溶化材料ではpH中性維持能力、不溶化性能及び改質土のコーン指数向上性は良好ではあるが、再泥化するリスクがある。
また特許文献4に示される固化不溶化材は、pH中性維持能力と不溶化性能に優れるものの、pH中性型固化材と同様に石膏がベースのため、添加量を増やしても改良土のコーン指数が約200kN/m2と低いことと長期的に再泥化するリスクがある。
よって従来の固化不溶化材は改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
しかし、特許文献3に示される固化不溶化材料ではpH中性維持能力、不溶化性能及び改質土のコーン指数向上性は良好ではあるが、再泥化するリスクがある。
また特許文献4に示される固化不溶化材は、pH中性維持能力と不溶化性能に優れるものの、pH中性型固化材と同様に石膏がベースのため、添加量を増やしても改良土のコーン指数が約200kN/m2と低いことと長期的に再泥化するリスクがある。
よって従来の固化不溶化材は改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、土壌中の重金属等を不溶化することができ、処理土壌の強度を向上させて改質する固化性能と再泥化抑制機能を併せ持つとともに、改良土のpHを中性に保つ性能を保持することができる、重金属等汚染対策材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記本発明の重金属等汚染対策材を重金属等に汚染された土壌に適用して重金属等を不溶化するとともに、処理土壌の固化による強度向上と再泥化抑制という土壌改質性能を発揮する、重金属等汚染対策材を用いた重金属等汚染対策工法を提供することである。
本発明は、必須含有材料としての特定の材料を特定の配合割合で含むこと等により、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到ったものである。
(1)本発明の重金属等汚染対策材は、ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を必須含有成分とし、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中ドロマイト系化合物を55〜95質量%、硫酸第一鉄を5〜45質量%の割合で含有するとともに、高分子材料をドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有し、且つ、重金属等汚染対策材中にMgOを0.5〜8質量%含むことを特徴とする、重金属等汚染対策材である。
(2)上記(1)の重金属等汚染対策材において、重金属等汚染対策材は粉末形態であることを特徴とする。
(3) 上記(1)又は(2)の重金属等汚染対策材において、ドロマイト系化合物はCaMg(CO3)2、MgO、CaCO3が必須含有成分であり、少なくとも1種のドロマイト系化合物を用いることを特徴とする。
(4) 上記(1)乃至(3)いずれかの重金属等汚染対策材において、高分子材料は有機高分子凝集剤及び/又は増粘剤であり、前記有機高分子凝集剤はポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド及びアクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種で、前記増粘剤はセルロース系増粘剤、ポリアミド系増粘剤及びポリビニルアルコール系増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
(5) 本発明の重金属等汚染対策工法は、上記(1)乃至(4)いずれかの重金属等汚染対策材を土壌と混合して用いることを特徴とする、重金属等汚染対策工法である。
(6) 上記(5)の重金属等汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする。
(6) 上記(5)の重金属等汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする。
本発明の重金属等汚染対策材及び当該対策材を用いた重金属等汚染対策工法は、土壌中の重金属等を効果的に不溶化することができ、処理土壌の固化による強度向上と再泥化抑制という土壌の改質性能を有するとともに、本発明による重金属等汚染対策材を用いて処理した処理土壌のpHを中性に保持することができる。
従って、従来においては、不溶化処理した処理土壌がアルカリ性となってしまい、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出て植生への影響が懸念されていたが、本発明の重金属等汚染対策材によれば、改良土のpHが中性であるため、従来の不溶化材を適用できなかった現場においても対応が可能となり、重金属等に汚染された土壌処理の適用範囲を拡大することができる。
また、外部からの水分による再泥化を抑制することができるため、湖岸や海岸での埋め立て処理も可能とすることができる。
特に自然由来汚染土壌に多く含まれる鉛、砒素、フッ素の溶出量が土壌溶出量基準をわずかに超過したレベルであれば、少ない添加量で不溶化と土壌改質性能を発現するという効果を発揮する。
従って、従来においては、不溶化処理した処理土壌がアルカリ性となってしまい、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出て植生への影響が懸念されていたが、本発明の重金属等汚染対策材によれば、改良土のpHが中性であるため、従来の不溶化材を適用できなかった現場においても対応が可能となり、重金属等に汚染された土壌処理の適用範囲を拡大することができる。
また、外部からの水分による再泥化を抑制することができるため、湖岸や海岸での埋め立て処理も可能とすることができる。
特に自然由来汚染土壌に多く含まれる鉛、砒素、フッ素の溶出量が土壌溶出量基準をわずかに超過したレベルであれば、少ない添加量で不溶化と土壌改質性能を発現するという効果を発揮する。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の重金属等汚染対策材は、ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を必須含有成分とし、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中ドロマイト系化合物を55〜95質量%、硫酸第一鉄を5〜45質量%の割合で含有するとともに、高分子材料をドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有し、且つ、重金属等汚染対策材中にMgOを0.5〜8質量%含む、重金属等汚染対策材である。
本発明の重金属等汚染対策材は、ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を必須含有成分とし、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中ドロマイト系化合物を55〜95質量%、硫酸第一鉄を5〜45質量%の割合で含有するとともに、高分子材料をドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有し、且つ、重金属等汚染対策材中にMgOを0.5〜8質量%含む、重金属等汚染対策材である。
好ましくは、本発明の重金属等汚染対策材は、粉末形態である。粉末形態であることで、施工現場での取扱や施工性が、より容易となり、また、土壌と混合した際に土壌中の水分と速やかに反応することが可能であり、重金属等を吸着して不溶化することができる。さらに、硫酸第一鉄、ドロマイト系化合物及び高分子材料が土壌中の水分と接触して反応することにより土壌を固化することができ、効率的に土壌を改質することが可能となる。
ここで、重金属等としては、重金属やハロゲンを意味し、重金属としては、例えば、マンガン、クロム、銅、カドミウム、水銀、セレン、鉛、砒素、カドミウム等の1種若しくは2種以上のもので、かつ重金属単体及びその化合物が例示でき、またハロゲンとしてはフッ素、塩素等の単体及びその化合物が例示できる。さらにこれらに加え土壌汚染対策法に規定される第2種特定有害物質に含まれるホウ素単体及びその化合物を例示することができるが、これらの重金属やハロゲン等に限定されるものではない。
本発明においては、重金属等汚染対策材中の必須含有材料として、ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を含有し、各含有量を上記範囲内の量とすることで、重金属等を有効に不溶化することができるとともに、改良土の強度を向上させて(固化性能の向上)かつ再泥化を抑制することにより土壌を改質できるとともに、改良土のpHを中性に保持する上記効果を同時に奏することが可能となる。
本発明の重金属等汚染対策材に用いられるドロマイト系化合物は、CaMg(CO3)2、MgO及びCaCO3を必須含有成分とするものである。前記成分を含有するドロマイト系化合物としては、例えば、MgO、CaCO3、CaMg(CO3)2を主成分とする半焼成ドロマイトや、CaMg(CO3)2を主成分とするドロマイト等が挙げられ、半焼成ドロマイト及びドロマイトを含むものが好ましい。
前記ドロマイトは、市場で入手し得る任意のものを用いることができ、産地は問わない。
また、半焼成ドロマイトも市場で入手し得る任意の半焼成ドロマイトや、市場で入手し得る任意のドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイトを用いることができ、産地や原料ドロマイトの組成等は問わない。
半焼成ドロマイトは、下記する式に示されるような分解反応が完全に完了するまでドロマイトを焼成して得られるものではなく、MgO、CaCO3、CaMg(CO3)2を必須成分として含むものである。
前記ドロマイトは、市場で入手し得る任意のものを用いることができ、産地は問わない。
また、半焼成ドロマイトも市場で入手し得る任意の半焼成ドロマイトや、市場で入手し得る任意のドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイトを用いることができ、産地や原料ドロマイトの組成等は問わない。
半焼成ドロマイトは、下記する式に示されるような分解反応が完全に完了するまでドロマイトを焼成して得られるものではなく、MgO、CaCO3、CaMg(CO3)2を必須成分として含むものである。
ドロマイトは、石灰石CaCO3とマグネサイトMgCO3のモル比が1:1となる複塩構造を有しており、CO3 2−基を挟んでCa2+イオンとMg2+イオンが交互に層を成して、一般に、MgCO3の割合が10〜45質量%のものをいう。ドロマイトは、国内に多量に存在しており、ドロマイトを使用した重金属等吸着材は、コストや環境負荷の点からも有利である。
ドロマイトは土壌中の水分と反応してカルシウム及びマグネシウムがイオンとして溶出する。溶出したカルシウムが土壌中のアルミニウム成分と反応してエトリンガイト様の水和物が析出することにより、土壌の粒子を強固に結合して団粒化を促進し、土壌固化性能を得ることができる。また、溶出したカルシウムが硫酸第一鉄から溶出した硫酸イオンと反応することにより二水石膏が析出するため、土壌中の含水比が低減することにより土壌強度向上性能が向上する。同様に、溶出したマグネシウムが硫酸第一鉄から溶出した硫酸イオンと反応することにより、硫酸マグネシウム六水和物が析出するため、土壌中の含水比が低減することにより土壌強度向上性能が向上する。
土壌固化性能を発現するためには、ドロマイトを粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析した値で、CaMg(CO3)2相の含有量が50質量%以上となるドロマイトを好適に用いることができ、より好適にはCaMg(CO3)2相が80質量%以上となるドロマイトである。
また、半焼成ドロマイトは、重金属等不溶化性能を発現することに貢献しており、MgO単体や軽焼ドロマイトと比較してMgO含有量が低くpHが9〜10と弱アルカリ性であることから、本発明に好適に用いることができるものである。
特に、半焼成ドロマイトとしては、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となる半焼成ドロマイトを好適に用いることができる。
半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO3)2相を定量して、上記範囲内のCaMg(CO3)2相残留量の半焼成ドロマイトを用いることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定などに関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが可能となる。
半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO3)2相を定量して、上記範囲内のCaMg(CO3)2相残留量の半焼成ドロマイトを用いることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定などに関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが可能となる。
上記したようにドロマイトは焼成することで、CaMg(CO3)2→MgO+CaCO3+CO2で表わされる分解反応を示す。かかるドロマイトの焼成による上記熱分解により、細孔が形成されて重金属等不溶化能を発揮しているものと考えられる。
本発明においては、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO3)2相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)とすることで、特に好適に、重金属等を、より良好に不溶化することを実現することが可能となる。
本発明においては、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO3)2相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)とすることで、特に好適に、重金属等を、より良好に不溶化することを実現することが可能となる。
例えば、かかる好適な半焼成ドロマイトは、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO3)2相の含有量が、好ましくは0.4≦x≦35.4(質量%)、より好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)となるように焼成することで製造することができる。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も制限されるものではない。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も制限されるものではない。
また、発明の重金属等汚染対策材に含まれるドロマイト系化合物は、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中、内割でドロマイト系化合物を55〜95質量%、好ましくは70〜95質量%で、硫酸第一鉄を5〜45質量%、好ましくは5〜30質量%の割合で含む。
かかる割合で、重金属等汚染対策材中に、ドロマイト系化合物と硫酸第一鉄とを含み、更に高分子材料を含むこと等により、上記本発明の効果を奏することが可能となる。
ドロマイト系化合物が上記範囲よりも少ない割合で含むことにより、重金属等の不溶化性能の及び土壌硬度向上性能が低下し、上記範囲よりも多く含むことにより、改質土壌のpHがアルカリ性になりやすくなる。
また、硫酸第一鉄を上記範囲よりも少ない割合で含むことにより、還元成分が不足して砒素や六価クロム等に対する不溶化効果が低下し、上記範囲よりも多い割合で含むとpHが酸性になりやすくなり、また製造コストが高くなってしまい経済的ではない。
かかる割合で、重金属等汚染対策材中に、ドロマイト系化合物と硫酸第一鉄とを含み、更に高分子材料を含むこと等により、上記本発明の効果を奏することが可能となる。
ドロマイト系化合物が上記範囲よりも少ない割合で含むことにより、重金属等の不溶化性能の及び土壌硬度向上性能が低下し、上記範囲よりも多く含むことにより、改質土壌のpHがアルカリ性になりやすくなる。
また、硫酸第一鉄を上記範囲よりも少ない割合で含むことにより、還元成分が不足して砒素や六価クロム等に対する不溶化効果が低下し、上記範囲よりも多い割合で含むとpHが酸性になりやすくなり、また製造コストが高くなってしまい経済的ではない。
更に、本発明の重金属等汚染対策材中のMgO含有量は、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析した値で0.5〜8質量%であり、好適には0.5〜5質量%である。
かかる重金属等汚染対策材中のMgOは、含有されるドロマイト系化合物由来のものであり、具体的には、ドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイト等由来のものであり、更に好ましくは半焼成ドロマイト由来のものである。
MgO含有量が0.5質量%未満では、鉛やフッ素等に対する不溶化能力が低下し、8質量%を超えると、MgOのpHがアルカリ性であるため、得られる重金属等汚染対策材のpHが9以上のアルカリ性を示し、したがってpH緩衝能力によりpHが下がりにくくなり、土壌pHを中性にするのが困難になる。
また、かかる土壌のpHを調整するために硫酸第一鉄の配合量を増加させた場合、土壌強度向上能力を担保するドロマイト及び高分子材料の必須材料配合比率が低下してしまい、改良土の固化性能が向上しにくくなってしまうおそれがある。
かかる重金属等汚染対策材中のMgOは、含有されるドロマイト系化合物由来のものであり、具体的には、ドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイト等由来のものであり、更に好ましくは半焼成ドロマイト由来のものである。
MgO含有量が0.5質量%未満では、鉛やフッ素等に対する不溶化能力が低下し、8質量%を超えると、MgOのpHがアルカリ性であるため、得られる重金属等汚染対策材のpHが9以上のアルカリ性を示し、したがってpH緩衝能力によりpHが下がりにくくなり、土壌pHを中性にするのが困難になる。
また、かかる土壌のpHを調整するために硫酸第一鉄の配合量を増加させた場合、土壌強度向上能力を担保するドロマイト及び高分子材料の必須材料配合比率が低下してしまい、改良土の固化性能が向上しにくくなってしまうおそれがある。
本発明の重金属等汚染対策材に含まれるドロマイト系化合物は、必須含有成分CaMg(CO3)2、MgO、CaCO3が含まれるように1種類及び/または2種類以上のドロマイト系材料を任意に混合することができる。一例として半焼成ドロマイトとドロマイトを併用した場合においては、上記好適な半焼成ドロマイト100質量部に対してドロマイトを100〜2000質量部とすることにより、本発明の重金属等汚染対策材中のMgOの含有量を0.5〜8質量%とすることができるが、使用するドロマイト系材料に応じて、上記配合比率の制約を受けるものではない。
更に、本発明の重金属等汚染対策材には、硫酸第一鉄を必須材料として含む。
硫酸第一鉄を含有することにより、その高い還元作用によって、砒素や六価クロム等の重金属等に対して、より有効に不溶化することができるとともに、酸性であるため、他の必須含有材料の配合比率を調整することで、本発明の重金属等汚染対策材を用いて処理した土壌を中性に保持することを可能とする。
また、硫酸第一鉄は無機凝集剤としての効果があると推測され、土中の細粒分を電気的に凝集させて土壌硬度を向上させる機能を有することも考えられる。
硫酸第一鉄を含有することにより、その高い還元作用によって、砒素や六価クロム等の重金属等に対して、より有効に不溶化することができるとともに、酸性であるため、他の必須含有材料の配合比率を調整することで、本発明の重金属等汚染対策材を用いて処理した土壌を中性に保持することを可能とする。
また、硫酸第一鉄は無機凝集剤としての効果があると推測され、土中の細粒分を電気的に凝集させて土壌硬度を向上させる機能を有することも考えられる。
本発明の重金属等汚染対策材には、更に、高分子材料を必須材料として含み、高分子材料の形態としては、土中の水分と反応する必要があるため粉末形態であることが望ましい。
本発明に用いる高分子材料の性状としては、冷水に溶けやすいこと、水溶液のpHが中性領域であること、種々の土壌に対応することから有効pH領域が弱酸〜弱アルカリ性の範囲をカバーすること、水に溶けると増粘性を示すことを備えるものを用いることが望ましい。
本発明に用いる高分子材料の性状としては、冷水に溶けやすいこと、水溶液のpHが中性領域であること、種々の土壌に対応することから有効pH領域が弱酸〜弱アルカリ性の範囲をカバーすること、水に溶けると増粘性を示すことを備えるものを用いることが望ましい。
高分子材料としては、土中の水分と反応して細粒分を凝集させて土壌が締まりやすくする作用を有する高分子凝集剤や、土中の水分と反応し増粘することにより粒子を結合させる増粘剤を好適に用いることができる。
前記有機高分子凝集剤の種類としてはアニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特により好適なのは溶液pHが中性であり粘度が高いアニオン系高分子凝集剤である。
前記有機高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、アクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特により好適なものは、ポリアクリルアミド系で、同一水量に溶解させたときに水溶液粘度が高いものである。
前記有機高分子凝集剤の種類としてはアニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特により好適なのは溶液pHが中性であり粘度が高いアニオン系高分子凝集剤である。
前記有機高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、アクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特により好適なものは、ポリアクリルアミド系で、同一水量に溶解させたときに水溶液粘度が高いものである。
また、前記増粘剤としては、セルロース誘導体、ポリアミド誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、グアーガム、デンプン、キサンタンガム及びプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特に、好適なものはセルロース誘導体であるヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)である。
また、上記高分子材料は、pHが中性であり、更に土壌中の微粒子を結合させ凝集粒子になることで、土壌を固化させることによる強度向上や再泥化の抑制に寄与することができる。
その含有量は、前記ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して、外割で0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
10質量%を超えると、コストが高くなり経済的でない。また、過剰添加により土壌の改質性能が低下するリスクがある。さらに、土中への有機物の大量添加は環境的にも好ましくない。
その含有量は、前記ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して、外割で0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
10質量%を超えると、コストが高くなり経済的でない。また、過剰添加により土壌の改質性能が低下するリスクがある。さらに、土中への有機物の大量添加は環境的にも好ましくない。
本発明の重金属等汚染対策材は、上記ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料の必須含有材料を、上記割合で配合することで、土壌に混合した際、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した検液のpHが中性(環境庁の一律排水基準である5.8〜8.6)となるようにすることができるものであり、従って、土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることが可能となる。
特に好適には、ドロマイト系化合物には、半焼成ドロマイトとドロマイトとを用いる。
また、本発明の重金属等汚染対策材の不溶化性能等に影響を与えない範囲で、上記必須含有材料以外にも、硫酸アルミニウムや消石灰などのpH調整用の任意の材料や、スラグ、炭酸カルシウムなどの土壌改質用の任意の補助材を添加しても良い。
特に好適には、ドロマイト系化合物には、半焼成ドロマイトとドロマイトとを用いる。
また、本発明の重金属等汚染対策材の不溶化性能等に影響を与えない範囲で、上記必須含有材料以外にも、硫酸アルミニウムや消石灰などのpH調整用の任意の材料や、スラグ、炭酸カルシウムなどの土壌改質用の任意の補助材を添加しても良い。
本発明の重金属等汚染対策材は、上記ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を均一に混合することができれば、任意の方法を用いて混合して調製することができる。
また、本発明の重金属等汚染対策工法は、本発明の重金属等汚染対策材と汚染土壌とを混合する工法であるが、その混合方法については特に限定されず、例えば、土壌表層に重金属等汚染対策材を散布し、表面改質性能を有する重機による改良や、土壌との混合設備など従来の粉末不溶化材と同様の土壌混合設備を適用することができる。
本発明の重金属等対策工法を施工することで、土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とする。
本発明の重金属等対策工法を施工することで、土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とする。
また、重金属等汚染対策材は、粉末の形態が望ましく用いられ、また、汚染土壌との混合装置としては、バックホウ、深層混合処理機、定置式ミキサー、パワーブレンダ等を用いて混合することが可能であり、処理土壌に対する重金属等対策処理材の配合量は、土壌の含水率や、要求される処理土の固化強度等により変動し、任意に設計することができる。
このように、重金属等汚染対策材を、重金属やフッ素等が溶出する汚染土壌と接触させることにより、汚染土壌から溶出する重金属等を不溶化するとともに、土壌の固化性能及び再泥化抑制機能を向上させて、処理土壌のpHを中性に保持することが可能となる。
例えば、土壌中の重金属等の溶出量は土壌汚染対策法に基づき測定した溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となるとともに、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した検液のpHは、環境庁の一律排水基準に規定される5.8〜8.6の範囲となり、更に、コーン指数は国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上とすることができ、確実に環境基準を満足するように設計することが可能である。
例えば、土壌中の重金属等の溶出量は土壌汚染対策法に基づき測定した溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となるとともに、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した検液のpHは、環境庁の一律排水基準に規定される5.8〜8.6の範囲となり、更に、コーン指数は国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上とすることができ、確実に環境基準を満足するように設計することが可能である。
本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
(模擬汚染土壌の調製)
模擬汚染土壌を以下のようにして調製した。
模擬汚染土壌を調製するに際して使用する原土として、下記表1の特性を有する原土を準備した。
(模擬汚染土壌の調製)
模擬汚染土壌を以下のようにして調製した。
模擬汚染土壌を調製するに際して使用する原土として、下記表1の特性を有する原土を準備した。
次いで、砒素、鉛、フッ化物の試薬をそれぞれ溶解させた水溶液をそれぞれ調製した。
具体的には、砒素を含有する水溶液としては、亜ヒ酸ナトリウム[NaAsO2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、鉛を含有する水溶液としては、硝酸鉛[Pb(NO3)2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、フッ化物を含有する水溶液としては、フッ化ナトリウム[NaF](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を準備した。
具体的には、砒素を含有する水溶液としては、亜ヒ酸ナトリウム[NaAsO2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、鉛を含有する水溶液としては、硝酸鉛[Pb(NO3)2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、フッ化物を含有する水溶液としては、フッ化ナトリウム[NaF](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を準備した。
得られた砒素含有水溶液、鉛含有水溶液、フッ化物含有水溶液を、上記原土に対してそれぞれ所定量添加して、ソイルミキサーにて低速で十分に混合されるように撹拌混合した。ソイルミキサーの容器及びパドルに付着した土壌を掻き落としたのち、再度、低速で十分に混合した。
次いで、20℃の室内で各土壌をポリエチレン袋に密封して7日間養生し、それぞれ砒素模擬汚染土壌、鉛模擬汚染土壌、フッ素模擬汚染土壌の3種類の各模擬汚染土壌を調製した。
次いで、20℃の室内で各土壌をポリエチレン袋に密封して7日間養生し、それぞれ砒素模擬汚染土壌、鉛模擬汚染土壌、フッ素模擬汚染土壌の3種類の各模擬汚染土壌を調製した。
各模擬汚染土壌について、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で検液を作製し、検液中の重金属等濃度をJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。測定した各模擬汚染土壌からの砒素、鉛、フッ素溶出量の結果を表2に示す。
(使用原材料)
重金属等汚染対策材を調製するにあたり、以下の材料を用いた。
・ドロマイト(粉末):栃木県葛生産
・半焼成ドロマイト(粉末):栃木県葛生産のドロマイトを焼成(表4)
・硫酸第一鉄:堺化学社製 一水和物粉末
・ドロマイト(粉末):栃木県葛生産
・高分子材料:アニオン系高分子凝集剤−三洋化成工業社製
・半水石膏:関東化学社製 焼石膏粉末
重金属等汚染対策材を調製するにあたり、以下の材料を用いた。
・ドロマイト(粉末):栃木県葛生産
・半焼成ドロマイト(粉末):栃木県葛生産のドロマイトを焼成(表4)
・硫酸第一鉄:堺化学社製 一水和物粉末
・ドロマイト(粉末):栃木県葛生産
・高分子材料:アニオン系高分子凝集剤−三洋化成工業社製
・半水石膏:関東化学社製 焼石膏粉末
上記ドロマイト(粉末:栃木県葛生産)の化学組成を、JIS M 8851:1983「ドロマイトの分析方法」に準拠して測定した。その結果を下記表3に示す。
上記ドロマイト((粉末:栃木県葛生産)を焼成して得られた半焼成ドロマイト(粉)の化学組成を、JIS M 8851:1983「ドロマイトの分析方法」に準拠して測定した。その結果を下記表4に示す。
上記半焼成ドロマイト(粉)及びドロマイト(粉):栃木県葛生産)について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて各成分の含有量を測定した。その結果を表5に示す。
(重金属等汚染対策材)
上記各使用原材料を、下記表6に示す配合割合で混合して、各重金属等汚染対策材を調製した。
なお、各原材料の混合順序は特に制限されないが、各原材料を同時に混合して、各重金属等汚染対策材を製造した。なお、表6中、ドロマイト系化合物である半焼成ドロマイトとドロマイトは、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中、内割で配合した量(質量%)を示す。高分子材料は、半焼成ドロマイト及び硫酸第一鉄及びドロマイトの合量に対して外割で配合した量(質量%)を示す。
上記各使用原材料を、下記表6に示す配合割合で混合して、各重金属等汚染対策材を調製した。
なお、各原材料の混合順序は特に制限されないが、各原材料を同時に混合して、各重金属等汚染対策材を製造した。なお、表6中、ドロマイト系化合物である半焼成ドロマイトとドロマイトは、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中、内割で配合した量(質量%)を示す。高分子材料は、半焼成ドロマイト及び硫酸第一鉄及びドロマイトの合量に対して外割で配合した量(質量%)を示す。
(試験例)
試験例1:重金属等汚染対策材中のMgO含有量測定
各重金属等汚染対策材について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いてMgOの含有量を測定した。その結果を下記表7に示す。
試験例1:重金属等汚染対策材中のMgO含有量測定
各重金属等汚染対策材について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いてMgOの含有量を測定した。その結果を下記表7に示す。
試験例2:重金属等の不溶化試験
上記各模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、各試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、7日後(材齢7日)の各試験土壌について、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で検液を作製し、検液中の重金属等濃度を、JIS K 0102『工場排水試験方法』に準拠して、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
なお、比較例1として、各模擬汚染土壌に重金属等対策材を混合しない各模擬汚染土壌についても同様にして、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
その結果を表7に示す。
上記各模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、各試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、7日後(材齢7日)の各試験土壌について、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で検液を作製し、検液中の重金属等濃度を、JIS K 0102『工場排水試験方法』に準拠して、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
なお、比較例1として、各模擬汚染土壌に重金属等対策材を混合しない各模擬汚染土壌についても同様にして、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
その結果を表7に示す。
また、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した上記砒素模擬汚染土壌の検液のpHを、JIS Z8802:2011「pH測定方法」に準拠して測定した。
これらの結果を、下記表7に示す。
これらの結果を、下記表7に示す。
試験例3:土壌の固化試験
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各種重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢7日まで密封養生した後、JIS A 1228「突固めによる土の締固め試験方法」に準拠してコーン指数を測定した。
その結果を下記表7に示す。
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各種重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢7日まで密封養生した後、JIS A 1228「突固めによる土の締固め試験方法」に準拠してコーン指数を測定した。
その結果を下記表7に示す。
試験例4:土壌の再泥化試験
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各種重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢7日まで密封養生した後脱型して供試体を得た。常温の水道水を貯めた水槽に供試体を入れ、供試体が完全に水中に浸漬する状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れ方から再泥化の有無を確認した(1回目浸漬)。「再泥化しなかった」もしくは供試体の「崩れが一部であった」場合は、供試体を水中から取出して24時間30℃で乾燥させた。その供試体を再度水中に完全に浸漬させた状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れの状態より再泥化の有無を確認した(2回目浸漬)。その結果を表7に示す。
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各種重金属等汚染対策材50kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢7日まで密封養生した後脱型して供試体を得た。常温の水道水を貯めた水槽に供試体を入れ、供試体が完全に水中に浸漬する状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れ方から再泥化の有無を確認した(1回目浸漬)。「再泥化しなかった」もしくは供試体の「崩れが一部であった」場合は、供試体を水中から取出して24時間30℃で乾燥させた。その供試体を再度水中に完全に浸漬させた状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れの状態より再泥化の有無を確認した(2回目浸漬)。その結果を表7に示す。
なお、表7中、砒素の溶出量は土壌汚染対策法に基づく、次の土壌溶出量基準以下であるものを合格とした(砒素:0.01mg/L)。
検液pHは、環境庁の一律排水基準にて規定される5.8〜8.6の範囲となるものを合格とした。
コーン指数は、国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上であるものを合格とした。
再泥化試験は、供試体の初期形状を維持している場合を○、一部が崩れたり、ひび割れが入ったものを△、形状が消失し泥化したものを×として評価した。上記2回の水中浸漬試験を実施して、2回目の浸漬後であっても、初期形状を維持し、供試体に崩れやひび割れが目視で観察できなかったものを合格(○)とした。
検液pHは、環境庁の一律排水基準にて規定される5.8〜8.6の範囲となるものを合格とした。
コーン指数は、国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上であるものを合格とした。
再泥化試験は、供試体の初期形状を維持している場合を○、一部が崩れたり、ひび割れが入ったものを△、形状が消失し泥化したものを×として評価した。上記2回の水中浸漬試験を実施して、2回目の浸漬後であっても、初期形状を維持し、供試体に崩れやひび割れが目視で観察できなかったものを合格(○)とした。
上記表7より、本発明の重金属等汚染対策材を用いた実施例においては、材齢7日の試験土壌中の砒素の溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となるとともに、検液pHが一律排水基準範囲内となり、かつコーン指数400kN/m2以上かつ供試体が再泥化しなかった。
なお、実施例においては、上記鉛含有試験土壌及びフッ素含有試験土壌についても同様の方法で評価した試験例2〜4の測定結果は、材齢7日の試験土壌中の鉛、フッ素の溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となった(土壌汚染対策法に基づく、次の土壌溶出量基準以下であるものを合格とした。鉛:0.01mg/L、フッ素:0.8mg/L)(表7)。更に、検液pHが一律排水基準範囲内となり、かつコーン指数400kN/m2以上であり、供試体は再泥化せず崩れは観られなかった。
なお、実施例においては、上記鉛含有試験土壌及びフッ素含有試験土壌についても同様の方法で評価した試験例2〜4の測定結果は、材齢7日の試験土壌中の鉛、フッ素の溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となった(土壌汚染対策法に基づく、次の土壌溶出量基準以下であるものを合格とした。鉛:0.01mg/L、フッ素:0.8mg/L)(表7)。更に、検液pHが一律排水基準範囲内となり、かつコーン指数400kN/m2以上であり、供試体は再泥化せず崩れは観られなかった。
比較例2の高分子材料を含まない重金属等汚染対策材C1については、比較例1の模擬汚染土壌そのものと比べてコーン指数が高くなったものの、400kN/m2未満であり、1回目の水中浸漬により供試体が再泥化した。
これは、半焼成ドロマイトやドロマイトから溶出するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンと硫酸第一鉄から溶出する硫酸イオンの反応によってエトリンガイトや水和物が析出したことによりコーン指数が向上するものの、高分子材料が存在せず土壌中の細粒分の凝集効果がないため、コーン指数の伸びが低く再泥化抑制効果が発現しなかったと考えられる。
これは、半焼成ドロマイトやドロマイトから溶出するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンと硫酸第一鉄から溶出する硫酸イオンの反応によってエトリンガイトや水和物が析出したことによりコーン指数が向上するものの、高分子材料が存在せず土壌中の細粒分の凝集効果がないため、コーン指数の伸びが低く再泥化抑制効果が発現しなかったと考えられる。
比較例3に示す重金属等汚染対策材C2については、高分子材料を含まず、また、ドロマイト系化合物の含有量が本発明の範囲外であり且つMgO含有量が多く、更に硫酸第一鉄の配合量も多いため、鉛、砒素、フッ素の不溶化性能は高いが、土壌の凝集効果性能や固化性能のある物質が少ないためコーン指数の伸びは、比較例1の模擬汚染土壌そのものと比べほとんどなく400kN/m2未満であり、1回目の水中浸漬により供試体が再泥化した。
比較例4に示す重金属等汚染対策材C3については、MgOの含有量が0となることから、pHが中性になるもののフッ素の溶出量が土壌溶出量基準を超過した。
半焼成ドロマイトに存在する微細孔への物理吸着がないこと及び半焼成ドロマイト成分とのフッ化物イオンの反応による難溶性化合物が形成されないためだと考えられる。
半焼成ドロマイトに存在する微細孔への物理吸着がないこと及び半焼成ドロマイト成分とのフッ化物イオンの反応による難溶性化合物が形成されないためだと考えられる。
比較例5に示す硫酸第一鉄を含まない重金属等汚染対策材C4については、pHが9.1とアルカリ性となった。また、砒素及び鉛の溶出量が土壌溶出量基準を超過した。
砒素については硫酸第一鉄が含まれず難溶性の砒酸鉄が析出しないためと考えられる。
鉛については硫酸塩が含まれず硫酸鉛等の難溶性化合物が生成されないためと考えられる。
砒素については硫酸第一鉄が含まれず難溶性の砒酸鉄が析出しないためと考えられる。
鉛については硫酸塩が含まれず硫酸鉛等の難溶性化合物が生成されないためと考えられる。
比較例6に示す重金属等対策材C5については、半焼成ドロマイト、硫酸第一鉄、ドロマイト及び高分子材料をすべて含むが、ドロマイト系化合物の含有量が本発明の範囲外となることから水和物の析出が少なくなり、土壌固化性能が低くコーン指数は400kN/m2未満となった。また、硫酸第一鉄の配合量が多いため、改質土壌のpHが5.7と酸性となった。アニオン系高分子凝集剤は酸性で土粒子の凝集効果が低下するため、コーン指数は400kN/m2未満となった。
比較例7に示す重金属等対策材C7については半水石膏単体であるため、不溶化性能、固化性能、再泥化抑制効果が合格基準に届かなかった。
本発明の重金属等汚染対策材及び当該対策材を用いた重金属等汚染対策工法は、重金属やハロゲンを効率よく不溶化できるとともに、改良土を中性に保持しながら、土壌を固化して強度を向上することができ、なおかつ再泥化抑制効果に優れるため、重金属やハロゲン等が溶出する土壌改質に有効に利用することができ、例えば、トンネルやダム等の掘削工事や建設工事等によって大量に発生する重金属等が溶出する汚染土壌の処理に有効に適用することができる。
さらに、上記(1)の重金属等汚染対策材は、高分子材料は有機高分子凝集剤及び/又は増粘剤であり、前記有機高分子凝集剤はポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド及びアクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種で、前記増粘剤はセルロース系増粘剤、ポリアミド系増粘剤及びポリビニルアルコール系増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
(4) 本発明の重金属等汚染対策工法は、上記(1)乃至(3)いずれかの重金属等汚染対策材を土壌と混合して用いることを特徴とする、重金属等汚染対策工法である。
(5) 上記(4)の重金属等汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする。
(5) 上記(4)の重金属等汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする。
Claims (6)
- ドロマイト系化合物、硫酸第一鉄及び高分子材料を必須含有成分とし、ドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量中ドロマイト系化合物を55〜95質量%、硫酸第一鉄を5〜45質量%の割合で含有するとともに、高分子材料をドロマイト系化合物及び硫酸第一鉄の合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有し、且つ重金属等汚染対策材中にMgOを0.5〜8質量%含むことを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1記載の重金属等汚染対策材において、重金属等汚染対策材は、粉末形態であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1又は2記載の重金属等汚染対策材において、ドロマイト系化合物はCaMg(CO3)2、MgO、CaCO3が必須含有成分であり、少なくとも1種のドロマイト化合物を用いることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至3いずれかの項記載の重金属等汚染対策材において、高分子材料は有機高分子凝集剤及び/又は増粘剤であり、前記有機高分子凝集剤はポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド及びアクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種で、前記増粘剤はセルロース系増粘剤、ポリアミド系増粘剤及びポリビニルアルコール系増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至4いずれかの項記載の重金属等汚染対策材を土壌と混合して用いることを特徴とする、重金属等汚染対策工法。
- 請求項5記載の重金属汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする、重金属等汚染対策工法。
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