JP2019055930A - 水中生育菌類の生長抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮することのできる、水中生育菌類の生長抑制方法を提供する。【解決手段】水に対して、蒸気状態のアリルイソチオシアネートを適用する、水中生育菌類の生長抑制方法。【選択図】図1

Description

本発明は、水中生育菌類の生長抑制方法に関する。より詳細には、本発明は、水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮することのできる、水中生育菌類の生長抑制方法に関する。
従来、抗菌作用を示す薬剤として、アリルイソチオシアネート(AIT)が知られている。AITは、殺菌剤や殺生物剤として用いられている。たとえば、特許文献1には、AITガス放出体からなる園芸施設用防虫・防菌剤は開示されている。また、特許文献2には、AITを非水溶性シクロデキストリン等により包接した海洋生物の付着防止剤が開示されている。
特開平10−245309号公報 特開2006−16066号公報
しかしながら、AITは、水との接触により、失活しやすい傾向がある。そのため、AITは、水中に生育している菌類に対しては、充分な抗菌効果を得ることが困難であった。なお、上記特許文献2に記載の付着防止剤は、塗料に混合して用いられることにより、塗料を塗った物品の表面において海洋生物の付着防止効果を得るものである。すなわち、特許文献2に記載の付着防止剤は、水中に生育する菌類の生長を抑制するものではない。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮することのできる、水中生育菌類の生長抑制方法を提供することを目的とする。
本発明者は、水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮するための、AITの適用方法について鋭意研究し、蒸気状態のAITを適用する場合に、水中生育菌類の生長を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の水中生育菌類の生長抑制方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)水に対して、蒸気状態のアリルイソチオシアネートを適用する、水中生育菌類の生長抑制方法。
(2)前記水に対する前記アリルイソチオシアネートの処理量は、作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)に対する作用させる水の深さ(cm)の比率が0.05〜5である、(1)記載の水中生育菌類の生長抑制方法。
(3)前記アリルイソチオシアネートの処理濃度は、5〜500ppmである、(1)または(2)記載の水中生育菌類の生長抑制方法。
本発明によれば、水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮することのできる、水中生育菌類の生長抑制方法を提供することができる。
図1は、実施例において試験菌の増殖抑制効果を確認するための試験方法を説明するための模式図である。 図2は、実施例において試験菌の菌糸の生長がどの程度抑制されるかを確認するための試験方法を説明するための模式図である。
<水中生育菌類の生長抑制方法>
本発明の一実施形態の水中生育菌類の生長抑制方法(以下、単に生長抑制方法ともいう)は、水に対して、蒸気状態のAITを適用する方法である。
本実施形態の生長抑制方法の適用箇所は特に限定されない。生長抑制方法は、水が存在し、かつ、その水中において水中生育菌類が生育し得る場所に適用される。すなわち、本実施形態の生長抑制方法は、すでに水中生育菌類が存在している水に対して適用されてもよく、水中生育菌類が今後生育し得る水に対して適用されてもよい。また、「水」は、流水であってもよく、滞留水であってもよい。滞留水は、たとえば、浴室やキッチンのシンクの排水口、浴室の壁や窓サッシの結露水、雨どい、雨水ます等である。このような適用箇所は、水(少量の水滴であってもよい)が滞留する。このような滞留水は、水中生育菌類が生長し得る。
AITは、主に、ワサビ、カラシ、ダイコンなどのアブラナ科の植物に含まれる辛味成分である。また、AITは、無色の油状液体であり、揮散性が高く、容易に蒸気状態となり得る。
AITの揮散量は、AITを含むAIT製剤の剤型により、適宜調整され得る。すなわち、AITは、原体そのものが用いられてもよく、適宜の他の成分が混合されることにより、製剤化されてもよい。
AITを含む製剤の剤型は特に限定されない。AITは、液体状、ゲル状、固体状のいずれの状態に製剤化しても使用することができる。一例を挙げると、剤型は、ゲル状製剤、液剤、粉剤、顆粒剤、打錠剤、ペースト剤、エアゾール剤、スプレー剤等である。これらの剤型は、上記揮散量のほか、適用箇所等に応じても適宜選択され得る。
液体状の製剤とする場合には、AITは、アルコール類(多価アルコール類を含む)、ケトン類、エステル類、エーテル類(グリコールエーテル類など)、油脂、灯油、流動パラフィン等の有機溶媒あるいは水、及びこれらの混合溶媒等の溶媒に溶解して用いることが好ましい。アルコール類としては、例えば、エタノール、プロパノール、オクタノール等が挙げられる。エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。油脂としては、例えば、パーム油、オリーブ油等が挙げられる。
AITを含む製剤の剤型がゲル状製剤である場合、AITは、適宜ゲル化剤が配合され得る。ゲル化剤は、カルボキシルビニルポリマー等のアクリル系増粘剤、セルロースゲルやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、カラギーナン等の天然物由来の増粘多糖類、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等のカオリン群、アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイト等のアンティゴライト群、パイロフィライト等の滑石パイロフィライト群、イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、白雲母等の緑泥石(クロライト)雲母型粘土鉱物群、バーミキュライト等のバーミキュライト群、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ラポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト群等の粘土鉱物類等である。これらは併用されてもよい。
また、AITは、担体に担持させて使用されてもよい。担体は、特に限定されない。一例を挙げると、担体は、濾紙、パルプ、リンター、厚紙、ダンボール等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、高吸油性ポリマー等の樹脂類;セラミック;ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の化学繊維、木綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維等からなる不織布や編織布等の布綿;ゼオライト、パーライト等の無機鉱物;多孔性ガラス材料;多孔性金属材料、セラミック等の無機多孔体や焼結体;多孔質セルロース材料、ケイ酸カルシウム、シリカゲル等の粒状物;小麦粉、コーンスターチ、デキストリン等の有機物等である。
AITを担体に担持する方法は特に限定されない。一例を挙げると、AITは、担体に対して、滴下塗布する方法、練りこむ方法、含浸塗布する方法、スプレー塗布する方法等の方法により、担持され得る。
また、AITは、常温で液体であるため、取扱性を向上させるために、適宜、混練用樹脂と混練して混練物としてから取り扱われてもよい。この場合、混練されたAITは、たとえばシート状等、任意の形状に成形され得る。
混練用樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、混練用樹脂は、ロジン、ロジンエステルまたはこれらの変性物、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、シュガーエステル、ポリオレフィン、各種アクリル系樹脂等である。ロジン、ロジンエステルまたはこれらの変性物は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸等のアビエチン酸類、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、レボピマル酸等のピマル酸類の有機酸を含む天然産のロジン、あるいは、世界各国産の松脂を加工して得られたもの(たとえば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、これらのロジンに水素添加、不均化、重合等の処理を行った変性ロジン、または上記の各種ロジンをエステル化したエステルガム等のロジンエステル等)等である。混練用樹脂は、併用されてもよい。
ワックス類は、蜜ロウ、牛ロウ、ラノリン等の動物ワックス、木ロウ、ライスワックス、カルナバワックス等の植物ワックス、オゾケライト等の鉱物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス等が例示される。高級脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が例示される。高級アルコールは、ステアリルアルコール等が例示される。シュガーエステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が例示される。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン等が例示される。各種アクリル系樹脂は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等が例示される。
AITと混練用樹脂との混合割合は、AITの揮散量等を考慮して、適宜調整され得る。一例を挙げると、AITは、混練用樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部となるよう混練され得る。AITの混合割合が0.5質量部未満である場合、蒸気状態のAITが揮散するために要する時間が長くなり、水に対して充分な量のAITを適用しにくくなる傾向がある。一方、混合割合が20質量部を超える場合、液体であるAITは、充分に保持されず、取扱性が低下する傾向がある。
AITと混練用樹脂との混錬物には、AITの機能に影響のない限り、任意の添加物が混合されてもよい。このような添加物は、不揮発性オイル、安定化剤、防腐剤、色素等が例示される。
不揮発性オイルは、AITの蒸気圧を低下させて揮散速度を調節するために、好適に添加され得る。不揮発性オイルは、ミリスチン酸イソプロピル、ヤシ油、脂肪酸グリセリド等の親油性溶剤が例示される。安定化剤は、AITの変質を防ぐために、好適に添加され得る。安定化剤は、酸化防止剤や光安定化剤等である。酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール類等が例示される。光安定化剤は、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。防腐剤は、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化セチルピリジニウム(CPC)等が例示される。色素は、青色1号、青色201号、だいだい203号、黄色4号等の法定色素が例示される。
混練物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、混練物は、混練用樹脂を溶融混練し、AITを添加して均一に混合することにより調製され得る。
AITは、原体がそのまま用いられる場合のほか、これらの剤型に調製されることによっても、適量が適用箇所において揮散して蒸気状態となるか、適量が噴霧等されることにより、蒸気状態となり得る。なお、本実施形態において、「蒸気状態」とは、揮散した気体のAITだけでなく、噴霧されることにより微細な液滴状のAITが空間中に浮遊している状態も含む。これらの中でも、AITは、揮散した気体の蒸気状態であることが好ましい。
AITが原体のまま用いられる場合か、または、上記した剤型のうち、AITの剤型がゲル状製剤、液剤、粉剤、顆粒剤、打錠剤、ペースト剤等の固形状〜液状である場合、このようなAITの原体または製剤は、容器または袋に封入して使用してもよい。たとえば、水不透過性の材料からなり、一部に開口の設けられた容器に保持され得る。この場合、容器の開口は、AITを透過するガス透過性フィルムまたはガス透過性樹脂によって閉止され得る。これにより、AITは、適宜揮散して蒸気状態となり、かつ、ガス透過性フィルムまたはガス透過性樹脂によって揮散量が適宜調整され得る。また、ガス透過性フィルムによって容器の開口が閉止されることにより、AITを含む製剤は、使用者によって直接触れられない。そのため、使用者は、安全に、AITを含む製剤を取り扱うことができる。なお、このような容器に保持されたAITは、使用前の流通時や保管時に揮散しないように、さらに、ガス不透過性フィルムによって封止されることが好ましい。
上記ガス透過性フィルムやガス透過性樹脂は、AITガスを透過する性質を有する材質で構成されている必要がある。このAITガスを透過する性質を有する材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等が挙げられる。この中でも、AITを適度に徐放させて排水口のヌメリを抑制させる材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルが好ましく、その中でも、ポリエチレン(PE)が最適である。
AITの揮散量は、ガス透過性フィルムまたはガス透過性樹脂の厚さ、容器の開口面積、AITを含む製剤中のAIT濃度によって調節できる。揮散量を増加させるには、ガス透過性フィルムまたはガス透過性樹脂の厚さを薄くする、容器の開口面積を大きくする、またはAIT濃度を高濃度とすることで可能である。使用する液剤のAIT濃度は20〜60重量%が好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。液剤は、担体に担持し、使用され得る。
また、容器内部のうち、開口以外の部分は、たとえばアルミ蒸着フィルムやアルミ積層フィルム等が設けられてもよい。これにより、AITを含む製剤は、たとえば排水口等に設置された場合において、高温であったり、表面張力の低い石けん水等からなる排水が流された場合であっても、これらとの接触が防がれる。その結果、AITは、長期間にわたって、安定的に徐放され、蒸気状態となって水中の水中生育菌類に適用され、水中生育菌類の生長を抑制し得る。
本実施形態において、水中に生育する菌に対しては、水面へAIT蒸気を作用させることによって生育抑制効果をもたらす。このとき、AIT蒸気を作用させる水面における、単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)は、作用させる水の深さ(cm)によって適宜調整され得る。一例を挙げると、AITの処理量は、作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)に対する作用させる水の深さ(cm)の比率が0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。また、この比率は、5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。この比率が0.05未満である場合、本実施形態の生長抑制方法は、AITの濃度が高くなり過ぎて、使用者に対して刺激を与える可能性がある。一方、この比率が5を超える場合、本実施形態の生長抑制方法は、十分な効果が得られない可能性がある。
また、本実施形態において、AITの処理濃度は特に限定されない。一例を挙げると、AITは、処理空間が密閉空間や、排水口等の半密閉空間である場合において、このような空間中、5ppm以上となるよう処理されることが好ましく、10ppm以上となるよう処理されることがより好ましい。AITの処理濃度が5ppm未満である場合、本実施形態の生長抑制方法は、水中生育菌類の種類や濃度によっては、水中生育菌類の生長を充分に抑制できない可能性がある。一方、AITの処理濃度が500ppmを超える場合、本実施形態の生長抑制方法は、AITの濃度が高くなり過ぎて、使用者に対して刺激を与える可能性がある。
本実施形態の生長抑制方法によって生長の抑制される水中生育菌類の種類は特に限定されない。一例を挙げると、水中生育菌類は、各種のカビ、酵母等の真菌類、大腸菌、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、緑膿菌、メチロバクテリウム属等の細菌類である。より具体的には、水中生育菌類は、鼠径表皮菌、紅色白癬菌、毛瘡菌、ミクロスポルム属、トリコフィトン属、紅色白癬菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ルシタニアエ、カンジダ・クルーセイ、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・ギリエルモンディ、クリプトコックス・ネオフォルマンス、毛瘡菌、トリコフィトン・トンズランス、イヌ小胞子菌、鼠径表皮菌、ヒストプラズマ・カプスラーツム、ブラストミセス属、クリプトコックス・ネオフォルマンス、ニューモシスチス・イロベチイ、コクシディオイデス・イミティス、アスペルギルス属、ペニシリウム属、クラドスポリウム属、アルテルナリア属、フザリウム属、ユーロチウム属、ロドトルラ属、アウレオバシジウム属、エキソフィアラ属、フォーマ属及びサッカロマイセス属等の真菌が例示される。
これらの中でも、本実施形態の生長抑制方法は、浴室やキッチンのシンクの排水口等において生育しやすいクラドスポリウム属、フザリウム属、ロドトルラ属、アウレオバシジウム属、エキソフィアラ属に対して、優れた生長抑制作用を示す。
以上、本実施形態の生長抑制方法は、水に対して、蒸気状態のAITを適用することにより、水中に生息する菌類に対しても抗菌効果を発揮することができる。このような抗菌効果は、たとえば同量のAITの原体を、水に対して直接添加する場合には得られにくい。また、蒸気状態のAITは、水に対して直接添加される場合と比較して、水の表面から水中生育菌類に対して作用すると考えられる。そのため、本実施形態の生長抑制方法は、たとえば空間中を浮遊する菌類等が落下して水に付着する場合であっても、そのような付着する菌類に対しても適用され得る。その結果、生長抑制方法は、水中生育菌類が今後生育し得る水に対しても、生育を予防する効果がある。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
図1は、クラドスポリウム(Cladosporium cladosporioides)の増殖抑制効果を確認するための試験方法を説明するための模式図である。図1に示されるように、実施例1において使用したデシケータ1は、上部に開口の形成された略円筒状の本体部2と、本体部2の上部開口を閉止するための蓋部3とを備える。本体部2は、円筒状の底部21と、底部よりも径の大きな円筒状の大径部22と、底部21と大径部22とを仕切る仕切り板23とからなる。仕切り板23は、複数の貫通孔23aを備える。まず、底部21に、以下の調製方法により調製した試験菌液Lを50mL滞留させた。このとき、試験菌液Lの直径は15cm、深さは3cmであった。次いで、仕切り板23上に、AITの原体からなる検体1mgを入れたサンプル瓶Gを載置した。この検体のAITが揮散することにより、デシケータ1内の蒸気状態のAITの濃度(処理濃度)は、5ppmとなる。蓋部を取り付けて密封し、25℃で1週間培養し、試験菌液中の試験菌を生長させるとともに、生長抑制効果を確認した。結果を表1に示す。
<試験菌液の調製方法>
PDA斜面培地(DifcoTM Potato Dextrose Agar、ベクトン・ディッキンソン社製)にて、上記クラドスポリウムを充分に前培養した。その後、1/10濃度のPDB培地(DifcoTM Potato Dextrose Broth、ベクトン・ディッキンソン社製)を10mL加え、滅菌ループにて胞子を掻き取った後に濾過した。得られた濾液に生理食塩水を加えて50mL(約105CFU/mL)まで希釈し、これを試験溶液とした。
(比較例1)
参照用として、検体を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法により、試験菌液中の試験菌を生長させた。結果を表1に示す。
(比較例2)
底部に滞留させた試験菌液50mLに対し、AITの原体1.0mgを直接添加した以外は、実施例1と同様の方法により、試験菌液中の試験菌を生長させるとともに、生長抑制効果を確認した。結果を表1に示す。
<生長抑制効果の確認>
測定波長660nmにおける試験菌液の濁度を、分光光度計(型番:Multiskan GOアドバンス、Thermo Fisher Scientific社製)によって、測定し、以下の評価基準にしたがって、生長抑制効果を評価した。
(評価基準)
○:濁度が0.1未満であった。
×:濁度が0.1以上であった。
<菌糸の状態確認>
上記実施例のうち、実施例1および比較例1に関して、菌糸の生長がどの程度抑制されたかを、以下の評価基準にしたがって、確認した。
(評価基準)
○:生長が抑制された。
×:生長が抑制されなかった。
(実施例1の場合)
図2は、本発明の生長抑制方法によって、クラドスポリウムの菌糸の生長がどの程度抑制されるかを確認するための試験方法を説明するための模式図である。図2に示されるように、底部21に、水を100mL滞留させ、デシケータ1の仕切り板23上に、AITの原体からなる検体1mgを入れたサンプル瓶Gを載置した。また、仕切り板23上に水不透過性のガラスプレートSを載置し、その上に、上記と同様の方法により調製した試験菌液L1を50μL滴下した。この状態で、蓋部3を取り付けて密封し、25℃で1週間培養し、試験菌液中の試験菌を生長させるとともに、生長抑制効果を確認した。結果を表2に示す。
(比較例1の場合)
AITの原体からなる検体を入れたサンプル瓶を載置しなかった以外は、実施例2の場合と同様の方法により、試験菌液中の試験菌を生長させた。結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例1の生長抑制方法を実施した場合、菌糸の生長が見られず、試験菌の生長が抑制された。一方、比較例1の方法を実施した場合、菌糸が生長した。
<AIT処理量と、処理面積および深さとの関係の検討>
上記実施例1と、以下の実施例2〜3とに関して、AIT処理量と、処理面積および深さとの関係を検討した。具体的には、それぞれの実施例において、円柱状の容器に以下の寸法となるよう滞留水を滞留させることにより種々の適用箇所を想定し、生長抑制効果を確認した。実施例2〜3における生長抑制効果の確認方法は、実施例1と同様の条件により行った。
(実施例1)直径15cm、高さ(深さ)3cmの滞留水
この容器に試験菌液を含む滞留水を滞留させる場合、「作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)」に対する「作用させる水の深さ(cm)」の比率は、0.53となる。
(実施例2)直径15cm、高さ(深さ)10cmの滞留水(たとえば封水筒を想定)
この容器に試験菌液を含む滞留水を滞留させる場合、「作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)」に対する「作用させる水の深さ(cm)」の比率は、0.18となる。
(実施例3)直径50cm、高さ(深さ)60cmの滞留水(たとえば雨水ますを想定)
この容器に試験菌液を含む滞留水を滞留させる場合、「作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)」に対する「作用させる水の深さ(cm)」の比率は、1.18となる。
実施例1〜3に関して、生長抑制効果を確認したところ、いずれの実施例でも、優れた生長抑制効果が発現した。特に、実施例1、2において、生長抑制効果が優れていた。
1 デシケータ
2 本体部
21 底部
22 大径部
23 仕切り板
23a 貫通孔
3 蓋部
G サンプル瓶
L、L1 試験菌液
S ガラスプレート

Claims (3)

  1. 水に対して、蒸気状態のアリルイソチオシアネートを適用する、水中生育菌類の生長抑制方法。
  2. 前記水に対する前記アリルイソチオシアネートの処理量は、作用させる水面の単位表面積あたりのAIT処理量(μg/cm2)に対する作用させる水の深さ(cm)の比率が0.05〜5である、請求項1記載の水中生育菌類の生長抑制方法。
  3. 前記アリルイソチオシアネートの処理濃度は、5〜500ppmである、請求項1または2記載の水中生育菌類の生長抑制方法。
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