JP3618513B2 - 水性懸濁製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間にわたる貯蔵中に分離沈降することがなく、懸濁安定性が良好な水性懸濁製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、殺菌、殺虫活性成分を高濃度に含有する製剤として、乳剤、水和剤などが使用されてきた。ところが、近年は、引火性、臭い、粉立ちなどの安全性、環境衛生面の問題により、水を溶剤としてその中に殺菌、殺虫活性成分を分散させた水性懸濁製剤(フロアブル剤ともいう)の使用が増加してきている。この水性懸濁製剤は、安全性、環境衛生面では乳剤に比べてメリットはあるが、反面、製剤の長期間にわたる貯蔵中に水中に分散している殺菌、殺虫活性成分などの分散質が沈降して分離しにくくなったり、時には、沈降層が固まって再分散が困難になるなどのデメリットもある。
【0003】
従来、このような沈降や分離をなくして安定な分散液を得るために、界面活性剤、増粘剤や有機溶剤などの各種補助剤の種類およびその添加量について様々な研究が行われてきた。例えば、水溶性セルロースエーテルを含有する水性懸濁製剤としては、常温で油状の水不溶性殺生剤と常温で固体の水不溶性殺生剤、非イオン性界面活性剤、水溶性増粘剤および水を含有することを特徴とする流動性殺生剤組成物(特公昭57−61322号公報)や融点が38〜110℃のペースト状あるいは固体の水不溶性殺生剤、ポリビニルアルコール、水溶性増粘剤を必須成分として含有する水性懸濁状殺生剤組成物(特公昭61−126001号公報)などがある。
【0004】
また、防ばい活性成分である塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、チアベンダゾールは水、有機溶剤に難溶で液剤化しにくく、ギ酸、水酢酸、無水酢酸などの酸性物質で若干の溶解性を高めたとしても液剤化しにくく、酸性物質による刺激性により安全性上好ましくない。
【0005】
また、これらの防かび活性成分に懸濁安定剤として各種ガムを使用すると沈殿物が生成して水性懸濁製剤化できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
水を分散媒として用いられる殺虫、殺菌、防ばい活性成分を含有する水性懸濁製剤は、これまで様々な改良技術が提供されてきたが、長時間の保存安定性の点でいまだ十分とはいえない。
【0007】
したがって、本発明は、貯蔵中の分離沈降がなく、長期間にわたる保存安定性が良好な水性懸濁製剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、長期間にわたる保存安定性が良好な水性懸濁製剤を開発する目的で鋭意研究した。その結果、活性成分として殺虫活性成分、殺菌活性成分および防かび活性成分から選ばれた1種以上、水溶性セルロースエーテルおよび水よりなることを特徴とする水性懸濁製剤、または該製剤に高沸点溶剤を併用した水性懸濁製剤がこれらの目的に合致し優れた効果を示すことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
【実施例】
本発明において使用しうる活性成分とは、例えば、殺虫活性成分としては、CYAP、MPP、MEP、ECP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、キナルホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、マラソン、PAP、ジメトエート、ホルモチオン、チオメトン、エチルチオメトン、ホサロン、PMP、DMTP、プロチオホス、スルプロホス、プロフェノホス、ピラクロホス、DDVP、モノクロトホス、BRP、CVMP、ジメチルビンホス、CVP、プロパホス、アセフェート、イソフェンホス、DEP、EPN、エチオン、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PHC、XMC、エチオフェンカルブ、ベンダイオカルブ、ピリミカーブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アラニカルブ、アレスリン、レスメトリン、テフルトリン、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、シクロプロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、エトフェンプロックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、テブフェノジド、ブプロフェジン、フェノキシカルブ、ベンゾエピン、イミダクロプリド、メタアルデヒド、除虫菊、デリス、硫酸ニコチン、マシン油、DCV、BT、CPCBS、ケルセン、フェニソブロモレート、テトラジホン、BPPS、キノメチオネート、アミトラズ、ベンゾメート、フェノチオカルブ、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ジエノクロル、フェンピロキシメート、デブフェンピラド、ピリダベン、クロフェンテジン、ポリナクチン複合体、ミルベメクチン、DCIP、メチルイソチオシアネート、メスルフェンホス、ホスチアゼート、カーバム、カーバムナトリウムなどがある。
【0010】
殺菌活性成分としては、硫酸銅、生石灰、塩基性硫酸銅カルシウム、塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、銅アンモニウム錯塩、有機銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC、テレフタル酸銅、硫黄、多硫化石灰、硫酸亜鉛、ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメート、有機硫黄ニッケル塩、プロピネブ、ジラム、チウラム、チアジアジン、キャプタン、スルフェン酸系、TPN、フサライド、IBP、EDDP、トルクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダゾール、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、テクロフタラム、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、フェナリモル、ピリフェノックス、トリホリン、MAF、MAFA、ジチアノン、キノキサリン系、DPC、ジメチリモール、フルスルファミド、ベンチアゾール、ジクロメジン、トリアジン、フェリムゾン、フルアジナム、ジエトフェンカルブ、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソリニック酸、イミノクタジン酢酸塩、プロパモカルブ塩酸塩、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、ミルディオマイシン、PCNB、ヒドロキシイソキサゾール、エクロメゾール、ダゾメット、クロロネブ、メタスルホカルブなどがある。
【0011】
防ばい活性成分としては、チアベンダゾール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンなどが挙げられる。
【0012】
殺虫、殺菌、防ばい活性成分としては上記の例に限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0013】
なお、上記の殺菌、殺虫活性成分名は「農薬ハンドブック1994年版」(社団法人 日本植物防疫協会発行)、防ばい活性成分名は「防菌防黴剤事典」(昭和61年8月22日、日本防菌防黴学会発行)などに記載の一般名である。これらの水性懸濁製剤中の活性成分の含有量は、活性成分の種類によって任意に変えることができるが、製剤中に0.1〜60重量%の範囲で添加すればよい。
【0014】
本発明に使用できる水溶性セルロースエーテルとしては、セルロース中に含まれる1つのグルコース残基中の3個のOH基のうち2個がメトキシ基で置換され、その分子中にメトキシ基を27〜32重量%含有しているメチルセルロース、あるいはメチルセルロースのメトキシ基の一部が更にヒドロキシプロポキシ基で置換されたヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。例えば、メチルセルロースとして松本油脂製薬株式会社製の商品名「マーポローズM」(メトキシ基置換率27.5〜31.5%、熱ゲル化温度50〜55℃)、信越化学工業株式会社製の商品名「メトローズSM」(メトキシ基置換率27.5〜31.5%、熱ゲル化温度約52℃)などがあり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして松本油脂製薬株式会社製の商品名「マーポローズ60MP」(メトキシ基置換率28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基置換率7〜12%、熱ゲル化温度58〜64℃)、商品名「マーポローズ65MP」(メトキシ基置換率27〜30%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜7.5%、熱ゲル化温度62〜68℃)、商品名「マーポローズ90MP」(メトキシ基置換率19〜25%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜12%、熱ゲル化温度70〜90℃)、商品名「マーポローズMP」(メトキシ基置換率16.5〜20%、ヒドロキシプロポキシ基置換率60〜70%、熱ゲル化温度60〜70℃)、信越化学工業株式会社製の商品名「メトローズ60SH」(メトキシ基置換率28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基置換率7〜12%、熱ゲル化温度約60℃)、商品名「メトローズ65SH」(メトキシ基置換率27〜29%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜7.5%、熱ゲル化温度約65℃)、商品名「メトローズ90SH」(メトキシ基置換率19〜24%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜12%、熱ゲル化温度約85℃)などが挙げられる。
【0015】
また、これら以外の水溶性セルロースエーテルとしては次のものが挙げられる。すなわち、セルロースに酸化エチレンを反応させて得られるヒドロキシエチルセルロース、セルロースに酸化プロピレンを反応させて得られるヒドロキシプロピルセルロース、セルロースに苛性ソーダを反応させて得られたアルカリセルロースにモノクロル酢酸を反応させ、セルロースの水酸基の一部をカルボキシル基で置換したカルボキシメチルセルロースなどである。これら水溶性セルロースエーテルの市販品は、例えば、ヒドロキシエチルセルロースとしては、HECダイセル(ダイセル化学工業株式会社製)、フジヘック(フジケミカル株式会社製)、NATROSOL(日商岩井株式会社製)などがあり、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、日曹HPC(日本曹達株式会社製)などがあり、カルボキシメチルセルロースとしては、サンローズ(日本製紙株式会社製)、CMCニッポン(日本CMC株式会社製)、セロゲン(第一工業製薬株式会社製)、CMCダイセル(ダイセル化学工業株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。水溶性セルロースエーテルの製剤中の含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【0016】
また、本発明では高沸点溶剤を併用することができ、例えば、融点の低い活性成分の場合、これを高沸点溶剤に溶解することにより、活性成分が液体化したり、結晶化したり、製剤の懸濁安定性がわるくなったりすることがない。また、常温で液体の活性成分の場合、液体活性成分を高沸点溶剤に溶かして乳化分散させたり、別々に水中に乳化分散させることにより、該活性成分の分解を防止し、製剤の懸濁安定性が良好な製剤を得ることができる。
【0017】
本発明に使用できる高沸点溶剤としては、例えば、ソルベッソ150(エクソン化学株式会社製の商品名)、ハイゾールE、ハイゾールF(日本石油化学株式会社製の商品名)、カクタスソルベントP100、カクタスソルベントP150、カクタスソルベントP187、カクタスソルベントP200(日本鉱業株式会社製の商品名)、アルケン56N、アルケン60NH、アルケンL(日本石油化学株式会社製の商品名)などのアルキルベンゼン系溶剤、カクタスソルベント220、カクタスソルベントP240(日本鉱業株式会社製の商品名)、ソルベッソ200(エクソン化学株式会社製の商品名)、精製メチルナフタレン(住金化工株式会社製)、ジイソプロピルナフタレンなどのアルキルナフタレン系溶剤、イソパラフィン、流動パラフィン、n−パラフィンなどのパラフィン系溶剤、ナフテゾール(日本石油化学株式会社製の商品名)、Exssol(エクソン化学株式会社製の商品名)などのナフテン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−1,3−ブタンジオールなどのアルコール系溶剤、N−メチルピロリドン、n−オクチルピロリドン、n−ドデシルピロリドンなどのアルキルピロリドン系溶剤、デュポンDBE(デュポン株式会社製の商品名)、フタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジアルキル(C10〜C12)、トリメリット酸トリノルマルアルキル(C8〜C10)、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリアルキル(C9)、トリメリット酸トリイソデシル、アジピン酸ジオレイルなどの多塩基酸エステル系溶剤、オレイン酸イソブチル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、パーム脂肪酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸−2−エチルヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸デシルなどの脂肪酸エステル、ハイゾールSAS−296、ハイゾールSAS−LH(日本石油化学株式会社製の商品名)など、米ヌカ油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステルなどの植物油脂肪酸エステル、ナタネ油、大豆油、ヒマシ油、綿実油、コーン油などの植物油を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。高沸点溶剤を併用する場合は製剤中の含有量は、1〜60重量%、好ましくは3〜50重量%がよい。
【0018】
また、必要に応じて助剤として、例えば増粘剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐防バイ剤、活性成分の安定化剤などを用いることができる。
【0019】
増粘剤としては、一般に使用されるものであればよく、例えば、キサンタンガム、ラムザンガム、プルラン、トラガントガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、水溶性大豆多糖類(ソヤファイブ)、カゼイン、デキストリン、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムマグネシウム、含水無晶形二酸化ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0020】
また、消泡剤としては、シリコン系、脂肪酸系物質など、凍結防止剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど、防腐防バイ剤としては、ソルビン酸カリウム、p−クロロ−メタキシレノール、p−オキシ安息香酸ブチルなど、活性成分の安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤などを添加してもよいが、ここに例示した補助剤に限定されるものではない。
【0021】
また、本発明の水性懸濁製剤は、水に希釈して使用しても、原液をそのまま散布しても、浸漬してもよい。水に希釈する場合は、1.5倍〜4000倍、好ましくは、8倍〜3000倍に希釈するのが好ましい。
【0022】
次に、本発明の水性懸濁製剤の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は、全て重量%を示す。
【0023】
実施例1
水67.8部にマーポローズ65MP−400(ヒドロキシプロピルメチルセルロース 松本油脂製薬株式会社の商品名)3部を溶解し、カスガマイシン原体(塩酸塩)1.2部、あらかじめJet−O−mizer(セイシン企業株式会社製)を用い、平均粒径3μmに微粉砕したフサライド原体15部、エチレングリコール5部を加え、TKオートホモミキサー(日本特殊機化工業株式会社製)で5000rpm、10分間撹拌する。この混合液に、2%キサンタンガム水溶液8部を加え、スリーワンモータ(HEIDON社製)を用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0024】
実施例2〜3
実施例1の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルを表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例1に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0025】
実施例4
水75部にメトローズSM100(メチルセルロース 信越化学工業株式会社の商品名)2部を溶解し、シラフルオフェン原体10部、プロピレングリコール3部を加え、TKオートホモミキサーで5000rpm、10分間撹拌する。この混合液に、2%キサンタンガム水溶液10部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0026】
実施例5〜6
実施例4の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルを表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例4に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0027】
実施例7
水50部にHECダイセルSP200(ヒドロキシエチルセルロース ダイセル化学工業株式会社の商品名)3部を溶解し、フェリムゾン原体20部、フサライド原体15部、プロピレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型(Willy A.Bachofen AG製)を用いて粉砕液の平均粒子径が4μmになるように微粉砕した。このとき粉砕液の温度が20℃を超えないように冷却しながら粉砕を行った。
【0028】
なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液7部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0029】
実施例8〜9
実施例7の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルを表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例7に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0030】
実施例10
水48部に日曹HPC−M(ヒドロキシプロピルセルロース 日本曹達株式会社の商品名)3部を溶解し、あらかじめハイゾールSAS−296(日本石油化学株式会社の商品名)7部にエトフェンプロックス原体10部を溶解させたもの、フサライド原体20部、プロピレングリコール5部を加え、4筒式サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)を用いて粉砕液の平均粒子径が3μmになるように微粉砕した。
【0031】
なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に、2%キサンタンガム水溶液7部を加え、TKオートホモミキサーを用い、5000rpm10分間撹拌して均一な水性懸濁製剤を得た。
【0032】
実施例11〜12
実施例10の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテル、高沸点溶剤を表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例10に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0033】
実施例13
水79部にメトローズ65SH−50(ヒドロキシプロピルメチルセルロース信越化学工業株式会社の商品名)3部を溶解し、チアベンダゾール原体3部、塩酸クロルヘキシジン10部、プロピレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型(Willy A.Bachofen AG製)を用いて粉砕液の平均粒子径が2μmになるように微粉砕して、均一な水性懸濁製剤を得た。このとき粉砕液の温度が20℃を超えないように冷却しながら粉砕を行った。
【0034】
なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。
【0035】
実施例14〜15
実施例13の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルおよび高沸点溶剤を表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例13に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0036】
実施例16
水80部にメトローズ65SH−50(ヒドロキシプロピルメチルセルロース信越化学工業株式会社の商品名)2部を溶解し、チアベンダゾール原体3部、グルコン酸クロルヘキシジン10部、プロピレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型(Willy A.Bachofen AG製)を用いて粉砕液の平均粒子径が2μmになるように微粉砕して、均一な水性懸濁製剤を得た。このとき粉砕液の温度が20℃を超えないように冷却しながら粉砕を行った。
【0037】
なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。
【0038】
実施例17〜18
実施例16の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルおよび高沸点溶剤を表1に示したとおりとし、水を加えて100部とした以外は実施例16に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0039】
比較例1
水66.8部に界面活性剤としてポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル(竹本油脂株式会社製)3部、特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(花王株式会社製)1部を溶解し、カスガマイシン原体1.2部、あらかじめJet−O−mizerを用い平均粒径3μmに微粉砕したフサライド原体15部、エチレングリコール5部を加え、TKオートホモミキサーで5000rpm、10分間撹拌する。この混合液に、2%キサンタンガム水溶液8部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0040】
比較例2
実施例4のメトローズSM100(メチルセルロース)2部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)10部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 1部を用い、水を66部にした以外は実施例4に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0041】
比較例3
実施例7のHECダイセルSP200(ヒドロキシエチルセルロース)3部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(日本乳化剤株式会社製)4部、ジアルキルスルホサクシネートナトリウム(日本乳化剤株式会社製)1部を用い、水を48部にした以外は実施例7に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0042】
比較例4
実施例10の日曹HPC−M(ヒドロキシプロピルセルロース)3部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(竹本油脂株式会社製)5部を用い、水を46部にした以外は実施例10に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0043】
比較例5〜6
比較例4の製剤組成のうち、高沸点溶剤を表1に示したとおりにした以外は、比較例4に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0044】
比較例7
実施例13のメトローズ65SH−50(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)2部を用い、水を80部にした以外は実施例13に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0045】
比較例8
実施例15のメトローズSM−15(メチルセルロース)5部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)3部を用い、水を加えて100部とした以外は実施例15に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0046】
比較例9
実施例16のメトローズ65SH−50(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)2部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)2部を用いた以外は実施例16に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0047】
比較例10
実施例18の日曹HPC−M(ヒドロキシプロピルセルロース)3部にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)3部を用いた以外は実施例18に準じて調製し、均一な水性懸濁製剤を得た。
【0048】
【発明の効果】
本発明の水性懸濁製剤には、次のような作用効果がある。第1に長期間にわたり貯蔵しても、活性成分などの水中に懸濁している成分が分離沈降することがなく安定性が保たれる。第2に界面活性剤を使用していないため、界面活性剤により引き起こされる作物に対する薬害がない。第3に、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、チアベンダゾールなどの防かび活性成分が水性懸濁製剤化ができ、優れた防ばい効果を損なうことなく広範囲の分野に使用できるようになる。第4に水を分散媒とした製剤であるため、発火性、引火性などの危険が少なく、人体に対する刺激性、臭気による環境衛生上の問題がない。
【0049】
次に試験例により本発明の水性懸濁製剤の有用性を示す。
【0050】
試験例1 水稲薬害試験
1/5000アールの大きさのワグネルポットに水田土壌を充填し、水を加えて化成肥料(N:P:K=17:17:17)2gを混入し代かきを行った後、6葉期の水稲苗(品種:日本晴)をポットあたり3本移植した。試験は1処理区3ポット製で実施し、水稲移植5日後に実施例に準じて調製した水性懸濁製剤200μlをエアーブラシ(OLYMPOS社製、2kg/cm圧)で水稲に噴霧して、薬剤処理5日後に下記の基準により水稲薬害程度を調査した(表1中の薬害程度は3ポットの平均値)。結果は表1に示す。
【0051】
調査基準
0:薬害なし
1:極僅かに症状を認める。
2:小程度の症状を認める。
3:中程度の症状を認める。
4:大程度の症状を認める。
5:甚程度の症状を認める(枯死)。
【0052】
試験例2 製剤安定性試験
調製した水性懸濁製剤を容量30ml(φ17mm×長さ180mm)の試験管に30ml入れ、密栓をし、20℃または40℃の恒温室に静置する。そして、それぞれ20℃で3か月後、40℃で3か月後の製剤の分離状態を、試験管中の懸濁剤が下層に沈降し、上層に生じた水層(上スキ層)と全層の高さ(cm)を測定して、下記式により算出した。
【0053】
【数1】
【0054】
結果は、表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
試験例3 防カビ試験
1m×1mのろ紙(No.2)に実施例に準じて調製した水性懸濁製剤500μlをエアーブラシ(OLYMPOS社製、2kg/cm圧)で均一に噴霧して、24時間風乾する。風乾後、このろ紙を5cm×5cmの大きさの試験片とし、試験片1個について200mlの容量のビーカーを用意し、それに水200mlを入れて20℃に保ち、その中に試験片を24時間浸漬し、その試験片を取り出して24時間風乾する。乾燥後、ペトリ皿の寒天培地(組成:ぶどう糖40g、ペプトン10g、寒天25gおよび精製水1000ml)の培養面の中央に張りつけ、そしてアスペルギルス、ニゲル、ペニシリウム フニクンロスム、クラドスポリウム クラドスポリオイデス、グリオクラジウム ピレンスオーレオ バシジウム ブルランスの混合胞子懸濁液を培地面および試験片のうえに均等に噴霧接種する。ペトリ皿に蓋をして28±2℃の恒温器で培養し、14日後に試験片上のかびの生育状態を下記の基準により調査した。結果を表2に示す。
【0057】
【0058】
【表2】
Claims (2)
- 活性成分として、殺虫活性成分、殺菌活性成分および防ばい活性成分から選ばれた1種以上、水溶性セルロースエーテルおよび水よりなることを特徴とする水性懸濁製剤。
- 活性成分として、殺虫活性成分、殺菌活性成分および防ばい活性成分から選ばれた1種以上、水溶性セルロースエーテル、高沸点溶剤および水よりなることを特徴とする水性懸濁製剤。
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