JP3618510B2 - 湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤 - Google Patents

湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製剤を水で希釈することなく容器からそのまま水田に滴下することにより散布でき、稲の移植前処理、移植同時処理、移植後処理のできる湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、除草活性成分を水に懸濁して分散させた水性懸濁製剤についてはいくつか知られている。例えば、水溶解度が100ppm(25℃)以下の除草剤原体を界面活性剤を用いて水に懸濁分散させた水性懸濁製剤(特公平7−47521号公報)、10μm以下の微細な水難溶性除草活性成分を水に懸濁させ粘度が180〜500センチポイズ(20℃)、初期の水面拡展速度が4.0cm/sec(20℃)以上、表面張力が25.0〜31.0dyne/cm(25℃)の物理性を有する水懸濁水田用除草剤(特開昭62−87501号公報)、平均粒子径が0.5〜5.0μm、水溶解度が100ppm(25℃)以下の除草活性化合物を界面活性剤を用いて水に懸濁させ、表面張力が36〜65dyne/cm(25℃)の物理性を有する除草用水性懸濁製剤(特公平7−47522号公報)、除草活性化合物と界面活性剤、水からなり表面張力が35〜65dyne/cm(25℃)の物理性を有する除草用水性懸濁製剤(特開昭62−289502号公報)、疎水性除草成分(ブタミホス)とポリビニルアルコールまたはアラビアガム、それに増粘剤、水よりなる水中油型懸濁状除草組成物(特開昭55−124708号公報)、融点が38〜110℃のペースト状あるいは固体の水不溶性殺生剤、ポリビニルアルコール、水溶性増粘剤および水よりなる水性懸濁状殺虫剤組成物(特開昭61−126001号公報)などがある。
【0003】
しかし、これら従来技術をスルホニルウレア系除草活性成分を有する水性懸濁製剤に用いる試みは極めて困難性を伴うことが知られている。その原因の1つにスルホニルウレア系除草性化合物が非常に加水分解を受けやすく、特に水性懸濁製剤中では活性成分の分解が促進されることが挙げられる。この活性成分の分解防止を目的として特定のカルボン酸塩または無機酸塩を配合する方法(特公平5−8164号公報)、水性懸濁製剤のpHを6以下にするか、スルホニルウレア系除草活性成分を鉱物質微粉とパラフィンワックスで微粉末とする方法(特開平5−105606号公報)、ポリアクリル酸誘導体を配合する方法(特開平6−219913号公報)が提案されている。しかし、これらの方法ではスルホニルウレア系除草活性化合物を水性懸濁製剤中で安定に保つには十分ではなく、スルホニルウレア系除草活性成分の活性が高いことによる稲に対する薬害を防止しうるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
水を分散媒とした湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤は、薬剤散布時に、水で希釈することなく容器からそのまま田面水に滴下できるため、安全性、経済性、省力化などの点で優れた剤型である。しかし、これまでのスルホニルウレア系除草活性成分を含有する湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤は、スルホニルウレア系除草活性成分の分解が著しく、製剤中に非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤などの界面活性剤を含むため、散布時、稲体へ薬剤が付着しやすく界面活性剤単独またはこれとスルホニルウレア系除草活性成分および/または殺ヒエ活性を有する除草活性成分との相乗的な作用による薬害が発生しやすくさらに田面水中での除草活性成分の拡散が不充分なため、除草効果が充分発揮されなかったりするなどの問題があった。
【0005】
従って、従来の湛水下水田への直接散布用水性懸濁剤に代わって除草活性成分の安定性が高く、散布時における除草活性成分の水中拡散性が優れた、稲体に対して薬害のない水性懸濁製剤の開発が望まれており、本発明はこれらの要望に合致した湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、良好なる製剤安定性と水中拡散性の改善および薬剤の稲体への付着を防ぎ薬害を防ぐことを目的とし鋭意研究の結果、農薬活性成分としてスルホニルウレア系除草活性成分および/または殺ヒエ活性を有する除草活性成分と水溶性セルロースエーテルおよび水よりなる水性懸濁製剤がこれらの目的に合致し優れた効果を示し、また、該水性懸濁製剤に高沸点溶剤を添加することにより水中拡散性がさらに良好となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
また、本発明において使用しうるスルホニルウレア系除草活性成分とは、例えば、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−o−トルアート(ベンスルフロンメチル)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素 (イマゾスルフロン)、1H−ピラゾ−ル−5−スルフォンアマイド,N−(((4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル))−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾ−ル−5−イル)(アジムスルフロン)、1−{[0−(シクロプロピルカルボニル)フェニル]スルファモイル}−3−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジニル)尿素(AC−140)、N−(2−クロロイミダゾ−ル[1,2−a]ピリジン−3−イル−スルフォニル)−N’−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジル)ウレア(TH−913)、3−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1−[2−(2−メトキシエトキシ)フェニルスルホニル]−ウレア(シノスルフロン)、3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−1−(2−エトキシフェノキシスルホニル)ウレア(エトキシスルフロン)などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0008】
本発明に使用できる殺ヒエ活性を有する除草活性成分とは、例えば、フェノチオール、CNP、クロメトキシニル、ビフェノックス、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、ジメピペレート、ブタクロール、プレチラクロール、テニルクロール、メフェナセット、ダイムロン、ジメタメトリン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ジチオピル、ピペロホス、ACN、シンメチリン、ピリブチカルブ、3−[4−クロロ−5−(シクロペンチルオキシ)−2−フルオロフェニル]−5−イソプロピリデン−オキサゾリジン−2,4−ジオン (KPP−314)、ブチル(R)2−(4−(4−シアノ−2−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロピオネ−ト(シハロホップブチル)、N,N−ジエチル−3−メシチルスルホニル−1H−1,2,4−トリアゾ−ル−1−カルボキサミド(CH−900)、S−(N(4−クロロフェニル)−N−イソプロピルカルバモイルメチル)−O,O−ジメチルジチオフォスファ−ト(アニロホス)、メチル=2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[1−(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエ−ト(KUH−920)、2−[2−(3−クロロフェニル)−2,3−エポキシプロピル]−2−エチルインダン−1,3−ジオン(MK−243)、4−(2−クロロフェニル)−N−シクロヘキシル−4,5−ジヒドロ−N−エチル−5−オキソ−1H−テトラゾ−ル−1−カルボキシアミド(NBA−061)、3−[1−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチルエチル]−2,3−ジヒドロ−6−メチル−5−フェニル−4H−1,3−オキサジン−4−オン(MY−100)、3−[2,4−ジクロロ−5−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−5−(1,1−ジメチルエチル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2(3H)−オン(オキサジアルギル)などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0009】
なお、これらの化合物名は「農薬ハンドブック1994年版」(社団法人 日本植物防疫協会発行)に記載の一般名等である。
【0010】
これらの除草活性成分の製剤中の含有量は除草活性成分の種類によって任意に変えることができるが、製剤中に0.1〜60重量%の範囲で添加すればよい。
【0011】
本発明に使用できる水溶性セルロースエーテルとしては、セルロース中に含まれる1つのグルコース残基中の3個のOH基のうち2個がメトキシ基で置換され、その分子中にメトキシ基(−OCH)を27〜32重量%含有しているメチルセルロース、あるいはメチルセルロースのメトキシ基の一部が更にヒドロキシプロポキシ基(−OCOH)で置換されたヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。例えば、メチルセルロースとして松本油脂製薬株式会社製の商品名「マーポローズM」(メトキシ基置換率27.5〜31.5%、熱ゲル化温度50〜55℃)、信越化学工業株式会社製の商品名「メトローズSM」(メトキシ基置換率27.5〜31.5%、熱ゲル化温度約52℃)などがあり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして松本油脂製薬株式会社製の商品名「マーポローズ60MP」(メトキシ基置換率28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基置換率7〜12%、熱ゲル化温度58〜64℃)、商品名「マーポローズ65MP」(メトキシ基置換率27〜30%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜7.5%、熱ゲル化温度62〜68℃)、商品名「マーポローズ90MP」(メトキシ基置換率19〜25%、ヒドロキシプロポキシ基置換率4〜12%、熱ゲル化温度70〜90℃)、商品名「マーポローズMP」(メトキシ基置換率16.5〜20%、ヒドロキシプロポキシ基置換率60〜70%、熱ゲル化温度60〜70℃)などが挙げられる。また、これら以外の水溶性セルロースエーテルとしては次のものが挙げられる。すなわち、セルロースに酸化エチレンを反応させて得られるヒドロキシエチルセルロース、セルロースに酸化プロピレンを反応させて得られるヒドロキシプロピルセルロース、セルロースに苛性ソーダを反応させて得られたアルカリセルロースにモノクロル酢酸を反応させ、セルロースの水酸基の一部をカルボキシル基で置換したカルボキシメチルセルロースなどである。これら水溶性セルロースの市販品は、例えばヒドロキシエチルセルロースとして、HECダイセル(ダイセル化学工業株式会社製)、フジヘック(フジケミカル株式会社製)、NATROSOL(日商岩井株式会社製)などがあり、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、日曹HPC(日本曹達株式会社製)などがあり、カルボキシメチルセルロースとしては、サンローズ(日本製紙株式会社製)、CMCニッポン(日本CMC株式会社製)、セロゲン(第一工業製薬株式会社製)、CMCダイセル(ダイセル化学工業株式会社製)などが挙げられる。水溶性セルロースエーテルの製剤中の含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【0012】
本発明に使用できる高沸点溶剤としては、例えば、ソルベッソ150(エクソン化学株式会社製の商品名)、ハイゾールE、ハイゾールF(日本石油化学株式会社製の商品名)、カクタスソルベントP100、カクタスソルベントP150、カクタスソルベントP187、カクタスソルベントP200(日本鉱業株式会社製の商品名)、アルケン56N、アルケン60NH、アルケンL(日本石油化学株式会社製の商品名)などのアルキルベンゼン系溶剤、カクタスソルベント220、カクタスソルベントP240(日本鉱業株式会社製の商品名)、ソルベッソ200(エクソン化学株式会社製の商品名)、精製メチルナフタレン(住金化工株式会社製)、ジイソプロピルナフタレンなどのアルキルナフタレン系溶剤、イソパラフィン、流動パラフィン、n−パラフィンなどのパラフィン系溶剤、ナフテゾール(日本石油化学株式会社製)、Exssol(エクソン化学株式会社製の商品名)などのナフテン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−1,3−ブタンジオールなどのアルコール系溶剤、N−メチルピロリドン、n−オクチルピロリドン、n−ドデシルピロリドンなどのアルキルピロリドン系溶剤、デュポンDBE(デュポン株式会社製の商品名)、フタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジアルキル(C10〜C12)、トリメリット酸トリノルマルアルキル(C〜C10)、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリアルキル(C)、トリメリット酸トリイソデシル、アジピン酸ジオレイルなどの多塩基酸エステル系溶剤、オレイン酸イソブチル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、パーム脂肪酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸−2−エチルヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸デシルなどの脂肪酸エステル、ハイゾールSAS−296、ハイゾールSAS−LH(日本石油化学株式会社製の商品名)など、米ヌカ油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステルなどの植物油脂肪酸エステル、ナタネ油、大豆油、ヒマシ油、綿実油、コーン油などの植物油を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
【0013】
高沸点溶剤の製剤中の含有量は、1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%がよい。
【0014】
また、必要に応じて助剤として、例えば増粘剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐防バイ剤、除草活性成分の安定化剤などを用いることができる。
【0015】
増粘剤としては、一般に使用されるものであればよく、例えば、キサンタンガム、トラガントガム、カゼイン、デキストリン、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムマグネシウム、含水無晶形二酸化ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0016】
また、消泡剤としては、シリコン系、脂肪酸系物質など、凍結防止剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど、防腐防バイ剤としては、ソルビン酸カリウム、p−クロロ−メタキシレノール、p−オキシ安息香酸ブチルなど、除草活性成分の安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤などを添加してもよいが、ここに例示した補助剤に限定されるものではない。
【0017】
本発明の水性懸濁製剤は代かき作業時以降の水田が湛水状態であればよく水深には関係なく使用することができる。つまり田植え時のような土壌表面にわずかな水層が存在するような状態から水田全面に水深3〜5cmの水を張った状態まで、土壌表面が乾ききった状態でなければ散布が可能であり、さらに潅漑水の入水時においても使用できる。田植えと同時に滴下処理をするような田植え時の水の少ない条件下であってもよく、処理すれば除草活性成分はある程度拡散し、その後の入水によってさらに均一となって十分な除草効果を発揮することができる。
【0018】
また、稲の移植前、移植時、移植後の何れの時期においても散布することができる。さらに湛水直播水稲へも適用が可能である。
【0019】
本発明の水性懸濁製剤の散布は原液をそのまま水に希釈することなく用いるか、あるいは少量の水を用いて2〜5倍の高濃度希釈液とし水田に滴下処理を行えばよく、粒剤のように水田全面に均一散布する必要はない。散布は原液または高濃度希釈液を容器に入れて手振りするか、または加圧式散布機を用いて噴射または噴霧すればよい。さらに近年普及しているRCヘリコプターからの空中散布または滴下も可能である。また、潅漑水の流入に際して水田の水の取り入れ口(水口)で流入水に滴下処理を行い、流入水と共に水田に流し込んでもよい。
【0020】
本発明の水性懸濁製剤の単位面積当たりの施用量は特に制限はないが、散布作業労力及び経済効率の面より原液散布の場合は10アール当たり0.05リットルから2リットルの範囲であり、好ましくは0.1リットルから1.5リットルの範囲である。また、高濃度希釈液(2倍〜5倍)での散布の場合は10アール当たり0.1リットルから6リットル、好ましくは0.2リットルから5リットルである。
【0021】
【実施例】
次に、本発明の湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
なお、実施例中の部は、全て重量%を示す。
【0023】
実施例1
水77.6部に商品名「マーポローズ65MP−400」(ヒドロキシプロピルメチルセルロース 松本油脂株式会社製)3部を溶解し、ベンスルフロンメチル原体1.4部、テニルクロール原体5部、エチレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型(Willy A.Bachofen AG製)を用いて粉砕液の平均粒子径が3μmになるように微粉砕した。なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液8部を加え、スリーワンモータ(HEIDON社製)を用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0024】
実施例2〜3
実施例1の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルを表1〜表2に示したとおりにした以外は実施例1に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0025】
実施例4
水47.8部に商品名「メトローズSM100」(メチルセルロース 信越化学株式会社製)2部を溶解し、あらかじめJet−O−mizer(セイシン企業株式会社製)を用い、平均粒子径3μmに微粉砕したベンスルフロンメチル原体1.4部とテニルクロール原体4.2部、プロピレングリコール3部を加え、TKオートホモミキサー(日本特殊機化工業株式会社製)で5000rpm、10分間攪拌する。この混合液に、フタル酸ジトリデシル25部およびソルベッソ150 10部にシハロホップブチル原体3.6部を溶解したものを加え、再びTKオートホモミキサーで5000rpm、10分間攪拌し、2%キサンタンガム水溶液3部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0026】
実施例5〜6
実施例4の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテル、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は実施例4に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0027】
実施例7
水59.3部に商品名「HECダイセルSP200」(ヒドロキシエチルセルロース ダイセル化学工業株式会社製)5部を溶解し、イマゾスルフロン原体1.7部、ピリブチカルブ原体12部、イソパラフィン10部、プロピレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型を用いて粉砕液の平均粒子径が4μmになるように微粉砕した。このときの粉砕液の温度が20℃を超えないように冷却しながら粉砕を行った。なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液7部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0028】
実施例8〜9
実施例7の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテル、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は実施例7に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0029】
実施例10
水80.5部に商品名「日曹HPC−M」(ヒドロキシプロピルセルロース 日本曹達株式会社製)3部を溶解し、ベンスルフロンメチル原体3.5部、プロピレングリコール3部を加え、4筒式サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)を用いて粉砕液の平均粒子径が3μmになるように微粉砕した。なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液10部を加え、スリーワンモータを用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0030】
実施例11〜12
実施例10の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテルを表1〜表2に示したとおりにした以外は実施例10に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0031】
実施例13
水47部に商品名「CMCダイセル1207」(カルボキシメチルセルロースダイセル化学工業株式会社製)4部を溶解し、あらかじめハイゾールSAS−LH20部および流動パラフィン15部にシハロホップブチル原体6部を溶解させたもの、プロピレングリコール5部を加え、4筒式サンドグラインダーを用いて粉砕液の平均粒子径が3μmになるように微粉砕した。なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液3部を加え、TKオートホモミキサーを用い、5000rpmで10分間攪拌して均一な水性懸濁製剤を得た。
【0032】
実施例14〜15
実施例13の製剤組成のうち、水溶性セルロースエーテル、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は実施例13に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0033】
比較例1
水79.6部に界面活性剤としてポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル(竹本油脂株式会社製)1部を溶解し、ベンスルフロンメチル原体1.4部、テニルクロール原体5.0部、エチレングリコール5部を加え、ダイノミルKDL型を用いて粉砕液の平均粒子径が3μmになるように微粉砕した。なお、粉砕用メディアとしては直径0.7〜1.2mmの硬質ガラスビーズを用いた。この粉砕液に2%キサンタンガム水溶液8部を加え、スリーワンモータ(HEIDON社製)を用いて均一に混合して水性懸濁製剤を得た。
【0034】
比較例2
実施例4のメトローズSM100(メチルセルロース)にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(竹本油脂株式会社製)5部を用い、水を44.8部にした以外は実施例4と同じ組成物と操作により均一な水性懸濁製剤を得た。
【0035】
比較例3〜4
比較例2の製剤組成のうち、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は比較例2に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0036】
比較例5
実施例7「HECダイセルSP200」(ヒドロキシエチルセルロース)にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(東邦化学株式会社製)3部を用い、水を61.3部にした以外は実施例7と同じ組成物と操作により均一な水性懸濁製剤を得た。
【0037】
比較例6〜7
比較例5の製剤組成のうち、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は比較例5に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0038】
比較例8
実施例10の「日曹HPC−M」(ヒドロキシプロピルセルロース)にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(日本乳化剤株式会社製)1部を用い、水を82.5部にした以外は実施例10と同じ組成物と操作により均一な水性懸濁製剤を得た。
【0039】
比較例9
実施例13の「CMCダイセル1207」(カルボキシメチルセルロース)にかえて界面活性剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(東邦化学工業株式会社製)7部を用い、水を44部にした以外は実施例13と同じ組成物と操作により均一な水性懸濁製剤を得た。
【0040】
比較例10〜11
比較例9の製剤組成のうち、高沸点溶剤を表1〜表2に示したとおりにした以外は比較例9に準じて調製し、水性懸濁製剤を得た。
【0041】
【発明の効果】
本発明の湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤を実施することにより、次のような作用効果がもたらされる。第1に除草活性成分、特にスルホニルウレア系除草剤の安定性がよい。第2に散布時に薬剤が稲体に付着することがないため稲に対する薬害が少なく、しかも高い除草効果を示す。第3に田面水中での除草活性成分の拡散性がよい。第4に水を分散媒とした製剤であるため、発火性、引火性などの危険が少なく、人体に対する刺激性、臭気による環境衛生上の問題がない。第5に代かき作業時以降の何れの時期においても散布でき、水で希釈することなく薬剤を容器に入れたまま畦畔より滴下するか、入水時に水口に滴下して流入水と共に流し込むだけでよく、薬剤散布作業が省力化できる。
【0042】
次に試験例により本発明の水性懸濁製剤の有用性を示す。
【0043】
試験例1 除草活性成分安定性試験
実施例に準じて調製した水性懸濁製剤をガラス瓶に入れて密封し、40℃で90日加温虐待した後、それぞれの除草活性成分の残存率を下記の式により算出した。なお、各除草活性成分は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)あるいはガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。その結果は表1〜表2に示す。
【0044】
【数1】
Figure 0003618510
【0045】
試験例2 水稲付着および薬害試験
1/5000アールのワグネルポットに水田土壌を充填し、水を加えて化成肥料(N:P:K=17:17:17)2gを混入し代かきを行った後、2.5葉期の水稲苗(品種:日本晴)をポットあたり2本移植した。試験は1処理区3ポット(合計6本)で実施し、水稲移植5日後に実施例に準じて調製した水性懸濁製剤50μlを水稲の第2葉の葉身中央部に葉面より1cmの高さからマイクロシリンジで滴下して葉身に薬剤が付着した株数を調査した。また薬剤処理5日後に下記の基準により水稲薬害程度を調査した(表1〜表2中の薬害程度は6株の平均値)。結果は表1〜表2に示す。
【0046】
調査基準
0:薬害なし
1:付着部に薬痕が残る
2:付着葉の1/4以下が褐変
3:付着葉の1/4〜1/2が褐変
4:付着葉の1/2〜3/4が褐変
5:付着葉の3/4以上が褐変
6:付着葉が枯死
7:付着葉が枯死し、さらに新葉(第4葉)の1/2以下が褐変
8:付着葉が枯死し、さらに新葉(第4葉)の1/2以上が褐変
9:付着葉および新葉が枯死
10:稲全体が枯死
【0047】
試験例3 拡散性試験
1区画の面積が9(3m×3m)の試験区(湛水深5cm)を作り、その中央(A点)に実施例に準じて調製した試料を水面から1mよりピペットで直接滴下した。処理1時間後および処理3時間後に試験区の中央(A点)および4隅(B〜E点の各地点)についての水深5cm〜水面までの水をおのおの20mlずつ採取し、水中の除草活性成分濃度をHPLCにて分析した。
【0048】
なお、水の採取は、内径1cm長さ8cmのガラス管を用い、田面水へガラス管を深さ5cmまで静かに入れ、ガラス管上部にゴム栓をし、静かに引き抜き、田面水約4mlを採取し、この操作を同一地点で5回繰り返して、1地点あたり合計20mlの水を採取する方法を用いた。 そして、拡散性は、次式により除草活性成分が試験区内の水中に均一に拡散した場合の理論水中濃度に対する割合で示した。
【0049】
【数2】
Figure 0003618510
【0050】
結果は表1〜表2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003618510
【0052】
【表2】
Figure 0003618510

Claims (2)

  1. 農薬活性成分としてスルホニルウレア系除草活性成分および/または殺ヒエ活性を有する除草活性成分、水溶性セルロースエーテルおよび水よりなることを特徴とする湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
  2. 請求項1に記載の水性懸濁製剤に高沸点溶剤を含有させることを特徴とする湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
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