JP6215417B2 - 誘引物質発生抑制剤 - Google Patents

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本発明は、食料品や生ゴミの周辺に配置することにより、食料品や生ゴミからの飛翔害虫誘引物質の発生を抑制する誘引物質発生抑制剤およびこの誘引物質発生抑制剤を容器内に収納した飛翔害虫誘引抑制器に関する。
近年、ガーデニングや昆虫飼育の流行、消費者の害虫防除意識の向上に伴い、コバエ類は屋内でよく目にする害虫として広く注目を集め、人に不快感を与えることから問題となっている。一般家庭で見かけるコバエ類の代表種としては、食料品や生ゴミまわり等で発生するショウジョウバエやノミバエ、屋内の観葉植物やベランダのプランターまわり等で発生するクロバネキノコバエ、浴室やトイレおよびそれらの下水管等で発生するチョウバエ等があげられ、一般家庭での防除対象害虫として蚊と同じように防除要望が高い。コバエ類は体が非常に小さいため、わずかな隙間からも侵入し、飛来するだけでなく、少量の餌からも発生することが可能なため、わずかな食料品や生ゴミを放置しておくと、屋内で大発生して問題になることもある。
一般家庭では、殺虫剤エアゾール(例えば、特許文献1)を噴霧することによってコバエ類を駆除することが行われているが、飛翔害虫の中でもコバエ類は虫体が軽く、飛翔能力が弱いため、噴射の勢いで飛ばされるなどして、薬剤が充分に触れないために、エアゾール剤などの噴霧による殺虫剤での駆除は、殺虫剤の作用効果や到達効率が十分とならず難しいという問題があった。さらに、生ゴミはコバエ類の発生源となりやすいが、台所には食料品が多く置かれているため、噴霧・蒸散等の殺虫剤を使用することができない、またはためらう場合が多い。
そのため、コバエ類等の飛翔害虫を確実に捕獲し防除するための種々の検討が行われており、例えば、害虫誘引成分を含む薬剤を収納した容器(例えば、特許文献2)等が知られているが、これも殺虫剤を使用するものである。
特開2005−330264号公報 再公表2008/062612号
本発明は、食料品や生ゴミの周辺に配置することにより、食料品や生ゴミからの飛翔害虫誘引物質の発生を抑制する誘引物質発生抑制剤およびこの誘引物質発生抑制剤を容器内に収納した飛翔害虫誘引抑制器を提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アリルイソチオシアネート(以下、「AIT」ということがある。)が、食料品や生ゴミからの飛翔害虫誘引物質の発生を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明の飛翔害虫誘引抑制器は、「AIT」を有効成分とする誘引物質発生抑制剤を容器内に収納したものであり、これを食料品や生ゴミ等の近くに配置することにより、長期間安定的に飛翔害虫誘引物質の発生を抑制できることを特徴とするものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.アリルイソチオシアネートを有効成分とし、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2−アセチルピリジン、トリメチルピリジンのいずれか1種以上の飛翔害虫誘引物質の発生を抑制することを特徴とする、誘引物質発生抑制剤。
2.飛翔害虫がショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエのいずれか1種以上であることを特徴とする1.に記載の誘引物質発生抑制剤。
3.1.に記載の誘引物質発生抑制剤を容器内に収納した飛翔害虫誘引抑制器。
本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤は、「AIT」を有効成分としている。
「AIT」は揮散性の高い物質であり、本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤は、「AIT」の揮散性ガスにより食料品や生ゴミからの飛翔害虫の誘引物質の発生を抑制するものであるから、食料品や生ゴミの周辺に配置するだけで、従来食料品や生ゴミに誘引されていたコバエ類等の飛翔害虫が誘引されず、コバエ類が食料品や生ゴミに接することがないので衛生的である。
また、本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤は、殺虫剤を一切使用することなく室内で発生する飛翔害虫を低減させることができるので、殺虫剤を噴霧できない、もしくはためらう台所においても、有効な飛翔害虫防除が可能となる。
コバエ類等の飛翔害虫は繁殖能力が極めて高い害虫であるが、本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤を使用することにより、生ゴミにコバエ類等の飛翔害虫が集まることが低減され、生ゴミがコバエ類等の飛翔害虫のさらなる発生源となることが抑制される。
さらに、「AIT」は、人に対する安全性が非常に高い物質であるため、食料品の周辺に置いても安全性に問題はなく、台所の流しの周辺部の材質を劣化・腐食させる心配もない。
本発明を試験するための試験系(ノミバエ)を模式的に表すものである。 食料品から発生したガスの分析(GC/MS)チャートである。 本発明が抑制する誘引物質の誘引効果を試験するための試験系(ノミバエ)を模式的に表すものである。 本発明が抑制する誘引物質単剤での誘引試験結果を示すグラフである。
本発明における飛翔害虫の種類には限定がなく、例えば双翅目(ハエ目)昆虫のうちでコバエといわれるショウジョウバエ科(キイロショウジョウバエ、クロショウジョウバエ等)、ノミバエ科(オオキモンノミバエ、コシアキノミバエ等)、クロバネキノコバエ科、キノコバエ科、ケバエ科、ニセケバエ科、ショクガバエ科(ハナアブ科)、チーズバエ科、チョウバエ科、ツヤホソバエ科、トゲハネバエ科、ハネフリバエ科、ハマベバエ科、ハヤトビバエ科、ミギワバエ科等が好適に挙げられ、その他にも比較的大型のハエであるイエバエ科(イエバエ、サシバエ等)、クロバエ科(ケブカクロバエ、キンバエ等)、ニクバエ科、フンバエ科等いずれも本発明の飛翔害虫に含まれる。また双翅目以外の昆虫である半翅目(カメムシ目)のアブラムシ類、ウンカ類、カメムシ類、ヨコバイ類、さらに鱗翅目(チョウ目)である果実吸蛾類等も含むことができる。その他狭義の飛翔害虫ではないが、壁を匍匐し、空中を滑空などで飛ぶことができるゴキブリ等を含めても良い。
ハエ類に対して高い誘引活性を有している物質としては、特開2007−254363号公報や特開2002−020213号公報に記載されているように、果実や野菜やその加工品、乳加工品等が知られている。すなわち、食料品や生ゴミからは、コバエ類を含むハエ類を誘引する揮散性のガスが発生しているものと考えられている。これに対して、「AIT」を有効成分とする本発明の誘引物質発生抑制剤を、食料品や生ゴミの周辺に配置することにより、この食料品や生ゴミからの該誘引物質の発生を顕著に抑制することができる。「AIT」が有する、この飛翔害虫の誘引物質の発生を抑制する作用は、今回初めて見出された作用であり、「AIT」が食料品や生ゴミからの飛翔害虫誘引物質の発生を抑制し、結果として飛翔害虫の発生を抑制できることは、未だ報告例がない。
本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤の有効成分は、アリルイソチオシアネートである。「AIT」は無色の油状液体であり、その配合量は、所望の効果が発揮されれば特に限定されないが、製剤からの「AIT」の揮散量が1日あたり1〜200mgであることが好ましく、抑制効果が優れるため1mg以上がより好ましく、使用時の刺激が少ないため50mg以下がより好ましい。
「AIT」を有効成分とする誘引物質発生抑制剤は、有効成分をそのまま液体の状態で容器に充填してもよいが、液体状、ゲル状、固体状のいずれの状態に製剤化しても使用することができる。液体状の製剤とする場合には、アルコール類(多価アルコール類を含む)、ケトン類、エステル類、エーテル類(グリコールエーテル類など)、油脂、灯油、流動パラフィン等の有機溶媒あるいは水、及びこれらの混合溶媒等の溶媒に溶解して用いることが好ましい。アルコール類としては、例えば、エタノール、プロパノール、オクタノール等が挙げられる。エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。油脂としては、例えば、パーム油、オリーブ油等が挙げられる。溶媒の配合量は、誘引物質発生抑制剤全量に対して1〜95重量%とするのが好ましい。
ゲル状の製剤とする場合は、前記液体状の製剤にゲル化剤を配合することが好ましい。ゲル化剤としては、例えば、カルボキシルビニルポリマー等のアクリル系増粘剤、セルロースゲルやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、カラギーナン等の天然物由来の増粘多糖類、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等のカオリン群、アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイト等のアンティゴライト群、パイロフィライト等の滑石パイロフィライト群、イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、白雲母等の緑泥石(クロライト)雲母型粘土鉱物群、バーミキュライト等のバーミキュライト群、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ラポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト群等の粘土鉱物類等の少なくとも1種以上が挙げられる。
本発明の誘引物質発生抑制剤は、設置場所に応じて適宜製剤の設計をすれば良く、液剤、粉剤、顆粒剤、打錠剤、ベイト剤、ペースト剤、ゲル剤、エアゾール剤、スプレー剤等の製剤に調製して、または、担体に担持させて使用することができる。
また、有効成分である「AIT」を担体に担持させてガス透過性の袋に封入して使用することができる。上記担体としては、例えば、濾紙、パルプ、リンター、厚紙、ダンボール等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、高吸油性ポリマー等の樹脂類;セラミック;ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の化学繊維、木綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維等からなる不織布や編織布等の布綿;ゼオライト、パーライト等の無機鉱物;多孔性ガラス材料;多孔性金属材料、多孔質セルロース材料、ケイ酸カルシウム、シリカゲル等の粒状物;小麦粉、コーンスターチ、デキストリン等の有機物等が挙げられる。担体に誘引物質発生抑制剤を保持させるには、薬剤保持担体に薬剤を滴下塗布する方法、練りこむ方法、含浸塗布する方法、スプレー塗布する方法等が挙げられる。
さらに、「AIT」は常温で液体であるために取り扱いが困難であるが、混練用樹脂と混練して混練物としてもよく、シート状等、任意の形状に成形して使用することができる。
上記混練用樹脂は、「AIT」と混練可能であれば特に限定されない。このような混練用樹脂は、例えば、ロジン、ロジンエステル又はこれらの変性物、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、シュガーエステル、ポリオレフィン、各種アクリル系樹脂等が挙げられる。上記のロジン、ロジンエステル又はこれらの変性物としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸等のアビエチン酸類、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、レボピマル酸等のピマル酸類の有機酸の一種又は二種以上を含む天然産のロジン、あるいは、世界各国産の松脂を加工して得られたもの、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、これらのロジンに水素添加、不均化、重合等の処理を行った変性ロジン、または上記の各種ロジンをエステル化したエステルガム等のロジンエステル等が挙げられる。
上記ワックス類としては、例えば、蜜ロウ、牛ロウ、ラノリン等の動物ワックス、木ロウ、ライスワックス、カルナバワックス等の植物ワックス、オゾケライト等の鉱物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また、上記高級アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール等が挙げられる。さらに、上記シュガーエステルとしては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。さらにまた、上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。また、上記各種アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
上記の混練用樹脂は、それぞれ単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。上記「AIT」と混練用樹脂との混練物中における「AIT」の混合割合は、樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。0.5重量部よりも少ない場合、容器内部に存在する「AIT」が混練用樹脂から放出され容器外部に透過するのに時間がかかり、目的の揮散量を得られない場合があるため好ましくない。また、20重量部を超えた場合、液体の「AIT」を十分に保持することができないため好ましくない。
また、上記混錬物には、「AIT」の機能に影響のない限り、任意の添加物を混合することができる。上記添加物としては、例えば、不揮発性オイルや安定化剤などが挙げられ、このうち、不揮発性オイルは、「AIT」の蒸気圧を低下させて揮散速度を調節することが必要な場合に使用される。不揮発性オイルとしては、例えば、ヤシ油や脂肪酸グリセリドのような親油性溶剤が好ましい。また、安定化剤としては、例えば、「AIT」の変質を防ぐ目的で、酸化防止剤や光安定化剤が用いられる。この酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール類等が挙げられる。また、この光安定化剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記混練物は、上記混練用樹脂を溶融混練し、この溶融混練物に「AIT」を添加し、均一に混合することで得ることができる。
本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤は、混練物、多孔質単体に担持させたもの、あるいはペースト状にしたものを、容器または袋に封入して使用してもよい。上記容器の種類としては、例えば、射出成型容器、ブリスター容器などが挙げられる。その材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これらを単独、または複数組み合わせて使用することができる。さらに、上記容器の一部に袋状の構成材料を使用してもよい。上記袋の構成材料としては、具体的にはポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのフィルムが挙げられ、これらを単独、または複数をラミネートして使用することもできる。さらに、上記フィルムに不織布、紙などをラミネートしたものを使用してもよい。ここで、「AIT」は揮散性の高い物質であり、かつ、水との接触により失活する物質でもあるから、容器や袋の構成材料は、実質的に「AIT」を気体状態で透過させ、かつ、実質的に水を液体状態でも気体状態でも透過させない水不透過性材料を選択する必要がある。この条件を満たす材料であれば、どのような材料を組み合わせて容器または袋を構成してもよい。「AIT」透過性と水不透過性を達成することを考慮すれば、袋よりも容器の方が内部への浸水を防止する構造としやすい点で好ましい。
本発明の飛翔害虫誘引抑制器を配置する場所としては、食料品が置かれる調理台、生ゴミのゴミ箱、三角コーナーが置かれる流し等の台所が最適である。本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤の有効成分である「AIT」の揮散量は特に限定されず、配置する場所に応じて適宜調整すればよい。例えば、アリルイソチオシアネートの揮散量は、1日あたり1〜200mgであることが好ましく、1〜50mgがより好ましい。
そして、この飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤を用いることで、ショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエ等の飛翔害虫が食料品や生ゴミの周辺に誘引されることなく、結果としてさらなる繁殖を抑制することが可能となる。
以下、試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。なお、これら試験例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤の使用により、飛翔害虫の誘引が抑制されることを試験例に示す。
<誘引抑制試験1>
(1)試験検体
アリルイソチオシアネート35重量%、中鎖脂肪酸トリグリセリド65重量%からなる試験液を調製し、これをポリエチレンとポリプロピレンから構成された、例えば、意匠登録第1354044号公報に示された形態の発生装置に2.2g充填した。この発生装置の、「AIT」の揮散量は2.5mg/日であり、この発生装置4本を1つの試験検体として使用した。
(2)試験方法
少量の水を入れた直径130mm、高さ100mmのプラスチックカップ(以下KPカップともいう。品番:KP−860M、鴻池プラスチック株式会社製)に排水口ゴミ受けかごを設置し、かご内に新鮮な豚肉を入れたものを2つ配置し、その1つには何も入れず(検体1)、もう片方に試験検体を入れ(検体2)、それぞれを室温で5日間放置した。
金属製のピート・グラディーチャンバー(1.8m×1.8m×1.8m)内に、図1に示す試験系を設置し、ノミバエ約100頭を放ち、20分間安定化させた。
「AIT」自体の忌避効果を除外するために排水口ゴミ受けかご内の試験検体を取り除き、「検体1」と「検体2」をピート・グラディーチャンバー内の床に離して設置した。3時間後に「検体1」と「検体2」の排水口ゴミ受けかご及びKPカップ内に侵入したノミバエの数を計測した。試験は2回行い、それぞれの結果とその平均結果及び誘引阻害率を表1に示す。
誘引阻害率は下記の式により算出した。
誘引阻害率=検体1侵入頭数/検体2侵入頭数
なお、この誘引阻害率は、その数値が大きいほど、飛翔害虫の誘引物質発生抑制効果に優れていることを意味する。
Figure 0006215417
本発明の「AIT」を有効成分とする飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤を使用することにより、飛翔害虫の誘引を抑制できることが明らかとなった。
<誘引抑制試験2>
公知の揮散性抗菌剤として、4−イソプロピル−3−メチルフェノール(以下、「IPMP」という。)、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール(以下、「PCMX」という。)、ヒノキチオールをそれぞれ45重量%、ジメチルスルホキシド55重量%からなる試験液を調製し、上記「誘引抑制試験1」と同様に、試験検体を作製し誘引抑制試験を行った。試験は2回行い、それぞれの結果とその平均結果及び誘引阻害率を表2に示す。
誘引阻害率は下記の式により算出した。
誘引阻害率=検体なしの侵入頭数/検体ありの侵入頭数
なお、この誘引阻害率は、その数値が大きいほど、飛翔害虫の誘引物質発生抑制効果に優れていることを意味する。
Figure 0006215417
表2の結果から明らかなように、公知の揮散性抗菌剤「IPMP」「PCMX」「ヒノキチオール」は、「AIT」と同じような飛翔害虫誘引抑制効果を発揮しない。この結果より、「AIT」の飛翔害虫の誘引抑制効果は、公知の揮散性抗菌剤では達成できるものではなく、「AIT」が有する新たな作用であることが確認された。
<誘引物質の分析評価>
(1)分析検体
検体3:未処理の豚肉
検体4:試験検体と豚肉を室温3日間放置
検体5:未処理の豚肉を室温3日間放置(試験検体なし)
(2)評価方法
検体3、5はそのまま、検体4は試験検体を取り除いてガラス瓶に入れ、蓋をしてしばらく時間がたってから、瓶の中のガスをGC/MSmpトータルイオンクロマトグラム(TIC)により分析を行った。解析条件は以下の通りである。また、解析結果を図2に示す。
(GC/MSの解析条件)
ガスクロマトグラフ重量分析装置:5975(株式会社島津製作所製)
カラム:TC-WAX 50m×0.25mmID, 0.15μm(ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム温度:70℃ → 4℃/分 → 218℃
注入温度(Injection温度):250℃
注入口圧力:11.1psi
スプリット比:20/1
MS温度:230℃
SPME脱着時間:1min(250℃)
検体5からは、検体4に比べて2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2−アセチルピリジン、トリメチルピリジンが特異的に多く検出され、これらが飛翔害虫の誘引に関与しているものと考えられた。この点を次の試験において確認する。
<誘引物質単剤での誘引効果>
(1)試験検体
誘引物質として2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンそれぞれ及び、下記表3に示す混合組成物を、0.005重量%となるように、ミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体とした。また、誘引物質を含まないミリスチン酸イソプロピルのみを含有する試験検体を比較例として使用した。
Figure 0006215417
(2)試験方法
温度25〜28℃に設定した金属製のピート・グラディーチャンバー(1.8m×1.8m×1.8m)内に、供試虫であるノミバエ約100頭を放ち20分間安定化させた。
金属製のピート・グラディーチャンバー内に図3に示す試験系、すわなち、床中央に直径500mmのろ紙を置き、そのろ紙の上に、試験検体100μLを含浸させた直径70mmのろ紙を入れた直径100mm、高さ45mmのプラスチックカップ(KP−200M、鴻池プラスチック株式会社製)を載置した。直径500mmのろ紙上またはプラスチックカップ内にランディングした供試虫の数を経時的に計測した。試験は2回行い、試験開始から5分間の総ランディング数の平均を図4に示す。
図4の結果から、2−ヘプタノン、トリメチルピリジンは、単剤で飛翔害虫の誘引に大きく関与していることが、さらに、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンを混合した混合組成物は飛翔害虫の誘引に極めて大きく関与していることが明らかとなった。
AITは、飛翔害虫の誘引に関与することが明らかとなった2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンの発生を、抑制するものである。
以上の試験結果より、本発明の「AIT」を有効成分とする飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤を使用することにより、飛翔害虫の誘引を抑制できることが確認された。
本発明の飛翔害虫の誘引物質発生抑制剤や、この誘引物質発生抑制剤を容器内に収納した飛翔害虫誘引抑制器は、「AIT」の揮散性ガスにより食料品や生ゴミからの飛翔害虫の誘引物質の発生を抑制するので、食料品や生ゴミの周辺に配置するだけで、食料品や生ゴミに飛翔害虫が誘引されることがなく、有用である。

Claims (3)

  1. アリルイソチオシアネートを有効成分とし、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2−アセチルピリジン、トリメチルピリジンのいずれか1種以上の飛翔害虫誘引物質の発生を抑制することを特徴とする、誘引物質発生抑制剤。
  2. 飛翔害虫がショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の誘引物質発生抑制剤。
  3. 請求項1に記載の誘引物質発生抑制剤を容器内に収納した飛翔害虫誘引抑制器。
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