JP2019055669A - 車両の車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】節部材における、減衰ボンドが塗布される少なくとも一辺を、閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止すること。【解決手段】車体の閉断面部4,14内に節部材5,15を備え、該節部材5,15の少なくとも一辺に、減衰ボンドBが塗布される非接合部5d,152(152a,152b)が形成され、該非接合部5d,152を、閉断面部4,14に対して直接接合されずに減衰ボンドBを介して接合するとともに、該非接合部5d,152におけるボンド塗布面71,81が縦壁面にて形成され、非接合部5d,152に、ボンド塗布面71,81からの減衰ボンドBの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部2e,5e,15aが形成された。【選択図】図2

Description

この発明は、車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に、減衰ボンドが塗布される車両の車体構造に関する。
特許文献1に例示されるように、車体の閉断面部(フレーム部材(40))内に節部材(50)を備え、該節部材(50)の少なくとも一辺(接合フランジ部(63))に、減衰ボンド(減衰部材(70))が塗布される車両の車体構造が知られている。
このような車両の車体構造は、節部材(50)の少なくとも一辺(63)に、減衰ボンド(70)を塗布し、該一辺(63)を閉断面部(40)に減衰ボンド(70)を介して接合することで、これら接合箇所を介して伝わる振動を、減衰ボンド(70)の減衰効果を活かして抑制するものである。
しかしながら、節部材(50)の少なくとも一辺(63)は、閉断面部(40)に対して直接接合されない非接合部であるとともに、該一辺(63)に有するボンド塗布面が縦壁面として上下方向に沿って配置されることもあるため、このような場合には、減衰ボンド(70)を、ボンド塗布面に塗布してから乾燥炉の熱を利用して乾燥させることで塗布した位置に固定するまでに、該減衰ボンド(70)が自重により垂れ落ちてしまうことが懸念される。
特開2014−144706号公報
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、節部材における、減衰ボンドが塗布される少なくとも一辺を、閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することを目的とする。
この発明は、車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に減衰ボンドが塗布される車両の車体構造であって、上記節部材の少なくとも一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されずに上記減衰ボンドを介して接合される非接合部とし、上記非接合部における、減衰ボンドが塗布される側のボンド塗布面が、縦壁面にて形成され、上記非接合部に、上記ボンド塗布面からの上記減衰ボンドの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成されたものである。
上記構成によれば、上記ボンド塗布面を有する節部材の一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様として、上記ボンド垂落ち防止部が上記非接合部の上下方向の途中に形成される凹状もしくは凸状のビード部から構成されたものである。
上記構成によれば、上記ビード部による上記減衰ボンドの引っ掛かりで該減衰ボンドの垂れ落ちを防止できる。
なお、上記ボンド塗布面の上下方向とは、縦壁面にて形成される該ボンド塗布面が延びる方向を示す。
この発明の態様として、上記閉断面部における、上記ビード部と対向する部位には、上記閉断面部が延びる方向の直交断面視で上記ビード部と同じ側に凹状もしくは凸状に形成したビード部が構成されたものである。
上記構成によれば、上記ボンド塗布面に塗布した上記減衰ボンドを、上記非接合部のビード部に相当する部位と、それ以外の部位とで同じ厚さにすることができる。
この発明の態様として、上記閉断面部は第1部材と第2部材とを接合して構成され、上記ボンド塗布面は、隙間を有して上記第2部材に対向し、上記節部材は、上記第1部材に上記減衰ボンドを介さずに直接接合されるとともに、上記非接合部が上記第2部材に該減衰ボンドを介して接合されたものである。
上記構成によれば、閉断面部を構成する前に節部材を第1部材に接合し、その後、第1部材と第2部材とを接合することで内部に節部材を備えた閉断面部を構成できるため、例えば、押出し部材等の一部材で閉断面部を構成した後でその内部に節部材を備えた構成のものよりも生産性を向上させることができる。
この発明の態様として、上記ボンド垂落ち防止部が、上記非接合部における、上記減衰ボンドの塗布部分よりも下方において、上記閉断面部に向けて突出するフランジ部から構成されたものである。
上記構成によれば、上記非接合部における、上記減衰ボンドの塗布部分から該減衰ボンドが垂れたとしても、該減衰ボンドをフランジ部上に残すことで該減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様として、上記第1部材がサイドフレームアウタで形成されるとともに、上記第2部材がルーフレールインナで形成され、上記閉断面部が上記サイドフレームアウタの上部と上記ルーフレールインナとで形成されるとともに、上記節部材が上記サイドフレームアウタの上部に接合され、上記ボンド塗布面は、上記ルーフレールインナと対向し、上記ルーフレールインナにおける、上記フランジ部と対向する部位に、該フランジ部に対する逃げ部が形成されたものである。
上記構成によれば、上記ルーフレールインナに逃げ部を形成することによって、フランジ部のルーフレールインナ側への突き出し長さ(突出長)を確保することができ、サイドフレームアウタの上部との接続相手部材としてのルーフレールインナが存在しない状態であってもフランジ部への減衰ボンドの引っ掛かり(受け止め)により該減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様として、上記フランジ部の上記第2部材への突き出し長さを、上記ボンド塗布面に塗布した上記減衰ボンドの、上記第1部材と上記第2部材との接合前における厚みの半分以上に設定したものである。
上記構成によれば、フランジ部は、垂れ落ちようとした減衰ボンドを受け止め時にその重心位置が留まるように残せることでフランジ部による上記減衰ボンドの垂れ落ち防止を確実なものとすることができる。
この発明によれば、節部材における、減衰ボンドが塗布される少なくとも一辺を、閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
本発明の第1実施形態を示す車両の後部車体構造の右サイドの要部を示す背面図。 図1のA−A線矢視要部拡大断面図。 図1においてリヤエンドパネルを取り外した状態で示す背面図。 図3の要部拡大図。 図1における矢印B方向かつ後方から見た矢視図。 図5においてリヤエンドパネルを取り外した状態で示す矢視図。 本発明の第2実施形態を示す車両の側部車体構造を、ルーフレールインナを仮想線で示した車幅方向内側から見た側面図。 図7のC−C線矢視断面図。 図7のD−D線矢視断面図。 サイドフレームアウタを備えた車両の側部車体構造を前方かつ車幅方向内側から見た外観図。 車両の側部車体構造に備えた節部材を前方かつ車幅方向内側から見た外観図。 (a)は減衰ボンドがボンド塗布面に塗布直後の状態を示すとともに、(b)、(c)はサイドフレームインナに押潰前後の夫々における減衰ボンドがフランジ部に受け止められた状態を示す図8中の領域Z相当拡大図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Lは車両左方を示し、矢印Rは車両右方を示し、矢印Uは車両上方を示すものとする。
(第1実施形態)
第1実施形態は本発明の車両の車体構造を後部車体構造に適用した実施形態について説明する。
図1に示すように、車両の後部には荷室100(図2参照)の後部壁面を構成するリヤエンドパネル2がリヤフロアパネル105の後端から立設されており、図2、図3に示すように、該リヤエンドパネル2の上部の前側(荷室100側)にはリヤエンドメンバ3が接合固定されている。
このリヤエンドパネル2は、図1、図2、図5、に示すように、略上下方向に延びる下側縦壁部2aと、この下側縦壁部2aの上端から後方かつ上方へ延出された後上側延出部2bと、この後上側延出部2bの後端から上方に延びる上側後壁部2cと、この上側後壁部2cの上端から後方かつ上方へ延出された上側接合フランジ部2dと、を一体形成したものである。
図2〜図4、図6、に示すように、上述のリヤエンドメンバ3は、リヤエンドパネル2の下側縦壁部2aの上部に接合固定される下側フランジ部3aと、この下側フランジ部3aから前方へオフセットして車両上方に延びる縦壁部3bと、この縦壁部3bの上端から後上方に延びる上壁部3cと、この上壁部3cの上端から後方にオフセットして後上方に延びる上側接合フランジ部3dと、を一体形成したものである。
そして、図2に示すように、リヤエンドパネル2とリヤエンドメンバ3との各上側接合フランジ部2d,3dを接合固定するとともに、リヤエンドパネル2の下側縦壁部2aの上部とリヤエンドメンバ3の下側フランジ3aとを接合することで、リヤエンドメンバ3と、リヤエンドパネル2のリヤエンドメンバ3とは、これらの対向部分に車幅方向に延びる閉断面部4(図1〜図5参照)としての車体剛性部材を構成している。
リヤエンドパネル2の上側縦壁部2c、並びにリヤエンドメンバ3の縦壁部3bおよび上壁部3cは、それぞれ閉断面部4の後壁部、前壁部、上壁部を構成する。
この閉断面部4の内部、すなわち、該リヤエンドメンバ3とリヤエンドパネル2との間には、車幅方向に延びる閉断面空間4Sを有している(図2参照)。
なお図1、図2に示すように、上述のリヤエンドパネル2の上側接合フランジ部2dとリヤエンドメンバ3の上側接合フランジ部3dとの接合端部によって、後部荷室開口106の下縁辺106aが構成されている。また図1、図3中の符号101はリヤフェンダインナパネル、同様に符号102はリヤフェンダアウタパネル、符号103はリヤサイドアウタパネルをそれぞれ示している。
上述の閉断面空間4Sにおける、車幅方向の左右各側(図面で右側のみ図示)には、図2〜図6に示すように、補強部材としてのリヤエンドレインフォースメント5(以下、「リヤエンドレイン5」)が配設されている。
図6に示すように、リヤエンドレイン5は、車幅方向に直交して閉断面空間4Sを車幅方向に分断する平板状の基壁部5aと、該基壁部5aの前縁辺5afの下部から車幅方向外側へ延びる前側接合フランジ部5bと、基壁部5aの上縁辺5auの前後方向の中間部から車幅方向外側へ延びる上側接合フランジ部5cと、基壁部5aの後縁辺5arから車幅方向内側へ延びる非接合フランジ部5dとで節部材(バルクヘッド)として一体に形成されている。
そして図4、図6中の「×」印にて示すように、前側接合フランジ部5bは、閉断面部4の前壁部としてのリヤエンドメンバ3の縦壁部3bに、その後面側からスポット溶接等にて接合固定されるとともに、上側接合フランジ部5cは、閉断面部4の上壁部としてのリヤエンドメンバ3の上壁部3cに、その下面側からスポット溶接等にて接合固定されている。
これにより、これら前側接合フランジ部5b、上側接合フランジ部5cは、共にリヤエンドメンバ3との間にスポット溶接箇所としての剛結合部6(前側剛結合部6a、上側剛結合部6b)が形成される。
一方、リヤエンドレイン5が、前側剛結合部6aおよび上側剛結合部6bによってリヤエンドメンバ3に接合され、且つ、リヤエンドパネル2との接合前の状態において、非接合フランジ部5dの後面には、減衰ボンドBが塗布される(図4、図6参照)。このため、該後面はボンド塗布面71として形成される。
具体的には図2〜図5に示すように、非接合フランジ部5dは、そのボンド塗布面71が前後方向に直交する縦壁面として形成されており、図2に示すように、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した状態において、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cの前面(以下、「パネル側ボンド対向面72」とする。)との間に隙間を有して対向する。
これにより、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した状態において、非接合フランジ部5dのボンド塗布面71に塗布された減衰ボンドBは、該ボンド塗布面71と、リヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72との間に介在した状態となる。
ここでリヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した後、車体が加熱炉内に導入され、電着塗装された車体表面を乾燥するために加熱する乾燥工程が行われる。
この乾燥工程時の熱を利用してボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との間に介在する減衰ボンドBを乾燥させ、これらボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とに固着(接合固定)させる。これにより、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とは、これらに固着された減衰ボンドBとしての柔結合部7にて結合される(図2参照)。
すなわち、非接合フランジ部5dは、リヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72に対して直接、溶接等により接合されず、パネル側ボンド対向面72に減衰ボンドBを介して接合される非接合部として形成される。
さらに図2、図4、図6に示すように、非接合フランジ部5dには、そのボンド塗布面71に塗布した減衰ボンドBが、乾燥工程によって固着される前に自重による垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部としてのレイン側ビード部5eが形成されている。当例ではレイン側ビード部5eは、非接合フランジ部5dの上下方向の略中間部に(図2参照)、該非接合フランジ部5dの車幅方向全体に渡って(図4参照)、前方(リヤエンドメンバ3の縦壁部3bの側)に向けて凸状に形成されている(図2参照)。
一方図1、図2、図5に示すように、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cにおける、レイン側ビード部5eと対向する部位には、同じくボンド垂落ち防止部としてのパネル側ビード部2eが形成されている。このパネル側ビード部2eは、上記閉断面部4が延びる方向(車幅方向)の直交断面視で(つまり図2に示す状態で)該レイン側ビード部5eと同じ前側に凸状に形成されている。
換言すると、パネル側ビード部2eは、レイン側ビード部5eがパネル側ボンド対向面72に対して凹状に形成されているのに対してボンド塗布面71に向けて凸状に形成されている。
なお、パネル側ビード部2eとレイン側ビード部5eとは、略同じ突出長さで突出するとともに同じ車幅方向長さで延びている(図2、図5参照)。
リヤエンドパネル2とリヤエンドメンバ3とがリヤエンドレイン5を介在して接合された状態において、減衰ボンドBは、上述した乾燥工程を経るまで、すなわち、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とに固着されるまでにおいて、該減衰ボンドBの上下方向の略中間部が、レイン側ビード部5eとパネル側ビード部2eとに引っ掛かった状態に保たれる。
このように、本実施形態の車両の車体構造は、車体の閉断面部4内に節部材としてのリヤエンドレイン5を備え、該リヤエンドレイン5の基壁部5aの少なくとも一辺(後縁辺5ar(図6参照))に、減衰ボンドBが塗布される非接合フランジ部5dが形成された車両の車体構造であって、該非接合フランジ部5dを、閉断面部4に対して直接接合されずに減衰ボンドBを介して接合される非接合部とするとともに、該非接合フランジ部5dの後面に相当するボンド塗布面71が縦壁面にて形成され、非接合フランジ部5dに、ボンド塗布面71からの減衰ボンドBの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成されたものである(図2〜図4、図6参照)。
上記構成によれば、リヤエンドレイン5の一辺に、閉断面部4に対する直接接合されない非接合フランジ部5dを形成しつつ、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
具体的には、リヤエンドレイン5の一辺に、閉断面部4に対する直接接合されない非接合フランジ部5dを形成することで、非接合フランジ部5dと閉断面部4との間に介在する減衰ボンドBによってこれらの間の摩擦エネルギを熱エネルギに変換して振動の減衰効果を得ることができる。
また、非接合フランジ部5dのボンド塗布面71に減衰ボンドBを塗布し、その後に行われる、電着塗装された車体表面の乾燥工程において、加熱炉の熱を利用して減衰ボンドBは乾燥してボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との夫々に対して固着される。
しかしながら、ボンド塗布面71に減衰ボンドBが塗布されてから乾燥工程が行われるまでの間に減衰ボンドBが自重により垂れ落ちた場合には、ボンド塗布面71に減衰ボンドBが適切に存在しない状態で乾燥工程が行われることも生じ得る。
実際には、ボンド塗布面71に減衰ボンドBを塗布してから乾燥工程が行われるまでに工場の休日を挟む等の事情により、ボンド塗布面71に塗布された減衰ボンドBは、乾燥工程での加熱によって固められない状態で数日間放置される事態も起こり得るため、減衰ボンドBの垂れ落ち防止の対策が必要となる。
これに対して、上述したように、非接合フランジ部5dに、ボンド垂落ち防止部として、例えば、レイン側ビード部5eを形成することにより、非接合フランジ部5dを閉断面部4に対する非接合部としつつも、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の一実施形態においては、ボンド垂落ち防止部が非接合フランジ部5dの上下方向の途中に形成され、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cに対して凹状のレイン側ビード部5eから構成されたものである(図2、図6参照)。
上記構成によれば、レイン側ビード部5eによる減衰ボンドBの引っ掛かりで該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止できる。
この発明の一実施形態においては、閉断面部4における、レイン側ビード部5eと対向する部位には、閉断面部4が延びる方向(車幅方向)の直交断面視でレイン側ビード部5eと同じ前側に凸状に形成したパネル側ビード部2eが構成されたものである(図1、図2、図5参照)。
上記構成によれば、減衰ボンドBがリヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72とリヤエンドメンバ3のボンド塗布面71との間に介在する状態において、減衰ボンドBを、非接合フランジ部5dの上下方向において、レイン側ビード部5eに相当する部位と、それ以外の部位とで同じ厚さにすることができる(図2参照)。
これにより、減衰ボンドBをボンド塗布面71に塗布した部位全体に亘って均一で安定した減衰効果を得ることができる。
さらに、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との間に介在する減衰ボンドBは、レイン側ビード部5eとパネル側ビード部2eとの夫々に引っ掛かるため、レイン側ビード部5eのみに引っ掛かる構成と比較して減衰ボンドBの垂れ落ちの防止効果をより高めることができる。
この発明の一実施形態においては、閉断面部4は、第1部材としてのリヤエンドメンバ3と第2部材としてのリヤエンドパネル2とを接合して構成され、非接合フランジ部5dは、隙間を有してリヤエンドパネル2に対向し、リヤエンドレイン5は、リヤエンドメンバ3に減衰ボンドBを介さずに直接接合されるとともに(図4、図6中のスポット溶接箇所を示す「×」印参照)、非接合フランジ部5dがリヤエンドパネル2に減衰ボンドBを介して接合されたものである(図2参照)。
上記構成によれば、リヤエンドメンバ3にリヤエンドレイン5を溶接等により接合し、その後、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを減衰ボンドBを介して接合することで、リヤエンドメンバ3とリヤエンドパネル2との内部にリヤエンドレイン5を備えた閉断面部4を構成できるため、例えば、閉断面部4を押出し部材等として構成した後でその内部に節部材を、嵌め込み等により備える構成のものよりも生産性を向上させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態は本発明の車両の車体構造を側部車体構造に適用した実施形態について説明する。
詳しくは、図7〜図9に示すように、車両前後方向に延びるルーフレール10の中間部に、センターピラー20の上端部が結合されている。このルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cに本発明の車両の車体構造が適用されている。
ルーフレール10は、車両前後方向に延びる閉断面部14としての車体剛性部材であって、車幅外側に位置し、車幅方向内側へ向けて開口した断面ハット形状のルーフレールアウタ11と、ルーフレールアウタ11の車幅方向内側へ向けた開口を車幅方向内側から覆うルーフレールインナ12(図8、図9参照)と、これら11,12の間に介在し、車幅方向内側へ向けて開口した断面ハット形状のルーフレールレインフォースメント13(以下「ルーフレールレイン13」という。)と、から構成されている。
図8に示すように、ルーフレールインナ12は、車両前後方向の直交断面視で上下方向に延びるインナ縦壁部12aと、該インナ縦壁部12aの下端から下方程車幅外方へ延出するインナ下外延出部12bとで一体に形成されている。
同図に示すように、ルーフレールレイン13は、上壁部13aと、その車幅内端から下方かつ車幅方向外側へ延びる縦壁部13bと、該縦壁部13bの下端から下方かつ程車幅方向内側へ延びる下壁部13cとで一体に形成されている。
同図に示すように、センターピラー20は、上下方向に延びる閉断面部24としての車体剛性部材であって、車外側に位置するセンターピラーアウタ21と、車内側に位置するセンターピラーインナ22と、これら21,22の間に介在するセンターピラーレインフォースメント23(以下「センターピラーレイン23」という。)と、から構成される。
図10に示すように、ルーフレールアウタ11とセンターピラーアウタ21とは、サイドシルアウタ31、ヒンジピラーアウタ32、フロントピラーアウタ33およびリヤピラーアウタ34と共に、サイドフレームアウタ30として一枚のアウタパネルを形成している。すなわち、ルーフレールアウタ11とセンターピラーアウタ21とは、サイドフレームアウタ30の一部として形成されている。
一方図8に示すように、左右一対のルーフレール10(右側のみ図示)の間にはルーフ40が配設されている。ルーフ40は、車室上面を構成するルーフパネル41と、左右一対のルーフレール10に架設され、ルーフパネル41を支持可能に車幅方向に延びるルーフレインフォースメント42(以下、「ルーフレイン42」)とを備えている。
そして、ルーフレール10の車両前後方向における、センターピラー20との結合部Cに位置するルーフレイン42は、その車幅内端部(図示省略)がルーフレールレイン13の車幅外端部13aa(図8参照)に接合固定されている。
さらに、ルーフレールアウタ11とルーフレールレイン13との各上部は、共に車幅内側へ延び、ルーフレールアウタ11の上端部11aが、ルーフパネル41の車幅外端部41aとルーフレールレイン13の車幅内端部13aaとに上下各側から挟み込まれるように接合されている(図8参照)。
ルーフレールインナ12の上下方向に延びるインナ縦壁部12aと、車幅方向に延びるルーフレイン42とは共に、これら12a,42によって形成されるコーナー部において車室側から断面略L字形状のルーフコーナーガセット43(図8参照)にて接合固定されている。このルーフコーナーガセット43によってルーフレール10とルーフ40との結合部Cが補強されている。
続いて図7中の「×」印のうち符号W1にて示した箇所のとおり、上述したルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cにおいて、センターピラーインナ22の上端部22a(図7、図8参照)と、ルーフレールインナ12の下端部12ba(同図参照)とが、互いに接合されている。
さらに図8に示すように、センターピラーレイン23は、その上部23aが、ルーフレールアウタ11とルーフレールレイン13との間に介在するように上方に延出形成されている。そして、センターピラーレイン23の上部23a(図8参照)とルーフレールレイン13の縦壁部13b(同図参照)とは、互いに接合されている。
このようなルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cにおいて、図8に示すように、上述したルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とで前後方向に延びる閉断面部14が構成されており、ルーフレールアウタ11に接合されたルーフレールレイン13と、ルーフレールインナ12との間には、車両前後方向に延びる閉断面空間14Sが構成されている。
なお本実施形態において、「サイドフレームアウタ30の上部(ルーフレールアウタ11)とルーフレールインナ12とが接合された」とは、これら部材11,12が溶接等により直接的に接合されたことを示すものではなく、これらの部材11,12間に閉断面部14が構成されるようにルーフレールレイン13等の他の部材を介して間接的に接合されたことを示すものとする。
そして図7〜図9に示すように、この閉断面空間14Sには、補強体としてのルーフレールガセット15が配設されている。
ルーフレールガセット15は、鋼板の打ち抜きおよび曲げ加工によって車両前後方向の中間に対して前後各側が略対称形状になる節部材(バルクヘッド)として一体に形成されている。
詳しくは、図7〜図9、図11の特に図11に示すように、ルーフレールガセット15は、前後方向および上下方向に延びる基壁部151を備え、該基壁部151に対して前後各側における、該基壁部151に対して車幅方向内側へオフセットした位置(ずらした位置)に、前後一対の非接合壁部152a,152b(前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152b)が配設されている。
図7、図11に示すように、前側非接合壁部152aの前側には、前側接合フランジ部153aが配設されるとともに、後側非接合壁部152bの後側には、後側接合フランジ部153bが配設されており、図9、図11に示すように、これら接合フランジ部153a,153bは、それぞれ前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152bに対して車幅方向外側へ基壁部151の位置よりもオフセットした位置に配設されている。
そして、図9、図11に示すように、基壁部151の前縁辺151fと前側非接合壁部152aの後縁辺152arとは、それぞれ略車幅方向へ延びる中央前側連結壁部154aを介して一体に連結されている。一方、基壁部151の後縁辺151rと後側非接合壁部152bの前縁辺152bfとは、略車幅方向へ延びる中央後側連結壁部154bを介して一体に連結されている。
さらに、前側非接合壁部152aの前縁辺152afと前側接合フランジ部153aの後縁辺153brとは、略車幅方向へ延びる前側連結壁部155aを介して一体に連結されている。一方、後側非接合壁部152bの後縁辺152brと後側接合フランジ部153bの前縁辺153bfとは、略車幅方向へ延びる後側連結壁部155bを介して一体に連結されている。
図11に示すように、基壁部151は、その上縁辺151uから上方程車幅方向内側へ延出する上側接合フランジ部156が一体形成されている。
一方、基壁部151の下部には、該下部よりも上側部位に対して車幅方向内側へ隆起した隆起部151aが形成されており、該隆起部151aの下縁辺151adから下方程車幅方向外方へ延出する下側接合フランジ部158が一体に形成されている。
図9に示すように、前側連結壁部155a、後側連結壁部155bは、共に前後方向に延びる閉断面部14の内側の閉断面空間14Sを前後方向に分断する隔壁として前後方向に直交面を構成するように配設されている。
前後一対の非接合壁部152a,152b(前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152b)は、閉断面部14が延びる方向(前後方向)の直交断面視における一辺、すなわち、ルーフレールガセット15の前側連結壁部155aの車幅内端152afと後側連結壁部155bの車幅内端152brとにそれぞれ形成されている。
図7中の「×」印のうち符号W2a〜W2cにて示した箇所のとおり、ルーフレールレイン13は、ルーフレールガセット15に剛結合部16に相当するスポット溶接箇所にて接合固定されている。
一方図7〜図9、図11、図12(a)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前の状態において、前後一対の非接合壁部152a,152bの各車幅内面には減衰ボンドBが塗布される。このため、これら車幅内面はボンド塗布面81として形成される。
なお、図12(a)は、前側非接合壁部152aのボンド塗布面81に減衰ボンドBが塗布された直後の図8中の領域Z相当の拡大図で示した断面図である。
具体的に、前後一対の非接合壁部152a,152bは、夫々のボンド塗布面81が車幅方向に直交する縦壁面として形成されており(図8、図9参照)、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した状態において、ルーフレールインナ12のインナ縦壁部12aの車幅外面(以下、「インナ側ボンド対向面82」とする。)との間に隙間を有して対向する。
これにより、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した状態において、前後一対の非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBは、それぞれボンド塗布面81と、ルーフレールインナ12のインナ側ボンド対向面82との間に介在した状態となる。
このようにルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した後、電着液が塗装された車体表面に対して行われる乾燥工程時の熱を利用してボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82との間に介在する減衰ボンドBを乾燥させ、これらボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82とに固着させる。これにより、ボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82面とは、これらに固着された減衰ボンドBとしての柔結合部17にて結合される(図8参照)。
すなわち、前後一対の非接合壁部152a,152bは、ルーフレールインナ12のインナ側ボンド対向面82に対して直接、溶接等により接合されず、インナ側ボンド対向面82に減衰ボンドBを介して接合される非接合部として形成される。
さらに、図7、図8、図11、図12(a)に示すように、前後一対の非接合壁部152a,152bの各下部、すなわち、減衰ボンドBの塗布部分よりも下方部位には、そのボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBの自重による垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部として、下端程ルーフレールインナ12に向けて突出するフランジ部15aが構成されている。
一方図8に示すように、ルーフレールインナ12における、フランジ部15aに対向する部位には、ルーフレールインナ12に向けて突出するフランジ部15aと干渉しないように車幅方向内側へ逃げる逃げ部12cが形成されている。
逃げ部12cは、ルーフレールインナ12のインナ縦壁部12aとインナ下外延出部12bとのコーナー部に形成されており、該コーナー部が、前後各非接合壁部152a,152bに対して凹状、換言すると、前後各非接合壁部152a,152bに有する側と反対側(車幅方向内側)へ凸状に形成されている。
逃げ部12cの車幅外面とフランジ部15aの下端部(先端部)との間には、該ボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82との間に介在する減衰ボンドBの厚みよりも小さな隙間dが形成されている(図8参照)。
ところで、図12(a)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前において、減衰ボンドBは、前後一対の非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81における、該各ボンド塗布面81の正面視で略中央部に、該ボンド塗布面81からドット状に隆起するように塗布される。そしてルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合時に、前後各ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBは、ルーフレールインナ12からの押圧によって押し潰され、ルーフレールインナ12からの押圧前の厚み(R)(各ボンド塗布面81からの突出長さR)の半分の厚み(r)または、その厚み(r)よりも若干薄い厚みになるまで前後各ボンド塗布面81上に押し広げられる(図8、図12(a)参照)。
なお、減衰ボンドBは、上述したように、ボンド塗布面81にドット状に塗布するに限らず、ライン状、面状に塗布してもよい。
ここで、サイドフレームアウタ30とルーフレールインナ12との接合時にルーフレールインナ12からの押圧力を受けてボンド塗布面81上において押し広げられる前の減衰ボンドBを、押潰前の減衰ボンドBとし、押し広げられた後の減衰ボンドBを押潰後の減衰ボンドBとする。
さらにここでは、図12(a)に示すように、ボンド塗布面81にドット状に塗布された押潰前の減衰ボンドBの重心位置Gは、該押潰前の減衰ボンドBの厚み(R)の半分の位置に有するものと設定する。
この場合、同図に示すように、フランジ部15aは、押潰前の減衰ボンドBの厚み(R)の半分の厚み(r)以上の突出長さL、すなわち、ボンド塗布面81から押潰前の減衰ボンドBの重心位置Gまでの距離(r)以上の突出長さになるように前後各ボンド塗布面81に対して突出形成している(L>r=R/2)。
乾燥工程の熱によって固形化されていない押潰前の減衰ボンドBは、一般に、前後各ボンド塗布面81から自重により垂れ落ちる際には、垂れ落ちる前の形状をある程度維持しつつボンド塗布面81から滑り落ちる(脱落する)ように垂れ落ちる粘弾性特性を有している。このことから仮に、押潰前の減衰ボンドBが、前後各ボンド塗布面81から垂れ落ちようとしても、図12(b)に示すように、フランジ部15aは、押潰前の減衰ボンドBの重心Gがフランジ部15aの下端部(先端部)を越えてフランジ部15aから垂れ落ちることがなく、押潰前の減衰ボンドBの重心Gがフランジ部15a上に留まるような突出長さで形成している。
第2実施形態の車両の車体構造は、車体の閉断面部14内に節部材としてのルーフレールガセット15を備え、該ルーフレールガセット15の少なくとも一辺(車幅内縁辺152af,152br(図9、図11参照))に、減衰ボンドBが塗布される前後一対の非接合壁部152a,152bが形成されており、これら非接合壁部152a,152bを、閉断面部14に対して直接接合されずに減衰ボンドBを介して接合される非接合部とするとともに、前後一対の非接合壁部152a,152bのボンド塗布面81が縦壁面にて形成され、これら非接合壁部152a,152bに、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部として、減衰ボンドBの塗布部分よりも下方において、下端程閉断面部14に向けて突出するフランジ部15aから構成されたものである(図7、図8、図11、図12(a)(b)(c)参照)。
上記構成によれば、ボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBが垂れ落ちようとしても該減衰ボンドBをフランジ部15a上に残せることで該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる(図12(b)(c)参照)。
詳述すると、サイドフレームアウタ30は、その上部に備えたルーフレールアウタ11に、節部材としてのルーフレールガセット15が接合され、該ルーフレールガセット15における非接合壁部152a,152bに減衰ボンドBが塗布されてから乾燥工程が行われるまでの間、製造工程等の関係上、相手側のルーフレールインナ12等が接合されない状態で例えば、数日間から数十日間放置(いわゆるオープン放置)される場合がある。
このため、非接合壁部152a,152bに塗布された減衰ボンドBは、サイドフレームアウタ30のオープン放置状態においては、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合に伴って該ルーフレールインナ12から非接合壁部152a,152bの側への押圧を受けることがなく、しかもサイドフレームアウタ30は、このようなオープン放置されている際には、例えば、工場のパレット等に略起立した姿勢で設置されるため、非接合壁部152a,152bのボンド塗布面81が縦壁面となることから、該ボンド塗布面81からの減衰ボンドBが垂れ落ち防止の対策が特に必要となる。
これに対して、非接合壁部152a,152bに、ボンド垂落ち防止部としてのフランジ部15aを形成することで、サイドフレームアウタ30がいわゆるオープン放置状態において、減衰ボンドBがボンド塗布面81から垂れ落ちようとしてもフランジ部15a上に残すことができ、減衰ボンドBのフランジ部15aからの垂れ落ちを防止することができる(図12(b)参照)。
そして、サイドフレームアウタ30は、オープン放置状態からその上部(ルーフレールアウタ11)にルーフレールインナ12が接合される。これにより、図12(c)に示すように、減衰ボンドBは、フランジ部15a上に残った状態で非接合壁部152a,152bと閉断面部14(つまりその一部を構成するルーフレールインナ12)との間に介在した状態となり、さらに、その状態で乾燥工程にて乾燥され、これら非接合壁部152a,152bと閉断面部14との夫々に対して適切に接合固定される。
一方、ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBが、仮にルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とが接合された状態でボンド塗布面81から垂れ落ちようとしても、やはりフランジ部15aによって受け止めることができ(図12(c)参照)。この場合も上述と同様に減衰ボンドBは、フランジ部15aに残った状態で乾燥工程にて乾燥され、これら非接合壁部152a,152bと閉断面部14との夫々に対して適切に接合固定される。
この発明の態様においては、閉断面部14がサイドフレームアウタ30の上部(ルーフレールアウタ11)とルーフレールインナ12とで形成されるとともに、ルーフレールガセット15がサイドフレームアウタ30に接合され、非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81は、ルーフレールインナ12と対向し、ルーフレールインナ12における、フランジ部15aと対向する部位に、該フランジ部15aに対する逃げ部12cが形成されたものである(図8参照)。
上記構成によれば、ルーフレールインナ12に逃げ部12cを形成することによって、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合時に、ルーフレールインナ12がフランジ部15aに干渉するおそれがないため、その分、フランジ部15aのルーフレールインナ12側への突出長さを確保することができる。
従って、図12(b)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前の状態であってもフランジ部15aへの減衰ボンドBの引っ掛かり(受け止め)により該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様においては、フランジ部15aのルーフレールインナ12への突出長さ(L)を、ボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBの、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前における厚み(R)の半分の厚み(r)以上に設定したものである(L>r=2/R)。
上述したように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合によってボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBがルーフレールインナ12から押圧される前における、該減衰ボンドBの厚み(R)の半分の厚み(r)以上の厚みになるように、フランジ部15aの突出長さ(L)を設定したため、ルーフレールアウタ11をルーフレールインナ12に接合前のオープン放置状態において、減衰ボンドBがボンド塗布面81に塗布した部位から垂れ落ちようとしても、フランジ部15aは、減衰ボンドBをその重心位置Gが留まるように残せることでフランジ部15aによる減衰ボンドBの垂れ落ち防止を確実なものとすることができる(図12(b)参照)。
なお、本実施形態のフランジ部15aは、フランジ部15aを備えたルーフレールガセット15や、逃げ部12cを備えたルーフレールインナ12の成形性等も考慮してその突き出し角度等が設定されるが、突き出し角度が極力水平方向となるとともに、突出長さが極力長くなるように形成されることが減衰ボンドBの垂れ落ちを防止する観点では好ましい。
但し、図12(a)では、上下方向に延びる縦壁面としてのボンド塗布面81に減衰ボンドBが塗布されている状態が図示されているが、一般にサイドフレームアウタ30は、オープン放置状態において、ボンド塗布面81が斜め上方を向くように傾けた姿勢で配置される。このため、フランジ部15aは、ボンド塗布面81に対して完全に水平(直角)に突き出していなくても、サイドフレームアウタ30がオープン放置状態において、より水平に近い突き出し角度となり、減衰ボンドBの優れた垂れ落ち防止効果を得ることができる。
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば図示省略するが、第2実施形態のようなフランジ部15aを備えた非接合壁部152a,152bに、第1実施形態のレイン側ビード部5eを付加した構成を採用してもよく、さらにその場合、ルーフレールインナ12のレイン側ビード部5eと対向する部位に、パネル側ビード部2eを付加した構成を採用してもよい。
2e…パネル側ビード部(ボンド垂落ち防止部、請求項3記載のビード部)
4,14…閉断面部
4S,14S…閉断面部内
5…リヤエンドレイン(節部材)
5ar…基壁部の後縁辺(節部材の一辺)
5d…非接合フランジ部(非接合部)
5e…レイン側ビード部(ボンド垂落ち防止部、請求項2記載のビード部)
11…ルーフレールアウタ(サイドフレームアウタの上部)
12…ルーフレールインナ(第2部材)
12c…逃げ部
15…ルーフレールガセット(節部材)
15a…フランジ部(ボンド垂落ち防止部)
30…サイドフレームアウタ(第1部材)
71,81…ボンド塗布面
152a…前側非接合壁部(非接合部)
152b…後側非接合壁部(非接合部)
152af…前側連結壁部の車幅内端(節部材の一辺)
152br…後側連結壁部の車幅内端(節部材の一辺)
B…減衰ボンド
この発明は、車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に、減衰ボンドが塗布される車両の車体構造に関する。
特許文献1に例示されるように、車体の閉断面部(フレーム部材(40))内に節部材(50)を備え、該節部材(50)の少なくとも一辺(接合フランジ部(63))に、減衰ボンド(減衰部材(70))が塗布される車両の車体構造が知られている。
このような車両の車体構造は、節部材(50)の少なくとも一辺(63)に、減衰ボンド(70)を塗布し、該一辺(63)を閉断面部(40)に減衰ボンド(70)を介して接合することで、これら接合箇所を介して伝わる振動を、減衰ボンド(70)の減衰効果を活かして抑制するものである。
しかしながら、節部材(50)の少なくとも一辺(63)は、閉断面部(40)に対して直接接合されない非接合部であるとともに、該一辺(63)に有するボンド塗布面が縦壁面として上下方向に沿って配置されることもあるため、このような場合には、減衰ボンド(70)を、ボンド塗布面に塗布してから乾燥炉の熱を利用して乾燥させることで塗布した位置に固定するまでに、該減衰ボンド(70)が自重により垂れ落ちてしまうことが懸念される。
特開2014−144706号公報
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、節部材における、減衰ボンドが塗布される少なくとも一辺を、閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することを目的とする。
この発明は、車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に減衰ボンドが塗布される車両の車体構造であって、上記節部材の少なくとも一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されずに上記減衰ボンドを介して接合される非接合部とし、上記非接合部における、減衰ボンドが塗布される側のボンド塗布面が、縦壁面にて形成され、上記非接合部に、上記ボンド塗布面からの上記減衰ボンドの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成され、上記ボンド垂落ち防止部が上記非接合部の上下方向の途中に形成される凹状もしくは凸状のビード部から構成され、上記閉断面部における、上記ビード部と対向する部位には、上記閉断面部が延びる方向の直交断面視で上記ビード部と同じ側に凹状もしくは凸状に形成したビード部が構成されたものである。
上記構成によれば、上記ボンド塗布面を有する節部材の一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
さらに上述したように、上記ボンド垂落ち防止部が上記非接合部の上下方向の途中に形成される凹状もしくは凸状のビード部から構成されたものであるため、上記ビード部による上記減衰ボンドの引っ掛かりで該減衰ボンドの垂れ落ちを防止できる。
なお、上記ボンド塗布面の上下方向とは、縦壁面にて形成される該ボンド塗布面が延びる方向を示す。
さらにまた上述したように、上記閉断面部における、上記ビード部と対向する部位には、上記閉断面部が延びる方向の直交断面視で上記ビード部と同じ側に凹状もしくは凸状に形成したビード部が構成されたものであるため、上記ボンド塗布面に塗布した上記減衰ボンドを、上記非接合部のビード部に相当する部位と、それ以外の部位とで同じ厚さにすることができる。
またこの発明は、車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に減衰ボンドが塗布される車両の車体構造であって、上記節部材の少なくとも一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されずに上記減衰ボンドを介して接合される非接合部とし、上記非接合部における、減衰ボンドが塗布される側のボンド塗布面が、縦壁面にて形成され、上記非接合部に、上記ボンド塗布面からの上記減衰ボンドの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成され、上記ボンド垂落ち防止部が、上記非接合部における、上記減衰ボンドの塗布部分よりも下方において、上記閉断面部に向けて突出するフランジ部から構成されたものである。
上記構成によれば、上記非接合部における、上記減衰ボンドの塗布部分から該減衰ボンドが垂れたとしても、該減衰ボンドをフランジ部上に残すことで該減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様として、上記閉断面部は第1部材と第2部材とを接合して構成され、上記ボンド塗布面は、隙間を有して上記第2部材に対向し、上記節部材は、上記第1部材に上記減衰ボンドを介さずに直接接合されるとともに、上記非接合部が上記第2部材に該減衰ボンドを介して接合されたものである。
上記構成によれば、閉断面部を構成する前に節部材を第1部材に接合し、その後、第1部材と第2部材とを接合することで内部に節部材を備えた閉断面部を構成できるため、例えば、押出し部材等の一部材で閉断面部を構成した後でその内部に節部材を備えた構成のものよりも生産性を向上させることができる
の発明の態様として、上記第1部材がサイドフレームアウタで形成されるとともに、上記第2部材がルーフレールインナで形成され、上記閉断面部が上記サイドフレームアウタの上部と上記ルーフレールインナとで形成されるとともに、上記節部材が上記サイドフレームアウタの上部に接合され、上記ボンド塗布面は、上記ルーフレールインナと対向し、上記ルーフレールインナにおける、上記フランジ部と対向する部位に、該フランジ部に対する逃げ部が形成されたものである。
上記構成によれば、上記ルーフレールインナに逃げ部を形成することによって、フランジ部のルーフレールインナ側への突き出し長さ(突出長)を確保することができ、サイドフレームアウタの上部との接続相手部材としてのルーフレールインナが存在しない状態であってもフランジ部への減衰ボンドの引っ掛かり(受け止め)により該減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様として、上記フランジ部の上記第2部材への突き出し長さを、上記ボンド塗布面に塗布した上記減衰ボンドの、上記第1部材と上記第2部材との接合前における厚みの半分以上に設定したものである。
上記構成によれば、フランジ部は、垂れ落ちようとした減衰ボンドを受け止め時にその重心位置が留まるように残せることでフランジ部による上記減衰ボンドの垂れ落ち防止を確実なものとすることができる。
この発明によれば、節部材における、減衰ボンドが塗布される少なくとも一辺を、閉断面部に対して直接接合されない非接合部としつつ、減衰ボンドの垂れ落ちを防止することができる。
本発明の第1実施形態を示す車両の後部車体構造の右サイドの要部を示す背面図。 図1のA−A線矢視要部拡大断面図。 図1においてリヤエンドパネルを取り外した状態で示す背面図。 図3の要部拡大図。 図1における矢印B方向かつ後方から見た矢視図。 図5においてリヤエンドパネルを取り外した状態で示す矢視図。 本発明の第2実施形態を示す車両の側部車体構造を、ルーフレールインナを仮想線で示した車幅方向内側から見た側面図。 図7のC−C線矢視断面図。 図7のD−D線矢視断面図。 サイドフレームアウタを備えた車両の側部車体構造を前方かつ車幅方向内側から見た外観図。 車両の側部車体構造に備えた節部材を前方かつ車幅方向内側から見た外観図。 (a)は減衰ボンドがボンド塗布面に塗布直後の状態を示すとともに、(b)、(c)はサイドフレームインナに押潰前後の夫々における減衰ボンドがフランジ部に受け止められた状態を示す図8中の領域Z相当拡大図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Lは車両左方を示し、矢印Rは車両右方を示し、矢印Uは車両上方を示すものとする。
(第1実施形態)
第1実施形態は本発明の車両の車体構造を後部車体構造に適用した実施形態について説明する。
図1に示すように、車両の後部には荷室100(図2参照)の後部壁面を構成するリヤエンドパネル2がリヤフロアパネル105の後端から立設されており、図2、図3に示すように、該リヤエンドパネル2の上部の前側(荷室100側)にはリヤエンドメンバ3が接合固定されている。
このリヤエンドパネル2は、図1、図2、図5、に示すように、略上下方向に延びる下側縦壁部2aと、この下側縦壁部2aの上端から後方かつ上方へ延出された後上側延出部2bと、この後上側延出部2bの後端から上方に延びる上側後壁部2cと、この上側後壁部2cの上端から後方かつ上方へ延出された上側接合フランジ部2dと、を一体形成したものである。
図2〜図4、図6、に示すように、上述のリヤエンドメンバ3は、リヤエンドパネル2の下側縦壁部2aの上部に接合固定される下側フランジ部3aと、この下側フランジ部3aから前方へオフセットして車両上方に延びる縦壁部3bと、この縦壁部3bの上端から後上方に延びる上壁部3cと、この上壁部3cの上端から後方にオフセットして後上方に延びる上側接合フランジ部3dと、を一体形成したものである。
そして、図2に示すように、リヤエンドパネル2とリヤエンドメンバ3との各上側接合フランジ部2d,3dを接合固定するとともに、リヤエンドパネル2の下側縦壁部2aの上部とリヤエンドメンバ3の下側フランジ3aとを接合することで、リヤエンドメンバ3と、リヤエンドパネル2のリヤエンドメンバ3とは、これらの対向部分に車幅方向に延びる閉断面部4(図1〜図5参照)としての車体剛性部材を構成している。
リヤエンドパネル2の上側縦壁部2c、並びにリヤエンドメンバ3の縦壁部3bおよび上壁部3cは、それぞれ閉断面部4の後壁部、前壁部、上壁部を構成する。
この閉断面部4の内部、すなわち、該リヤエンドメンバ3とリヤエンドパネル2との間には、車幅方向に延びる閉断面空間4Sを有している(図2参照)。
なお図1、図2に示すように、上述のリヤエンドパネル2の上側接合フランジ部2dとリヤエンドメンバ3の上側接合フランジ部3dとの接合端部によって、後部荷室開口106の下縁辺106aが構成されている。また図1、図3中の符号101はリヤフェンダインナパネル、同様に符号102はリヤフェンダアウタパネル、符号103はリヤサイドアウタパネルをそれぞれ示している。
上述の閉断面空間4Sにおける、車幅方向の左右各側(図面で右側のみ図示)には、図2〜図6に示すように、補強部材としてのリヤエンドレインフォースメント5(以下、「リヤエンドレイン5」)が配設されている。
図6に示すように、リヤエンドレイン5は、車幅方向に直交して閉断面空間4Sを車幅方向に分断する平板状の基壁部5aと、該基壁部5aの前縁辺5afの下部から車幅方向外側へ延びる前側接合フランジ部5bと、基壁部5aの上縁辺5auの前後方向の中間部から車幅方向外側へ延びる上側接合フランジ部5cと、基壁部5aの後縁辺5arから車幅方向内側へ延びる非接合フランジ部5dとで節部材(バルクヘッド)として一体に形成されている。
そして図4、図6中の「×」印にて示すように、前側接合フランジ部5bは、閉断面部4の前壁部としてのリヤエンドメンバ3の縦壁部3bに、その後面側からスポット溶接等にて接合固定されるとともに、上側接合フランジ部5cは、閉断面部4の上壁部としてのリヤエンドメンバ3の上壁部3cに、その下面側からスポット溶接等にて接合固定されている。
これにより、これら前側接合フランジ部5b、上側接合フランジ部5cは、共にリヤエンドメンバ3との間にスポット溶接箇所としての剛結合部6(前側剛結合部6a、上側剛結合部6b)が形成される。
一方、リヤエンドレイン5が、前側剛結合部6aおよび上側剛結合部6bによってリヤエンドメンバ3に接合され、且つ、リヤエンドパネル2との接合前の状態において、非接合フランジ部5dの後面には、減衰ボンドBが塗布される(図4、図6参照)。このため、該後面はボンド塗布面71として形成される。
具体的には図2〜図5に示すように、非接合フランジ部5dは、そのボンド塗布面71が前後方向に直交する縦壁面として形成されており、図2に示すように、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した状態において、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cの前面(以下、「パネル側ボンド対向面72」とする。)との間に隙間を有して対向する。
これにより、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した状態において、非接合フランジ部5dのボンド塗布面71に塗布された減衰ボンドBは、該ボンド塗布面71と、リヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72との間に介在した状態となる。
ここでリヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを接合した後、車体が加熱炉内に導入され、電着塗装された車体表面を乾燥するために加熱する乾燥工程が行われる。
この乾燥工程時の熱を利用してボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との間に介在する減衰ボンドBを乾燥させ、これらボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とに固着(接合固定)させる。これにより、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とは、これらに固着された減衰ボンドBとしての柔結合部7にて結合される(図2参照)。
すなわち、非接合フランジ部5dは、リヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72に対して直接、溶接等により接合されず、パネル側ボンド対向面72に減衰ボンドBを介して接合される非接合部として形成される。
さらに図2、図4、図6に示すように、非接合フランジ部5dには、そのボンド塗布面71に塗布した減衰ボンドBが、乾燥工程によって固着される前に自重による垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部としてのレイン側ビード部5eが形成されている。当例ではレイン側ビード部5eは、非接合フランジ部5dの上下方向の略中間部に(図2参照)、該非接合フランジ部5dの車幅方向全体に渡って(図4参照)、前方(リヤエンドメンバ3の縦壁部3bの側)に向けて凸状に形成されている(図2参照)。
一方図1、図2、図5に示すように、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cにおける、レイン側ビード部5eと対向する部位には、同じくボンド垂落ち防止部としてのパネル側ビード部2eが形成されている。このパネル側ビード部2eは、上記閉断面部4が延びる方向(車幅方向)の直交断面視で(つまり図2に示す状態で)該レイン側ビード部5eと同じ前側に凸状に形成されている。
換言すると、パネル側ビード部2eは、レイン側ビード部5eがパネル側ボンド対向面72に対して凹状に形成されているのに対してボンド塗布面71に向けて凸状に形成されている。
なお、パネル側ビード部2eとレイン側ビード部5eとは、略同じ突出長さで突出するとともに同じ車幅方向長さで延びている(図2、図5参照)。
リヤエンドパネル2とリヤエンドメンバ3とがリヤエンドレイン5を介在して接合された状態において、減衰ボンドBは、上述した乾燥工程を経るまで、すなわち、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72とに固着されるまでにおいて、該減衰ボンドBの上下方向の略中間部が、レイン側ビード部5eとパネル側ビード部2eとに引っ掛かった状態に保たれる。
このように、本実施形態の車両の車体構造は、車体の閉断面部4内に節部材としてのリヤエンドレイン5を備え、該リヤエンドレイン5の基壁部5aの少なくとも一辺(後縁辺5ar(図6参照))に、減衰ボンドBが塗布される非接合フランジ部5dが形成された車両の車体構造であって、該非接合フランジ部5dを、閉断面部4に対して直接接合されずに減衰ボンドBを介して接合される非接合部とするとともに、該非接合フランジ部5dの後面に相当するボンド塗布面71が縦壁面にて形成され、非接合フランジ部5dに、ボンド塗布面71からの減衰ボンドBの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成されたものである(図2〜図4、図6参照)。
上記構成によれば、リヤエンドレイン5の一辺に、閉断面部4に対する直接接合されない非接合フランジ部5dを形成しつつ、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
具体的には、リヤエンドレイン5の一辺に、閉断面部4に対する直接接合されない非接合フランジ部5dを形成することで、非接合フランジ部5dと閉断面部4との間に介在する減衰ボンドBによってこれらの間の摩擦エネルギを熱エネルギに変換して振動の減衰効果を得ることができる。
また、非接合フランジ部5dのボンド塗布面71に減衰ボンドBを塗布し、その後に行われる、電着塗装された車体表面の乾燥工程において、加熱炉の熱を利用して減衰ボンドBは乾燥してボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との夫々に対して固着される。
しかしながら、ボンド塗布面71に減衰ボンドBが塗布されてから乾燥工程が行われるまでの間に減衰ボンドBが自重により垂れ落ちた場合には、ボンド塗布面71に減衰ボンドBが適切に存在しない状態で乾燥工程が行われることも生じ得る。
実際には、ボンド塗布面71に減衰ボンドBを塗布してから乾燥工程が行われるまでに工場の休日を挟む等の事情により、ボンド塗布面71に塗布された減衰ボンドBは、乾燥工程での加熱によって固められない状態で数日間放置される事態も起こり得るため、減衰ボンドBの垂れ落ち防止の対策が必要となる。
これに対して、上述したように、非接合フランジ部5dに、ボンド垂落ち防止部として、例えば、レイン側ビード部5eを形成することにより、非接合フランジ部5dを閉断面部4に対する非接合部としつつも、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の一実施形態においては、ボンド垂落ち防止部が非接合フランジ部5dの上下方向の途中に形成され、リヤエンドパネル2の上側縦壁部2cに対して凹状のレイン側ビード部5eから構成されたものである(図2、図6参照)。
上記構成によれば、レイン側ビード部5eによる減衰ボンドBの引っ掛かりで該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止できる。
この発明の一実施形態においては、閉断面部4における、レイン側ビード部5eと対向する部位には、閉断面部4が延びる方向(車幅方向)の直交断面視でレイン側ビード部5eと同じ前側に凸状に形成したパネル側ビード部2eが構成されたものである(図1、図2、図5参照)。
上記構成によれば、減衰ボンドBがリヤエンドパネル2のパネル側ボンド対向面72とリヤエンドメンバ3のボンド塗布面71との間に介在する状態において、減衰ボンドBを、非接合フランジ部5dの上下方向において、レイン側ビード部5eに相当する部位と、それ以外の部位とで同じ厚さにすることができる(図2参照)。
これにより、減衰ボンドBをボンド塗布面71に塗布した部位全体に亘って均一で安定した減衰効果を得ることができる。
さらに、ボンド塗布面71とパネル側ボンド対向面72との間に介在する減衰ボンドBは、レイン側ビード部5eとパネル側ビード部2eとの夫々に引っ掛かるため、レイン側ビード部5eのみに引っ掛かる構成と比較して減衰ボンドBの垂れ落ちの防止効果をより高めることができる。
この発明の一実施形態においては、閉断面部4は、第1部材としてのリヤエンドメンバ3と第2部材としてのリヤエンドパネル2とを接合して構成され、非接合フランジ部5dは、隙間を有してリヤエンドパネル2に対向し、リヤエンドレイン5は、リヤエンドメンバ3に減衰ボンドBを介さずに直接接合されるとともに(図4、図6中のスポット溶接箇所を示す「×」印参照)、非接合フランジ部5dがリヤエンドパネル2に減衰ボンドBを介して接合されたものである(図2参照)。
上記構成によれば、リヤエンドメンバ3にリヤエンドレイン5を溶接等により接合し、その後、リヤエンドレイン5とリヤエンドパネル2とを減衰ボンドBを介して接合することで、リヤエンドメンバ3とリヤエンドパネル2との内部にリヤエンドレイン5を備えた閉断面部4を構成できるため、例えば、閉断面部4を押出し部材等として構成した後でその内部に節部材を、嵌め込み等により備える構成のものよりも生産性を向上させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態は本発明の車両の車体構造を側部車体構造に適用した実施形態について説明する。
詳しくは、図7〜図9に示すように、車両前後方向に延びるルーフレール10の中間部に、センターピラー20の上端部が結合されている。このルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cに本発明の車両の車体構造が適用されている。
ルーフレール10は、車両前後方向に延びる閉断面部14としての車体剛性部材であって、車幅外側に位置し、車幅方向内側へ向けて開口した断面ハット形状のルーフレールアウタ11と、ルーフレールアウタ11の車幅方向内側へ向けた開口を車幅方向内側から覆うルーフレールインナ12(図8、図9参照)と、これら11,12の間に介在し、車幅方向内側へ向けて開口した断面ハット形状のルーフレールレインフォースメント13(以下「ルーフレールレイン13」という。)と、から構成されている。
図8に示すように、ルーフレールインナ12は、車両前後方向の直交断面視で上下方向に延びるインナ縦壁部12aと、該インナ縦壁部12aの下端から下方程車幅外方へ延出するインナ下外延出部12bとで一体に形成されている。
同図に示すように、ルーフレールレイン13は、上壁部13aと、その車幅内端から下方かつ車幅方向外側へ延びる縦壁部13bと、該縦壁部13bの下端から下方かつ程車幅方向内側へ延びる下壁部13cとで一体に形成されている。
同図に示すように、センターピラー20は、上下方向に延びる閉断面部24としての車体剛性部材であって、車外側に位置するセンターピラーアウタ21と、車内側に位置するセンターピラーインナ22と、これら21,22の間に介在するセンターピラーレインフォースメント23(以下「センターピラーレイン23」という。)と、から構成される。
図10に示すように、ルーフレールアウタ11とセンターピラーアウタ21とは、サイドシルアウタ31、ヒンジピラーアウタ32、フロントピラーアウタ33およびリヤピラーアウタ34と共に、サイドフレームアウタ30として一枚のアウタパネルを形成している。すなわち、ルーフレールアウタ11とセンターピラーアウタ21とは、サイドフレームアウタ30の一部として形成されている。
一方図8に示すように、左右一対のルーフレール10(右側のみ図示)の間にはルーフ40が配設されている。ルーフ40は、車室上面を構成するルーフパネル41と、左右一対のルーフレール10に架設され、ルーフパネル41を支持可能に車幅方向に延びるルーフレインフォースメント42(以下、「ルーフレイン42」)とを備えている。
そして、ルーフレール10の車両前後方向における、センターピラー20との結合部Cに位置するルーフレイン42は、その車幅内端部(図示省略)がルーフレールレイン13の車幅外端部13aa(図8参照)に接合固定されている。
さらに、ルーフレールアウタ11とルーフレールレイン13との各上部は、共に車幅内側へ延び、ルーフレールアウタ11の上端部11aが、ルーフパネル41の車幅外端部41aとルーフレールレイン13の車幅内端部13aaとに上下各側から挟み込まれるように接合されている(図8参照)。
ルーフレールインナ12の上下方向に延びるインナ縦壁部12aと、車幅方向に延びるルーフレイン42とは共に、これら12a,42によって形成されるコーナー部において車室側から断面略L字形状のルーフコーナーガセット43(図8参照)にて接合固定されている。このルーフコーナーガセット43によってルーフレール10とルーフ40との結合部Cが補強されている。
続いて図7中の「×」印のうち符号W1にて示した箇所のとおり、上述したルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cにおいて、センターピラーインナ22の上端部22a(図7、図8参照)と、ルーフレールインナ12の下端部12ba(同図参照)とが、互いに接合されている。
さらに図8に示すように、センターピラーレイン23は、その上部23aが、ルーフレールアウタ11とルーフレールレイン13との間に介在するように上方に延出形成されている。そして、センターピラーレイン23の上部23a(図8参照)とルーフレールレイン13の縦壁部13b(同図参照)とは、互いに接合されている。
このようなルーフレール10のセンターピラー20との結合部Cにおいて、図8に示すように、上述したルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とで前後方向に延びる閉断面部14が構成されており、ルーフレールアウタ11に接合されたルーフレールレイン13と、ルーフレールインナ12との間には、車両前後方向に延びる閉断面空間14Sが構成されている。
なお本実施形態において、「サイドフレームアウタ30の上部(ルーフレールアウタ11)とルーフレールインナ12とが接合された」とは、これら部材11,12が溶接等により直接的に接合されたことを示すものではなく、これらの部材11,12間に閉断面部14が構成されるようにルーフレールレイン13等の他の部材を介して間接的に接合されたことを示すものとする。
そして図7〜図9に示すように、この閉断面空間14Sには、補強体としてのルーフレールガセット15が配設されている。
ルーフレールガセット15は、鋼板の打ち抜きおよび曲げ加工によって車両前後方向の中間に対して前後各側が略対称形状になる節部材(バルクヘッド)として一体に形成されている。
詳しくは、図7〜図9、図11の特に図11に示すように、ルーフレールガセット15は、前後方向および上下方向に延びる基壁部151を備え、該基壁部151に対して前後各側における、該基壁部151に対して車幅方向内側へオフセットした位置(ずらした位置)に、前後一対の非接合壁部152a,152b(前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152b)が配設されている。
図7、図11に示すように、前側非接合壁部152aの前側には、前側接合フランジ部153aが配設されるとともに、後側非接合壁部152bの後側には、後側接合フランジ部153bが配設されており、図9、図11に示すように、これら接合フランジ部153a,153bは、それぞれ前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152bに対して車幅方向外側へ基壁部151の位置よりもオフセットした位置に配設されている。
そして、図9、図11に示すように、基壁部151の前縁辺151fと前側非接合壁部152aの後縁辺152arとは、それぞれ略車幅方向へ延びる中央前側連結壁部154aを介して一体に連結されている。一方、基壁部151の後縁辺151rと後側非接合壁部152bの前縁辺152bfとは、略車幅方向へ延びる中央後側連結壁部154bを介して一体に連結されている。
さらに、前側非接合壁部152aの前縁辺152afと前側接合フランジ部153aの後縁辺153brとは、略車幅方向へ延びる前側連結壁部155aを介して一体に連結されている。一方、後側非接合壁部152bの後縁辺152brと後側接合フランジ部153bの前縁辺153bfとは、略車幅方向へ延びる後側連結壁部155bを介して一体に連結されている。
図11に示すように、基壁部151は、その上縁辺151uから上方程車幅方向内側へ延出する上側接合フランジ部156が一体形成されている。
一方、基壁部151の下部には、該下部よりも上側部位に対して車幅方向内側へ隆起した隆起部151aが形成されており、該隆起部151aの下縁辺151adから下方程車幅方向外方へ延出する下側接合フランジ部158が一体に形成されている。
図9に示すように、前側連結壁部155a、後側連結壁部155bは、共に前後方向に延びる閉断面部14の内側の閉断面空間14Sを前後方向に分断する隔壁として前後方向に直交面を構成するように配設されている。
前後一対の非接合壁部152a,152b(前側非接合壁部152a、後側非接合壁部152b)は、閉断面部14が延びる方向(前後方向)の直交断面視における一辺、すなわち、ルーフレールガセット15の前側連結壁部155aの車幅内端152afと後側連結壁部155bの車幅内端152brとにそれぞれ形成されている。
図7中の「×」印のうち符号W2a〜W2cにて示した箇所のとおり、ルーフレールレイン13は、ルーフレールガセット15に剛結合部16に相当するスポット溶接箇所にて接合固定されている。
一方図7〜図9、図11、図12(a)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前の状態において、前後一対の非接合壁部152a,152bの各車幅内面には減衰ボンドBが塗布される。このため、これら車幅内面はボンド塗布面81として形成される。
なお、図12(a)は、前側非接合壁部152aのボンド塗布面81に減衰ボンドBが塗布された直後の図8中の領域Z相当の拡大図で示した断面図である。
具体的に、前後一対の非接合壁部152a,152bは、夫々のボンド塗布面81が車幅方向に直交する縦壁面として形成されており(図8、図9参照)、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した状態において、ルーフレールインナ12のインナ縦壁部12aの車幅外面(以下、「インナ側ボンド対向面82」とする。)との間に隙間を有して対向する。
これにより、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した状態において、前後一対の非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBは、それぞれボンド塗布面81と、ルーフレールインナ12のインナ側ボンド対向面82との間に介在した状態となる。
このようにルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とを接合した後、電着液が塗装された車体表面に対して行われる乾燥工程時の熱を利用してボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82との間に介在する減衰ボンドBを乾燥させ、これらボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82とに固着させる。これにより、ボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82面とは、これらに固着された減衰ボンドBとしての柔結合部17にて結合される(図8参照)。
すなわち、前後一対の非接合壁部152a,152bは、ルーフレールインナ12のインナ側ボンド対向面82に対して直接、溶接等により接合されず、インナ側ボンド対向面82に減衰ボンドBを介して接合される非接合部として形成される。
さらに、図7、図8、図11、図12(a)に示すように、前後一対の非接合壁部152a,152bの各下部、すなわち、減衰ボンドBの塗布部分よりも下方部位には、そのボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBの自重による垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部として、下端程ルーフレールインナ12に向けて突出するフランジ部15aが構成されている。
一方図8に示すように、ルーフレールインナ12における、フランジ部15aに対向する部位には、ルーフレールインナ12に向けて突出するフランジ部15aと干渉しないように車幅方向内側へ逃げる逃げ部12cが形成されている。
逃げ部12cは、ルーフレールインナ12のインナ縦壁部12aとインナ下外延出部12bとのコーナー部に形成されており、該コーナー部が、前後各非接合壁部152a,152bに対して凹状、換言すると、前後各非接合壁部152a,152bに有する側と反対側(車幅方向内側)へ凸状に形成されている。
逃げ部12cの車幅外面とフランジ部15aの下端部(先端部)との間には、該ボンド塗布面81とインナ側ボンド対向面82との間に介在する減衰ボンドBの厚みよりも小さな隙間dが形成されている(図8参照)。
ところで、図12(a)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前において、減衰ボンドBは、前後一対の非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81における、該各ボンド塗布面81の正面視で略中央部に、該ボンド塗布面81からドット状に隆起するように塗布される。そしてルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合時に、前後各ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBは、ルーフレールインナ12からの押圧によって押し潰され、ルーフレールインナ12からの押圧前の厚み(R)(各ボンド塗布面81からの突出長さR)の半分の厚み(r)または、その厚み(r)よりも若干薄い厚みになるまで前後各ボンド塗布面81上に押し広げられる(図8、図12(a)参照)。
なお、減衰ボンドBは、上述したように、ボンド塗布面81にドット状に塗布するに限らず、ライン状、面状に塗布してもよい。
ここで、サイドフレームアウタ30とルーフレールインナ12との接合時にルーフレールインナ12からの押圧力を受けてボンド塗布面81上において押し広げられる前の減衰ボンドBを、押潰前の減衰ボンドBとし、押し広げられた後の減衰ボンドBを押潰後の減衰ボンドBとする。
さらにここでは、図12(a)に示すように、ボンド塗布面81にドット状に塗布された押潰前の減衰ボンドBの重心位置Gは、該押潰前の減衰ボンドBの厚み(R)の半分の位置に有するものと設定する。
この場合、同図に示すように、フランジ部15aは、押潰前の減衰ボンドBの厚み(R)の半分の厚み(r)以上の突出長さL、すなわち、ボンド塗布面81から押潰前の減衰ボンドBの重心位置Gまでの距離(r)以上の突出長さになるように前後各ボンド塗布面81に対して突出形成している(L>r=R/2)。
乾燥工程の熱によって固形化されていない押潰前の減衰ボンドBは、一般に、前後各ボンド塗布面81から自重により垂れ落ちる際には、垂れ落ちる前の形状をある程度維持しつつボンド塗布面81から滑り落ちる(脱落する)ように垂れ落ちる粘弾性特性を有している。このことから仮に、押潰前の減衰ボンドBが、前後各ボンド塗布面81から垂れ落ちようとしても、図12(b)に示すように、フランジ部15aは、押潰前の減衰ボンドBの重心Gがフランジ部15aの下端部(先端部)を越えてフランジ部15aから垂れ落ちることがなく、押潰前の減衰ボンドBの重心Gがフランジ部15a上に留まるような突出長さで形成している。
第2実施形態の車両の車体構造は、車体の閉断面部14内に節部材としてのルーフレールガセット15を備え、該ルーフレールガセット15の少なくとも一辺(車幅内縁辺152af,152br(図9、図11参照))に、減衰ボンドBが塗布される前後一対の非接合壁部152a,152bが形成されており、これら非接合壁部152a,152bを、閉断面部14に対して直接接合されずに減衰ボンドBを介して接合される非接合部とするとともに、前後一対の非接合壁部152a,152bのボンド塗布面81が縦壁面にて形成され、これら非接合壁部152a,152bに、減衰ボンドBの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部として、減衰ボンドBの塗布部分よりも下方において、下端程閉断面部14に向けて突出するフランジ部15aから構成されたものである(図7、図8、図11、図12(a)(b)(c)参照)。
上記構成によれば、ボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBが垂れ落ちようとしても該減衰ボンドBをフランジ部15a上に残せることで該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる(図12(b)(c)参照)。
詳述すると、サイドフレームアウタ30は、その上部に備えたルーフレールアウタ11に、節部材としてのルーフレールガセット15が接合され、該ルーフレールガセット15における非接合壁部152a,152bに減衰ボンドBが塗布されてから乾燥工程が行われるまでの間、製造工程等の関係上、相手側のルーフレールインナ12等が接合されない状態で例えば、数日間から数十日間放置(いわゆるオープン放置)される場合がある。
このため、非接合壁部152a,152bに塗布された減衰ボンドBは、サイドフレームアウタ30のオープン放置状態においては、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合に伴って該ルーフレールインナ12から非接合壁部152a,152bの側への押圧を受けることがなく、しかもサイドフレームアウタ30は、このようなオープン放置されている際には、例えば、工場のパレット等に略起立した姿勢で設置されるため、非接合壁部152a,152bのボンド塗布面81が縦壁面となることから、該ボンド塗布面81からの減衰ボンドBが垂れ落ち防止の対策が特に必要となる。
これに対して、非接合壁部152a,152bに、ボンド垂落ち防止部としてのフランジ部15aを形成することで、サイドフレームアウタ30がいわゆるオープン放置状態において、減衰ボンドBがボンド塗布面81から垂れ落ちようとしてもフランジ部15a上に残すことができ、減衰ボンドBのフランジ部15aからの垂れ落ちを防止することができる(図12(b)参照)。
そして、サイドフレームアウタ30は、オープン放置状態からその上部(ルーフレールアウタ11)にルーフレールインナ12が接合される。これにより、図12(c)に示すように、減衰ボンドBは、フランジ部15a上に残った状態で非接合壁部152a,152bと閉断面部14(つまりその一部を構成するルーフレールインナ12)との間に介在した状態となり、さらに、その状態で乾燥工程にて乾燥され、これら非接合壁部152a,152bと閉断面部14との夫々に対して適切に接合固定される。
一方、ボンド塗布面81に塗布された減衰ボンドBが、仮にルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とが接合された状態でボンド塗布面81から垂れ落ちようとしても、やはりフランジ部15aによって受け止めることができ(図12(c)参照)。この場合も上述と同様に減衰ボンドBは、フランジ部15aに残った状態で乾燥工程にて乾燥され、これら非接合壁部152a,152bと閉断面部14との夫々に対して適切に接合固定される。
この発明の態様においては、閉断面部14がサイドフレームアウタ30の上部(ルーフレールアウタ11)とルーフレールインナ12とで形成されるとともに、ルーフレールガセット15がサイドフレームアウタ30に接合され、非接合壁部152a,152bの各ボンド塗布面81は、ルーフレールインナ12と対向し、ルーフレールインナ12における、フランジ部15aと対向する部位に、該フランジ部15aに対する逃げ部12cが形成されたものである(図8参照)。
上記構成によれば、ルーフレールインナ12に逃げ部12cを形成することによって、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合時に、ルーフレールインナ12がフランジ部15aに干渉するおそれがないため、その分、フランジ部15aのルーフレールインナ12側への突出長さを確保することができる。
従って、図12(b)に示すように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前の状態であってもフランジ部15aへの減衰ボンドBの引っ掛かり(受け止め)により該減衰ボンドBの垂れ落ちを防止することができる。
この発明の態様においては、フランジ部15aのルーフレールインナ12への突出長さ(L)を、ボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBの、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合前における厚み(R)の半分の厚み(r)以上に設定したものである(L>r=2/R)。
上述したように、ルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12との接合によってボンド塗布面81に塗布した減衰ボンドBがルーフレールインナ12から押圧される前における、該減衰ボンドBの厚み(R)の半分の厚み(r)以上の厚みになるように、フランジ部15aの突出長さ(L)を設定したため、ルーフレールアウタ11をルーフレールインナ12に接合前のオープン放置状態において、減衰ボンドBがボンド塗布面81に塗布した部位から垂れ落ちようとしても、フランジ部15aは、減衰ボンドBをその重心位置Gが留まるように残せることでフランジ部15aによる減衰ボンドBの垂れ落ち防止を確実なものとすることができる(図12(b)参照)。
なお、本実施形態のフランジ部15aは、フランジ部15aを備えたルーフレールガセット15や、逃げ部12cを備えたルーフレールインナ12の成形性等も考慮してその突き出し角度等が設定されるが、突き出し角度が極力水平方向となるとともに、突出長さが極力長くなるように形成されることが減衰ボンドBの垂れ落ちを防止する観点では好ましい。
但し、図12(a)では、上下方向に延びる縦壁面としてのボンド塗布面81に減衰ボンドBが塗布されている状態が図示されているが、一般にサイドフレームアウタ30は、オープン放置状態において、ボンド塗布面81が斜め上方を向くように傾けた姿勢で配置される。このため、フランジ部15aは、ボンド塗布面81に対して完全に水平(直角)に突き出していなくても、サイドフレームアウタ30がオープン放置状態において、より水平に近い突き出し角度となり、減衰ボンドBの優れた垂れ落ち防止効果を得ることができる。
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば図示省略するが、第2実施形態のようなフランジ部15aを備えた非接合壁部152a,152bに、第1実施形態のレイン側ビード部5eを付加した構成を採用してもよく、さらにその場合、ルーフレールインナ12のレイン側ビード部5eと対向する部位に、パネル側ビード部2eを付加した構成を採用してもよい。
2e…パネル側ビード部(ボンド垂落ち防止部、閉断面部における、上記ビード部と対向する部位に形成されるビード部)
4,14…閉断面部
4S,14S…閉断面部内
5…リヤエンドレイン(節部材)
5ar…基壁部の後縁辺(節部材の一辺)
5d…非接合フランジ部(非接合部)
5e…レイン側ビード部(ボンド垂落ち防止部、非接合部の上下方向の途中に形成されるビード部)
11…ルーフレールアウタ(サイドフレームアウタの上部)
12…ルーフレールインナ(第2部材)
12c…逃げ部
15…ルーフレールガセット(節部材)
15a…フランジ部(ボンド垂落ち防止部)
30…サイドフレームアウタ(第1部材)
71,81…ボンド塗布面
152a…前側非接合壁部(非接合部)
152b…後側非接合壁部(非接合部)
152af…前側連結壁部の車幅内端(節部材の一辺)
152br…後側連結壁部の車幅内端(節部材の一辺)
B…減衰ボンド

Claims (7)

  1. 車体の閉断面部内に節部材を備え、該節部材の少なくとも一辺に減衰ボンドが塗布される車両の車体構造であって、
    上記節部材の少なくとも一辺を、上記閉断面部に対して直接接合されずに上記減衰ボンドを介して接合される非接合部とし、
    上記非接合部における、減衰ボンドが塗布される側のボンド塗布面が、縦壁面にて形成され、
    上記非接合部に、上記ボンド塗布面からの上記減衰ボンドの垂れ落ちを防止するボンド垂落ち防止部が形成された
    車両の車体構造。
  2. 上記ボンド垂落ち防止部が上記非接合部の上下方向の途中に形成される凹状もしくは凸状のビード部から構成される
    請求項1に記載の車両の車体構造。
  3. 上記閉断面部における、上記ビード部と対向する部位には、上記閉断面部が延びる方向の直交断面視で上記ビード部と同じ側に凹状もしくは凸状に形成したビード部が構成された
    請求項2に記載の車両の車体構造。
  4. 上記閉断面部は第1部材と第2部材とを接合して構成され、
    上記ボンド塗布面は、隙間を有して上記第2部材に対向し、
    上記節部材は、上記第1部材に上記減衰ボンドを介さずに直接接合されるとともに、上記非接合部が上記第2部材に該減衰ボンドを介して接合された
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両の車体構造。
  5. 上記ボンド垂落ち防止部が、上記非接合部における、上記減衰ボンドの塗布部分よりも下方において、上記閉断面部に向けて突出するフランジ部から構成された
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両の車体構造。
  6. 上記第1部材がサイドフレームアウタで形成されるとともに、上記第2部材がルーフレールインナで形成され、
    上記閉断面部が上記サイドフレームアウタの上部と上記ルーフレールインナとで形成されるとともに、上記節部材が上記サイドフレームアウタの上部に接合され、
    上記ボンド塗布面は、上記ルーフレールインナと対向し、
    上記ルーフレールインナにおける、上記フランジ部と対向する部位に、該フランジ部に対する逃げ部が形成された
    請求項5に記載の車両の車体構造。
  7. 上記閉断面部は第1部材と第2部材とを接合して構成され、
    上記ボンド塗布面は、隙間を有して上記第2部材に対向し、
    上記節部材は、上記第1部材に上記減衰ボンドを介さずに直接接合されるとともに、上記第2部材に該減衰ボンドを介して接合され、
    上記フランジ部の上記第2部材への突き出し長さを、上記ボンド塗布面に塗布した上記減衰ボンドの、上記第1部材と上記第2部材との接合前における厚みの半分以上に設定した
    請求項5又は6に記載の車両の車体構造。
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