JP2019025971A - 車両の下部車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪からの振動がトルクボックス60を介してサイドシル22に伝達されることによって引き起こされるフロアパネル30の振動を出来る限り抑制する。【解決手段】フロアフレーム21とサイドシル22と連結する複数のトルクボックス60は、第1のトルクボックス61と、該第1のトルクボックス61に対して車両後側に離間して配設された第2のトルクボックス62とを有し、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量H3は、フロアフレーム21と第1のトルクボックス61との接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量H2よりも小さい。【選択図】図5

Description

本発明は、車両の下部車体構造に関する技術分野に属する。
従来より、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、該左右一対のサイドシルよりも車幅方向の内側に位置しかつ車両前後方向に延びる左右一対のフレーム部材と、該左右一対のフレーム部材と該フレーム部材に近い側のサイドシルとを車幅方向に連結するトルクボックスとを備えた、車両の下部車体構造が知られている。
例えば、特許文献1に記載の車両の下部車体構造では、サイドシルインナを有し、前後方向に延びるサイドシルと、フロントサイドフレームの後側の延長部であって、ダッシュボードロアパネルに沿いつつ車幅方向の外側に傾斜しながら延び、上記サイドシルインナの前側端部の側壁に結合した延長部と、該延長部の内側壁から後方内側に向けて傾斜して延びた後、車幅方向の中央で後方に延びるトンネルフレーム(フレーム部材)と、上記サイドシルインナ及び上記トンネルフレームに結合したフロアパネルと、第1及び第2芯材からなる平面視でX字形状の芯材とを備え、上記第1芯材は車両後側に向かって車幅方向の中央に傾斜して延びかつ上記延長部と上記トンネルフレームとを連結し、上記第2芯材は車両後側に向かって車幅方向の外側に傾斜して延びかつ上記サイドシルインナと上記トンネルフレームとを連結している。
そして、上記特許文献1に記載の車両の下部車体構造では、延長部、第1芯材及び第2芯材がトルクボックスとして機能している。
また、上記特許文献1に記載の車両の下部車体構造では、上記トルクボックスのフロアパネルに対する突出量は、フレーム部材のフロアパネルに対する突出量と同じになっている。
特開2013−103650号公報
ところで、車両の走行時には、左右の前輪からの振動がフロアパネルに伝達されて、フロアパネルが振動することがある。具体的には、各前輪の振動が、前輪を支持するサスペンションアーム等からフレーム部材に伝達されて、該フレーム部材が振動し、このフレーム部材の振動によってトルクボックスも振動し、該トルクボックスの振動によってサイドシルが振動して、そして、該サイドシルの振動によってフロアパネルの振動が引き起こされる。この各前輪からフロアパネルに伝達される振動は、フレーム部材やパネル類を変形させることで減衰されるが、フレーム部材及びパネル類の剛性が高いと変形が起こりにくく、上記振動が減衰されずに最終的にフロアパネルに伝達されてしまう。
また、上述のようなフロアパネルの振動は、振動自体が車両の乗員に不快感を与えてしまうことに加えて、車室内の空気を振動させて騒音を引き起こす原因となるため、NVH(Noise Vibration Harshness)の問題を顕著にする。
トルクボックスのサイズを小さくして、トルクボックスの振動を相対的に小さくすることで、トルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動を小さくして、フロアパネルの振動を抑えることが考えられるが、トルクボックスのサイズを小さくすると、車体のロール剛性や前突に対する剛性が低下するおそれがある。
特許文献1に記載のような車両の下部車体構造では、トルクボックスが複数設けられており、1つのトルクボックスのサイズを小さくしたとしても、前突に対する剛性の低下をある程度抑えることができる。しかし、特許文献1の下部車体構造では、トルクボックスのフロアパネルに対する突出量が、フレーム部材のフロアパネルに対する突出量と同じであるため、フレーム部材の稜線とトルクボックスの稜線とが一致するようになり、トルクボックスの剛性が高くなり過ぎて、該トルクボックスがフレーム部材の下壁部からの振動をそのままサイドシルに伝達するおそれがある。このため、特許文献1に記載のような車両の下部車体構造では、トルクボックスを前後に複数分割して設けているにも関わらず、前輪からの振動がフロアパネルに伝達されやすくなっている。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪の振動がトルクボックスに伝達されることに起因するフロアパネルの振動を出来る限り抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、車両の下部車体構造を対象として、車両前後方向に延びかつフロアパネルの下面に取り付けられる左右一対のフロアフレームと、車両前後方向に延びかつ上記フロアパネルの車幅方向の外側の端部に取り付けられる左右一対のサイドシルと、上記左右のフロアフレームの前端部同士を連結させかつ左右の前輪サスペンションアームを支持するサスペンションクロスメンバと、車両左側及び車両右側に複数ずつ設けられ、上記左右一対のフロアフレームと上記左右一対のサイドシルとを、左側同士及び右側同士でそれぞれ連結するトルクボックスとを備え、上記複数のトルクボックスは、車両左側及び右側のそれぞれにおいて、第1のトルクボックスと、該第1のトルクボックスに対して車両後側に離間して配設された第2のトルクボックスとを含み、上記フロアフレームは、車幅方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、上記フロアパネルと協働して閉断面を構成し、上記第1及び第2のトルクボックスは、車両前後方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、上記フロアパネルと協働してそれぞれ閉断面を構成し、上記第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記フロアフレームと上記第2のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、上記フロアフレームの上記フロアパネルに対する突出量以下であり、上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記フロアフレームと上記第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、上記フロアフレームの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さい、という構成とした。
この構成によると、フロアフレームは、前輪サスペンションアームを支持するサスペンションクロスメンバに結合されているため、フロアフレームには、前輪サスペンションアーム及びサスペンションクロスメンバを介して、前輪からの振動が伝達される。
このとき、仮に、第1のトルクボックスのフロアパネルに対する突出量が、フロアフレームと第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、該フロアフレームのフロアパネルに対する突出量と同じ場合には、フロアフレームの稜線と第1のトルクボックスの稜線とが一致することとなり、第1のトルクボックスの剛性が高くなり過ぎて、フロアフレームの下壁部からの振動をそのままサイドシルに伝達してしまう。
そこで、本発明では、第1のトルクボックスのフロアパネルに対する突出量を、フロアフレームと第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレームのフロアパネルに対する突出量より小さくした。これにより、フロアフレームの稜線と第1のトルクボックスの稜線とが一致する場合と比べて、第1のトルクボックスの剛性が低くなるため、第1のトルクボックスはフロアフレームの振動により変形しやすくなる。この結果、第1のトルクボックスによって、振動のエネルギーの吸収が行われるため、第1のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動の大きさは、該フロアフレームの振動の大きさ以下に抑えられる。したがって、サイドシルに伝達される前輪からの振動を出来る限り抑えることができ、延いてはフロアパネルの振動を抑えることができる。
また、車両左側及び右側のそれぞれにおいて、第1のトルクボックスと、該第1のトルクボックスに対して車両後側に離間して配設された第2のトルクボックスと含んでいるため、車両の前突時には、第1及び第2のトルクボックスがロードパスとなって、フロアフレームからサイドシルへ前突による荷重を適切に伝達することができようになり、車両の前突に対する剛性を適切に確保することができる。さらに、車両の前突時の荷重を、第1及び第2のトルクボックスで分散して、フロアフレームからサイドシルへ伝達することができるため、第1及び第2のトルクボックス自体の大きさを比較的小さくしたとしても、車体のロール剛性等については適切に確保することができる。これにより、フロアフレームからサイドシルへ、前輪からの振動が伝達されることをさらに抑制することができる。
さらに、複数のトルクボックスが、第1のトルクボックスと第2のトルクボックスと含んでいるため、車体の捻れ、特に車体のロール方向の捻れに対する剛性を高くすることができ、車体のロール剛性を適切に確保することができる。
また、第2のトルクボックスは、サスペンションクロスメンバに対して第1のトルクボックスよりも車両後側に離間しているため、前輪からの振動自体が伝達されにくい。つまり、第2のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動自体が小さいため、第2のトルクボックスの稜線とフロアフレームの稜線とが一致していたとしても、フロアパネルの振動にはあまり影響がない。一方で、第2のトルクボックスの稜線とフロアフレームの稜線とが一致していれば、第2のトルクボックスの剛性を高くすることができ、ロードパス性能や車体のロール剛性を向上できる。
したがって、車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪からの振動がトルクボックスに伝達されることに起因するフロアパネルの振動を出来る限り抑制することができる。
上記車両の下部車体構造では、上記第1のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記第2のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、該第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さい、ことが望ましい。
この構成により、第1のトルクボックスのフロアフレームとの当接位置における、フロアフレームの稜線と第1のトルクボックスの稜線とが、第2のトルクボックスに比べてより不一致となるため、第1のトルクボックスはフロアフレームの振動に対して、より変形しやすくなり、振動のエネルギー吸収が行われやすくなる。これにより、第1のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動の大きさを出来る限り小さくすることができる。この結果、フロアパネルの振動をさらに効果的に抑制することができる。
上記車両の下部車体構造では、上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、該第1のトルクボックスの長手方向全体に亘って、上記第2のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、該第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さい、ことが望ましい。
この構成により、第1のトルクボックスのフロアパネルに対する突出量を、該第1のトルクボックスの長手方向全体に亘って出来る限り小さくすることができるため、第1のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動の大きさを出来る限り小さくすることができる。これにより、フロアパネルの振動を一層効果的に抑制することができる。
上記車両の下部車体構造の一実施形態では、上記第1のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁と当接する。
また、上記一実施形態の場合、上記第1のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁に接合されている、という構成としてもよい。
この構成によると、フロアフレームの下壁部の振動が第1のトルクボックスに伝達されることを防止して、フロアフレームから第1のトルクボックスに伝達される振動を小さくすることができる。すなわち、第1のトルクボックスの下壁部が、フロアフレームの車幅方向の外側の側壁に当接又は接合されていることで、第1のトルクボックスの稜線が、フロアフレームの稜線に直接繋がらない構造になる。これにより、フロアフレームの振動により、第1のトルクボックスが変形しやすくなって、振動のエネルギー吸収が行われやすくなり、第1のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動の大きさを出来る限り小さくすることができる。この結果、フロアパネルの振動をより効果的に抑制することができる。
上記車両の下部車体構造の他の実施形態では、上記第2のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁と当接することなく、上記フロアフレームの下壁部に接合されている。
上述したように、フロアフレームにおける、該フロアフレームと第2のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置の部分は、フロアフレームと第1のトルクボックスとの接続部分と比較して、サスペンションクロスメンバから離れているため、第2のトルクボックスに入力される、前輪からの振動は比較的小さい。このため、第2のトルクボックスの下壁部を、フロアフレームの車幅方向の外側の側壁と当接させることなく、フロアフレームの下壁部に連結させたとしても、第2のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動は小さくて済む。一方で、第2のトルクボックスの下壁部をフロアフレームの下壁部に連結させたことにより、第2のトルクボックスの稜線をフロアフレームの稜線と一致させることができ、車両の前突時の衝突荷重に対するロードパスを適切に構成することができる。この結果、車両の前突に対する剛性についてもより適切に確保することができる。
上記車両の下部車体構造において、上記第1のトルクボックスと上記フロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値は、上記第2のトルクボックスと上記フロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きい、ことが望ましい。
すなわち、車体のロール剛性等を向上させる観点からは、相対的にサスペンションクロスメンバに近いトルクボックスである第1のトルクボックスとフロアパネルとで構成される閉断面の面積が出来る限り大きいことが望ましい。そこで、前輪からの振動がトルクボックスを介してフロアパネルに伝達されることを抑制することができる範囲で、第1のトルクボックスとフロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値を、第2のトルクボックスとフロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きくする。これにより、前輪からの振動が第1のトルクボックスを介してフロアパネルに伝達されることについては抑制しつつ、車体のロール剛性等を一層向上させることができる。
上記車両の下部車体構造において、上記フロアパネルは、上記車両の車室フロアを構成するように略水平に広がるフロアパネル本体と、該フロアパネル本体の車両前側の端部から、車両前側に向かって延びるトーボードとを有し、上記トーボードの車両後側の端部は、上記フロアパネル本体の車両前側の端部に、上下方向に重ね合わせ接合されており、上記第2のトルクボックスの車両前側の端部は、上記フロアパネル本体と上記トーボードとの接合部分に、上下方向に重ね合わせ接合されている、ことが望ましい。
この構成によると、第2のトルクボックスを利用して、フロアパネル本体とトーボードとの接合強度を向上させることができ、車体のロール剛性を向上させることができる。
また、第1のトルクボックスと第2のトルクボックスとの車両前後方向の離間距離を出来る限り大きくすることができる。これにより、第2のトルクボックスを、サスペンションクロスメンバとフロアフレームとの結合部分から出来る限り遠い位置に配設することができるため、前輪からの振動を第2のトルクボックスに伝達させにくくすることができる。これにより、前輪からの振動がフロアパネルに伝達されることを、より効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両の下部車体構造によると、第1のトルクボックスのフロアパネルに対する突出量は、フロアフレームと第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレームのフロアパネルに対する突出量より小さいため、第1のトルクボックスを介してサイドシルに伝達される振動の大きさを、該フロアフレームの振動の大きさ以下に抑えることができる。これにより、前輪からの振動がサイドシルに伝達されることが抑制され、フロアパネルの振動が抑制される。また、第1及び第2のトルクボックスによって、車体のロール剛性等については適切に確保することができる。よって、車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪からの振動がトルクボックスを介してサイドシルに伝達されることによって引き起こされるフロアパネルの振動を出来る限り抑制することができる。
本発明の実施形態に係る下部車体構造を適用した車両の前部を示す、車両左側かつ下側から見た斜視図である。 上記下部車体構造における左側のフロアフレームとの周辺を下側から見た底面図である。 図2のIII-III線で切断した断面図である。 図2のIV-IV線で切断した断面図である。 図2のV-V線で切断した断面図である。 図2のVI-VI線で切断した断面図である。 図2のVII-VII線で切断した断面図である。
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では、車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
図1は、本発明の実施形態1に係る下部車体構造を適用した車両1の前部を示す。この車両1の前部には、車両1の前輪(図示省略)を駆動するエンジン(図示省略)及びトランスミッション(図示省略)を配設するためのエンジンルーム2が設けられている。エンジンは、該エンジンルーム2内に横置きされており、上記トランスミッションはエンジンユニットの左側に配設される。
エンジンルーム2の車幅方向の両側端部には、左右一対のフロントサイドフレーム3が前後方向に延びるように配設されている。上記エンジンは、これら左右のフロントサイドフレーム3の間に配設される。各フロントサイドフレーム3の後部は、その高さ位置が後側に向かって徐々に低くなるキック部3a(図1では、右側のサイドフレーム3のキック部3aは後述のサスペンションクロスメンバ8と重なって見えていない)とされており、このキック部3aと対応する前後位置には、エンジンルーム2と車室とを仕切るダッシュパネル4が設けられている。尚、各フロントサイドフレーム3の後側の端部には、後述するフロアフレーム21がそれぞれ接合されている。
各フロントサイドフレーム3には、フランジ3bがそれぞれ形成されており、各フランジ3bには、前側端部がバンパービーム6に連結されるクラッシュカン5の後側端部が締結される。クラッシュカン5の前側端部は、車幅方向に延びるバンパービーム6によって連結されている。
車両1の前部における、各フロントサイドフレーム3よりも下方でかつフロントサイドフレーム3の各キック部3aと略同じ前後位置には、左右の上記前輪をそれぞれ支持する左右一対の前輪サスペンションアーム7と、車幅方向に延びかつ各サスペンションアーム7を支持するサスペンションクロスメンバ8(以下省略して、サスクロス8という)とが配設されている。
サスクロス8は、底面視でX字形状をなしており、このサスクロス8の左後側端部及び右後側端部に、左右のサスペンションアーム7の後側端部がそれぞれ取付支持されている。これにより、各サスペンションアーム7を介して上記前輪がサスクロス8にそれぞれ支持される。サスクロス8の左前側端部及び右前側端部には、車幅方向の外側かつ上側へ向かって延びる上方延設部8a(図1では、右側の上方延設部8aは右側のサスペンションアーム7と重なって見えていない)がそれぞれ設けられており、左右の上方延設部8aは、左右のフロントサイドフレーム3の下面にそれぞれ固定されている。これにより、サスクロス8と左右のフロントサイドフレーム3とが連結される。
サスクロス8の左前側端部及び右前側端部からは、前側に向かって前方延設部9がそれぞれ延びている。左右の前方延設部9の前側端部における車幅方向の内側面同士は、車幅方向に延びるフロントクロスメンバ10によって連結されている。また、各前方延設部9の前端には、結合部材15を介して、歩行者保護用のスティフナー11が前側に突出するように固定されている。さらに、左右の前方延設部9の前側端部と左右のフロントサイドフレーム3の前側端部とは、上下に延びるラバーマウントを介して連結されている。
各前輪サスペンションアーム7は、前側に向かうに連れて車幅方向の外側に位置するように湾曲しており、各前輪サスペンションアーム7の前側かつ車幅方向の外側の端部に、ホイールハブ51がハブキャリア50を介してそれぞれ結合されている。このホイールハブ51にハブボルトを介して上記左右の前輪がそれぞれ接続される。
左右のハブキャリア50には左右のショックアブソーバ13のロッド13aの下側端部がそれぞれ結合されており、各ショックアブソーバ13に対応する位置には、左右のサスペンションタワー14(図1では、左側のサスペンションタワー14のみを示している)が設けられている。このサスペンションタワー13は、ホイールハウスパネルと協働して、上記前輪が配置されるホイールハウスを形成する。左右のサスペンションタワー14は、左右のフロントサイドフレーム3にそれぞれ固定され、左右のサスペンションタワー14の上側端部は、左右のフロントサイドフレーム5よりも上側に配設された左右のエプロンメンバ16(図1では、左側のエプロンメンバ16のみを示している)にそれぞれ固定されている。左右のエプロンメンバ16の後側端部は左右のヒンジピラー80の上側端部におけるそれぞれ接合されている。詳しくは後述するが、該左右のヒンジピラー80の下側端部は後述する左右のサイドシル22にそれぞれ接合されている。
上述したように、左右のフロントサイドフレーム3の各キック部3aと対応する前後位置には、エンジンルーム2と車室とを仕切るダッシュパネル4が設けられている。ダッシュパネル4は、車両1の車幅方向全体に亘って延びている。ダッシュパネル4は左右のフロントサイドフレーム3と接合されている。ダッシュパネル4の、フロントサイドフレーム3よりも左側及び右側の各部分において、当該部分の下側端部には、フロアパネル30を構成する左右のトーボード32がそれぞれ配設されている。
フロアパネル30は、車両1の車室フロアを構成するように略水平に広がりかつ車幅方向に離間した左右一対のフロアパネル本体31と、該フロアパネル本体31の前側端から、前側に向かって上方に傾斜するように延びる左右一対のトーボード32とを有し、該トーボード32の上側端部がダッシュパネル4の下側端部に接合されている。
左右のフロアパネル本体31と左右のトーボード32は、左側同士及び右側同士でそれぞれ溶接により接合されている。具体的には、図7に示すように、フロアパネル本体31の前側端部の下にトーボード32の後側端部が重ね合わされて、フロアパネル本体31の前側端部とトーボード32の後側端部とが溶接により上下方向に重ね合わせ接合されている。左右のトーボード32とダッシュパネル4とは、それぞれ溶接によって接合されている。
フロアパネル30における左右のトーボード32の車幅方向の内側の端部同士は、上記エンジンの排気管が通るトンネル部を構成するフロントトンネルパネル41によって連結されている。該フロントトンネルパネル41の上側端部は、ダッシュパネル4の下側端部に接合されている。また、左右のフロアパネル本体31の車幅方向の内側の端縁部同士は、上記トンネル部を構成するフロアトンネルパネル42によって連結されている。フロアトンネルパネル42の前側端部はフロントトンネルパネル41の後側端部に接合されている。このように、本実施形態では、左右のフロアパネル本体31、左右のトーボード32、フロントトンネルパネル41及びフロアトンネルパネル42によってフロアパネル30が構成されている。尚、左右のトーボード32とフロントトンネルパネル41、フロントトンネルパネル41とダッシュパネル4、左右のフロアパネル本体31とフロアトンネルパネル42、及びフロアトンネルパネル42とフロントトンネルパネル41とは溶接により接合されている。
本実施形態では、フロアパネル30には、下部車体の構成部材として、前後方向の延びる左右一対のフロアフレーム21と、左右のフロアフレーム21の車幅方向の内側の壁部(後述するフレーム内側壁部21a)にそれぞれ接合されかつフロアトンネルパネル42の左右の端部に沿って前後方向に延びる左右一対のトンネルフレーム23と、前後方向に延びかつフロアパネル30における左右一対のフロアフレームよりも車幅方向の外側の部分に取り付けられる左右一対のサイドシル22と、左側及び右側に複数ずつ設けられかつ左右一対のフロアフレーム21と左右一対のサイドシル22とを、左側同士及び右側同士でそれぞれ連結するトルクボックス60とが取り付けられている。
以下、フロアパネル30(フロアパネル本体31及びトーボード32)に取り付けられる下部車体の構成部材について詳細に説明する。尚、本実施形態に係る下部車体構造は左右対称に構成されているため、以下の説明では、フロアパネル30におけるフロアトンネルパネル42よりも左側の部分に取り付けられる構成部材についてのみ説明し、フロアパネル30おけるフロアトンネルパネル42よりも右側の部分に取り付けられる構成部材については詳細な説明を省略する。また、以下の説明では、左右両方に設けられている部材(フロアフレーム21など)については、左側に設けられているものを指す。
フロアフレーム21は、図1及び図2に示すように、フロアパネル本体31及びトーボード32の下面における車幅方向の中間部分に溶接により接合されている。フロアフレーム21における、トーボード32と接合される部分は、図1及び図4に示すように、トーボード32の形状に沿って、前側に向かって上側に傾斜しながら延びる傾斜部211となっており、フロアフレーム21における、フロアパネル本体31と接合される部分は、図2に示すように、前後方向に水平にかつ後側に向かって僅かに左側(車幅方向の外側)に向かって傾斜して延びている。
フロアフレーム21は、上側に開口する断面U字状をなしており、フロアパネル30と協働して前後方向に延びる閉断面空間を構成している。フロアフレーム21は、車幅方向の内側(つまり右側)に位置するフレーム内側側壁部21aと、該フレーム内側側壁部21aと車幅方向に相対向するように車幅方向の外側(つまり左側)に位置するフレーム外側側壁部21bと、該フレーム内側側壁部21aの下端と該フレーム外側側壁部21bの下端とを連結するフレーム下壁部21cとを有している。
図3、図5及び図6に示すように、フレーム内側側壁部21aの上側端部及びフレーム外側側壁部21bの上側端部からは、それぞれフロアパネル30の下面に溶接されるフレーム溶接代212dが延びている。右側のフレーム溶接代21dは、フレーム内側側壁部21aの上側端部から右側に向かって延びている一方、左側のフレーム溶接代21dは、フレーム外側側壁部21bの上側端部から左側に向かって延びている。
フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量は、前側の方が後側と比較して小さくなっている。具体的には、図4に示すように、フロアフレーム21のトーボード32に接合される部分における、該トーボード32に対する突出量は、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分と略同じ前後位置では、フロアフレーム21のフロアパネル本体31に接合される部分における、該フロアパネル本体31に対する突出量である第1フレーム突出量H1と同程度であるが、傾斜部211に対応する部分におけるフロアフレーム21のトーボード32に対する突出量である第2フレーム突出量H2は、上記第1フレーム突出量H1よりも小さくなっている。これにより、フロアフレーム21と後述の第1のトルクボックス61との接続部分と同じ前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30(厳密にはトーボード32)に対する突出量(第2フレーム突出量H2に相当)は、フロアフレーム21と後述の第2のトルクボックス62との接続部分と同じ前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)に対する突出量(第1フレーム突出量H1に相当)よりも小さくなっている。
フロアフレーム21の前側端部は、図3に示すように、サスマウント18を介して、サスクロス8の左側かつ後側の部分に結合されている。より詳しくは、フロアフレーム21の前側端部は、サスクロス8におけるサスペンションアーム7の取付部と同じ前後及び左右位置において、前輪サスペンションアーム7をサスクロス8に取り付けるためのボルト100によって、サスマウント18を介して、サスクロス8に結合されている。
サスマウント18は、図3に示すように、断面U字状をなしており、サスマウント18のU字開口から、フロアフレーム21の下部がサスマウント18の内側に入り込んでいる。詳しくは、サスマウント18の内側側壁部18aの上部とフロアフレーム21のフレーム内側側壁部21aの下部とが車幅方向に重複しかつサスマウント18の外側側壁部18bの上部とフロアフレーム21のフレーム外側側壁部21bの下部とが車幅方向に重複するとともに、フロアフレーム21のフレーム下壁部21cとサスマウント18の下壁部18cとが上下に離間するように、フロアフレーム21がサスマウント18に対して配置されている。サスマウント18の内側側壁部18aとフレーム内側側壁部21a、及びサスマウント18の外側側壁部18bとフレーム外側壁部21bとは、それぞれ溶接により接合されている。
サスマウント18の下壁部18cにおける上面には、上下方向に延びるウェルドナット70が溶接されている。サスマウント18の下壁部18cにおけるウェルドナット70の孔部70aに対応する部分には、該孔部70aと上下に連通するサスマウント側孔部18dが開孔している。フロアフレーム21のフレーム下壁部21cにおける前側端部には、フロアフレーム21がサスマウント18内に配置されたときに、ウェルドナット70の上側端部が挿通するフレーム側孔部21eが開孔されている。
一方で、サスクロス8内におけるサスマウント18に対応する位置は、図2に示すように、サスペンションアーム7の後側端部が位置している。図3に示すように、サスペンションアーム7の後側端部には、サスペンションブッシュ90が設けられている。サスペンションブッシュ90は、サスペンションアーム7の後側端部に固定された外筒91と、該外筒91の内側に該外筒91と同軸に配置されかつボルト100が挿通される内筒92と、外筒91と内筒92との間に配置される弾性部材93とを有している。内筒92は、図3に示すように、サスクロス8の上面部及び下面部に固定されている。
サスクロス8における内筒92の筒内部に対応する部分には、該筒内部と上下に連通するサスクロス側孔部8bがそれぞれ開孔している。
実際に、フロアフレーム21をサスクロス8に固定するときには、先ず、ウェルドナット70の孔部70aと、内筒92の筒内部とが上下に連通するように、サスクロス8をサスマウント18の下側に配置する。次いで、ボルト100を、サスクロス8の下側から、内筒92に沿ってウェルドナット70に向かって挿通させるとともに、ウェルドナット70に締結させる。これにより、フロアフレーム21がサスマウント18を介してサスクロス8に結合されて、左右のフロアフレーム21の前側端部同士がササスクロス8によって連結される。また、これと同時に、サスペンションアーム7がサスクロス8に取り付けられる。
本実施形態では、サスクロス8とフロアフレーム21とは、サスマウント18によって連結される他、ガセット部材19によっても連結されている。具体的には、図2に示すように、ガセット部材19の前側端部は、サスクロス8の左側かつ後側の部分、すなわち、サスクロス8におけるサスペンションアーム7の取付部の近傍部分にボルト101によって固定されている。一方で、ガセット部材19の後側端部は、ガセット部材19とサスクロス8との結合部分から後側に向かって僅かに左側に傾斜して延びた後、フロアフレーム21のフレーム下壁部21cにボルト102によって固定されている。ガセット部材19の後側端部とフレーム下壁部21cとの接合位置は、後述する第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62との間の位置に位置する。つまり、ガセット部材19は、サスクロス8と、フロアフレーム21における、第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62との間の部分とを連結している。
サスクロス8におけるボルト101が締結される位置には、図4に示すように、サスクロス8内にウェルドナット71が設けられており、フロアフレーム21におけるボルト102が締結される位置には、フロアフレーム21の閉断面空間内にウェルドナット72が設けられている。
フロアパネル30におけるフロアフレーム21が取り付けられた部分において、フロアパネル30のフロアフレーム21と反対側の面(つまり上面)には、車両前突時等の荷重に対するフロアフレーム21の剛性を向上させるための補強部材212が設けられている。
上記トンネルフレーム23は、フレーム内側側壁部21aにおけるサスクロス8の後側端よりも僅かに後側の部分に接合されている。トンネルフレーム23は、フレーム内側側壁部21aとの接合部から右側に向かって後側に湾曲して延びた後、フロアトンネルパネル42の左側の端部に沿って前後方向に延びている。
トンネルフレーム23は、図6に示すように、フロアフレーム21と同様に、上側に開口する断面U字状をなしており、フロアパネル30と協働して閉断面空間を構成している。具体的には、トンネルフレーム23における湾曲した部分は、トーボード32と接合されて、トーボード32と協働して閉断面空間を構成する。一方で、トンネルフレーム23におけるフロアトンネルパネル42に沿って延びる部分は、右側の側壁部の上側端部がフロアトンネルパネル42(厳密には、フロアトンネルパネル42とフロアパネル本体31との接合部)に接合される(図6参照)一方、左側の側壁部の上側端部がフロアパネル本体31に接合されて、フロアパネル本体31と協働して閉断面空間を構成する。
上記サイドシル22は、図5及び図6に示すように、前後方向に延びる閉断面空間を構成しており、右側(車幅方向の内側)に配置されるサイドシルインナ221と、該サイドシルインナ22aに左側(車幅方向の外側)から結合されるサイドシルアウタ222とを有している。
サイドシルインナ221は、左側に開口する断面U字状をなしており、インナ側上壁部221aと、該インナ側上壁部221aと上下に相対向するインナ側下壁部221bと、インナ側上壁部221aの右側端部とインナ側下壁部221bの車幅方向の右側端部とを連結するインナ側側壁部221cとを有している。インナ側上壁部221a及びインナ側下壁部221bの左側の端部には、それぞれインナ側溶接代221dが形成されており、上側のインナ側溶接代221dは、インナ側上壁部221aの左側端部から上側に延びており、下側のインナ側溶接代221dは、インナ側下壁部221bの左側端部から下側に延びている。サイドシルインナ221の上下のインナ側溶接代221dの前側の部分は、図5に示すように、後述するヒンジピラーインナパネル83の右側側面に溶接により接合される。
インナ側側壁部221cは、図5及び図6に示すように、トーボード32及びフロアパネル本体31の左側端部(車幅方向の外側の端部)に溶接によって接合されており、これにより、サイドシル22がフロアパネル30に取り付けられる。
インナ側下壁部221aは、図5及び図6に示すように、インナ側側壁部221cとフロアパネル30とが接合された状態で、フロアフレーム21のフレーム下壁部21cよりも上側に位置するようになっている。
また、インナ側上壁部221aには、図5に示すように、ヒンジピラーインナパネル81を補強するための第1の補強部材84が溶接により接合されている。
サイドシルアウタ222は、右側に開口する断面U字状をなしており、アウタ側上壁部222aと、該アウタ側上壁部222aと上下に相対向するアウタ側下壁部222bと、アウタ側上壁部222aの左側端部とアウタ側下壁部222bの左側端部とを連結するアウタ側側壁部222cとを有している。アウタ側上壁部222a及びアウタ側下壁部222bの右側端部には、それぞれアウタ側溶接代222dが形成されており、上側のアウタ側溶接代222dは、アウタ側上壁部222aの右側端部から上側に延びており、下側のアウタ側溶接代222dは、アウタ側下壁部222bの右側端部から下側に延びている。サイドシルアウタ222の上下のアウタ側溶接代222dの前側の部分は、図5に示すように、ヒンジピラーインナパネル81の左側側面に溶接により接合される。
アウタ側側壁部222cの上側の部分には、図5及び図6に示すように、ヒンジピラーインナパネル81を補強するための第2の補強部材85が溶接され、該第2の補強部材85お左側の面には、ヒンジピラー80の構成要素であるヒンジピラーレインフォースメント83(以下、ヒンジピラーレイン83という)が溶接されている。第2の補強部材85は、図5に示すように、上下方向の中間部分で右側に折り曲げられた後、ヒンジピラーインナパネル81に沿って、上側に向かって曲げられており、該上側に折り曲げられた部分は、後述するように、ヒンジピラーインナパネル81にボルト103によって接合されている。
ヒンジピラーレイン83は、図5及び図6に示すように、ヒンジピラー80の構成要素であるヒンジピラーアウタパネル82に、左側(つまり、車幅方向の外側)から覆われている。ヒンジピラーアウタパネル82の下側端部は、第2の補強部材85とアウタ側側壁部222cとの接合部分に溶接されている。
図5に示すように、ヒンジピラーインナパネル81の下側の部分は、上下のインナ側溶接代221dと上下のアウタ側溶接代222dとで、車幅方向に挟まれており、ヒンジピラーインナパネル83の当該部分には、該インナ側溶接代221dと該アウタ側溶接代222dとがそれぞれ溶接により接合されている。これにより、ヒンジピラーインナパネル81における下側の部分が、サイドシル22の前側の部分、具体的には、ヒンジピラー80(図1参照)と同じ前後位置の部分によって補強されている。
また、図5に示すように、第1の補強部材84の上側端部と、第2の補強部材85の上側端部と、ヒンジピラーインナパネル81とは、ボルト103によって、車幅方向に重ね合わせ接合されている。
サイドシルインナ221の上下のインナ側溶接代221dとサイドシルアウタ222の上下のアウタ側溶接代222dとは、上述したように、ヒンジピラーインナパネル83と同じ前後位置の部分は、ヒンジピラーインナパネル83に溶接により接合されている一方、ヒンジピラーインナパネル83よりも後側の部分は、図6に示すように、上側のインナ側溶接代221dと上側のアウタ側溶接代222d同士、及び下側のインナ側溶接代221dと下側のアウタ側溶接代222d同士で車幅方向に重ね合わされて、溶接により接合されている。
本実施形態では、複数のトルクボックス60は、フロアフレーム21とトンネルフレーム23との接合部分と略同じ前後位置に配設されかつ車幅方向に延びる第1のトルクボックス61と、該第1のトルクボックス61に対して後側に離間しかつ該第1のトルクボックス61と平行に延びる第2のトルクボックス62とを含んでいる。第1及び第2のトルクボックス61,62は、図2に示すように、フロアフレーム21のフレーム外側側壁部21bとサイドシルインナ221のインナ側側壁部221cとを車幅方向に連結するように、車幅方向に沿って延びている。
第1のトルクボックス61は、図7に示すように、上側に開口する断面U字状をなしており、トーボード32と協働して車幅方向に延びる閉断面空間を構成している。第1のトルクボックス61は、第1ボックス側前壁部61aと、該第1ボックス側前壁部61aの後側かつ斜め下側に位置しかつ該第1ボックス側前壁部61aに相対向する第1ボックス側後壁部61bと、第1ボックス側前壁部61aの下側端部と第1ボックス側後壁部61bの下側端部とを連結する第1ボックス側下壁部61cとを有している。第1ボックス側前壁部61a及び第1ボックス側後壁部61bの上側端部には、フロアパネル30(厳密にはトーボード32)の下面に溶接される第1ボックス側溶接代61dが設けられている。前側の第1ボックス側溶接代61dは、第1ボックス側前壁部61aの上側端部から前側に延びており、後側の第1ボックス側溶接代61dは、第1ボックス側後壁部61bの上側端部から後側に延びている。前後の第1ボックス側溶接代61dは、それぞれトーボード32に溶接により接合される。尚、詳細には示していないが、第1ボックス側前壁部61aの左側端部及び右側端部、並びに第1ボックス側後壁部61bの左側端部及び右側端部にも溶接代がそれぞれ設けられており、各左側の溶接代はフロアフレーム21のフレーム外側側壁部21bに接合される一方、各右側の溶接代はサイドシルインナ221のインナ側側壁部221cに接合されている。
第1のトルクボックス61の第1ボックス側下壁部61cは、左側端部が、サイドシルインナ221のインナ側下壁部221bに溶接により接合され、インナ側下壁部221bとの接合部分からフロアフレーム21に向かって、インナ側下壁部221bと略同じ高さで、右側に真っ直ぐ延びた後、フロアフレーム21のフレーム外側側壁部21bと当接する。第1ボックス側下壁部61cの右側端部(つまり、第1ボックス側下壁部61cとフレーム外側側壁部21bとの当接部分)からは、フレーム下壁部21cに接合される第1ボックス側内側接合部61eが延びている。第1ボックス側内側接合部61eは、第1ボックス側下壁部61cの右側端部からフレーム外側側壁部21bに沿って下側に延びて、フレーム下壁部21cと略同じ高さ位置で、該フレーム下壁部21cに沿って右側(車幅方向の内側)に延びている。そして、第1ボックス側内側接合部61eにおけるフレーム下壁部21cに沿って延びた部分が、該フレーム下壁部21cに溶接により接合される。尚、第1ボックス側下壁部61cは、厳密に右側に向かって真っ直ぐに伸びている必要はなく、第1ボックス側下壁部61cにおける車幅方向の中間部分に凹凸が形成されていてもよい。
第1ボックス側下壁部61cが、インナ側下壁部221bとの接合部分からフロアフレーム21に向かって、インナ側下壁部221bと略同じ高さで、右側に真っ直ぐ延びていることにより、第1ボックス側下壁部61cは、フレーム下壁部21cよりも上側に位置するようになる。つまり、第1のトルクボックス61のフロアパネル30(厳密にはトーボード32)に対する突出量H3(図7参照)、詳しくは、第1のトルクボックス61の、トーボード32の延びる方向に対して垂直な方向の突出量H3は、第1のトルクボックス61の長手方向の全体に亘って、フロアフレーム21と第1のトルクボックス61との接続部分と同じ前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30(厳密にはトーボード32)に対する突出量(第2フレーム突出量H2)よりも小さくなっている。尚、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量H3には、第1ボックス側内側接合部61eの部分におけるフロアパネル30に対する突出量は含まない。
第2のトルクボックス62は、図7に示すように、上側に開口する断面U字状をなしており、フロアパネル本体31と協働して車幅方向に延びる閉断面空間を構成している。第2のトルクボックス62は、第2ボックス側前壁部62aと、該第2ボックス側前壁部62aと前後に相対向する第2ボックス側後壁部62bと、第2ボックス側前壁部62aの下側端部と第2ボックス側後壁部62bの下側端部とを連結する第2ボックス側下壁部62cとを有している。第2ボックス側前壁部62a及び第1ボックス側後壁部62bの上側端部には、フロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)の下面に溶接される第2ボックス側溶接代62dがそれぞれ設けられている。前側の第2ボックス側溶接代62dは、第2ボックス側前壁部62aの上側端部から前側に延びており、後側の第2ボックス側溶接代62dは、第2ボックス側後壁部61bの上側端部から後側に延びている。尚、詳細には示していないが、第2ボックス側前壁部62aの左側端部及び右側端部、並びに第2ボックス側後壁部62bの左側端部及び右側端部にも溶接代が設けられており、各左側の溶接代はフロアフレーム21のフレーム外側側壁部21bに接合される一方、各右側の溶接代はサイドシルインナ221のインナ側側壁部221cに接合されている。
前側の第2ボックス側溶接代62dは、図7に示すように、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分に下側から重ね合わされて、当該接合部分に、溶接により上下方向に重ね合わせ接合されている。つまり、第2のトルクボックス62の前側端部に相当する、前側の第2ボックス側溶接代62dが、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分に、上下方向に重ね合わせ接合されている。これにより、フロアパネル本体31とトーボード32と前側の第2ボックス側溶接代62dとが上下に3枚接合された状態となる。後側の第2ボックス側溶接代62dは、フロアパネル本体31に溶接により接合される。
尚、第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62とが、前後方向に離間できさえすれば、後側の第2ボックス側溶接代62dが、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分に重ね合わせ接合されていてもよい。ただし、後述するように、第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62とを出来る限り離間させて、フロアフレーム21から第2のトルクボックス62に伝達される振動を小さくするという観点からは、前側の第2ボックス側溶接代62dが、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分に重ね合わせ接合されていることが望ましい。
第2のトルクボックス62の第2ボックス側下壁部62cは、図6に示すように、左側端部が、サイドシルインナ221のインナ側下壁部221bに溶接により接合され、インナ側下壁部221bとの接合部分からフロアフレーム21のフレーム下壁部21cに向かって下側に傾斜して延びている。そして、第2ボックス側下壁部62cの右側端部に設けられた第2ボックス側内側接合部62eがフレーム下壁部21cに溶接により接合されている。つまり、第2ボックス側下壁部62cは、フレーム外側側壁部21bと当接することなく、フレーム下壁部21cに接合されている。
第2ボックス側下壁部62cがインナ側下壁部221bとの接合部分からフロアフレーム21のフレーム下壁部21cに向かって下側に傾斜して延びた後、第2ボックス側内側接合部62eを介してフレーム下壁部21cに連結されていることにより、第2のトルクボックス62のフロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)に対する突出量は、第2のトルクボックス62の長手方向の全体に亘って、フロアフレーム21と第2のトルクボックス61との接続部分と同じ前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)に対する突出量(第1フレーム突出量H1)以下となる。尚、第2のトルクボックス62のフロアパネル30に対する突出量には、第2ボックス側内側接合部62eの部分におけるフロアパネル30に対する突出量は含まない。
上述したように、第1のトルクボックス61の第1ボックス側下壁部61cは、インナ側下壁部221bと略同じ高さで右側に真っ直ぐ延びる一方、第2のトルクボックス62の第2ボックス側下壁部62cは、インナ側下壁部221bとの接合部分からフロアフレーム21のフレーム下壁部21cに向かって下側に傾斜して延びるため、図5、図6及び図7に示すように、第1のトルクボックス61のフロアパネル30(厳密には、トーボード32)に対する突出量H3(図7参照)、詳しくは、第1のトルクボックス61の、トーボード32の延びる方向に対して垂直な方向の突出量H3は、第1のトルクボックス61の長手方向の全体に亘って、第2のトルクボックス62のフロアパネル30(厳密には、フロアパネル本体32)に対する突出量以下の大きさになる。より具体的には、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量H3は、第1のトルクボックス61の長手方向の全体に亘って、第2のトルクボックス62のサイドシルインナ61との当接位置における、該第2のトルクボックス62のフロアパネル30に対する突出量H4(図6参照)とは同程度である一方、第2のトルクボックス62のフロアフレーム21との当接位置における、該第2のトルクボックス62のフロアパネル30に対する突出量(第1フレーム突出量H1と同程度)よりも小さくなっている。
一方で、図2及び図7に示すように、第1のトルクボックス61は、第1のトルクボックス61の短手方向の長さが、第2のトルクボックス62の短手方向の長さよりも長くなるように構成されている。より詳しくは、第1のトルクボックス61は、第1のトルクボックス61の開口の短手方向の長さW1と第1ボックス側下壁部61cの短手方向の長さW2との平均の幅が、第2のトルクボックス62の開口の短手方向の長さW3と第2ボックス側下壁部62cの短手方向の長さW4との平均の幅よりも大きくなるように構成されている。このことにより、第1のトルクボックス61とフロアパネル30(厳密にはトーボード32)とで構成される閉断面の面積の最大値は、第2のトルクボックス62とフロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)とで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きくなるようになっている。すなわち、第1のトルクボックス61の短手方向の長さは、第1のトルクボックス61とフロアパネル30とで構成される閉断面の面積の最大値が、第2のトルクボックス62とフロアパネル30とで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きくなるような幅に設定されている。尚、詳しくは後述するが、第1のトルクボックス61とフロアパネル30とで構成される閉断面の面積が大きすぎると、上記前輪からの振動がフロアパネル30に伝達されやすくなってしまうため、上記閉断面の面積は、上記前輪からの振動が第1のトルクボックス61を介してフロアパネル30に伝達されることを抑制することができる範囲で大きくされている。
さらに、本実施形態では、第1のトルクボックス61の短手方向の長さ(つまり、第1のトルクボックス61の開口の短手方向の長さW1と第1ボックス側下壁部61cの短手方向の長さW2との平均の長さ)は、第1のトルクボックス61とフロアパネル30とで構成される閉断面の面積の平均値が、第2のトルクボックス62とフロアパネル30とで構成される閉断面の面積の平均値よりも大きくなるような長さに設定されている。
本実施形態において、フロアパネル30の左側の部分に取り付けられる下部車体の構成部材は、上述のように構成されている。フロアパネル30の右側の部分に取り付けられる下部車体の構成部材は、上述した、フロアパネル30の左側の部分に取り付けられる下部車体の構成部材と左右対称になるように構成されている。
ここで、従来の下部車体構造を有する車両では、車両の走行時に、上記エンジンからの振動や左右の上記前輪からの振動がフロアパネル30に伝達されて、フロアパネル30が振動することがあった。これは、上記前輪の振動が、前輪サスペンションアーム7等から、フロアフレーム21に伝達されて、該フロアフレーム21が振動し、このフロアフレーム21の振動によってトルクボックス60も振動し、該トルクボックス60の振動によってサイドシル22が振動して、そして、該サイドシル22の振動がフロアパネル30に伝達されるためである。
また、従来は、車体の剛性を高くするために、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量を、フロアフレーム21と第1のトルクボックス61との接続部分と同じ車両前後位置における、該フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量と同じにして、フロアフレーム21の稜線と第1のトルクボックス61の稜線とを一致させていた。しかし、フロアフレーム21の稜線と第1のトルクボックス61の稜線とが一致すると、第1のトルクボックス61の剛性が高くなり過ぎて、フロアフレーム21のフレーム下壁部21cからの振動をそのままサイドシル22に伝達してしまうため、フロアパネル30に前輪からの振動が伝達されやすくなる。
上述のようなフロアパネル30の振動は、振動自体が上記車両の乗員に不快感を与えてしまうことに加えて、上記車両の車室内の空気を振動させて騒音を引き起こす原因となるため、NVH(Noise Vibration Harshness)の問題を顕著にする。
トルクボックス60のサイズを小さくして、トルクボックス60を介してサイドシル22に伝達される振動を小さくすることで、フロアパネル30の振動を抑えることが考えられるが、トルクボックス60のサイズを小さくすると、車体のロール剛性や前突に対する剛性が低下するおそれがある。
したがって、車体のロール剛性等を低下させることなく、上記前輪からの振動がフロアパネル30に伝達されることを出来る限り抑制することができるように、トルクボックス60を構成することが求められている。
そこで、本実施形態では、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量H3を、フロアフレーム21と第1のトルクボックス61との接続部分と同じ前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量よりも小さくした。
これにより、フロアフレーム21の稜線と第1のトルクボックス61の稜線とが一致する場合に比べて、第1のトルクボックス61の剛性が低くなるため、第1のトルクボックス61はフロアフレーム21の振動により変形しやすくなる。この結果、第1のトルクボックス61によって、振動のエネルギーの吸収が行われるため、第1のトルクボックス61を介してサイドシル22に伝達される振動の大きさは、該フロアフレーム21の振動の大きさ以下に抑えられる。したがって、サイドシル22に伝達される前輪からの振動を出来る限り抑えることができ、延いてはフロアパネル30の振動を抑えることができる。
また、車両左側及び右側のそれぞれにおいて、第1のトルクボックス61と、該第1のトルクボックス61に対して後側に離間して配設された第2のトルクボックス62と含んでいるため、車両1の前突時には、第1及び第2のトルクボックス61,62がロードパスとなって、フロアフレーム21からサイドシル22へ前突による荷重を適切に伝達することができようになり、車両1の前突に対する剛性を適切に確保することができる。さらに、車両1の前突時の荷重を、第1及び第2のトルクボックス61,62で分散して、フロアフレーム21からサイドシル22へ伝達することができるため、第1及び第2のトルクボックス61,62自体の大きさを比較的小さくしたとしても、車両1の前突に対する剛性については適切に確保することができる。これにより、フロアフレーム21からサイドシル22へ、上記前輪からの振動が伝達されることをさらに抑制することができる。
さらに、トルクボックス60が、第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62と含んでいるため、車体の捻れ、特に車体のロール方向の捻れに対する剛性を高くすることができ、車体のロール剛性を適切に確保することができる。
また、第2のトルクボックス61は、サスクロス8に対して第1のトルクボックス61よりも後側に離間しているため、上記前輪からの振動自体が伝達されにくい。つまり、第2のトルクボックス62を介してサイドシル22に伝達される振動自体が小さいため、本実施形態のように、第2ボックス側下壁部62cが、フレーム外側側壁部21bと当接することなく、フレーム下壁部21cに接合されるようにして、第2のトルクボックス62の稜線とフロアフレーム21の稜線とが一致していたとしても、フロアパネル30の振動にはあまり影響がない。一方で、第2のトルクボックス62の稜線とフロアフレーム21の稜線とが一致していることにより、第2のトルクボックス62の剛性を高くすることができ、ロードパス性能や車体のロール剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第2のトルクボックス62は、第1のトルクボックス61に対して後側に離間して配設されているため、フロアフレーム21、サイドシル22、第1のトルクボックス61及び第2のトルクボックス62によって、枠が形成される。これにより、車体の捻れ、特に左右方向の捻れに対する剛性を高くすることができ、車体のロール剛性を適切に確保することができる。
したがって、車体のロール剛性等を低下させることなく、上記前輪からの振動がトルクボックス60に伝達されることに起因するフロアパネル30の振動を抑制することができる。
また、本実施形態では、フロアフレーム21とサイドシルインナ221とを車幅方向に連結する第1及び第2のトルクボックス61,62を、車幅方向に沿って真っ直ぐに延びるように配設している。これにより、車体の捻れ、特に車体のロール方向の捻れに対して、フロアフレーム及びサイドシルを変位し難くすることができ、車体のロール剛性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、第1のトルクボックス61は、フロアフレーム21とトンネルフレーム23との接合部分と略同じ前後位置に配設されているため、当該前後位置では、フロアフレーム21は、トンネルフレーム23と第1のトルクボックス61とで車幅方向に挟まれた状態となる。このことにより、フロアフレーム21における、第1のトルクボックス61との接合部分と略同じ前後位置の部分は、第1のトルクボックス61とトンネルフレーム23とで、上記ロール方向の捻れが抑えられるようになる。この結果、車体のロール剛性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、第2のトルクボックス62の前側の第2ボックス側溶接代62dは、フロアパネル本体31とトーボード32との接合部分に、上下方向に重ね合わせ接合されているため、第1のトルクボックス61と第2のトルクボックス62とを、前後方向に適切に離間させることができる。これにより、第2のトルクボックス62を、サスクロス8とフロアフレーム21(厳密には、フロアフレーム21)との結合部分から出来る限り遠い位置に配設することができるため、上記前輪からの振動を第2のトルクボックス62に伝達させにくくすることができる。この結果、上記前輪からの振動がフロアパネル30に伝達されることを、より効果的に抑制することができる。
さらに、フロアパネル本体31と、トーボード32と、第2ボックス側溶接代62dとが3枚接合された状態となるため、第2のトルクボックス62を利用して、フロアパネル本体31とトーボード32との接合強度を向上させることもでき、車体のロール剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1のトルクボックス61とフロアパネル30(厳密にはトーボード32)とで構成される閉断面の面積の最大値は、第2のトルクボックス62とフロアパネル30(厳密にはフロアパネル本体31)とで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きいため、上記前輪からの振動が第1のトルクボックス61を介してフロアパネル30に伝達されることを抑制することができる範囲で、つまり、上記前輪からの振動が第1のトルクボックス61を介してフロアパネル30に伝達されることについては抑制しつつ、第1のトルクボックス61自体の剛性を向上させて、車体のロール剛性等を一層向上させることができる。
したがって、本実施形態では、前後方向の延びかつフロアパネル30の下面に取り付けられる左右一対のフロアフレーム21と、車両前後方向の延びかつフロアパネル30の車幅方向の外側の端部に取り付けられる左右一対のサイドシル22と、左右のフロアフレーム21の前端部同士を連結させかつ左右の前輪サスペンションアーム7を支持するサスペンションクロスメンバ8と、左側及び右側に複数ずつ設けられかつ左右一対のフロアフレーム21と左右一対のサイドシル22とを、左側同士及び右側同士でそれぞれ連結するトルクボックス60とを備え、複数のトルクボックス60は、左側及び右側のそれぞれにおいて、第1のトルクボックス61と、該第1のトルクボックス61に対して車両後側に離間して配設される第2のトルクボックス62とを含み、フロアフレーム21は、車幅方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、フロアパネル30と協働して閉断面を構成し、第1及び第2のトルクボックス61,62は、車両前後方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、フロアパネル30と協働して閉断面を構成し、第2のトルクボックス62のフロアパネル30に対する突出量は、フロアフレーム21と第2のトルクボックス62との接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量以下であり、第1のトルクボックス61のフロアパネル30に対する突出量は、フロアフレーム21と第1のトルクボックス61との接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレーム21のフロアパネル30に対する突出量よりも小さいため、車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪の振動がトルクボックス60を介してサイドシル21に伝達されることによって引き起こされるフロアパネル30の振動を出来る限り抑制する。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、第1のトルクボックス61の第1ボックス側内側接合部61eは、フロアフレーム21のフレーム下壁部21cに接合されていたが、これに限らず、第1ボックス側内側接合部61eをフロアフレーム21の車幅方向の外側の側壁に接合させるようにしてもよい。この場合、第1ボックス側内側接合部61eをフレーム下壁部21cに接合させる必要はない。一方で、フロアフレーム21の車幅方向の外側の側壁及びフレーム下壁部21cの両方と当接していなくてもよい。この場合、第1のトルクボックス61のフロアフレーム21への接合は、第1ボックス側前壁部61aの車幅方向内側の端部及び第1ボックス側後壁部61bの車幅方向内側の端部で確保される。
また、上述の実施形態では、第2のトルクボックス62の第2ボックス側下壁部62cは、フロアフレーム21の車幅方向の外側の側壁と当接することなく、第2ボックス側内側接合部62eを介して、フレーム下壁部21cに連結されていたが、これに限らず、第2ボックス側下壁部62cとフロアフレーム21の車幅方向の外側の側壁とが当接するような構成としてもよい。この場合、第2ボックス側内側接合部62eは、フロアフレーム21の車幅方向の外側の側壁と接合させてもよく、フレーム下壁部21cと接合させてもよい。
さらに、上述の実施形態では、トルクボックス60は、車両1の左側及び右側のそれぞれにおいて、第1及び第2のトルクボックス61,62の2つずつが設けられていたが、これに限らず、車両1の左側及び右側のそれぞれにおいて、3つ以上のトルクボックスを設けるようにしてもよい。ただし、トルクボックスの数を増やした分だけ車体の重量が増加するため、車体全体の軽量化の観点からは、車両1の左側及び右側のそれぞれにおいて、トルクボックスの数を2つずつにすることが望ましい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、車両の下部車体構造として有用であり、特に、車体のロール剛性等を低下させることなく、前輪からの振動がトルクボックスに伝達されることに起因するフロアパネルの振動を抑制するための、車両の下部車体構造として有用である。
1 車両
7 前輪サスペンションアーム
8 サスペンションクロスメンバ
21 フロアフレーム
21b フレーム外側側壁部(フロアフレームの車幅方向の外側の壁部)
21c フレーム下壁部(フロアフレームの下側の壁部)
22 サイドシル
30 フロアパネル
31 フロアパネル本体
32 トーボード
60 トルクボックス
61 第1のトルクボックス
61c 第1ボックス側下壁部(第1のトルクボックスの下壁部)
62 第2のトルクボックス
62c 第2ボックス側下壁部(第2のトルクボックスの下壁部)
62d 第2ボックス側溶接代(第2のトルクボックスの車両前側の端部)
H1 第1フレーム突出量(フロアフレームと第2のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレームのフロアパネルに対する突出量)
H2 第2フレーム突出量(フロアフレームと第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、フロアフレームのフロアパネルに対する突出量)
H3 第1のトルクボックスのフロアパネルに対する突出量

Claims (8)

  1. 車両の下部車体構造であって、
    車両前後方向に延びかつフロアパネルの下面に取り付けられる左右一対のフロアフレームと、
    車両前後方向に延びかつ上記フロアパネルの車幅方向の外側の端部に取り付けられる左右一対のサイドシルと、
    上記左右のフロアフレームの前端部同士を連結させかつ左右の前輪サスペンションアームを支持するサスペンションクロスメンバと、
    車両左側及び車両右側に複数ずつ設けられ、上記左右一対のフロアフレームと上記左右一対のサイドシルとを、左側同士及び右側同士でそれぞれ連結するトルクボックスとを備え、
    上記複数のトルクボックスは、車両左側及び右側のそれぞれにおいて、第1のトルクボックスと、該第1のトルクボックスに対して車両後側に離間して配設された第2のトルクボックスとを含み、
    上記フロアフレームは、車幅方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、上記フロアパネルと協働して閉断面を構成し、
    上記第1及び第2のトルクボックスは、車両前後方向の断面が、上側に開口する断面U字状をなすとともに、上記フロアパネルと協働してそれぞれ閉断面を構成し、
    上記第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記フロアフレームと上記第2のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、上記フロアフレームの上記フロアパネルに対する突出量以下であり、
    上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記フロアフレームと上記第1のトルクボックスとの接続部分と同じ車両前後位置における、上記フロアフレームの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さいことを特徴とする車両の下部車体構造。
  2. 請求項1に記載の車両の下部車体構造において、
    上記第1のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、上記第2のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、該第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さいことを特徴とする車両の下部車体構造。
  3. 請求項1又は2に記載の車両の下部車体構造において、
    上記第1のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量は、該第1のトルクボックスの長手方向全体に亘って、上記第2のトルクボックスの上記フロアフレームとの当接位置における、該第2のトルクボックスの上記フロアパネルに対する突出量よりも小さいことを特徴とする車両の下部車体構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
    上記第1のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁に当接していることを特徴とする車両の下部車体構造。
  5. 請求項4に記載の車両の下部車体構造において、
    上記第1のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁に接合されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
    上記第2のトルクボックスの下壁部は、上記フロアフレームの車幅方向の外側の側壁と当接することなく、上記フロアフレームの下壁部に接合されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
    上記第1のトルクボックスと上記フロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値は、上記第2のトルクボックスと上記フロアパネルとで構成される閉断面の面積の最大値よりも大きいことを特徴とする車両の下部車体構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
    上記フロアパネルは、上記車両の車室フロアを構成するように略水平に広がるフロアパネル本体と、該フロアパネル本体の車両前側の端部から、車両前側に向かって延びるトーボードとを有し、
    上記トーボードの車両後側の端部は、上記フロアパネル本体の車両前側の端部に、上下方向に重ね合わせ接合されており、
    上記第2のトルクボックスの車両前側の端部は、上記フロアパネル本体と上記トーボードとの接合部分に、上下方向に重ね合わせ接合されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
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