JP2019048781A - 抗菌剤、ならびにそれを用いた成形体用組成物および架橋性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂材料及びゴム材料との相溶性に優れ、かつ、優れた抗菌性を有する抗菌剤の提供。【解決手段】式(1)で表されるカチオン性基を操り返し単位として有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤。該抗菌剤は、抗カビ性及び/又は抗ウィルス性をも有することが好ましい。前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤。(A+はカチオン性基又はカチオン性基含有基;X−は任意の対イオン;Rは非イオン性基;nは2以上の整数;mは0以上の整数;n+mは5〜1000の整数)【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂材料およびゴム材料との相溶性に優れ、かつ、優れた抗菌性を有する抗菌剤、ならびに、このような抗菌剤を用いてなる成形体用組成物および架橋性組成物に関する。
家具、家電製品、調理用機器、医療機器等の物品および建築物の内装用部材等においては、清潔な環境を保つために、物品表面に対する細菌やカビ、ウィルス等の付着や、付着した細菌やカビ、ウィルス等の繁殖を防ぐことができる抗菌性の付与が求められている。
特に、院内感染が問題となる医療現場において、細菌やカビ、ウィルス等の増殖を抑制することは重要である。たとえば、医療現場においては、患者情報等の取扱性の観点より、モバイル機器の導入が進められているが、他方、モバイル機器のタッチパネルディスプレイは、使用頻度が高いため細菌が付着する可能性が高く、そのため、このようなタッチパネルディスプレイ表面には、抗菌性を有するフィルムが用いられている。
このような抗菌性を有するフィルムとしては、銀粒子を、樹脂材料やゴム材料に配合してなるフィルム(たとえば、特許文献1参照)や、第4級アンモニウム塩を含む抗菌性組成物を担持させたフィルム(たとえば、特許文献2参照)などが知られている。
しかしながら、銀粒子を、樹脂材料やゴム材料に配合してなるフィルムにおいては、その使用に伴い、抗菌性を有する成分としての銀粒子が脱離してしまうため、長期間に渡る抗菌効果が期待できないという問題があった。また、第4級アンモニウム塩を、樹脂材料やゴム材料に配合してなるフィルムにおいては、第4級アンモニウム塩が、多くの樹脂材料やゴム材料との相溶性が低いものであることから、フィルム表面上にブリードアウトしてしまい、同様に、長期間に渡る抗菌効果が期待できないという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、樹脂材料およびゴム材料との相溶性に優れ、かつ、優れた抗菌性を有する抗菌剤を提供することを目的とする。また、本発明は、このような抗菌剤を用いてなる成形体用組成物、架橋性組成物、および、このような抗菌剤に由来のユニットを有する抗菌性重合体、ならびに、これらを用いて得られる成形体および架橋体、さらには、上記抗菌剤を用いて得られる積層体を提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤が提供される。
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤が提供される。
本発明の抗菌剤は、抗カビ性および/または抗ウィルス性をも有することが好ましい。
本発明の抗菌剤において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
(上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X−は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤が提供される。
本発明の抗菌剤は、抗カビ性および/または抗ウィルス性をも有することが好ましい。
本発明の抗菌剤において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムとを含有する成形体用組成物、および該成形体用組成物を成形してなる成形体が提供される。
本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、前記抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体、および該抗菌性重合体を成形してなる成形体が提供される。
本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムと、架橋剤とを含有する架橋性組成物、および該架橋性組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、前記抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体、および架橋剤を含有する架橋性組成物、および該架橋性組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
さらに、本発明によれば、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層と、を含有する積層体が提供される。
本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、前記抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体、および該抗菌性重合体を成形してなる成形体が提供される。
本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムと、架橋剤とを含有する架橋性組成物、および該架橋性組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、前記抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体、および架橋剤を含有する架橋性組成物、および該架橋性組成物を架橋してなる架橋体が提供される。
さらに、本発明によれば、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層と、を含有する積層体が提供される。
本発明によれば、樹脂材料およびゴム材料との相溶性に優れ、かつ、優れた抗菌性を有する抗菌剤、ならびに、このような抗菌剤を用いてなる成形体用組成物、架橋性組成物、および、このような抗菌剤に由来のユニットを有する抗菌性重合体、さらには、これらを用いた成形体、架橋体、および上記抗菌剤を用いて得られる積層体を提供することができる。
本発明の抗菌剤は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものである。本発明の抗菌剤は、細菌などの菌類に対する耐性(殺菌性)である抗菌性を有するものであり、好ましくは、このような抗菌性に加え、カビに対する耐性である抗カビ性や、ウィルスに対する耐性である抗ウィルス性をも有するものである。以下においては、特に断りのない限り、抗菌性という文言は、抗カビ性および抗ウィルス性をも含めた概念として使用し、また、抗菌剤という文言は、抗カビ剤および抗ウィルス剤をも含めた概念として使用する。
まず、本発明の抗菌剤を構成する、カチオン性基を有するポリエーテル化合物について説明する。
<カチオン性基を有するポリエーテル化合物>
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を形成する、オキシラン単量体単位の具体例としては、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位などのアルキレンオキシド単量体単位;エピクロロヒドリン単位、エピブロモヒドリン単位、エピヨードヒドリン単位などのエピハロヒドリン単量体単位;アリルグリシジルエーテル単位などのアルケニル基含有オキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単位などの芳香族エーテル基含有オキシラン単量体単位;グリシジルアクリレート単位、グリシジルメタクリレート単位などの(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位;などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、2種以上のオキシラン単量体単位を含有するものであってもよく、この場合においては、それら複数の繰り返し単位の分布様式は特に限定されないが、ランダムな分布を有していることが好ましい。
なお、上記単量体単位のうち、エピハロヒドリン単量体単位、アルケニル基含有オキシラン単量体単位、および(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位は、架橋性基を有するオキシラン単量体単位であり、このような架橋性基を有するオキシラン単量体単位を含有することで、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中に、カチオン性基に加えて架橋性基をも導入でき、この場合には、架橋剤を組み合わせて用いることで、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を架橋可能なものとすることができる。カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位において、カチオン性基と架橋性基とは、同一の繰り返し単位として含まれていてもよいし、別個の繰り返し単位として含まれていてもよいが、別個の繰り返し単位として含まれていることが好ましい。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中における、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。なお、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の下限は、特に限定されないが、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する組成物を架橋可能なものとするためには、好ましくは1モル%以上である。
また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン単量体単位のうち少なくとも一部として、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含有する。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物に含有させることのできるカチオン性基としては、特に限定されないが、抗菌剤としての抗菌性をより高めることができるという観点から、周期表第15族または第16族の原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが好ましく、窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがより好ましく、窒素原子含有芳香族複素環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがさらに好ましく、イミダソリウム環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが特に好ましい。
カチオン性基の具体例としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n−ブチルジメチルアンモニウム基、n−オクチルジメチルアンモニウム基、n−ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリビニルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N−ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2−エトキシエチル)アンモニウム基等のアンモニウム基;ピペリジニウム基、1−ピロリジニウム基、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1−メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ベンズイソオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6−ジメチルピリジニウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基、ピリダジニウム基、トリアジニウム基、N,N−ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリニウム基、イソインドリウム基、キノキサリウム基、イソキノキサリウム基、チアゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基;トリフェニルホスホニウム塩、トリブチルホスホニウム基等のカチオン性のリン原子を含んでなる基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基が好ましい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、含有するカチオン性基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、カチオン性基は、通常、対アニオンを有するものであるが、その対アニオンとしては特に限定されないが、たとえば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン;硫酸イオン;亜硫酸イオン;水酸化物イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;硝酸イオン;酢酸イオン;過塩素酸イオン;リン酸イオン;アルキルオキシイオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン;ヘキサフルオロリン酸イオン;テトラフルオロホウ酸イオン;などを挙げることができる。これら対アニオンは、抗菌剤として必要となる特性に応じて適宜選択すればよい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物においては、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位のうち、その少なくとも一部がカチオン性基を有するオキシラン単量体単位であればよく、たとえば、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位の全てがカチオン性基を有するものであってもよく、あるいは、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位およびカチオン性基を有しないオキシラン単量体単位が混在するものであってもよい。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物において、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。なお、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の上限は、特に限定されないが、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する組成物を架橋可能なものとするためには、好ましくは99モル%以下である。カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合を上記範囲とすることにより、抗菌剤としての抗菌性をより高めることができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
(上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X−は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
上記一般式(1)中、A+は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、カチオン性基の具体例としては、上述したものが挙げられ、また、カチオン性基含有基としては、上述したカチオン性基を含有する基が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、A+で表されるカチオン性基またはカチオン性基含有基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、X−は、任意の対アニオンを表し、たとえば、対アニオンの具体例としては、上述したものが挙げられる。なお、上記一般式(1)中、X−で表される対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Rは、非イオン性基であり、非イオン性の基であれば特に限定されない。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜10のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;等が挙げられる。
これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合には、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合には、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、上記一般式(1)中、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であればよいが、nは、2〜1000の整数であることが好ましく、5〜900の整数であることがより好ましく、5〜700の整数であることがさらに好ましい。また、mは、0〜998の整数であることが好ましく、0〜195の整数であることがより好ましく、0〜95の整数であることがさらに好ましい。また、n+mは、5〜1000の整数であり、5〜900の整数であることが好ましく、10〜700の整数であることがより好ましい。上記一般式(1)中、n、m、n+mを適切に調整することにより、樹脂材料やゴム材料との相溶性、および抗菌性を適切に調整することができる。特に、n+mを上記範囲とすることにより、樹脂やゴムに配合した場合における、ブリードアウトを適切に抑制しながら、抗菌性を適切に高めることができる。
なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造が、上記一般式(1)で表される単量体単位からなるものである時、重合体鎖末端は、特に限定されず、任意の基とすることができる。重合体鎖末端基としては、たとえば、上述したカチオン性基、水酸基、または水素原子などが挙げられる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜400,000であることがより好ましく、2,000〜300,000であることがさらに好ましい。また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0である。特に、数平均分子量(Mn)を上記範囲とすることにより、樹脂やゴムに配合した場合における、ブリードアウトを適切に抑制しながら、抗菌性を適切に高めることができる。なお、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の分子量分布は、カチオン性基を導入する前のベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の分子量分布から変化していないものとして取り扱うことができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の合成方法は、特に限定されず、目的とする化合物を得られるものである限りにおいて、任意の合成方法を採用することができる。合成方法の一例を示すと、まず、以下の(A)または(B)の方法により、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)を得る。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010−53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46−27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010−53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46−27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
そして、上記(A)または(B)の方法において得られたベースポリマーに、イミダゾール化合物などのアミン化合物を反応させることにより、ベースポリマーのエピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン基をオニウムハライド基に変換して、さらに必要に応じて、オニウムハライド基を構成するハロゲン化物イオンを、アニオン交換反応を行うことにより、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を得ることができる。
<抗菌剤>
本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであり、本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物のみからなるもの(すなわち、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量%であるもの)であってもよいし、あるいは、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の成分を含有するものであってもよい。
本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであり、本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物のみからなるもの(すなわち、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量%であるもの)であってもよいし、あるいは、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の成分を含有するものであってもよい。
たとえば、本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物に、架橋剤を含有させて抗菌剤用組成物とし、これを架橋させたものであってもよい。
架橋剤としては、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の有する架橋性基の種類などに応じて適宜選択すればよい。架橋剤の具体例としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;s−トリアジン−2,4,6−トリチオールなどのトリアジン系化合物;メチロール基を持つアルキルフェノール樹脂;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのアルキルフェノン型光重合開始剤などの各種紫外線架橋剤;などが挙げられる。たとえば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物が有する架橋性基が、エチレン性炭素−炭素不飽和結合含有基である場合には、上記架橋剤のなかでも、硫黄、含硫黄化合物、有機過酸化物および紫外線架橋剤から選択される架橋剤を用いることが好ましい。これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明で用いる抗菌剤用組成物中における、架橋剤の配合量は、特に限定されないが、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.3〜5重量部である。架橋剤の配合量を上記範囲とすることにより、抗菌効果を良好なものとしながら、適切に架橋を行うことができる。
抗菌剤用組成物を架橋させるための方法としては、用いる架橋剤の種類などに応じて選択すればよく、特に限定されないが、たとえば、加熱による架橋や紫外線照射による架橋を挙げることができる。加熱により架橋する場合の架橋温度は、特に限定されないが、130〜200℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。架橋時間も特に限定されず、たとえば1分間〜5時間の範囲で選択される。加熱方法としては、プレス加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、熱風加熱、マイクロ波加熱などの方法を適宜選択すればよい。紫外線照射による架橋を行う場合は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、水銀−キセノンランプなどの光源を用いて、常法に従って、抗菌剤用組成物に紫外線を照射すればよい。
本発明の抗菌剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであるため、樹脂材料およびゴム材料との相溶性に優れ、かつ、優れた抗菌性を有するものであり、そのため、種々の樹脂およびゴムと好適に組み合わせて用いることができ、これらに優れた抗菌性を適切に付与することができる。
<成形体用組成物>
本発明の成形体用組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムとを含有する組成物である。
本発明の成形体用組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムとを含有する組成物である。
本発明で用いる樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれでもよく、特に限定されず、たとえば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベークライト、尿素樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、1,2−ポリブタジエンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、PAN、ABS樹脂、AS樹脂、塩化ビニル、PVAなどのビニル系樹脂;テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂;PET、PBTなどのポリエステル系樹脂;ナイロン66、ナイロン6などのポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマーなどの特殊樹脂;などが挙げられる。これらの樹脂は、ノニオン性であることが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは20,000〜1,000,000であり、より好ましくは25,000〜700,000、特に好ましくは30,000〜500,000である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形加工性を良好なものとしながら、成形体とした場合に、得られる成形体の強度を充分なものとすることができる。
また、本発明で用いる熱硬化性樹脂は、三次元架橋などにより硬化するものであればよく、その分子量は特に限定されるものではない。
本発明で用いるゴムとしては、特に限定されず、たとえば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、ブチルゴム、およびこれらゴムの部分水素添加物(たとえば、水素化ニトリルゴム)などのジエン系ゴム;エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ポリエーテルゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのジエン系ゴム以外のゴム;などの種々のゴムを制限なく用いることができる。これらのゴムは、ノニオン性であることが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、さらには、このようなゴムと、上述した樹脂とを組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは100,000〜2,000,000であり、より好ましくは200,000〜2,000,000であり、特に好ましくは400,000〜1,500,000である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形加工性を良好なものとしながら、成形体とした場合に、得られる成形体の強度を充分なものとすることができる。
なお、本発明で用いる樹脂およびゴムの重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリスチレン換算分子量として求めるものとする。
また、本発明で用いるゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは5〜250、より好ましくは10〜200、特に好ましくは20〜160である。
本発明の成形体用組成物中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量は、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.2〜40重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、特に好ましくは0.5〜25重量部である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が少なすぎると、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を配合することによる効果、すなわち、抗菌効果が得難くなる。一方、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が多すぎると、得られる成形体の機械特性が悪化するおそれがある。
また、本発明の成形体用組成物は、さらに充填剤を含有するものであってもよい。充填剤としては、特に限定されないが、たとえば、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェンなどの炭素材料;アルミニウム粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、金属ケイ素粉末などの金属粉末;酸化亜鉛粉末、シリカ粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末、酸化銀粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化マグネシウム粉末などの金属酸化物粉末;窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末などの金属窒化物粉末;などが挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の成形体用組成物中における、充填剤の配合量は、特に限定されないが、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部であり、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。充填剤の配合量を上記範囲とすることで、抗菌性を良好なものとしながら、充填剤を配合することによる補強効果を適切なものとすることができる。
さらに、本発明の成形体用組成物には、樹脂やゴムに通常配合されるその他の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、たとえば、受酸剤;補強剤;老化防止剤;可塑剤;紫外線吸収剤;耐光安定剤;粘着付与剤;界面活性剤;導電性付与剤;電解質物質;着色剤(染料・顔料);難燃剤;などが挙げられる。
本発明の成形体用組成物は、樹脂および/またはゴムに、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含む抗菌剤を構成する成分、および必要に応じて用いられる充填剤やその他添加剤を、所望の方法により調合、混練することにより調製することができる。調合、混練に際しては、たとえば、ニーダー、バンバリー、オープンロール、カレンダーロール、二軸押出機など任意の混練成形機を一つあるいは複数組み合わせて用いて混練成形してもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、上述した本発明の成形体用組成物を成形することにより得られるものである。成形方法としては、特に限定されないが、得ようとする成形体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、成形体用組成物を押し出して成形体を得る方法や、射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形する方法などが挙げられる。
本発明の成形体は、上述した本発明の成形体用組成物を成形することにより得られるものである。成形方法としては、特に限定されないが、得ようとする成形体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、成形体用組成物を押し出して成形体を得る方法や、射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形する方法などが挙げられる。
以上のようにして得られる本発明の成形体は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤を含有するものであり、抗菌性に優れたものである。特に、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤は、種々の樹脂および/またはゴムに対し高い親和性を示すものであり、そのため、ブリードアウトしないという特性を有するものであり、さらにこれに加えて、本発明の成形体中において、その内部よりも、その表面においてより高い含有割合にて存在するものとなるという特有の特性を有する(すなわち、成形体表面に移動しやすいという特有の特性を有する)ものである。そのため、樹脂および/またはゴム本来の特性を充分なものとしながら、優れた抗菌性を実現できるものである。
<架橋性組成物>
本発明の架橋性組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムと、架橋剤とを含有する架橋可能な組成物である。
本発明の架橋性組成物は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤と、樹脂および/またはゴムと、架橋剤とを含有する架橋可能な組成物である。
樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれでもよく、特に限定されず、たとえば、上述した成形体用組成物と同様のものを用いることができる。
また、ゴムとしても、特に限定されず、たとえば、上述した成形体用組成物と同様のものを用いることができる。
本発明の架橋性組成物中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量は、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.2〜40重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、特に好ましくは0.5〜25重量部である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が少なすぎると、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を配合することによる効果、すなわち、抗菌効果が得難くなる。一方、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が多すぎると、得られる架橋体の機械特性が悪化するおそれがある。
架橋剤としては、樹脂および/またはゴムを架橋可能な化合物であればよく、用いる樹脂および/またはゴムが有する架橋性基の種類などに応じて適宜選択すればよく、たとえば、上述した各種架橋剤を用いることができる。本発明の架橋性組成物中における、架橋剤の配合量は、特に限定されないが、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.3〜5重量部である。架橋剤の配合量を上記範囲とすることにより、抗菌効果を良好なものとしながら、適切に架橋を行うことができる。
また、架橋剤を用いる場合には、架橋促進助剤、および架橋促進剤を併用することが好ましい。架橋促進助剤としては、特に限定されないが、たとえば、酸化亜鉛、ステアリン酸などが挙げられる。架橋促進剤としては、特に限定されないが、たとえば、グアニジン系化合物;アルデヒド−アミン系化合物;アルデヒド−アンモニア系化合物;チアゾール系化合物;スルフェンアミド系化合物;チオ尿素系化合物;チウラム系化合物;ジチオカルバミン酸塩系化合物;ポリビニル化合物;などを用いることができる。架橋助剤および架橋促進剤は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上併用して用いてもよい。架橋促進助剤および架橋促進剤の各使用量は、特に限定されないが、樹脂およびゴムの合計100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
また、本発明の架橋性組成物は、充填剤をさらに含有するものであってもよい。充填剤としては、特に限定されないが、たとえば、上述した成形体用組成物と同様のものを、同様の配合量にて用いることができる。
さらに、本発明の架橋性組成物には、樹脂やゴムに通常配合されるその他の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、たとえば、上述した成形体用組成物と同様のものを用いることができる。
本発明の架橋性組成物は、樹脂および/またはゴムに、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含む抗菌剤を構成する成分、架橋剤、および必要に応じて用いられる充填剤やその他添加剤を、所望の方法により調合、混練することにより調製することができる。調合、混練に際しては、たとえば、ニーダー、バンバリー、オープンロール、カレンダーロール、二軸押出機など任意の混練成形機を一つあるいは複数組み合わせて用いて混練成形してもよい。
<架橋体>
本発明の架橋体は、上述した本発明の架橋性組成物を架橋することにより得られるものである。架橋方法としては、特に限定されないが、得ようとする架橋体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、架橋性組成物を押し出して成形体とした後、加熱して架橋する方法;射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形し、成形と同時に成形時の加熱で架橋する方法;などが挙げられる。加熱温度や加熱時間は、上述した抗菌剤用組成物の架橋方法と同様である。
本発明の架橋体は、上述した本発明の架橋性組成物を架橋することにより得られるものである。架橋方法としては、特に限定されないが、得ようとする架橋体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、架橋性組成物を押し出して成形体とした後、加熱して架橋する方法;射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形し、成形と同時に成形時の加熱で架橋する方法;などが挙げられる。加熱温度や加熱時間は、上述した抗菌剤用組成物の架橋方法と同様である。
以上のようにして得られる本発明の架橋体は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤を含有するものであり、抗菌性に優れたものである。特に、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤は、幅広い樹脂および/またはゴムに対し高い親和性を示すものであり、そのため、ブリードアウトしないという特性を有するものであり、さらにこれに加えて、本発明の架橋体中において、その内部よりも、その表面においてより高い含有割合にて存在するものとなるという特有の特性を有する(すなわち、成形体表面に移動しやすいという特有の特性を有する)ものである。そのため、樹脂および/またはゴム本来の特性を充分なものとしながら、優れた抗菌性を実現できるものである。
<積層体>
本発明の積層体は、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層と、を含有するものである。
本発明の積層体は、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層と、を含有するものである。
樹脂および/またはゴムの成形体としては、特に限定されず、上述した成形体用組成物で例示した樹脂および/またはゴムと同様のものを用いて、公知の成形方法により成形されたものを制限なく用いることができる。また、樹脂および/またはゴムの成形体は、上述した成形体用組成物で例示したものと同様の充填剤や架橋剤、その他の配合剤を含有するものであってもよく、架橋剤を含有する場合には、必要に応じて架橋されたものであってもよい。
本発明の積層体は、たとえば、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層の表面に、溶液キャスト法などにより、抗菌用組成物を塗布し、その後、抗菌剤用組成物を架橋させることにより、抗菌剤からなる層を形成させることで製造することができる。あるいは、抗菌剤からなる層を予め形成し、この上に樹脂および/またはゴムの成形体からなる層を積層することにより製造してもよい。さらには、共押出し成型などにより、抗菌剤用組成物からなる層、ならびに、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層の形成と、これらの積層を同時に行った後、抗菌剤用組成物からなる層を架橋させることにより、抗菌剤からなる層を形成させることで製造してもよい。
本発明の積層体における、抗菌剤からなる層の厚みは、特に限定されないが、抗菌効果をより十分なものとするという観点より、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜50μmである。
また、本発明の積層体は、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層とが直接積層していることが好ましい。
以上のようにして、得られる本発明の積層体は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤からなる層を備えるものであるため、抗菌性に優れたものである。特に、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤は、幅広い樹脂および/またはゴムに対し高い親和性を示すものであり、そのため、樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層との密着性を良好なものとすることができる。これにより、本発明の積層体によれば、樹脂および/またはゴム本来の特性を充分なものとしつつ、十分な信頼性を実現することができ、これにより、高い抗菌効果を実現できるものである。
<抗菌性重合体>
本発明の抗菌性重合体は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、このような抗菌ユニット以外の他のユニットとを備える、抗菌性の重合体である。
本発明の抗菌性重合体は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、このような抗菌ユニット以外の他のユニットとを備える、抗菌性の重合体である。
本発明の抗菌性重合体は、たとえば、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と反応し得る官能基を有する他の化合物とを共重合させることにより得ることができる。そして、この場合には、得られる重合体中において、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来するユニットが、「抗菌ユニット」を形成することとなり、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と反応し得る官能基を有する他の化合物に由来するユニットが、「他のユニット」を形成することとなる。
カチオン性基を有するポリエーテル化合物としては、上述したものを制限なく用いることができるが、他のユニットを形成するための他の化合物との反応性の観点より、重合体鎖末端基が水酸基とされたものであることが好ましい。
他のユニットを形成するための化合物としては、たとえば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の重合体鎖末端基が水酸基である場合には、イソシアネート基を2以上有する化合物、2以上のカルボキシル基、酸塩化物基または酸無水物基を有する化合物、エポキシ基を2以上有する化合物、アミノ基を2以上有する化合物などが挙げられる。
イソシアネート基を2以上有する化合物としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート化合物;p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’,4’’−メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、ポリメリックMDIなどの芳香族イソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族イソシアネート化合物;シクロヘキシルジイソシアネート(CHPI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などの脂環族イソシアネート化合物;などが挙げられる。
2以上のカルボキシル基、酸塩化物基または酸無水物基を有する化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸などの芳香族カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族カルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸;さらには、これらの酸塩化物、または酸無水物などが挙げられる。
エポキシ基を2以上有する化合物としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、多塩基酸のポリグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
アミノ基を2以上有する化合物としては、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、トリエチルテトラアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどが挙げられる。
また、本発明においては、イソシアネート基を2以上有する化合物、2以上のカルボキシル基、酸塩化物基または酸無水物基を有する化合物、エポキシ基を2以上有する化合物、または、アミノ基を2以上有する化合物と反応する化合物として、2価以上のアルコールを併用してもよく、2価以上のアルコールも、これらの化合物と同様に、「他のユニット」を形成することとなる。2価以上のアルコールとしては、1,3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンなどの脂肪族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールおよびそれらのエチレンオキサイド付加物;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;ポリエチレンアジペートグリコールなどのポリマーのジオール;などが挙げられる。
なお、他のユニットを形成するための化合物は、1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、他のユニットを形成するための他の化合物とを重合させるための方法としては、特に限定されず、これらを混合し、任意で公知の反応触媒を使用して重合させる方法などが挙げられる。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、他のユニットを形成するための他の化合物とを重合させるための方法としては、特に限定されず、これらを混合し、任意で公知の反応触媒を使用して重合させる方法などが挙げられる。
たとえば、他のユニットを形成するための化合物として、イソシアネート基を2以上有する化合物を使用する場合には、反応触媒として、有機スズ化合物(ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレートなど)、ビスマス化合物などの金属触媒;有機アミン(トリエチレンジアミン(DABCO)など)などの塩基触媒;DMC触媒などのウレタン反応触媒;などを用いることができる。また、他のユニットを形成するための他の化合物として、2以上のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物を使用する場合には、反応触媒として、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などを用いることができる。
他のユニットを形成するための化合物として、エポキシ基を2以上有する化合物またはアミノ基を2以上有する化合物を使用する場合には、反応触媒として、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾールなどのイミダゾール類を用いることができる。
本発明の抗菌性重合体中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、抗菌ユニット以外の他のユニットとの含有割合は、特に限定されないが、抗菌性により優れるという観点より、「抗菌ユニット:他のユニット」の重量割合で、好ましくは0.1:99.9〜30:70、より好ましくは0.5:99.5〜20:80である。
本発明の抗菌性重合体は、上述した本発明の成形体用組成物と同様に、成形することにより成形体とすることができる。また、この際においては、本発明の抗菌性重合体に、充填剤や添加剤を配合して組成物の状態とし、組成物の状態にて成形することで成形体を得てもよい。充填剤や添加剤としては、上述した本発明の成形体用組成物と同様のものを挙げることができ、配合量も同様とすればよい。なお、本発明の抗菌性重合体においては、抗菌性重合体を得る際に、重合反応と同時に所定の形状に成形する方法を採用することで、成形体とすることもできる
また、本発明の抗菌性重合体に架橋剤を配合することで、架橋性組成物としてもよく、この場合においては、上記した方法にしたがって、架橋させることにより、架橋体を得ることができる。架橋剤としては、上記と同様のものを用いることでき、その配合量は、抗菌性重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.3〜5重量部である。また、この際においては、充填剤や添加剤をさらに配合してもよく、充填剤や添加剤としては、上述した本発明の架橋性組成物と同様のものを挙げることができ、配合量も同様とすればよい。
以上説明した本発明の成形体、架橋体および積層体は、上述した本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含む抗菌剤、または、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットを備える抗菌性重合体を含有するものであるため、抗菌性に優れるものであり、好ましくは、このような抗菌性に加え、カビに対する耐性である抗カビ性や、ウィルスに対する抗ウィルス性をも有するものである。そのため、大腸菌(O157を含む)、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ロドトルラ、サルモネラなどの各種細菌;インフルエンザウィルス、ネコカリシウィルス、ノロウィルスなどの各種ウィルス;クロコウジカビ、アオカビなどの各種カビ;などの発生を効果的に抑制できるものである。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
(1)数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、次のように求めた。すなわち、まず、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位の平均分子量と、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の平均分子量、および下記(2)により求めたカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率とから、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量を求めた。そして、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位数と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量とを乗じることにより得られた値を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量とした。
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、次のように求めた。すなわち、まず、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位の平均分子量と、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の平均分子量、および下記(2)により求めたカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率とから、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量を求めた。そして、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位数と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量とを乗じることにより得られた値を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量とした。
(2)カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造およびカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、1H−NMRスペクトルを得て、定法に従いポリエーテル化合物の構造を帰属した。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、次の方法により算出した。すなわち、まず、主鎖のオキシラン単量体単位に由来するプロトンの積分値から全オキシラン単量体単位のモル数B1を算出した。次に、カチオン性基に由来するプロトンの積分値から、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位のモル数B2を算出した。そして、B1に対するB2の割合(百分率)を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率として求めた。
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、1H−NMRスペクトルを得て、定法に従いポリエーテル化合物の構造を帰属した。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、次の方法により算出した。すなわち、まず、主鎖のオキシラン単量体単位に由来するプロトンの積分値から全オキシラン単量体単位のモル数B1を算出した。次に、カチオン性基に由来するプロトンの積分値から、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位のモル数B2を算出した。そして、B1に対するB2の割合(百分率)を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率として求めた。
〔製造例1〕
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Aの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド3.22gとトルエン100mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム1.370g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.2当量)をノルマルヘキサン10mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン35.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間の反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した。得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後に、有機相を50℃で12時間減圧乾燥することで、オイル状物質の収量を34.6gの収量で得た。また、得られたオイル状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は3,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.4であった。さらに得られたオイル状物質について、1H‐NMR測定を行ったところ、繰り返し単位数(オキシラン単量体単位数)は37であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持ち、重合体鎖末端基に水酸基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物A(繰り返し単位数37)であると同定された。
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Aの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド3.22gとトルエン100mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム1.370g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.2当量)をノルマルヘキサン10mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン35.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間の反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した。得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後に、有機相を50℃で12時間減圧乾燥することで、オイル状物質の収量を34.6gの収量で得た。また、得られたオイル状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は3,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.4であった。さらに得られたオイル状物質について、1H‐NMR測定を行ったところ、繰り返し単位数(オキシラン単量体単位数)は37であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持ち、重合体鎖末端基に水酸基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物A(繰り返し単位数37)であると同定された。
〔製造例2〕
(ポリエーテル化合物A中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
製造例1で得られたポリエーテル化合物A 5.0gと、1−メチルイミダゾール12.1gと、アセトニトリル10.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で48時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物をトルエン/メタノール/水の等重量混合溶液にて洗浄した後、1−メチルイミダゾールおよびトルエンを含む有機相を除去して、水相を50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この固体について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Aの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、重合体鎖末端基に水酸基を持ち、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの数平均分子量(Mn)は6,500であった。
(ポリエーテル化合物A中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
製造例1で得られたポリエーテル化合物A 5.0gと、1−メチルイミダゾール12.1gと、アセトニトリル10.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で48時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物をトルエン/メタノール/水の等重量混合溶液にて洗浄した後、1−メチルイミダゾールおよびトルエンを含む有機相を除去して、水相を50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この固体について、1H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Aの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、重合体鎖末端基に水酸基を持ち、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの数平均分子量(Mn)は6,500であった。
〔製造例3〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンおよび臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、重合体鎖末端基に水酸基を持ち、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cの数平均分子量(Mn)は15,500であった。
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質について1H−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンおよび臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、重合体鎖末端基に水酸基を持ち、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cの数平均分子量(Mn)は15,500であった。
〔製造例4〕
(エピクロロヒドリンとグリシジルメタクリレートとのリビングアニオン共重合によるポリエーテル化合物Dの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.032gおよびトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.029g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して2.5当量)をノルマルヘキサン0.25mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン9.5gおよびグリシジルメタクリレート0.5gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間の反応後、重合反応液に少量の2-プロパノールを添加し、反応を停止した。次いで、得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、2-プロパノールに注ぐことで、白色のゴム状物質を8.3gの収量で得た。得られたゴム状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は57,000、分子量分布は1.58であった。さらに得られたゴム状物質について、1H‐NMR測定を行ったところ、このゴム状物質は、エピクロロヒドリン単位97.0モル%およびグリシジルメタクリレート単位3.0モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られたゴム状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位およびグリシジルメタクリレート単位により構成されたポリエーテル化合物D(平均でエピクロロヒドリン単位588個とグリシジルメタクリレート単位18個とからなる606量体)であるといえる。
(エピクロロヒドリンとグリシジルメタクリレートとのリビングアニオン共重合によるポリエーテル化合物Dの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.032gおよびトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.029g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して2.5当量)をノルマルヘキサン0.25mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン9.5gおよびグリシジルメタクリレート0.5gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間の反応後、重合反応液に少量の2-プロパノールを添加し、反応を停止した。次いで、得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、2-プロパノールに注ぐことで、白色のゴム状物質を8.3gの収量で得た。得られたゴム状物質のGPC測定による数平均分子量(Mn)は57,000、分子量分布は1.58であった。さらに得られたゴム状物質について、1H‐NMR測定を行ったところ、このゴム状物質は、エピクロロヒドリン単位97.0モル%およびグリシジルメタクリレート単位3.0モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られたゴム状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位およびグリシジルメタクリレート単位により構成されたポリエーテル化合物D(平均でエピクロロヒドリン単位588個とグリシジルメタクリレート単位18個とからなる606量体)であるといえる。
〔製造例5〕
(ポリエーテル化合物D中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
製造例4で得られたポリエーテル化合物D 8.0gと、1−メチルイミダゾール22.0gと、N, N−ジメチルホルムアミド16.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で144時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止し、得られた反応溶液を一部抜き取り、50℃で120時間減圧乾燥をしたところ、赤褐色の樹脂状物質を15.0gの収量で得た。この樹脂状物質について、1H‐NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Dの、全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eであると同定された。得られたポリエーテル化合物Eの数平均分子量(Mn)は108,000であった。
(ポリエーテル化合物D中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
製造例4で得られたポリエーテル化合物D 8.0gと、1−メチルイミダゾール22.0gと、N, N−ジメチルホルムアミド16.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で144時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止し、得られた反応溶液を一部抜き取り、50℃で120時間減圧乾燥をしたところ、赤褐色の樹脂状物質を15.0gの収量で得た。この樹脂状物質について、1H‐NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Dの、全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eであると同定された。得られたポリエーテル化合物Eの数平均分子量(Mn)は108,000であった。
〔製造例6〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド26.0gを溶解させた蒸留水300mlを攪拌機付きガラス反応器に添加した。これとは別に、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5.0gを蒸留水50mlに溶解し、これを、上記ガラス反応器に滴下し室温で30分間反応させた。反応後、沈殿したゴム状物質を回収し、アセトンに溶解させた後、そのアセトン溶液を蒸留水300mlに滴下し、ポリマー凝固により無機塩を除去した。そして、凝固により得られたゴム状物質を50℃で12時間減圧乾燥することにより、薄褐色のゴム状物質を11.5gの収量で得た。得られたゴム状物質について1H‐NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物Eの塩化物イオンとの臭化物イオンの全てがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fの数平均分子量(Mn)は259,000であった。
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド26.0gを溶解させた蒸留水300mlを攪拌機付きガラス反応器に添加した。これとは別に、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5.0gを蒸留水50mlに溶解し、これを、上記ガラス反応器に滴下し室温で30分間反応させた。反応後、沈殿したゴム状物質を回収し、アセトンに溶解させた後、そのアセトン溶液を蒸留水300mlに滴下し、ポリマー凝固により無機塩を除去した。そして、凝固により得られたゴム状物質を50℃で12時間減圧乾燥することにより、薄褐色のゴム状物質を11.5gの収量で得た。得られたゴム状物質について1H‐NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物Eの塩化物イオンとの臭化物イオンの全てがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fであると同定された。得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fの数平均分子量(Mn)は259,000であった。
〔実施例1〕
ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名「クラペット・KS710」、クラレ社製 Mw=169,000)100部に対し、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部を配合し、予備混合した後、室温で12時間乾燥し、次いで、二軸混練機(製品名「TEX−30」、日本製鋼社製)で混練することで、ポリエチレンテレフタレート樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bとを含有する成形体用組成物のペレットを得た。得られたペレットを減圧乾燥した後、真空プレス機にてプレス成型することで、フィルム状の成形体を得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名「クラペット・KS710」、クラレ社製 Mw=169,000)100部に対し、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部を配合し、予備混合した後、室温で12時間乾燥し、次いで、二軸混練機(製品名「TEX−30」、日本製鋼社製)で混練することで、ポリエチレンテレフタレート樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bとを含有する成形体用組成物のペレットを得た。得られたペレットを減圧乾燥した後、真空プレス機にてプレス成型することで、フィルム状の成形体を得た。
〔実施例2〕
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部の代わりに、製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 1部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cとを含有する成形体用組成物、およびフィルム状の成形体を得た。
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部の代わりに、製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 1部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cとを含有する成形体用組成物、およびフィルム状の成形体を得た。
〔実施例3〕
ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名「クラペット・KS710」、クラレ社製 Mw=169,000)100部を真空プレス機にて熱プレス成型し、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムを得た。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部と架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)0.1部とからなる抗菌剤用組成物を、厚さ25μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、抗菌剤用組成物を架橋させることにより、ポリエチレンテレフタレートの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名「クラペット・KS710」、クラレ社製 Mw=169,000)100部を真空プレス機にて熱プレス成型し、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムを得た。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部と架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)0.1部とからなる抗菌剤用組成物を、厚さ25μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、抗菌剤用組成物を架橋させることにより、ポリエチレンテレフタレートの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
〔実施例4〕
製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いるとともに、抗菌剤用組成物からなる層の厚みを12μmとした以外は、実施例3と同様にして、ポリエチレンテレフタレートの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いるとともに、抗菌剤用組成物からなる層の厚みを12μmとした以外は、実施例3と同様にして、ポリエチレンテレフタレートの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
〔実施例5〕
アクリル樹脂(製品名「アクリペットMD」、三菱レーヨン社製 Mw=60,000)100部に対し、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部を配合し、予備混合した後、室温で12時間乾燥し、次いで、二軸混練機(製品名「TEX−30」、日本製鋼社製)で混練することで、アクリル樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bとを含有する成形体用組成物のペレットを得た。得られたペレットを減圧乾燥した後、真空プレス機にてプレス成型することで、フィルム状の成形体を得た。
アクリル樹脂(製品名「アクリペットMD」、三菱レーヨン社製 Mw=60,000)100部に対し、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部を配合し、予備混合した後、室温で12時間乾燥し、次いで、二軸混練機(製品名「TEX−30」、日本製鋼社製)で混練することで、アクリル樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bとを含有する成形体用組成物のペレットを得た。得られたペレットを減圧乾燥した後、真空プレス機にてプレス成型することで、フィルム状の成形体を得た。
〔実施例6〕
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いた以外は、実施例5と同様にして、アクリル樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fとを含有する成形体用組成物、およびフィルム状の成形体を得た。
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 1部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いた以外は、実施例5と同様にして、アクリル樹脂と、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fとを含有する成形体用組成物、およびフィルム状の成形体を得た。
〔実施例7〕
ポリプロピレン樹脂(製品名「ノバテックPP MA3」、日本ポリプロ社製 Mw=390,000)100部を真空プレス機にて熱プレス成型し、厚さ300μmのポリプロピレンのフィルムを得た。次いで、得られたポリプロピレンのフィルムの一方の面上に、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部と架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)0.1部とからなる抗菌剤用組成物を、厚さ15μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、抗菌剤用組成物を架橋させることにより、ポリプロピレンの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
ポリプロピレン樹脂(製品名「ノバテックPP MA3」、日本ポリプロ社製 Mw=390,000)100部を真空プレス機にて熱プレス成型し、厚さ300μmのポリプロピレンのフィルムを得た。次いで、得られたポリプロピレンのフィルムの一方の面上に、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部と架橋剤としての2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名「Irgcure(R) 379EG」、BASF社製)0.1部とからなる抗菌剤用組成物を、厚さ15μmにて塗布し、次いで、UV照射を行うことで、抗菌剤用組成物を架橋させることにより、ポリプロピレンの成形体からなる層と、抗菌剤からなる層とからなるフィルム状の積層体を得た。
〔実施例8〕
40℃のオープンロールに、スチレンブタジエンゴム(製品名「Nipol NS116R」、日本ゼオン社製 ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕=45)100部、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部、充填剤としてカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)10部、架橋促進助剤としてのステアリン酸1部、架橋促進剤としての、テトラエチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)1部および架橋剤としての硫黄(商品名「サルファックスPMC」、鶴見化学工業社製)0.5部を投入し、10分間混練することで、スチレンブタジエンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fと、架橋剤と、各種配合剤とを含有する架橋性組成物を得た。そして、得られた架橋性組成物について、170℃で20分間プレス架橋を行うことで、シート状の架橋体を得た。
40℃のオープンロールに、スチレンブタジエンゴム(製品名「Nipol NS116R」、日本ゼオン社製 ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕=45)100部、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部、充填剤としてカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)10部、架橋促進助剤としてのステアリン酸1部、架橋促進剤としての、テトラエチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTET」、大内新興化学工業社製)1部および架橋剤としての硫黄(商品名「サルファックスPMC」、鶴見化学工業社製)0.5部を投入し、10分間混練することで、スチレンブタジエンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fと、架橋剤と、各種配合剤とを含有する架橋性組成物を得た。そして、得られた架橋性組成物について、170℃で20分間プレス架橋を行うことで、シート状の架橋体を得た。
〔実施例9〕
シリコーン製シーリング材(製品名「シーラント45」、信越シリコーン社製)100部、および製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部を混合し、10分間混練することで、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cとを含有する成形体用組成物を得た。そして、得られた成形体用組成物について、空気下で所定の形状に成型し硬化することで、シート状の成型体を得た。
シリコーン製シーリング材(製品名「シーラント45」、信越シリコーン社製)100部、および製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部を混合し、10分間混練することで、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cとを含有する成形体用組成物を得た。そして、得られた成形体用組成物について、空気下で所定の形状に成型し硬化することで、シート状の成型体を得た。
〔実施例10〕
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部の代わりに、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部を用いた以外は、実施例9と同様にして、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eとを含有する成形体用組成物、およびシート状の成型体を得た。
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部の代わりに、製造例5で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物E 5部を用いた以外は、実施例9と同様にして、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Eとを含有する成形体用組成物、およびシート状の成型体を得た。
〔実施例11〕
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いた以外は、実施例9と同様にして、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fとを含有する成形体用組成物、およびシート状の成型体を得た。
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 5部の代わりに、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 5部を用いた以外は、実施例9と同様にして、シリコーンゴムと、イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fとを含有する成形体用組成物、およびシート状の成型体を得た。
〔実施例12〕
窒素導入用細管を備えた反応器に、トリメシン酸クロリド2.7部と、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 11.1部とを入れ、窒素を導入しながら混合物を220℃に加熱し、10分間反応させた。ここに、イソフタル酸クロリド66.2部と、1,4−ブタンジオ−ル31.1部とを入れ、窒素を導入しながら混合物を220℃に加熱した。1時間の反応の後、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、酸塩化物とアルコールに由来する抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体(抗菌ユニット:抗菌ユニット以外のユニット=15:100)を得た。得られた抗菌性重合体を所定の形状に成型することで、シート状の成形体を得た。
窒素導入用細管を備えた反応器に、トリメシン酸クロリド2.7部と、製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 11.1部とを入れ、窒素を導入しながら混合物を220℃に加熱し、10分間反応させた。ここに、イソフタル酸クロリド66.2部と、1,4−ブタンジオ−ル31.1部とを入れ、窒素を導入しながら混合物を220℃に加熱した。1時間の反応の後、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、酸塩化物とアルコールに由来する抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体(抗菌ユニット:抗菌ユニット以外のユニット=15:100)を得た。得られた抗菌性重合体を所定の形状に成型することで、シート状の成形体を得た。
〔実施例13〕
攪拌機付きガラス反応器に、製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 7.5部と、リシントリイソシアネート5.7部と、トリエチレンジアミン(DABCO)0.01部とを混合し、100℃で5時間反応し、混合物αを得た。次に、別の攪拌機付きガラス反応器に、脱水したポリエチレンアジペートグリコール(数平均分子量2000)74部、1,4−ブタンジオール3.7部、および触媒としてトリエチレンジアミン(DABCO)0.01部を混合し、撹拌しながら80℃とし、混合物βを得た。得られた混合物αと混合物βとジフェニルメタンジイソシネート16.6部とを混合し、1分間真空下で脱泡した後、所定の形状に成型し、100℃で6時間硬化することで、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、イソシアネート化合物とアルコールに由来する抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体(抗菌ユニット:抗菌ユニット以外のユニット=7.5:100)からなるシート状の成形体を得た。
攪拌機付きガラス反応器に、製造例3で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物C 7.5部と、リシントリイソシアネート5.7部と、トリエチレンジアミン(DABCO)0.01部とを混合し、100℃で5時間反応し、混合物αを得た。次に、別の攪拌機付きガラス反応器に、脱水したポリエチレンアジペートグリコール(数平均分子量2000)74部、1,4−ブタンジオール3.7部、および触媒としてトリエチレンジアミン(DABCO)0.01部を混合し、撹拌しながら80℃とし、混合物βを得た。得られた混合物αと混合物βとジフェニルメタンジイソシネート16.6部とを混合し、1分間真空下で脱泡した後、所定の形状に成型し、100℃で6時間硬化することで、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、イソシアネート化合物とアルコールに由来する抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体(抗菌ユニット:抗菌ユニット以外のユニット=7.5:100)からなるシート状の成形体を得た。
表1に示すように、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤を用いた場合、フィルム状の成形体及び積層体、ならびに、シート状の成形体及び架橋体が得ることができ、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤が樹脂材料およびゴム材料との相溶性に優れることが確認された(実施例1〜13)。
〔抗菌性評価〕
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bを、濃度が1000重量ppmとなるように、0.5Lの精製水に溶解することで、ポリエーテル化合物溶液を得た。次いで、得られたポリエーテル化合物溶液10mLに、試験菌液0.1mLを接種することで測定サンプル(n=3)を調製した。
試験菌液としては、大腸菌(Esherichia coil NBRC 3927)、緑膿菌、およびロドトルラを用い、それぞれについて、菌数107〜108/mLに調製した。
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bを、濃度が1000重量ppmとなるように、0.5Lの精製水に溶解することで、ポリエーテル化合物溶液を得た。次いで、得られたポリエーテル化合物溶液10mLに、試験菌液0.1mLを接種することで測定サンプル(n=3)を調製した。
試験菌液としては、大腸菌(Esherichia coil NBRC 3927)、緑膿菌、およびロドトルラを用い、それぞれについて、菌数107〜108/mLに調製した。
そして、それぞれの試験菌液について、調製した測定サンプルを、それぞれ、室温にて、1分間、5分間、および15分間の条件で保存した後、各保存サンプルに、SCDLP寒天培地(日本製薬社製)に添加し、35℃にて、2日間培養を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤を含有させることにより、保存1分後、5分後、15分後と保存時間が進むにつれて、菌数が確実に減少しており、この結果より、本発明のカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤によれば、十分な抗菌効果を奏することが確認できる。また、この試験結果より、実施例1〜13にて得られた各サンプルにおいても、同様に、十分な抗菌効果が奏されるものということができる。
Claims (13)
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する抗菌剤。
- 抗カビ性および/または抗ウィルス性をも有する請求項1に記載の抗菌剤。
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、架橋剤とを含有する抗菌剤用組成物を架橋してなる抗菌剤。
- 抗カビ性および/または抗ウィルス性をも有する請求項4に記載の抗菌剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌剤と、樹脂および/またはゴムとを含有する成形体用組成物。
- カチオン性基を有するポリエーテル化合物に由来する抗菌ユニットと、前記抗菌ユニット以外のユニットとを備える抗菌性重合体。
- 請求項7に記載の成形体用組成物または請求項8に記載の抗菌性重合体を成形してなる成形体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌剤と、樹脂および/またはゴムと、架橋剤とを含有する架橋性組成物。
- 請求項8に記載の抗菌性重合体と、架橋剤とを含有する架橋性組成物。
- 請求項10または11に記載の架橋性組成物を架橋してなる架橋体。
- 樹脂および/またはゴムの成形体からなる層と、請求項4〜6のいずれかに記載の抗菌剤からなる層と、を含有する積層体。
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CN114316241A (zh) * | 2021-11-30 | 2022-04-12 | 山东一诺威新材料有限公司 | 抗菌型聚氨酯慢回弹泡沫用聚醚多元醇的制备方法 |
JP7183477B1 (ja) * | 2021-01-22 | 2022-12-05 | 東レ・デュポン株式会社 | 抗ウイルス性物品外層用樹脂組成物、成形体、抗ウイルス性物品 |
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2017
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