JP7103236B2 - ポリマー組成物、ならびにそれを用いた架橋物および成形体 - Google Patents

ポリマー組成物、ならびにそれを用いた架橋物および成形体 Download PDF

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Description

本発明は、機械的特性に優れ、かつ、気体や液体に対して優れたバリア性を備える架橋物および成形体を与えることのできるポリマー組成物、ならびに、このようなポリマー組成物を用いて得られる架橋物および成形体に関する。
ポリマー材料は、幅広い製品に用いられている一方で、使用用途によっては高いバリア性(具体的には、ガスバリア性および耐燃料透過性)を備えることが求められている。従来より、このようなポリマー材料にバリア性を付与する手法としては、ポリマー材料に、粘土鉱物を配合する技術が検討されている。
たとえば、特許文献1には、空気圧機器の構成部品として使用されるゴム成形品であって、結合アクリロニトリル量が30~60質量%であるニトリルゴムと、層状粘土鉱物とを含有する組成物を成形して得られるゴム成形品が開示されている。
特開2005-337292号公報
しかしながら、この特許文献1の技術のように、ニトリルゴムなどのポリマー材料と、層状粘土鉱物とを単に混合しただけでは、ポリマー材料中に、層状粘土鉱物を良好に分散させることができず、そのため、層状粘土鉱物を添加することによる効果、すなわち、バリア性および機械的特性の改善効果を充分に得ることができない場合があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、機械的特性に優れ、かつ、気体や液体に対して優れたバリア性を備える架橋物および成形体を与えることのできるポリマー組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなポリマー組成物を用いて得られる、架橋性組成物、架橋物および成形体、ならびに、このような架橋物を含むホースを提供することも目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、ポリマー材料と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、粘土鉱物とを含むポリマー組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含むポリマー組成物が提供される。
本発明のポリマー組成物において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
Figure 0007103236000001
(上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、Xは、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5~500の整数である。)
本発明のポリマー組成物において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が、前記ポリマー材料100重量部に対して、0.01~40重量部であることが好ましい。
本発明のポリマー組成物において、前記粘土鉱物の含有量が、前記ポリマー材料100重量部に対して、1~200重量部であることが好ましい。
本発明によれば、上記のポリマー組成物に、架橋剤を配合してなる架橋性組成物が提供される。
本発明によれば、上記の架橋性組成物を架橋してなる架橋物が提供される。
また、本発明によれば、上記のポリマー組成物を成形してなる成形体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の架橋物を含むホースが提供される。
本発明によれば、機械的特性に優れ、かつ、気体や液体に対して優れたバリア性(具体的には、ガスバリア性および耐燃料透過性)を備える架橋物および成形体を与えることのできるポリマー組成物、さらには、このようなポリマー組成物を用いて得られる、架橋性組成物、架橋物および成形体、ならびに、このような架橋物を含むホースを提供することができる。
本発明のポリマー組成物は、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含む組成物である。
まず、本発明のポリマー組成物に含まれる各成分について説明する。
<ポリマー材料>
本発明で用いる、ポリマー材料としては、一般的なポリマー材料であればよく、特に限定されず、樹脂およびゴムのいずれも制限なく用いることができる。
樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれでもよく、特に限定されず、たとえば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベークライト、尿素樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、1,2-ポリブタジエンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、PAN、ABS樹脂、AS樹脂、塩化ビニル、PVAなどのビニル系樹脂;テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂;PET、PBTなどのポリエステル系樹脂;ナイロン66、ナイロン6などのポリアミド、ポリエーテル(上記一般式(1)で表されるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を除く。)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマーなどの各種樹脂;などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらは、後述するゴムと組み合わせて用いることもできる。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは20,000~1,000,000であり、より好ましくは25,000~700,000、特に好ましくは30,000~500,000である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形加工性を良好なものとしながら、成形体とした場合に、得られる成形体の強度を充分なものとすることができる。
また、熱硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、三次元架橋などにより硬化するものであればよい。
ゴムとしては、特に限定されず、たとえば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、ブチルゴム、およびこれらゴムの部分水素添加物(たとえば、水素化ニトリルゴム)などのジエン系ゴム;エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ポリエーテルゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのジエン系ゴム以外のゴム;などの種々のゴムを制限なく用いることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、さらには、このようなゴムと、上述した樹脂とを組み合わせて用いてもよい。
ゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、機械的特性をより高めるという観点より、好ましくは200,000~2,000,000であり、より好ましくは300,000~2,000,000であり、特に好ましくは400,000~1,500,000である。
なお、本発明で用いる樹脂およびゴムの重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算分子量として求めるものとする。
また、ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは5~250、より好ましくは10~200、特に好ましくは20~160である。
本発明においては、上記ポリマー材料の中でも、上記一般式(1)で表されるカチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を配合することによる効果がより高いという観点より、ポリシクロオレフィン、ならびに、ニトリルゴムおよび水素化ニトリルゴムが好ましく、ニトリルゴムおよび水素化ニトリルゴムが特に好ましい。なお、ポリマー材料として、ニトリルゴムおよび水素化ニトリルゴムを使用する場合には、本発明のポリマー組成物は、通常、架橋剤を添加することで架橋性組成物とし、これを架橋することで架橋物として用いられることとなる。
ニトリルゴムとしては、たとえば、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および共役ジエン単量体単位を含有するゴムを用いることができる。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β-エチレン性不飽和化合物であれば、特に限定されないが、たとえば、アクリロニトリル;α-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリルなどのα-ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα-アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは15~80重量%であり、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは40~65重量%である。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が上記範囲であると、得られる架橋物の耐油性、耐燃料透過性および耐寒性をより高めることができる。
共役ジエン単量体単位を形成する共役ジエン単量体としては、炭素数4~6の共役ジエン単量体が好ましく、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3-ブタジエンが好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
共役ジエン単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは20~85重量%であり、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは34.9~59.9重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合が上記範囲であると、得られる架橋物を、ゴム弾性を良好なものとしながら、耐熱老化性や耐化学的安定性に優れたものとすることができる。
また、ニトリルゴムとしては、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および共役ジエン単量体単位に加えて、カチオン性単量体単位および/またはカチオンを形成可能な単量体単位をも含有するものであってもよい。カチオン性単量体単位および/またはカチオンを形成可能な単量体単位をさらに含有することにより、得られる架橋物の気体や液体に対するバリア性をより高めることができる。
カチオン性単量体単位および/またはカチオンを形成可能な単量体単位を形成する単量体としては、水または酸水溶液に接した際にプラスに帯電するような単量体単位を形成する単量体であれば、特に限定されない。このような単量体としては、たとえば、カチオン性単量体として、第四級アンモニウム塩基を含有する単量体が挙げられる。また、カチオンを形成可能な単量体として、第三級アミノ基のように塩酸および硫酸等の酸水溶液と接触した際にアンモニウム塩(たとえば、アミン塩酸塩やアミン硫酸塩)などにカチオン化される前駆体部(置換基)を有する単量体が挙げられる。
カチオン性単量体の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド〔アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライドおよび/またはメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライドを意味する。以下、同様。〕、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等の第四級アンモニウム塩基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩基を含有する(メタ)アクリルアミド単量体;などが挙げられる。
カチオンを形成可能な単量体の具体例としては、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等のビニル基含有環状アミン単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミドジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体;N-(4-アニリノフェニル)アクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)シンナムアミド、N-(4-アニリノフェニル)クロトンアミド、N-フェニル-4-(3-ビニルベンジルオキシ)アニリン、N-フェニル-4-(4-ビニルベンジルオキシ)アニリン等が挙げられる。これらのなかでも、2-ビニルピリジンが好ましい。
これらカチオン性単量体、カチオンを形成可能な単量体は一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
カチオン性単量体単位および/またはカチオンを形成可能な単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。なお、下限については、特に限定されないが、得られる架橋物の気体や液体に対するバリア性をより適切に高めるためには、好ましくは0.1重量%以上である。
また、ニトリルゴムとしては、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、共役ジエン単量体単位、および必要に応じて含有されるカチオン性単量体単位および/またはカチオンを形成可能な単量体単位以外に、これらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能な他の単量体の単位を含有していてもよい。このような他の単量体単位の含有割合は、全単量体単位に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
このような共重合可能な他の単量体としては、たとえば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o-(トリフルオロ)メチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル化合物;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエン化合物;エチレン;プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα-オレフィン化合物;アクリル酸、メタクリル酸などのα,β-エチレン性不飽和一価カルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸およびその無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルなどのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性化合物;などが挙げられる。
ニトリルゴムは、上記した各単量体を、共重合することにより製造することができる。各単量体を共重合する方法としては、乳化重合法や、懸濁重合法などを用いることができ、これらのなかでも、重合反応制御が容易なことから乳化重合法がより好ましい。また、得られたニトリルゴムの共重合体の共役ジエン単量体単位部分における炭素-炭素不飽和結合部分のうち少なくとも一部を水素化(水素添加反応)することで、水素化ニトリルゴムとすることもできる。水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。水素化ニトリルゴムとする場合における、そのヨウ素価は、好ましくは120以下であり、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下である。
<カチオン性基を有するポリエーテル化合物>
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物としては、主鎖構造がオキシラン単量体単位からなり、かつ、オキシラン単量体単位数が5~500個である重合体であって、オキシラン単量体単位の少なくとも一部としてカチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含有するものであることが好ましい。オキシラン単量体単位数は、より好ましくは5~400個であり、さらに好ましくは5~300個である。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を形成する、オキシラン単量体単位の具体例としては、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、1,2-ブチレンオキシド単位などのアルキレンオキシド単量体単位;エピクロロヒドリン単位、エピブロモヒドリン単位、エピヨードヒドリン単位などのエピハロヒドリン単量体単位;アリルグリシジルエーテル単位などのアルケニル基含有オキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単位などの芳香族エーテル基含有オキシラン単量体単位;グリシジルアクリレート単位、グリシジルメタクリレート単位などの(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位;などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、2種以上のオキシラン単量体単位を含有するものであってもよく、この場合においては、それら複数の繰り返し単位の分布様式は特に限定されないが、ランダムな分布を有していることが好ましい。
なお、上記単量体単位のうち、エピハロヒドリン単量体単位、アルケニル基含有オキシラン単量体単位、および(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位は、架橋性基を有するオキシラン単量体単位であり、このような架橋性基を有するオキシラン単量体単位を含有することで、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中に、カチオン性基に加えて架橋性基をも導入でき、この場合には、架橋剤を組み合わせて用いることで、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を架橋可能なものとすることができる。この場合における、架橋性基を有するオキシラン単量体単位の割合は、任意の割合とすることができる。なお、架橋性基を有するオキシラン単量体単位としては、架橋性基を有する単量体単位であればよく、上記したものに特に限定されるものではない。また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位において、カチオン性基と架橋性基とは、同一の繰り返し単位として含まれていてもよいし、別個の繰り返し単位として含まれていてもよいが、別個の繰り返し単位として含まれていることが好ましい。
また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン単量体単位のうち少なくとも一部として、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含有するものである。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物に含有させることのできるカチオン性基としては、特に限定されないが、得られる架橋物および成形体の気体や液体に対するバリア性をより高めるという観点から、周期表第15族または第16族の原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが好ましく、窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがより好ましい。
カチオン性基の具体例としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n-ブチルジメチルアンモニウム基、n-オクチルジメチルアンモニウム基、n-ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリビニルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N-ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2-エトキシエチル)アンモニウム基等のアンモニウム基;ピペリジニウム基、1-ピロリジニウム基、1-メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1-メチルイミダゾリウム基、1-エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1-メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ベンズイソオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6-ジメチルピリジニウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基、ピリダジニウム基、トリアジニウム基、N,N-ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリニウム基、イソインドリウム基、キノキサリウム基、イソキノキサリウム基、チアゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基;トリフェニルホスホニウム塩、トリブチルホスホニウム基等のカチオン性のリン原子を含んでなる基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、1-メチルピロリジニウム基、トリメチルアンモニウム基、n-ブチルジメチルアンモニウム基、イミダゾリウム基、1-メチルイミダゾリウム基、1-エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピリジニウム基、2,6-ジメチルピリジニウム基等が好ましい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、含有するカチオン性基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、カチオン性基は、通常、対アニオンを有するものであるが、その対アニオンとしては特に限定されないが、たとえば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン;硫酸イオン;亜硫酸イオン;水酸化物イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;硝酸イオン;酢酸イオン;過塩素酸イオン;リン酸イオン;アルキルオキシイオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン;ビストリフルオロメタンスルホニルイミドイオン;ヘキサフルオロリン酸イオン;テトラフルオロホウ酸イオン;などを挙げることができる。これら対アニオンは、得ようとするポリマー組成物の特性に応じて適宜選択すればよい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物においては、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位のうち、その少なくとも一部がカチオン性基を有するオキシラン単量体単位であればよく、たとえば、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位の全てがカチオン性基を有するものであってもよく、あるいは、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位およびカチオン性基を有しないオキシラン単量体単位が混在するものであってもよい。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物において、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。なお、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の上限は、特に限定されない。カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合を上記範囲とすることにより、得られる架橋物および成形体の気体や液体に対するバリア性をより高めることができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
Figure 0007103236000002
(上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、Xは、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5~500の整数である。)
上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、カチオン性基の具体例としては、上述したものが挙げられ、また、カチオン性基含有基としては、上述したカチオン性基を含有する基が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Aで表されるカチオン性基またはカチオン性基含有基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Xは、任意の対アニオンを表し、たとえば、対アニオンの具体例としては、上述したものが挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Xで表される対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Rは、非イオン性基であり、非イオン性の基であれば特に限定されない。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等の炭素数2~10のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2~10のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~20のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;等が挙げられる。
これらのうち、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、および炭素数6~20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2~6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、2-クロロフェニル基、3-メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1~6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合には、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、上記一般式(1)中、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であればよいが、nは、2~500の整数であることが好ましく、2~400の整数であることがより好ましく、3~300の整数であることがさらに好ましく、50~300の整数であることが特に好ましい。また、mは、0~498の整数であることが好ましく、0~398の整数であることがより好ましく、0~297の整数であることがさらに好ましく、0~250の整数であることが特に好ましい。また、n+mは、5~500の整数であり、5~400の整数であることがより好ましく、5~300の整数であることがさらに好ましく、50~300の整数であることが特に好ましい。上記一般式(1)中、n、m、n+mを適切に調整することにより、ポリマー材料との相溶性および粘土鉱物との親和性を調整することができ、特に、n、m、n+mを上記範囲とすることにより、ポリマー材料との相溶性および粘土鉱物との親和性を良好に高めることができ、これにより、得られる架橋物および成形体の機械的特性および気体や液体に対するバリア性をより適切に高めることができる。
なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造が、上記一般式(1)で表される単量体単位からなるものである時、重合体鎖末端は、特に限定されず、任意の基とすることができる。重合体鎖末端基としては、たとえば、上述したカチオン性基、水酸基、または水素原子などが挙げられる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の合成方法は、特に限定されず、目的とする化合物を得られるものである限りにおいて、任意の合成方法を採用することができる。合成方法の一例を示すと、まず、以下の(A)または(B)の方法により、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)を得る。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010-53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46-27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
そして、上記(A)または(B)の方法において得られたベースポリマーに、イミダゾール化合物などのアミン化合物を反応させることにより、ベースポリマーのエピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン基をオニウムハライド基に変換して、さらに必要に応じて、オニウムハライド基を構成するハロゲン化物イオンを、アニオン交換反応を行うことにより、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を得ることができる。
本発明のポリマー組成物中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量は、ポリマー材料100重量部に対して、好ましくは0.01~40重量部、より好ましくは0.1~20重量部、さらに好ましくは0.2~10重量部である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量を上記範囲とすることにより、得られる架橋物および成形体の機械的特性および気体や液体に対するバリア性をより高めることができる。
<粘土鉱物>
本発明で用いる粘土鉱物としては、特に限定されないが、天然物由来のものであっても、天然物に精製などの処理を加えたものであっても、合成品であってもよい。本発明で用いる粘土鉱物は、通常、層状あるいは板状の形状を有するものである。
本発明で用いる粘土鉱物の具体例としては、カオリナイトやハロサイトなどのカオリナイト類;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、マイカなどのスメクタイト類;およびバーミキュライト類;緑泥石類;タルク;などが挙げられ、中でもスメクタイト類が好ましく、モンモリロナイト、マイカおよびサポナイトが特に好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。ここで、上記のうち、モンモリロナイトは、ベントナイトに主成分として含有されるものであり、そのため、モンモリロナイトとしては、ベントナイトを精製することにより得られるものなどを用いることができる。
本発明のポリマー組成物中における、粘土鉱物の含有量は、ポリマー材料100重量部に対して、好ましくは1~200重量部、より好ましくは2~120重量部、さらに好ましくは5~60重量部である。粘土鉱物の含有量を上記範囲とすることにより、得られる架橋物および成形体の機械的特性および気体や液体に対するバリア性をより高めることができる。
<ポリマー組成物>
本発明のポリマー組成物は、上述したポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含有するものである。
本発明のポリマー組成物は、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を混合することにより調製されるものである。ここで、本発明で用いる粘土鉱物は、通常、層間に交換性陽イオンを有する多層構造を有するものである。そして、本発明のポリマー組成物においては、その調製過程において、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を混合した際に、カチオン性基を有するポリエーテル化合物に含まれるカチオン性基が、粘土鉱物の交換性陽イオンを介した多層構造に作用することで、このような多層構造を分離するとともに、分離した多層構造と相互作用することで、粘土鉱物が有機化することとなる。また、このように有機化された粘土鉱物は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と相互作用しているものであるため、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の主鎖の作用により、親油性をも有するものとなる。そして、本発明においては、このようなカチオン性基を有するポリエーテル化合物の作用により、粘土鉱物を有機化し、さらには親油化することで、その多層構造が分離された態様にて、粘土鉱物をポリマー材料中に良好に分散させることができるものであり、これにより、得られる架橋物および成形体を、優れた機械的特性を有するものとしながら、分離された多層構造により、気体や液体に対して、優れたバリア性をも有するものとすることができるものである。
特に、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、カチオン性基に含まれるプラスの電荷により粘土鉱物と相互作用することにより、粘土鉱物を有機化するものであるが、このようなプラスの電荷によって粘土鉱物と相互作用した部位は、ポリエーテル化合物の主鎖構造によって覆われたような構造となる。そして、このように、プラスの電荷によって粘土鉱物と相互作用した部位が、ポリエーテル化合物の主鎖構造によって覆われることにより、粘土鉱物を親油化することができ、結果として、粘土鉱物をポリマー材料中に良好に分散させることができるものである。
一方、粘土鉱物を有機化する手法として、ヘキシルアンモニウムイオンなどの低分子量の有機オニウムイオンを使用する方法も考えられる。このような低分子量の有機オニウムイオンによる粘土鉱物の有機化は、有機オニウムイオンのプラスの電荷により粘土鉱物と相互作用することによって行われるものである。しかしながら、このような低分子量の有機オニウムイオンでは、プラスの電荷により粘土鉱物と相互作用している部位を覆うことができず、そのため、プラスの電荷により粘土鉱物と相互作用している部位が覆われた構造とすることができず、露出された構造となってしまう。そしてこのようなプラスの電荷により粘土鉱物と相互作用している部位の影響によって、有機化された粘土鉱物を、ポリマー材料中に良好に分散できず、そのため、粘土鉱物を配合することによる効果を充分に得ることができないものである。これに対し、本発明によれば、上述したように、このような不具合の発生を有効に抑制できるものであり、粘土鉱物を、その多層構造が分離された態様にて、ポリマー材料中に良好に分散させることができるものであり、これにより、得られる架橋物および成形体を、優れた機械的特性を有するものとしながら、分離された多層構造により、気体や液体に対して、優れたバリア性をも有するものとすることができるものである。なお、本発明の技術的範囲は、前記の考察に制限されるものではない。
本発明のポリマー組成物は、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を混合することにより調製すればよく、これらの混合順序は、特に限定されない。たとえば、ポリマー材料と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、粘土鉱物とを同時に混合するような方法としてもよいし、あるいは、ポリマー材料と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物とを予め混合し、ここに粘土鉱物を配合して、さらに混合するような方法としてもよい。さらには、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、粘土鉱物とを予め混合し、ここにポリマー材料を配合して、さらに混合するような方法としてもよいし、ポリマー材料と、粘土鉱物とを予め混合し、ここにカチオン性基を有するポリエーテル化合物を配合して、さらに混合するような方法としてもよい。また、ポリマー材料がラテックスの状態で得られる物である場合には、ポリマー材料と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物と、粘土鉱物とを混合する際には、ポリマー材料をラテックスの状態にて、混合してもよい。
さらに、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を混合する方法としては特に限定されないが、ニーダー、バンバリー、ブラベンダー、オープンロール、カレンダーロール、二軸押出機など任意の混合機を一つあるいは複数組み合わせて用いて混合する方法などが挙げられる。特に、本発明においては、ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を混合し、ポリマー組成物を得る際には、せん断力を印加し、せん断混合を行うことで、ポリマー組成物を得ることが好ましく、これにより、粘土鉱物を、その多層構造がより分離された状態にて分散させることができ、得られる架橋物および成形体の気体や液体に対するバリア性をより高めることができる。
また、本発明のポリマー組成物には、ポリマー材料に通常配合されるその他の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、たとえば、充填剤;受酸剤;補強剤;老化防止剤;可塑剤;紫外線吸収剤;耐光安定剤;粘着付与剤;界面活性剤;導電性付与剤;電解質物質;着色剤(染料・顔料);難燃剤;などが挙げられる。
<架橋性樹脂組成物>
本発明の架橋性組成物は、上述した本発明のポリマー組成物に、架橋剤を配合してなる、架橋可能な組成物である。
架橋剤としては、ポリマー材料を架橋可能な化合物であればよく、用いるポリマー材料が有する架橋性基の種類などに応じて適宜選択すればよい。たとえば、ポリマー材料として、ニトリルゴムまたは水素化ニトリルゴムを含有する、ポリマー組成物を用いる場合には、硫黄系架橋剤や、有機過酸化物架橋剤を用いることができる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’-ジチオ-ビス(ヘキサヒドロ-2H-アゼピノン-2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3-トリメチルシクロヘキサン、4,4-ビス-(t-ブチル-ペルオキシ)-n-ブチルバレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキシン-3、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、p-クロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
本発明の架橋性組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、ポリマー材料100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部である。
また、架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進助剤、および架橋促進剤を併用することが好ましい。架橋促進助剤としては、特に限定されないが、たとえば、酸化亜鉛、ステアリン酸などが挙げられる。架橋促進剤としては、特に限定されないが、たとえば、グアニジン系化合物;アルデヒド-アミン系化合物;アルデヒド-アンモニア系化合物;チアゾール系化合物;スルフェンアミド系化合物;チオ尿素系化合物;チウラム系化合物;ジチオカルバミン酸塩系化合物;などを用いることができる。架橋助剤および架橋促進剤は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上併用して用いてもよい。架橋促進助剤および架橋促進剤の各使用量は、特に限定されないが、ポリマー材料100重量部に対して、0.01~15重量部が好ましく、0.1~10重量部がより好ましい。
<架橋物>
本発明の架橋物は、上述した本発明の架橋性組成物を架橋することにより得られるものである。架橋方法としては、特に限定されないが、得ようとする架橋体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、架橋性組成物を押し出して成形体とした後、加熱して架橋する方法;射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形し、成形と同時に成形時の加熱で架橋する方法;などが挙げられる。成形温度は、通常、10~200℃、好ましくは25~120℃である。架橋温度は、通常、100~200℃、好ましくは130~190℃であり、架橋時間は、通常、1分~24時間、好ましくは2分~2時間である。
また、架橋物は、その形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、上述した本発明のポリマー組成物を成形することにより得られるものである。成形方法としては、特に限定されないが、得ようとする成形体の形状、大きさなどに応じて選択すればよいが、たとえば、一軸や多軸の押出機を使用して、成形体用組成物を押し出して成形体を得る方法や、射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型により成形する方法などが挙げられる。成形温度は、通常、50~400℃、好ましくは100~350℃である。
本発明の架橋物および成形体は、上述した本発明のポリマー組成物を用いて得られるものであるため、機械的特性に優れ、かつ、気体や液体に対して、優れたバリア性を備えるものである。そのため、本発明の架橋物および成形体は、このような特性を活かし、ポリマー材料が樹脂である場合には、自動車や電気機器類などの筐体・パネル、包装フィルム、光学レンズなどの各種用途に好適に用いることができるものである。また、ポリマー材料がゴムである場合には、シール材、ガスケット、ベルトまたはホースなどの各種用途に好適に用いることができるものであり、特に、ホース用途に好適に用いることができる。たとえば、本発明の架橋物を、多層構造を有するホース用途に用いる場合には、ホースを構成する多層構造のうち、少なくとも一層を、本発明の架橋物にて形成すればよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
(1)数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC-8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ-H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI-8320(東ソー社製)を用いた。
(2)カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、H-NMRスペクトルを得て、定法に従いカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造を帰属した。
(3)ムーニー粘度
ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に従って、100℃で測定した。
(4)100%引張応力
シート状のゴム架橋物を3号形ダンベルで打ち抜くことで、試験片を作製した。そして、得られたこの試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の100%引張応力を測定した。100%引張応力は、比較例1の結果を100とした指数にて求めた。この値が大きいほど、100%引張応力が高く、100%引張応力に優れる。
(5)燃料透過性
シート状のゴム架橋物を用いて、アルミカップ法によりエタノール透過係数を測定した。具体的には、100ml容量のアルミニウム製のカップに、イソオクタン/トルエン/エタノール=2/2/1の溶液を50ml入れ、その上にシート状のゴム架橋物をのせ、これで蓋をして、締め具で、シート状のゴム架橋物によりアルミカップ内外を隔てる面積が25.50cmになるように調整し、該アルミカップを23℃の恒温槽内にて、放置し、24時間毎に重量測定することにより24時間毎の上記溶液の透過量を測定し、その最大量を燃料透過係数(単位:g・mm/m・day)とした。なお、測定は14日間行った。燃料透過係数は、比較例1の結果を100とした指数にて求めた。この値が小さいほど、燃料透過係数が低く、耐燃料透過性に優れる。
(6)曲げ弾性率
シート状の樹脂状成型体から、縦120mm、横13mm、厚さ3mmの試験片を削り出し、得られた試験片について、ASTM D790に準拠して曲げ試験を行うことで、曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は、比較例2の結果を100とした指数にて求めた。この値が大きいほど、曲げ弾性率が高く、曲げ弾性率に優れる。
(7)酸素透過性
シート状の樹脂状成型体に対し、熱プレスを行うことで厚さ100μmの試験片とした。そして、得られた試験片について、JIS K7126-2に準拠して、23℃、相対湿度0%の条件にて、酸素透過量測定装置(製品名「OX-TRAN 2/21MH」、MOCON社製)を使用して、試験片1m当たりの酸素透過速度(cc/m・day・atm)を測定した。酸素透過速度は、比較例2の結果を100とした指数にて求めた。この値が小さいほど、酸素透過速度が低く、ガスバリア性に優れる。
〔製造例1〕
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.322gおよびトルエン5mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム0.137g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.2モル当量)をノルマルヘキサン0.5mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで、触媒組成物を得た。そして、得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン10.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。1時間反応させた後、重合反応液に少量の2-プロパノールを添加し、反応を停止した。得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、2-プロパノールに注ぐことで、白色のゴム状物質を11.9gの収量で得た。また得られたゴム状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は10,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.20であった。さらに得られたゴム状物質について、H-NMR測定を行ったところ、このゴム状物質は、エピクロロヒドリンが開環した繰り返し単位からなるものであることが確認できた。以上より、得られたゴム状物質は、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリマー(重合度=110;平均で、エピクロロヒドリン単位110量体)であるといえる。
〔製造例2〕
(ポリマー中のエピクロロヒドリン単位の1-メチルイミダゾールによる4級化)
製造例1で得られたポリマー8.0g、1-メチルイミダゾール22.0g、およびN, N-ジメチルホルムアミド16.0gを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱することで反応を開始した。80℃で144時間反応させた後、室温に冷却することで反応を停止した。得られた反応溶液を一部抜き取り、50℃で120時間減圧乾燥をしたところ、赤褐色の樹脂状物質を15.0gの収量で得た。この樹脂状物質について、H-NMR測定を行ったところ、H-NMR(DMSO-d6)δ=9.80-9.40(brs,1H,MeIm+),8.10-7.70(brs,2H,MeIm+),4.80-3.75(brs,-CHCH(CHR)O-),3.63(3H,MeIm+)であり、プロトンの積分比から、出発原料の製造例1で得られたポリマー中の全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1-メチルイミダゾリウムクロリド基に置換された、ポリ(メチルグリシジルイミダゾリウムクロリド)であると同定された。また、得られた樹脂状物質について、元素分析を行ったところ、各元素の組成比は、構造から予測される組成比とよく一致した。以上により、1-メチルイミダゾリウムクロリド基を有する、重合度=110である、カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aであると同定された。
〔製造例3〕
(ニトリルゴムBの製造)
反応容器に、水240部、アクリロニトリル75.7部、2-ビニルピリジン2.2部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)2.5部を仕込み、温度を5℃に調整した。次いで、気相を減圧して十分に脱気してから、1,3-ブタジエン22部、重合開始剤であるパラメンタンヒドロペルオキシド0.06部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.02部、硫酸第一鉄(7水塩)0.006部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.06部、ならびに連鎖移動剤のt-ドデシルメルカプタン1部を添加して乳化重合の1段目の反応を開始した。反応開始後、仕込み単量体に対する重合転化率が40重量%、60重量%に達した時点で、反応容器に1,3-ブタジエンをそれぞれ12部追加して2段目および3段目の重合反応を行った。その後、仕込み全単量体に対する重合転化率が75重量%に達した時点でヒドロキシルアミン硫酸塩0.3部と水酸化カリウム0.2部を添加して重合反応を停止させた。反応停止後、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収してニトリルゴムBのラテックス(固形分24重量%)を得た。そして、得られたニトリルゴムBのラテックスについて、凝固・水洗・乾燥を行うことで、固形状のニトリルゴムBを得た。
得られたニトリルゴムBの単量体を構成する各単量体の含有割合を、FT-NMR装置(商品名:JNM-EX400WB,日本電子株式会社製)を用いたH-NMRによって測定したところ、アクリロニトリル単量体単位50重量%、1,3-ブタジエン単量体単位48重量%、2-ビニルピリジン単量体単位2重量%であった。また、得られたニトリルゴムBのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は85であった。
〔製造例4〕
(ニトリルゴムCの製造)
製造例3において、乳化重合1段目の反応の仕込み単量体として、2-ビニルピリジン2.2部を使用しなかった以外は、製造例3と同様にして、ニトリルゴムCのラテックス(固形分:24重量%)を得た。そして、得られたニトリルゴムCのラテックスについて、凝固・水洗・乾燥を行うことで、固形状のニトリルゴムCを得た。得られたニトリルゴムCを構成する各単量体単位の含有割合を、製造例3と同様にして測定したところ、アクリロニトリル単量体単位50重量%、1,3-ブタジエン単位50重量%であった。また、得られたニトリルゴムCのムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は78であった。
〔実施例1〕
製造例3で得られたニトリルゴムB 100部、精製ベントナイト(商品名「ベンゲル HVP」、ホージュン社製、粘土鉱物)15部、および製造例2で得られたカチオン性基含有ポリエーテル化合物A 1.5部を、110℃に加熱したブラベンダー社製 プラスチコーダ ラボステーション(W50EHT)内に投入し、50rpmの回転数で5分間せん断混合を行うことで、ゴム状のポリマー組成物を得た。次いで、得られたゴム状のポリマー組成物に、酸化亜鉛(酸化亜鉛#1、充填剤)5部、硫黄(架橋剤)0.5部、テトラメチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTT」、大内新興化学工業社製、架橋促進剤)1.5部、N-シクロヘキシル-2-ベンゾベンゾチアジスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業社製、架橋促進剤)1.5部、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)30部、およびアジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザーRS-107」、ADEKA社製)20部を添加して、6インチロールを用いて混合し、厚さ2mmの架橋性組成物を得た。そして、得られた架橋性組成物を、160℃で20分の条件にて熱プレスすることで、成形および架橋を行い、厚さ2mmのシート状のゴム架橋物を得た。得られたシート状のゴム架橋物を用いて、100%引張応力の測定および燃料透過性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aの使用量を1.5部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物、架橋性組成物およびシート状のゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aの使用量を1.5部から5部に変更するとともに、精製ベントナイトの使用量を15部から30部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物、架橋性組成物およびシート状のゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
製造例3で得られたニトリルゴムB 100部に代えて、製造例4で得られたニトリルゴムC 100部を使用するとともに、カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aの使用量を1.5部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物、架橋性組成物およびシート状のゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物、架橋性組成物およびシート状のゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007103236000003
〔実施例1~4、比較例1の評価〕
表1に示すように、ポリマー材料としてのニトリルゴム、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含むポリマー組成物を用いて得られたゴム架橋物(実施例1~4)は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有しない場合(比較例1)と比較して、いずれも、引張応力が高く、機械的特性に優れ、また、燃料透過性が低く、耐燃料透過性に優れるものであった。
〔実施例5〕
シクロオレフィンポリマーのペレット(商品名「ゼオネックス E48R」、日本ゼオン社製、重量平均分子量(Mw)=46,000)100部、精製ベントナイト(商品名「ベンゲル HVP」、ホージュン社製、粘土鉱物)15部、および製造例2で得られたカチオン性基含有ポリエーテル化合物A 5部を、ブレンダーで混合した。次いで、二軸混練機(製品名「TEM-35B」、東芝機械社製)を用いて、以下の混練条件にて混練および押し出しを行い、ペレット状のポリマー組成物を得た。
スクリュー径:37mm
L/D:32
スクリュー回転数:250rpm
樹脂温度:280℃
フィードレート:15kg/時間
次いで、片面を鏡面加工した、縦130mm、横15mm、厚さ4mmの金型を用いて、樹脂温度280℃、型温度120℃にて、小型射出成形機(製品名「Micro Injection Moulding Machine」、DSM Xplore社製)を用いて、上記にて得られたペレット状のポリマー組成物について、射出成形を行うことで、厚さ4mmのシート状の樹脂状成型体を得た。そして、得られたシート状の樹脂状成型体を用いて、曲げ弾性率の測定および酸素透過性の評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
カチオン性基含有ポリエーテル化合物Aを配合しなかった以外は、実施例5と同様にして、ポリマー組成物、およびシート状の樹脂状成型体を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007103236000004
〔実施例5、比較例2の評価〕
表2に示すように、ポリマー材料としてのシクロオレフィンポリマー、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含むポリマー組成物を用いて得られた樹脂状成型体(実施例5)は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有しない場合(比較例2)と比較して、曲げ弾性率が高く、機械的特性に優れ、また、酸素透過性が低く、ガスバリア性に優れるものであった。

Claims (7)

  1. ポリマー材料、カチオン性基を有するポリエーテル化合物、および粘土鉱物を含み、
    前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるポリマー組成物。
    Figure 0007103236000005
    (上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、Xは、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5~500の整数である。)
  2. 前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有量が、前記ポリマー材料100重量部に対して、0.01~40重量部である請求項1に記載のポリマー組成物。
  3. 前記粘土鉱物の含有量が、前記ポリマー材料100重量部に対して、1~200重量部である請求項1または2に記載のポリマー組成物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のポリマー組成物に、架橋剤を配合してなる架橋性組成物。
  5. 請求項4に記載の架橋性組成物を架橋してなる架橋物。
  6. 請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物を成形してなる成形体。
  7. 請求項5に記載の架橋物を含むホース。
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