JP2019045091A5 - - Google Patents

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熱交換器
この発明は熱交換器に関し、さらに詳しくいえば、たとえば自動車などの車両に搭載されるカーエアコンのコンデンサとして用いられる熱交換器に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、元素記号で表現された材料は純材料を意味し、「Al合金」という用語はアルミニウム合金を意味するものとする。
また、この明細書において、「自然電位」とは、5%NaCl、pH3(酸性)の水溶液中における標準電極としての飽和カロメル電極(S.C.E)に対する材料が持つ電極電位を意味するものである。
カーエアコン用コンデンサに用いられる熱交換器として、長手方向を同方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で、厚み方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム押出形材製扁平状熱交換管と、長手方向を熱交換管の並び方向に向けた状態で熱交換管の長手方向両端側に配置され、かつ熱交換管の両端部が接続されたヘッダタンクと、隣り合う熱交換管どうしの間および両端の熱交換管の外側に配置されて熱交換管にろう付されたアルミニウム製コルゲート状フィンと、両端のフィンの外側に配置されてフィンにろう付されたアルミニウム製サイドプレートとを備えており、ヘッダタンクが、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを筒状に成形して両側縁部どうしの突き合わせ部をろう付することにより形成され、かつ両端が開口した筒状のアルミニウム製タンク本体と、タンク本体の両端にろう付されてその両端開口を閉鎖するアルミニウム製閉鎖部材とからなり、タンク本体に、長手方向を通風方向に向けた長穴からなる複数の管挿入穴が、タンク本体の長手方向に間隔をおいて形成され、熱交換管の端部が、管挿入穴内に挿入されてタンク本体にろう付されているものが広く知られている。
上述した熱交換器の製造方法として、本出願人は、先に、Mn0.2〜0.3質量%、Cu0.05質量%以下、Fe0.2質量%以下を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金により形成されており、かつ管壁の肉厚が200μm以下であるアルミニウム押出形材製熱交換管と、アルミニウム製芯材および芯材の両面を覆うアルミニウムろう材製皮材からなるブレージングシートにより形成されたフィンとを用意すること、フラックス粉末と、平均粒径3〜5μmでかつ最大粒径が10μm未満のZn粉末とをバインダーに分散混合させた分散液を、前記熱交換管の外面に塗布するとともに分散液中の液状成分を気化させることによって、熱交換管の外面に、Zn粉末付着量が1〜3g/m2、フラックス粉末付着量が15g/m2以下、Zn粉末付着量に対するフラックス粉末付着量の比率(フラックス粉末付着量/Zn粉末付着量)が1以上となるように、Zn粉末およびフラックス粉末を付着させること、ならびに熱交換管およびフィンを組み合わせて加熱し、熱交換管の外面に付着したフラックス粉末およびフィンの皮材を利用して熱交換管とフィンとをろう付するとともに、熱交換管の外面に付着したZn粉末を溶融させた後にZnを熱交換管の外面表層部に拡散させることにより、熱交換管の外面表層部にZn拡散層を形成することを含む方法を提案した(特許文献1参照)。
特許文献1記載の方法により製造された熱交換器の熱交換管とフィンとは、フィンを形成するブレージングシートの皮材から溶け出したろう材により接合されている。
特許文献1記載の方法により製造された熱交換器において、フィンの耐食性をさらに向上させるために、アルミニウムブレージングシート製フィンに代えて、アルミニウムベア材製フィンを用いることが考えられている。この場合、上述した製造方法において、熱交換管の外面に、Zn粉末に加えてSi粉末を付着させ、熱交換管となるアルミニウム押出形材を形成するAl合金中のAlと、接合前の熱交換管の表面に付着させられていたSi粉末のSiとよりなるろう材によって、熱交換管とフィンとを接合することが考えられる。
しかしながら、このような方法で製造された熱交換器においては、熱交換管の耐食性が不十分になるおそれがある。
特開2014−238209号公報
この発明の目的は、上記課題を解決し、熱交換管の耐食性が優れた熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)複数のアルミニウム押出形材製熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されて熱交換管にろう材により接合されたアルミニウムベア材製フィンとを備えており、
熱交換管の管壁が、前記アルミニウム押出形材を形成するAl合金からなる本体部と、Al−Si−Zn合金からなりかつ本体部の外面を覆う被覆層とよりなり、熱交換管の管壁の本体部の外側表層部に、被覆層を形成するAl−Si−Zn合金中のZnおよびSiが拡散した拡散層が形成され、熱交換管の管壁の最外面と拡散層の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁の最外面側に来るように存在している熱交換器。
2)熱交換管の管壁の最外面と拡散層の最深部との間の範囲内において、自然電位が、管壁最外面から本体部に向かうにつれて低くなって前記低電位部分に達するとともに、当該低電位部分から本体部に向かうにつれて高くなって前記高電位部分に達するようになっている上記1)記載の熱交換器。
3)熱交換管とフィンとを接合するろう材が、前記アルミニウム押出形材を形成するAl合金中のAlと、接合前の熱交換管の表面に付着させられていたSi粉末のSiとにより構成されている上記1)または2)記載の熱交換器。
4)熱交換管の前記被覆層となっているAl−Si−Zn合金が、前記アルミニウム押出形材を形成するAl合金中のAlと、接合前の熱交換管の表面に付着させられていたSi粉末のSiと、接合前の熱交換管の表面に付着させられていたZn粉末のZnとにより構成されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
上記1)〜4)の熱交換器によれば、フィンがアルミニウムベア材からなるので、アルミニウムブレージングシートからなるフィンを備えた熱交換器に比べてフィンの耐食性が向上する。
また、熱交換管の管壁が、前記アルミニウム押出形材を形成するAl合金からなる本体部と、Al−Si−Zn合金からなりかつ本体部の外面を覆う被覆層とよりなり、熱交換管の本体部の外側表層部に、被覆層を形成するAl−Si−Zn合金中のZnおよびSiが拡散した拡散層が形成され、熱交換管の管壁の最外面と拡散層の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁の最外面側に来るように存在しているので、熱交換管の管壁の外面からの腐食が前記高電位部分で止まることになる。したがって、腐食深さを浅くすることができ、熱交換管の耐食性が向上する。その結果、熱交換管の管壁の薄肉化を図ることが可能となり、熱交換管の軽量化、ひいては当該熱交換管を用いた熱交換器の軽量化を図ることができる。
この発明の熱交換器を適用したカーエアコン用コンデンサの全体構成を示す斜視図である。 図1のコンデンサの熱交換管の管壁の一部を拡大して示す断面図である。 実験例においてフィンとろう付した1つの熱交換管における管壁最外面からの異なる深さ位置の自然電位を示すグラフである。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明の熱交換器をカーエアコン用コンデンサに適用したものである。
図1はこの発明の熱交換器を適用したカーエアコン用コンデンサの全体構成を示し、図2はその要部の構成を示す。
なお、以下の説明において、図1の上下、左右を上下、左右というものとする。
図1において、カーエアコン用のコンデンサ(1)は、長手方向を左右方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で、上下方向(熱交換管(2)の厚み方向)に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム押出形材製扁平状熱交換管(2)と、隣り合う熱交換管(2)どうしの間、および上下両端の熱交換管(2)の外側に配置されて熱交換管(2)にろう付されたアルミニウムベア材製コルゲートフィン(3)と、長手方向を上下方向(熱交換管(2)の並び方向)に向けた状態で左右方向に間隔をおいて配置され、かつ熱交換管(2)の左右両端部が接続された1対のアルミニウム製ヘッダタンク(4)(5)と、上下両端のコルゲートフィン(3)の外側に配置されてコルゲートフィン(3)にろう付されたアルミニウムブレージングシート製サイドプレート(6)とを備えており、図1に矢印Wで示す方向に風が流れるようになっている。
左側ヘッダタンク(4)は、高さ方向の中央部よりも上方において仕切板(7)により上下2つのヘッダ部(4a)(4b)に仕切られ、右側ヘッダタンク(5)は、高さ方向の中央部よりも下方において仕切板(7)により上下2つのヘッダ部(5a)(5b)に仕切られている。左側ヘッダタンク(4)の上ヘッダ部(4a)に冷媒入口(図示略)が形成され、冷媒入口に通じる流入路(8a)を有するアルミニウム製入口部材(8)が上ヘッダ部(4a)にろう付されている。また、右側ヘッダタンク(5)の下ヘッダ部(5b)に冷媒出口(図示略)が形成され、冷媒出口に通じる流出路(9a)を有するアルミニウム製出口部材(9)が下ヘッダ部(5b)にろう付されている。そして、入口部材(8)の流入路(8a)を通って左側ヘッダタンク(4)の上ヘッダ部(4a)内に流入した冷媒は、左側ヘッダタンク(4)の仕切板(7)よりも上方に位置する熱交換管(2)内を右方に流れて右側ヘッダタンク(5)の上ヘッダ部(5a)内の上部に流入し、上ヘッダ部(5a)内を下方に流れて左側ヘッダタンク(4)の仕切板(7)と右側ヘッダタンク(5)の仕切板(7)との間の高さ位置にある熱交換管(2)内を左方に流れて左側ヘッダタンク(4)の下ヘッダ部(4b)内の上部に流入し、下ヘッダ部(4b)内を下方に流れて右側ヘッダタンク(5)の仕切板(7)よりも下方に位置する熱交換管(2)内を右方に流れて右側ヘッダタンク(5)の下ヘッダ部(5b)内に流入し、出口部材(9)の流出路(9a)を通ってコンデンサ(1)の外部に流出する。
左右のヘッダタンク(4)(5)は、少なくとも外面にろう材層を有するアルミニウム製パイプ、たとえば両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる素板が筒状に成形されるとともに両側縁部が部分的に重ね合わされて相互にろう付された筒状体からなり、かつ前後方向に長い複数の管挿入穴を有するタンク本体(11)と、タンク本体(11)の両端にろう付されてその両端開口を閉鎖するアルミニウム製閉鎖部材(12)とからなる。なお、ヘッダタンク本体(11)の詳細な図示は省略する。また、ヘッダタンク本体(11)は、外周面にろう材が溶射されたアルミニウム押出管からなるものであってもよい。
熱交換管(2)は、たとえばCu0.4〜0.5質量%、Mn0.1〜0.3質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl合金で形成された押出形材からなることが好ましい。当該Al合金は、押出形材製熱交換管を形成するのに通常用いられているものである。
図2に示すように、熱交換管(2)の管壁(30)は、前記アルミニウム押出形材を形成するAl合金からなる本体部(31)と、Al−Si−Zn合金からなりかつ本体部(31)の外面を覆う被覆層(32)とよりなり、管壁(30)の本体部(31)の外側表層部に、被覆層(32)を形成するAl−Si−Zn合金中のZnおよびSiが拡散した拡散層(33)が形成されたものである。
熱交換管(2)の管壁(30)の肉厚は200μm以下であることが好ましい。ここで、熱交換管(2)の管壁(30)の肉厚は、全体に同一ではなく、部分的に異なる場合があるが、管壁(30)の肉厚が200μm以下ということは、管壁(30)の最も厚肉部分の肉厚が200μm以下であることを意味する。
熱交換管(2)の管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁(30)の最外面側に来るように存在している。たとえば、管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内において、自然電位が、管壁(30)最外面から本体部(31)に向かうにつれて徐々に低くなって前記低電位部分に達するとともに、当該低電位部分から本体部(31)に向かうにつれて高くなって前記高電位部分に達するようになっている。
アルミニウム押出形材製熱交換管(2)を形成する合金中のCuは、熱交換管(2)の本体部(31)の耐食性を向上させる効果を有するが、0.4質量%未満であるとこの効果が得られず、0.5質量%を超えると拡散層(33)の本体部(31)に対する犠牲腐食効果が低下する。すなわち、本体部(31)に対する犠牲腐食層とすることを目的として、自然電位を卑にする効果があるZnが拡散した拡散層(33)が形成されているが、Cu含有量が0.5質量%を超えるとZnの効果が不足し、拡散層(33)の自然電位を十分に卑にすることができなくなる。したがって、Cu含有量を0.4〜0.5質量%とすることが好ましい。また、アルミニウム押出形材製熱交換管(2)を形成する合金中のMnは、熱交換管(2)の強度を向上させる性質を有するが、Mn含有量が0.1質量%未満であるとこの効果が得られず、0.3質量%を超えると押出加工性が低下するから、Mn含有量を0.1〜0.3質量%とすることが好ましい。
なお、アルミニウム押出形材製熱交換管(2)を形成する合金中には、不可避不純物として、Si0.2質量%以下、Fe0.2質量%以下、Mg0.05質量%以下、Cr0.05質量%以下、Zn0.05質量%以下、Ti0.05質量%以下が含まれていることがある。これらの不可避不純物の含有量は0の場合がある。Si、Feは含有量が多くなりすぎると、熱交換管(2)の耐食性が低下し、Znは含有量が多くなりすぎると、熱交換管(2)の自然電位が卑化することで周辺部品との電位バランスが変わってしまい、Ti含有量が多くなりすぎると、コストが高くなる。さらに、Si、Fe、Mg、Cr、Zn、Ti以外の不可避不純物が、個々の含有量が0.05質量%以下(0質量%を含む)で、かつ合計含有量が0.15質量%以下となるように含まれていることがある。
コルゲートフィン(3)は、たとえばMn1.0〜1.5質量%、Zn1.2〜1.8質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl合金で形成されていることが好ましい。コルゲートフィン(3)を形成するAl合金は、ベア材製フィンとして通常用いられる合金である。
コルゲートフィン(3)を形成する合金中のMnは、コルゲートフィン(3)の強度を向上させる性質を有するが、Mn含有量が1.0質量%未満であるとこの効果が得られず、1.5質量%を超えると加工性が低下するから、Mn含有量を1.0〜1.5質量%とする。
また、コルゲートフィン(3)を形成する合金中のZnは、熱交換管(2)との電位バランスを適切に保つ性質を有するが、Zn含有量が1.2質量%未満であるとこの効果が得られず、1.8質量%を超えるとコルゲートフィン(3)が腐食が激しくなるので、Zn含有量を1.2〜1.8質量%とする。
コルゲートフィン(3)を形成するAl合金中には、不可避不純物として、Si0.6質量%以下、Fe0.5質量%以下、Cu0.05質量%以下、Cr0.12質量%以下が含まれていることがある。これらの不可避不純物の含有量は0の場合がある。Si、Fe、Cuは、含有量が多くなりすぎると、コルゲートフィン(3)の腐食速度が速くなる。さらに、Si、Fe、Cu、Cr以外の不可避不純物が、個々の含有量が0.05質量%以下(0質量%を含む)で、かつ合計含有量が0.15質量%以下となるように含まれていることがある。
コンデンサ(1)は、以下に述べる方法で製造される。
まず、上述したAl合金で形成された押出形材からなる熱交換管(2)、上述したAl合金からなるコルゲートフィン(3)、サイドプレート(6)、仕切部材(7)、少なくとも外面にろう材層を有する1対の筒状アルミニウム製ヘッダタンク本体素材、閉鎖部材(12)、入口部材(8)、および出口部材(9)を用意する。ヘッダタンク本体素材には複数の管挿入穴が形成されている。
また、フラックス粉末と、平均粒径3〜5μmでかつ最大粒径が10μm未満のZn粉末と、平均粒径2〜6μmでかつ最大粒径が10μm未満のSi粉末とをバインダーに分散混合させた分散液を用意する。ここで、フラックス粉末は、たとえばKAlF4とKAlF5との混合物を主成分とするフッ化物系の非腐食性フラックスからなるものが用いられる。バインダーとしては、たとえばアクリル樹脂を3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールに溶解した溶液からなるものが用いられる。なお、分散液には、バインダーの粘度を調整する目的で、たとえば3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる希釈剤が添加される。
ついで、前記分散液を熱交換管(2)の外面に塗布するとともに分散液中の液状成分を気化させることによって、熱交換管(2)の外面に、Zn粉末付着量が4〜6g/m2、Si粉末付着量が3〜6g/m2、フラックス粉末付着量が6〜24g/m2となるように、Zn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させる。熱交換管(2)の外面にZn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させる方法としては、熱交換管(2)外面への分散液の塗布を噴霧法により行い、その後熱交換管(2)を加熱乾燥させることにより分散液中の液状成分を気化させて、熱交換管(2)の外面にZn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させる方法や、熱交換管(2)外面を予め加熱した状態で、熱交換管(2)外面への分散液の塗布をロールコート法により行い、その後熱交換管(2)を加熱乾燥させることにより分散液中の液状成分を気化させて、熱交換管(2)の外面にZn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させる方法がある。
熱交換管(2)の外面にZn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させると、熱交換管(2)の外面に、Zn粉末およびSi粉末を含んだフラックス粉末層が形成される。フラックス粉末層中においては、Zn粉末およびSi粉末は均一に分散して保持されている。
ついで、管挿入穴を有する1対のヘッダタンク本体素材を間隔をおいて配置するとともに、両ヘッダタンク本体素材の両端に閉鎖部材(12)を配置し、さらに両ヘッダタンク本体素材に仕切部材(7)を配置してヘッダタンク素材を用意する。また、熱交換管(2)とフィン(3)とを交互に配置し、熱交換管(2)の両端部をヘッダタンク素材の管挿入穴に挿入する。また、両端のフィン(3)の外側にサイドプレート(6)を配置し、さらに入口部材(8)および出口部材(9)を配置する。
ついで、ヘッダタンク本体素材と閉鎖部材(12)と仕切部材(7)とからなるヘッダタンク素材、熱交換管(2)、フィン(3)、サイドプレート(6)、入口部材(8)および出口部材(9)を仮止めして仮止め体をつくる。
ついで、仮止め体をろう付炉内に入れるとともに、ろう付炉内において仮止め体を所定温度まで昇温して加熱する。なお、熱交換管(2)以外の部品には、必要に応じて筆塗りなどの公知の方法で、フラックスを塗布しておく。
仮止め体の昇温時に、まずフラックス粉末層を形成するフラックス粉末が溶融し、熱交換管(2)外表面の酸化膜、コルゲートフィン(3)表面の酸化膜、Si粉末表面の酸化膜およびZn粉末表面の酸化膜が破壊される。ついで、SiおよびZnが熱交換管(2)の外側表層部に拡散して熱交換管(2)の外側表層部に融点の低いAl−Si−Zn合金からなるろう材が形成され、当該ろう材により熱交換管(2)とコルゲートフィン(3)とがろう付される。また、前記ろう材のうちのろう付に使われなかったものが被覆層(32)となるとともに、被覆層(32)となるAl−Si−Zn合金中のZnおよびSiが拡散して拡散層(33)が形成される。これと同時に、熱交換管(4)の外面の溶融フラックスが流れ広がると同時に溶融Znも流れ広がり、Znが熱交換管(4)の外面表層部に拡散してZn拡散層が形成される。こうして、コンデンサ(1)が製造される。
製造されたコンデンサ(1)の熱交換管(2)においては、管壁(30)は、上述したように、本体部(31)と、被覆層(32)と、本体部(31)の外側表層部に形成された拡散層(33)とを備えている。そして、熱交換管(2)の管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁(30)の最外面側に来るように存在している。
熱交換管(2)において、熱交換管(2)の管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁(30)の最外面側に来るように存在していることを限定したのは、次に述べる実験結果に基づくものである。
Cu:0.42質量%、Mn:0.16質量%、Si:0.12質量%、Fe:0.11質量%、Ti:0.01質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl合金で形成された押出形材製熱交換管と、Si:0.77質量%、Fe:0.24質量%、Mn:1.68質量%、Zn:1.60質量%、Zr:0.11質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl合金で形成されたベア材製コルゲートフィンとを用意した。熱交換管を形成するAl合金には、Si、Fe、Ti以外に、個々の含有量が0.05質量%以下である不可避不純物が、合計で0.15質量%以下含まれている。また、熱交換管の管壁の肉厚は180μmであり、コルゲートフィンの肉厚は70μmである。
さらに、KAlF4とKAlF5との混合物(当該混合物中のKAlF5量が10〜40質量%)を、90質量%以上含むフッ化物系の非腐食性フラックス粉末と、平均粒径3〜5μmでかつ最大粒径が10μm未満のZn粉末(Zn粉末の全重量の5質量%が酸化亜鉛である。)と、平均粒径2〜6μmでかつ最大粒径が10μm未満のSi粉末と、アクリル樹脂を3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールに溶解した溶液からなるバインダーと、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる希釈剤とを用意し、Zn粉末、Si粉末および非腐食性フラックス粉末を、バインダーおよび希釈剤中に分散混合させて分散液を得た。当該分散液における全成分の重量比率は、Zn粉末:Si粉末:非腐食性フラックス粉末:バインダー:希釈剤が、14.1重量部:10.6重量部:21.1重量部:9.2重量部:45.0重量部である。
ついで、前記分散液を噴霧法により熱交換管の外面に塗布した後、乾燥機内で乾燥させて分散液中の液状成分を気化させることにより、熱交換管の外面に、Zn粉末付着量が4〜6g/m2、Si粉末付着量が3〜6g/m2、フラックス粉末付着量が24g/m2以下となるように、Zn粉末、Si粉末およびフラックス粉末を付着させた。
その後、複数の熱交換管と複数のコルゲートフィンとを交互に組み合わせて積層し、窒素ガス雰囲気とされた炉内において熱交換管およびコルゲートフィンを加熱し、熱交換管とコルゲートフィンとをろう付した。熱交換管およびコルゲートフィンの加熱時には、熱交換管の実体温度が580℃以上でかつ最高温度が600.7℃となるように6.3分間加熱保持した。
熱交換管とフィンとのろう付体から1つの熱交換管を切り取り、管壁(30)最外面からの異なる深さ位置の自然電位を測定したところ、図3に示す通りとなった。なお、管壁(30)の肉厚は180μmであった。図3において、管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内における自然電位が最も低い低電位部分は、直線Aで示す位置、すなわち最外面から7μmの深さ位置にあった。また、拡散層(33)の最深部の深さ位置は、管壁(30)の最外面から100μmの深さ位置にあった。図3に示す結果から、管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内に、最も自然電位が低い低電位部分と、低電位部分よりも60mV以上高くなった自然電位を有する高電位部分とが、低電位部分が管壁(30)の最外面側に来るように存在していることが判明した。
さらに、熱交換管とフィンとのろう付についてCCT試験を240日間行っ後、1つの熱交換管を切り出し、熱交換管の管壁(30)の最外面からの腐食深さを測定したところ、最大腐食深さは53.0μmであり、拡散層(33)に存在する前記高電位部分において腐食が止められていることが分かった。また、CCT試験後の熱交換管の管壁(30)の残肉は100μm以上であり、十分な耐食性を有していることが分かった。
上述した実験結果から、熱交換管(2)の管壁(30)の最外面と拡散層(33)の最深部との間の範囲内に、当該範囲内における自然電位が最も低い低電位部分と、当該低電位部分よりも自然電位が60mV以上高くなった高電位部分とが、低電位部分が管壁(30)の最外面側に来るように存在していることを限定した。
この発明による熱交換管は、カーエアコン用コンデンサに好適に用いられる。
(1):コンデンサ(熱交換器)
(2):扁平状熱交換管
(3):コルゲートフィン
(30):管壁
(31):芯材層
(32):被覆層
(33):拡散層
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