JP6983699B2 - ろう付け用混合組成物塗料 - Google Patents
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Description
自動車用熱交換器は走行風を利用して熱交換するのに対し、空調用熱交換器はファン送風を利用して熱交換を行うため、フィン間に結露水が溜まると圧損が増加して熱交換性能低下を招く。このため、空調用熱交換器には偏平管を段方向に連通したフィンを用いる構造となっている。
特許文献1に記載の熱交換器は、上下に配列された偏平管の間にフィンの伝熱部を配置し、偏平管の間に通風路を区画し、この通風路を流れる空気と偏平管の内部を流れる流体との間で熱交換がなされる。
ろう付け用塗料組成物は一般的にはろう材とフラックスと合成樹脂と有機溶剤の混合塗料組成物であり、この混合塗料組成物をフィンと接合する偏平管に塗布しておき、フィンと偏平管を組み立ててから全体をろう付け温度に加熱してろう付けすることが行われている。
また、熱交換器においては耐食性を向上させるために犠牲陽極層を設けることが必要な場合があり、犠牲陽極層の全体腐食を進行させて偏平管における孔食の発生を抑制することが必要な場合がある。この犠牲陽極層の形成はZnを主体とするフラックスからZnをアルミニウム合金側に拡散させ、偏平管のろう付け部分の周囲に広い範囲で均一の犠牲陽極層を形成することが好ましい。ところが、上述の如くろう付け用塗料組成物の粘度が安定しない場合、Znの拡散状態にムラを生じ易く、熱交換器の耐食性が低下する問題がある。
また、本願発明は、粘度の安定性を高めることで均一な塗布を可能にするとともに、ろう付け後において良好な耐食性を備え、ろう付けムラのない良好なろう付け性を確保できるようにしたろう付け用混合組成物塗料の提供を目的とする。
本発明に係るろう付け用混合組成物塗料において、前記有機溶剤が、ギ酸、イソプロピルアルコール、フタル酸ジブチル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、酢酸エチル、フェノールの1種または2種以上であることが好ましい。
本発明に係るろう付け用混合組成物塗料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブとフィンをろう付けするためのろう付け用混合組成物塗料であって、フィンがろう付けされるチューブの表面と裏面の少なくとも一方に塗布され、塗布される場合に、ろう粉末塗布量1〜30g/m2、フラックス塗布量3〜20g/m2、合成樹脂塗布量0.2〜8.3g/m2の範囲で塗布されることが好ましい。
本発明に係るろう付け用混合組成物塗料において、前記フッ化物系フラックスが、KZnF3、ZnF3、ZnF2、LiF、KF、CaF2、AlF3、K2SiF6、KAlF4、K3AlF6、K2AlF5・5H2Oのうち、1種または2種以上であることが好ましい。
このろう付け用混合組成物塗料であれば、均一塗布が可能であるので、形成した塗膜に含まれるろう材、フラックス、合成樹脂、有機溶剤などの成分を均一化することができる。このため、アルミニウム合金チューブとフィンとのろう付けのために使用した場合、チューブとフィンの接合部分に均一なフィレットを形成することができ、品質の高いろう付けができる。
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブとフィンをろう付けするためのろう付け用混合組成物塗料であって、フィンがろう付けされるチューブの表面と裏面の少なくとも一方に塗布され、塗布される場合に、ろう粉末塗布量1〜30g/m2、フラックス塗布量3〜20g/m2、合成樹脂塗布量0.2〜8.3g/m2の範囲で塗布されるならば、製造後の粘度変化が少なく、製造後に時間が経過しても塗装性に優れ、その結果としてろう付け性の良好なろう付け接合ができる。
図1は、本発明に係わる熱交換器の一例を示すものである。この熱交換器100は左右に離間し平行に配置されたヘッダーパイプ1、2と、これらのヘッダーパイプ1、2の間に相互に間隔を保って平行に、かつ、ヘッダーパイプ1、2に対して直角に接合された複数の扁平多穴管からなるチューブ3と、各チューブ3に付設された波形のフィン4を主体として構成されている。ヘッダーパイプ1、2、チューブ3及びフィン4は、後述するアルミニウム合金から構成されている。
即ち、図2の断面に示す如く、ヘッダーパイプ1、2のスリット6に対してチューブ3の端部を挿通した部分においてろう材によりフィレット8が形成され、ヘッダーパイプ1、2に対しチューブ3がろう付けされている。また、波形のフィン4において波の頂点の部分を隣接するチューブ3の表面または裏面に対向させてそれらの間の部分に生成されたろう材によりフィレット9が形成され、チューブ3の表面側と裏面側に波形のフィン4がろう付けされている。
本実施形態の熱交換器100は、後述する製造方法において詳述するように、ヘッダーパイプ1,2とそれらの間に架設された複数のチューブ3と複数のフィン4とを組み付けて図3に示す如く熱交換器組立体101を形成し、これを加熱してろう付けすることにより製造されたものである。
チューブ3は、図4に断面構造を示す如く内部に複数の通路3Cが形成されるとともに、平坦な表面(上面)3A及び裏面(下面)3Bと、これら表面3A及び裏面3Bに隣接する側面3Dとを具備したアルミニウム合金製の押出偏平多穴管からなる。なお、チューブ3に形成する通路3Cは図4に示す例では隔壁3Eにより仕切られて10個形成されているが、通路3Cの形成個数は任意であり、一般的には数個〜数10個形成されている。また、一般的な熱交換器においてチューブ3は高さ(総厚)1mm〜数mm程度、幅数10mm程度であって、通路3Cを区画する壁部の肉厚は、0.1〜1.5mm程度の肉薄構造とされている。なお、この明細書において数値範囲の上限と下限を数値と〜を用いて表記する場合、特に注記しない場合はその上限と下限を含むものとする。よって、0.1〜1.5mmは0.1mm以上1.5mm以下を意味する。
このろう付け用混合組成物塗料に含まれている固形物は一例として、ろう材、フラックス、合成樹脂からなり、固形物がフラックスと合成樹脂であっても良い。
また、前記有機溶剤のSP値が9.4以上14以下であり、前記水の割合が全体に対し0.4質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。
ろう付け用混合組成物塗料に含まれている固形物とは、ろう粉末などのろう材、フラックス、合成樹脂を示す。
<塗料中のろう材量1.5〜73質量%>
ろう付け用混合組成物塗料におけるろう材含有量は1.5〜73質量%の範囲が好ましい。
ろう材含有量が1.5質量%未満ではろう付け用塗膜7に必要なろう材量を確保することができなくなり、ろう付け性が低下する。
ろう材含有量が73質量%を超えるとろう付け塗膜7に過剰なろう材を含むこととなり、過剰なろう形成によりフィレットにZnが濃縮しやすくなり、ろう材としてSi粉末を使用する場合は、未反応Si残渣が発生するとともにチューブの腐食深さが大きくなり、フィンの分離を防止しようとする目的の効果が得られない。
<ろう粉末>
Si粉末、Al−Si粉末などからなるろう粉末は、ろう付時に溶融してろう液となり、フィン4とチューブ3を接合するろうを形成する。このろう液にフラックス中のZnが拡散し、チューブ3の表面に均一に広がる。液相であるろう液内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、チューブ3表面のZn濃度がほぼ均一となり、これにより均一なZn拡散層が形成され、チューブ3の耐食性を向上することができる。
ろう粉末(ろう材)の塗布量は1〜30g/m2の範囲であることが好ましい。ろう粉末の塗布量が少なすぎる場合は、ろう付け性が低下する恐れがあり、多すぎる場合は、過剰なろう形成によりフィレットにZnが濃縮しやすくなり、フィレットが優先腐食され、フィンの分離を防止しようとする目的の効果が得られない。このため、塗膜におけるろう粉末の含有量は1〜30g/m2とすることが好ましい。
Zn含有フラックスは、ろう付に際し、チューブ3の表面にZn拡散層を形成し、耐孔食性を向上させる効果がある。また、ろう付時にチューブ3の外面の酸化膜を破壊し、ろの広がり、ぬれを促進してろう付け性を向上させる作用を有する。このZn含有フラックスは、Znを含まないフラックスに比べ活性度が高いので、比較的微細なSi粉末を用いても良好なろう付け性が得られる。Zn含有フラックスは、KZnF3、ZnF3のうち、1種または2種以上を用いることが好ましい。
Zn非含有フラックスとしてフッ化物系フラックスあるいはフルオロアルミン酸カリウム系のフラックスはKAlF4を主成分とするフラックスであり、添加物を加えた種々の組成が知られている。K3AlF6+KAlF4なる組成のもの、Cs(x)K(y)F(z)などを例示できる。他に、LiF、KF、CaF2、AlF3、K2SiF6等のフッ化物を添加したフッ化物系フラックス(例えば、フルオロアルミン酸カリウム系のフラックス)を用いることもできる。Znフラックスに加えてフッ化物系フラックス(例えばフルオロアルミン酸カリウム系のフラックス)を添加することでろう付け性向上に寄与する。
ろう付け用混合組成物塗料におけるフラックス含有量は2.5〜74質量%の範囲が好ましい。
フラックスの含有量が2.5質量%未満であると、ろうの形成が不十分になり、被ろう付材(チューブ3)の表面酸化皮膜の破壊除去が不十分なためにろう付不良を招く。一方、フラックスの含有量が74質量%を超えると、塗膜が厚いため、ろう付け時にフィンとチューブの隙間が大きく接合不良が発生する。
塗膜においてフラックスの塗布量が3g/m2未満であると、ろうの形成が不十分となるので、被ろう付材(チューブ3)の表面酸化皮膜の破壊除去が不十分なためにろう付不良を招く。一方、塗布量が20g/m2を超えると、塗膜が厚いため、ろう付け時にフィンとチューブの隙間が大きく接合不良が発生する。このため、フラックスの塗布量を3〜20g/m2とする。
フラックスは、必要に応じて、LiF、KF、CaF2、AlF3、K2SiF6、KAlF4、K3AlF6、K2AlF5・5H2O、KZnF3、ZnF3などのフッ化物系フラックスのうち、1種または2種以上を混合した混合型のフラックスを用いても良い。
ろう付け用混合組成物塗料には、ろう粉末、フラックスに加えてバインダとしての合成樹脂を含む。バインダとしての合成樹脂の一例として、アクリル系樹脂、ポリエーテル骨格を有する樹脂、セルロース系樹脂を例示できる。
ろう付け用混合組成物塗料における合成樹脂含有量(バインダの含有量)は4.5〜14.5質量%の範囲が好ましい。
ろう付け用混合組成物塗料におけるバインダの含有量が4.5質量%未満であると、塗膜硬度が低下し、加工性(耐塗膜剥離性)が低下する。一方、バインダの含有量が14.5質量%を超えると、塗膜未反応によるフィレット未形成の影響でろう付け性が低下する恐れがある。
ろう付け用塗膜7におけるバインダの塗布量が0.2g/m2未満であると、塗膜硬度が低下し、加工性(耐塗膜剥離性)が低下する。一方、バインダの塗布量が8.3g/m2を超えると、塗膜未反応によるフィレット未形成の影響でろう付け性が低下する。このため、バインダの塗布量は、0.2〜8.3g/m2とすることが好ましい。なお、バインダは、通常、ろう付の際の加熱により蒸散する。
ろう付け用混合組成物塗料に含まれる有機溶剤としては、IPA(イソプロピルアルコール)、MMB(3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)、ギ酸、フタル酸ジブチル(DBP)、酢酸エチル、フェノールの1種または2種以上などを用いることができる。
有機溶剤含有量は20〜70質量%の範囲が好ましい。
有機溶剤の含有量を20質量%より少なくすると、塗料粘度が高くなり過ぎて塗料としての広がり性に欠け、フラックスとろう材の不均一性によってろう付性が低下する問題を生じる。有機溶剤の含有量を70質量%より多くすると、塗料粘度が低くなり過ぎて塗料として過度の広がり性により、フラックスとろう材の不均一性によって耐食性およびろう付性低下の問題を生じる。
ろう付け用混合組成物塗膜中に含まれている有機溶剤のSP値は、先に塗料の説明において述べたように、9.4以上14以下である必要がある。
有機溶剤のSP値(溶解パラメーター)は溶解度のパラメーターとなる値であり塗料に添加する水との溶解性および粘度に影響する。有機溶剤の値は9.4以上14以下であることが好ましい。SP値が9.4未満では塗料粘度が高くなり過ぎて塗布ムラを発生し易くなり、多量希釈による塗布ムラに起因して耐食性の低下、ろう付け性の低下を引き起こすおそれがある。
SP値が14を超えるようであると、極性が高くなり、熱分解性の低下によるろう付性低下の問題を生じる。
ろう付け用混合組成物塗料には、ろう粉末、フラックス、バインダなどの固形物と、有機溶剤に加え、ろう付け用混合組成物塗料全体に対し0.4質量%〜2.5質量%の水が含まれている。
前述のろう付け用混合組成物塗料に水を添加することにより塗装中において新たに水分を取り込むことを抑制することができ、塗料粘度の変化を防止できる。ろう付け用混合組成物塗料に含まれている水の量が0.4質量%未満では塗料粘度の安定性に欠けるようになり、フラックスとろう材の不均一性によって耐食性およびろう付け性に問題を生じるおそれがある。
ろう付け用混合組成物塗料に含まれている水の量が2.5質量%を超えるようであると、合成樹脂分離によるろう付性低下の問題がある。
<アニオン系の親水性を有する界面活性剤あるいは樹脂>
フラックスは塗料中で凝集し易く、塗料の粘度に影響を与えやすい。そこで、水に加えてアニオン系の親水性を有する界面活性剤あるいは樹脂を混合することで、フラックスの凝集を抑制し塗料粘度の変化を低減(安定化)することができる。
界面活性剤あるいは樹脂はフラックス100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下の範囲で添加することが好ましい。
なお、アニオン系の親水性を有する界面活性剤あるいは樹脂の混合量がフラックス100重量部に対して0.1重量部未満ではフラックスの凝集を抑える効果が小さく、また10重量部を越えても凝集を抑える効果に変化はない。
以下、チューブ3を構成するアルミニウム合金の各構成元素の限定理由について説明する。
SiはMnと同様に強度向上効果を有する元素である。
Siの含有量が0.05%未満では、強度向上の効果が不十分である。一方、Siが1.0%を超えて含有されると、押出性が低下する。従って本発明におけるチューブ3のSi含有量は、0.05〜1.0%に設定することが好ましい。
<Mn:0.1〜1.5%>
Mnは、チューブ3の耐食性を向上するとともに、機械的強度を向上させる元素である。また、Mnは、押出し成形時の押出性を向上する効果をも有する。更にMnは、ろうの流動性を抑制し、フィレットとチューブ表面のZn濃度差を小さくする効果がある。
Mnの含有量が0.1%未満では、耐食性及び強度向上の効果が不十分であり、ろうの流動性を抑制する効果も低下する。一方、Mnを1.5%を超えて含有させると、押出圧力増により押出性が低下する。従って本発明におけるMn含有量は、0.1〜1.5%にすることが好ましい。
チューブ3に接合されるフィン4は、質量%で、Zn:0.3〜5.0%、Mn:0.5〜2.0%、Fe:1.0%以下、Si:1.5%以下を含有し、残部不可避不純物およびアルミニウムからなるアルミニウム合金からなることが好ましい。
フィン4は、上記組成を有するアルミニウム合金を常法により溶製し、熱間圧延工程、冷間圧延工程などを経て、波形形状に加工される。なお、フィン4の製造方法は、本発明としては特に限定をされるものではなく、既知の製法を適宜採用することができる。
以下、フィン4を構成するアルミニウム合金の各構成元素の限定理由について説明する。
フィン4にZnを含有させることによってフィン4の電位を下げて、フィン4に犠牲防食効果を付与することができる。
フィン4におけるZn含有量については、質量%において0.3%以上、5.0%以下とする必要がある。フィン4におけるZn含有量が0.3%未満では犠牲防食効果が低減し、Zn含有量が5.0%を超えるようであると、自己耐食性が低下する傾向となる。
<Mn:0.5〜2.0%>
Mnはフィン4の強度を向上させ、耐食性も向上させる。
Mnの含有量が0.5%未満では、高温及び室温強度向上効果が不十分であり、一方、Mnの含有量が2.0%を超えると、フィン4を作製する際に加工性が不足する。したがって、フィンを構成する合金におけるMnの含有量は、0.5〜2.0%にする。
Siを含有することによって、Mnとの化合物を形成し、強度向上効果を奏し得るようにする。
<Fe:1.0%以下>
Feは強度を向上させるが、Feの含有量が1.0%を超えると、フィン4自身の自己腐食速度が増加するので耐食性が低下する。
上述のスプレー法、シャワー法、フローコータ法、ロールコータ法、刷毛塗り法、浸漬法、静電塗布法などのいずれの塗布法を用いても、塗料の粘度が製造時と大きく変わっている場合は塗布条件を見直す必要がある。しかし、上述のろう付け用混合組成物塗料であれば、製造直後と大きく変わらない粘度を長時間維持できるので、ろう付け用混合組成物塗料の製造から時間が経過してから塗布する場合であっても均一な塗膜をチューブ3に形成できる。
図3は、フィン4との接合面にろう付け用塗膜7を塗布したチューブ3を使用して、ヘッダーパイプ1、2、チューブ3及びフィン4を組み立てた状態を示す熱交換器組立体101の部分拡大図であって、加熱ろう付する前の状態を示している。図3に示す熱交換器組立体101において、チューブ3はその一端をヘッダーパイプ1に設けたスリット6に挿入し取り付けられている。
ろう付の条件は特に限定されない。一例として、炉内を窒素雰囲気とし、熱交換器組立体101を昇温速度5℃/分以上でろう付け温度(実体到達温度)580〜620℃に加熱し、ろう付け温度で30秒以上保持し、ろう付け温度から400℃までの冷却速度を10℃/分以上として冷却してもよい。
得られた熱交換器100は、チューブ3の表面に適度なZnを含む犠牲陽極層が形成されて孔食が防止され、長期に亘ってチューブ3とフィン4とが確実に接合されたままとなり、良好な熱交換性能が維持される。即ち、チューブ3に孔食が生じ難く、チューブ3自体の耐食性に優れるとともに、良好なろう付け性に起因してフィン4の脱落を生じ難い熱交換器100を提供できる。
質量%でSi:1.0%、Mn:1.5%、Fe:0.2%、Zn:1.5%、残部Alおよび不可避不純物の組成を有するフィン用Al合金を均質加熱処理後、熱間圧延、冷間圧延することにより、厚さ0.08mmのAl合金板材を得た。このAl合金板材をコルゲート加工することにより、フィンを作製した。
次に、前記押出多穴チューブの表面と裏面に、ろう付け用混合組成物塗料をロール塗布し、150℃で3分間乾燥させてろう付け用塗膜を形成した。
表1に示す各組成のろう付け用混合組成物塗料について、塗料作製直後の粘度(B型粘度計、回転数60rpm、5分経過後の測定値)と大気中に24時間放置した後(B型粘度計、回転数60rpm、5分経過後の測定値)の粘度を測定し、それらの差を粘度変化として測定した。
また、ろう付け用混合組成物塗料として製造後、24時間経過した後の塗料を用いて先の押出多穴チューブに塗布量10g/m2になるように塗布してろう付け用塗膜を形成した。
この塗膜を形成する場合の塗装性として、24時間経過後の塗料の粘度差が±30(mPa・s)未満であれば、粘度変化が少なく、塗装性に優れていると判断した。
以上の結果を以下の表1に示す。
これらの実施例試料は、粘度変化が30(mPa・s)以下であり、塗装性とろう付け性に優れた試料であった。
比較例2は水の含有量が望ましい範囲より少ない試料であるが、塗装性とろう付け性ともに劣る結果となり、比較例3は水の含有量が多すぎた試料であるが、粘度変化が大きく、ろう付け性に劣る結果となった。
比較例4の試料は有機溶媒SP値が小さい試料であるが粘度変化が大幅に上昇し、塗装性とろう付け性ともに劣る結果となり、比較例5の試料は有機溶媒SP値が大きい試料であるがろう付け性に問題を生じた。
比較例6の試料はろう材の含有量が低い試料であるため、ろう付け性に問題を生じた。
比較例7の試料はろう材の量が多く、有機溶剤の量が少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例8の試料はフラックス量の少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例9の試料はフラックス量が多く、有機溶剤の量が少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例10の試料はバインダ量の少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例11の試料はバインダ量の多い試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
以下の表2に示す通り、Zn含有フラックスあるいはZn含有フラックスとZn非含有フラックスの混合フラックスを用い、水に加えてアニオン系界面活性剤を添加し、表1の場合と同等の試験を行った。
その結果を表2に示す。なお、表2に示す実施例32、33、34はフラックスとしてKZnF3とKAlF4を質量比4:5で配合し添加している。
表2に示す実施例18〜34の試料は、固形物と有機溶剤と水との合計質量全体に対し固形物を30質量%以上80質量%以下、水を含む有機溶剤を20質量%以上70質量%以下含有し、全体に対し水を0.4質量%以上2.5質量%以下含有し、Zn含有フラックスを2.5〜74質量%含有した塗料を用いた試料である。
これらの実施例試料は、粘度変化が30(mPa・s)以下であり、塗装性とろう付け性に優れた試料であった。
比較例13は水の含有量が望ましい範囲より少ない試料であるが、塗装性とろう付け性ともに劣る結果となり、比較例14は水の含有量が多すぎた試料であるが、粘度変化が大きく、ろう付け性に劣る結果となった。
比較例15の試料は有機溶媒SP値が小さい試料であるが粘度変化が大幅に上昇し、塗装性とろう付け性ともに劣る結果となり、比較例16の試料は有機溶媒SP値が大きい試料であるがろう付け性に問題を生じた。
比較例18の試料はろう材の量が多く、有機溶剤の量が少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例19の試料はフラックス量の少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例20の試料はフラックス量が多く、有機溶剤の量が少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例21の試料はバインダ量の少ない試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
比較例22の試料はバインダ量の多い試料であるが、ろう付け性に問題を生じた。
Claims (8)
- 固形物と有機溶剤と水との合計質量が100質量%であり、
前記固形物が、ろう材、フラックス、合成樹脂のうち、フラックスと合成樹脂、または、ろう材とフラックスと合成樹脂からなり、
前記ろう材を含む場合にSi粉末またはSiを含む合金粉末が含まれ、
前記フラックスがZn非含有フッ化物系フラックスであり、
前記合成樹脂が、アクリル系樹脂、ポリエーテル骨格を有する樹脂、セルロース系樹脂の1種又は2種以上であり、
前記有機溶剤のSP値が9.4以上14以下であり、全体に対し有機溶剤と水の合計質量を20質量%以上70質量%以下含有し、全体に対し水を0.4質量%以上2.5質量%以下有し、
前記固形物が、前記フラックスと合成樹脂である場合、全体に対し前記フラックスを2.5質量%以上74質量%以下、合成樹脂を4.5質量%以上14.5質量%以下含み、前記固形物が、前記ろう材と前記フラックスと前記合成樹脂である場合、全体に対し前記ろう材を1.5質量%以上73質量%以下、前記フラックスを2.5質量%以上74質量%以下、前記合成樹脂を4.5質量%以上14.5質量%以下含むことを特徴とするろう付け用混合組成物塗料。 - 前記有機溶剤が、ギ酸、イソプロピルアルコール、フタル酸ジブチル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、酢酸エチル、フェノールの1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のろう付用混合組成物塗料。
- 前記フッ化物系フラックスが、LiF、KF、CaF2、AlF3、K2SiF6、KAlF4、K3AlF6、K2AlF5・5H2Oのうち、1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろう付け用混合組成物塗料。
- アニオン系の水溶性を有する界面活性剤あるいは樹脂が前記フラックス100重量部に対して0.1〜10重量部混合されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のろう付用混合組成物塗料。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるチューブとフィンをろう付けするためのろう付け用混合組成物塗料であって、フィンがろう付けされるチューブの表面と裏面の少なくとも一方に塗布され、塗布される場合に、ろう粉末塗布量1〜30g/m2、フラックス塗布量3〜20g/m2、合成樹脂塗布量0.2〜8.3g/m2の範囲で塗布されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のろう付け用混合組成物塗料。
- 固形物と有機溶剤と水とアニオン系の水溶性を有する界面活性剤あるいは樹脂の合計質量が100質量%であり、
前記固形物が、ろう材、フラックス、合成樹脂のうち、フラックスと合成樹脂、または、ろう材とフラックスと合成樹脂からなり、
前記ろう材を含む場合にSi粉末またはSiを含む合金粉末が含まれ、
前記フラックスがZn含有フッ化物系フラックスまたはZn含有フッ化物系フラックスとZn非含有フッ化物系フラックスの混合フラックスであり、
前記合成樹脂が、アクリル系樹脂、ポリエーテル骨格を有する樹脂、セルロース系樹脂の1種又は2種以上であり、
前記有機溶剤のSP値が9.4以上14以下であり、 全体に対し固形物を30質量%以上80質量%以下、全体に対し有機溶剤と水の合計質量を20質量%以上70質量%以下含有し、全体に対し水を0.4質量%以上2.5質量%以下有し、
更に前記固形物が、前記フラックスと前記合成樹脂である場合、全体に対し前記フラックスを2.5質量%以上74質量%以下、前記合成樹脂を4.5質量%以上14.5質量%以下含み、前記固形物が、前記ろう材と前記フラックスと前記合成樹脂である場合、全体に対し前記ろう材を1.5質量%以上73質量%以下、前記フラックスを2.5質量%以上74質量%以下、前記合成樹脂を4.5質量%以上14.5質量%以下含み、
前記アニオン系の水溶性を有する界面活性剤あるいは樹脂が前記フラックス100重量部に対して0.1〜10重量部混合されていることを特徴とするろう付け用混合組成物塗料。 - 前記有機溶剤が、ギ酸、イソプロピルアルコール、フタル酸ジブチル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、酢酸エチル、フェノールの1種または2種以上であることを特徴とする請求項6に記載のろう付用混合組成物塗料。
- 前記フッ化物系フラックスが、KZnF3、ZnF3、ZnF2、LiF、KF、CaF2、AlF3、K2SiF6、KAlF4、K3AlF6、K2AlF5・5H2Oのうち、1種または2種以上であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のろう付け用混合組成物塗料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018046017A JP6983699B2 (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | ろう付け用混合組成物塗料 |
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