JP2019043938A - イベルメクチンを含有するクロソイのクラビネママリエ感染駆除用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロソイのクラビネママリエ感染の駆除用組成物及び駆除方法の提供。【解決手段】イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイ(Sebastes schlegeli)のクラビネママリエ(Clavinema mariae)感染駆除用組成物。イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用飼料。前記組成物または前記飼料をクロソイに投与するステップを含む、クロソイのクラビネママリエ感染駆除方法。【選択図】図3
Description
本発明は、イベルメクチンを含有するクロソイのクラビネママリエ感染駆除用組成物に関し、より詳細には、イベルメクチンを有効成分として含有するクロソイのクラビネママリエ感染駆除用組成物、およびクロソイにイベルメクチンを経口投与してクラビネママリエ感染を駆除する方法に関する。
クロソイ(Sebastes schlegeli)は、ヒラメとともに韓国の海産魚類養殖において代表される重要な養殖対象魚種であって、胴部と鰭は黒褐色、腹部は灰色を呈する卵胎生魚種である。水深10〜100mの岩礁地帯に生育しており、韓国の全沿岸、日本および中国などの北西太平洋地域に生息している。養殖の初期には、養殖生産量に比べて海面漁業量がより多かったが、1990年代後半から養殖生産量が急激が増加し、2007年には35,564トンまで生産量が増加して、2013年には全養殖生産量の32.5%を占めることとなった。しかし、その後、生産の割合がやや減少して2015年には18,774トンを生産し、養殖生産量の約22%を占めている(KOSIS,2016)。
このように養殖魚種として重要な位置を占めているクロソイは、年中頻繁に発生する疾病および飼育環境の急激な変化により、養殖場での死亡が持続的に発生している状況である。クロソイに感染される細菌としては、Flexibacter、Streptococcus、Vibrioなどが報告されており、ウイルス性疾病としては、Red sea bream irido virus(RSIV)、Viral hemorrhagic septicaemia virus(VHSV)、Nervous necrosis virus(NNV)、およびLymphocystis病の感染が報告されている。寄生虫としては、Microcotyle、Epitheliocystis、Benedenia、Trichodina、Scutica、およびCaligusなどの感染が報告されている。
近年、クロソイの鰭と頭部などの表皮に寄生するPhilometridae線虫が報告されており、特に、本発明者らは、クロソイに感染される寄生虫を、18S rRNAとCOI(Cytochrome c oxidase subunit I)遺伝子(gene)を対象として分子生物学的同定し、形態学的に種(species)の分類ステップまで同定した結果、Clavinema mariaeと最終的に確認された。クラビネママリエ(Clavinema mariae)は1930年にクロガシラガレイの鰭から最初に分離され、当時にはPhilometra mariaeとして報告された。その後、Machidaは、Right‐eyed flounder、Limanda yokohamaeの鰭および鰓蓋で寄生虫を発見してClavinema genusに再分類すべきであると主張し、MargolisとMoravecによってクラビネママリエ(Clavinema mariae)に再分類された。韓国の養殖クロソイでクラビネママリエの感染が確認された事例を除くと、養殖魚類でクラビネママリエが感染された事例はなく、何れも自然産魚類で感染された報告があった。また、現在まで、魚類のクラビネママリエ感染に対する治療が試された例はない。
クロソイのクラビネママリエ(Clavinema mariae)は、その感染自体が魚類に直接的な死亡を誘発するのではないが、魚類に感染されると、その生活環において幼虫が成虫になって魚類から抜け出る時期に誘発される傷を介して二次病原細菌の感染が発生し、魚類が廃死されることが確認された。2012年、西海岸の淺水灣地域でクラビネママリエ(Clavinema mariae)による死亡が最初に報告されてから、夏季にクラビネママリエ(Clavinema mariae)による死亡が持続的に発生し、深刻な被害を与えている。
このような技術的な背景下で、本発明者らは、クロソイのクラビネママリエ(Clavinema mariae)感染を駆除することのできる、安全性が確保された駆虫剤を開発するために鋭意努力した結果、種々の候補物質の中でも、イベルメクチン(Ivermectine)が特に魚類に安全で且つ駆除効果が高いことを確認することで、本発明を成すに至った。
特許文献1:ヨーロッパ特許公報第0214731号
非特許文献1:Seo HG et al. 2014. A nematoda infection in the Epithelial Tissue of Cultured Rockfish Sebastes schlegeli in Cheonsu Bay, Western Korea. Kor J Fish Aquat Sci 47(5), 603-610. http://dx.doi.org/10.5657/KFAS.2014.0603.
非特許文献2: Han HJ et al. 2017. First report of Clavinema mariae (Nematoda: Philometridae) in cultured rockfish, Sebastes schlegeli, in Cheonsuman (Bay), Republic of Korea. Korean Journal of Parasitology 55(2), 219-224.
非特許文献2: Han HJ et al. 2017. First report of Clavinema mariae (Nematoda: Philometridae) in cultured rockfish, Sebastes schlegeli, in Cheonsuman (Bay), Republic of Korea. Korean Journal of Parasitology 55(2), 219-224.
本発明の目的は、クロソイのクラビネママリエ感染を駆除するための新規なおよび飼料を提供するところにある。
本発明の他の目的は、クロソイのクラビネママリエ感染を駆除または予防するための新規な方法を提供するところにある。
前記目的を達成するために、本発明は、イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用組成物を提供する。
本発明はまた、イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用飼料を提供する。
本発明はまた、前記組成物または前記飼料をクロソイに投与するステップを含む、クロソイのクラビネママリエ感染駆除方法を提供する。
本発明による組成物および駆除方法は、クロソイのクラビネママリエ感染の駆除効果が非常に高く、クロソイに副作用が生じることなく安全であり、経口投与が可能であるため、養殖業界で有用に活用されることができる。
他の方式で定義されない限り、本明細書において使用されたあらゆる技術的・科学的用語は、本発明が属する技術分野に熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。通常、本明細書において使用された命名法は、本技術分野において周知であり、しかも汎用されるものである。
本発明者らは、クロソイのクラビネママリエ感染を駆除することのできる駆虫剤を開発するために、家畜用として品目許容された医薬品を含め、各種文献の調査を行った。その結果、下記表1のように、総9種の候補物質を選別することができた。かかる9種の候補物質に対して、濃度毎にクラビネママリエの死滅効果を測定したところ、イベルメクチン(ivermectin)がin vitroだけでなくin vivoで効果的にクラビネママリエの死滅効果を現すことを確認することができた。
したがって、一観点において、本発明は、イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用薬学組成物に関する。
ヨーロッパ特許公報第0214731号公報には、アベルメクチン(Avermectin)系化合物の1つであるイベルメクチンが記載されている。前記イベルメクチンは、ベンズイミダゾール(Benzimidazole)系駆虫剤以後に最も良い薬剤と評価されており、哺乳動物に寄生する体外部および体内部の寄生虫だけでなく、農作物と土壌に寄生する広範囲な寄生虫に対して強い効力を示す化合物である。また、優れた安全性により、現在、韓国でも大動物および中小動物の臨床に広く用いられている。
アベルメクチンは、線虫類、ダニ、昆虫などの駆除に効能を示す新規な巨大環状ラクトン(Lactone)系物質の集合名称であって、この物質を生産する土壌放線菌類であるストレプトマイセスアベルミチリス(Streptomyces avermitilis)は土壌サンプルから最初に分離された。
アベルメクチン系化合物の1つであるアベルメクチン(avermectins)の基質として知られ、アベルメクチンB1aが少なくとも83%、B1bが20%以下で構成されている。作用機構については、線虫と節足動物の末梢神経にあるgamma amino butyric acid(BABA)の放出を誘導する信号伝逹を強化させ、虫体の末梢神経を麻痺させると知られている。ヒトの場合、経口投与4時間後には最高血漿濃度に達し、0.5‐2.0%が小便に排出され、残りは糞便に排出されて、半減期は約16時間であると報告されている(臨床寄生虫学2011)。
イベルメクチンは、牛、豚、羊などを含む種々の動物で、腸結節虫、豚糞線虫、肺虫、回虫、胃虫などの体内部の寄生虫や、シラミ、ヒゼンダニ、ダニなどの体外部の寄生虫に効力を示すことが知られているが、未だに、イベルメクチンをクロソイのクラビネママリエ感染駆除用として使用可能であることは全く報告されていない。
「有効成分」というのは、内在した薬理作用によって、その医薬品の効能・効果を直接または間接的に発現すると期待される物質または物質群として主成分を含むこと意味する。
本発明のイベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用組成物は、薬学製剤であってもよく、本発明の薬学製剤は、薬学的に許容可能な担体と共に投与されてもよい。経口投与時には.前記有効成分以外に結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などをさらに含んでもよい。注射剤の場合に、本発明の薬学製剤は、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して使用できる。また、局所投与用の場合に、本発明の薬学製剤は、基剤、賦形剤、滑剤、保存剤等が使用できる。
本発明の薬学製剤の剤形は、上述したような薬学的に許容される担体と混合して様々に製造でき、特に経口投与用剤形に製造されることができる。
他の観点において、本発明は、飼料添加剤組成物に関する。本発明の飼料添加剤組成物に含まれる成分は、有効成分としてイベルメクチン(ivermectin)以外に飼料添加剤組成物に通常利用される成分を含み、例えば成長促進物質、免疫増強用物質等各種公知の機能性飼料添加剤用物質を共に含むことができる。
本発明の飼料添加剤組成物は、当業界で通常製造されるいかなる剤形でも製造可能であり、例えば溶液、懸濁液、乳濁液、オイルまたは粉末等に製剤化されることができるが、これらに限定されない。
さらに他の観点において、本発明は、イベルメクチン(ivermectin)を有効性分として含む前記組成物または前記飼料をクロソイに投与するステップを含む、クロソイのクラビネママリエ感染駆除方法に関する。
本発明において、前記投与は、経口投与であることが好ましいか、これに限定されない。
すなわち、本発明の組成物は、経口または非経口投与共に可能で、本発明による組成物の投与経路は、これらに限定されず、例えば、口腔、筋肉内、腹腔内、局所投与および薬浴(浸漬)投与が可能である。このような臨床投与のために、本発明の組成物は、公知の技術を利用して適した剤形に製剤化することができる。
本発明において、イベルメクチンの好適な投与濃度は、0.5ppm以上2.5ppm以下であり、さらに好ましくは1ppm以上2ppm以下であるが、これらに限定されない。
本発明において、前記イベルメクチンは、0.5ppm以上1.5ppm未満の濃度で投与される場合、1〜3日の間隔で投与することが好ましく、1.5ppm以上2.5ppm以下の濃度で投与される場合、2〜3日の間隔で投与されることが好ましいが、これらに限定されない。
本発明において、有効投与量は被処理魚類の大きさ、質量、投与時間、投与方法、健康状態、疾病の重症度等によりその範囲は多様であり、本発明が属する技術分野の通常の専門家が容易に決めることができる。
本発明の組成物および駆除方法は、クラビネママリエ感染の駆除のために単独でまたはその他の薬物治療および生物学的反応調節剤を使用する方法などと併用して使用されることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
[実施例]
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
実施例1:クロソイのクラビネママリエ駆除用候補物質の選別のためのIn vitro実験
各種文献を調査し、クロソイのクラビネママリエに対する駆除薬品の候補物質を選抜した(表1)。ラビネママリエは、クロソイに人為的に感染されないため、クラビネママリエに自然感染されたクロソイを選別して実験に用いた。クラビネママリエに自然感染されたクロソイから、ピンセットにて注意深くクラビネママリエを摘出してPBSに保存し、9種の候補物質に多様な濃度で直接露出させながら殺虫効果を評価した。摘出したクラビネママリエはPBSで数日間生存して自由に動くが(図1)、殺虫されると動きが消去されるため、その死滅有無は動きの有無で容易に観察可能である。9種の候補物質のうち、フェンベンダゾール(Fenbendazole)、ピランテル(Pyrantel)、レバミソール(Levamisole)、ピペラジン(Piperazine)、イベルメクチン(Ivermectine)、トリクロルホン(Trichlorfon)、およびプラジカンテル(Praziquantel)はSigma Aldrich(USA)から購入し、過酸化水素(Hydrogen peroxide)、ホルマリン(Formaline solution)はJunsei(Japan)から購入した。前記候補物質のうち、難溶性化合物であるフェンベンダゾール(Fenbendazole)は、100%エタノールに溶かした後、PBSで希釈して使用し、ピペラジン(piperazine)およびイベルメクチン(ivermectine)は、DMSO(Dimethylsulfoxide;ジメチルスルホキシド)に溶かした後、PBSで希釈して使用した。
各種文献を調査し、クロソイのクラビネママリエに対する駆除薬品の候補物質を選抜した(表1)。ラビネママリエは、クロソイに人為的に感染されないため、クラビネママリエに自然感染されたクロソイを選別して実験に用いた。クラビネママリエに自然感染されたクロソイから、ピンセットにて注意深くクラビネママリエを摘出してPBSに保存し、9種の候補物質に多様な濃度で直接露出させながら殺虫効果を評価した。摘出したクラビネママリエはPBSで数日間生存して自由に動くが(図1)、殺虫されると動きが消去されるため、その死滅有無は動きの有無で容易に観察可能である。9種の候補物質のうち、フェンベンダゾール(Fenbendazole)、ピランテル(Pyrantel)、レバミソール(Levamisole)、ピペラジン(Piperazine)、イベルメクチン(Ivermectine)、トリクロルホン(Trichlorfon)、およびプラジカンテル(Praziquantel)はSigma Aldrich(USA)から購入し、過酸化水素(Hydrogen peroxide)、ホルマリン(Formaline solution)はJunsei(Japan)から購入した。前記候補物質のうち、難溶性化合物であるフェンベンダゾール(Fenbendazole)は、100%エタノールに溶かした後、PBSで希釈して使用し、ピペラジン(piperazine)およびイベルメクチン(ivermectine)は、DMSO(Dimethylsulfoxide;ジメチルスルホキシド)に溶かした後、PBSで希釈して使用した。
西海岸の淺水灣地域で養殖するクロソイ(平均体重150g)からクラビネママリエを摘出し(図1)、6ウェルプレートにPBSで希釈した各濃度の候補物質を2mlずつ分注し、生きているクラビネママリエを各ウェルに10匹ずつ入れて、1時間後に生存有無を確認した(図2)。クロソイのクラビネママリエ駆除に最も効果的な化合物を確認するために、人体、家畜、魚類で知られている推奨濃度(表2)と、クロソイのクラビネママリエ死滅濃度(表3)を比較した。
1出典:臨床寄生虫学、チェ・ゾンイル、2011.1.25.、ソウル大学校出版文化院
2出典:2016水産用医薬品の製品要約解説集、海洋水産部国立水産科学院
3出典:1997 Aquaculture 154, 191-199. Depletion study of fenbendazole in rainbow trout(Oncorhynchus mykiss) after oral and bath treatment, Isofidou E.G., Haagsama N., Tanck M.W.T., Boon J.H., Olling M.
前記表3に示されるように、経口用製剤であるピランテル、レバミソール、ピペラジン、イベルメクチンと、薬浴製剤であるホルマリン、過酸化水素では、In vitro実験で推奨濃度より低い濃度でクラビネママリエ殺虫効果が現れ、追加的なIn vivo実験を行った。プラジカンテルの場合、推奨濃度に比べて2000倍以上の高い濃度でもクラビネママリエ殺虫効果が現れず、トリクロルホンも殺虫効果を現す濃度が非常に高く、以後のin vivo実験対象から除いた。
実施例2:クロソイのクラビネママリエ駆除薬品のIn vivo効果実験
西海岸地域のクロソイ500匹(116±17g、20±9cm)を購入し、海水流水式陸上水槽で、水温18.5〜21℃に一週間馴致した。クラビネママリエに感染されたクロソイは目視確認が可能であるため、クロソイをMS‐222で麻酔した後、クラビネママリエに感染されたクロソイのみを目視により選別し、臨床試験に使用した。実験したクロソイにおいて、クラビネママリエはクロソイ1匹当たり平均14.4匹で感染されていることが確認された。
西海岸地域のクロソイ500匹(116±17g、20±9cm)を購入し、海水流水式陸上水槽で、水温18.5〜21℃に一週間馴致した。クラビネママリエに感染されたクロソイは目視確認が可能であるため、クロソイをMS‐222で麻酔した後、クラビネママリエに感染されたクロソイのみを目視により選別し、臨床試験に使用した。実験したクロソイにおいて、クラビネママリエはクロソイ1匹当たり平均14.4匹で感染されていることが確認された。
実験区当たりに、クラビネママリエに感染されたクロソイを各10匹ずつ使用し、フェンベンダゾール、ピランテル、レバミソール、ピペラジン、イベルメクチンは表4の方法により経口投与した。経口投与のために、配合粉末飼料に定量の候補物質を混合して飼料丸を製造し、クロソイを麻酔させてからピンセットにて胃まで挿入した(図2)。薬浴製剤の投与は、ホルマリンと過酸化水素を各濃度として薬浴を10分間行った。候補物質の処理による安全性を確認するために、実験2週間の死亡率を観察し、2週後に、全ての実験魚をMS‐222で麻酔し、ピンセットにてクラビネママリエを摘出して死滅有無を確認した。対照区には、薬品が添加されていない飼料丸を麻酔後に経口投与した。
その結果、薬浴製剤であるホルマリン、過酸化水素は、クロソイのクラビネママリエに対する駆虫効果が全く確認されず、経口用製剤のうちイベルメクチンは、1ppmを1回投与して2週後に、一部の個体でクラビネママリエの感染部位に膿が形成され、駆虫効果を現すことが確認された。一方、膿が形成された部位は、6週内に膿が消滅されると、完全に治癒する効果を現した。他の候補物質であるフェンベンダゾール、ピランテル、レバミソール、ピペラジンは、表4に記載の濃度で経口投与時に、クロソイのクラビネママリエ駆虫効果を全く現しないことが確認された。
実施例3:クロソイのクラビネママリエ駆除のためのイベルメクチンの投薬方法の決定
実施例2のIn vivo実験により、候補物質のうちイベルメクチンが、クロソイのクラビネママリエ感染に対する唯一の駆虫効果を現す物質であることが確認された。そこで、駆虫効果を極大化させるための投薬方法を確認しようとした。そのために、実験区当たりに、クラビネママリエに感染されたクロソイ10匹ずつ分類し、イベルメクチンの経口投薬濃度を1〜18ppmに変化させ、総1〜4回、毎日または2〜4日の間隔で投薬した後、2週経過時における殺虫効果とクロソイの死亡率を観察した。
実施例2のIn vivo実験により、候補物質のうちイベルメクチンが、クロソイのクラビネママリエ感染に対する唯一の駆虫効果を現す物質であることが確認された。そこで、駆虫効果を極大化させるための投薬方法を確認しようとした。そのために、実験区当たりに、クラビネママリエに感染されたクロソイ10匹ずつ分類し、イベルメクチンの経口投薬濃度を1〜18ppmに変化させ、総1〜4回、毎日または2〜4日の間隔で投薬した後、2週経過時における殺虫効果とクロソイの死亡率を観察した。
実験のうち、3ppm以上の投与区では、2回投薬後に死亡が発生しており、異常游泳や死亡が発生すると投薬を中止した。1〜2ppmを4回投与した場合に、膿が形成されて100%の線虫殺虫効果が現れ、6週後には感染部位がきれいに治癒する効果を現した。しかし、2ppmを4回投与した場合、一部のクロソイが底に沈んでいてから死亡することが確認され、3ppm以上の濃度でも死亡が発生し、18ppmの投与時には1回の投与だけで100%死亡することが確認された。このような結果から、イベルメクチンは、1〜2ppmの濃度で4回投与することが、殺虫効果および死亡率を考慮した上で最も効果的な投与方法であることが分かった。
実施例4:クロソイのイベルメクチン投薬による安定性検査
クロソイに、イベルメクチンを下記表6に記載の投薬濃度、投薬回数、および投薬間隔で経口投与し、最後の経口投与1週後に、内部臓器の病理組織学分析を行った。病理組織学分析は、実験魚の肝臓、腎臓、脾臓、鰓を10%の中性ホルマリンに固定した後、脱水、パラフィン包埋過程を行い、切断した組織にヘマトキシリン‐エオシン(H&E)染色して組織を検鏡した。病理組織検鏡の結果、肝を除いた脾臓、腎臓、鰓は、対照区と比較して全ての組織が正常と確認されたが、イベルメクチン1ppmを4回毎日若しくは2〜3日の間隔で投与した区および2ppmを2〜3日の間隔で投与した区では、肝組織の異常が確認されなかったが、2ppmを毎日投与した区で肝臓細胞の変性および液胞形成などが確認され、2ppm以上投与した全ての区でも肝臓細胞の変性および液胞形成などが確認された。したがって、1ppmを4回毎日若しくは2〜3日の間隔で投与するか、2ppmを2〜3日の間隔で投与することが安定性の点から最も望ましい投与方法であると確認された。
クロソイに、イベルメクチンを下記表6に記載の投薬濃度、投薬回数、および投薬間隔で経口投与し、最後の経口投与1週後に、内部臓器の病理組織学分析を行った。病理組織学分析は、実験魚の肝臓、腎臓、脾臓、鰓を10%の中性ホルマリンに固定した後、脱水、パラフィン包埋過程を行い、切断した組織にヘマトキシリン‐エオシン(H&E)染色して組織を検鏡した。病理組織検鏡の結果、肝を除いた脾臓、腎臓、鰓は、対照区と比較して全ての組織が正常と確認されたが、イベルメクチン1ppmを4回毎日若しくは2〜3日の間隔で投与した区および2ppmを2〜3日の間隔で投与した区では、肝組織の異常が確認されなかったが、2ppmを毎日投与した区で肝臓細胞の変性および液胞形成などが確認され、2ppm以上投与した全ての区でも肝臓細胞の変性および液胞形成などが確認された。したがって、1ppmを4回毎日若しくは2〜3日の間隔で投与するか、2ppmを2〜3日の間隔で投与することが安定性の点から最も望ましい投与方法であると確認された。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
Claims (7)
- イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイ(Sebastes schlegeli)のクラビネママリエ(Clavinema mariae)感染駆除用組成物。
- イベルメクチン(ivermectin)を有効成分として含むクロソイのクラビネママリエ感染駆除用飼料。
- 請求項1に記載の組成物または請求項2に記載の飼料をクロソイに投与するステップを含む、クロソイのクラビネママリエ感染駆除方法。
- 前記投与は、経口投与であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記イベルメクチンが、0.5ppm以上2.5ppm以下の濃度で投与されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記イベルメクチンが、0.5ppm以上1.5ppm未満の濃度で投与される場合、1〜3日の間隔で投与されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記イベルメクチンが、1.5ppm以上2.5ppm以下の濃度で投与される場合、2〜3日の間隔で投与されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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KR1020170110160A KR101789736B1 (ko) | 2017-08-30 | 2017-08-30 | 이버멕틴을 함유하는 조피볼락의 클라비네마 마리에 감염 구제용 조성물 |
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