JP7128466B2 - 海産魚のべこ病に有効な治療薬とその投与方法 - Google Patents
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Description
[1]フェバンテルを含む、海産魚のべこ病の予防又は治療薬。
[2]海産魚がブリ属魚類である、[1]の予防又は治療薬。
[3]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対し投与することを特徴とする、[1]又は[2]の予防又は治療薬。
[4]フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[1]~[3]のいずれかの予防又は治療薬。
[5]フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[1]~[3]のいずれかの予防又は治療薬。
[6]3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[1]~[5]のいずれかの予防又は治療薬。
[7]4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[1]~[5]のいずれかの予防又は治療薬。
[8]フェバンテルを含む、海産魚のミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療薬。
[9]海産魚がブリ属魚類である、[8]の予防又は治療薬。
[10]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対し投与することを特徴とする、[8]又は[9]の予防又は治療薬。
[11]フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[8]~[10]のいずれかの予防又は治療薬。
[12]フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[8]~[10]のいずれかの予防又は治療薬。
[13]3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[8]~[12]のいずれかの予防又は治療薬。
[14]4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[8]~[12]のいずれかの予防又は治療薬。
[15]海産魚に対しフェバンテルを投与することを含む、該海産魚におけるべこ病の予防又は治療方法。
[16]海産魚がブリ属魚類である、[15]の方法。
[17]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対しフェバンテルを投与する、[15]又は[16]の方法。
[18]フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[15]~[17]のいずれかの方法。
[19]フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[15]~[17]のいずれかの方法。
[20]3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[15]~[19]のいずれかの方法。
[21]4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[15]~[19]のいずれかの方法。
[22]海産魚に対しフェバンテルを投与することを含む、該海産魚におけるミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療方法。
[23]海産魚がブリ属魚類である、[22]の方法。
[24]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対しフェバンテルを投与する、[22]又は[23]の方法。
[25]フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[22]~[24]のいずれかの方法。
[26]フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、[22]~[24]のいずれかの方法。
[27]3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[22]~[26]のいずれかの方法。
[28]4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、[22]~[26]のいずれかの方法。
[29]ミクロスポリジウム属微胞子虫を特異的に検出し得るプライマーセット又は核酸プローブ、並びにフェバンテルを含む、海産魚べこ病の予防又は治療用キット。
[1’]ベンズイミダゾール系薬剤を含む、海産魚のべこ病の予防又は治療薬。
[2’]海産魚がブリ属魚類である、[1’]の予防又は治療薬。
[3’]ベンズイミダゾール系薬剤が、アルベンダゾール、フェンベンダゾール又はフェバンテルである、[1’]又は[2’]の予防又は治療薬。
[4’]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対し投与することを特徴とする、[1’]~[3’]のいずれかの予防又は治療薬。
[5’]ベンズイミダゾール系薬剤を含む、海産魚のミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療薬。
[6’]海産魚がブリ属魚類である、[5’]の予防又は治療薬。
[7’]ベンズイミダゾール系薬剤が、アルベンダゾール、フェンベンダゾール又はフェバンテルである、[5’]又は[6’]の予防又は治療薬。
[8’]海産魚に対しベンズイミダゾール系薬剤を投与することを含む、該海産魚におけるべこ病の予防又は治療方法。
[9’]海産魚がブリ属魚類である、[8’]記載の方法。
[10’]ベンズイミダゾール系薬剤が、アルベンダゾール、フェンベンダゾール又はフェバンテルである、[8’]又は[9’]の方法。
[11’]シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対しベンズイミダゾール系薬剤を投与する、[8’]~[10’]のいずれかの方法。
[12’]海産魚に対しベンズイミダゾール系薬剤を投与することを含む、該海産魚におけるミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療方法。
[13’]海産魚がブリ属魚類である、[8’]の方法。
[14’]ベンズイミダゾール系薬剤が、アルベンダゾール、フェンベンダゾール又はフェバンテルである、[12’]又は[13’]の方法。
[15’]ミクロスポリジウム属微胞子虫を特異的に検出し得るプライマーセット又は核酸プローブ、並びにベンズイミダゾール系薬剤を含む、海産魚べこ病の予防又は治療用キット。
また本発明により、効果的で、副作用が抑えられた安全な、海産魚のべこ病の予防又は治療薬が提供される。当該予防又は治療薬は、例えば、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚におけるミクロスポリジウム属微胞子虫の増殖抑制剤や、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚におけるシスト形成抑制剤等として用いられ得る。
一態様において、フェバンテルを配合した飼料を摂取させる場合、フェバンテルとして、1 mg/kg体重/日以上、例えば3 mg/kg体重/日以上、好ましくは5 mg/kg体重/日以上、より好ましくは7 mg/kg体重/日以上、より一層好ましくは10 mg/kg体重/日以上、さらに好ましくは12 mg/kg体重/日以上程度の用量を投与する。また、この場合、フェバンテルとして、120 mg/kg体重/日以下、例えば100 mg/kg体重/日以下、好ましくは70 mg/kg体重/日以下、より好ましくは50 mg/kg体重/日以下、より一層好ましくは30 mg/kg体重/日以下、さらに好ましくは20 mg/kg体重/日以下、特に好ましくは20 mg/kg体重/日未満程度の用量を投与する。フェバンテルの投与量が当該範囲内であることにより、海産魚のべこ病、ミクロスポリジウム属微胞子虫感染症を、副作用を抑えて安全に予防又は治療し得る。また、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚(例、ブリ属魚類)において、副作用を抑えて安全に、ミクロスポリジウム属微胞子虫の増殖を抑制し得る。また、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚(例、ブリ属魚類)において、副作用を抑えて安全に、シスト形成を抑制し得る。
一態様において、フェバンテルを用いる場合の投与期間は、通常3日間以上であり、好ましくは3日間以上14日間以下であり、より好ましくは3日間以上14日間未満であり、より一層好ましくは3日間以上12日間以下であり、さらに好ましくは3日間以上7日間以下である。フェバンテルは、当該投与期間で連日投与する(すなわち、当該投与期間で連日投与することを1回行う)か、あるいは、連日投与の後に休薬期間を設けて定期的に投与してもよく、例えば、3日間以上14日間以下(好ましくは、3日間以上7日間以下)連日投与した後で、2日間以上5日間以下(好ましくは、4日間)の休薬期間を設けるサイクルを複数回(好ましくは、2~10回、より好ましくは3~7回、さらに好ましくは3~5回)行ってもよい。フェバンテルの投与期間が前記の範囲内であることにより、海産魚のべこ病、ミクロスポリジウム属微胞子虫感染症を、副作用を抑えて安全に予防又は治療し得る。また、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚(例、ブリ属魚類)において、副作用を抑えて安全に、ミクロスポリジウム属微胞子虫の増殖を抑制し得る。また、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚(例、ブリ属魚類)において、副作用を抑えて安全に、シスト形成を抑制し得る。
本発明におけるフェバンテルの投与は、前記の投与期間で連日投与することを1回のみ行うものであってよいが、連日投与した後で休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことにより、例えば、ミクロスポリジウム属微胞子虫の増殖を抑制する効果、シスト形成を抑制する効果等が、より向上し得る。
フェバンテルを含有するもの(例、フェバンテルを配合した飼料等)であって、
ミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚(好ましくは、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚)に、
フェバンテルとして、例えば3~120 mg/kg体重/日(好ましくは3~50 mg/kg体重/日、より好ましくは3~30 mg/kg体重/日、さらに好ましくは3~20 mg/kg体重/日)の用量を、
3日間以上14日間以下(好ましくは3日間以上12日間以下、より好ましくは3日間以上7日間以下)連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下(好ましくは、3日間以上7日間以下)連日投与した後で、2日間以上5日間以下(好ましくは、4日間)の休薬期間を設けるサイクルを複数回(好ましくは、2~10回、より好ましくは3~7回、さらに好ましくは3~5回)行うもの
であってよい。
また、本発明の予防又は治療薬は、他の一態様において、シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚におけるシスト形成抑制剤であってよい。
微胞子虫Microsporidium seriolae感染によるブリ類のべこ病では、水温によって差があるが感染後20日程度で体側筋中にシストが形成される。試験1では感染直後のシストが認められていない感染魚群を用い、試験2、試験3及び試験4では感染後時間が経過しシストが認められている感染魚群を用い、数種の薬剤を経日投与し、シスト形成及び体側筋中での原因虫増殖の有無を調べ、各薬剤の治療効果を明らかにすることを目的とした。試験5では有効性が認められた薬剤をシストが認められている感染魚群に投与し、シスト中の胞子の死滅効果を明らかにすることを目的とした。
べこ病の感染魚を作出するため、感染が認められた海域の海面生け簀に供試魚としてカンパチ稚魚を収容した。収容後、定期的に感染の有無を診断し感染が確認された群を、陸上水槽に移動し、新たにべこ病に感染しない清浄な環境で、供試薬剤を配合飼料に添加する経口投与により投薬試験を開始した。一定期間投薬後に剖検しシストの形成及び体側筋中の寄生虫の有無を肉眼及びPCR等で検査し、投薬した薬剤の治療効果を判定した(図1)。試験の詳細は以下の通りである。
感染が認められた海域の海面生け贅にカンパチ人工種苗を収容後、定期的に剖検し肉眼で体側筋中のシストの確認と後述のリアルタイムPCR法により感染の有無を診断し、感染が認められた生け簀のカンパチを陸上水槽に移し投薬試験に供した。
投薬開始時の平均体重は17.Og、平均尾叉長は10.3cmであった。投薬開始前に30尾をサンプリングし、リアルタイムPCR法で診断したところ2尾の体側筋からM. seriolaeが検出されたが、何れの個体からもシストは認められなかった。この魚群を、表1に記載の8区に区分し、投薬試験を行った。各投薬試験区に46~52尾を供試した。
投薬開始時の平均体重は39.Og、平均尾叉長は12.7cmであった。投薬開始前に31尾をサンプリングし、リアルタイムPCR法で診断したところ3尾の体側筋からM. seriolaeが検出され、3尾の体側筋に肉眼でシストが認められた。この魚群を、表2に記載の8区(試験2)及び表3に記載の3区に区分し、投薬試験を行った。各投薬試験区に46~50尾を供試した。
投薬開始時の平均体重は21.4g、平均尾叉長は11.lcmであった。投薬開始前に20尾をサンプリングし、リアルタイムPCR法で診断したところ15尾の体側筋からM. seriolaeが検出され、8尾の体側筋に肉眼でシストが認められた。この魚群を、表4に記載の5区に区分し、投薬試験を行った。各投薬試験区に20~23尾を供試した。
投薬開始時の平均体重は128.lgであった。投薬開始前に55尾をサンプリングし、シスト保有状況を観察したところ、35尾の体側筋に肉眼でシストが認められた。この魚群を、表5に記載の3区に区分し、投薬試験を行った。各投薬試験区に20尾を供試した。
左体側筋肉のホモジネート約25mgからDNAを抽出し、ブリ類に感染するべこ病の原因微胞子虫であるM. seriolaeのゲノムITS領域をターゲットとしたリアルタイムPCR(上流プライマー: TGCACAGGAACGAGGAATTG(配列番号1)、下流プライマー:ATAACGACGGGCGGTGTGTA(配列番号2)、プローブ;FAM-TAGTAGCCGCTGCCTCACCAAGGAGC-BHQ(配列番号3))により本虫の有無を判定した。
反応条件は、(1)初期変性(95℃、60秒間)の後、(2)変性(95℃、15秒間)と(3)伸長(60℃、45秒間)とを1サイクルとして、これ((2)及び(3))を45サイクル繰り返すこととし、蛍光測定は伸長ステップに設定した。
配合飼料重量に対し10%重量(w/w)の蒸留水に以下の薬剤を懸濁し、薬剤懸濁液を調製した。円筒形の容器に入れた配合飼料に、薬剤懸濁液を添加し、ポッドミル回転台上で30分間撹拌し薬剤を吸収させた。さらに、配合飼料重量に対し、5%重量(w/w)の展着剤(SD展着、シェリング・プラウアニマルヘルス)を加えて撹拌した後、使用するまで-30℃の冷凍庫に保存した。試験1、試験2、試験3、試験4及び試験5に使用した薬剤は、それぞれ表1、表2、表3、表4及び表5に示した。それぞれ表に示した投与量と投与日数に従い投薬した。対照区として、配合飼料重量に対し10%重量(w/w)の蒸留水と5%重量(w/w)の展着剤を混合した飼料を給餌する試験区を設けた。1日当たりの試験飼料の給餌率は、試験1及び試験4では魚体重の2.5%、試験2及び試験3では魚体重の1.0%とした。試験5では魚体重の1.5%とした。
投薬開始から試験1~2では36、37日目、試験3ではフェバンテル投与区で36日目、対照区およびプラジクアンテル投与区で37日目、試験4では14日目、試験5では、対照区で36日目、アルベンダゾール投与区で39日目及びフェバンテル投与区で40日目に試験魚を取り上げ、剖検によって体側筋中におけるシストの形成を確認した。試験1~4では、リアルタイムPCR法により体側筋中での寄生虫の有無を検査した。試験5では、シストを摘出し、アクリジンオレンジ染色によるM. seriolae胞子の生死を判定した。
試験1では、感染直後のシストの形成が認められていない感染魚群を用い投薬を開始し、投薬開始から36、37日目に、所定の検査を行ったところ、対照区では52.4%の個体にシストが認められ、83.3%の個体からリアルタイムPCRにより寄生虫の遺伝子が検出されたのに対し、アルベンダゾール投与区では、検査した何れの個体にもシストは認められず、リアルタイムPCRによる本虫遺伝子の検出率も20.5%となり、何れの検出率も対照区に比べ有意に低い値となった(表1)。また、遺伝子が検出された個体について、筋肉のホモジェネート試料1mg当たりの標的核酸断片のコピー数を調べた。対照区でのM. seriolaeの平均コピー数は4.7×107copies/mgであったのに対し、アルベンダゾール投与区では、4.0×103copies/mgと低い結果となり、本虫の遺伝子が確認された個体であっても、投薬によって本虫の増殖が抑制されていることが示唆された。よって、アルベンダゾールには、本虫の排除あるいは増殖を抑制し、シストの形成を阻止する効果があることが明らかになった。
フェバンテル含有飼料の調製
飼料としては、60gのエクストルーダーペレット(EP)(ドライペレット)を使用した。EPの1/10量(6mL)の蒸留水にマリンバンテル(登録商標)0.1gを溶解した。マリンバンテルは、1g中に250mgのフェバンテルを含有する。円柱型の容器にEP 60gを入れ、マリンバンテル溶解液を加えた。ポットミルで容器を回転させ、マリンバンテルをEPに吸着させた。さらにEPの1/20量(3g)の展着剤(SD展着、シェリング・プラウアニマルヘルス)を容器に加えた。ポットミルで容器を回転させ、マリンバンテルをEPに展着させることにより、フェバンテル含有EPを得た。
[材料及び方法]
べこ病感染方法
ミクロスポリジウム属の微胞子虫に感染した感染魚を作出するため、感染が認められた海域の海面生簀(3m×3m×3m)に供試魚としてブリ稚魚500尾を収容した。収容後、暴露開始12日目および15日目に剖検し、肉眼で体側筋中のシストの有無を確認し、またリアルタイムPCR法により感染の有無を診断した。暴露開始17日目に供試魚を、新たにミクロスポリジウム属の微胞子虫に感染しない清浄な環境である陸上水槽に収容し、翌日からフェバンテル投薬試験に供試した。投薬開始時の平均体重は68.9g、平均尾叉長は18.1cmであり、投薬開始前に20尾をリアルタイムPCR法で診断したところ、13尾の体側筋からM. seriolae遺伝子が検出され(平均コピー数:6.04×105 copies/mg)、2尾の体側筋にシストが認められた。なお、試験期間中の水温は22.2~23.6℃で推移した。
試験区の設定
陸上飼育施設へ移したブリを500L円形水槽に23~25尾ずつ収容した。魚体重の2%の量の市販飼料にフェバンテルを5 mg/kg体重/日、10 mg/kg体重/日になるように展着し、当該飼料を、3日間、5日間、10日間連日投与する区を設けた(表6)。対照区には、フェバンテルを含まない市販飼料を与えた。飼育期間は35日間とし、投薬が終了した試験区には、フェバンテルを含まない市販飼料を給餌した。
治療効果の判定
試験6の効果判定は、以下の方法で行った。
すなわち、フェバンテル投薬開始から35日目に試験魚を取り揚げ剖検し、体側筋中にシストが形成された個体数を確認することにより、シスト形成率(シスト形成個体数/観察個体数×100)を算出し、また、体側筋肉の半身を磨砕し、リアルタイムPCR法により体側筋中での寄生虫遺伝子(M. seriolae遺伝子)の存在量を確認した。
対照区では、75%の個体にシストが認められ、100%の個体からリアルタイムPCR法により寄生虫遺伝子が検出された。これに対し、フェバンテル投与区では、検査した何れの個体にもシストは認められず、また4.2~24.0%の個体からリアルタイムPCR法により寄生虫遺伝子が検出されたが、何れのフェバンテル投与区の検出率も、対照区に比べ有意に低い値となった(表7)。また、M. seriolae遺伝子が検出された個体についても、対照区での平均コピー数は2.2×107 copies/mgであったのに対し、フェバンテル投与区は、8.3×103 ~2.2×105 copies/mgと有意に低い結果となり(p<0.01)、本寄生虫遺伝子が確認された個体であっても寄生虫の増殖が抑制されていることが示唆された。
以上のように、海産魚のべこ病の原因虫であるミクロスポリジウム属の微胞子虫に感染したブリ類に、フェバンテルを経口投与する際の効果的な投与量と投与期間を明らかにした。
[材料及び方法]
べこ病感染方法
平均体重177.4gのブリ人工種苗250尾を海面生簀(3m×3m×3m)に沖出した。定期的に10~15尾ずつ採材し、目視により筋肉中のシストの有無を確認し、また筋肉中のM. seriolae遺伝子をリアルタイムPCR法により定量した。治療試験開始時の遺伝子検出率は40%、シスト形成率は6.7%であった。なお、試験期間中の水温は23.7~25.8℃で推移した。
試験区の設定
陸上飼育施設へ移したブリを400L角型水槽に30尾ずつ収容した。魚体重の2%の量の市販飼料にフェバンテルを15 mg/kg体重/日になるように展着し、当該飼料を3日間、5日間、10日間および20日間連日投与する区を設けた(表8)。対照区には、フェバンテルを含まない市販飼料を給餌した。なお、試験期間は30日間とし、投薬が終了した試験区には、フェバンテルを含まない市販飼料を給餌した。
治療効果の判定
試験7の効果判定は、以下の方法で行った。
すなわち、試験終了後、全ての試験魚の筋肉半身中のシストの形成状況(シスト形成率の算出)を目視により確認し、また、無作為に10~11尾を選定して筋肉中のM. seriolae遺伝子をリアルタイムPCR法により定量した。
フェバンテル投与後のシスト形成率は、3日間投与区および5日間投与区で6.7%(30尾中2尾)であり、10日間投与区および20日間投与区では0%であった。対照区におけるシスト形成率は100%であった。いずれの投与区も、対照区と比べてシスト形成率は有意に低かった(p<0.01)。また平均シスト数についても、いずれの投与区も、対照区と比べて有意に低くなった(p<0.01)(表9)。フェバンテル投与後のシストの形成状況を図2に示した。
フェバンテル投与後の筋肉中のM. seriolae遺伝子検出率は3日間投与区では72.7%であったが、5日間以上投与した区ではいずれも20%以下となり、対照区(100%)と比べて有意に低かった(p<0.01)。平均遺伝子量についても、いずれの投与区も、対照区と比べて有意(p<0.01)に低くなった(表9)。
フェバンテルを20日間連日投与した区では、他の試験区と比べて顕著な体色黒化が確認された(図3)。
試験7(屋内治療試験2)では、フェバンテルの投与濃度を15 mg/kg体重/日に設定して、3~20日間連日投与を行い、適切な投与日数を検討した。全ての投与区でシスト形成抑制効果が認められた。また、5日間以上の投与区において、遺伝子検出率が、対照区と比べて有意に低くなり、M. seriolaeの増殖が抑制されたと考えられた。一方、20日間連日投与すると投薬による影響がみられた。
[材料及び方法]
試験6と同ロットの種苗(平均体重200.5g)180尾を海面生簀に沖出しし、試験6と同様に感染魚を作出して、投薬試験に供した。治療試験開始時の遺伝子検出率は20%、シスト形成率は0%であった。なお、試験期間中の水温は12.4~21.9℃で推移した。
試験区の設定
ミクロスポリジウム属の微胞子虫の感染を確認した後、海面生簀(3m×3m×3m)に各区45尾ずつ収容した。フェバンテルの投与量は、いずれの区も10 mg/kg体重/日とし、投薬期間は、5日間連日投与を1回のみ行う区(10F)および5日間連日投与した後、5日間休薬を4回繰り返す区(10F間欠)を設定した(表10)。対照区は無投薬の餌を給餌し、試験期間は36日間とした。
治療効果の判定
試験8の効果判定は、以下の方法で行った。
すなわち、フェバンテル投薬後26日目および36日目に各試験区から10尾を採材し、試験7と同様にシストの確認(シスト形成率の算出)および筋肉中のM. seriolae遺伝子の定量を行った。
フェバンテル投与後26日目および36日目における10Fおよび10F間欠のシスト形成率およびM. seriolae遺伝子量は、対照区と比較して有意(p<0.01)に低くなった(表11)。フェバンテル投与後36日目における10FのM. seriolae遺伝子検出率および遺伝子量は、ともに10F間欠と比較して高くなる傾向を示した。
試験8(野外治療試験)では、フェバンテルの投与量を10 mg/kg体重/日に設定し、投与期間を、5日間連日投与を1回のみ行う区(10F)、5日間連日投与した後、5日間休薬するサイクルを4回繰り返す区(10F間欠)を設定し、治療効果の検証を行った。両区ともシスト形成率およびM. seriolae遺伝子量が、対照区に比べて有意に減少しており、フェバンテルの投与により、シスト形成およびM. seriolaeの増殖が抑制されていると推察された。
また、10F間欠ではM. seriolae遺伝子の検出率・検出量が、5日間連日投与を1回のみ行う区(10F)よりも低い傾向を示していた。
試験6~10におけるリアルタイムPCRは、上述の試験1~5と同様に行った。
薬剤の投与
試験6~8におけるフェバンテルの投薬は、以下のように行った。
配合飼料重量に対し、外割りで10%重量(w/w)の蒸留水に規定量のフェバンテルを懸濁し、薬剤懸濁液を調製した。円筒形の容器に入れた配合飼料に、薬剤懸濁液を添加し、ポッドミル回転台上で30分間撹拌し薬剤(フェバンテル)を吸収させた。さらに、配合飼料重量に対し、外割りで0.5%重量(w/w)の展着剤(SD展着、シェリング・プラウ アニマルヘルス)を加えて撹拌した後、使用するまで-30℃の冷凍庫に保存した。各試験における投薬は、表6、8、10に示した投与量および投与日数の通りに行った。対照区として、配合飼料重量に対し、外割りで10%重量(w/w)の蒸留水と0.5%重量(w/w)の展着剤を混合したものを設けた。1日当たりの試験飼料の給餌率は、魚体重の2.0%とした。
[材料及び方法]
ブリ人工種苗にフェバンテル製剤混合餌料を、1日1回シリンジを用いて強制的に経口投与し(図4)、フェバンテル投与量と死亡との関係を調べた。試験は計4回実施し(試験I~IV)、各試験におけるフェバンテル投与量と投与期間は表12に示す通りに設定した。試験餌料は、モジャコEP粉末、マリンバンテル(登録商標)(Meiji Seika ファルマ株式会社販売、主剤フェバンテル)、蒸留水を混合し、試験区間の薬剤量の違いはコーンスターチで調整した。供試魚は全て同じ500L水槽1基で混合飼育し、腹鰭の切除により試験区を区別した。毎日9時頃、フェノキシエタノールで麻酔した供試魚に試験餌料を1日1回強制投与し、15時頃、無添加モジャコEPを通常給餌で飽食量与えた。死亡魚は外観と内臓、脳を写真撮影した。試験IVでは、フェバンテルを100 mg/kg体重/日で9日間ないし13日間投与した魚の臓器(鰓、食道、胃、幽門垂、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、脳、皮膚)をデビッドソンで固定し、常法に則り組織学的観察を行い、対照区と比較した。
2週間の連日投与において、投与量100 mg/kg体重/日以下(試験II)では死亡はなく、致死的な毒性は認められなかった。しかし、200 mg/kg体重/日以上の投与(試験I)では投与開始7日目から死亡が認められ(図5)、2週間の累積死亡率は、200 mg/kg体重/日投与区で30%であったのに対し、1000 mg/kg体重/日投与区では100%と、投与量に依存した(図5)。また、試験終了時における生残魚の魚体重は、フェバンテル投与区が無投与対照区に比べ顕著に低く、投薬による成長阻害が示された。より長期の投与による影響を調べた試験IIIでは、50 mg/kg体重/日投与区および100 mg/kg体重/日投与区ともに、投与開始15日目から死亡が急増し、投与開始19日目にはそれぞれ死亡率90%および100%に達した(図6)。
フェバンテル投与魚では体色の黒化や緩慢な遊泳が目立ち、餌食いも悪かった。死亡魚の外観や内蔵に顕著な異常や典型的な症状等は認められなかったが、脳が発赤している個体が目立った(図7)。フェバンテルを100 mg/kg体重/日で9日間ないし13日間連日投与したブリ稚魚の臓器組織観察では(試験IV)、いずれの個体にも顕著な組織障害は認められなかった。しかし、フェバンテル投与区の肝細胞では、貯蔵物質を示す空胞が殆ど消失しており、栄養吸収が阻害されていた可能性が示された(図8)。また、腎臓の間質が疎らになっており、造血機能の異常も示唆された(図9)。さらに、延髄ではニッスル小体の分布異常が認められ、神経細胞の機能障害がある可能性が考えられた(図10)。体色の黒化は、黒色素胞の拡散によるものと思われた。
これらの結果から、ブリ稚魚では、フェバンテルの投与量が100 mg/kg体重/日以下であれば、2週間連日投与しても致死性の影響は無いが、投与期間が2週間以上であれば50 mg/kg体重/日でも致死的な毒性が有ることが示された。すなわち、フェバンテルは短期的な急性毒性は低いが、長期間の連続投与により慢性的に魚へ毒害を与えると考えられた。また、フェバンテルの長期投与はブリ稚魚の成長を阻害する可能性が示された。組織学的観察では肝臓、腎臓、延髄で対照区と異なる像が観察されたが、死因を特定するには至らず、フェバンテルの毒性は細胞機能の阻害に起因する可能性が考えられた。
[材料及び方法]
ブリ人工種苗にフェバンテル製剤あるいはアルベンダゾール(試薬)の混合餌料を経口投与した。投与は、当初20日間の連日投与を行った後、5日間連日投薬して4日間休薬するサイクルを4回繰り返した。薬剤濃度は、フェバンテル投与区は、当初20日間はフェバンテルとして25 mg/kg体重/日とし、その後は、半分量の12.5 mg/kg体重/日とした。アルベンダゾール投与区は、期間中全て30 mg/kg体重/日(ヒトでの投与事例から算出、10 mg/kg体重/日×3回)とした。
フェバンテルおよびアルベンダゾールの投薬は、以下のように行った。
配合飼料重量に対し、外割りで10%重量(w/w)の蒸留水に規定量の薬剤(フェバンテル、アルベンダゾール)を懸濁し、薬剤懸濁液を調製した。円筒形の容器に入れた配合飼料に、薬剤懸濁液を添加し、ポッドミル回転台上で30分間撹拌し薬剤を吸収させた。さらに、配合飼料重量に対し、外割りで0.5%重量(w/w)の展着剤(SD展着、シェリング・プラウ アニマルヘルス)を加えて撹拌した後、使用するまで-30℃の冷凍庫に保存した。対照区として、配合飼料重量に対し、外割りで10%重量(w/w)の蒸留水と0.5%重量(w/w)の展着剤を混合したものを設けた。1日当たりの試験飼料の給餌率は、魚体重の2.0%とした。60日間の飼育を行い、生残状況を観察した。飼育試験は、海上小割生け簀網を用いて実施した。試験期間中の水温は、13.7~19.1℃で推移した。各試験区とも試験開始時で平均体重160gの30尾を供試した。
投薬開始9日目からフェバンテル投与区において死亡が確認されはじめ、投薬開始20日目までの累積死亡率は、50%に達した。投薬開始20日目からフェバンテルの投薬量を半減し、休薬期間を設けて投薬することにより、投薬開始21日目から投薬開始60日目までの累積死亡数は7尾となった(図11)。一方、対照区は、投薬開始18日目から死亡が確認され、投薬開始60日目までに7尾の死亡が確認された(累積死亡率23.3%)。アルベンダゾール投与区は、投薬開始36日目から死亡が確認され、投薬開始60日目までに6尾が死亡した(累積死亡率20.0%)。
以上より、ブリ類に対するフェバンテルの投与について、25 mg/kg体重/日の20日間以上の連日投与は、安全性に問題があることがわかった。一方、投与量を半減し、休薬期間を設ける投与法に切り替えることにより、対照区あるいはアルベンダゾール投与区で確認された死亡状況と同等のレベルになることが確認できた。なお、対照区等で確認された死亡は、カリグスの口腔及び鰓への寄生によるものと考えられた。
以上により、ブリ類へのフェバンテルの安全な容量・用法を把握した。
Claims (29)
- フェバンテルを含む、海産魚のべこ病の予防又は治療薬であって、
前記べこ病の原因虫がMicrosporidium seriolaeである、予防又は治療薬。 - 海産魚がブリ属魚類である、請求項1記載の予防又は治療薬。
- シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対し投与することを特徴とし、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、請求項1又は2記載の予防又は治療薬。 - フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- 3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- 4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- フェバンテルを含む、海産魚のミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療薬であって、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、予防又は治療薬。 - 海産魚がブリ属魚類である、請求項8記載の予防又は治療薬。
- シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対し投与することを特徴とし、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、請求項8又は9記載の予防又は治療薬。 - フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- 3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- 4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項記載の予防又は治療薬。
- 海産魚に対しフェバンテルを投与することを含む、該海産魚におけるべこ病の予防又は治療方法であって、
前記べこ病の原因虫がMicrosporidium seriolaeである、方法。 - 海産魚がブリ属魚類である、請求項15記載の方法。
- シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対しフェバンテルを投与し、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、請求項15又は16記載の方法。 - フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項記載の方法。
- フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項記載の方法。
- 3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項15~19のいずれか1項記載の方法。
- 4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項15~19のいずれか1項記載の方法。
- 海産魚に対しフェバンテルを投与することを含む、該海産魚におけるミクロスポリジウム属微胞子虫感染症の予防又は治療方法であって、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、方法。 - 海産魚がブリ属魚類である、請求項22記載の方法。
- シストが形成される前のミクロスポリジウム属微胞子虫感染海産魚、又はミクロスポリジウム属微胞子虫に感染した可能性のある海産魚に対しフェバンテルを投与し、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫がMicrosporidium seriolaeである、請求項22又は23記載の方法。 - フェバンテルとして、1~120 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項22~24のいずれか1項記載の方法。
- フェバンテルとして、3~30 mg/kg体重/日の用量を投与することを特徴とする、請求項22~24のいずれか1項記載の方法。
- 3日間以上14日間以下連日投与するか、あるいは、3日間以上14日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項22~26のいずれか1項記載の方法。
- 4日間以上7日間以下連日投与した後で、2日間以上5日間以下の休薬期間を設けるサイクルを複数回行うことを特徴とする、請求項22~26のいずれか1項記載の方法。
- ミクロスポリジウム属微胞子虫を特異的に検出し得るプライマーセット又は核酸プローブ、並びにフェバンテルを含む、海産魚べこ病の予防又は治療用キットであって、
前記ミクロスポリジウム属微胞子虫及び前記べこ病の原因虫がMicrosporidium seriolaeである、キット。
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