JP2019043133A - 未加硫ゴムベルト形成装置、及び未加硫ゴムベルト形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量の正確な設定を容易にし、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制する。【解決手段】ベルト走行機構13は、ベルト輪状体106が巻き掛けられた状態のベルトプーリ(21、22)を回転させ、ベルト輪状体106を周方向に走行させる。ワイヤー走行機構12は、ワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行させる。切除機構13は、走行するベルト輪状体106の外周側の両角部に対して、走行するワイヤー29を当接させることで、両角部を切除し、未加硫ゴムベルト109を形成する。切除機構13は、第1直線走行経路37を走行するワイヤー29を一方の角部に当接させ、第2直線走行経路38を走行するワイヤー29を角部の他方に当接させる。【選択図】図11

Description

本発明は、未加硫ゴムベルト形成装置、及び未加硫ゴムベルト形成方法に関する。
従来より、動力を伝達する伝動ベルトとして、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなど、摩擦によって動力を伝達するベルトが広く知られている。Vベルトは、V字状の断面を有する無端状の伝動ベルトとして構成されている。そして、Vベルトとしては、ラップドVベルト及びローエッジVベルトが、用いられている。ラップドVベルトは、外被布で周囲表面の全体が被覆されたVベルトとして構成されている。一方、ローエッジVベルトは、摩擦によって動力を伝達する側面のゴム層が露出した状態のVベルトとして構成されている。
ラップドVベルトは、コンプレッサー、発電機、ポンプなどの一般産業用機械、或いは、田植え機、草刈り機などの農業機械、等において、伝動ベルトとして広く用いられている。ラップドVベルトは、ベルト内周側に圧縮ゴム層が設けられ、ベルト外周側に伸張ゴム層が設けられている。更に、ラップドVベルトにおいては、圧縮ゴム層と伸張ゴム層との間において、心線が埋設されている。そして、ラップVベルトは、環状に設けられた無端状のベルト本体の周囲表面の全体がベルト周方向の全長に亘って外被布で被覆されて構成されている。
特許文献1においては、上述したラップドVベルトの製造方法が開示されている。特許文献1に開示された製造方法においては、次の工程A、工程B、及び工程Cの各工程が順次実施されることで、ラップドVベルトが製造される。
上記の工程Aにおいては、まず、円筒状ドラムの外周面に、圧縮ゴム層の素材の未加硫ゴムシート、心線、及び伸張ゴム層の素材の未加硫ゴムシートが、順次積層されて貼着され、筒状に形成される。これにより、未加硫ゴム層と心線とを有する筒状の未加硫スリーブが形成される。そして、工程Aにおいては、作成された上記の未加硫スリーブが、円筒状ドラムの外周の全周に亘って巻き掛けられた状態で、周方向に切断される。これにより、未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体が形成される。
更に、工程Aにおいては、ベルト輪状体がドラムから取り外され、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部が切除される処理であるスカイブ処理が施される。これにより、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトが形成される。即ち、矩形状の断面形状のベルト輪状体に対して、その外周側又は内周側の両角部が切除されるスカイブ処理が施されることにより、未加硫ゴムベルトが形成される。そして、上記のように形成された未加硫ゴムベルトに対して、その周囲を外被布で被覆するカバー巻き処理が施され、未加硫ベルト成形体が形成される。
上記の工程Aに次ぐ工程Bにおいては、上記の未加硫ベルト成形体が、リングモールドとして設けられた金型の凹溝に挿入される。そして、金型及び未加硫ベルト成形体の外周面に円筒状のゴムスリーブが嵌め込まれた状態で、それらが加硫缶に収納され、所定の温度等の条件で加硫が行われる。これにより、加硫ベルトが生成される。最終の工程Cにおいては、生成された加硫ベルトが、金型から取り外される。工程Cまで終了することで、ラップドVベルトが製造される。
また、特許文献2においては、未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の内周側の両角部を切除するスカイブ処理を行うことで、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトを形成する、未加硫ゴムベルト形成装置が開示されている。
特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置は、一対のプーリ(51、51)の間を走行している状態のベルト輪状体の内周側の両角部を切除するスカイブ処理を行うスカイブ処理部(6)を備えている。そして、スカイブ処理部(6)のスカイブ処理本体部(61)は、円周方向に沿って延びる刃が外周縁にそれぞれ設けられた一対のスカイブカッター(62、62)を有している。
特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によってスカイブ処理が行われる際には、一対のスカイブカッター(62、62)の外周縁が、一対のプーリ(51、51)の間を走行するベルト輪状体の内周側の両角部に当接する位置まで移動する。即ち、一方のスカイブカッター(62)の外周縁がベルト輪状体の内周側の一方の角部に当接し、他方のスカイブカッター(62)の外周縁がベルト輪状体の内周側の他方の角部に当接するように、一対のスカイブカッター(62、62)が移動する。そして、一対のスカイブカッター(62、62)の外周縁が、ベルト輪状体の内周側の両角部に当接した状態で、ベルト輪状体が走行することにより、ベルト輪状体の内周側の両角部が切除される。
特公平5−37109号公報 特開2016−87885号公報
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、ラップドVベルトが製造される際には、未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部が切除されるスカイブ処理が行われ、未加硫ゴムベルトが形成される。そして、特許文献2に開示されているように、未加硫ゴムベルトが形成される際には、一対のスカイブカッターが用いられる。
そして、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によると、一対のスカイブカッターのそれぞれの外周縁に設けられて円周方向に沿って延びる刃によって、ベルト輪状体の内周側の両角部が切除される。このため、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成されると、未加硫ゴムベルトの内周側の部分の両側面の形状が、円弧状に湾曲した面形状となる。即ち、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成されると、未加硫ゴムベルトの周方向に対して垂直な断面において、湾曲した形状の断面部分が含まれることになる。
一方、特許文献1に開示されているように、未加硫ゴムベルトの周囲が外被布で被覆されて形成された未加硫ベルト成形体の加硫が行われる際には、未加硫ベルト成形体が嵌め込まれる凹溝が設けられた金型が用いられる。そして、金型の周方向に対して垂直な断面における金型の凹溝の形状は、ラップドVベルトの断面形状に対応し、直線部分のみで区画された形状となる。しかし、上述のように、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成されると、未加硫ゴムベルトの断面は、湾曲した形状の部分を含んだ断面となる。このため、湾曲した形状の部分を含んだ断面の未加硫ベルト成形体が、直線部分のみで区画された断面形状の金型の凹溝に嵌め込まれることになる。
湾曲した形状の部分を含んだ断面の未加硫ベルト成形体が、直線部分のみで区画された断面形状の金型の凹溝に嵌め込まれて加硫される場合、金型内での加硫時における断面形状の変化が複雑なものとなる。このため、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除するスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルトを形成する際における両角部の切除量を正確に設定することが難しいという問題がある。よって、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量を正確に設定することが容易な、未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法の実現が望まれる。
また、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によると、円周方向に沿って延びる刃が設けられたスカイブカッターの外周縁が、走行するベルト輪状体に当接した状態で、ベルト輪状体の内周側の両角部が切除される。このため、未加硫ゴムベルト形成時、スカイブカッターの外周縁の刃は、同じ位置で、走行するベルト輪状体に当接した状態となる。そうすると、ベルト輪状体の両角部の切除時に、スカイブカッターの外周縁の刃とベルト輪状体におけるゴムとの間で摩擦熱が多く生じ、ゴムが高温となり、ゴムの粘性が大きく上昇し易くなってしまう。ゴムの粘性が大きく上昇すると、スカイブカッターの外周縁の刃にゴムが粘り付くように付着し易くなり、刃の鋭利性が低下する(刃の鋭さが鈍る)ことになる。
上記のように、スカイブカッターの外周縁の刃の鋭利性が低下すると、ベルト輪状体の両角部が押し切られるようにして切除されることになる。そうすると、ベルト輪状体の両角部を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを形成することが困難となる。よって、正確な断面形状の未加硫ゴムベルトの形成の観点から、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる、未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法の実現が望まれる。
また、スカイブカッターの外周縁の刃の鋭利性の低下を抑制するため、スカイブカッターの外周縁におけるベルト輪状体に当接させる位置を頻繁に変更することが考えられる。しかし、この場合、スカイブカッターの外周縁におけるベルト輪状体に当接させる位置を頻繁に変更する作業が必要となる。このため、未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率が低下することになる。よって、未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率の向上の観点からも、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる、未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法の実現が望まれる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量を正確に設定することが容易であり、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる、未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法を提供することである。
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る未加硫ゴムベルト形成装置は、未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除することで、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトを形成する、未加硫ゴムベルト形成装置に関する。そして、本発明のある局面に係る未加硫ゴムベルト形成装置は、複数のベルトプーリを有し、複数の前記ベルトプーリに前記ベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、前記ベルトプーリを回転させ、前記ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行機構と、ワイヤーに張力を付与し、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を第1直線走行経路及び第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させるワイヤー走行機構と、走行する前記ベルト輪状体の外周側又は内周側における前記両角部に対して、走行する前記ワイヤーを当接させることで、前記両角部を切除し、前記未加硫ゴムベルトを形成する切除機構と、を備え、前記切除機構は、前記第1直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの一方に当接させ、前記第2直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの他方に当接させることを特徴とする。
この構成によると、ベルト走行機構、ワイヤー走行機構、切除機構が作動し、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部が切除されるスカイブ処理が行われ、未加硫ゴムベルトが形成される。そして、上記の構成によると、ワイヤーにおける張力が付与された部分の長手方向である直線方向に沿って第1直線走行経路及び第2直線走行経路において走行するワイヤーが、周方向に走行するベルト輪状体の両角部に当接することで、ベルト輪状体の両角部が切除される。よって、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に走行するワイヤーによって、ベルト輪状体の両角部の切除が行われる。このため、未加硫ゴムベルトの外周側又は内周側の部分の両側面の形状が、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成される際のような円弧状に湾曲した面形状となることがない。即ち、上記の構成の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成されると、未加硫ゴムベルトの周方向に対して垂直な断面の形状は、直線部分のみで区画された形状となる。より具体的には、未加硫ゴムベルトの周方向に対して垂直な断面の形状は、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。
従って、上記の構成の未加硫ゴムベルト形成装置によって形成された未加硫ゴムベルトの周囲が外被布で被覆されて形成された未加硫ベルト成形体の断面形状も、同様に、直線部分のみで区画された形状であって、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。このため、未加硫ベルト成形体が、直線部分のみで区画された断面形状の金型の凹溝に嵌め込まれて加硫される場合において、金型内での加硫時における断面形状の変化が複雑なものとなることが抑制される。これにより、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除するスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルトを形成する際における両角部の切除量を正確に設定することが容易となる。
また、上記の構成によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に(即ち、張力が付与された部分の長手方向に)走行するワイヤーによって、ベルト輪状体の両角部のゴムの切除が行われる。このため、ベルト輪状体において切除されるゴムと切除工具としてのワイヤーとの接触面積を、切除工具が上記のスカイブカッターである場合に比して、極めて小さくすることができる。これにより、ベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を大幅に抑制することができる。
よって、上記の構成によると、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量を正確に設定することが容易であり、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
また、上記の構成によると、切除されるゴムと切除工具としてのワイヤーとの接触面積が極めて小さく、ベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ゴムの粘性の上昇を抑制でき、ゴムの粘着の問題が生じることがほとんどない。このため、切除工具の鋭利性が低下する(刃の鋭さが鈍る)問題が生じることも無く、ベルト輪状体の両角部を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを形成することができる。更に、切除工具の鋭利性の低下の問題が生じることが無いため、特許文献2に開示されたスカイブカッターの外周縁におけるベルト輪状体に当接させる位置を頻繁に変更するような作業は、そもそも不要となる。このため、切除工具の鋭利性の低下の抑制のために未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率が低下することもない。
従って、上記の構成によると、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ベルト輪状体の両角部を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを形成することと、未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率の向上とを、両立させることができる。
尚、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によると、ベルト輪状体の内周側の両角部が切除されるスカイブ処理の際、一対のスカイブカッターの外周縁における円周方向に延びる刃が、走行するベルト輪状体の内周側の両角部に当接する。このため、周方向に走行する矩形状の断面のベルト輪状体の両角部に対して円周方向に延びる刃が押し付けられ、ベルト輪状体の走行が不安定な状態となり易い。ベルト輪状体の走行が不安定な状態でスカイブ処理が行われると、ベルト輪状体がプーリの幅方向の中央からずれて走行し、ベルト輪状体の両角部の切除位置が、未加硫ゴムベルトごとに、ベルト輪状体の幅方向にばらついてしまう虞がある。また、ベルト輪状体の両角部の切除位置がベルト輪状体の幅方向にばらついてしまうことで、角部が過大に切除され、或いは、過小に切除されてしまう虞がある。このように両角部の切除位置のばらつきが生じた状態で形成された未加硫ゴムベルトに外被布が被覆されて金型内で加硫されると、金型内での加硫時における断面形状の変化に伴い、心線の並びの乱れ、或いは、断面寸法の過不足が生じる虞がある。
しかしながら、上記の構成によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に走行するワイヤーが、走行するベルト輪状体の両角部に当接する。よって、周方向に走行する矩形状の断面のベルト輪状体の両角部に対して直線方向に走行するワイヤーが押し付けられるため、ベルト輪状体の走行が不安定な状態となってしまうことが抑制される。このため、上記の構成によると、スカイブ処理の際にベルト輪状体の走行が不安定な状態となってしまうことを抑制して安定した状態でベルト輪状体の両角部を切除することができる。
(2)前記ワイヤー走行機構は、1本の連続した前記ワイヤーの両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンと、前記ワイヤーが外周の一部に巻き掛けられる中間プーリと、を有し、一対の前記回転ボビンのうちの一方と前記中間プーリとの間で前記第1直線走行経路を構成し、一対の前記回転ボビンのうちの他方と前記中間プーリとの間で前記第2直線走行経路を構成し、前記中間プーリを介して一対の前記回転ボビンの間で前記ワイヤーに張力を付与した状態で、一対の前記回転ボビンのうちの一方から前記ワイヤーを払い出すとともに一対の前記回転ボビンの他方にて前記ワイヤーを巻き取ることで、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を前記第1直線走行経路及び前記第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させてもよい。
この構成によると、同期して回転する一対の回転ボビンの一方からワイヤーを払い出しながら中間プーリを介して走行させて他方で巻き取ることで、容易に、ワイヤーに張力を付与しながらワイヤーの張力を付与した部分を第1直線走行経路及び第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させることができる。そして、上記の構成によると、長尺のワイヤーを一対の回転ボビンの一方から払い出すとともに他方で巻き取りながら、ベルト輪状体の両角部の切除を行うことができる。このため、ベルト輪状体の両角部の切除の際に、ワイヤーにおける同一部分を集中的に用いることなく、長尺のワイヤーにおける異なる部分を順番に連続して用いることができる。これにより、ワイヤーにおけるそれぞれの部分がベルト輪状体の両角部の切除に用いられる時間が極めて短時間となり、且つ、切除後の放熱によるワイヤーの冷却時間も十分に長く確保することができる。これにより、ワイヤーに熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、ベルト輪状体の両角部の切除時における摩擦熱による温度上昇を更に抑制することができる。
(3)一対の前記回転ボビンは、同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を前記第1直線走行経路及び前記第2直線走行経路において直線方向に沿って往復させながら走行させてもよい。
この構成によると、一対の回転ボビンが同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、長尺のワイヤーを連続的に繰り返し往復させながら用いてベルト輪状体の両角部の切除作業を効率よく実施することができる。また、ベルト輪状体の両角部の切除に長尺のワイヤーを繰り返し往復させながら用いることができるため、ワイヤーにおけるそれぞれの部分が切除に用いられる時間を極めて短時間としつつ、且つ、切除後の放熱によるワイヤーの冷却時間も十分に長く確保しつつ、ベルト輪状体の両角部の切除作業を効率よく実施することができる。これにより、ワイヤーに熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、ベルト輪状体の両角部の切除時における摩擦熱による温度上昇を更に抑制しつつ、長時間に亘ってベルト輪状体の両角部の切除作業を連続的に実施することができる。
(4)前記ベルトプーリの幅方向の中心位置と前記中間プーリの回転中心位置とを結ぶ直線に対して、前記第1直線走行経路が成す角の大きさと、前記第2直線走行経路が成す角の大きさとが、同じであってもよい。
この構成によると、ベルトプーリの幅方向の中心位置と中間プーリの回転中心位置とを結ぶ直線に対して、第1直線走行経路が成す角の大きさと、第2直線走行経路が成す角の大きさとが、同じに設定される。このため、切除機構によって、第1直線走行経路及び第2直線走行経路を走行するワイヤーをベルト輪状体の両角部に当接させることで、ベルト輪状体の両角部から略同一断面形状で略同一断面積の部分を容易に切除することができる。よって、ベルト輪状体の両角部をベルト輪状体の幅方向において対称な形状で正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを容易に形成することができる。
(5)前記切除機構は、周方向に走行する前記ベルト輪状体における前記ベルトプーリの外周に沿って走行する部分において、走行する前記ワイヤーを前記両角部に対して当接させてもよい。
この構成によると、走行するワイヤーが、走行するベルト輪状体の両角部に対して、ベルトプーリの外周に沿って走行する部分において当接し、ベルト輪状体の両角部が切除される。このため、ベルト輪状体におけるベルトプーリの外周に沿って安定した状態で走行する部分においてワイヤーによる切除作業を効率よく容易に行うことができる。
(6)前記ベルトプーリには、前記ベルト輪状体が巻き掛けられる部分であって当該ベルトプーリの幅方向における中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるように構成されたクラウン部が設けられていてもよい。
この構成によると、ベルトプーリには、幅方向中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるクラウン部が設けられている。これにより、ベルトプーリの外周に沿って走行するベルト輪状体は、ベルトプーリの幅方向中央部の位置で走行する部分において、張力が大きくなり、速度も速くなる。このため、ベルト輪状体がベルトプーリの幅方向の中央から僅かでもずれて走行し始めると、すぐに、ベルトプーリの幅方向の中央側へ走行位置を戻す力が作用する。即ち、ベルトプーリに巻き掛けられて周方向に走行するベルト輪状体に対しては、常時、ベルトプーリの外周におけるベルト輪状体の走行位置をベルトプーリの幅方向の中央側へ寄せようとする力が作用することになる。このため、ベルトプーリの幅方向中央位置を中心としてベルト輪状体を安定した状態で走行させることができる。これにより、ベルト輪状体の両角部の切除位置が、ベルト輪状体の幅方向においてばらついてしまうことを容易に抑制することができる。このため、ベルト輪状体の両角部をベルト輪状体の幅方向において対称な位置で正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを容易に形成することができる。
尚、特許文献2に開示された未加硫ゴムベルト形成装置の場合、ベルト輪状体がプーリの幅方向の中央からずれて走行し始めた場合であっても、プーリの幅方向の中央側へ走行位置を戻す力は作用しない。このため、ベルト輪状体の両角部の切除位置が、ベルト輪状体の幅方向においてばらついてしまう虞がある。また、ベルト輪状体の両角部の切除位置がベルト輪状体の幅方向においてばらついてしまうことで、角部が過大に切除され、或いは、過小に切除されてしまう虞がある。このように両角部の切除位置のばらつきが生じた状態で形成された未加硫ゴムベルトに外皮布が被覆されて金型内で加硫されると、金型内での加硫時における断面形状の変化に伴い、心線の並びの乱れ、或いは、断面寸法の過不足が生じる虞がある。しかしながら、上記の構成によると、ベルト輪状体の両角部の切除位置が、ベルト輪状体の幅方向においてばらついてしまうことを容易に抑制することができる。そして、ベルト輪状体の両角部をベルト輪状体の幅方向において対称な位置で正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを容易に形成することができる。
(7)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る未加硫ゴムベルト形成方法は、未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除することで、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトを形成する、未加硫ゴムベルト形成方法に関する。そして、本発明のある局面に係る未加硫ゴムベルト形成方法は、複数のベルトプーリに前記ベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、前記ベルトプーリを回転させ、前記ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行工程と、ワイヤーに張力を付与し、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を第1直線走行経路及び第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させるワイヤー走行工程と、走行する前記ベルト輪状体の外周側又は内周側における前記両角部に対して、走行する前記ワイヤーを当接させることで、前記両角部を切除し、前記未加硫ゴムベルトを形成する切除工程と、を備え、前記切除工程において、前記第1直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの一方に当接させ、前記第2直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの他方に当接させることを特徴とする。
この構成によると、ベルト走行工程、ワイヤー走行工程、切除工程が実施され、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部が切除されるスカイブ処理が行われ、未加硫ゴムベルトが形成される。そして、上記の構成によると、ワイヤーにおける張力が付与された部分の長手方向である直線方向に沿って第1直線走行経路及び第2直線走行経路において走行するワイヤーが、周方向に走行するベルト輪状体の両角部に当接することで、ベルト輪状体の両角部が切除される。よって、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に走行するワイヤーによって、ベルト輪状体の両角部の切除が行われる。このため、未加硫ゴムベルトの外周側又は内周側の部分の両側面の形状が、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成される際のような円弧状に湾曲した面形状となることがない。即ち、上記の構成の未加硫ゴムベルト形成方法によって未加硫ゴムベルトが形成されると、未加硫ゴムベルトの周方向に対して垂直な断面の形状は、直線部分のみで区画された形状となる。より具体的には、未加硫ゴムベルトの周方向に対して垂直な断面の形状は、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。
従って、上記の構成の未加硫ゴムベルト形成方法によって形成された未加硫ゴムベルトの周囲が外被布で被覆されて形成された未加硫ベルト成形体の断面形状も、同様に、直線部分のみで区画された形状であって、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。このため、未加硫ベルト成形体が、直線部分のみで区画された断面形状の金型の凹溝に嵌め込まれて加硫される場合において、金型内での加硫時における断面形状の変化が複雑なものとなることが抑制される。これにより、ベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除するスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルトを形成する際における両角部の切除量を正確に設定することが容易となる。
また、上記の構成によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に(即ち、張力が付与された部分の長手方向に)走行するワイヤーによって、ベルト輪状体の両角部のゴムの切除が行われる。このため、ベルト輪状体において切除されるゴムと切除工具としてのワイヤーとの接触面積を、切除工具が上記のスカイブカッターである場合に比して、極めて小さくすることができる。これにより、ベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を大幅に抑制することができる。
よって、上記の構成によると、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量を正確に設定することが容易であり、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
また、上記の構成によると、切除されるゴムと切除工具としてのワイヤーとの接触面積が極めて小さく、ベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ゴムの粘性の上昇を抑制でき、ゴムの粘着の問題が生じることがほとんどない。このため、切除工具の鋭利性が低下する(刃の鋭さが鈍る)問題が生じることも無く、ベルト輪状体の両角部を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを形成することができる。更に、切除工具の鋭利性の低下の問題が生じることが無いため、特許文献2に開示されたスカイブカッターの外周縁におけるベルト輪状体に当接させる位置を頻繁に変更するような作業は、そもそも不要となる。このため、切除工具の鋭利性の低下の抑制のために未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率が低下することもない。
従って、上記の構成によると、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ベルト輪状体の両角部を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルトを形成することと、未加硫ゴムベルトの形成の際の作業効率の向上とを、両立させることができる。
また、上記の構成によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路及び第2直線走行経路に沿った直線方向に走行するワイヤーが、走行するベルト輪状体の両角部に当接する。よって、周方向に走行する矩形状の断面のベルト輪状体の両角部に対して直線方向に走行するワイヤーが押し付けられるため、ベルト輪状体の走行が不安定な状態となってしまうことが抑制される。このため、上記の構成によると、スカイブ処理の際にベルト輪状体の走行が不安定な状態となってしまうことを抑制して安定した状態でベルト輪状体の両角部を切除することができる。
本発明によると、スカイブ処理の際のベルト輪状体の両角部の切除量を正確に設定することが容易であり、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体の両角部の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる、未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法を提供することができる。
ラップドVベルトの一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。 ラップドVベルトの製造工程を示すチャート図である。 未加硫スリーブ及びベルト輪状体を示す図であって、図3(A)は、未加硫スリーブを示す斜視図であり、図3(B)は、ベルト輪状体の斜視図である。 ベルト輪状体の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。 未加硫ゴムベルトを示す斜視図である。 未加硫ゴムベルトの一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。 本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置を示す正面図である。 未加硫ゴムベルト形成装置の正面図であって、未加硫ゴムベルト形成装置の切除機構が作動している状態を示す図である。 未加硫ゴムベルト形成装置のベルト走行機構及びワイヤー走行機構を示す正面図である。 図9の一部を拡大して示す図である。 未加硫ゴムベルト形成装置のベルト走行機構及びワイヤー走行機構を示す平面図である。 図11の一部を拡大して示す図である。 ワイヤー走行機構の構成を説明するための図であって、図10の矢印X1方向から見たワイヤー走行機構を模式的に示す図である。 ワイヤー走行機構の構成を説明するための図であって、図13の矢印X2方向から見たワイヤー走行機構を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法を示すチャート図である。 本発明の実施例に関して、ベルト輪状体の両角部の切除量について説明するための図である。 比較例に関して、ベルト輪状体の両角部の切除量について説明するための図である。 本発明の実施例として形成した未加硫ゴムベルトについて、両角部のそれぞれの切除量を測定した結果を示す図である。 比較例として形成した未加硫ゴムベルトについて、両角部のそれぞれの切除量を測定した結果を示す図である。 本発明の実施例に係る未加硫ゴムベルト及び比較例に係る未加硫ゴムベルトについて、両角部のそれぞれの切除量の測定値の差の絶対値を対比して示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、まず、ラップドVベルトの概略及びラップドVベルトの製造工程の概略について説明し、次いで、ラップドVベルトの製造に関して適用される本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。
[ラップドVベルトの概略]
図1は、ラップドVベルト100の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。ラップドVベルト100は、コンプレッサーなどの一般産業用機械、或いは、田植え機などの農業機械、等において、動力伝達用の無端状の伝動ベルトとして用いられる。そして、ラップドVベルト100は、V字状の断面を有する環状に設けられた無端状の伝動ベルトとして構成されている。
尚、図1においては、環状に延びるラップドVベルト100の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図1においては、ラップドVベルト100の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
ラップドVベルト100は、外被布101、圧縮ゴム層102、伸張ゴム層103、心線104を備えて構成されている。
環状に設けられた無端状のラップドVベルト100のベルト本体は、積層構造を有しており、ベルト内周側からベルト外周側に向かって、圧縮ゴム層102、心線104、伸張ゴム層103が、順次積層されている。よって、ラップドVベルト100においては、圧縮ゴム層102と伸張ゴム層103との間において、心線104が埋設されている。心線104は、ラップドVベルト100の周方向に沿って延びるように配置されている。そして、心線104は、ラップドVベルト100の周方向に垂直な断面において、ベルト幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。
また、ラップVベルト100は、環状に設けられた無端状のベルト本体の周囲表面の全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆されて構成されている。そして、ラップドVベルト100は、その周方向に対して垂直な断面の形状が、V字状の断面形状である。より具体的には、ラップドVベルト100の断面形状は、ベルト外周側からベルト内周側に向かってベルト幅が小さくなる台形状に構成されている。
[ラップドVベルトの製造工程の概略]
図2は、ラップドVベルト100の製造工程を示すチャート図である。図2に示すように、ラップドVベルト100の製造工程は、未加硫スリーブ形成工程S101、ベルト輪状体形成工程S102、未加硫ゴムベルト形成工程S103、カバー巻き工程S104、加硫工程S105を備えて構成されている。
図3は、未加硫スリーブ105及びベルト輪状体106を示す図であって、図3(A)は、未加硫スリーブ105を示す斜視図であり、図3(B)は、ベルト輪状体106の斜視図である。未加硫スリーブ形成工程S101は、図3(A)に示す未加硫スリーブ105を形成する工程として構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S101においては、まず、未加硫ゴム(即ち、加硫が行われていない状態のゴム)のシートが、圧延によって形成される。そして、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが、所定の長さに切断される。所定の長さに切断された未加硫ゴムのシートは、円筒状或いは円柱状に設けられて回転自在に支持された巻き付け用の型として構成された回転ドラム(図示省略)に対して、巻き付けられる。回転ドラムの外周に巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。筒状に成形された未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。
そして、回転ドラムの外周に筒状の未加硫ゴムの成形体が形成されると、次いで、前述の心線104が、周方向に沿って巻き付けられる。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向に沿って所定のピッチでずらされながら、周方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられる。尚、筒状の未加硫ゴムの成形体の幅方向は、上記の回転ドラムの軸方向と平行な方向として構成される。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向のほぼ全長に亘って、巻き付けられる。
筒状の未加硫ゴムの成形体の外周への心線104の巻き付けが終了すると、次いで、心線104の上から、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが巻き付けられる。心線104の上から巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。心線104の外周側に巻き付けられた筒状の未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。
上述した未加硫スリーブ形成工程S101によって、未加硫スリーブ105が形成される。回転ドラムの外周において形成された未加硫スリーブ105は、回転ドラムから取り外される。尚、図3(A)に示す未加硫スリーブ105は、回転ドラムから取り外された状態が示されている。
ベルト輪状体形成工程S102は、未加硫スリーブ105を周方向に切断して図3(B)に示すベルト輪状体106を形成する工程として構成されている。図4は、ベルト輪状体106の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。図4においては、環状に設けられて無端状に延びるベルト輪状体106の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図5においては、未加硫ゴムベルト106の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
ベルト輪状体形成工程S102においては、未加硫スリーブ105が周方向に切断されることで、周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体106が切り出されて形成される。また、ベルト輪状体形成工程S102においては、未加硫スリーブ105が周方向に切断される処理は、未加硫スリーブ105の全幅に亘って、複数回行われる。これにより、未加硫スリーブ105から複数のベルト輪状体106が切り出されて形成される。
図3(B)及び図4に示すように、ベルト輪状体106は、内周側未加硫ゴム層107、心線104、外周側未加硫ゴム層108を備えて構成されている。そして、未加硫ゴムベルト106においては、内周側未加硫ゴム層107と外周側未加硫ゴム層108との間において、心線104が配置されている。ベルト輪状体106は、未加硫ゴム層(107、108)と心線104とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体として構成されている。
内周側未加硫ゴム層107は、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。外周側未加硫ゴム層108は、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。内周側未加硫ゴム層107及び外周側未加硫ゴム層108を構成するゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示でき、これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムである。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。尚、内周側未加硫ゴム層107のゴム成分、及び、外周側未加硫ゴム層108のゴム成分は、同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。
心線104としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線104を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが使用できる。心線104の表面には、慣用の接着処理(又は表面処理)が施されていてもよい。
図5は、未加硫ゴムベルト109を示す斜視図である。図6は、未加硫ゴムベルト109の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。未加硫ゴムベルト形成工程S103は、図3(B)及び図4に示すベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)を切除することで、ラップドVベルト100の素材としての未加硫ゴムベルト109を形成工程として構成されている。未加硫ゴムベルト形成工程S103は、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法として構成され、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置を用いることで実施される。
未加硫ゴムベルト形成構成S103においては、周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体106の外周側の両側面における外周側の両角部(111、111)を周方向に亘って削るように切除するスカイブ処理が行われる。このスカイブ処理が行われることで、未加硫ゴムベルト形成工程S103においては、ベルト輪状体106の外周側未加硫ゴム層108の外周側の両角部(111、111)が周方向に亘って切除される。
そして、未加硫ゴムベルト形成工程S103の処理が施される前のベルト輪状体106の状態で矩形状だった断面の形状が、未加硫ゴムベルト形成工程S103の処理が施された後の未加硫ゴムベルト109の状態においては、矩形状の部分と台形状の部分とが組み合わされた断面の形状となる。即ち、未加硫ゴムベルト109の周方向に対して垂直な断面の形状は、矩形状の断面の部分と台形状の断面の部分とが組み合わされた断面の形状となる。尚、未加硫ゴムベルト109の断面形状における上記の矩形状の断面の部分には、内周側未加硫ゴム層107の部分と、心線104の部分と、外周側未加硫ゴム層108の内周側の部分とが、対応している。そして、未加硫ゴムベルト109の断面形状における上記の台形状の断面の部分には、外周側未加硫ゴム層108の外周側の部分が、対応している。
また、未加硫ゴムベルト109の両側面の外周側の部分には、未加硫ゴムベルト109の周方向に亘って、未加硫ゴムベルト109の外周面に対して斜めに切除された切除面(110a、110b)が設けられている。より具体的には、外周側未加硫ゴム層108の両側面の外周側の部分に、未加硫ゴムベルト109の周方向に亘って、外周側未加硫ゴム層109の外周面に対して斜めに切除された切除面(110a、110b)が設けられている。
尚、未加硫ゴムベルト109は、例えば、次工程のカバー巻き工程S104が行われる前に、内周側の層と外周側の層とが径方向に反転されて入れ替えられる。即ち、未加硫ゴムベルト109は、未加硫ゴムベルト形成工程S103の後、内周側未加硫ゴム層107が内周側に配置され、外周側未加硫ゴム層108が外周側に配置された状態となっている。この状態から、内周側の層と外周側の層とが径方向に反転されて入れ替えられる。これにより、未加硫ゴムベルト106は、内周側未加硫ゴム層107が外周側に配置され、外周側未加硫ゴム層108が内周側に配置された状態となる。このように、未加硫ゴムベルト109における内周側の層と外周側の層とが径方向に反転されて入れ替えられた状態で、カバー巻き工程S104が行われる。
カバー巻き工程S104は、未加硫ゴムベルト形成工程S103の処理が終了して形成された未加硫ゴムベルト109を外被布101で被覆する工程として構成されている。カバー巻き工程S104においては、環状に設けられた無端状の未加硫ゴムベルト109の周囲表面の全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆される。これにより、未加硫ゴムベルト109が外被布101で被覆されて構成された未加硫ベルト成形体が形成される。
加硫工程S105は、未加硫ベルト成形体における可塑性の未加硫ゴムを加熱して弾性ゴムに変化させる工程として構成されている。加硫工程S105においては、例えば、逆台形状の断面の凹溝が外周に設けられた円筒状のリングモールドとして構成された金型が用いられる。金型に設けられた複数の凹溝に対して未加硫ベルト成形体がそれぞれ嵌め込まれる。そして、複数の未加硫ベルト成形体が嵌め込まれた金型の周囲に、円筒状のゴムスリーブが更に嵌め込まれる。
加硫工程S105においては、上記のように金型及び未加硫ベルト成形体の外周面に円筒状のゴムスリーブが嵌め込まれた状態で、それらが加硫缶に収納され、所定の温度等の条件で加硫が行われる。加硫が終了して金型等が解体され、加硫された成形体がラップドVベルト100として取り出される。このように、加硫工程S105まで終了することで、ラップドVベルト100が製造されることになる。
[未加硫ゴムベルト形成装置の概略]
図7は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1を示す正面図である。図8は、未加硫ゴムベルト形成装置1の正面図であって、未加硫ゴムベルト形成装置1の切除機構13が作動している状態を示す図である。図9は、未加硫ゴムベルト形成装置のベルト走行機構及びワイヤー走行機構を示す正面図である。図10は、図9の一部を拡大して示す図である。図11は、未加硫ゴムベルト形成装置1のベルト走行機構11及びワイヤー走行機構12を示す平面図である。尚、図7においては、未加硫ゴムベルト形成装置1とともにベルト輪状体106も図示されている。また、図8乃至図11においては、未加硫ゴムベルト形成装置1とともに未加硫ゴムベルト109も図示されている。
図7乃至図11に示す未加硫ゴムベルト形成装置1は、未加硫ゴム層(107、108)と心線104とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)を切除することで、ラップドVベルト100の素材としての未加硫ゴムベルト109を形成するための装置として構成されている。未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法が実施され、前述のラップドVベルト100の製造工程における未加硫ゴムベルト形成工程S103が実施されることになる。
未加硫ゴムベルト形成装置1は、図7乃至図11に示すように、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13、制御装置14、等を備えて構成されている。尚、本実施形態においては、ベース15が更に備えられている未加硫ゴムベルト形成装置1が、例示されている。ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13、制御装置14は、ベース15上に設置されている。本実施形態では、ベース15が備えられた未加硫ゴムベルト形成装置1が例示されているが、ベース15が備えられていない形態の未加硫ゴムベルト形成装置1が実施されてもよい。
[ベルト走行機構]
図7乃至図11に示すように、ベルト走行機構11は、複数のベルトプーリ(21、22)、駆動ユニット23、支持ユニット(24、25、26)、等を備えて構成されている。尚、図9及びその一部拡大図である図10においては、駆動ユニット23、支持ユニット(24、25、26)の図示は省略されている。
図7乃至図11に示すベルト走行機構11は、複数のベルトプーリ(21、22)を有し、複数のベルトプーリ(21、22)にベルト輪状体106が巻き掛けられた状態で、ベルトプーリ(21、22)を回転させ、ベルト輪状体106を周方向に走行させる機構として構成されている。尚、本実施形態では、複数のベルトプーリ(21、22)として一対のベルトプーリ(21、22)が備えられたベルト走行機構11の形態を例示している。
一対のベルトプーリ(21、22)のそれぞれは、ベルト輪状体106が巻き掛けられる円盤状の部材として設けられている。一対のベルトプーリ(21、22)のそれぞれの外周には、ベルト輪状体106が巻き掛けられる。ベルト輪状体106は、ベルトプーリ21及びベルトプーリ22のそれぞれの外周に巻き掛けられる。より具体的には、ベルト輪状体106は、ベルトプーリ21に対しては、その外周の略半周に亘って巻き掛けられ、ベルトプーリ22に対しては、その外周の略半周に亘って巻き掛けられる。
そして、ベルトプーリ21は、その径方向中心位置において、回転軸27に対して固定され、回転軸27とともに回転するように構成されている。また、ベルトプーリ22は、径方向中心位置において、回転軸28に対して固定され、回転軸28とともに回転するように構成されている。また、本実施形態では、一対のベルトプーリ(21、22)のうちの一方のベルトプーリ21は、駆動側のベルトプーリとして構成されている。そして、一対のベルトプーリ(21、22)のうちの他方のベルトプーリ22は、従動側のベルトプーリとして構成されている。
また、ベルトプーリ21には、図11に示すように、クラウン部21aが設けられている。クラウン部21aは、ベルトプーリ21の外周側の部分であって、ベルト輪状体106が巻き掛けられる部分において、ベルトプーリ21の外周の全周に亘って設けられている。そして、クラウン部21aは、ベルト輪状体106が巻き掛けられる部分において、ベルトプーリ21の幅方向における中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるように構成された部分として設けられている。尚、ベルトプーリ21の幅方向は、ベルトプーリ21の径方向に垂直な方向であって、回転軸27の軸方向と平行な方向である。
また、クラウン部21aは、ベルトプーリ21の外周の全周に亘って、ベルトプーリ21の幅方向の中央部分におけるベルトプーリ21の径方向外側への盛り上がり量が、同じ量となるように、形成されている。そして、クラウン部21aは、ベルトプーリ21の外周の全周に亘って、同一形状で、ベルトプーリ21の径方向外側に向かって盛り上がるように形成されている。更に、クラウン部21aは、ベルトプーリ21の回転中心軸線(即ち、回転軸27の回転中心軸線)を含む断面での形状が、ベルトプーリ21の径方向に延びる直線であってベルトプーリ21の幅方向の中央位置を通過する直線を中心として線対称の形状に形成されている。尚、本実施形態では、クラウン部21aの外形の形状であってベルトプーリ21の回転中心軸線を含む断面での外形の形状が、円弧形状である形態を例示している。
また、ベルトプーリ22には、図11に示すように、クラウン部22aが設けられている。クラウン部22aは、ベルトプーリ22の外周側の部分であって、ベルト輪状体106が巻き掛けられる部分において、ベルトプーリ22の外周の全周に亘って設けられている。そして、クラウン部22aは、ベルト輪状体106が巻き掛けられる部分において、ベルトプーリ22の幅方向における中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるように構成された部分として設けられている。尚、ベルトプーリ22の幅方向は、ベルトプーリ22の径方向に垂直な方向であって、回転軸28の軸方向と平行な方向である。
また、クラウン部22aは、ベルトプーリ22の外周の全周に亘って、ベルトプーリ22の幅方向の中央部分におけるベルトプーリ22の径方向外側への盛り上がり量が、同じ量となるように、形成されている。そして、クラウン部22aは、ベルトプーリ22の外周の全周に亘って、同一形状で、ベルトプーリ22の径方向外側に向かって盛り上がるように形成されている。更に、クラウン部22aは、ベルトプーリ22の回転中心軸線(即ち、回転軸28の回転中心軸線)を含む断面での形状が、ベルトプーリ22の径方向に延びる直線であってベルトプーリ22の幅方向の中央位置を通過する直線を中心として線対称の形状に形成されている。尚、本実施形態では、クラウン部22aの外形の形状であってベルトプーリ22の回転中心軸線を含む断面での外形の形状が、円弧形状である形態を例示している。
尚、ベルトプーリ21の外形とベルトプーリ22の外形とは、同じ形状に形成されている。このため、ベルトプーリ21のクラウン部21aの形状と、ベルトプーリ22aのクラウン部22aの形状とは、同じ形状に形成されている。
駆動ユニット23は、ベース15上に設置され、回転軸27の一端側を回転自在に支持するとともに、回転軸27を介してベルトプーリ21を回転駆動する機構として構成されている。駆動ユニット23は、ハウジング23a、ハウジング23aに収容された電動モータ23b、電動モータ23bの出力軸(図示省略)と回転軸27の一端側の端部とを着脱自在に連結するカップリング(図示省略)、等を備えて構成されている(図11を参照)。
駆動ユニット23の電動モータ23bは、回転軸27を回転駆動するための駆動トルクを発生させる電動モータとして構成されている。電動モータ23bは、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回転速度で回転する。電動モータ23bの出力軸と回転軸27とがカップリングを介して連結された状態で、電動モータ23bの運転が行われることで、回転軸27とともにベルトプーリ21が回転駆動される。
支持ユニット24は、ベース15上に設置され、回転軸27の他端側を回転自在に支持する機構として構成されている。支持ユニット24は、ハウジング24a、ハウジング24aに収容された軸受機構(図示省略)、等を備えて構成されている(図11を参照)。支持ユニット24の軸受機構は、回転軸27の他端側の端部に対して着脱自在に連結されるとともに、回転軸27の他端側の端部を回転自在に支持するように構成されている。
支持ユニット25は、ベース15上に設置され、回転軸28の一端側を回転自在に支持する機構として構成されている。支持ユニット25は、ハウジング25a、ハウジング25aに収容された軸受機構(図示省略)、等を備えて構成されている(図11を参照)。支持ユニット25の軸受機構は、回転軸28の一端側の端部に対して着脱自在に連結されるとともに、回転軸28の一端側の端部を回転自在に支持するように構成されている。
支持ユニット26は、ベース15上に設置され、回転軸28の他端側を回転自在に支持する機構として構成されている。支持ユニット26は、ハウジング26a、ハウジング26aに収容された軸受機構(図示省略)、等を備えて構成されている(図11を参照)。支持ユニット26の軸受機構は、回転軸28の他端側の端部に対して着脱自在に連結されるとともに、回転軸28の他端側の端部を回転自在に支持するように構成されている。
ベルト走行機構11は、一対のベルトプーリ(21、22)にベルト輪状体106が巻き掛けられた状態で、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて電動モータ23aの運転が行われることで作動する。制御装置14からの制御指令に基づいて電動モータ23aの運転が開始されると、電動モータ23aの出力軸に連結された回転軸27が回転し、回転軸27とともにベルトプーリ21が回転する。そして、ベルトプーリ21の回転とともにベルトプーリ21及びベルトプーリ22に巻き掛けられたベルト輪状体106が周方向に走行しながらベルトプーリ22も回転する。即ち、ベルト輪状体106は、ベルトプーリ(21、22)の回転とともに、ベルトプーリ(21、22)の周囲で周回動作を行うことで、周方向に走行する。
[ワイヤー走行機構]
図12は、図11の一部を拡大して示す図である。図13は、ワイヤー走行機構12の構成を説明するための図であって、図10の矢印X1方向から見たワイヤー走行機構12を模式的に示す図である。図14は、ワイヤー走行機構12の構成を説明するための図であって、図13の矢印X2方向から見たワイヤー走行機構12を模式的に示す図である。
図7乃至図14に示すワイヤー走行機構12は、ワイヤー29、一対の回転ボビン(30、31)、中間プーリ32、第1動力伝達部33、第2動力伝達部34、第3動力伝達部35、ケース36、ボビンモータ39、等を備えて構成されている。尚、図12においては、ボビンモータ39の図示が省略されている。図13においては、ケース36及びボビンモータ39の図示が省略されている。図14においては、ケース36の図示が省略されている。ワイヤー走行機構12は、ワイヤー29に張力を付与し、ワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行させる機構として構成されている。
ワイヤー走行機構12においては、ワイヤー29、一対の回転ボビン(30、31)、中間プーリ32、第1動力伝達部33、第2動力伝達部34、第3動力伝達部35、ボビンモータ39は、ケース36に収納されている。そして、ケース36は、後述する切除機構13に設置されている。これにより、ワイヤー走行機構12は、切除機構13によって移動させられるように構成されている。尚、ケース36においては、ベルト走行機構11のベルトプーリ21に対向する側において、開口が設けられている。開口からは、ワイヤー29の一部が露出している。
ワイヤー29は、1本の長尺の連続したワイヤーとして設けられている。ワイヤー29は、例えば、ダイヤモンドワイヤーとして構成されている。より具体的には、ダイヤモンドワイヤーとして構成されたワイヤー29は、例えば、炭素鋼製の金属線であるピアノ線として構成された芯線を有するとともに、この芯線の表面にダイヤモンド砥粒が電着により固定されたワイヤーとして構成されている。ワイヤー29の直径寸法は、例えば、150〜320μmに設定され、ワイヤー29の心線の直径寸法は、例えば、120〜250μmに設定される。
一対の回転ボビン(30、31)は、1本の連続したワイヤー29の両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転するように構成されている。尚、ワイヤー29は、一対の回転ボビン(30、31)にそれぞれ巻き付けられた両端側の部分の間の部分において、後述する中間プーリ32の外周の一部に巻き掛けられている(図12乃至図14を参照)。
各回転ボビン(30、31)は、円盤状の部材として設けられ、ワイヤー29が巻き付けられる凹み溝が外周の全周に亘って設けられている。回転ボビン30の外周の直径寸法と回転ボビン31の外周の直径寸法とは、同一の寸法に設定されている。また、回転ボビン30に対して、ワイヤー29の長手方向における一方の端部が固定されている。そして、一方の端部が回転ボビン30に固定されたワイヤー29は、その一方の端部側の部分が、十分な長さに亘って、回転ボビン30の外周に巻き付けられている。また、回転ボビン31に対して、ワイヤー29の長手方向における他方の端部が固定されている。そして、他方の端部が回転ボビン31に固定されたワイヤー29は、その他方の端部側の部分が、十分な長さに亘って、回転ボビン31の外周に巻き付けられている。
回転ボビン30は、ケース36に対して回転自在に取り付けられた連結軸40に対して取り付けられている。このため、連結軸40は、回転ボビン30の回転軸となる。そして、連結軸40は、その軸方向が、ベルトプーリ21の回転軸27に対してねじれの位置において延びた状態で、ケース36に対して回転自在に取り付けられている。更に、連結軸40及び回転軸27は、連結軸40及び回転軸27の両軸に対して垂直な方向から連結軸40及び回転軸27を見た状態で、連結軸40及び回転軸27が互いに垂直に交差するように見えるねじれの位置に配置されている。尚、図10乃至図14においては、連結軸40におけるケース36に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。
また、回転ボビン30は、付勢バネ(図示省略)を介して連結軸40に取り付けられるとともに、連結軸40とともに回転するように連結軸40に取り付けられている。回転ボビン30と連結軸40との間に設けられた上記の付勢バネは、例えば、コイルバネとして設けられている。そして、その付勢バネは、回転ボビン30に巻き付けられたワイヤー29を回転ボビン31との間で中間プーリ32を介して引っ張り合う方向に向かって、回転ボビン30を連結軸40に対して軸回り方向に付勢するように、構成されている。尚、回転ボビン30は、上記の付勢バネによって付勢された状態で、連結軸40に対して相対回転しないように、連結軸40に対して、軸周りの位置が規制された状態で取り付けられている。このため、回転ボビン30は、回転ボビン31との間で中間プーリ32を介してワイヤー29に張力を付与した状態で、連結軸40とともに回転するように構成されている。
回転ボビン31は、ケース36に対して回転自在に取り付けられた連結軸41に対して取り付けられている。このため、連結軸41は、回転ボビン31の回転軸となる。そして、連結軸41は、その軸方向が、ベルトプーリ21の回転軸27に対してねじれの位置において延びた状態で、ケース36に対して回転自在に取り付けられている。更に、連結軸41及び回転軸27は、連結軸41及び回転軸27の両軸に対して垂直な方向から連結軸41及び回転軸27を見た状態で、連結軸41及び回転軸27が互いに垂直に交差するように見えるねじれの位置に配置されている。尚、図10乃至図14においては、連結軸41におけるケース36に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。また、連結軸41の軸方向は、連結軸40の軸方向と平行に設定されている。
また、回転ボビン31は、付勢バネ(図示省略)を介して連結軸41に取り付けられるとともに、連結軸41とともに回転するように連結軸41に取り付けられている。回転ボビン31と連結軸41との間に設けられた上記の付勢バネは、例えば、コイルバネとして設けられている。そして、その付勢バネは、回転ボビン41に巻き付けられたワイヤー29を回転ボビン30との間で中間プーリ32を介して引っ張り合う方向に向かって、回転ボビン31を連結軸41に対して軸回り方向に付勢するように、構成されている。尚、回転ボビン31は、上記の付勢バネによって付勢された状態で、連結軸41に対して相対回転しないように、連結軸41に対して、軸周りの位置が規制された状態で取り付けられている。このため、回転ボビン31は、回転ボビン30との間で中間プーリ32を介してワイヤー29に張力を付与した状態で、連結軸41とともに回転するように構成されている。
中間プーリ32は、ワイヤー29が外周の一部に巻き掛けられるプーリとして設けられている。そして、中間プーリ32の外周に対しては、一対の回転ボビン(30、31)にそれぞれ巻き付けられたワイヤー29の両端側の部分の間の部分が、巻き掛けられる。また、中間プーリ32は、円盤状の部材として設けられ、ワイヤー29が巻き付けられる凹み溝が外周の全周に亘って設けられている。
また、中間プーリ32は、ケース36に対して回転自在に取り付けられた回転軸42に対して固定されて取り付けられている。回転軸42は、その軸方向が、ベルトプーリ21の回転軸27に対してねじれの位置において延びた状態で、ケース36に対して回転自在に取り付けられている。更に、回転軸42及び回転軸27は、回転軸42及び回転軸27の両軸に対して垂直な方向から回転軸42及び回転軸27を見た状態で、回転軸42及び回転軸27が互いに垂直に交差するように見えるねじれの位置に配置されている。尚、図10乃至図14においては、回転軸42におけるケース36に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。また、回転軸42の軸方向は、連結軸40及び連結軸41の軸方向と平行に設定されている。即ち、回転ボビン30の回転軸となる連結軸40、回転ボビン31の回転軸となる連結軸41、及び中間プーリ32の回転軸42は、軸方向が互いに平行に延びた状態で、ケース36に配置されている。また、回転軸の軸方向が互いに平行な回転ボビン30、回転ボビン31、及び中間プーリ32は、それぞれ円盤状に広がる面方向が、同一の平面に沿って広がるように、配置されている。
また、中間プーリ32に対しては、一対の回転ボビン(30、31)にそれぞれ巻き付けられたワイヤー29の両端側の部分の間の部分が巻き掛けられている。また、ワイヤー29には、中間プーリ32を介して一対の回転ボビン(30、31)の間で張力が付与されている。このため、回転ボビン30と中間プーリ32との間においては、ワイヤー29が直線経路に沿って配置されている。同様に、回転ボビン31と中間プーリ32との間においても、ワイヤー29が直線経路に沿って配置されている。更に、一対の回転ボビン(30、31)は、後述のボビンモータ39からの駆動トルクが後述の第1乃至第3動力伝達部(33、34、35)を介して伝達されることで同期して回転する。これにより、ワイヤー29が、一対の回転ボビン(30、31)の間で中間プーリ32を介して走行する。
上記の構成により、ワイヤー29が回転ボビン30と中間プーリ32との間を走行する際には、ワイヤー29は、回転ボビン30と中間プーリ32との間の直線経路であってワイヤー29が走行する経路である第1直線走行経路37において直線方向に沿って走行する。そして、ワイヤー29が回転ボビン31と中間プーリ32との間を走行する際には、ワイヤー29は、回転ボビン31と中間プーリ32との間の直線経路であってワイヤー29が走行する経路である第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行する。よって、ワイヤー走行機構12においては、一対の回転ボビン(30、31)のうちの一方の回転ボビン30と中間プーリ32との間で第1直線走行経路37が構成され、一対の回転ボビン(30、31)のうちの他方の回転ボビン31と中間プーリ32との間で第2直線走行経路38が構成されている(図12乃至図14を参照)。
また、一対の回転ボビン(30、31)にそれぞれ巻き付けられたワイヤー29の両端側の部分の間の部分は、一対の回転ボビン(30、31)と中間プーリ32との間で、略V字状に延びる経路に沿って配置されている。即ち、第1直線走行経路37と第2直線走行経路38とは、略V字状に延びる経路に沿って配置されている(図12及び図13を参照)。
また、ワイヤー走行機構12においては、ベルトプーリ21の幅方向の中心位置と中間プーリ32の回転中心位置(回転軸42の回転中心軸線)とを結ぶ直線Pに対して、第1直線走行経路37が成す角θ1の大きさと、第2直線走行経路38が成す角θ2の大きさとが、同じ大きさとなるように設定されている(図13を参照)。即ち、θ1=θ2となるように、設定されている。尚、図13においては、ベルトプーリ21の幅方向の中心位置と中間プーリ32の回転中心位置とを結ぶ直線Pについては、一点鎖線Pで示している。また、図13においては、第1直線走行経路37が成す角θ1については、両端矢印θ1で示しており、第2直線走行経路38が成す角θ2については、両端矢印θ2で示している。
ボビンモータ39は、第1乃至第3動力伝達部(33、34、35)を介して一対の回転ボビン(30、31)を回転駆動する駆動トルクを発生する電動モータとして構成されている。そして、ボビンモータ39は、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動して回転するように構成されている。また、ボビンモータ39は、制御装置14からの制御指令に基づいて正逆方向の両方向に回転可能に構成されている。
第1動力伝達部33は、ボビンモータ39から伝達された駆動トルクを第2動力伝達部34及び第3動力伝達部35に伝達する機構として設けられている。第1動力伝達部33は、駆動プーリ33a、従動プーリ33b、駆動ベルト33cを有する機構として構成されている(図10、図12乃至図14を参照)。
駆動プーリ33aは、ボビンモータ39の出力軸39aに固定され、出力軸39aとともに回転するように構成されている。従動プーリ33bは、ケース36に回転自在に取り付けられた連結軸43に対してその中途部分において固定されている。連結軸43の軸方向は、連結軸40、連結軸41、及び回転軸42の軸方向と平行に設定されている。尚、図12乃至図14においては、連結軸43におけるケース36に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。駆動ベルト33cは、駆動プーリ33a及び従動プーリ33bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ33aに入力された駆動トルクを従動プーリ33bに伝達するベルトとして構成されている。
第2動力伝達部34は、ボビンモータ39から第1動力伝達部33を介して伝達された駆動トルクを回転ボビン30に伝達する機構として設けられている。第2動力伝達部34は、駆動プーリ34a、従動プーリ34b、駆動ベルト34cを有する機構として構成されている(図10乃至図14を参照)。
駆動プーリ34aは、ケース36に回転自在に取り付けられた連結軸44に対してその中途部分において固定されている。連結軸44の軸方向は、連結軸40、連結軸41、回転軸42、及び連結軸43の軸方向と平行に設定されている。尚、図10乃至図14においては、連結軸44におけるケース36に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。駆動プーリ34aは、連結軸44を介して駆動プーリ33aと連結されており、連結軸44及び駆動プーリ33aとともに回転するように構成されている。駆動プーリ34aが固定された連結軸44には、ボビンモータ39から駆動プーリ33aを介して伝達された駆動トルクが伝達される。従動プーリ34bは、ケース36に回転自在に取り付けられた連結軸40に対してその中途部分において固定されている。従動プーリ34bは、連結軸40を介して回転ボビン30と連結されており、連結軸40及び回転ボビン30とともに回転するように構成されている。駆動ベルト34cは、駆動プーリ34a及び従動プーリ34bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ34aに伝達された駆動トルクを更に従動プーリ34bに伝達するベルトとして構成されている。
第3動力伝達部35は、ボビンモータ39から第1動力伝達部33を介して伝達された駆動トルクを回転ボビン31に伝達する機構として設けられている。第3動力伝達部35は、駆動プーリ35a、従動プーリ35b、駆動ベルト35cを有する機構として構成されている(図12乃至図14を参照)。
駆動プーリ35aは、ケース36に回転自在に取り付けられた連結軸43に対してその中途部分において固定されている。駆動プーリ35aは、連結軸43を介して従動プーリ33bと連結されており、連結軸43及び従動プーリ33bとともに回転するように構成されている。駆動プーリ35aが固定された連結軸43には、ボビンモータ39から第1動力伝達部33を介して伝達された駆動トルクが伝達される。従動プーリ35bは、ケース36に回転自在に取り付けられた連結軸41に対してその中途部分において固定されている。従動プーリ35bは、連結軸41を介して回転ボビン31と連結されており、連結軸41及び回転ボビン31とともに回転するように構成されている。駆動ベルト35cは、駆動プーリ35a及び従動プーリ35bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ35aに伝達された駆動トルクを更に従動プーリ35bに伝達するベルトとして構成されている。
ワイヤー走行機構12においては、制御装置14からの制御指令に基づいてボビンモータ39の運転が行われると、出力軸39aとともに駆動プーリ33aが回転する。駆動プーリ33aが回転すると、駆動プーリ33aとともに連結軸44及び駆動プーリ34aが回転する。更に、駆動プーリ33aが回転することで、駆動プーリ33a及び従動プーリ33bに巻き掛けられた駆動ベルト33cの周回動作が行われる。また、駆動ベルト33cの周回動作が行われると、従動プーリ33bが回転し、従動プーリ33bとともに連結軸43及び駆動プーリ35aが回転する。
上記のように、駆動プーリ33aとともに連結軸44及び駆動プーリ34aが回転すると、駆動プーリ34a及び従動プーリ34bに巻き掛けられた駆動ベルト34cの周回動作が行われる。駆動ベルト34cの周回動作が行われると、従動プーリ34bが回転し、従動プーリ34bとともに連結軸40及び回転ボビン30が回転する。また、上記のように、従動プーリ33bとともに連結軸43及び駆動プーリ35aが回転すると、駆動プーリ35a及び従動プーリ35bに巻き掛けられた駆動ベルト35cの周回動作が行われる。駆動ベルト35cの周回動作が行われると、従動プーリ35bが回転し、従動プーリ35bとともに連結軸41及び回転ボビン31が回転する。
上記により、ワイヤー走行機構12においては、ボビンモータ39からの駆動トルクによって、一対の回転ボビン(30、31)が、同方向に同期した状態で回転駆動される。一対の回転ボビン(30、31)が、同方向に同期した状態で回転することで、一対の回転ボビン(30、31)の一方からワイヤー29が払い出されるとともに、その払い出されたワイヤー29が中間プーリ32の外周の一部に沿って走行し、更に、一対の回転ボビン(30、31)の他方にてワイヤー29が巻き取られることになる。そして、一対の回転ボビン(30、31)の一方から払い出されたワイヤー29が中間プーリ32を経て他方で巻き取られることで、一対の回転ボビン(30、31)の間において、ワイヤー29が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行することになる。尚、一対の回転ボビン(30、31)が、同方向に同期した状態で回転駆動される際には、中間プーリ32は、一対の回転ボビン(30、31)とは反対方向に回転する。
また、一対の回転ボビン(30、31)が同方向に同期した状態で回転駆動されてワイヤー29が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38においてそれぞれ直線方向に沿って走行する際には、一対の回転ボビン(30、31)の間で中間プーリ32を介してワイヤー29に張力が付与された状態が維持されている。即ち、ワイヤー29が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行する際には、回転ボビン30と連結軸40との間に設けられた前述の付勢バネと、回転ボビン31と連結軸41との間に設けられた前述の付勢バネとによって、一対の回転ボビン(30、31)の間で中間プーリ32を介してワイヤー29に張力が付与された状態が維持されている。
上記のように、ワイヤー走行機構12は、中間プーリ32を介して一対の回転ボビン(30、31)の間でワイヤー29に張力を付与した状態で、一対の回転ボビン(30、31)のうちの一方からワイヤー29を払い出すとともに一対の回転ボビン(30、31)の他方にてワイヤー29を巻き取るように構成されている。これにより、ワイヤー走行機構12は、一対の回転ボビン(30、31)の間において、ワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行させるように構成されている。
また、ワイヤー走行機構12において、ボビンモータ39は、制御装置14からの制御指令に基づいて正逆方向の両方向に回転可能に構成されている。そして、一対の回転ボビン(30、31)は、ボビンモータ39からの駆動トルクによって、同方向に同期した状態で回転駆動される。このため、ワイヤー走行機構12は、ボビンモータ39の回転方向を正逆方向の両方向で交互に繰り返すことで、一対の回転ボビン(30、31)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させるように構成されている。そして、ワイヤー走行機構12は、一対の回転ボビン(30、31)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、ワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38のそれぞれにおいて直線方向に沿って往復させながら走行させるように構成されている。
尚、図13においては、ワイヤー30における張力が付与された部分が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38のそれぞれにおいて直線方向に沿って往復するように走行する方向と平行な方向が、両端矢印Qで示されている。また、図13においては、一対の回転ボビン(30、31)、中間プーリ32、駆動プーリ34a、従動プーリ34b、駆動プーリ35a、従動プーリ35bが回転する方向が、両端矢印でそれぞれ示されている。
[切除機構]
図7乃至図10に示すように、切除機構13は、基台部45、進退移動機構46、等を備えて構成されている。そして、切除機構13は、走行するベルト輪状体106の外周側における両角部(111、111)に対して、走行するワイヤー29を当接させることで、両角部(111、111)を切除し、未加硫ゴムベルト109を形成する機構として構成されている。
基台部45は、ベース15上に設置され、進退移動機構46及びワイヤー走行機構12を支持する台座部として設けられている。進退移動機構46は、基台部45に設置され、ワイヤー走行機構12は、進退移動機構46に設置されている。
進退移動機構46は、ベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106又は未加硫ゴムベルト109に対して、ワイヤー走行機構12を進出及び退避させる方向に沿って移動させる機構として、構成されている。進退移動機構46は、固定部46a、可動部46b、等を備えて構成されている。固定部46aは、基台部45に固定されている。可動部46bは、固定部46aに対して、固定部46aから突出する方向、及び、固定部46aに退避する方向に沿って、スライド移動自在に取り付けられている。また、可動部46bにおける固定部46aから突出する先端側には、ワイヤー走行機構12のケース36が固定されている。これにより、ワイヤー走行機構12は、進退移動機構46に設置されている。
また、固定部46aの内部には、ボールネジ機構(図示省略)が設けられ、可動部46bは、ボールネジ機構によって、固定部46aに対して、スライド移動方向に駆動されるように構成されている。尚、ボールネジ機構は、ネジ軸、ボールネジモータ、軸受、ナット部、複数のボール、等を備えて構成されている。ネジ軸は、電動モータとして構成されたボールネジモータが作動することで、固定部46aの内部で軸線周りに回転するように構成されている。そして、ナット部は、ネジ軸に螺合するとともに、固定部46aの内部でスライド移動自在に支持され、更に、可動部46bに固定されている。後述する制御装置14からの制御指令に基づいてボールネジモータが作動することで、ネジ軸が回転し、固定部46aの内部でナット部がスライド移動する。そして、ナット部が固定された可動部46bが、固定部46aに対してスライド移動する。これにより、可動部46bは、固定部46aに対して、固定部46aから突出する方向、及び、固定部46aに退避する方向に沿って、スライド移動する。
上記のように、可動部46bが固定部46aに対してスライド移動することで、可動部46bは、固定部46aに対して、固定部46aから突出する方向に、又は、固定部46aに退避する方向に、移動する。そして、可動部46bが固定部46aから突出する方向に移動することで、可動部46bの先端側に設置されたワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出する方向に移動する。一方、可動部46bが固定部46aに退避する方向に移動することで、可動部46bの先端側に設置されたワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21側から固定部46a側に退避する方向に移動する。
図7においては、可動部46bが固定部46aに退避している状態であって、ワイヤー走行機構12がベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出する前の状態が図示されている。一方、図8乃至図10においては、切除機構13が作動して、可動部46bが固定部46aから突出した状態が図示されている。可動部46bが固定部46aから突出すると、ワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出する。
切除機構13は、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。また、切除機構13が作動する際には、切除機構13の作動の前に、制御装置14からの制御指令に基づいて、ベルト走行機構11及びワイヤー走行機構12の作動が開始される。即ち、ベルト走行機構11及びワイヤー走行機構12が作動した状態で、切除機構13が作動する。
そして、切除機構13は、作動することで、可動部46bを固定部46aから突出させ、ワイヤー走行機構12をベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出させる。これにより、切除機構13は、第1直線走行経路37を走行するワイヤー29を両角部(111、111)のうちの一方に当接させ、第2直線走行経路38を走行するワイヤー29を両角部(111、111)のうちの他方に当接させる。また、切除機構13は、周方向に走行するベルト輪状体106におけるベルトプーリ21の外周に沿って走行する部分において、走行するワイヤー29を両角部(111、111)に対して当接させる。このように、切除機構13は、走行するベルト輪状体106の外周側における両角部(111、111)に対して、走行するワイヤー29を当接させることで、両角部(111、111)を切除し、未加硫ゴムベルト109を形成する。
尚、図8乃至図10においては、ワイヤー29によってベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が切除され、未加硫ゴムベルト109が形成された状態が図示されている。ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が切除されて未加硫ゴムベルト109が形成されると、切除機構13は、制御装置14からの制御指令に基づいて、可動部46bを固定部46aに退避させる。これにより、ワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられた状態の未加硫ゴムベルト109から退避する。
[制御装置]
図7及び図8に示す制御装置14は、未加硫ゴムベルト形成装置1において、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13の作動を制御する制御部として設けられている。前述の通り、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13は、制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。
制御装置14は、CPU等のプロセッサ、メモリ、ユーザによって操作される操作パネル又は操作盤等の操作部、インターフェース回路、等を備えて構成されている。制御装置14のメモリには、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13の作動を制御する制御指令を作成するためのプログラムが記憶されている。ユーザによって操作部が操作されることで、メモリから上記のプログラムがプロセッサによって読み出されて実行される。これにより、上記の制御指令が作成され、その制御指令に基づいて、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13が作動する。
制御装置14からの制御指令に基づいて、駆動ユニット23の電動モータ23bが回転し、ベルトプーリ21が回転駆動される。そして、ベルトプーリ21の回転に伴って、ベルトプーリ22の回転動作及びベルト輪状体106の周回動作が行われる。これにより、ベルトプーリ21及びベルトプーリ22に巻き掛けられたベルト輪状体106が周方向に走行する。
また、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボビンモータ39が回転し、駆動トルクが第1乃至第3動力伝達部(33、34、35)を介して一対の回転ボビン(30、31)に伝達される。これにより、ワイヤー29における張力が付与された部分が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行する。更に、制御装置14からの制御指令に基づいて、切除機構13が作動し、ワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出する。これにより、第1及び第2直線走行経路(37、38)を走行するワイヤー29が、走行するベルト輪状体106の両角部(111、111)に当接し、両角部(111、111)が切除され、未加硫ゴムベルト109が形成される。
尚、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除の際におけるボビンモータ39の回転方向は、制御装置14からの制御指令に基づいて、適宜、所定の周期で、正逆方向の両方向で交互に繰り返すように、制御される。これにより、一対の回転ボビン(30、31)は、同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返してワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って往復させながら走行させるように、回転動作が制御される。
尚、本実施形態では、制御装置14からの制御指令に基づいて、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13が作動する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。未加硫ゴムベルト形成装置1において、制御装置14が備えられておらず、ユーザによる操作に基づいて、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13が作動する形態が実施されてもよい。
[未加硫ゴムベルトの形成方法]
次に、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。図15は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法を示すチャート図である。図15に示す本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、未加硫ゴム層(107、108)と心線104とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)を切除することで、ラップドVベルト100の素材としての未加硫ゴムベルト109を形成するための方法として構成されている。
本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで実施される。そして、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、図15に示すように、ベルト輪状体巻き掛け工程S201、切除工程S202、未加硫ゴムベルト取り外し工程S203を備えて構成されている。ベルト輪状体巻き掛け工程S201が実施され、次いで、切除工程S202が実施され、未加硫ゴムベルト取り外し工程S203が実施される。これらの工程が終了することで、ベルト輪状体106から未加硫ゴムベルト109が形成されることになる。
ベルト輪状体巻き掛け工程S201は、一対のベルトプーリ(21、22)の外周にベルト輪状体106が巻き掛けられる工程として、構成されている。
ベルト輪状体巻き掛け工程S201においては、例えば、駆動ユニット23及び支持ユニット(24、25、26)によって ベルトプーリ(21、22)が支持されていないオフライン状態において、ベルトプーリ(21、22)の外周にベルト輪状体106が巻き掛けられる。そして、外周にベルト輪状体106が巻き掛けられたベルトプーリ(21、22)が、回転軸(27、28)を介して、駆動ユニット23及び支持ユニット(24、25、26)に支持されるように、設置される。
或いは、例えば、ベルト輪状体巻き掛け工程S201においては、ベルトプーリ(21、22)の支持ユニット(24、26)による支持が開放され、ベルトプーリ(21、22)が駆動ユニット23及び支持ユニット25によってそれぞれ片持ち状態で支持された状態で、ベルトプーリ(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられる。そして、ベルトプーリ(21、22)の外周にベルト輪状体106が巻き掛けられた後、ベルトプーリ(21、22)の支持ユニット(24、26)による支持が行われる。
切除工程S202は、ベルト走行工程S204と、ワイヤー走行工程S205と、を備えて構成されている。ベルト走行工程S204とワイヤー走行工程S205とは、同時に実施される。そして、ベルト走行工程S204とワイヤー走行工程S205とが同時に実施されている状態で、更に、切除機構13を作動させる工程が実施されることで、ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が切除されて未加硫ゴムベルト109が形成される。
ベルト走行工程S204は、制御装置14からの制御指令に基づいて、ベルト走行機構11が作動することで、実施される。具体的には、ベルト走行工程S204においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、駆動ユニット23の電動モータ23bが回転し、ベルトプーリ21が回転駆動される。そして、ベルトプーリ21の回転に伴って、ベルトプーリ22の回転動作及びベルト輪状体106の周回動作が行われる。これにより、ベルトプーリ21及びベルトプーリ22に巻き掛けられたベルト輪状体106が周方向に走行する。
上記のように、ベルト走行工程S204は、複数のベルトプーリ(21、22)にベルト輪状体106が巻き掛けられた状態で、ベルトプーリ(21、22)を回転させ、ベルト輪状体106を周方向に走行させる工程として構成されている。
ワイヤー走行工程S205は、制御装置14からの制御指令に基づいて、ワイヤー走行機構12が作動することで、実施される。具体的には、ワイヤー走行工程S205においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボビンモータ39が回転し、駆動トルクが第1乃至第3動力伝達部(33、34、35)を介して一対の回転ボビン(30、31)に伝達される。これにより、ワイヤー29における張力が付与された部分が第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行する。
上記のように、ワイヤー走行工程S205は、ワイヤー29に張力を付与し、ワイヤー29における張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行させる工程として構成されている。
また、切除工程S202においては、ベルト走行工程S204とワイヤー走行工程S205とが同時に実施されている状態で、更に、切除機構13を作動させる工程が実施される。具体的には、切除工程S202においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、切除機構13が作動し、ワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられたベルト輪状体106に向かって進出する。これにより、第1及び第2直線走行経路(37、38)を走行するワイヤー29が、走行するベルト輪状体106両角部(111、111)に当接し、両角部(111、111)が切除され、未加硫ゴムベルト109が形成される。
上記のように、切除工程S202は、走行するベルト輪状体106の外周側における両角部(111、111)に対して、走行するワイヤー29を当接させることで、両角部(111、111)を切除し、未加硫ゴムベルト109を形成する工程として構成されている。そして、切除工程S202においては、第1直線走行経路37を走行するワイヤー29が両角部(111、111)のうちの一方に当接し、第2直線走行経路38を走行するワイヤー29が両角部(111、111)のうちの他方に当接することで、両角部(111、111)が切除され、未加硫ゴムベルト109が形成される。
ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が、ベルト輪状体106の全周に亘って切除され、未加硫ゴムベルト109が形成されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、切除機構13が作動し、可動部46bが固定部46aに退避する。これにより、ワイヤー走行機構12が、ベルトプーリ21に巻き掛けられた状態の未加硫ゴムベルト109から退避する。これにより、切除工程S202が終了する。切除工程S202が終了すると、制御装置14からの制御指令に基づいて、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、及び切除機構13の全ての作動が停止される。
切除工程S202が終了して未加硫ゴムベルト109が形成されると、次いで、未加硫ゴムベルト取り外し工程S204が実施される。未加硫ゴムベルト取り外し工程S204では、ベルトプーリ(21、22)の外周に巻き掛けられた状態の未加硫ゴムベルト109が、ベルトプーリ(21、22)から取り外される。ベルトプーリ(21、22)から未加硫ゴムベルト109が取り外されることで、図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法は終了することになる。
[実施例]
次に、上述した実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によって未加硫ゴムベルト109を形成した本発明の実施例について説明する。本発明の実施例に係る未加硫ゴムベルト109として、ベルト輪状体106から、未加硫ゴムベルト形成装置1によって、実施例No.1〜No10の10個の未加硫ゴムベルト109を形成した。そして、それぞれの実施例に係る未加硫ゴムベルト109において、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除量を測定した。
図16(図16(A)、図16(B))は、本発明の実施例に関して、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除量について説明するための図である。尚、図16(A)は、ベルト輪状体106の断面図であって、ベルト輪状体106の周方向に垂直な断面を模式的に示す図である。また、図16(A)においては、ベルト輪状体106の両角部(111、111)を切除するワイヤー29の位置と、一対の回転ボビン(30、31)及び中間プーリ32の位置とを、二点差線で示している。図16(B)は、未加硫ゴムベルト形成装置1によって両角部(111、111)が切除されて形成された未加硫ゴムベルト109の断面図であって、未加硫ゴムベルト109の周方向に垂直な断面を模式的に示す図である。また、図16(B)においては、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)の寸法を両端矢印で示している。即ち、図16(B)においては、両角部(111、111)のうちの一方の角部111の切除量DLである左側切除量DLの寸法、及び、両角部(111、111)のうちの他方の角部111の切除量DRである右側切除量DRの寸法を、それぞれ両端矢印で示している。尚、未加硫ゴムベルト109における左側切除量DL及び右側切除量DRについては、未加硫ゴムベルト109の断面における寸法として規定しており、未加硫ゴムベルト109の厚み方向(径方向)における角部111の切除部分の長さ寸法であって未加硫ゴムベルト109の幅方向の端部における長さ寸法として規定している。
また、実施例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト109の形成においては、周方向に垂直な断面における厚み方向の寸法が9.2mmで幅方向の寸法が13.2mmのベルト輪状体106に対して、未加硫ゴムベルト形成装置1による両角部(111、111)の切除を行った。そして、未加硫ゴムベルト109における左側切除量DL及び右側切除量DRの目標値を4.3mmとして、未加硫ゴムベルト109の形成を行った。また、未加硫ゴムベルト形成装置1による未加硫ゴムベルト109の形成の際にベルト輪状体106を巻き掛けるベルトプーリ(21、22)としては、直径の寸法が100mmで、幅方向の寸法が20mmで、ベルトプーリ(21、22)の幅方向の中央部分におけるクラウン部(21a、22a)の盛り上がり量が1mmのベルトプーリ(21、22)を用いた。
また、本発明の実施例との比較のため、特許文献2に開示された従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置によって、比較例に係る未加硫ゴムベルト121(後述の図17(B)を参照)の形成も行った。比較例に係る未加硫ゴムベルト121として、ベルト輪状体106から、従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置によって、比較例No.1〜No10の10個の未加硫ゴムベルト121を形成した。そして、それぞれの比較例に係る未加硫ゴムベルト121において、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除量を測定した。
図17(図17(A)、図17(B))は、比較例に関して、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除量について説明するための図である。尚、図17(A)は、ベルト輪状体106の断面図であって、ベルト輪状体106の周方向に垂直な断面を模式的に示す図である。また、図17(A)においては、ベルト輪状体106の両角部(111、111)を特許文献2に開示された従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置によって切除する際における従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置のスカイブカッター120の外周縁の位置を二点差線で示している。図17(B)は、従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置によって両角部(111、111)が切除されて形成された未加硫ゴムベルト121の断面図であって、未加硫ゴムベルト121の周方向に垂直な断面を模式的に示す図である。また、図17(B)においては、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)の寸法を両端矢印で示している。即ち、図17(B)においては、両角部(111、111)のうちの一方の角部111の切除量DLである左側切除量DLの寸法、及び、両角部(111、111)のうちの他方の角部111の切除量DRである右側切除量DRの寸法を、それぞれ両端矢印で示している。尚、未加硫ゴムベルト121における左側切除量DL及び右側切除量DRについては、未加硫ゴムベルト121の断面における寸法として規定しており、未加硫ゴムベルト121の厚み方向(径方向)における角部111の切除部分の長さ寸法であって未加硫ゴムベルト121の幅方向の端部における寸法として規定している。
また、比較例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト121の形成においては、周方向に垂直な断面における厚み方向の寸法が9.2mmで幅方向の寸法が13.2mmのベルト輪状体106に対して、従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置による両角部(111、111)の切除を行った。そして、未加硫ゴムベルト121における左側切除量DL及び右側切除量DRの目標値を4.3mmとして、未加硫ゴムベルト121の形成を行った。また、従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置による未加硫ゴムベルト121の形成の際にベルト輪状体106を巻き掛けるベルトプーリとしては、直径の寸法が100mmで、幅方向の寸法が20mmで、ベルトプーリの幅方向の中央部分の盛り上がり量が0mmのベルトプーリを用いた。
また、図18は、本発明の実施例No.1〜No.10として形成した未加硫ゴムベルト109について、両角部(111、111)のそれぞれの切除量(DL、DR)を測定した結果を示す図である。尚、図18では、実施例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト109の左側切除量DLについて、実施例No.1からNo.10まで順番に実線の折れ線で結んだグラフで示している。また、図18では、実施例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト109の右側切除量DRについて、実施例No.1からNo.10まで順番に破線の折れ線で結んだグラフで示している。
図19は、比較例No.1〜No.10として形成した未加硫ゴムベルト121について、両角部(111、111)のそれぞれの切除量(DL、DR)を測定した結果を示す図である。尚、図19では、比較例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト121の左側切除量DLについて、比較例No.1からNo.10まで順番に実線の折れ線で結んだグラフで示している。また、図19では、比較例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト112の右側切除量DRについて、比較例No.1からNo.10まで順番に破線の折れ線で結んだグラフで示している。
図20は、実施例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト109及び比較例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト121について、両角部(111、111)のそれぞれの切除量(DL、DR)の測定値の差の絶対値を対比して示す図である。尚、図20では、実施例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト109のそれぞれにおける左側切除量DLと右側切除量DRとの差(左右差)の絶対値について、実施例No.1〜No.10まで順番に実線の折れ線で結んだグラフで示している。また、図20では、比較例No.1〜No.10の未加硫ゴムベルト121のそれぞれにおける左側切除量DLと右側切除量DRとの差(左右差)の絶対値について、比較例No.1〜No.10まで順番に破線の折れ線で結んだグラフで示している。
図18に示すように、本発明の実施例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト109については、左側切除量DL及び右側切除量DRの値が、いずれも、目標値の4.3mmに近似した値となった。更に、図20に示すように、本発明の実施例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト109については、左側切除量DLと右側切除量DRとの差(左右差)の絶対値の値も非常に小さい値となった。一方、図19に示すように、比較例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト121については、左側切除量DL及び右側切除量DRの値が、いずれも、大きくばらつく結果となった。そして、目標値の4.3mmから非常に大きく乖離した値となる例も見られる結果となった。更に、図20に示すように、比較例No.1〜No.10に係る未加硫ゴムベルト109については、左側切除量DLと右側切除量DRとの差(左右差)の絶対値の値も相当に大きな値となった。
従って、図19及び図20に示す通り、従来技術に係る未加硫ゴムベルト形成装置によってスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルト121を形成すると、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)が未加硫ゴムベルト121の幅方向で大きくばらついてしまい易いことが確認された。そして、両角部(111、111)のうちの一方が過大に切除され、両角部(111、111)のうちの他方が過小に切除されてしまい易いことが確認された。尚、比較例のように、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)のばらつきが大きく生じた状態で形成された未加硫ゴムベルト121に外被布が被覆されて金型内で加硫されると、金型内での加硫時における断面形状の変化に伴い、心線の並びの乱れ、或いは、断面寸法の過不足が、生じ易くなる。また、ラップドVベルトにおいて、断面寸法の不足が生じると、プーリを走行する際にプーリ溝の奥側に落ち込んでしまい易く、小プーリ径走行と同等の条件となり、屈曲条件が厳しくなってしまい、耐屈曲性能が低下することになる。このため、ラップドVベルトの品質の低下を招いてしまうことになる。また、ラップドVベルトにおいて、断面寸法が過大となると、曲げ難くなるため、耐屈曲性能が低下することになる。このため、ラップドVベルトの品質の低下を招いてしまうことになる。よって、比較例の未加硫ゴムベルト121からラップドVベルトが形成される場合、ラップドVベルトの品質の低下を招き易くなってしまう。
一方、図18及び図20に示す通り、未加硫ゴムベルト形成装置1によってスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルト109を形成すると、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)の差が非常に小さく、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)の未加硫ゴムベルト109の幅方向でのばらつきを大幅に抑制できることが確認された。よって、未加硫ゴムベルト形成装置1によると、スカイブ処理の際にベルト輪状体106の走行が不安定な状態となってしまうことを抑制して安定した状態でベルト輪状体106の両角部(111、111)を切除することができることが確認された。尚、実施例のように、両角部(111、111)の切除量(DL、DR)のばらつきが非常に小さい状態で形成された未加硫ゴムベルト109に外被布101が被覆されて金型内で加硫される場合は、心線の並びの乱れ及び断面寸法の過不足は生じ難くなる。このため、実施例の未加硫ゴムベルト109からラップドVベルト100が形成される場合、ラップドVベルト100の品質の低下が生じてしまうことが抑制されることになる。
[実施形態の作用効果]
本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、ベルト走行機構11、ワイヤー走行機構12、切除機構13が作動し、ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が切除されるスカイブ処理が行われ、未加硫ゴムベルト109が形成される。また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、ベルト走行工程S204及びワイヤー走行工程S205を含む切除工程S202が実施され、ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)が切除されるスカイブ処理が行われ、未加硫ゴムベルト109が形成される。そして、本実施形態によると、ワイヤー29における張力が付与された部分の長手方向である直線方向に沿って第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において走行するワイヤー29が、周方向に走行するベルト輪状体106の両角部(111、111)に当接することで、ベルト輪状体106の両角部(111、111)が切除される。よって、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38に沿った直線方向に走行するワイヤー29によって、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除が行われる。このため、未加硫ゴムベルトの外周側の部分の両側面の形状が、特許文献2の未加硫ゴムベルト形成装置によって未加硫ゴムベルトが形成される際のような円弧状に湾曲した面形状となることがない。即ち、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によって未加硫ゴムベルト109が形成されると、未加硫ゴムベルト109の周方向に対して垂直な断面の形状は、直線部分のみで区画された形状となる。より具体的には、未加硫ゴムベルト109の周方向に対して垂直な断面の形状は、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。
従って、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によって形成された未加硫ゴムベルト109の周囲が外被布101で被覆されて形成された未加硫ベルト成形体の断面形状も、同様に、直線部分のみで区画された形状であって、長方形状の断面部分と台形状の断面部分とが組み合わされた断面形状となる。このため、未加硫ベルト成形体が、直線部分のみで区画された断面形状の金型の凹溝に嵌め込まれて加硫される場合において、金型内での加硫時における断面形状の変化が複雑なものとなることが抑制される。これにより、ベルト輪状体106の外周側の両角部(111、111)を切除するスカイブ処理を行って未加硫ゴムベルト109を形成する際における両角部(111、111)の切除量を正確に設定することが容易となる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38に沿った直線方向に(即ち、張力が付与された部分の長手方向に)走行するワイヤー29によって、ベルト輪状体106の両角部(111、111)のゴムの切除が行われる。このため、ベルト輪状体106において切除されるゴムと切除工具としてのワイヤー29との接触面積を、切除工具が上記のスカイブカッターである場合に比して、極めて小さくすることができる。これにより、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時の摩擦熱による温度上昇を大幅に抑制することができる。
よって、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スカイブ処理の際のベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除量を正確に設定することが容易であり、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、切除されるゴムと切除工具としてのワイヤー29との接触面積が極めて小さく、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ゴムの粘性の上昇を抑制でき、ゴムの粘着の問題が生じることがほとんどない。このため、切除工具の鋭利性が低下する(刃の鋭さが鈍る)問題が生じることも無く、ベルト輪状体106の両角部(111、111)を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルト109を形成することができる。更に、切除工具の鋭利性の低下の問題が生じることが無いため、特許文献2に開示されたスカイブカッターの外周縁におけるベルト輪状体に当接させる位置を頻繁に変更するような作業は、そもそも不要となる。このため、切除工具の鋭利性の低下の抑制のために未加硫ゴムベルト109の形成の際の作業効率が低下することもない。
従って、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スカイブ処理の際におけるベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時の摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ベルト輪状体106の両角部(111、111)を正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルト109を形成することと、未加硫ゴムベルト109の形成の際の作業効率の向上とを、両立させることができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スカイブ処理時に、円周方向に延びる刃が外周縁に設けられたスカイブカッターではなく、第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38に沿った直線方向に走行するワイヤー29が、走行するベルト輪状体106の両角部(111、111)に当接する。よって、周方向に走行する矩形状の断面のベルト輪状体106の両角部(111、111)に対して直線方向に走行するワイヤー29が押し付けられるため、ベルト輪状体106の走行が不安定な状態となってしまうことが抑制される。このため、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スカイブ処理の際にベルト輪状体106の走行が不安定な状態となってしまうことを抑制して安定した状態でベルト輪状体106の両角部(111、111)を切除することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、同期して回転する一対の回転ボビン(30、31)の一方からワイヤー29を払い出しながら中間プーリ32を介して走行させて他方で巻き取ることで、容易に、ワイヤー29に張力を付与しながらワイヤー29の張力を付与した部分を第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38において直線方向に沿って走行させることができる。そして、本実施形態によると、長尺のワイヤー29を一対の回転ボビン(30、31)の一方から払い出すとともに他方で巻き取りながら、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除を行うことができる。このため、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除の際に、ワイヤー29における同一部分を集中的に用いることなく、長尺のワイヤー29における異なる部分を順番に連続して用いることができる。これにより、ワイヤー29におけるそれぞれの部分がベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除に用いられる時間が極めて短時間となり、且つ、切除後の放熱によるワイヤー29の冷却時間も十分に長く確保することができる。これにより、ワイヤー29に熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時における摩擦熱による温度上昇を更に抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、一対の回転ボビン(30、31)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、長尺のワイヤー29を連続的に繰り返し往復させながら用いてベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除作業を効率よく実施することができる。また、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除に長尺のワイヤー29を繰り返し往復させながら用いることができるため、ワイヤー29におけるそれぞれの部分が切除に用いられる時間を極めて短時間としつつ、且つ、切除後の放熱によるワイヤー29の冷却時間も十分に長く確保しつつ、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除作業を効率よく実施することができる。これにより、ワイヤー29に熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除時における摩擦熱による温度上昇を更に抑制しつつ、長時間に亘ってベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除作業を連続的に実施することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、ベルトプーリ(21、22)の幅方向の中心位置と中間プーリ32の回転中心位置とを結ぶ直線Pに対して、第1直線走行経路37が成す角θ1の大きさと、第2直線走行経路38が成す角θ2の大きさとが、同じに設定される。このため、切除機構13によって、第1直線走行経路37及び第2直線走行経路38を走行するワイヤー29をベルト輪状体106の両角部(111、111)に当接させることで、ベルト輪状体106の両角部(111、111)から略同一断面形状で略同一断面積の部分を容易に切除することができる。よって、ベルト輪状体106の両角部(111、111)をベルト輪状体106の幅方向において対称な形状で正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルト109を容易に形成することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、走行するワイヤー29が、走行するベルト輪状体106の両角部(111、111)に対して、ベルトプーリ21の外周に沿って走行する部分において当接し、ベルト輪状体106の両角部(111、111)が切除される。このため、ベルト輪状体106におけるベルトプーリ21の外周に沿って安定した状態で走行する部分においてワイヤー29による切除作業を効率よく容易に行うことができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、ベルトプーリ(21、22)には、幅方向中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるクラウン部(21a、22a)が設けられている。これにより、ベルトプーリ(21、22)の外周に沿って走行するベルト輪状体106は、ベルトプーリ(21、22)の幅方向中央部の位置で走行する部分において、張力が大きくなり、速度も速くなる。このため、ベルト輪状体106がベルトプーリ(21、22)の幅方向の中央から僅かでもずれて走行し始めると、すぐに、ベルトプーリ(21、22)の幅方向の中央側へ走行位置を戻す力が作用する。即ち、ベルトプーリ(21、22)に巻き掛けられて周方向に走行するベルト輪状体106に対しては、常時、ベルトプーリ(21、22)の外周におけるベルト輪状体106の走行位置をベルトプーリ(21、22)の幅方向の中央側へ寄せようとする力が作用することになる。このため、ベルトプーリ(21、22)の幅方向中央位置を中心としてベルト輪状体106を安定した状態で走行させることができる。これにより、ベルト輪状体106の両角部(111、111)の切除位置が、ベルト輪状体106の幅方向においてばらついてしまうことを容易に抑制することができる。このため、ベルト輪状体106の両角部(111、111)をベルト輪状体106の幅方向において対称な位置で正確に切除して正確な断面形状の未加硫ゴムベルト109を容易に形成することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
(1)前述の実施形態では、ワイヤー走行機構におけるワイヤーとして、ダイヤモンドワイヤーが用いられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ダイヤモンドワイヤー以外のワイヤーが用いられてもよい。例えば、表面に砥粒が固定されていないピアノ線がワイヤーとして用いられてもよい。また、表面にダイヤモンド砥粒以外の材質の砥粒が固定されたピアノ線がワイヤーとして用いられてもよい。
(2)前述の実施形態では、走行するベルト輪状体の外周側における両角部に対して、走行するワイヤーを当接させることで、両角部を切除し、未加硫ゴムベルトを形成する、切除機構及び切除工程の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。走行するベルト輪状体の内周側における両角部に対して、走行するワイヤーを当接させることで、両角部を切除し、未加硫ゴムベルトを形成する、切除機構及び切除工程の形態が実施されてもよい。
(3)前述の実施形態では、一対のベルトプーリにベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、ベルトプーリを回転させ、ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行機構及びベルト走行工程の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。3つ以上のベルトプーリにベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、ベルトプーリを回転させ、ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行機構及びベルト走行工程の形態が実施されてもよい。
(4)前述の実施形態では、ワイヤー走行機構が、1本の連続したワイヤーの両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンと、ワイヤーが外周の一部に巻き掛けられる中間プーリと、を有する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてよい。中間プーリが備えられておらず、無端状の閉ループを構成するワイヤーが緊張状態で巻き掛けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンを2つ有するワイヤー走行機構の形態が実施されてもよい。また、中間プーリが備えられておらず、1本の直線状に延びるワイヤーの両端部がそれぞれ固定されるとともに直線方向に沿って同期して往復運動を行う一対の往復振動部を有する往復振動ユニットを2つ有するワイヤー走行機構の形態が実施されてもよい。
本発明は、未加硫ゴムベルト形成装置、及び未加硫ゴムベルト形成方法の形成方法に関して、広く適用することができる。
1 未加硫ゴムベルト形成装置
11 ベルト走行機構
12 ワイヤー走行機構
13 切除機構
21、22 ベルトプーリ
29 ワイヤー
37 第1直線走行経路
38 第2直線走行経路
106 ベルト輪状体
109 未加硫ゴムベルト
111 角部

Claims (7)

  1. 未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除することで、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトを形成する、未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    複数のベルトプーリを有し、複数の前記ベルトプーリに前記ベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、前記ベルトプーリを回転させ、前記ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行機構と、
    ワイヤーに張力を付与し、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を第1直線走行経路及び第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させるワイヤー走行機構と、
    走行する前記ベルト輪状体の外周側又は内周側における前記両角部に対して、走行する前記ワイヤーを当接させることで、前記両角部を切除し、前記未加硫ゴムベルトを形成する切除機構と、を備え、
    前記切除機構は、前記第1直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの一方に当接させ、前記第2直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの他方に当接させることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成装置。
  2. 請求項1に記載の未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    前記ワイヤー走行機構は、
    1本の連続した前記ワイヤーの両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンと、前記ワイヤーが外周の一部に巻き掛けられる中間プーリと、を有し、
    一対の前記回転ボビンのうちの一方と前記中間プーリとの間で前記第1直線走行経路を構成し、一対の前記回転ボビンのうちの他方と前記中間プーリとの間で前記第2直線走行経路を構成し、
    前記中間プーリを介して一対の前記回転ボビンの間で前記ワイヤーに張力を付与した状態で、一対の前記回転ボビンのうちの一方から前記ワイヤーを払い出すとともに一対の前記回転ボビンの他方にて前記ワイヤーを巻き取ることで、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を前記第1直線走行経路及び前記第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成装置。
  3. 請求項2に記載の未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    一対の前記回転ボビンは、同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を前記第1直線走行経路及び前記第2直線走行経路において直線方向に沿って往復させながら走行させることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    前記ベルトプーリの幅方向の中心位置と前記中間プーリの回転中心位置とを結ぶ直線に対して、前記第1直線走行経路が成す角の大きさと、前記第2直線走行経路が成す角の大きさとが、同じであることを特徴とする。未加硫ゴムベルト形成装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    前記切除機構は、周方向に走行する前記ベルト輪状体における前記ベルトプーリの外周に沿って走行する部分において、走行する前記ワイヤーを前記両角部に対して当接させることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の未加硫ゴムベルト形成装置であって、
    前記ベルトプーリには、前記ベルト輪状体が巻き掛けられる部分であって当該ベルトプーリの幅方向における中央部分にかけて径方向外側に向かって盛り上がるように構成されたクラウン部が設けられていることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成装置。
  7. 未加硫ゴム層と心線とを有するとともに周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成された無端状のベルト輪状体の外周側又は内周側の両角部を切除することで、ラップドVベルトの素材としての未加硫ゴムベルトを形成する、未加硫ゴムベルト形成方法であって、
    複数のベルトプーリに前記ベルト輪状体が巻き掛けられた状態で、前記ベルトプーリを回転させ、前記ベルト輪状体を周方向に走行させるベルト走行工程と、
    ワイヤーに張力を付与し、前記ワイヤーにおける張力を付与した部分を第1直線走行経路及び第2直線走行経路において直線方向に沿って走行させるワイヤー走行工程と、
    走行する前記ベルト輪状体の外周側又は内周側における前記両角部に対して、走行する前記ワイヤーを当接させることで、前記両角部を切除し、前記未加硫ゴムベルトを形成する切除工程と、を備え、
    前記切除工程において、前記第1直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの一方に当接させ、前記第2直線走行経路を走行する前記ワイヤーを前記両角部のうちの他方に当接させることを特徴とする、未加硫ゴムベルト形成方法。
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