以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、まず、ラップドVベルトの概略及びラップドVベルトの製造工程の概略について説明し、次いで、ラップドVベルトの製造に関して適用される本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。
[ラップドVベルトの概略]
図1は、ラップドVベルト100の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。ラップドVベルト100は、コンプレッサーなどの一般産業用機械、或いは、田植え機などの農業機械、等において、動力伝達用の無端状の伝動ベルトとして用いられる。そして、ラップドVベルト100は、V字状の断面を有する環状の伝動ベルトとして構成されている。
尚、図1においては、環状に延びるラップドVベルト100の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図1においては、ラップドVベルト100の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
ラップドVベルト100は、外被布101、圧縮ゴム層102、伸張ゴム層103、心線104を備えて構成されている。
環状に設けられたラップドVベルト100のベルト本体は、積層構造を有しており、ベルト内周側からベルト外周側に向かって、圧縮ゴム層102、心線104、伸張ゴム層103が、順次積層されている。よって、ラップドVベルト100においては、圧縮ゴム層102と伸張ゴム層103との間において、心線104が埋設されている。心線104は、ラップドVベルト100の周方向に沿って延びるように配置されている。そして、心線104は、ラップドVベルト100の周方向に垂直な断面において、ベルト幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。
また、ラップVベルト100は、環状に設けられた無端状のベルト本体の周囲表面の全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆されて構成されている。そして、ラップドVベルト100は、その周方向に対して垂直な断面の形状が、V字状の断面形状である。より具体的には、ラップドVベルト100の断面形状は、ベルト外周側からベルト内周側に向かってベルト幅が小さくなる台形状に構成されている。
[ラップドVベルトの製造工程の概略]
図2は、ラップドVベルト100の製造工程を示すチャート図である。図2に示すように、ラップドVベルト100の製造工程は、未加硫スリーブ形成工程S101、未加硫ゴムベルト形成工程S102、スカイブ工程S103、カバー巻き工程S104、加硫工程S105を備えて構成されている。
図3は、未加硫ゴム層と心線とを有する筒状の未加硫スリーブ105を模式的に示す斜視図である。未加硫スリーブ形成工程S101は、未加硫スリーブ105を形成する工程として構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S101においては、まず、未加硫ゴム(即ち、加硫が行われていない状態のゴム)のシートが、圧延によって形成される。そして、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが、所定の長さに切断される。所定の長さに切断された未加硫ゴムのシートは、円筒状或いは円柱状に設けられて回転自在に支持された巻き付け用の型として構成された回転ドラムに対して、巻き付けられる。回転ドラムの外周に巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。筒状に成形された未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。
そして、回転ドラムの外周に筒状の未加硫ゴムの成形体が形成されると、次いで、前述の心線104が、周方向に沿って巻き付けられる。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向に沿って所定のピッチでずらされながら、周方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられる。尚、筒状の未加硫ゴムの成形体の幅方向は、上記の回転ドラムの軸方向と平行な方向として構成される。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向のほぼ全長に亘って、巻き付けられる。
筒状の未加硫ゴムの成形体の外周への心線104の巻き付けが終了すると、次いで、心線104の上から、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが巻き付けられる。心線104の上から巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。心線104の外周側に巻き付けられた筒状の未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。
上述した未加硫スリーブ形成工程S101によって、未加硫スリーブ105が形成される。回転ドラムの外周において形成された未加硫スリーブ105は、回転ドラムから取り外される。尚、図3に示す未加硫スリーブ105は、回転ドラムから取り外された状態が示されている。
図4は、未加硫ゴムベルト106を示す斜視図である。未加硫ゴムベルト形成工程S102は、未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成する工程として構成されている。未加硫ゴムベルト形成工程S102は、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法として構成され、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置を用いることで実施される。
図5は、未加硫ゴムベルト106の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。図5においては、環状に延びる未加硫ゴムベルト106の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図5においては、未加硫ゴムベルト106の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
図5に示すように、未加硫ゴムベルト106は、内周側未加硫ゴム層107、心線104、外周側未加硫ゴム層108を備えて構成されている。そして、未加硫ゴムベルト106においては、内周側未加硫ゴム層107と外周側未加硫ゴム層108との間において、心線104が配置されている。
内周側未加硫ゴム層107は、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。外周側未加硫ゴム層108は、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。内周側未加硫ゴム層107及び外周側未加硫ゴム層108を構成するゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示でき、これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいゴム成分は、エチレン-α-オレフィンエラストマー(エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDMなど)などのエチレン-α-オレフィン系ゴム)、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムである。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。尚、内周側未加硫ゴム層107のゴム成分、及び、外周側未加硫ゴム層108のゴム成分は、同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。
心線104としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線104を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが使用できる。心線104の表面には、慣用の接着処理(又は表面処理)が施されていてもよい。
スカイブ工程S103は、未加硫ゴムベルト106の両側面における内周側の両角部分を周方向に亘って削るように切削することでスカイブ(skive)し、未加硫ゴムベルト106の断面形状を変更する工程として構成されている。スカイブ工程S103においては、未加硫ゴムベルト106の内周側未加硫ゴム層107の内周側の両角部分が周方向に亘って削られるように切削される。これにより、スカイブ工程S103の処理が施される前の状態で矩形状の断面だった未加硫ゴムベルト106の断面の形状は、スカイブ工程S103の処理が施された後の状態においては、矩形状の部分と台形状の部分とが組み合わされた断面の形状となる。
カバー巻き工程S104は、スカイブ工程S103の処理が終了した未加硫ゴムベルト106を外被布101で被覆する工程として構成されている。カバー巻き工程S104においては、環状の未加硫ゴムベルト106の周囲表面の全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆される。これにより、未加硫ゴムベルト106が外被布101で被覆されて構成された未加硫ベルト成形体が形成される。
加硫工程S105は、未加硫ベルト成形体における可塑性の未加硫ゴムを加熱して弾性ゴムに変化させる工程として構成されている。加硫工程S105においては、例えば、逆台形状の断面の溝が外周に設けられた円筒状のリングモールドが用いられる。リングモールドに設けられた複数の溝に対して未加硫ベルト成形体がそれぞれ嵌め込まれる。そして、複数の未加硫ベルト成形体が嵌め込まれたリングモールドの周囲に、円筒状のゴムスリーブが更に嵌め込まれる。
加硫工程S105においては、上記のようにリングモールド及び未加硫ベルト成形体の外周面に円筒状のゴムスリーブが嵌め込まれた状態で、それらが加硫缶に収納され、所定の温度等の条件で加硫が行われる。加硫が終了してリングモールド等が解体され、加硫された成形体がラップドVベルト100として取り出される。このように、加硫工程S105まで終了することで、ラップドVベルト100が製造されることになる。
[未加硫ゴムベルト形成装置の概略]
図6は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1を示す正面図である。図7は、未加硫ゴムベルト形成装置1の平面図である。図8は、未加硫ゴムベルト形成装置1を側面から見た図であって、未加硫ゴムベルト形成装置1の一部を切欠き状態で示す図である。未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法が実施され、前述のラップドVベルト100の製造工程における未加硫ゴムベルト形成工程S102が実施されることになる。
図6乃至図8に示す未加硫ゴムベルト形成装置1は、未加硫ゴム層と心線104とを有する筒状の未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成するための装置として構成されている。そして、未加硫ゴムベルト形成装置1は、図6乃至図8に示すように、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13、制御装置14、等を備えて構成されている。尚、図8においては、ワイヤー走行機構12及び制御装置14の図示は省略されている。
また、本実施形態においては、ベース15が更に備えられている未加硫ゴムベルト形成装置1が、例示されている。尚、図7においては、ベース15の図示が省略されている。スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13、制御装置14は、ベース15上に設置されている。本実施形態では、ベース15が備えられた未加硫ゴムベルト形成装置1が例示されているが、ベース15が備えられていない形態の未加硫ゴムベルト形成装置1が実施されてもよい。
[スリーブ走行機構]
図6乃至図8に示すように、スリーブ走行機構11は、駆動ロール21、従動ロール22、駆動ユニット23、支持ユニット(24、25、26)、等を備えて構成されている。そして、スリーブ走行機構11は、駆動ロール21及び従動ロール22として構成された回転体の外周の少なくとも一部に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、上記の回転体を回転させ、未加硫スリーブ105を周方向に走行させる機構として構成されている。
駆動ロール21は、回転軸21a、回転ドラム21b、外周スリーブ21c、等を備え、軸周りに(回転軸21a周りに)回転する回転体として構成されている。尚、以下の説明においては、駆動ロール21について、回転体21とも称する。
回転軸21aは、金属製の円筒状又は円柱状の軸として構成されている。そして、回転軸21aは、一端側が駆動ユニット23によって回転自在に支持され、他端側が支持ユニット24によって回転自在に支持されている。また、回転軸21aは、その一端側において、駆動ユニット23からの駆動トルクが入力されることで、回転駆動されるように構成されている。
回転ドラム21bは、例えば、円筒状の部分を有する金属製の筒状体として設けられている。そして、回転ドラム21bは、回転軸21aとともに回転するように、回転軸21aに対して取り付けられている。例えば、回転ドラム21aの円筒軸方向における両端部のそれぞれに蓋部が設けられ、これらの蓋部が回転軸21aに対して固定される。また、回転ドラム21bは、回転軸21aの回転中心軸線と回転ドラム21bの回転中心軸線とが一致するように、回転軸21aに対して取り付けられている。
外周スリーブ21cは、ゴム製の円筒形状のスリーブとして設けられ、回転ドラム21bの外周に装着される。外周スリーブ21cの内周の直径は、回転ドラム21bの外周の直径にほぼ対応する寸法に設定されている。回転ドラム21bが回転する際、回転ドラム21bに装着された外周スリーブ21cは、回転ドラム21bとともに同一の回転速度で回転する。
回転軸21aに固定された回転ドラム21bの外周に外周スリーブ21cが装着されて構成された駆動ロール21の外周に対して、未加硫スリーブ105が巻き掛けられる。本実施形態では、未加硫スリーブ105は、駆動ロール21の外周の一部に巻き掛けられる。より具体的には、未加硫スリーブ105は、駆動ロール21の外周の約半周に亘って巻き掛けられる。
従動ロール22は、回転軸22a、回転ドラム22b、外周スリーブ22c、等を備え、軸周りに(回転軸22a周りに)回転する回転体として構成されている。尚、以下の説明においては、従動ロール22について、回転体22とも称する。
回転軸22aは、金属製の円筒状又は円柱状の軸として構成されている。そして、回転軸22aは、一端側が支持ユニット25によって回転自在に支持され、他端側が支持ユニット26によって回転自在に支持されている。
回転ドラム22bは、例えば、円筒状の部分を有する金属製の筒状体として設けられている。そして、回転ドラム22bは、回転軸22aとともに回転するように、回転軸22aに対して取り付けられている。例えば、回転ドラム22aの円筒軸方向における両端部のそれぞれに蓋部が設けられ、これらの蓋部が回転軸22aに対して固定される。また、回転ドラム22bは、回転軸22aの回転中心軸線と回転ドラム22bの回転中心軸線とが一致するように、回転軸22aに対して取り付けられている。
外周スリーブ22cは、ゴム製の円筒形状のスリーブとして設けられ、回転ドラム22bの外周に装着される。外周スリーブ22cの内周の直径は、回転ドラム22bの外周の直径にほぼ対応する寸法に設定されている。回転ドラム22bが回転する際、回転ドラム22bに装着された外周スリーブ22cは、回転ドラム22bとともに同一の回転速度で回転する。尚、外周スリーブ22cは、後述するワイヤー走行機構12及びワイヤー押し付け機構13によって未加硫スリーブ105が切断される際に回転ドラム22bの表面を保護するために設けられている。
回転軸22aに固定された回転ドラム22bの外周に外周スリーブ22cが装着されて構成された従動ロール22の外周に対して、未加硫スリーブ105が巻き掛けられる。本実施形態では、未加硫スリーブ105は、従動ロール22の外周の一部に巻き掛けられる。より具体的には、未加硫スリーブ105は、従動ロール22の外周の約半周に亘って巻き掛けられる。
尚、本実施形態では、未加硫スリーブ105が巻き掛けられる回転体として、回転ドラム(21b、22b)に外周スリーブ(21c、22c)が装着されて構成された回転体(21、22)を例示したが、この通りでなくてもよい。例えば、外周スリーブ(21c、22c)が設けられておらず、未加硫スリーブ105が回転ドラム(21b、22b)の外周に直接に巻き掛けられる形態の回転体が実施されてもよい。
駆動ユニット23は、ベース15上に設置され、駆動ロール21を回転自在に支持するとともに駆動ロール21を回転駆動する機構として構成されている。駆動ユニット23は、ハウジング27、モータ28、ベルト駆動機構29、等を備えて構成されている。
ハウジング27は、ベース15上に設置され、モータ23bを収容するとともに、駆動ロール21の回転軸21bをその回転軸21bにおける一方の端部側において回転自在に支持する筐体として構成されている。モータ28は、回転軸21bを回転駆動するための駆動トルクを発生させる電動モータとして構成されている。モータ28は、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回転速度で回転する。モータ28は、その出力軸28aの軸方向が回転軸21aの軸方向と平行となるように、ハウジング27に設置されている。
ベルト駆動機構29は、モータ28からの駆動トルクを駆動ロール21の回転軸21aに伝達する機構として設けられている。ベルト駆動機構29は、駆動プーリ29a、従動プーリ29b、駆動ベルト29c、連結軸29d、を備えて構成されている。
駆動プーリ29aは、モータ28の出力軸28aに固定され、出力軸28aとともに回転するように構成されている。従動プーリ29bは、駆動ロール21の回転軸21aに対して、連結軸29dを介して、連結されている。連結軸29dは、回転軸21aの端部に連結され、回転軸21aとともに同軸で同期して回転するように構成されている。連結軸29dは、回転軸21aに連結される側の端部と反対側の端部において、従動プーリ29bに固定されている。また、連結軸29dは、回転軸21aとともに、ハウジング27において回転自在に支持されている。駆動ベルト29cは、無端状のベルトとして設けられている。そして、駆動ベルト29cは、駆動プーリ29a及び従動プーリ29bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ29aの駆動トルクを従動プーリ29bに伝達するベルトとして構成されている。
後述する制御装置14からの制御指令に基づいてモータ28の運転が行われると、出力軸28aとともに駆動プーリ29aが回転する。駆動プーリ29aが回転することで、駆動プーリ29a及び従動プーリ29bに巻き掛けられた駆動ベルト29cの周回動作が行われる。駆動ベルト29cの周回動作が行われると、従動プーリ29bが回転し、従動プーリ29bとともに回転軸21aが回転することになる。そして、回転軸21aとともに、回転ドラム21b及び外周スリーブ21cが回転する。即ち、駆動ロール21が回転する。
上述のように、駆動ユニット23は、ハウジング27、モータ28、ベルト駆動機構29を有することで、駆動ロール21を回転自在に支持するとともに駆動ロール21を回転駆動するように構成されている。
支持ユニット24は、支持ポスト24a、支持アーム24b、支持シリンダ24c、等を備えて構成されている。支持ポスト24aは、ベース15上に設置された柱状体として構成され、支持アーム24b及び支持シリンダ24cのそれぞれを回転自在に支持している。
支持アーム24bは、一方の端部が、支持ポスト24aに回転自在に支持されている。そして、支持アーム24bは、他方の端部が、駆動ロール21の回転軸21aを、駆動ユニット23に支持される側と反対側の端部において、回転自在に支持するように構成されている。支持アーム24bにおける他方の端部には、開閉自在に構成されて、回転軸21aの端部を保持するチャック部24dが設けられている。支持アーム24bの端部のチャック部24dは、開状態においては回転軸21aの端部を受け入れて保持し、閉状態においては回転軸21aの端部を回転自在に保持するように構成されている。
支持シリンダ24cは、一方の端部が、支持ポスト24aに回転自在に支持されている。そして、支持シリンダ24cは、他方の端部が、支持アーム24bをその長手方向における中途位置において回転自在に支持するように構成されている。また、支持シリンダ24cは、シリンダとロッドとを有し、圧油が給排されることで作動する油圧シリンダ機構として構成されている。支持シリンダ24cは、図示が省略された油圧源から圧油が供給されることで、図6及び図7に示すように、シリンダに対してロッドが伸長した状態となる。この状態では、支持アーム24bにおけるチャック部24dが設けられた他方の端部が所定の高さ位置に位置した状態が、支持シリンダ24cによって維持される。一方、支持シリンダ24cから圧油が排出されると、ロッドがシリンダに縮退した状態となり、支持アーム24bは、支持ポスト24aに支持された一方の端部を中心として回動する。そして、支持アーム24bにおけるチャック部24dが設けられた他方の端部が下方に変位した状態となる。
支持ユニット25は、支持ポスト25aを備えて構成されている。支持ポスト25aは、ベース15上に設置された柱状体として構成されている。そして、支持ポスト25aは、従動ロール22の回転軸22bをその回転軸22bにおける一方の端部側において回転自在に支持するように構成されている。
支持ユニット26は、支持ポスト26a、支持アーム26b、支持シリンダ26c、等を備えて構成されている。支持ポスト26aは、ベース15上に設置された柱状体として構成され、支持アーム26b及び支持シリンダ26cのそれぞれを回転自在に支持している。
支持アーム26bは、一方の端部が、支持ポスト26aに回転自在に支持されている。そして、支持アーム26bは、他方の端部が、従動ロール22の回転軸22aを、支持ユニット25に支持される側と反対側の端部において、回転自在に支持するように構成されている。支持アーム26bにおける他方の端部には、開閉自在に構成されて、回転軸22aの端部を保持するチャック部26dが設けられている。支持アーム26bの端部のチャック部26dは、開状態においては回転軸22aの端部を受け入れて保持し、閉状態においては回転軸22aの端部を回転自在に保持するように構成されている。
支持シリンダ26cは、一方の端部が、支持ポスト26aに回転自在に支持されている。そして、支持シリンダ26cは、他方の端部が、支持アーム26bをその長手方向における中途位置において回転自在に支持するように構成されている。また、支持シリンダ26cは、シリンダとロッドとを有し、圧油が給排されることで作動する油圧シリンダ機構として構成されている。支持シリンダ26cは、図示が省略された油圧源から圧油が供給されることで、図6及び図7に示すように、シリンダに対してロッドが伸長した状態となる。この状態では、支持アーム26bにおけるチャック部26dが設けられた他方の端部が所定の高さ位置に位置した状態が、支持シリンダ26cによって維持される。一方、支持シリンダ26cから圧油が排出されると、ロッドがシリンダに縮退した状態となり、支持アーム26bは、支持ポスト26aに支持された一方の端部を中心として回動する。そして、支持アーム26bにおけるチャック部26dが設けられた他方の端部が下方に変位した状態となる。
上述したように、スリーブ走行機構11は、駆動ロール21及び従動ロール22として設けられた回転体(21、22)、駆動ユニット23、支持ユニット(24、25、26)を備えている。これにより、スリーブ走行機構11は、回転体(21、22)のそれぞれの外周の一部に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、回転体(21、22)を回転させ、未加硫スリーブ105を周方向に走行させるように構成されている。尚、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態では、回転体(21、22)は、筒状の未加硫スリーブ105の内側に配置される。また、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、回転体(駆動ロール)21が回転駆動されることで、回転体21の回転とともに、未加硫スリーブ105が周方向に回転しながら回転体(従動ロール)22も回転する。尚、未加硫スリーブ105は、回転体(21、22)の回転とともに、回転体(21、22)の周囲で周回動作を行うことで、周方向に回転する。
また、スリーブ走行機構11は、複数の回転体(21、22)を有している。そして、スリーブ走行機構11は、複数の回転体(21、22)のそれぞれの外周の一部に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、複数の回転体(21、22)のうちの1つの回転体21を回転駆動し、未加硫スリーブ105を周方向に走行させるように構成されている。また、スリーブ走行機構11は、複数の回転体(21、22)として一対の回転体(21、22)を有している。そして、一対の回転体(21、22)のうちの一方である回転体21が、回転駆動される駆動ロール21として構成されている。更に、一対の回転体(21、22)のうちの他方である回転体22が、駆動ロール21の回転に伴って周方向に走行する未加硫スリーブ105の走行とともに回転する従動ロール22として構成されている。
[ワイヤー走行機構]
図9は、図6に示す未加硫ゴムベルト形成装置1の一部を拡大して示す図である。図10は、図7に示す未加硫ゴムベルト形成装置1の一部を拡大して示す図である。図6乃至図10に示すように、ワイヤー走行機構12は、ワイヤー30、回転ボビンユニット31、ボビンモータ32、ボビン側動力伝達部33、モータ側動力伝達部34、ケース35、等を備えて構成されている。そして、ワイヤー走行機構12は、ワイヤー30に張力を付与するとともに、ワイヤー30における張力を付与した部分を直線方向に沿って走行させる機構として構成されている。
ワイヤー走行機構12においては、回転ボビンユニット31の一部、ボビンモータ32、ボビン側動力伝達部33、モータ側動力伝達部34は、ケース35に収納されている。そして、ケース35は、後述するワイヤー押し付け機構13に設置されている。これにより、ワイヤー走行機構12は、ワイヤー押し付け機構13によって移動させられるように構成されている。尚、ケース35においては、スリーブ走行機構11の従動ロール22に対向する側において、開口35aが設けられている。開口35aからは、回転ボビンユニット31の一部が露出している。
ワイヤー30は、1本の長尺の連続したワイヤーとして設けられている。ワイヤー30は、例えば、ダイヤモンドワイヤーとして構成されている。より具体的には、ダイヤモンドワイヤーとして構成されたワイヤー30は、例えば、炭素鋼製の金属線であるピアノ線として構成された芯線を有するとともに、この芯線の表面にダイヤモンド砥粒が電着により固定されたワイヤーとして構成されている。ワイヤー30の直径寸法は、例えば、120~320μmに設定され、ワイヤー30の心線の直径寸法は、例えば、120~250μmに設定される。
回転ボビンユニット31は、1本の連続したワイヤー30の両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビン(36、37)を備えて構成されている。各回転ボビン(36、37)は、円盤状の部材として設けられ、ワイヤー30が巻き付けられる凹み溝が外周の全周に亘って設けられている。回転ボビン36の外周の直径寸法と回転ボビン37の外周の直径寸法とは、同一の寸法に設定されている。また、回転ボビン36に対して、ワイヤー30の長手方向における一方の端部が固定されている。そして、一方の端部が回転ボビン36に固定されたワイヤー30は、その一方の端部側の部分が、十分な長さに亘って、回転ボビン36の外周に巻き付けられている。また、回転ボビン37に対して、ワイヤー30の長手方向における他方の端部が固定されている。そして、他方の端部が回転ボビン37に固定されたワイヤー30は、その他方の端部側の部分が、十分な長さに亘って、回転ボビン37の外周に巻き付けられている。
回転ボビン36は、ケース35に対して回転自在に取り付けられた連結軸38に対して取り付けられている。連結軸38は、その軸方向が、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に延びた状態で、ケース35に対して回転自在に取り付けられている。尚、図10においては、連結軸38におけるケース35に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。また、回転ボビン36は、付勢バネ(図示省略)を介して連結軸38に取り付けられるとともに、連結軸38とともに回転するように連結軸38に取り付けられている。回転ボビン36と連結軸38との間に設けられた上記の付勢バネは、例えば、コイルバネとして設けられている。そして、その付勢バネは、回転ボビン36に巻き付けられたワイヤー30を回転ボビン37との間で引っ張り合う方向に向かって、回転ボビン36を連結軸38に対して軸回り方向に付勢するように、構成されている。尚、回転ボビン36は、上記の付勢バネによって付勢された状態で、連結軸38に対して相対回転しないように、連結軸38に対して、軸周りの位置が規制された状態で取り付けられている。このため、回転ボビン36は、回転ボビン37との間でワイヤー30に張力を付与した状態で、連結軸38とともに回転するように構成されている。
回転ボビン37は、ケース35に対して回転自在に取り付けられた連結軸39に対して取り付けられている。連結軸39は、その軸方向が、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に延びた状態で、ケース35に対して回転自在に取り付けられている。尚、図10においては、連結軸39におけるケース35に回転自在に支持される部分の図示が省略されている。また、回転ボビン37は、付勢バネ(図示省略)を介して連結軸39に取り付けられるとともに、連結軸39とともに回転するように連結軸39に取り付けられている。回転ボビン37と連結軸39との間に設けられた上記の付勢バネは、例えば、コイルバネとして設けられている。そして、その付勢バネは、回転ボビン37に巻き付けられたワイヤー30を回転ボビン36との間で引っ張り合う方向に向かって、回転ボビン37を連結軸39に対して軸回り方向に付勢するように、構成されている。尚、回転ボビン37は、上記の付勢バネによって付勢された状態で、連結軸39に対して相対回転しないように、連結軸39に対して、軸周りの位置が規制された状態で取り付けられている。このため、回転ボビン37は、回転ボビン36との間でワイヤー30に張力を付与した状態で、連結軸39とともに回転するように構成されている。
ボビンモータ32は、動力伝達部33及び動力伝達部34を介して回転ボビンユニット31を駆動する駆動トルクを発生する電動モータとして構成されている。そして、ボビンモータ32は、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動して回転するように構成されている。また、ボビンモータ32は、制御装置14からの制御指令に基づいて正逆方向の両方向に回転可能に構成されている。
動力伝達部33は、ボビンモータ32から動力伝達部34を介して伝達された駆動トルクを回転ボビンユニット31に伝達する機構として設けられている。動力伝達部33は、駆動プーリ33a、従動プーリ33b、駆動ベルト33cを有する機構として構成されている。
駆動プーリ33aは、ケース35に回転自在に取り付けられた連結軸39に対してその中途部分において固定されている。駆動プーリ33aは、連結軸39を介して回転ボビン37と連結されており、連結軸39及び回転ボビン37とともに回転するように構成されている。駆動プーリ33aが固定された連結軸39には、ボビンモータ32から動力伝達部34を介して伝達された駆動トルクが伝達される。従動プーリ33bは、ケース35に回転自在に取り付けられた連結軸38に対してその中途部分において固定されている。従動プーリ33bは、連結軸38を介して回転ボビン36と連結されており、連結軸38及び回転ボビン36とともに回転するように構成されている。駆動ベルト33cは、駆動プーリ33a及び従動プーリ33bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ33aに伝達された駆動トルクを更に従動プーリ33bに伝達するベルトとして構成されている。
動力伝達部34は、ボビンモータ32から伝達された駆動トルクを動力伝達部33に伝達する機構として設けられている。動力伝達部34は、駆動プーリ34a、従動プーリ34b、駆動ベルト34cを有する機構として構成されている。
駆動プーリ34aは、ボビンモータ32の出力軸32aに固定され、出力軸32aとともに回転するように構成されている。従動プーリ34bは、ケース35に回転自在に取り付けられた連結軸39に対してその中途部分において固定されている。従動プーリ34bは、連結軸39を介して駆動プーリ33a及び回転ボビン37と連結されており、連結軸39、駆動プーリ33a、及び回転ボビン37とともに回転するように構成されている。駆動ベルト34cは、駆動プーリ34a及び従動プーリ34bに対して巻き掛けられ、駆動プーリ34aに入力された駆動トルクを従動プーリ34bに伝達するベルトとして構成されている。
ワイヤー走行機構12においては、制御装置14からの制御指令に基づいてボビンモータ32の運転が行われると、出力軸32aとともに駆動プーリ34aが回転する。駆動プーリ34aが回転することで、駆動プーリ34a及び従動プーリ34bに巻き掛けられた駆動ベルト34cの周回動作が行われる。駆動ベルト34cの周回動作が行われると、従動プーリ34bが回転し、従動プーリ34bとともに連結軸39と駆動プーリ33aと回転ボビン37とが回転する。そして、駆動プーリ33aが回転することで、駆動プーリ33a及び従動プーリ33bに巻き掛けられた駆動ベルト33cの周回動作が行われる。駆動ベルト33cの周回動作が行われると、従動プーリ33bが回転し、従動プーリ33bとともに連結軸38と回転ボビン36とが回転する。
上記により、ワイヤー走行機構12においては、ボビンモータ32からの駆動トルクによって、一対の回転ボビン(36、37)が、同方向に同期した状態で回転駆動される。一対の回転ボビン(36、37)が、同方向に同期した状態で回転することで、一対の回転ボビン(36、37)の一方からワイヤー30が払い出されるとともに、一対の回転ボビン(36、37)の他方にてワイヤー30が巻き取られることになる。そして、一対の回転ボビン(36、37)の一方から払い出されたワイヤー30が他方で巻き取られることで、一対の回転ボビン(36、37)の間において、ワイヤー30が直線方向に沿って走行することになる。尚、一対の回転ボビン(36、37)のそれぞれは、一部がケース35の開口35aから外部に露出している。そして、ワイヤー30において、一対の回転ボビン(36、37)の間で直線方向に沿って走行する部分は、ケース35の外側に配置されている。
また、一対の回転ボビン(36、37)が同方向に同期した状態で回転駆動されてワイヤー30が直線方向に沿って走行する際には、一対の回転ボビン(36、37)の間でワイヤー30に張力が付与された状態が維持されている。即ち、ワイヤー30が直線方向に沿って走行する際には、回転ボビン36と連結軸38との間に設けられた前述の付勢バネと、回転ボビン37と連結軸39との間に設けられた前述の付勢バネとによって、一対の回転ボビン(36、37)の間でワイヤー30に張力が付与された状態が維持されている。
上記のように、ワイヤー走行機構12は、1本の連続したワイヤー30の両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビン(36、37)を有している。そして、ワイヤー走行機構12は、一対の回転ボビン(36、37)の間でワイヤー30に張力を付与した状態で、一対の回転ボビン(36、37)のうちの一方からワイヤー30を払い出すとともに一対の回転ボビン(36、37)の他方にてワイヤー30を巻き取ることで、一対の回転ボビン(36、37)の間において、ワイヤー30における張力を付与した部分を直線方向に沿って走行させるように構成されている。
また、ワイヤー走行機構12において、ボビンモータ32は、制御装置14からの制御指令に基づいて正逆方向の両方向に回転可能に構成されている。そして、一対の回転ボビン(36、37)は、ボビンモータ32からの駆動トルクによって、同方向に同期した状態で回転駆動される。このため、ワイヤー走行機構12は、ボビンモータ32の回転方向を正逆方向の両方向で交互に繰り返すことで、一対の回転ボビン(36、37)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させるように構成されている。そして、ワイヤー走行機構12は、一対の回転ボビン(36、37)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、ワイヤー30における張力を付与した部分を直線方向に沿って往復させながら走行させるように構成されている。尚、図9においては、ワイヤー30における張力が付与された部分が直線方向に沿って往復するように走行する方向と平行な方向が、両端矢印Cで示されている。
[ワイヤー押し付け機構]
図6乃至図10に示すように、ワイヤー押し付け機構13は、幅方向移動機構40、進退移動機構41、基台部42、等を備えて構成されている。そして、ワイヤー押し付け機構13は、未加硫スリーブ105にワイヤー30を押し付ける機構として構成されている。
基台部42は、ベース15上に設置され、幅方向移動機構40、進退移動機構41、及びワイヤー走行機構12を支持する台座部として設けられている。幅方向移動機構40、進退移動機構41、及びワイヤー走行機構12は、基台部42の上面に設置されている。
幅方向移動機構40は、進退移動機構41及びワイヤー走行機構12を、基台部42に対して、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105の幅方向と平行な方向に沿って移動させる機構として、構成されている。尚、未加硫スリーブ105の幅方向は、未加硫スリーブ105が筒状に延びる方向であり、図7及び図8において、両端矢印Bで示されている。また、未加硫スリーブ105が回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた状態においては、未加硫スリーブ105の幅方向は、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向となる。
幅方向移動機構40は、一対のレール(43a、43b)、ボールネジ機構44、移動プレート45、等を備えて構成されている。一対のレール(43a、43b)は、移動プレート45の移動方向をガイドするレールとして設けられている。一対のレール(43a、43b)は、基台部42の上面に固定されて設置されている。そして、一対のレール(43a、43b)は、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行に延びるように、即ち、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105の幅方向と平行に延びるように設置されている。
ボールネジ機構44は、ネジ軸44a、ボールネジモータ44b、軸受44c、ナット部44d、図示が省略された複数のボール、等を備えて構成されている。
ネジ軸44aは、一方の端部がボールネジモータ44bによって支持され、他方の端部が軸受44cによって回転自在に支持されている。そして、基台部42上において、ネジ軸44aは、その軸方向が一対のレール(43a、43b)と平行に延びるように、配置されている。ボールネジモータ44bは、ネジ軸44aをその軸心を中心として回転駆動する電動モータとして構成されている。そして、ボールネジモータ44bは、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回数分だけ回転するように、構成されている。
ナット部44dは、ネジ軸44aが貫通しており、ネジ軸44aが回転することでネジ軸44aの軸方向に沿ってネジ軸44aに対して相対移動するブロック状の要素として設けられている。ナット部44dの内部においては、ネジ軸44aのネジ溝に対向するネジ溝が形成されている。そして、ナット部44dのネジ溝とネジ軸44aのネジ溝との間には、両方の溝に対して転動自在に嵌まり込む複数のボールが配置されている。ネジ軸44aが軸心回りに回転することで、ナット部44d及びネジ軸44aの間で複数のボールが循環し、ナット部44dが、ネジ軸44aに対して軸方向に相対移動する。
また、ナット部44dは、その上面側において、移動プレート45の下面に対して固定されている。また、ナット部44dは、一対のレール(43a、43b)の間に嵌りこむように配置されている。そして、ナット部44dは、一対のレール(43a、43b)に対して摺動自在の状態で配置されている。このため、ネジ軸44aが回転すると、ナット部44dが、一対のレール(43a、43b)によってガイドされながら、ネジ軸44aの軸方向に沿って移動する。
移動プレート45は、平板状の部材として設けられ、その下面側においてナット部44dに固定されている。更に、移動プレート45は、その下面側において、一対のレール(43a、43b)の上面に対して、摺動自在の状態で、支持されている。そして、移動プレート45の上面には、進退移動機構41が設置されている。
進退移動機構41は、ワイヤー走行機構12を、移動プレート45に対して、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に対して進出及び退避させる方向に沿って移動させる機構として、構成されている。進退移動機構41は、一対のレール(46a、46b)、移動テーブル47、ボールネジ機構48、等を備えて構成されている。
一対のレール(46a、46b)は、移動テーブル47の移動方向をガイドするレールとして設けられている。一対のレール(46a、46b)は、移動プレート45の上面に固定されて設置されている。そして、一対のレール(46a、46b)は、移動プレート45上において、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に向かって接近する方向に沿って延びるように、設置されている。より具体的には、一対のレール(46a、46b)は、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に向かって接近する方向であって、且つ、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に対して直交する方向に沿って、延びるように、移動プレート45上で設置されている。
移動テーブル47は、移動プレート45の上面に対してスライド移動自在に配置されるとともに、ワイヤー走行機構12が設置される平坦な上面が設けられた部材として構成されている。ワイヤ走行機構12は、ケース35が移動テーブル47の上面に固定されることで、移動テーブル47に設置されている。また、移動テーブル47の下面側には、一対のレール(46a、46b)に対してスライド移動自在に嵌まり込む一対の溝が設けられている。また、移動テーブル47の下面側には、ボールネジ機構48のナット部48dが固定されて取り付けられる凹部(図示省略)が設けられている。
ボールネジ機構48は、ネジ軸48a、ボールネジモータ48b、軸受48c、ナット部48d、図示が省略された複数のボール、等を備えて構成されている。
ネジ軸48aは、一方の端部がボールネジモータ48bによって支持され、他方の端部が軸受48cによって回転自在に支持されている。そして、移動プレート45上において、ネジ軸48aは、その軸方向が一対のレール(46a、46b)と平行に延びるように、配置されている。ボールネジモータ48bは、ネジ軸48aをその軸心を中心として回転駆動する電動モータとして構成されている。そして、ボールネジモータ48bは、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回数分だけ回転するように、構成されている。
ナット部48dは、ネジ軸48aが貫通しており、ネジ軸48aが回転することでネジ軸48aの軸方向に沿ってネジ軸48aに対して相対移動するブロック状の要素として設けられている。ナット部48dの内部においては、ネジ軸48aのネジ溝に対向するネジ溝が形成されている。そして、ナット部48dのネジ溝とネジ軸48aのネジ溝との間には、両方の溝に対して転動自在に嵌まり込む複数のボールが配置されている。ネジ軸48aが軸心回りに回転することで、ナット部48d及びネジ軸48aの間で複数のボールが循環し、ナット部48dが、ネジ軸48aに対して軸方向に相対移動する。
また、ナット部48dは、移動テーブル47に固定されている。より具体的には、ナット部48dは、その上面側において、移動テーブル47に対して、移動テーブル47の下面側の凹部において、固定されている。また、ナット部48dが固定された移動テーブル47は、その下面側の一対の溝において、一対のレール(46a、46b)に対してスライド移動自在に嵌まり込んだ状態で、移動プレート45の上面に対してスライド移動自在に配置されている。このため、ネジ軸48aが回転すると、ナット部48d及び移動テーブル47が、一対のレール(46a、46b)によってガイドされながら、ネジ軸48aの軸方向に沿って移動する。
進退移動機構41は、ボールネジ機構48が作動してナット部48dが回転体22に接近する方向に移動することで、移動テーブル47が一対のレール(46a、46b)に沿って、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に向かって進出する方向に移動するように、構成されている。また、進退移動機構41は、ボールネジ機構48が作動してナット部48dが回転体22から離れる方向に移動することで、移動テーブル47が一対のレール(46a、46b)に沿って、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105から退避する方向に移動するように、構成されている。
図11は、未加硫ゴムベルト形成装置1の正面図であって、未加硫ゴムベルト形成装置1の作動を説明するための図である。図12は、未加硫ゴムベルト形成装置1の平面図であって、未加硫ゴムベルト形成装置1の作動を説明するための図である。図13及び図14は、未加硫ゴムベルト形成装置1の作動を説明するための図であって、一対の回転ボビン(36、37)及びその近傍を模式的に示す図である。尚、図13は、未加硫ゴムベルト形成装置1の正面側から見た一対の回転ボビン(36、37)及びその近傍の模式図である。図14は、未加硫ゴムベルト形成装置1の上面側から見た一対の回転ボビン(36、37)及びその近傍の模式図である。
未加硫ゴムベルト形成装置1のワイヤー押し付け機構13は、上述した幅方向移動機構40及び進退移動機構41を備え、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。また、ワイヤー押し付け機構13が作動する際には、制御装置14からの制御指令に基づいて、スリーブ走行機構11及びワイヤー走行機構12も作動する。そして、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、及びワイヤー押し付け機構13が作動することで、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される(図12を参照)。
ワイヤー押し付け機構13の作動の際には、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ44bが所定の回数分だけ回転し、幅方向移動機構40が作動する。これにより、未加硫ゴムベルト106のベルト幅方向の寸法に対応した位置で未加硫スリーブ105の切断が行われるように、未加硫スリーブ105の幅方向と平行な方向における移動プレート45の位置の位置決めが行われる。即ち、未加硫ゴムベルト106のベルト幅方向の寸法に対応した位置で未加硫スリーブ105の切断が行われるように、進退移動機構41及びワイヤー走行機構12の位置の位置決めが行われる。
上記のように進退移動機構41及びワイヤー走行機構12の位置の位置決めが行われると、次いで、制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ28の運転が開始されるとともに、ボビンモータ32の運転も開始される。これにより、スリーブ走行機構11の作動が開始され、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105の周方向の走行動作が開始される。そして、ワイヤー走行機構12の作動も開始され、一対の回転ボビン(36、37)の間において、ワイヤー30に張力が付与された状態で、ワイヤー30における張力が付与された部分が直線方向に沿って走行する動作が開始される。
上記のようにスリーブ走行機構11及びワイヤー走行機構12の作動が開始されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ48bが所定の回数分だけ回転し、移動テーブル47が回転体22に接近する方向に移動するように、進退移動機構41が作動する。これにより、ワイヤー走行機構12が、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に向かって進出する。そして、ワイヤー走行機構12の進出に伴い、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するワイヤー30は、未加硫スリーブ105を厚み方向に切断して回転体22の外周スリーブ22cにワイヤー30が僅かに接触する位置まで、未加硫スリーブ105に向かって進出する。
上記のように、ワイヤー走行機構12が未加硫スリーブ105に向かって進出することで、スリーブ走行機構11によって駆動されて周方向に走行する未加硫スリーブ105に対して、ワイヤー走行機構12にて直線方向に沿って走行するワイヤー30が押し付けられることになる。そして、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するワイヤー30が外周スリーブ22cに僅かに接触する位置までワイヤー30が進出することで、未加硫スリーブ105がワイヤー30によって周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。図12においては、ワイヤー30によって切断ライン106aにて未加硫スリーブ105から未加硫ゴムベルト106が切断されて形成された状態が図示されている。
上記のように、未加硫ゴムベルト形成装置1は、ワイヤー押し付け機構13が、スリーブ走行機構11によって駆動されて周方向に走行する未加硫スリーブ105に対して、ワイヤー走行機構12にて直線方向に沿って走行するワイヤー30を押し付けることで、未加硫スリーブ105を周方向に切断し、未加硫ゴムベルト106を形成するように構成されている。
尚、一対の回転ボビン(36、37)の回転軸である連結軸(38、39)は、その軸方向が、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に延びた状態で、ケース35に対して回転自在に取り付けられている。そして、進退移動機構41は、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に対して直交する方向に沿ってワイヤー走行機構12を移動させ、ワイヤー30を未加硫スリーブ105に押し付ける。このため、未加硫ゴムベルト形成装置1は、ワイヤー押し付け機構13が、回転体22の外周に沿って走行する未加硫スリーブ105に対して、回転体22の外周の接線方向と平行な方向に沿って走行するワイヤー30を押し付けるように構成されている。
[制御装置]
図7、図10、及び図12に示す制御装置14は、未加硫ゴムベルト形成装置1において、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13の作動を制御する制御部として設けられている。前述の通り、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13は、制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。
制御装置14は、CPU等のプロセッサ、メモリ、ユーザによって操作される操作パネル又は操作盤等の操作部、インターフェース回路、等を備えて構成されている。制御装置14のメモリには、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13の作動を制御する制御指令を作成するためのプログラムが記憶されている。ユーザによって操作部が操作されることで、メモリから上記のプログラムがプロセッサによって読み出されて実行される。これにより、上記の制御指令が作成され、その制御指令に基づいて、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13が作動する。
制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ28が回転し、駆動トルクがベルト駆動機構29を介して駆動ロール21に伝達される。そして、駆動ロール21の回転に伴って、従動ロール22の回転動作及び未加硫スリーブ105の周回動作が行われる。これにより、駆動ロール21及び従動ロール22に巻き掛けられた未加硫スリーブ105が周方向に走行する。また、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ44bが所定の回数分だけ回転して移動プレート45が基台部26上で所定量移動する。
また、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボビンモータ32が回転し、駆動トルクが動力伝達部33及び動力伝達部34を介して一対の回転ボビン(36、37)に伝達される。これにより、一対の回転ボビン(36、37)の間において、ワイヤー30における張力が付与された部分が直線方向に沿って走行する。更に、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ48bが所定の回数分だけ回転して移動テーブル47が移動プレート45上で所定量移動する。これにより、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するワイヤー30が、周方向に走行する未加硫スリーブ105に向かって進出し、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。
尚、未加硫スリーブ105の切断の際におけるボビンモータ32の回転方向は、制御装置14からの制御指令に基づいて、適宜、所定の周期で、正逆方向の両方向で交互に繰り返すように、制御される。これにより、一対の回転ボビン(36、37)は、同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返してワイヤー30における張力を付与した部分を直線方向に沿って往復させながら走行させるように、回転動作が制御される。
尚、本実施形態では、制御装置14からの制御指令に基づいて、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13が作動する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。未加硫ゴムベルト形成装置1において、制御装置14が備えられておらず、ユーザによる操作に基づいて、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13が作動する形態が実施されてもよい。
[未加硫ゴムベルトの形成方法]
次に、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。図15は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法を示すチャート図である。図15に示す本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、未加硫ゴム層と心線104とを有する未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成するための未加硫ゴムベルト形成方法として構成されている。
本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで実施される。そして、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、図15に示すように、未加硫スリーブ巻き掛け工程S201、切断工程S202、未加硫ゴムベルト取り外し工程S204を備えて構成されている。未加硫スリーブ巻き掛け工程S201が実施され、次いで、切断工程S202が複数回実施され、最後に未加硫ゴムベルト取り外し工程S204が実施される。これらの工程が終了することで、1つの未加硫スリーブ105から複数の未加硫ゴムベルト106が形成されることになる。
未加硫スリーブ巻き掛け工程S201は、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられる工程として、構成されている。
未加硫スリーブ巻き掛け工程S201においては、例えば、駆動ユニット23及び支持ユニット(24、25、26)によって回転体(21、22)が支持されていないオフライン状態において、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられる。そして、外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた回転体(21、22)が、駆動ユニット23及び支持ユニット(24、25、26)に支持されるように、設置される。
或いは、未加硫スリーブ巻き掛け工程S201においては、回転体(21、22)の支持ユニット(24、26)による支持が開放され、回転体(21、22)が駆動ユニット23及び支持ユニット25によってそれぞれ片持ち状態で支持された状態で、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられる。そして、回転体(21、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた後、回転体(21、22)の支持ユニット(24、26)による支持が行われる。
切断工程S202は、スリーブ走行工程S205と、ワイヤー走行工程S206と、ワイヤー押し付け工程S207と、を備えて構成されている。スリーブ走行工程S205とワイヤー走行工程S206とは、同時に実施される。そして、スリーブ走行工程S205とワイヤー走行工程S206とが同時に実施されている状態で、更に、ワイヤー押し付け工程S207が実施されることで、未加硫スリーブ105が周方向に切断されて環状の未加硫ゴムベルト106が形成される。
スリーブ走行工程S205は、制御装置14からの制御指令に基づいて、スリーブ走行機構11が作動することで、実施される。具体的には、スリーブ走行工程S205においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ28が回転し、駆動トルクがベルト駆動機構29を介して駆動ロール21に伝達される。そして、駆動ロール21の回転に伴って、従動ロール22の回転動作及び未加硫スリーブ105の周回動作が行われる。これにより、駆動ロール21及び従動ロール22に巻き掛けられた未加硫スリーブ105が周方向に走行する。
上記のように、スリーブ走行工程S205は、軸回りに回転する回転(21、22)の外周の少なくとも一部に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、回転体(21、22)を回転させ、未加硫スリーブ105を周方向に走行させる工程として構成されている。
ワイヤー走行工程S206は、制御装置14からの制御指令に基づいて、ワイヤー走行機構12が作動することで、実施される。具体的には、ワイヤー走行工程S206においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボビンモータ32が回転し、駆動トルクが動力伝達部33及び動力伝達部34を介して一対の回転ボビン(36、37)に伝達される。これにより、一対の回転ボビン(36、37)の間において、ワイヤー30における張力が付与された部分が直線方向に沿って走行する。
上記のように、ワイヤー走行工程S206は、ワイヤー30に張力を付与するとともに、ワイヤー30における張力を付与した部分を直線方向に沿って走行させる工程として構成されている。
ワイヤー押し付け工程S207は、制御装置14からの制御指令に基づいて、ワイヤー押し付け機構13が作動することで、実施される。具体的には、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ44bが所定の回数分だけ回転して移動プレート45が基台部26上で所定量移動する。更に、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ48bが所定の回数分だけ回転して移動テーブル47が移動プレート45上で所定量移動する。これにより、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するワイヤー30が、周方向に走行する未加硫スリーブ105に向かって進出し、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。
上記のように、ワイヤー押し付け工程S207は、未加硫スリーブ105にワイヤー30を押し付ける工程として構成されている。そして、ワイヤー押し付け工程S207においては、走行する未加硫スリーブ105に走行するワイヤー30が押し付けられることで、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。
未加硫スリーブ105が全周に亘って周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ48bが所定の回数分だけ先の回転方向とは逆方向に回転する。これにより、移動テーブル47が移動プレート45上で回転体22から離間する方向に所定量移動する。そして、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するワイヤー30が、周方向に走行する未加硫スリーブ105から退避する方向に移動する。これにより、ワイヤー押し付け工程S207が終了し、切断工程S202が一旦終了する。
切断工程S202が一旦終了すると、制御装置14において、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かが判断される(工程S203)。即ち、工程S203においては、未加硫スリーブ105が周方向に切断されて未加硫ゴムベルト106が形成される処理が、未加硫スリーブ105の幅方向(図7及び図8で両端矢印Bで示す方向)における全長に亘って所定回数行われ、未加硫スリーブ105の全体が複数の未加硫ゴムベルト106に切断されたか否かが、判断される。尚、制御装置14は、例えば、予め入力されている未加硫スリーブ105の切断前の状態の幅方向の寸法と、ボールネジモータ44bの回転量の積算値とに基づいて、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かを判断する。
工程S203において、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了していないと判断されると(工程S203、No)、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ44bが所定の回数分だけ回転し、移動プレート45が、基台部42上で、未加硫ゴムベルト106のベルト幅寸法に対応した所定量だけ移動する。そして、再び、切断工程S202が実施される。これにより、回転体22の外周において、次の未加硫ゴムベルト106が形成されることになる。
上記のように切断工程S202が実施され、未加硫ゴムベルト106が新たに形成されると、再び、制御装置14にて、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かが判断される(工程S203)。未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断する処理が終了していないと判断されるかぎり(工程S203、No)、上記の処理が繰り返されることになる。そして、工程S203と切断工程S202とが繰り返されることで、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた状態の複数の未加硫ゴムベルト106が形成されていくことになる。
図16は、未加硫ゴムベルト形成装置1によって未加硫スリーブ105が全幅に亘って周方向に切断され、複数の未加硫ゴムベルト106が形成された状態を示す図である。工程S203と切断工程S202とが繰り返され、図16に示すように、未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断されると、制御装置14において、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したと判断される(工程S203、Yes)。上記のように判断されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、及びワイヤー押し付け機構13の作動が停止される。
図16に示すように、未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断され、複数の未加硫ゴムベルト106が形成されると、次いで、未加硫ゴムベルト取り外し工程S204が実施される。未加硫ゴムベルト取り外し工程S204では、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた状態の複数の未加硫ゴムベルト106の全てが、回転体(21、22)から取り外される。回転体(21、22)から全ての未加硫ゴムベルト106が取り外されることで、図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法は終了することになる。
[実施例]
次に、上述した実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によって未加硫ゴムベルト106を形成した本発明の実施例について比較例とともに説明する。図17は、本発明の実施例及び比較例に関する実施条件及び実施結果等を一覧表にして示す図である。図17を参照して、実施例で切断した未加硫スリーブ105は、その内周側未加硫ゴム層107及び外周側未加硫ゴム層108は、未加硫ゴム組成物で構成されており、その心線104は、ポリエステル繊維で構成されている。未加硫スリーブ105の厚みは、16mmに設定されている。
未加硫スリーブ105については、駆動ロール21及び従動ロール22に巻き掛けて、周方向に走行させた状態で切断を行った。そして、実施例では、未加硫スリーブ105を、ワイヤー30によって全幅に亘って周方向に切断し、複数の未加硫ゴムベルト106を形成した。
実施例においては、未加硫スリーブ105を切断するワイヤー30として、炭素鋼製の金属線であるピアノ線として構成された心線の表面に、ダイヤモンド砥粒が電着により固定されたダイヤモンドワイヤー(以下、ダイヤモンドワイヤーと称する。)を用いた。ダイヤモンドワイヤーに関しては、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)による観察を行うことで確認した。図18は、実施例に係るワイヤー30であって心線にダイヤモンド砥粒が電着により固定されたワイヤー30の表面を撮影したSEM写真の画像を示す図である。
図17を参照して、実施例では、ワイヤー30の直径寸法を120μmに設定し、ダイヤモンド砥粒の径を10μm~20μmに設定した。また、ダイヤモンドワイヤーが一対の回転ボビン(36、37)の間において走行する速度であるワイヤー走行速度は、900m/minに設定した。一対の回転ボビン(36、37)の間においてダイヤモンドワイヤーに付与する張力であるワイヤー張力は、90Nに設定した。
また、一対の回転ボビン(36、37)の間で走行するダイヤモンドワイヤーを、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に押し付けて切込む速度であるワイヤー切込み速度は、1.2mm/minに設定した。ダイヤモンドワイヤーによって未加硫スリーブ105を切断する際においては、未加硫スリーブ105を冷却するための水を使用しなかった。
一方、図17の表に示す比較例は、上述した実施例との比較のための例として実施した。比較例では、未加硫スリーブ105を切断する手段として、外周に刃が設けられた円形形状の丸刃(以下、回転丸刃と称する。)を使用した。回転丸刃を、回転体(21、22)の外周に巻き掛けられた未加硫スリーブ105に向かって押し付ける方向であって、且つ、回転体(21、22)の回転軸(21a、22a)の軸方向と平行な方向に対して直交する方向に沿って進退させることで、未加硫スリーブ105の切断を行った。比較例では、回転丸刃として、外周側に向かって鋭く切っ先状に尖るように形成された刃が設けられ、その外周の刃が、円形の回転刃の外周の全周に亘って設けられたものを用いた。そして比較例では、未加硫スリーブ105に対して、回転丸刃を押し付けることによって切断し、回転丸刃によって全幅に亘って周方向に切断することで、複数の未加硫ゴムベルト106を形成した。
また、比較例では、未加硫スリーブ105を切断する際に、未加硫スリーブ105に対して回転丸刃が押し付けられる速度である前進移動速度を4.0mm/secに設定した。回転丸刃の回転数である丸刃回転数は、1200rpmに設定した。回転丸刃の直径である丸刃径は、200mmに設定し、回転丸刃の厚みである丸刃厚みは、2.5mmに設定した。回転丸刃の先端部分における刃の角度は、8度に設定した。また、材質が超硬鋼で構成された回転丸刃を用いた。そして、比較例では、冷却用のミスト状の水を直接吹き付けながら、未加硫ゴムベルト106の形成を行った。
また、実施例においては、冷却水を使用することなく未加硫ゴムベルト106を形成したが、比較例においては、図17の「水量(リットル/min)」の欄に記載した水量のミスト状の冷却水を吹き付けて、未加硫ゴム106を形成した。尚、比較例で用いた水の量は、1分当たりに回転丸刃に対して吹き付けた水を容器に採取することで測定した。比較例では、0.02リットル/minの水量の冷却水を吹き付けた。
また、実施例及び比較例において未加硫スリーブ105を切断する際に未加硫スリーブ105を周方向に走行させる回転体(21、22)のうちの駆動ロール21の回転数を、実施例については、50rpmに設定し、比較例についても、50rpmに設定した。
また、上記実施例及び比較例において、未加硫スリーブ105がダイヤモンドワイヤー及び回転丸刃によって切断された後のカット面の粗さ等について観察を行った。観察結果については、図17の「カット面の粗さ」の欄に記載した。上記の観察においては、未加硫スリーブ105を切断した後の回転丸刃の表面を目視で観察した。その結果、回転丸刃によるカット面は滑らかであるのに対して、ダイヤモンドワイヤーによるカット面はざらざらしたものとなった。
また、実施例及び比較例において、未加硫スリーブ105を周方向に切断する目標の幅寸法を13.5mmに設定した際の、平均幅寸法、及び幅寸法のばらつきについての確認も行った。確認結果については、図17に示すように、回転丸刃による平均幅寸法が13.5mmであり、幅寸法のばらつきは、13.4mm~13.6mmの間に分布した。そして、ダイヤモンドワイヤーによる平均幅寸法は、13.3mmであり、幅寸法のばらつきは、13.1mm~13.5mmの間に分布した。
また、上記実施例及び比較例において、未加硫スリーブ105を切断した後の状態におけるダイヤモンドワイヤー及び回転丸刃に対する未加硫ゴムの粘着状態について観察することで実施例及び比較例の評価を行った。その評価結果については、図17の「切断後の未加硫ゴムの粘着状態」の欄に記載した。上記の評価においては、未加硫スリーブ105を切断した後のダイヤモンドワイヤー及び回転丸刃の表面を目視で観察し、ダイヤモンドワイヤー及び回転丸刃における未加硫ゴムの粘着状態を確認した。
ここで、ダイヤモンドワイヤーについては、全長に亘って未加硫ゴムが付着していると確認された場合は、「×」判定とした。そして、ダイヤモンドワイヤーの全長の半分以上に未加硫ゴムが粘着していると確認された場合は、「△」判定とした。一方、ダイヤモンドワイヤーの全長に亘って未加硫ゴムの粘着が見られなかった場合は、「○」判定とした。
また、回転丸刃については、全周に亘って未加硫ゴムが粘着していると確認された場合は、「×」判定とした。そして、回転丸刃の半周以上に未加硫ゴムが粘着していると確認された場合は、「△」判定とした。一方、回転丸刃の全周に亘って未加硫ゴムの粘着が見られなかった場合は、「○」判定とした。その結果、実施例及び比較例のいずれにおいても、「○」判定であり、品質上の問題は生じない水準であることが確認できた。
尚、「切断後の未加硫ゴムの粘着状態」の判定が「△」判定以上、即ち、「△」判定及び「○」判定であれば、その未加硫ゴムベルト106を用いてラップドVベルト100を製造しても、品質上の問題は生じない水準であることを確認した。
また、実施例及び比較例において、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106の外観の観察をすることで実施例及び比較例の評価を行った。評価結果については、図17の「切断後の未加硫ゴムベルトの外観」の欄に記載した。切断後の未加硫ゴムベルト106の外観の評価においては、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106に生じた変形の状況について目視で確認した。
尚、ワイヤー30及び回転刃による未加硫スリーブ105の切断時における切断抵抗の状況により、未加硫ゴムベルト106において、外周側未加硫ゴム層108の角部分が変形する。とくに、未加硫スリーブ105がワイヤー30及び回転刃によって押し切られるようにして切断される状態では、外周側未加硫ゴム層108の角部分が潰れるように大きく変形する。図19は、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106の外観の判断基準について説明するための図である。図19では、未加硫ゴムベルト106の外観の判断基準を説明するための未加硫ゴムベルト106の断面形状が模式的に示されている。
図19(a)においては、外周側未加硫ゴム層108の角部分が潰れるように変形した未加硫ゴムベルト106の断面形状が示されている。押し切られるように切断されると、ワイヤー又は回転丸刃による切込みの初期段階で外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされるため、図19(a)に示すように、角部分が変形する。尚、図19(a)においては、外周側未加硫ゴム層108の厚み寸法を寸法Hで表しており、外周側未加硫ゴム層108において押しつぶされた部分の厚み寸法を寸法hで表している。一方、図19(b)においては、押し切られるように切断されることなく、外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされていない状態で切断された未加硫ゴムベルト106の断面形状が示されている。
未加硫ゴムベルト106の外観の評価においては、まず、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形の有無を確認した。そして、図19(b)に示すように、外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされていない状態で切断されている場合は、「○」判定とした。一方、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形があり、上記の寸法hが上記の寸法Hの2分の1以下の場合、即ち、h≦1/2×Hの場合、「△」判定とした。更に、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形があって、上記の寸法hが上記の寸法Hの2分の1より大きい場合、即ち、h>1/2×Hの場合、「×」判定とした。その結果、実施例及び比較例については、いずれも「○」判定となった。
また、実施例及び比較例においては、未加硫スリーブ105から切断されて形成された複数の未加硫ゴムベルト106が回転体(21、22)から取り外される際における、未加硫ゴムベルト106同士の分割の容易性の確認をすることで実施例及び比較例の評価を行った。評価結果については、図17の「切断した未加硫ゴムベルトの分割の容易性」の欄に記載した。
回転体(21、22)において隣り合って配置された未加硫ゴムベルト106同士を分割して回転体(21、22)から未加硫ゴムベルト106を取り外す分割作業の容易性は、未加硫ゴムベルト106における未加硫ゴムの状況により、異なる。未加硫ゴムの粘着性が高い状態の場合、上記の分割作業の容易性が低下することになる。未加硫ゴムベルト106の分割の容易性を確認した結果、問題無く容易に分割作業を行えると確認された場合は、「○」判定とした。そして、未加硫ゴムベルト106の未加硫ゴムの粘着性があり、分割作業において僅かに手間を要するが、作業能率に影響を与える程度ではないと判断された場合は、「△」判定とした。一方、未加硫ゴムベルト106の未加硫ゴムの粘着性があり、分割作業に手間を要し、作業能率に影響を与えると判断された場合は、「×」判定とした。その結果、実施例と、比較例とについては、「○」判定となった。
実施例に示すダイヤモンドワイヤーを用いて行った未加硫ゴムベルト形成は、比較例として示した回転丸刃による水を用いた冷却を伴う未加硫ゴムベルト106の形成と同様に、未加硫スリーブ105を切断した後のダイヤモンドワイヤーの表面には、全周に亘って未加硫ゴムの粘着が見られなかった。また、外周側未加硫ゴム層108は、押しつぶされていない状態で切断されており、更に、回転体(21、22)において隣り合って配置された未加硫ゴムベルト106同士を容易に分割できることが確認された。即ち、実施例に示すダイヤモンドワイヤーを用いた未加硫ゴムベルト106の形成においては、水を用いた冷却を行わなくとも比較例に対して遜色のない結果を達成することができた。
[実施形態の作用効果]
本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、スリーブ走行機構11、ワイヤー走行機構12、ワイヤー押し付け機構13が作動し、未加硫スリーブ105が周方向に切断されて未加硫ゴムベルト106が形成される。また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法によると、スリーブ走行工程S205、ワイヤー走行工程S206、ワイヤー押し付け工程S207が実施され、未加硫スリーブ105が周方向に切断されて未加硫ゴムベルト106が形成される。そして、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、ワイヤー30における張力が付与された部分の長手方向である直線方向に沿って走行するワイヤー30が、周方向に走行する未加硫スリーブ105に押し付けられることで、未加硫スリーブ105の切断が行われる。よって、未加硫スリーブ105のゴムの切断時に、外周に刃が設けられた回転刃ではなく、直線方向に(即ち、張力が付与された部分の長手方向に)走行するワイヤー30によって、ゴムの切断が行われる。このため、未加硫スリーブ105において切断されるゴムと切断工具としてのワイヤー30との接触面積を、切断工具が回転刃の場合に比して、極めて小さくすることができる。これにより、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を大幅に抑制することができる。また、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を大幅に抑制できるため、切断時における水を用いた冷却が不要となる。
よって、本実施形態によると、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できる未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法を提供することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、未加硫スリーブ105の切断中に発煙して作業性の低下を招いてしまうことを抑制することができる。また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ゴムの粘性の上昇を抑制でき、未加硫スリーブ105を切断して未加硫ゴムベルト106を形成した際に隣接した状態の未加硫ゴムベルト106同士が互いに粘着し易くなることも抑制することができる。このため、未加硫スリーブ105から切断されて隣接して並んだ状態の未加硫ゴムベルト106を個別に分割して取り出す際に、未加硫ゴムベルト106同士を分割する分割作業の容易性が低下することを抑制することができる。よって、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断作業及び切断後の分割作業の作業性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、切断されるゴムと切断工具としてのワイヤー30との接触面積が極めて小さく、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、ゴムの粘着の問題が生じることがほとんどない。このため、所望の寸法通りに未加硫スリーブ105を切断することが容易となり、一つの未加硫ゴムベルト105の周方向において、ベルト幅方向の寸法のばらつきが生じてしまうことを抑制することができる。これにより、この未加硫ゴムベルト106を素材として製造されるラップドVベルト100におけるベルト断面の寸法のばらつきが生じてしまうことを抑制でき、ベルト寿命の低下を招いてしまうことも抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、切断されるゴムと切断工具としてのワイヤー30との接触面積が極めて小さく、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、従来のように未加硫スリーブが押し切られるように切断されることを抑制できる。このため、未加硫ゴムベルト106の角部分の形状が大きく変形してしまうことも抑制することができる。これにより、加硫されてラップドVベルト100が製造された際に心線の並びが乱れてしまう現象が生じることも抑制でき、ベルト耐久性の低下を招いてしまうことを抑制することができる。
よって、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫ゴムベルト106の品質の低下を抑制し、更に、未加硫ゴムベルト106を素材として製造されるラップドVベルト100の品質の低下も抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によると、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。このため、未加硫スリーブ105を切断して未加硫ゴムベルト106を形成した後の乾燥工程がそもそも不要となる。よって、未加硫ゴムベルト106からラップドVベルト100を製造する際に、乾燥時間を要して作業工程時間が増大してしまうことが無い。また、未加硫ゴムベルト106からラップドVベルト100を製造する際に、乾燥工程が不要なため、乾燥設備も不要となる。このため、未加硫ゴムベルト106からラップドVベルト100を製造する際の製造設備の種類及び数の増大を抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、複数の回転体(21、22)に未加硫スリーブ105を巻き掛けた状態で、未加硫スリーブ105を周回させるように周方向に走行させることができる。このため、未加硫スリーブ105の周方向長さが比較的長い(周長が長い)場合であっても、筒状の未加硫スリーブ105の径寸法に比して小径の回転体(21、22)を複数有するスリーブ走行機構11によって、未加硫スリーブ105を容易に周方向に走行させることができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、未加硫スリーブ105の周方向長さが比較的長い場合であっても、小径の回転体22の外周に沿って未加硫スリーブ105を走行させ、走行する未加硫スリーブ105に走行するワイヤー30を押し付けて未加硫スリーブ105を切断できる。このため、曲率半径が小さい回転体22の近傍でワイヤー30を未加硫スリーブ105に押し付けて未加硫スリーブ105を切断することができる。従って、未加硫スリーブ105において切断されるゴムと切断工具としてのワイヤー30との接触面積を更に小さくでき、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を更に抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、複数の回転体(21、22)に未加硫スリーブ105を巻き掛けた状態で未加硫スリーブ105を周回させるように周方向に走行させる構造を、駆動ロール21及び従動ロール22で構成される一対の回転体(21、22)を用いた簡素な構造で実現することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、同期して回転する一対の回転ボビン(36、37)の一方からワイヤ30を払い出しながら他方で巻き取ることで、容易に、ワイヤー30に張力を付与しながらワイヤー30の張力を付与した部分を直線方向に沿って走行させることができる。そして、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、長尺のワイヤー30を一対の回転ボビン(36、37)の一方から払い出すとともに他方で巻き取りながら、未加硫スリーブ105の切断を行うことができる。このため、未加硫スリーブ105のゴムの切断の際に、ワイヤー30における同一部分を集中的に用いることなく、長尺のワイヤー30における異なる部分を順番に連続して用いることができる。これにより、ワイヤー30におけるそれぞれの部分が切断に用いられる時間が極めて短時間となり、且つ、切断後の放熱によるワイヤー30の冷却時間も十分に長く確保することができる。これにより、ワイヤー30に熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を更に抑制することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、一対の回転ボビン(36、37)が同期して回転する回転方向を交互に逆転させながら回転を繰り返すことで、長尺のワイヤー30を連続的に繰り返し往復させながら用いて未加硫スリーブ105の切断作業を効率よく実施することができる。また、未加硫スリーブ105の切断に長尺のワイヤー30を繰り返し往復させながら用いることができるため、ワイヤー30におけるそれぞれの部分が切断に用いられる時間を極めて短時間としつつ、且つ、切断後の放熱によるワイヤー30の冷却時間も十分に長く確保しつつ、未加硫スリーブ105の切断作業を効率よく実施することができる。これにより、ワイヤー30に熱が蓄積されることを効率よく抑制でき、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を更に抑制しつつ、長時間に亘って未加硫スリーブ105の切断作業を連続的に実施することができる。
また、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1によると、回転体22の外周に沿って走行する未加硫スリーブ105に対して、回転体22の外周の接線方向と平行な方向に沿って走行するワイヤー30が押し付けられるため、未加硫スリーブ105の湾曲して走行する部分においてワイヤー30による切断作業を効率よく容易に行うことができる。即ち、回転体22の外周に沿って湾曲して走行する未加硫スリーブ105を、その未加硫スリーブ105の湾曲部分の接線方向に沿って直線方向に走行するワイヤー30によって、効率よく容易に切断することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
(1)前述の実施形態では、ワイヤー走行機構におけるワイヤーとして、ダイヤモンドワイヤーが用いられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ダイヤモンドワイヤー以外のワイヤーが用いられてもよい。例えば、表面に砥粒が固定されていないピアノ線がワイヤーとして用いられてもよい。また、表面にダイヤモンド砥粒以外の材質の砥粒が固定されたピアノ線がワイヤーとして用いられてもよい。
(2)前述の実施形態では、スリーブ走行機構が複数の回転体を有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。未加硫スリーブが巻き掛けられる回転体を1つのみ有するスリーブ走行機構の形態が実施されてもよい。スリーブ走行機構が回転体を1つのみ有する未加硫ゴムベルト形成装置の形態として、例えば、図20に示すような変形例が実施されてもよい。
図20は、変形例に係る未加硫ゴムベルト形成装置2を説明するための図であって、未加硫ゴムベルト形成装置2の正面図である。尚、以下の未加硫ゴムベルト形成装置2についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
図20に示す未加硫ゴムベルト形成装置2は、スリーブ走行機構50の構成において、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と異なっている。未加硫ゴムベルト形成装置2のスリーブ走行機構50は、回転体21、駆動ユニット23、及び支持ユニット24を備えて構成されている。しかし、スリーブ走行機構50は、未加硫ゴムベルト形成装置1のスリーブ走行機構11とは異なり、回転体22及び支持ユニット(26、26)が備えられていない。そして、スリーブ走行機構50は、回転体21の外周の全周に亘って未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、回転体21を回転させ、未加硫スリーブ105を周方向に走行させるように構成されている。
また、未加硫ゴムベルト形成装置2は、ワイヤー押し付け機構13は、回転体21の外周において回転体21とともに回転して周方向に走行する未加硫スリーブ105に対して、ワイヤー走行機構12における走行するワイヤー30を押し付けるように構成されている。そして、未加硫ゴムベルト形成装置2は、回転体21の外周で回転体21とともに回転して周方向に走行する未加硫スリーブ105を周方向に切断し、未加硫ゴムベルト106を形成するように構成されている。
上記の変形例のように、未加硫スリーブが巻き掛けられる回転体21を1つのみ有するスリーブ走行機構50を有する未加硫ゴムベルト形成装置2の形態が実施されてもよい。上記の変形例の未加硫ゴムベルト形成装置2によっても、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と同様に、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
(3)前述の実施形態では、スリーブ走行機構が、複数の回転体として一対の回転体を有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。未加硫スリーブが巻き掛けられる回転体を3つ以上有するスリーブ走行機構の形態が実施されてもよい。スリーブ走行機構が回転体を3つ有する未加硫ゴムベルト形成装置の形態として、例えば、図21に示すような変形例が実施されてもよい。
図21は、変形例に係る未加硫ゴムベルト形成装置3を説明するための図であって、未加硫ゴムベルト形成装置3の正面図である。尚、以下の未加硫ゴムベルト形成装置3についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
図21に示す未加硫ゴムベルト形成装置3は、スリーブ走行機構51の構成において、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と異なっている。未加硫ゴムベルト形成装置3のスリーブ走行機構51は、回転体(52、53、22)、駆動ユニット54、支持ユニット(55、25、26)を備えて構成されている。そして、スリーブ走行機構51は、回転体(52、53、22)の外周に未加硫スリーブ105が巻き掛けられた状態で、回転体(52、53、22)を回転させ、未加硫スリーブ105を周方向に走行させるように構成されている。
回転体52及び回転体53のそれぞれは、径寸法の違いを除き、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1の回転体21と同様に構成されている。回転体52は、回転体21の回転軸21a、回転ドラム21b、外周スリーブ21cにそれぞれ対応する回転軸52a、回転ドラム52b、外周スリーブ52cを備え、軸周りに(回転軸52a周りに)回転する回転体として構成されている。回転体53は、回転体21の回転軸21a、回転ドラム21b、外周スリーブ21cにそれぞれ対応する回転軸53a、回転ドラム53b、外周スリーブ53cを備え、軸周りに(回転軸53a周りに)回転する回転体として構成されている。
駆動ユニット54は、回転体52及び回転体53を回転駆動する機構として構成されている。駆動ユニット54は、図示が省略された電動モータを有し、この電動モータからの駆動トルクを2つのベルト駆動機構を介して2つの回転体(52、53)に伝達し、2つの回転体(52、53)を回転駆動するように構成されている。
支持ユニット55は、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1の支持ユニット24とは異なり、支持アーム24b及び支持シリンダ24cを有して構成される支持機構を1つではなく2つ有している。そして、支持ユニット55における上記の各支持機構は、回転体52及び回転体53のそれぞれに対応して設けられている。尚、支持ユニット55の各支持機構における支持アーム24b及び支持シリンダ24cと、前述の実施形態の支持ユニット24の支持アーム24b及び支持シリンダ24cとは、寸法構成が異なっている。
上記の変形例のように、未加硫スリーブが巻き掛けられる回転体(52、53、22)を3つ有するスリーブ走行機構51を備えた未加硫ゴムベルト形成装置3の形態が実施されてもよい。また、未加硫スリーブが巻き掛けられる回転体を4つ以上有するスリーブ走行機構を備えた未加硫ゴムベルト形成装置の形態が実施されてもよい。上記の変形例の未加硫ゴムベルト形成装置3によっても、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と同様に、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
(4)前述の実施形態では、ワイヤー走行機構が、一対の回転ボビンを有する回転ボビンユニットを1つ有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。一対の回転ボビンを有する回転ボビンユニットを複数有しているワイヤー走行機構の形態が実施されてもよい。ワイヤー走行機構が一対の回転ボビンを有する回転ボビンユニットを複数有する未加硫ゴムベルト形成装置の形態として、例えば、図22又は図23に示すような変形例が実施されてもよい。
図22は、変形例に係る未加硫ゴムベルト形成装置4を説明するための図であって、未加硫ゴムベルト形成装置4の正面図である。尚、以下の未加硫ゴムベルト形成装置4についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
図22に示す未加硫ゴムベルト形成装置4は、ワイヤー走行機構56の構成において、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と異なっている。未加硫ゴムベルト形成装置4のワイヤー走行機構56は、第1ワイヤー走行ユニット12a及び第2ワイヤー走行ユニット12bを備えて構成されている。第1ワイヤー走行ユニット12a及び第2ワイヤー走行ユニット12bのそれぞれは、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1のワイヤー走行機構12と同様に構成されている。即ち、未加硫ゴムベルト形成装置4は、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1のワイヤー走行機構12を2つ有して構成されたワイヤー走行機構56を備えて構成されている。
未加硫ゴムベルト形成装置4は、前述の実施形態のワイヤー走行機構12と同様に構成された第1ワイヤー走行ユニット12a及び第2ワイヤー走行ユニット12bを有しているため、一対の回転ボビン(36、37)を有する回転ボビンユニット31を複数(2つ)有している。
上記の変形例のように、一対の回転ボビン(36、37)を有する回転ボビンユニット31を複数(2つ)有するワイヤー走行機構56を備えた未加硫ゴムベルト形成装置4の形態が実施されてもよい。また、回転ボビンユニット31を3つ以上有するワイヤー走行機構を備えた未加硫ゴムベルト形成装置の形態が実施されてもよい。
上記の変形例の未加硫ゴムベルト形成装置4によっても、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と同様に、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。そして、上記の変形例の未加硫ゴムベルト形成装置4によると、複数の回転ボビンユニット31によって、未加硫スリーブ105を複数個所において同時に周方向に切断することができる。このため、未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成する作業の能率を更に向上させることができる。
図23は、変形例に係る未加硫ゴムベルト形成装置のワイヤー走行機構57を説明するための図である。図23では、変形例に係るワイヤー走行機構57のみを模式的に図示している。尚、以下のワイヤー走行機構57についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
図23に示すワイヤー走行機構57は、一対の回転ボビン(36、37)を有する回転ボビンユニット31を1つではなく複数(3つ)有している点において、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1のワイヤー走行機構12と異なっている。ワイヤー走行機構57は、複数(3つ)のワイヤー30、複数(3つ)の回転ボビンユニット31、ボビンモータ32、ボビン側動力伝達部33、モータ側動力伝達部34、ケース35を備えて構成されている。尚、図23では、ケース35の図示が省略されている。
ワイヤー走行機構57においては、回転ボビンユニット31が複数(3つ)備えられているため、回転ボビン36及び回転ボビン37もそれぞれ複数(3つ)備えられている。即ち、ワイヤー走行機構57においては、一対の回転ボビン(36、37)が複数対(3対)備えられている。そして、複数の回転ボビン36は、連結軸38の軸方向に沿って直列に並んで配置された状態で、連結軸38によって連結されている。また、複数の回転ボビン37は、連結軸39の軸方向に沿って直列に並んで配置された状態で、連結軸39によって連結されている。そして、複数のワイヤー30のそれぞれは、複数の回転ボビンユニット31のそれぞれにおける一対の回転ボビン(36、37)に巻き付けられている。
上記の変形例のように、一対の回転ボビン(36、37)を有する回転ボビンユニット31を複数(3つ)有し、複数の回転ボビンユニット31における一方の回転ボビン(36又は37)が同軸で連結された形態のワイヤー走行機構57を備えた未加硫ゴムベルト形成装置の形態が実施されてもよい。また、回転ボビンユニット31を2つ又は4つ以上有し、2つ又は4つ以上の回転ボビンユニット31における一方の回転ボビン(36又は37)が同軸で連結された形態のワイヤー走行機構を備えた未加硫ゴムベルト形成装置の形態が実施されてもよい。
上記の変形例のワイヤー走行機構57を備えた未加硫ゴムベルト形成装置によっても、前述の実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1と同様に、水を用いた冷却を必要とせずに未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。そして、上記の変形例のワイヤー走行機構57を備えた未加硫ゴムベルト形成装置によると、複数の回転ボビンユニット31によって、未加硫スリーブ105を複数個所において同時に周方向に切断することができる。このため、未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成する作業の能率を更に向上させることができる。
(5)前述の実施形態では、ワイヤー走行機構が、1本の連続したワイヤーの両端部側の部分がそれぞれ巻き付けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンを有する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてよい。円環状に閉ループを構成するワイヤーが緊張状態で巻き掛けられるとともに同期して回転する一対の回転ボビンを有するワイヤー走行機構の形態が実施されてもよい。また、1本の直線状に延びるワイヤーの両端部がそれぞれ固定されるとともに直線方向に沿って同期して往復運動を行う一対の往復振動部を有するワイヤー走行機構の形態が実施されてもよい。