以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、まず、ラップドVベルトの概略及びラップドVベルトの製造工程の概略について説明し、次いで、ラップドVベルトの製造に関して適用される本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置及び未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。
[ラップドVベルトの概略]
図1は、ラップドVベルト100の一部を模式的に示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。ラップドVベルト100は、コンプレッサーなどの一般産業用機械、或いは、田植え機などの農業機械、等において、動力伝達用の無端状の伝動ベルトとして用いられる。そして、ラップドVベルト100は、V字状の断面を有する環状の伝動ベルトとして構成されている。
尚、図1においては、環状に延びるラップドVベルト100の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図1においては、ラップドVベルト100の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
ラップドVベルト100は、外被布101、圧縮ゴム層102、伸張ゴム層103、心線104を備えて構成されている。
環状に設けられたラップドVベルト100のベルト本体は、積層構造を有しており、ベルト内周側からベルト外周側に向かって、圧縮ゴム層102、心線104、伸張ゴム層103が、順次積層されている。よって、ラップドVベルト100においては、圧縮ゴム層102と伸張ゴム層103との間において、心線104が埋設されている。心線104は、ラップドVベルト100の周方向に沿って延びるように配置されている。そして、心線104は、ラップドVベルト100の周方向に垂直な断面において、ベルト幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。
また、ラップドベルト100は、環状に設けられた無端状のベルト本体の周囲全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆されて構成されている。そして、ラップドVベルト100は、その周方向に対して垂直な断面の形状が、V字状の断面形状である。より具体的には、ラップドVベルト100の断面形状は、ベルト外周側からベルト内周側に向かってベルト幅が小さくなる台形状に構成されている。
[ラップドVベルトの製造工程の概略]
図2は、ラップドVベルト100の製造工程を示すチャート図である。図2に示すように、ラップドVベルト100の製造工程は、未加硫スリーブ形成工程S101、未加硫ゴムベルト形成工程S102、スカイブ工程S103、カバー巻き工程S104、加硫工程S105を備えて構成されている。
図3は、未加硫ゴム層と心線とを有する筒状の未加硫スリーブ105を模式的に示す斜視図である。未加硫スリーブ形成工程S101は、未加硫スリーブ105を形成する工程として構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S101においては、まず、未加硫ゴム(即ち、加硫が行われていない状態のゴム)のシートが、圧延によって形成される。そして、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが、所定の長さに切断され、円筒状或いは円柱状の回転体に対して、巻き付けられる。回転体の外周に巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。筒状に成形された未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。
そして、回転体の外周に筒状の未加硫ゴムの成形体が形成されると、次いで、前述の心線104が、周方向に沿って巻き付けられる。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向に沿って所定のピッチでずらされながら、周方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられる。尚、筒状の未加硫ゴムの成形体の幅方向は、上記の回転体の軸方向と平行な方向として構成される。心線104は、筒状の未加硫ゴムの成形体に対して、幅方向のほぼ全長に亘って、巻き付けられる。
筒状の未加硫ゴムの成形体の外周への心線104の巻き付けが終了すると、次いで、心線104の上から、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが巻き付けられる。心線104の上から巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に成形される。心線104の外周側に巻き付けられた筒状の未加硫ゴムのシートが、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。
上述した未加硫スリーブ形成工程S101によって、未加硫スリーブ105が形成される。尚、図3に示す未加硫スリーブ105は、回転体から取り外された状態が示されている。
図4は、未加硫ゴムベルト106を模式的に示す斜視図である。未加硫ゴムベルト形成工程S102は、未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成する工程として構成されている。未加硫ゴムベルト形成工程S102は、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法として構成され、本発明の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置を用いることで実施される。
図5は、未加硫ゴムベルト106の一部を模式的に示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。図5においては、環状に延びる未加硫ゴムベルト106の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図5においては、未加硫ゴムベルト106の周方向が、両端矢印Aで示されており、周方向に対して直交するベルト幅方向が、両端矢印Bで示されている。
図5に示すように、未加硫ゴムベルト106は、内周側未加硫ゴム層107、心線104、外周側未加硫ゴム層108を備えて構成されている。そして、未加硫ゴムベルト106においては、内周側未加硫ゴム層107と外周側未加硫ゴム層108との間において、心線104が配置されている。
内周側未加硫ゴム層107は、ラップドVベルト100における圧縮ゴム層102の素材となる。外周側未加硫ゴム層108は、ラップドVベルト100における伸張ゴム層103の素材となる。内周側未加硫ゴム層107及び外周側未加硫ゴム層108を構成するゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示でき、これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムである。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。尚、内周側未加硫ゴム層107のゴム成分、及び、外周側未加硫ゴム層108のゴム成分は、同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。
心線104としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線104を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが使用できる。心線104の表面には、慣用の接着処理(又は表面処理)が施されていてもよい。
スカイブ工程S103は、未加硫ゴムベルト106の両側面における内周側の両角部分を周方向に亘って削るように切削することでスカイブ(skive)し、未加硫ゴムベルト106の断面形状を変更する工程として構成されている。スカイブ工程S103においては、未加硫ゴムベルト106の内周側未加硫ゴムの内周側の両角部分が周方向に亘って削れるように切削される。これにより、スカイブ工程S103の処理が施される前の状態で矩形状の断面だった未加硫ゴムベルト106の断面の形状は、スカイブ工程S103の処理が施された後の状態においては、矩形状の部分と台形状の部分とが組み合わされた断面の形状となる。
カバー巻き工程S104は、スカイブ工程S103の処理が終了した未加硫ゴムベルト106を外被布101で被覆する工程として構成されている。カバー巻き工程S104においては、環状の未加硫ゴムベルト106の周囲全体が周方向の全長に亘って外被布101で被覆される。これにより、未加硫ゴムベルト106が外被布101で被覆されて構成された未加硫ベルト成形体が形成される。
加硫工程S105は、未加硫ベルト成形体における可塑性の未加硫ゴムを加熱して弾性ゴムに変化させる工程として構成されている。加硫工程S105においては、例えば、逆台形状の断面の溝が外周に設けられた円筒状のリングモールドが用いられる。リングモールドに設けられた複数の溝に対して未加硫ベルト成形体がそれぞれ嵌め込まれる。そして、複数の未加硫ベルト成形体が嵌め込まれたリングモールドの周囲に、円筒状のゴムスリーブが更に嵌め込まれる。
加硫工程S105においては、上記のようにリングモールド及び未加硫ベルト成形体の外周面に円筒状のゴムスリーブが嵌め込まれた状態で、それらが加硫缶に収納され、所定の温度等の条件で加硫が行われる。加硫が終了してリングモールド等が解体され、加硫された成形体がラップドVベルト100として取り出される。このように、加硫工程S105まで終了することで、ラップドVベルト100が製造されることになる。
[未加硫ゴムベルト形成装置の概略]
図6は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1を示す正面図である。図7は、未加硫ゴムベルト形成装置1の平面図である。図8は、未加硫ゴムベルト形成装置1の側面図である。尚、図6乃至図8においては、未加硫ゴムベルト形成装置1は、模式的に示されている。未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法が実施され、前述のラップドVベルト100の製造工程における未加硫ゴムベルト形成工程S102が実施されることになる。
図6乃至図8に示す未加硫ゴムベルト形成装置1は、未加硫ゴム層と心線104とを有する筒状の未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成するための装置として構成されている。そして、未加硫ゴムベルト形成装置1は、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13、制御装置14、等を備えて構成されている。
また、本実施形態においては、ベース15が更に備えられている未加硫ゴムベルト形成装置1が、例示されている。尚、図7においては、ベース15の図示が省略されている。回転機構11、切断機構12、浸漬機構13、制御装置14は、ベース15上に設置されている。本実施形態では、ベース15が備えられた未加硫ゴムベルト形成装置1が例示されているが、ベース15が備えられていない形態の未加硫ゴムベルト形成装置1が実施されてもよい。
[回転機構]
図6乃至図8に示すように、回転機構11は、主軸16、支持部17、回転ドラム18、外周スリーブ19、モータ20、ベルト駆動機構21、等を備えて構成されている。
主軸16は、金属製の円筒状又は円柱状の軸として構成され、支持部17に対して回転自在に支持されている。また、主軸16は、モータ20からの駆動トルクが入力されることで回転するように構成されている。支持部17は、ベース15上に設置され、主軸16を回転自在に支持するとともにモータ20を収納する筐体として構成されている。
回転ドラム18は、円筒状の部分を有する金属製の筒状体として設けられている。そして、回転ドラム18は、主軸16とともに回転するように、主軸16に対して取り付けられている。例えば、回転ドラム18の円筒軸方向における両端部のそれぞれに蓋部が設けられ、これらの蓋部が主軸16に対して固定される。また、回転ドラム18は、主軸16の回転中心軸線と回転ドラム18の回転中心軸線とが一致するように、主軸16に対して取り付けられている。
外周スリーブ19は、ゴム製の円筒形状のスリーブとして設けられ、回転ドラム18の外周に装着される。外周スリーブ19の内周の直径は、回転ドラム18の外周の直径にほぼ対応する寸法に設定されている。回転ドラム18が回転する際、回転ドラム18に装着された外周スリーブ19は、回転ドラム18とともに同一の回転速度で回転する。尚、外周スリーブ19は、後述する切断機構12によって未加硫スリーブ105が切断される際に回転ドラム18の表面を切断機構12から保護するために設けられている。
回転ドラム18の外周に外周スリーブ19が装着されて構成された回転体22に対して、未加硫スリーブ105が配置される。即ち、未加硫スリーブ105は、回転ドラム18の外周に装着された外周スリーブ19の外周に対して配置される。
未加硫スリーブ105は、例えば、回転体22に対して未加硫のゴムシート及び心線104が巻き付けられることで形成され、これにより、未加硫スリーブ105が回転体22に配置される。即ち、回転ドラム18及び外周スリーブ19を備えて構成された回転体22を用いて前述の未加硫スリーブ形成工程S101が実施されて未加硫スリーブ105が形成され、未加硫スリーブ105が回転体22に配置された状態となる。
上記のように、回転機構11は、主軸16とともに回転するように構成された回転体22を有し、回転体22の外周に未加硫スリーブ105が配置されるように構成されている。
尚、本実施形態では、未加硫スリーブ105が配置される回転体として、回転ドラム18及び外周スリーブ19を備えて構成された回転体22を例示したが、この通りでなくてもよい。例えば、回転ドラム18が、未加硫スリーブ105が配置される回転体として構成され、未加硫スリーブ105が回転ドラム18の外周に直接に配置される形態が実施されてもよい。また、本実施形態では、回転ドラム18及び外周スリーブ19を備えて構成された回転体22を用いて未加硫スリーブ105が形成され、未加硫スリーブ105が回転体22に対してそのまま配置される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。回転機構11の回転体22とは異なる別の回転体を用いて未加硫スリーブ105が形成され、その別の回転体から取り外された未加硫スリーブ105が、回転機構11の回転体22に対して装着されて配置される形態が実施されてもよい。
モータ20は、主軸16を回転駆動するための駆動トルクを発生させる電動モータとして構成されている。本実施形態では、モータ20は、支持部17に収納されている。モータ20は、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回転速度で回転する。モータ20は、出力軸20aの軸方向が主軸16の軸方向と平行となるように、支持部17に設置されている。
ベルト駆動機構21は、モータ20からの駆動トルクを主軸16に伝達する機構として設けられている。ベルト駆動機構21は、駆動プーリ21a、従動プーリ21b、駆動ベルト21cを備えて構成されている。
駆動プーリ21aは、モータ20の出力軸20aに固定され、出力軸20aとともに回転するように構成されている。従動プーリ21bは、主軸16に対して、支持部17を介して回転ドラム18側とは反対側の端部において、固定されている。駆動ベルト21cは、無端状のベルトとして設けられている。そして、駆動ベルト21cは、駆動プーリ21a及び従動プーリ21bに対して巻き掛けられ、駆動ベルト21aの駆動トルクを従動プーリ21bに伝達するベルトとして構成されている。
後述する制御装置14からの制御指令に基づいてモータ20の運転が行われると、出力軸20aとともに駆動プーリ21aが回転する。駆動プーリ21aが回転することで、駆動プーリ21a及び従動プーリ21bに巻き掛けられた駆動ベルト21cの周回動作が行われる。駆動ベルト21cの周回動作が行われると、従動プーリ21bが回転し、従動プーリ21bとともに主軸16が回転することになる。そして、主軸16とともに、回転ドラム18及び外周スリーブ19が回転する。尚、回転ドラム18及び外周スリーブ19が回転する方向については、図6において、矢印C1で示されている。
[切断機構]
図9は、図6に示す未加硫ゴムベルト形成装置1の一部を拡大して示す図である。図10は、図7に示す未加硫ゴムベルト形成装置1の一部を拡大して示す図である。図9及び図10においては、切断機構12が拡大して示されている。図6乃至図10に示す切断機構12は、幅方向移動機構23、進退移動機構24、カッター部25、基台部26、等を備えて構成されている。
基台部26は、ベース15上に設置され、幅方向移動機構23、進退移動機構24、及びカッター部25を支持する台座部として設けられている。幅方向移動機構23、進退移動機構24、及びカッター部25は、基台部26の上面に設置されている。
幅方向移動機構23は、進退移動機構24及びカッター部25を、基台部26に対して、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の幅方向と平行な方向に沿って移動させる機構として、構成されている。尚、未加硫スリーブ105の幅方向は、未加硫スリーブ105が筒状に延びる方向であり、図7及び図8において、両端矢印Bで示されている。また、未加硫スリーブ105が回転体22の外周に配置された状態においては、未加硫スリーブ105の幅方向は、主軸16の軸方向と平行な方向となる。
幅方向移動機構23は、一対のレール(27a、27b)、ボールネジ機構28、移動プレート29、等を備えて構成されている。一対のレール(27a、27b)は、移動プレート29の移動方向をガイドするレールとして設けられている。一対のレール(27a、27b)は、基台部26の上面に固定されて設置されている。そして、一対のレール(27a、27b)は、主軸16の軸方向、即ち、回転体22に配置された未加硫スリーブ105の幅方向と平行に延びるように設置されている。
ボールネジ機構28は、ネジ軸28a、ボールネジモータ28b、軸受28c、ナット部28d、図示が省略された複数のボール、等を備えて構成されている。
ネジ軸28aは、一方の端部がボールネジモータ28bによって支持され、他方の端部が軸受28cによって回転自在に支持されている。そして、基台部26上において、ネジ軸28aは、その軸方向が一対のレール(27a、27b)と平行に延びるように、配置されている。ボールネジモータ28bは、ネジ軸28aをその軸心を中心として回転駆動する電動モータとして構成されている。そして、ボールネジモータ28bは、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回数分だけ回転するように、構成されている。
ナット部28dは、ネジ軸28aが貫通しており、ネジ軸28aが回転することでネジ軸28aの軸方向に沿ってネジ軸28aに対して相対移動するブロック状の要素として設けられている。ナット部28dの内部においては、ネジ軸28aのネジ溝に対向するネジ溝が形成されている。そして、ナット部28dのネジ溝とネジ軸28aのネジ溝との間には、両方の溝に対して転動自在に嵌まり込む複数のボールが配置されている。ネジ軸28aが軸心回りに回転することで、ナット部28d及びネジ軸28aの間で複数のボールが循環し、ナット部28dが、ネジ軸28aに対して軸方向に相対移動する。
また、ナット部28dは、その上面側において、移動プレート29の下面に対して固定されている。また、ナット部28dは、一対のレール(27a、27b)の間に嵌りこむように配置されている。そして、ナット部28dは、一対のレール(27a、27b)に対して摺動自在の状態で配置されている。このため、ネジ軸28aが回転すると、ナット部28dが、一対のレール(27a、27b)によってガイドされながら、ネジ軸28aの軸方向に沿って移動する。
移動プレート29は、平板状の部材として設けられ、その下面側においてナット部28dに固定されている。更に、移動プレート29は、その下面側において、一対のレール(27a、27b)の上面に対して、摺動自在の状態で、支持されている。そして、移動プレート29の上面には、進退移動機構24が設置されている。
進退移動機構24は、カッター部25を、移動プレート29に対して、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105に対して進出及び退避させる方向に沿って移動させる機構として、構成されている。進退移動機構24は、一対のレール(30a、30b)、移動ブロック31、シリンダ機構32、等を備えて構成されている。
一対のレール(30a、30b)は、移動ブロック31の移動方向をガイドするレールとして設けられている。一対のレール(30a、30b)は、移動プレート29の上面に固定されて設置されている。そして、一対のレール(30a、30b)は、移動プレート29上において、回転体22に配置された未加硫スリーブ105に向かって接近する方向に沿って延びるように、設置されている。より具体的には、一対のレール(30a、30b)は、回転体22に配置された未加硫スリーブ105に向かって接近する方向であって、且つ、主軸16の軸方向と平行な方向に対して直交する方向に沿って、延びるように、移動プレート29上で設置されている。
移動ブロック31は、移動プレート29上に配置されブロック状の要素として設けられている。また、移動ブロック31は、移動プレート29の上面に対してスライド移動自在に配置される。そして、移動ブロック31の下面側には、一対のレール(30a、30b)に対してスライド移動自在に嵌まり込む一対の溝が設けられている。
シリンダ機構32は、シリンダ体32aとロッド32bとを備えた油圧シリンダ機構として設けられている。シリンダ体32aは、移動プレート29の上面において移動プレート29に対して固定されている。ロッド32bには、シリンダ体32aの内部を一対の油室に区画するピストン(図示省略)が、一方の端部に設けられている。そして、ロッド32bは、シリンダ体32a内の一対の油室への圧油の給排が行われることで、シリンダ体32aから突出し或いはシリンダ体32aに向かって縮退する。尚、上記の一対の油室は、例えば、圧油源(図示省略)及び油回収タンク(図示省略)に対して切換弁(図示省略)を介して接続されている。そして、制御装置14からの制御指令に基づいて、上記の切換弁の状態が切り換えられ、シリンダ体32a内の一対の油室への圧油の給排が制御され、シリンダ機構32の作動が制御される。
また、ロッド32bは、ピストンが設けられた一方の端部と反対側の端部において、移動ブロック31に対して固定されている。これにより、進退移動機構24は、ロッド32aがシリンダ体32bから突出することで、移動ブロック31が一対のレール(30a、30b)に沿って、回転体22に配置された未加硫スリーブ105に向かって進出する方向に移動するように、構成されている。また、進退移動機構24は、ロッド32aがシリンダ体32bに向かって縮退することで、移動ブロック31が一対のレール(30a、30b)に沿って、回転体22に配置された未加硫スリーブ105から退避する方向に移動するように、構成されている。
カッター部25は、外周に刃が設けられた回転刃36を有し、回転する回転刃36によって未加硫スリーブ105を周方向に切断する機構として設けられている。そして、カッター部25は、カッターモータ33、動力伝達部34、回転刃カバー35、上記の回転刃36、等を備えて構成されている。
カッターモータ33は、動力伝達部34を介して回転刃36を回転駆動する駆動トルクを発生する電動モータとして構成されている。そして、カッターモータ33は、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回転速度で回転するように構成されている。
動力伝達部34は、カッターモータ33からの駆動トルクを回転刃36に伝達する機構として設けられている。動力伝達部34は、例えば、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルトを有する機構として構成され、ベルト駆動機構21と同様の機構として構成されている。尚、図9及び図10においては、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルトを収納する動力伝達部34のハウジングのみが図示されており、駆動プーリ、従動プーリ、駆動ベルトの図示は省略されている。
動力伝達部34の駆動プーリは、カッターモータ33の出力軸(図示省略)に連結され、動力伝達部34の従動プーリは、回転刃36の回転軸(図示省略)に連結されている。カッターモータ33が回転すると、その駆動トルクが動力伝達部34の駆動プーリに入力されて駆動ベルトが周回動作を行い、従動プーリも回転する。そして、従動プーリの回転とともに、回転刃36が回転する。
回転刃カバー35は、回転刃36の周囲を部分的に覆うカバーとして設けられている。回転刃カバー35には、回転刃36の回転軸の両端部のそれぞれを回転自在に支持する軸受部(図示省略)が設けられている。また、回転刃カバー35は、動力伝達部34のハウジングに固定されている。また、回転刃カバー35には、後述する浸漬機構13が設置されている。
回転刃36は、外周に刃が設けられた円形形状の丸刃として構成されている。即ち、回転刃36には、外周側に向かって鋭く切っ先状に尖るように形成された刃が設けられている。そして、回転刃36の外周の刃は、円形の回転刃の外周の全周に亘って設けられている。尚、回転刃36が回転する方向については、図6において、矢印C2で示されている(後述の図12においても、回転刃36が回転する方向が印C2で示されている)。回転刃36は、例えば、鉄鋼材料等の金属材料で形成されている。また、回転刃36は、外周に刃が設けられた回転刃本体と、回転刃本体の表面における少なくとも刃の表面を覆うように設けられたコーティング層と、を有した形態として、構成されてもよい。この場合、例えば、回転刃本体は、鉄鋼材料等の金属材料で形成される。そして、回転刃本体の表面を覆うコーティング層は、摩擦抵抗の小さい低摩擦コーティングの表面処理層として構成される。このため、コーティング層を構成する材料としては、切断対象の未加硫スリーブ105との間で規定される摩擦係数を、回転刃本体と未加硫スリーブ105との間で規定される摩擦係数よりも、小さく設定できる材料が、選定される。例えば、コーティング層を構成する材料として、フッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)であるポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。或いは、コーティング層を構成する材料として、ダイヤモンドライクカーボン(diamond-like carbon、DLC)を挙げることができる。
図11は、未加硫ゴムベルト形成装置1の平面図であって、未加硫ゴムベルト形成装置1の作動を説明するための図である。未加硫ゴムベルト形成装置1の切断機構12は、上述した幅方向移動機構23、進退移動機構24、カッター部25を備え、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。また、切断機構12が作動する際には、制御装置14からの制御指令に基づいて、回転機構11も作動する。そして、回転機構11及び切断機構12が作動することで、図11に示すように、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。また、切断機構12及び回転機構11が作動する際には、例えば、切断機構12及び回転機構11の作動の開始前の所定のタイミングで、制御装置14からの制御指令に基づいて、後述する浸漬機構13の作動も行われる。
切断機構12の作動の際には、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ28bが所定の回数分だけ回転し、幅方向移動機構23が作動する。これにより、未加硫ゴムベルト106のベルト幅方向の寸法に対応した位置で未加硫スリーブ105の切断が行われるように、未加硫スリーブ105の幅方向と平行な方向における移動プレート29の位置の位置決めが行われる。即ち、未加硫ゴムベルト106のベルト幅方向の寸法に対応した位置で未加硫スリーブ105の切断が行われるように、進退移動機構24及びカッター部25の位置の位置決めが行われる。
上記のように進退移動機構24及びカッター部25の位置の位置決めが行われると、次いで、制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ20が所定の回転速度で回転し、カッターモータ33も所定の回転速度で回転する。これにより、回転機構11の作動が開始され、主軸16とともに回転体22とその回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の回転が開始される。そして、カッター部25の作動も開始され、回転刃36の回転が開始される。
上記のように制御装置14からの制御指令に基づいて回転機構11及びカッター部25が作動する際におけるモータ20及びカッターモータ33の回転速度は、未加硫スリーブ105及び回転刃36の条件に応じて予め定められたそれぞれの回転速度に設定される。より具体的には、未加硫スリーブ105の外周の周速度に対する回転刃36の外周の周速度の比が、1.1以上16以下の範囲の値に設定されるように、モータ20及びカッターモータ33の回転速度が定められている。
上記のように回転機構11及びカッター部25の作動が開始されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、シリンダ機構32が作動する。これにより、シリンダ体32aからロッド32bが突出し、移動ブロック31とともにカッター部25が未加硫スリーブ105に向かって進出する。そして、カッター部25の進出に伴い、回転刃36は、未加硫スリーブ105を厚み方向に切断して外周スリーブ19に回転刃36の刃先の先端が僅かに接触する位置まで、未加硫スリーブ105に向かって進出する。
上記のように回転刃36が未加硫スリーブ105に向かって進出することで、主軸16及び回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して、回転刃36が回転しながら押し付けられることになる。そして、図11に示すように、回転刃36の刃先が外周スリーブ19に僅かに接触する位置まで回転刃36が進出することで、未加硫スリーブ105が回転刃36によって周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。図11においては、回転刃36によって切断ライン106aにて未加硫スリーブ105から未加硫ゴムベルト106が切断されて形成された状態が図示されている。尚、カッター部25が作動して回転刃36が回転している間は、後述する浸漬機構13の作動も維持されている。
上記のように、切断機構12は、外周に刃が設けられた回転刃36を有し、回転体22に配置されて回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して、回転刃36が回転しながら押し付けられることで、未加硫スリーブ105を周方向に切断し、未加硫ゴムベルト106を形成する機構として、構成されている。また、切断機構12は、回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して回転刃36が回転しながら押し付けられる際における、未加硫スリーブ105の外周の周速度に対する回転刃36の外周の周速度の比が、1.1以上16以下の値に設定されている。
[浸漬機構]
図12は、未加硫ゴムベルト形成装置1の浸漬機構13を説明するための図である。尚、図12においては、回転刃カバー35が断面で図示されており、回転刃カバー35に設置された浸漬機構13が図面に表れた状態が図示されている。
図6、図7、図9乃至図12に示す浸漬機構13は、回転刃36の少なくとも一部が浸漬される水を貯留可能に設けられた水槽37を含み、回転刃36を水槽37内の水に浸漬させるように構成されている。浸漬機構13は、上記の水槽37、相対位置変更機構38、等を備えて構成されている。
水槽37は、図12に示すように、回転刃36の下方に配置され、回転刃36の下半側の一部が浸漬される水を貯留可能に設けられている。水槽37は、水密性を有する箱状の構造体として設けられ、例えば、上面が開放された筐体として設けられる。即ち、水槽37は、上面以外の5つの壁面が設けられた筐体として構成されている。水槽37には、例えば、開放された上面側から内側に水が供給される。そして、水槽37の内側に供給された水は、水槽37内に貯留される。尚、図12においては、水槽37内に水39が貯留された状態が図示されている。
水槽37の内壁には、貯留される水の水面の位置の基準となる水位レベルが、表示、刻印、凹凸形状、等の視認可能な手段により、明示されている。そして、水槽37内に水が貯留される際には、その水面が上記の水位レベルに一致するように、水槽37内に水が供給される。回転刃36の下半側の部分における最も下方に位置している部分及びその近傍の部分は、水槽37の内側に配置されている。そして、水槽37内に水39が上記の所定の水位レベルまで貯留された状態では、図12に示すように、水槽37内に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態となる。
相対位置変更機構38は、水槽37と回転刃36との相対位置を変更する機構として構成されている。図13及び図14は、相対位置変更機構38を説明するための図である。尚、図13においては、水槽37の回転刃36に対する相対位置が、図12に示される状態に対して、下方に変更された状態が図示されている。一方、図14においては、水槽37の回転刃36に対する相対位置が、図12に示される状態に対して、上方に変更された状態が図示されている。
図12乃至図14に示す相対位置変更機構38は、水槽37と回転刃36との上下方向における相対位置を変更する機構として設けられている。そして、本実施形態では、相対位置変更機構38は、水槽37を回転刃36に対して上下方向に移動させることで、水槽37と回転刃36との上下方向における相対位置を変更するように構成されている。
相対位置変更機構38は、ベース部40、上下移動プレート41、ボールネジ機構42、等を備えて構成されている。
ベース部40は、ボールネジ機構42、上下移動プレート41、及び水槽37を支持する台座部として設けられている。ベース部40は、本実施形態では、箱状の構造体として設けられ、上面が開放された筐体として設けられる。即ち、ベース部40は、上面以外の5つの壁面が設けられた筐体として構成されている。
ベース部40は、回転刃カバー35の下端側の内側において、回転刃カバー35に対して固定されて設置されている。より具体的には、ベース部40は、その底面側において、回転刃カバー35の下側壁部35aに対して固定されて設置されている。また、ベース部40の内側には、ボールネジ機構42が設置されている。
また、ベース部40の内側では、水槽37が、上下方向に沿ってスライド移動自在に支持されている。より具体的には、ベース部40の内側では、ベース部40における対向する一対の内壁面(40a、40b)に対して、水槽37における一対の側面が、上下方向に沿って摺動しながら変位可能に配置されている。これにより、水槽37は、ベース部40に対して、上下方向に沿ってスライド移動自在に支持されている。
上下移動プレート41は、平板状の部材として設けられ、その縁部において、後述するボールネジ機構42のナット部42fに固定されている。上下移動プレート41は、その面方向が水平方向に沿って広がった状態で、後述するナット部42fに対して固定されている。更に、上下移動プレート41は、その上面側において、水槽37が固定されて設置されている。
ボールネジ機構42は、ネジ軸42a、ボールネジモータ42b、軸受42c、一対のリニアガイド(42d、42e)、ナット部42f、図示が省略された複数のボール、等を備えて構成されている。
ネジ軸42aは、一方の端部がボールネジモータ42bに連結され、他方の端部が軸受42cによって回転自在に支持されている。本実施形態では、ネジ軸42aは、上端部がボールネジモータ42bに連結され、下端部が軸受42cによって回転自在に支持されている。そして、ベース部40の内側において、ネジ軸42aは、その軸方向が上下方向に沿って延びるように、配置されている。
ボールネジモータ42bは、ネジ軸42aをその軸心を中心として回転駆動する電動モータとして構成されている。そして、ボールネジモータ42bは、図示が省略された電源から電気エネルギーが供給され、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて作動し、所定の回数分だけ回転するように、構成されている。
一対のリニアガイド(42d、42e)は、直線状に上下方向に沿って延びる一対の部材として設けられ、上下に移動する後述のナット部42fの移動方向をガイドする部材として設けられている。一対のリニアガイド(42d、42e)は、上端部がボールネジモータ42bのハウジングに固定され、下端部が軸受42cの外輪又はハウジングに固定されている。
ナット部42fは、ネジ軸42aが貫通しており、ネジ軸42aが回転することでネジ軸42aの軸方向に沿ってネジ軸42aに対して相対移動するブロック状の要素として設けられている。ナット部42fの内部においては、ネジ軸42aのネジ溝に対向するネジ溝が形成されている。そして、ナット部42fのネジ溝とネジ軸42aのネジ溝との間には、両方の溝に対して転動自在に嵌まり込む複数のボールが配置されている。ネジ軸42aが軸心回りに回転することで、ナット部42f及びネジ軸42aの間で複数のボールが循環し、ナット部42fが、ネジ軸42aに対して軸方向に相対移動する。
また、ナット部42fは、その1つの側面において、上下移動プレート41の縁部に対して固定されている。また、ナット部42fは、一対のリニアガイド(42d、42e)の間に嵌りこむように配置されている。そして、ナット部42fは、一対のリニアガイド(42d、42e)に対して摺動自在の状態で配置されている。このため、ネジ軸42aが回転すると、ナット部42fが、一対のリニアガイド(42d、42e)によってガイドされながら、ネジ軸42aの軸方向に沿って、即ち、上下方向に沿って移動する。
ネジ軸42aが回転してナット部42fが上下方向に移動すると、上下移動プレート41も、ナット部42fとともに上下方向に移動する。そして、上下移動プレート41が上下方向に移動すると、上下移動プレート41に設置された水槽37も上下方向に移動する。これにより、水槽37が回転刃36に対して上下方向に移動し、水槽37と回転刃36との上下方向における相対位置が変更される。
本実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1においては、後述する制御装置14からの制御指令に基づいて浸漬機構13が作動し、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さが調整されるように構成されている。図13においては、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDが、図12に示す状態よりも浅く設定された状態が図示されている。一方、図14においては、浸漬深さDが、図12に示す状態よりも深く設定された状態が図示されている。
浸漬機構13の作動の際には、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ42bが所定の回数分だけ回転する。そして、ナット部42f、上下移動プレート41、及び水槽37の回転刃36に対する上下方向の相対位置が、所定の位置に調整される。これにより、ナット部42f、上下移動プレート41、及び水槽37の回転刃36に対する上下方向の相対位置が、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚みとの関係に応じた所定の位置に位置するように、位置決めされる。
上記のように、未加硫ゴムベルト形成装置1においては、制御装置14からの制御指令に基づいて浸漬機構13が作動し、水槽37が回転刃36に対して所定の位置まで上下方向に移動する。これにより、未加硫ゴムベルト形成装置1においては、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDが、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚み以上となるように設定される。より具体的には、未加硫ゴムベルト形成装置1においては、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDが、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚みに対して、0mm以上20mm以下の寸法差の範囲で、同じに又は大きくなるように設定される。即ち、浸漬深さDが、未加硫スリーブ105の厚みと同じ(浸漬深さDと未加硫スリーブ105の厚みとの寸法差が0mm)に設定される、又は、未加硫スリーブ105の厚みよりも20mm以下の寸法差の範囲で大きくなるように設定される。
尚、回転体22の外周に配置される未加硫スリーブ105の厚みが5mm未満の場合は、例えば、上記の浸漬深さDが10mmに設定されてもよい。また、回転体22の外周に配置される未加硫スリーブ105の厚みが5mm以上10mm未満の場合は、例えば、上記の浸漬深さDが20mmに設定されてもよい。また、回転体22の外周に配置される未加硫スリーブ105の厚みが10mm以上20mm未満の場合は、例えば、上記の浸漬深さDが30mmに設定されてもよい。また、回転体22の外周に配置される未加硫スリーブ105の厚みが20mm以上30mm未満の場合は、例えば、上記の浸漬深さDが40mmに設定されてもよい。また、回転体22の外周に配置される未加硫スリーブ105の厚みが30mm以上40mm未満の場合は、例えば、上記の浸漬深さDが50mmに設定されてもよい。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1は、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態で、切断機構12によって未加硫スリーブ105が切断されるように構成されている。このため、制御装置14からの制御指令に基づいて浸漬機構13が作動して上記の浸漬深さDが設定される動作は、例えば、回転機構11及び切断機構12の作動開始前の所定のタイミングで行われる。即ち、制御装置14からの制御指令に基づいて浸漬機構13が作動して上記の浸漬深さDが所定の深さに設定された後、制御装置14からの制御指令に基づいて回転機構11及び切断機構12が作動する。
尚、未加硫ゴムベルト形成装置1においては、上記のように、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態で、切断機構12によって未加硫スリーブ105が切断される。そして、水槽37内の水39に浸漬され回転刃36に付着した余分な水分は、回転刃36の回転中、回転刃カバー35の内側で水滴となって飛散する。尚、回転刃36の回転中に回転刃36から飛散する水滴の方向について、図12において二点鎖線の矢印で模式的に例示している。これにより、未加硫ゴムベルト形成装置1においては、回転刃36の回転中に水滴が回転刃カバー35の外に飛散することが防止される。
[制御装置]
図7に示す制御装置14は、未加硫ゴムベルト形成装置1において、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13の作動を制御する制御部として設けられている。前述の通り、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13は、制御装置14からの制御指令に基づいて作動する。
制御装置14は、CPU等のハードウェア・プロセッサ、メモリ、ユーザによって操作される操作パネル又は操作盤等の操作部、インターフェース回路、等を備えて構成されている。制御装置14のメモリには、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13の作動を制御する制御指令を作成するためのプログラムが記憶されている。ユーザによって操作部が操作されることで、メモリから上記のプログラムがハードウェア・プロセッサによって読み出されて実行される。これにより、上記の制御指令が作成され、その制御指令に基づいて、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13が作動する。
まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、浸漬機構13のボールネジモータ42bが所定の回数分だけ回転して水槽37が上下方向に所定量移動する。これにより、前述の浸漬深さDが所定の深さに設定される。
また、制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ20が回転し、駆動トルクがベルト駆動機構21を介して主軸16に伝達される。そして、主軸16とともに回転体22が回転し、回転体22に配置された未加硫スリーブ105が回転体22とともに回転する。また、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ28bが所定の回数分だけ回転して移動プレート29が基台部26上で所定量移動する。
そして、制御装置14からの制御指令に基づいて、カッターモータ33が回転し、駆動トルクが動力伝達部34を介して回転刃36に伝達され、回転刃36が回転する。尚、回転刃36の回転中は、回転刃36の下半側の一部は、常時、水槽37中の水39に浸漬されている。そして、制御装置14からの制御指令に基づいて、シリンダ機構32が作動し、移動ブロック31とともに回転刃36が未加硫スリーブ105に向かって進出する。これにより、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。
尚、本実施形態では、制御装置14からの制御指令に基づいて、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13が作動する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。未加硫ゴムベルト形成装置1において、制御装置14が備えられておらず、ユーザによる操作に基づいて、回転機構11、切断機構12、浸漬機構13が作動する形態が実施されてもよい。
[未加硫ゴムベルト形成方法]
次に、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法について説明する。図15は、本発明の一実施の形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法を示すチャート図である。図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法は、未加硫ゴム層と心線104とを有する未加硫スリーブ105を周方向に切断して環状の未加硫ゴムベルト106を形成するための未加硫ゴムベルト形成方法として構成されている。
図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法は、前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成装置1が作動することで実施される。そして、前述の通り、図2に示すラップドVベルト100の製造工程の未加硫ゴムベルト形成工程S102は、図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法として構成されている。
図15に示すように、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、未加硫スリーブ配置工程S201、浸漬切断工程S202、未加硫ゴムベルト取り外し工程S203を備えて構成されている。未加硫スリーブ配置工程S201が実施され、次いで、浸漬切断工程S202が実施され、最後に未加硫ゴムベルト取り外し工程S203が実施される。これらの工程が終了することで、1つの未加硫スリーブ105から複数の未加硫ゴムベルト106が形成されることになる。
未加硫スリーブ配置工程S201は、主軸16とともに回転するように構成された回転体22の外周に未加硫スリーブ105が配置される工程として、構成されている。本実施形態では、例えば、回転体22に対して未加硫のゴムシート及び心線104が巻き付けられることで回転体22の周りに未加硫スリーブ105が形成され、これにより、未加硫スリーブ105が回転体22に配置された状態となる。即ち、回転体22を用いて前述の未加硫スリーブ形成工程S101が実施されて未加硫スリーブ105が形成され、未加硫スリーブ105が回転体22に配置された状態となる。
尚、回転体22の外周に未加硫スリーブ105を配置する方法としては、上述の通りでなくてもよい。例えば、回転機構11の回転体22とは異なる別の回転体を用いて未加硫スリーブ105が形成され、その別の回転体から取り外された未加硫スリーブ105が、回転機構11の回転体22に対して装着されて配置される形態が実施されてもよい。
浸漬切断工程S202は、浸漬工程S204と切断工程S205とを備えて構成されている。本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法の浸漬切断工程S202においては、浸漬工程S204が行われている間に、複数回の切断工程S205が行われる。
浸漬工程S204は、回転刃36の一部を水槽37に貯留された水39に浸漬する工程として構成されている。また、浸漬工程S204は、水槽37と回転刃36との相対位置を変更する相対位置変更工程S206を含んで構成されている。
浸漬工程S204は、制御装置14からの制御指令に基づいて、切断機構12及び回転機構11の作動の開始前の所定のタイミングで、浸漬機構13が作動することで、実施される。浸漬工程S204においては、まず、浸漬機構13が作動して相対位置変更工程S206が実施され、水槽37と回転刃36との相対位置が調整される。そして、水槽37と回転刃36との相対位置が調整されて水槽37内の水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態が維持される。このように水39に回転刃36の一部が浸漬された状態は、切断工程S205が複数回実施されている間に亘って、継続される。即ち、回転刃36の一部を水槽37に貯留された水39に浸漬する浸漬工程S204が行われている間に、複数回の切断工程S205が行われることになる。
浸漬工程S204が開始される際には、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、浸漬機構13のボールネジモータ42bが所定の回数分だけ回転する。これに伴い、ネジ軸42aが所定の回数分だけ軸心回りで回転し、ナット部42f、上下移動プレート41、及び水槽37が上下方向に所定量移動する。これにより、相対位置変更工程S206が完了し、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDが、所定の深さに設定される。一旦、浸漬深さDが、所定の深さに設定されると、複数回実施される切断工程S205が全て完了するまで、浸漬深さDがその所定の深さに維持される。
尚、浸漬工程S204においては、水槽37に貯留された水に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDは、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚み以上となるように設定される。また、浸漬工程S204においては、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDが、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚みに対して、0mm以上20mm以下の寸法差の範囲で、同じに又は大きくなるように設定される。
切断工程S205は、相対位置変更工程S206の完了後に、開始される。そして、切断工程S205は、制御装置14からの制御指令に基づいて、回転機構11及び切断機構12が作動することで、実施される。まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、モータ20が回転し、駆動トルクがベルト駆動機構21を介して主軸16に伝達される。そして、主軸16とともに回転体22が回転し、回転22とともに回転体22に配置された未加硫スリーブ105が回転する。また、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ28bが所定の回数分だけ回転して移動プレート29が基台部26上で所定量移動する。
そして、制御装置14からの制御指令に基づいて、カッターモータ33が回転し、駆動トルクが動力伝達部34を介して回転刃36に伝達され、回転刃36が回転する。更に、制御装置14からの制御指令に基づいて、シリンダ機構32が作動し、移動ブロック31とともに回転刃36が未加硫スリーブ105に向かって進出する。これにより、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。
上記のように、切断工程S205は、外周に刃が設けられた回転刃36が、回転体22に配置されて回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して、回転しながら押し付けられることで、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される工程として、構成されている。
尚、切断工程S205においては、制御装置14からの制御指令に基づいて、回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して回転刃36が回転しながら押し付けられる際における、未加硫スリーブ105の外周の周速度に対する回転刃36の外周の周速度の比が、1.1以上16以下の値に設定される。即ち、モータ20及びカッターモータ33が、制御装置14からの制御指令に基づいて、未加硫スリーブ105の外周の周速度に対する回転刃36の外周の周速度の比が1.1以上16以下の範囲の値に設定された状態で、回転する。
また、浸漬切断工程S202においては、浸漬工程S204が行われている間に、切断工程S205が行われる。このため、本実施形態の未加硫ゴムベルト形成方法は、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態で、未加硫スリーブ105が切断されるように構成されている。
また、浸漬切断工程S202の切断工程S205は、未加硫スリーブ105が全周に亘って周方向に切断されるまで継続される。未加硫スリーブ105が全周に亘って周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、シリンダ機構32が作動する。そして、移動ブロック31とともに回転刃36が未加硫スリーブ105から離間する方向に向かって移動する。即ち、ロッド32aがシリンダ体32bに向かって縮退し、移動ブロック31とともに回転刃36が、未加硫スリーブ105から退避する方向に移動する。これにより、切断工程S205が一旦終了する。
浸漬切断工程S202においては、切断工程S205が一旦終了すると、制御装置14において、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かが判断される。即ち、浸漬切断工程S202においては、未加硫スリーブ105が周方向に切断されて未加硫ゴムベルト106が形成される処理が、未加硫スリーブ105の幅方向(図7及び図8で両端矢印Bで示す方向)における全長に亘って所定回数行われ、未加硫スリーブ105の全体が複数の未加硫ゴムベルト106に切断されたか否かが、制御装置14において判断される。尚、制御装置14は、例えば、予め入力されている未加硫スリーブ105の切断前の状態の幅方向の寸法と、ボールネジモータ28bの回転量の積算値とに基づいて、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かを判断する。
未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了していないと制御装置14において判断されると、まず、制御装置14からの制御指令に基づいて、ボールネジモータ28bが所定の回数分だけ回転する。これにより、移動プレート29が、基台部26上で、未加硫ゴムベルト106のベルト幅寸法に対応した所定量だけ移動する。そして、再び、切断工程S205が実施される。これにより、回転体22の外周において、次の未加硫ゴムベルト106が形成されることになる。また、このとき、水槽37中の水39に回転刃36の下半側の一部が所定の深さで浸漬された状態は、維持される。
上記のように切断工程S205が実施され、未加硫ゴムベルト106が新たに形成されると、再び、制御装置14にて、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したか否かが判断される。未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断する処理が終了していないと判断されるかぎり、上記の処理が繰り返されることになる。そして、切断工程S205が繰り返されることで、回転体22の外周に複数の未加硫ゴムベルト106が形成されていくことになる。
図16は、未加硫ゴムベルト形成装置1によって、未加硫スリーブ105が全幅に亘って周方向に切断され、複数の未加硫ゴムベルト106が形成された状態を示す図である。浸漬切断工程S202において、浸漬工程S204の継続中に切断工程S205が複数回繰り返され、図16に示すように、未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断されると、制御装置14において、未加硫スリーブ105を全幅に亘って切断する処理が終了したと判断される。上記のように判断されると、制御装置14からの制御指令に基づいて、回転機構11及び切断機構12の作動が停止される。
図16に示すように、未加硫スリーブ105が全幅に亘って切断され、複数の未加硫ゴムベルト106が形成されると、次いで、未加硫ゴムベルト取り外し工程S203が実施される。未加硫ゴムベルト取り外し工程S203では、回転体22の外周に配置された状態の複数の未加硫ゴムベルト106の全てが、回転体22から取り外される。回転体22から全ての未加硫ゴムベルト106が取り外されることで、図15に示す未加硫ゴムベルト形成方法は終了することになる。
[実施例]
次に、上述した実施形態の未加硫ゴムベルト形成装置1及び未加硫ゴムベルト形成方法によって未加硫ゴムベルト106を形成した本発明の実施例について説明する。図17は、本発明の実施例及び比較例に関する実施条件と実施結果とを一覧表にして示す図である。
実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7は、上述した実施形態によって未加硫ゴムベルト106を形成した実施例である。実施例No.1〜No.3においては、切断機構12の回転刃36として、表面に低摩擦コーティングのコーティング層が設けられておらず全体が鉄鋼材料で形成された回転刃36を用い、未加硫ゴムベルト106を形成した。一方、実施例No.5〜No.7においては、切断機構12の回転刃36として、回転刃本体の表面に低摩擦コーティングの表面処理層としてのコーティング層が設けられた回転刃36を用い、未加硫ゴムベルト106を形成した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7においては、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態で、断機機構12によって未加硫スリーブ105を切断し、未加硫ゴムベルト106を形成した。よって、図17において、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7については、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦熱を抜熱するとともに摩擦熱の発生も低減する冷却手段に関する実施条件として、「冷却手段」の欄において、「浸漬」と記載している。尚、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7においては、厚みが10mmの未加硫スリーブ105を切断して未加硫ゴムベルト106を形成した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7においては、図17の「浸漬深さ(mm)」の欄に記載した浸漬深さDにそれぞれ設定し、未加硫ゴムベルト106を形成した。即ち、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDを、実施例No.1については30mmに設定し、実施例No.2については20mmに設定し、実施例No.3については15mmに設定し、実施例No.5については20mmに設定し、実施例No.6については15mmに設定し、実施例No.7については、10mmに設定した。
比較例No.4は、本発明の実施例との比較のための例として実施したものであり、比較例No.4においては、水を回転刃36に対して流し掛けながら、未加硫ゴムベルト106の形成を行った。よって、図17において、比較例No.4については、「冷却手段」の欄に「水掛け」と記載している。比較例No.4においては、回転刃36として、表面に低摩擦コーティングのコーティング層が設けられておらず全体が鉄鋼材料で形成された回転刃36を用い、未加硫ゴムベルト106を形成した。また、比較例No.4においては、図17の「水量(L/min)」の欄に記載した水量の水を掛けて、未加硫ゴムベルト106を形成した。尚、比較例No.4において掛ける水の水量は、1分間あたりに掛けられる水を容器に採取することで、測定した。尚、比較例No.4においても、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7と同様に、厚みが10mmの未加硫スリーブ105を切断して未加硫ゴムベルト106を形成した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、図17の「周速比」の欄に記載した周速比にそれぞれ設定し、未加硫ゴムベルト106を形成した。図17に記載した周速比は、回転体22とともに回転する未加硫スリーブ105に対して回転刃36が回転しながら押し付けられる際における、未加硫スリーブ105の外周の周速度と、回転刃36の外周の周速度との比として、記載している。即ち、「未加硫スリーブ105の外周の周速度:回転刃36の外周の周速度」の比として記載している。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、図17の「環境温度」の欄に記載した通り、いずれも、温度が25℃に保たれた室内の環境下で、未加硫ゴムベルト106を形成した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、未加硫スリーブ105から切断された後の未加硫ゴムベルト106の表面における水の付着状態について観察を行った。観察結果については、図17の「切断後の未加硫ゴムベルトの表面に付着した水の状態」の欄に記載した通りとなった。即ち、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7については、未加硫ゴムベルト106の表面には、極わずかな水滴しか見られなかった。これに対し、比較例No.4については、未加硫ゴムベルト106の表面がずぶ濡れの状態となった。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、未加硫スリーブ105を切断した後の状態における回転刃36に対する未加硫ゴムの粘着状態についても観察を行った。観察結果については、図17の「切断後の回転刃の未加硫ゴムの粘着状態」の欄に記載した。上記の観察においては、未加硫スリーブ105を切断した後の回転刃36の表面を目視で観察し、回転刃36における未加硫ゴムの粘着状態を確認した。その結果、回転刃36の刃先の全周に亘って未加硫ゴムが粘着していると確認された場合は、「×」判定とした。そして、回転刃36の刃先の半周以上に未加硫ゴムが付着していると確認された場合は、「△」判定とした。一方、回転刃36の刃先の全周に亘って未加硫ゴムの粘着が見られなかった場合は、「○」判定とした。その結果、実施例No.1、No.5、No.6及び比較例No.4については、「○」判定となった。一方、実施例No.2、No.3及びNo.7については、「△」判定となった。尚、「△」判定以上、即ち、「△」判定及び「○」判定であれば、その未加硫ゴムベルト106を用いてラップドVベルト100を製造しても、品質上の問題は生じない水準であることも確認した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106の外観の観察も行った。観察結果については、図17の「未加硫ゴムベルトの外観」の欄に記載した。未加硫ゴムベルト106の外観の観察においては、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106に生じた変形の状況について目視で確認した。
尚、回転刃36による未加硫スリーブ105の切断時における切断抵抗の状況により、未加硫ゴムベルト106において、外周側未加硫ゴム層108の角部分が変形する。とくに、未加硫スリーブ105が回転刃36によって押し切られるようにして切断される状態では、外周側未加硫ゴム層108の角部分が潰れるように大きく変形する。図18は、未加硫スリーブ105から切断されて形成された未加硫ゴムベルト106の外観の判断基準について説明するための図である。図18では、未加硫ゴムベルト106の外観の判断基準を説明するための未加硫ゴムベルト106の断面形状が模式的に示されている。
図18(a)においては、外周側未加硫ゴム層108の角部分が潰れるように変形した未加硫ゴムベルト106の断面形状が示されている。押し切られるように切断されると、回転刃36による切りこみの初期段階で外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされるため、図18(a)に示すように、角部分が変形する。尚、図18(a)においては、外周側未加硫ゴム層108の厚み寸法を寸法Hで表しており、外周側未加硫ゴム層108において押しつぶされた部分の厚み寸法を寸法hで表している。一方、図18(b)においては、押し切られるように切断されることなく、外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされていない状態で切断された未加硫ゴムベルト106の断面形状が示されている。
未加硫ゴムベルト106の外観の観察においては、まず、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形の有無を確認した。そして、図18(b)に示すように、外周側未加硫ゴム層108が押しつぶされていない状態で切断されている場合は、「○」判定とした。一方、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形があり、上記の寸法hが上記の寸法Hの2分の1以下の場合、即ち、h≦1/2×Hの場合、「△」判定とした。更に、外周側未加硫ゴム層108の角部分の変形があって、上記の寸法hが上記の寸法Hの2分の1より大きい場合、即ち、h>1/2×Hの場合、「×」判定とした。その結果、実施例No.1、No.5、No.6及び比較例No.4については、「○」判定となった。一方、実施例No.2、No.3及びNo.7については、「△」判定となった。尚、「△」判定以上、即ち、「△」判定及び「○」判定であれば、その未加硫ゴムベルト106を用いてラップドVベルト100を製造しても、品質上の問題は生じない水準であることも確認した。
また、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7及び比較例No.4においては、未加硫スリーブ105から切断されて形成された複数の未加硫ゴムベルト106が回転体22から取り外される際における、未加硫ゴムベルト106同士の分割の容易性の確認も行った。確認結果については、図17の「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」の欄に記載した。
回転体22において隣り合って配置された未加硫ゴムベルト106同士を分割して回転体22から未加硫ゴムベルト106を取り外す分割作業の容易性は、未加硫ゴムベルト106における未加硫ゴムの状況により、異なる。未加硫ゴムの粘着性が高い状態の場合、上記の分割作業の容易性が低下することになる。未加硫ゴムベルト106の分割の容易性を確認した結果、問題無く容易に分割作業を行えると確認された場合は、「○」判定とした。そして、未加硫ゴムベルト106の未加硫ゴムの粘着性があり、分割作業において僅かに手間を要するが、作業能率に影響を与える程度ではないと判断された場合は、「△」判定とした。一方、未加硫ゴムベルト106の未加硫ゴムの粘着性があり、分割作業に手間を要し、作業能率に影響を与えると判断された場合は、「×」判定とした。その結果、実施例No.1、No.5、No.6及び比較例No.4については、「○」判定となった。一方、実施例No.2、No.3及びNo.7については、「△」判定となった。尚、「△」判定以上である実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7については、作業能率への影響が生じる程度ではないことが確認された。
上記のように、「冷却手段」が「浸漬」である実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7については、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの確認においても、全て「△」判定以上であり、問題無く、未加硫ゴムベルト106を形成できることが確認された。そして、図17に実施結果を示す通り、「冷却手段」が「浸漬」であって、「浸漬深さ(mm)」が切断対象の未加硫スリーブ105の厚み以上(本実施例では10mm以上)であれば、問題無く、未加硫ゴムベルト106を形成できることが確認された。
また、図17に実施結果を示す通り、「冷却手段」が「浸漬」である実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7については、未加硫ゴムベルト106の表面に極わずかな水滴しか付着しないことが確認された。よって、実施例No.1〜No.3、No.5〜No.7によると、余分な水分が未加硫ゴムベルト106に付着してしまうことを効率よく抑制することができる。
「冷却手段」が「水掛け」である比較例No.4については、未加硫ゴムベルト106の表面がずぶ濡れとなった。また、比較例No.4で形成した未加硫ゴムベルト106については、表面だけでなく、心線104とゴムとの間にまで水が染み込んだ状態となっていることが確認された。そして、比較例No.4の場合、心線104とゴムとの間に浸透した水分を十分に除去するためには、非常に多くの乾燥時間が必要となることが確認された。
また、図17に実施結果を示す通り、表面に低摩擦コーティングが施されていない回転刃36が用いられ、「冷却手段」が「浸漬」であって、「浸漬深さ(mm)」が30mmに設定された実施例No.1については、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの確認においても、全て「○」判定であり、問題ないことが確認された。尚、表面に低摩擦コーティングが施されていない回転刃36が用いられ、「冷却手段」が「浸漬」であって、「浸漬深さ(mm)」が20mm又は15mmに設定された実施例No.2、No.3については、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの確認においても、「△」判定であった。よって、実施例No.2、No.3の条件であっても、その条件で形成された未加硫ゴムベルト106を用いてラップドVベルト100を製造しても品質上の問題は生じず、作業能率への影響もとくに生じないことが確認された。
また、図17に実施結果を示す通り、回転刃本体の表面に低摩擦コーティングが施された回転刃36が用いられ、「冷却手段」が「浸漬」であって、「浸漬深さ(mm)」が20mm又は15mmに設定された実施例No.5、No.6については、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの確認においても、全て「○」判定であり、問題ないことが確認された。尚、回転刃本体の表面に低摩擦コーティングが施された回転刃36が用いられ、「冷却手段」が「浸漬」であって、「浸漬深さ(mm)」が10mmに設定された実施例No.7については、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの確認においても、「△」判定であった。よって、実施例No.7の条件であっても、その条件で形成された未加硫ゴムベルト106を用いてラップドVベルト100を製造しても品質上の問題は生じず、作業能率への影響もとくに生じないことが確認された。
また、上記の結果より、回転刃本体の表面に低摩擦コーティングのコーティング層が設けられた回転刃36を用いる場合、表面に低摩擦コーティングが施されていない回転刃36を用いる場合と比べると、「浸漬深さ(mm)」の条件が同じであっても、いずれの評価項目においても優位性があることが確認された。即ち、低摩擦コーティングの表面処理が施された回転刃36を用いる場合は、「浸漬深さ(mm)」の条件が同じ場合、「切断後回転刃の未加硫ゴム粘着状態」、「未加硫ゴムベルトの外観」、及び「未加硫ゴムベルトの分割の容易性」のいずれの評価項目においても、優位性があることが確認された。
更に、上記の結果より、低摩擦コーティングの表面処理が施された回転刃36を用いる場合は、低摩擦コーティングが施されていない回転刃36を用いる場合に比して、「浸漬深さ(mm)」が浅い条件でも、問題無く、未加硫ゴムベルト106を形成できることが確認された。
よって、摩擦抵抗の小さい低摩擦コーティングの表面処理を施した回転刃36を用いると、回転刃36と未加硫スリーブ105との間の発熱を更に抑制でき、表面に低摩擦コーティングが施されていない回転刃36を用いる場合に比して浸漬深さが浅い場合であっても、十分に冷却でき、問題無く、未加硫ゴムベルト106を形成できることが確認された。
[実施形態の作用効果]
未加硫ゴムベルト形成装置1によると、切断機構12によって未加硫スリーブ105を周方向に切断する際に、浸漬機構13の水槽37に貯留された水39に回転刃36を浸漬することで、回転刃36の表面に薄い水の膜を形成することができる。そして、回転刃36の表面に薄い水の膜を形成した状態で、回転機構11及び切断機構12を作動させ、未加硫スリーブ105を周方向に切断して未加硫ゴムベルト106を形成することができる。このため、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦熱が、回転刃36の表面に薄く膜状に形成された水によって効率よく抜熱されることになる。また、回転刃36の表面の薄い水の膜が、潤滑膜となり、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦が低減され、摩擦熱の低減も図られることになる。これらにより、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制することができる。
そして、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、未加硫スリーブ105の切断中に発煙して作業性の低下を招いてしまうことを抑制することができる。
更に、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制できるため、未加硫スリーブ105のゴムの粘性の上昇を抑制でき、回転刃36にゴムが粘り付くように付着して粘着し易くなることも抑制できる。そして、所望の寸法通りに未加硫スリーブ105を切断することが容易となり、一つの未加硫ゴムベルト106の周方向において、ベルト幅方向の寸法のばらつきが生じてしまうことを抑制することができる。このため、この未加硫ゴムベルト106を素材として製造されるラップドVベルト100におけるベルト断面の寸法のばらつきが生じてしまうことを抑制でき、ベルト寿命の低下を招いてしまうことも抑制することができる。
更に、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制し、回転刃36にゴムが粘り付くように付着して粘着し易くなることを抑制できるため、切断中に回転刃36の鋭さが鈍ってしまうことも抑制することができる。このため、未加硫スリーブ105が押し切られるように切断され、未加硫ゴムベルト106の角部分の形状が大きく変形してしまうことを抑制することができる。これにより、加硫されてラップドVベルト100が製造された際に心線104の並びが乱れてしまう現象が生じることも抑制でき、ベルト耐久性の低下を招いてしまうことを抑制することができる。
よって、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫ゴムベルト106の品質の低下を抑制し、更に、未加硫ゴムベルト106を素材として製造されるラップドVベルト100の品質の低下も抑制することができる。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、回転刃36の表面に薄い水の膜が形成された状態で、未加硫スリーブ105が周方向に切断され、未加硫ゴムベルト106が形成される。このため、未加硫ゴムベルト106に対して水分が付着及び浸透することを抑制することができる。これにより、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、切断中の回転刃36に水をかけながら未加硫スリーブ105を切断して未加硫ゴムベルト106を形成する手法とは異なり、乾燥工程がほぼ不要となる。よって、ラップドVベルト100の製造時に、多くの乾燥時間を要して作業能率の低下を招いてしまうことも抑制できる。
以上説明したように、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇を抑制でき、作業能率の低下を招いてしまうことを抑制できるとともに、未加硫ゴムベルト106の品質の低下を抑制し、更に、未加硫ゴムベルト106を素材として製造されるラップドVベルト100の品質の低下も抑制することができる。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬された状態で未加硫スリーブ105が切断されるため、未加硫スリーブ105の切断中において、常時、回転刃36の表面に薄い水の膜が形成された状態が維持される。このため、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦熱が、より効率よく抜熱されることになる。また、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦が、より効率よく低減されることになる。これらにより、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇をより効率よく抑制することができる。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、水槽37と回転刃36との相対位置を変更することができる。このため、水槽37に貯留された水39に回転刃36の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さDを所望の深さに容易に調整することができる。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中において、常時、浸漬深さDが、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚み以上となるように設定される。これにより、未加硫スリーブ105の切断中において、回転刃36の表面において回転刃36の外周から径方向内側にかけて帯状に形成される薄い水の膜の幅寸法を、未加硫スリーブ105の厚み以上の寸法に維持することができる。このため、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦熱が、より効率よく抜熱されることになる。また、未加硫スリーブ105の切断中に未加硫スリーブ105と回転刃36との間で発生する摩擦が、より効率よく低減されることになる。そして、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇をより効率よく抑制することができる。
また、未加硫ゴムベルト形成装置1及び前述の実施形態に係る未加硫ゴムベルト形成方法によると、未加硫スリーブ105の切断中において、常時、浸漬深さDが、回転体22の外周に配置された未加硫スリーブ105の厚みに対して、0mm以上20mm以下の寸法差の範囲で、同じに又は大きくなるように設定される。これにより、未加硫スリーブ105の切断中における摩擦熱による温度上昇をより効率よく抑制することができる状態を容易に維持することができるとともに、未加硫スリーブ105の切断後に形成される未加硫ゴムベルト106の表面への水の付着を効率よく抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
(1)前述の実施形態では、水槽に貯留された水に回転刃の下半側の一部が浸漬された状態で、切断機構によって未加硫スリーブが切断される形態を例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。水槽に貯留された水に回転刃の少なくとも一部が浸漬された後、回転刃の表面に薄い水の膜が形成された状態で、切断機構によって未加硫スリーブが切断される形態が、実施されてもよい。
(2)前述の実施形態では、浸漬機構が、水槽と回転刃との相対位置を変更する相対位置変更機構を含んでいる形態の未加硫ゴムベルト形成装置を例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。浸漬機構に相対位置変更機構が設けられていない形態の未加硫ゴムベルト形成装置が実施されてもよい。この場合、未加硫ゴムベルト形成装置は、水槽内の水の水位が変更されることで、水槽に貯留された水に回転刃の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さが調整されるように構成されていてもよい。この変形例によると、水槽に貯留された水に回転刃の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さを所望の深さに容易に調整することができる。
(3)前述の実施形態では、浸漬工程が、水槽と回転刃との相対位置を変更する相対位置変更工程を含んでいる形態の未加硫ゴムベルト形成方法を例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。浸漬工程に相対位置変更工程が含まれていない形態の未加硫ゴムベルト形成方法が実施されてもよい。この場合、未加硫ゴムベルト形成方法は、浸漬工程において、水槽内の水の水位が変更されることで、水槽に貯留された水に回転刃の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さが調整されるように構成されていてもよい。この変形例によると、水槽に貯留された水に回転刃の下半側の一部が浸漬される深さである浸漬深さを所望の深さに容易に調整することができる。
(4)前述の実施形態では、水槽が上下方向に沿って移動することで、水槽と回転刃との相対位置が変更される形態を例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。例えば、回転刃が上下方向に沿って移動することで、水槽と回転刃との相対位置が変更される形態が実施されてもよい。或いは、回転刃及び水槽の両方が上下方向に沿って移動することで、水槽と回転刃との相対位置が変更される形態が実施されてもよい。