以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1を示す斜視図である。図2は、ゴムスリーブの成形装置1を一部省略して示す平面図である。図3は、ゴムスリーブの成形装置1を一部省略して示す側面図である。図4は、ゴムスリーブの成形装置1における成形ドラム6の外周に成形されたゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102を示す図である。尚、図4では、ゴムスリーブの成形装置1における成形ドラム6以外の要素の図示を省略して模式的に示している。図5は、ゴムスリーブの成形装置1で成形されたゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102から製造される伝動ベルトの一例としての歯付ベルトW1を示す図である。尚、歯付ベルトW1は、輪状に設けられているが、図5では、歯付ベルトW1における周方向の一部について断面を含む斜視図として図示している。本実施形態のゴムスリーブの成形装置1は、伝動ベルトの素材として用いられるベルトスリーブ102を構成するゴムスリーブ101を成形する装置として構成され、伝動ベルトの製造の際に用いられる。
本発明の一実施形態に係るゴムスリーブの成形方法は、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100を螺旋状に複数周巻き付けることでゴムスリーブ101を成形する方法として構成される。そして、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1が作動することで、実施される。また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、伝動ベルトの素材として用いられるベルトスリーブ102を構成するゴムスリーブ101を成形する方法として構成され、伝動ベルトの製造の際に用いられる。そして、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、伝動ベルトの製造工程においては、ゴムスリーブの成形工程として構成される。尚、伝動ベルトの素材としてのベルトスリーブ102は、ゴム以外の素材としての心線等とゴムスリーブ101とを含んで構成される。成形ドラム6の外周にゴム以外の心線等が巻かれた状態で、心線等の上から成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100が巻き付けられてゴムスリーブ101が成形されることで、ベルトスリーブ102が成形される。以下、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1について説明し、次いで、ゴムスリーブの成形装置1が作動することで実施される本実施形態のゴムスリーブの成形方法について、伝動ベルトの製造方法の概略とともに、説明する。
[ゴムスリーブの成形装置]
図1乃至図3に示す本実施形態のゴムスリーブの成形装置1は、本実施形態のゴムスリーブの成形方法を実施する際に用いられる。ゴムスリーブの成形装置1が作動することで、本実施形態のゴムスリーブの成形方法が実施され、図4に示すように、未加硫のゴムスリーブ101が成形されて、そのゴムスリーブ101を構成要素として含むベルトスリーブ102が成形される。ベルトスリーブ102は、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100が螺旋状に複数周に亘って巻きつけられることで成形されたゴムスリーブ101を含んで構成され、伝動ベルトの素材として用いられる。尚、リボン状ゴム100は、ゴム材料が圧延加工によって帯状に成形されることで、形成される。また、ゴムスリーブ101を構成要素として含むベルトスリーブ102が素材として用いられて製造される伝動ベルトとしては、図5に示す歯付ベルトW1などの同期伝動ベルト、並びに、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトを例示することができる。尚、Vベルトには、摩擦伝動のための側面にゴム層が露出したローエッジ(Raw-Edge)タイプと、ベルトが外被布で覆われたラップド(Wrapped)タイプと、がある。
ゴムスリーブの成形装置1は、スリーブ保持機構2、巻き掛け機構3、トラバース機構4、制御装置5、等を備えて構成されている。
スリーブ保持機構2は、未加硫のゴムスリーブ101を含んで構成されたベルトスリーブ102を保持するための成形ドラム6と、この成形ドラム6を当該成形ドラム6の中心軸線L6回りに回転させるための成形ドラム回転機構7と、を有している。
成形ドラム6は、ベルトスリーブ102を構成するゴムスリーブ101の素材としてのリボン状ゴム100が巻き付けられることで外周にゴムスリーブ101及びそのゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102が成形される回転体として設けられ、円筒状の外周面を有している。成形ドラム6の外周面の周方向長さ(周長)は、未加硫のゴムスリーブ101及びベルトスリーブ102の内周面の周方向長さ(周長)と略同じに設定されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1においては、成形ドラム6は、横向きに配置されており、当該成形ドラム6の中心軸線L6が水平方向を向いている。なお、成形ドラム6の向きは、縦向きでもよい。成形ドラム6は、成形ドラム回転機構7によって、当該成形ドラム6の中心軸線L6回りを回転駆動可能に支持されている。尚、図1及び後述の図6においては、成形ドラム回転機構7によって回転駆動される成形ドラム6の回転方向R6を矢印R6で示している。ゴムスリーブの成形装置1においては、後述するように、成形ドラム6の回転によって、リボン状ゴム100が成形ドラム6に引き寄せられて成形ドラム6に巻き掛けられる。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、例えば、成形ドラム6の外周の直径が約290mmに設定されている。
成形ドラム回転機構7は、成形ドラム回転用モータ8と、支軸9と、を有している。
成形ドラム回転用モータ8は、成形ドラム6に中心軸線L6回りの回転力を付与するための駆動源として設けられている。成形ドラム回転用モータ8は、たとえば、電動モータである。成形ドラム回転用モータ8の出力軸は、支軸9に動力伝達可能に連結されている。支軸9は、成形ドラム6と一体回転可能に連結されている。
支軸9は、成形ドラム6を支持している。これにより、成形ドラム回転用モータ8の駆動力は、支軸9を介して成形ドラム6に伝達される。支軸9は、軸受を介して支柱(図示せず)に支持されている。上記の構成を有するスリーブ保持機構2の成形ドラム6に隣接した位置に、巻き掛け機構3が配置されている。
また、成形ドラム回転機構7は、制御装置5からの制御指令に基づいて、動作が制御されるように構成されている。具体的には、制御装置5からの制御指令に基づいて、成形ドラム回転用モータ8の回転動作が制御される。これにより、成形ドラム6の回転速度が制御される。図6は、ゴムスリーブの成形装置1における制御装置5について説明するための図であって、スリーブ保持機構2、巻き掛け機構3、及びトラバース機構4の一部とともに模式的に示す図である。
図6を参照して、成形ドラム回転機構7には、成形ドラム6の回転位置及び回転数の検知を行うドラム回転位置検知器47が設けられている。ドラム回転位置検知器47は、例えば、成形ドラム回転用モータ8に取り付けられたエンコーダとして設けられている。そして、ドラム回転位置検知器47は、制御装置5に接続されており、制御装置5に対して、成形ドラム6の回転位置の検知信号を送信する。制御装置5は、ドラム回転位置検知器47からの検知信号に基づいて成形ドラム回転用モータ8の回転をフィードバック制御することで、成形ドラム6の回転速度を所定の速度に制御する。
巻き掛け機構3は、所定の厚みを有する未加硫のゴムスリーブ101及びそのゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102を成形ドラム6の外周に形成するために、未加硫のゴムスリーブ101の幅よりも短い幅を有するリボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き掛けるための部分として構成されている。
巻き掛け機構3は、ベース11と、リボン位置検知器70と、送り出し機構13と、渡し機構14と、フィルム剥離機構15と、を有している。
ベース11は、巻付リボン位置検知器12、送り出し機構13、渡し機構14、フィルム剥離機構15、および、供給リボン位置検知器16を、中心軸線L6(軸方向X1)と平行な所定の方向に一体的に移動可能に支持する部材として設けられている。このベース11(巻き掛け機構3)は、トラバース機構4によって、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向に駆動され、その方向に移動する。
ベース11は、たとえば、矩形の板状部材と細長い板状部材とを重ね合わせて形成されている。ベース11は、鉛直方向における中心軸線L6の位置よりも下方に配置されている。なお、ベース11の高さ位置は、鉛直方向における中心軸線L6の位置よりも高くてもよいし、低くてもよいし、同じでもよい。このベース11上に、送り出し機構13が設けられている。
リボン位置検知器70は、巻付リボン位置検知器12と、供給リボン位置検知器16と、を含んでいる。
巻付リボン位置検知器12は、ベース11に固定されている支持部材17によって支持されている。そして、巻付リボン位置検知器12は、成形ドラム6の外周上の所定位置でのリボン状ゴム100の軸方向X1と平行な方向におけるずれ量の検出のためのリボン状ゴム100の位置を検知するように構成されている。また、巻付リボン位置検知器12は、制御装置5に接続されており、検知したリボン状ゴム100の位置を制御装置5に送信するように構成されている。尚、本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1においては、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12が、レーザースキャナとして構成されている。より具体的には、巻付リボン位置検知器12は、成形ドラム6の外周に巻き付けられているリボン状ゴム100に向かって所定の範囲に亘る面状の領域にレーザーを発射する。そして、巻付リボン位置検知器12は、成形ドラム6の外周の表面及びリボン状ゴム100の表面で反射したレーザーの反射波を受信し、反射波が返ってくるまでの時間で距離を算出することで、成形ドラム6の外周の部分とリボン状ゴム100の部分とにおける座標を取得して、リボン状ゴム100の位置を検知する。
供給リボン位置検知器16は、ベース11に固定されている支持部材24によって支持されている。そして、供給リボン位置検知器16は、後述する供給リボン側検出位置Z1における第1テンション機構19のテンションロール22上でのリボン状ゴム100の成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるずれ量の検出のためのリボン状ゴム100の位置を検知するように構成されている。供給リボン位置検知器16は、リボン状ゴム100がテンションロール22に巻き掛けられてリボン状ゴム100に張力が付与された状態で、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の位置を検知する。また、供給リボン位置検知器16は、制御装置5に接続されており、検知したリボン状ゴム100の位置を制御装置5に送信するように構成されている。尚、本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1においては、リボン位置検知器70に含まれる供給リボン位置検知器16が、レーザースキャナとして構成されている。より具体的には、供給リボン位置検知器16は、テンションロール22上を移動するリボン状ゴム100に向かって所定の範囲に亘る面状の領域にレーザーを発射する。そして、供給リボン位置検知器16は、テンションロール22の表面及びリボン状ゴム100の表面で反射したレーザーの反射波を受信し、反射波が返ってくるまでの時間で距離を算出することで、テンションロール22の部分とリボン状ゴム100の部分とにおける座標を取得して、リボン状ゴム100の位置を検知する。
送り出し機構13は、リボン状ゴム100を成形ドラム6に供給するために設けられている。送り出し機構13は、リボン状ゴム100を保持しており、このリボン状ゴム100を後述する第1テンション機構19及び渡し機構14を経由して成形ドラム6へ供給する。成形ドラム6へ供給されたリボン状ゴム100は、後述する巻付原位置Oにおいて、成形ドラム6と接触し、成形ドラム6の回転とともに成形ドラム6の外周に巻き付けられる。送り出し機構13は、ボビン18と、第1テンション機構19と、を有している。
ボビン18は、円筒状の外周面を有する部材であり、リボン状ゴム100が巻き重ねられた状態で当該リボン状ゴム100を保持している。また、リボン状ゴム100は、当該リボン状ゴム100の一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態で巻き掛け機構3のボビン18に保持されている。すなわち、リボン状ゴム100とフィルム107とが交互に積層された状態で、リボン状ゴム100がボビン18に巻かれている。
このボビン18は、支軸20および軸受(図示せず)を介して支持部材21に回転可能に支持されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、ボビン18の中心軸線は、成形ドラム6の中心軸線L6と平行に配置されている。また、支持部材21の上端部に支軸20およびボビン18が配置されている。また、支持部材21の下端部は、ベース11に固定されている。
上記の構成により、ボビン18は、リボン状ゴム100が送り出されるときに、支軸20回りを回転する。ボビン18から繰り出されたリボン状ゴム100は、第1テンション機構19に送られる。
第1テンション機構19は、ボビン18から送り出されたリボン状ゴム100に所定の張力(テンション)を付与するために設けられている。第1テンション機構19は、テンションロール22と、支軸23と、支持部材24と、を有している。第1テンション機構19は、成形ドラム6と送り出し機構13との間に配置されている。
テンションロール22は、円筒状に形成されており、ボビン18から送り出されたリボン状ゴム100の一側面(下面)をフィルム107を介して受けるように構成されている。テンションロール22は、リボン状ゴム100の一側面をこの一側面の法線方向に加圧するように配置されており、これにより、リボン状ゴム100は、テンションロール22上において弛まない状態で走行できる。
テンションロール22は、支軸23および軸受(図示せず)を介して支持部材24に回転可能に支持されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、テンションロール22の中心軸線が、成形ドラム6の中心軸線L6と平行に配置されている。また、支持部材24の上側に支軸23およびテンションロール22が配置されている。また、支持部材24の下端部は、ベース11に固定されている。テンションロール22の更に上方には、供給リボン位置検知器16が配置されている。そして、テンションロール22は、後述する供給リボン側検出位置Z1においてリボン状ゴムが巻き掛けられる。なお、第1テンション機構19は、上述の構成に限らず、リボン状ゴム100に張力を付与可能な構成であればよい。テンションロール22を通ったリボン状ゴム100は、渡し機構14へ送られる。
渡し機構14は、成形ドラム6に向けて送られるリボン状ゴム100を成形ドラム6に渡すために設けられている。渡し機構14は、第1テンション機構19と成形ドラム6との間に配置されている。
渡し機構14は、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の供給を案内する渡しロール25およびガイドユニット26と、これら渡しロール25およびガイドユニット26を支持する支持機構27と、を有している。
渡しロール25は、成形ドラム6に隣接配置されており、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100を沿わせるように構成されている。渡しロール25は、円筒状に形成されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、渡しロール25の中心軸線は、成形ドラム6の中心軸線L6と平行に配置されている。すなわち、渡しロール25は、成形ドラム6と平行に配置されている。また、渡しロール25の中心軸線の高さ位置は、成形ドラム6の中心軸線L6の高さ位置と略同じに配置されている。
渡しロール25の外径は、成形ドラム6の外径よりも小さく設定されている。平面視において、渡しロール25、テンション用のテンションロール22、および、ボビン18は、リボン状ゴム100がボビン18から成形ドラム6に送られるときの移動方向に沿って一直線に並んでいる。そして、巻き掛け機構3のボビン18からリボン状ゴムがテンションロール22及び渡しロール25を経由して走行する経路は、リボン供給経路として構成される。
ガイドユニット26は、渡しロール25へ送られるリボン状ゴム100を案内するために渡しロール25に隣接して配置されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、成形ドラム6の中心軸線L6と渡しロール25の中心軸線とが向かい合う対向方向Y1と直交する直交方向Y2において、渡しロール25から離隔した位置に、ガイドユニット26が配置されている。また、ガイドユニット26は、渡しロール25の上方に位置している。
支持機構27は、ガイドユニット26および渡しロール25を、成形ドラム6に近づく方向および成形ドラム6から離隔する方向に変位可能に支持するように構成されている。支持機構27は、他の部材を介してベース11に固定されている。即ち、渡しロール25及びガイドユニット26は、支持機構27及び他の部材を介してベース11に固定されている。
フィルム剥離機構15は、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻かれる前にリボン状ゴム100からフィルム107を剥離するために設けられている。フィルム剥離機構15が設けられていることで、リボン状ゴム100は、リボン状ゴム100の一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態から、成形ドラム6に巻かれる際にフィルム107を剥離されるようにして成形ドラム6に巻かれる。
フィルム剥離機構15は、送り出し機構13と渡しロール25との間に配置されている。換言すれば、対向方向Y1に沿って、送り出し機構13と、フィルム剥離機構15と、渡しロール25と、が並んでいる。
フィルム剥離機構15は、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107を引き寄せるための引き寄せ部材30と、フィルム107に引張力を付与するための第2テンション機構31と、を有している。
引き寄せ部材30は、円筒状の外周面を有する部材であり、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107が巻き重ねられた状態で当該フィルム107を保持するように構成されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、引き寄せ部材30の中心軸線の高さ位置は、渡しロール25の中心軸線の高さ位置と略同じに設定されている。また、引き寄せ部材30は、送り出し機構13のテンションロール22の真下に配置されており、これにより、巻き掛け機構3がコンパクトに構成されている。引き寄せ部材30には、複数(本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、4つ)の肉抜き孔32が形成されている。これにより、引き寄せ部材30が軽量化されており、引き寄せ部材30の慣性モーメントの低減を通じてリボン状ゴム100の走行速度とフィルム107の走行速度との間に差が生じることを抑制している。
引き寄せ部材30は、支軸33および軸受(図示せず)を介して支持部材24に回転可能に支持されている。引き寄せ部材30は、支軸33に対して相対回転可能に嵌合されている。本実施形態に係るゴムスリーブ成形装置1では、引き寄せ部材30の中心軸線は、成形ドラム6の中心軸線L6と平行に配置されている。また、支持部材24の上下方向中間部に支軸33および引き寄せ部材30が配置されている。また、支持部材24の下端部は、ベース11に固定されている。
上記の構成により、引き寄せ部材30は、フィルム107を巻き取るときに、支軸33回りを回転する。渡しロール25を通過したフィルム107は、第2テンション機構31を介して引き寄せ部材30に巻かれる。
第2テンション機構31は、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107に所定の張力(テンション)を付与するために設けられている。第2テンション機構31は、ロール34と、支軸35と、を有している。第2テンション機構31は、他の部材を介してベース11に固定されている。
ロール34は、渡しロール25と引き寄せ部材30との間に配置されている。ロール34は、円筒状に形成されており、渡しロール25から送り出されたフィルム107の一側面(下面)を受けるように構成されている。ロール34は、フィルム107の一側面をこの一側面の法線方向に加圧するように配置されており、これにより、フィルム107に引張力が付与される。
ロール34は、支軸35および軸受(図示せず)を介して、回転可能に支持されている。本実施形態では、ロール34の中心軸線は、成形ドラム6の中心軸線L6と平行に配置されている。なお、第2テンション機構31は、上述の構成に限らず、フィルム107に引張力を付与可能な構成であればよい。ロール34を通ったフィルム107は、引き寄せ部材30の外周面に巻かれる。
また、巻き掛け機構3は、ボビン18と引き寄せ部材30とを互いに連動回転可能に連結する動力伝達機構40を有している。動力伝達機構40は、ボビン18の回転に伴って引き寄せ部材30を回転させるように構成されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、動力伝達機構40は、プーリ式の動力伝達機構である。動力伝達機構40は、軸方向X1と平行な方向において、支持部材21,24を介して、ボビン18および引き寄せ部材30と向かい合って配置されている。
動力伝達機構40は、ボビン18の回転力を受ける駆動プーリ41と、引き寄せ部材30に回転力を伝達する従動プーリ42と、これらのプーリ41,42間に巻き掛けられた無端ベルト43と、を有している。
駆動プーリ41は、ボビン18に連結された支軸20に一体回転可能に連結されており、ボビン18と一体的に回転する。従動プーリ42は、引き寄せ部材30を支持する支軸33に一体回転可能に連結されており、すべり誘起部材44を介して引き寄せ部材30に連動回転可能に連結されている。本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1は、駆動プーリ41のピッチ円直径は、従動プーリ42のピッチ円直径よりも大きく設定されており、ボビン18の回転速度を増幅させて引き寄せ部材30に伝達するように構成されている。
なお、本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、各プーリ41,42のピッチ円直径が一定である形態を例に説明するけれども、この通りでなくてもよい。たとえば、各プーリ41,42を、ピッチ円直径を変更可能な可変径プーリで構成し、ボビン18におけるリボン状ゴム100の送り出し速度と引き寄せ部材30におけるフィルム107の巻き取り速度とを同期させるように上記のピッチ円直径を変化させてもよい。また、動力伝達機構40は、ボビン18と引き寄せ部材30とを動力伝達可能に連結できればよく、歯車機構などの他の機構によって形成されてもよい。
すべり誘起部材44は、引き寄せ部材30とボビン18との間に作用するトルクが所定値以上のときに引き寄せ部材30とボビン18との間にすべり動作を生じさせるために設けられている。換言すれば、すべり誘起部材44は、引き寄せ部材30とボビン18との間に回転速度のずれが生じたときに、この回転速度のずれを吸収するために、引き寄せ部材30とボビン18との相対回転を許容するために設けられている。
すべり誘起部材44は、本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1では、コイルばねを用いて形成されており、支軸33に嵌められている。すべり誘起部材44の一端部は、支軸33に固定されており、この支軸33と一体的に回転する。一方、すべり誘起部材44の他端部は、引き寄せ部材30に固定されており、この引き寄せ部材30と一体的に回転する。
上記の構成により、引き寄せ部材30とボビン18との間に作用するトルクが所定値未満のときには、従動プーリ42と引き寄せ部材30とは支軸33を介して一体的に回転することで、引き寄せ部材30とボビン18との間にすべり動作は生じない。一方、引き寄せ部材30とボビン18との間に作用するトルクが所定値以上のときには、従動プーリ42と引き寄せ部材30との間ですべり誘起部材44がねじれる。これにより、従動プーリ42と引き寄せ部材30とは相対回転し、その結果、引き寄せ部材30とボビン18との間ですべり動作が生じる。
ボビン18において、リボン状ゴム100が送り出される位置における、ボビン18の中心軸線からのリボン状ゴム100の距離(ピッチ円半径)は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って小さくなる。すなわち、動力伝達機構40の駆動プーリ41の角速度は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って小さくなる。一方、引き寄せ部材30において、フィルム107が巻かれる位置における、引き寄せ部材30の中心軸線からのフィルム107の距離(ピッチ円半径)は、フィルム107の巻き取りの進展に伴って大きくなる。すなわち、動力伝達機構40の従動プーリ42の角速度は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って大きくなる。
このように、駆動プーリ41の回転速度と、従動プーリ42の回転速度との関係が変化する構成であるけれども、すべり誘起部材44が設けられていることにより、各プーリ41,42の回転速度の関係の変化にかかわらず、引き寄せ部材30によるフィルム107のスムーズな引き寄せ動作を実現できる。
前述したように、上記の構成を有する巻付リボン位置検知器12、送り出し機構13、渡し機構14、フィルム剥離機構15、動力伝達機構40、および、供給リボン位置検知器16は、ベース11によって、軸方向X1に沿って一体的に移動可能に支持されているとともに、トラバース機構4によって、軸方向X1に沿って移動される。
図1及び図6を参照して、トラバース機構4は、巻き掛け機構3を成形ドラム6の回転と同期して成形ドラム6の軸方向X1と平行に移動させるように駆動する部分として構成されている。即ち、トラバース機構4は、巻き掛け機構3を成形ドラム6の軸方向X1に沿って変位させるための機構であり、ベース11を軸方向X1に沿って変位させる直動機構として設けられている。トラバース機構4は、たとえば、トラバース用の電動モータ29と、この電動モータ29の出力回転を直線変位に変換するボールねじなどの運動変換機構と、を有している。
トラバース機構4の電動モータ29は、たとえば、サーボモータまたはステッピングモータなどを用いて構成されており、電動モータ29の出力軸の回転位置を正確に制御可能である。上記の運動変換機構は、トラバース用の電動モータ29の出力軸の回転運動を、軸方向X1に沿う直線運動に変換してベース11に伝達する。これにより、ベース11が駆動される。
また、トラバース機構4は、制御装置5からの制御指令に基づいて、動作が制御されるように構成されている。具体的には、制御装置5からの制御指令に基づいて、比率設定器48を介して、電動モータ29の回転動作が制御される。これにより、トラバース機構4の駆動動作が制御され、ベース11の移動速度、即ち、巻き掛け機構3の移動速度が制御される。
比率設定器48は、例えば、プログラマブルコントローラ或いは電気回路として設けられ、制御装置5に接続されるとともに、成形ドラム回転機構7のドラム回転位置検知器47と電動モータ29とに接続されている。そして、比率設定器48は、制御装置5からの制御指令に基づいて、成形ドラム6の回転速度に対する成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向への巻き掛け機構3の移動速度の速度比を設定するように構成されている。具体的には、比率設定器48は、ドラム回転位置検知器47から受信した成形ドラム6の回転速度に関する検知信号と、制御装置5から受信した速度比に関する制御信号とに基づいて、電動モータ29の回転速度指令を作成し、電動モータ29に送信する。電動モータ29は、比率設定器48から受信した回転速度指令に基づいて回転する。これにより、巻き掛け機構3の移動速度が、成形ドラム6の回転速度に対して、制御装置5及び比率設定器48によって設定された速度比の移動速度に設定され、その移動速度で巻き掛け機構3が成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向へ移動する。
また、トラバース機構4には、トラバース用の電動モータ29の回転位置及び回転数の検知を行うことで、巻き掛け機構3の移動位置の検知を行う移動位置検知器49が設けられている。移動位置検知器49は、例えば、電動モータ29に取り付けられたエンコーダとして設けられている。尚、移動位置検知器49によって検知される電動モータ29の回転位置及び回転数は、巻き掛け機構3の移動位置に対応している。移動位置検知器49は、制御装置5に接続されており、制御装置5に対して、電動モータ29の回転位置及び回転数の検知信号を送信する。制御装置5は、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比を設定し、移動位置検知器49からの検知信号に基づいて、設定した速度比に基づく移動速度で巻き掛け機構3が移動するように、比率設定器48を介して電動モータ29の回転をフィードバック制御する。これにより、成形ドラム6の回転と設定した速度比で同期して成形ドラム6の軸方向X1と平行に巻き掛け機構3を駆動して移動させるトラバース機構4の駆動動作が制御される。トラバース機構4の駆動動作が制御されることで、ベース11が、即ち、巻き掛け機構3が、成形ドラム6の回転速度に対して設定された速度比の移動速度で移動する。
また、上記の構成により、トラバース機構4は、リボン状ゴム100が送り出し機構13から送り出されることに連動して、成形ドラム6の回転速度に対して設定した速度比で同期した移動速度で、ベース11を軸方向X1に沿って移動させる。これにより、ベース11に支持されたボビン18から渡しロール25を通って成形ドラム6に供給されるリボン状ゴム100が、軸方向X1と平行な方向のうちの一方の方向に沿って変位する。そして、回転する成形ドラム6に対して巻き掛けられるリボン状ゴム100が、軸方向X1に沿って変位することで、成形ドラム6に対して、軸方向X1に沿って巻き進むようにして、巻き付けられることになる。
制御装置5は、各設定情報が設定されるとともに、その設定された各種設定情報に基づいて、成形ドラム回転機構7及びトラバース機構4の動作を制御するように構成されている。制御装置5は、CPU等のハードウェア・プロセッサ、メモリ、各種設定情報が入力される際にユーザによって入力操作が行われる入力装置、インターフェース回路、等を備えて構成されている。また、制御装置5は、図6を参照して、メモリで構成される設定情報記憶部46と、メモリに格納されたプログラムがハードウェア・プロセッサによって読み出されて実行されることで動作を制御する制御部45と、を備えて構成されている。
設定情報記憶部46は、各種設定情報として、ゴムスリーブ101及びそのゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102の種別に関する情報、成形ドラム6の基準となる回転速度に関する情報、成形ドラム6の1回転あたりの巻き掛け機構3の移動ピッチであって基準となる移動ピッチに関する情報、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比であって基準となる速度比に関する情報、巻き掛け機構3の移動速度であって基準となる移動速度に関する情報、巻き掛け機構3から成形ドラム6へ供給されて成形ドラム6に巻き付けられるリボン状ゴム100の基準となる巻付け長さに関する情報、巻付リボン位置検知器12にて検知されるリボン状ゴム100の基準となる位置に関する情報、供給リボン位置検知器16にて検知されるリボン状ゴム100の基準となる位置に関する情報、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比を変更する頻度に関する情報、等を記憶するように構成されている。
制御部45は、設定情報記憶部46に記憶された情報と、ドラム回転位置検知器47及び移動位置検知器49からの検知信号とに基づいて、成形ドラム回転機構7及びトラバース機構4の動作を制御するように構成されている。また、制御部45は、設定情報記憶部46に記憶された情報と、ドラム回転位置検知器47及び移動位置検知器49からの検知信号と、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16からの検知信号とに基づいて、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれを調整する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部45は、設定情報記憶部46に記憶された情報と、各検知器(47、49、12、16)からの検知信号とに基づいて、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比を変更するように、トラバース機構4の駆動動作を制御し、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれを調整する制御を行うように構成されている。
図7は、成形ドラム6の一部を拡大して示す図であって、成形ドラム6にリボン状ゴムが巻き付けられている状態を示す図である。リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16からの検知信号に基づく制御部45によって、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれを調整する制御が行われる。そして、この制御のため、図1、図6、及び図7に示すように、ゴムスリーブの成形装置1においては、供給リボン位置検知器16がテンションロール22の上方に配置され、巻付リボン位置検知器12が成形ドラム6の上方に配置されている。また、制御部45による上記の制御のため、ゴムスリーブの成形装置1においては、図6及び図7に示すように、巻付原位置O、供給リボン側検出位置Z1、巻付リボン側検出位置Z2、が設定されている。巻付原位置Oの設定に関する情報、供給リボン側検出位置Z1の設定に関する情報、巻付リボン側検出位置Z2の設定に関する情報は、設定情報記憶部46に記憶されており、制御部45によって読み出され、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれを調整する制御において用いられる。
巻付原位置Oは、回転する成形ドラム6の外周に対してリボン状ゴム100が巻き付き始める成形ドラム6上の位置として定義されて設定されている。より具体的には、図7を参照して、巻付原位置Oは、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向において、リボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2と反対側の側面部分の位置として設定される。
供給リボン側検出位置Z1は、巻付原位置Oからリボン供給経路28を上流側に遡ったリボン供給経路28上の所定の位置として定義されて設定されている。より具体的には、本実施形態に係るゴムスリーブの成形装置1においては、供給リボン側検出位置Z1は、リボン供給経路28上において、供給リボン位置検知器16が上方に配置されたテンションロール22においてリボン状ゴム100が接触する位置として設定されている。供給リボン側検出位置Z1は、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き掛けられている間、リボン供給経路28の上流側において成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向に移動する。供給リボン側検出位置Z1において、供給リボン位置検知器16によって、テンションロール22上でのリボン状ゴム100の成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるずれ量の検出のためのリボン状ゴム100の位置が検知される。尚、リボン供給経路28は、図1及び図6を参照して、巻き掛け機構3から成形ドラム6へとリボン状ゴム100が供給される経路である。
巻付リボン側検出位置Z2は、巻付原位置Oから、巻付原位置Oに成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向で隣接するリボン状ゴム100の成形ドラム6への巻き付け方向に沿って且つ成形ドラム6の回転方向R6と反対方向に沿って遡った成形ドラム6上の所定の位置として定義されて設定されている。そして、巻付リボン側検出位置Z2は、成形ドラム6上における巻付リボン位置検知器12が上方に配置された位置であって、成形ドラム6においてリボン状ゴム100が巻き付けられている位置とこれから供給されるリボン状ゴム100が巻き付けられる位置との境界の位置として設定されている。巻付リボン側検出位置Z2は、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き掛けられている間、成形ドラム6上を成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向に移動する。巻付リボン側検出位置Z2において、巻付リボン位置検知器12によって、成形ドラム6の外周上の所定位置でのリボン状ゴム100の成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるずれ量の検出のためのリボン状ゴム100の位置が検知される。
また、図6を参照して、ゴムスリーブの成形装置1においては、巻付原位置Oから供給リボン側検出位置Z1までの距離A1と、巻付原位置Oから巻付リボン側検出位置Z2までの距離A2とは、同じ距離に設定されている。例えば、ゴムスリーブの成形装置1においては、距離A1及び距離A2は、約230mmに設定されている。距離A1及び距離A2が同じ距離に設定されているため、巻付リボン側検出位置Z2は、現在供給リボン側検出位置Z1にあるリボン状ゴム100が、所定時間経過後に成形ドラム6に巻き付けられる予想の位置に対応する位置となる。
また、制御部5は、図6を参照して、ずれ量算出部50と、調整移動ピッチ算出部51と、駆動制御部52と、を有している。
ずれ量算出部50は、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16の検知結果(検知信号)に基づいて、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれ量を算出するように構成されている。即ち、巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16によってリボン状ゴム100の位置が検知され、その検知結果に基づいて、ずれ量算出部50によって、上記のずれ量が算出される。よって、上記のずれ量は、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16によるリボン状ゴム100の位置の検知と、ずれ量算出部50による算出とが行われることで、検出される。
ずれ量算出部50による、成形ドラム6に対するリボン状ゴム100の巻き付けに際して発生するずれ量の算出においては、基準移動ピッチPと基準リボンゴム100Sとが定義される。
基準移動ピッチPは、所定幅のリボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き付ける際の成形ドラム6の1回転あたりの巻き掛け機構3の移動ピッチであって所定幅に対応する移動ピッチとして定義される。尚、リボン状ゴム100の所定幅は、リボン状ゴム100が全長に亘って同じ一定の幅寸法であり、幅寸法の変動が無いと仮定した場合の幅寸法である。
基準リボンゴム100Sは、所定幅のリボン状ゴム100をリボン供給経路28に沿って蛇行無く供給するとともに基準移動ピッチPに基づいて巻き掛け機構3を移動させて成形ドラム6にリボン状ゴム100を巻き掛ける場合のリボン状ゴム100(仮想のリボン状ゴム100)として定義される。尚、図7においては、成形ドラム6への巻付開始から途中まで、所定幅のリボン状ゴム100が蛇行無く供給経路28から供給され、基準移動ピッチPで成形ドラム100に巻き付けられた状態を例示している。そして、図7では、成形ドラム6への巻付開始後の途中から、リボン状ゴム100の幅寸法の変動があり、図7中において二点鎖線で示す基準リボンゴム100Sに対して、幅寸法が小さくなった状態を例示している。更に、図7では、テンションロール22上を通過して成形ドラム7へと供給される途中の実際のリボン状ゴム100が、蛇行が無いと仮定する場合の仮想の基準リボンゴム100Sの位置に対して、巻き掛け機構3の移動方向X2に蛇行している状態を例示している。
ずれ量算出部50は、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16の検知結果に基づいて、基準リボンゴム100Sの位置に対する、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量を算出する。具体的には、ずれ量算出部50は、基準リボンゴム100Sの位置に対する、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量として、巻付リボン側ずれ量aと、供給リボン側ずれ量bとを算出する。
巻付リボン側ずれ量aは、巻付リボン側検出位置Z2における基準リボンゴム100Sの位置に対するリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量として算出される。巻付リボン側ずれ量aは、巻付リボン側検出位置Z2において巻付リボン位置検知器12によって検知されたリボン状ゴム100の位置の検知結果に基づいて、巻付リボン側検出位置Z2における基準リボンゴム100Sの位置に対するリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量として算出される。更に具体的には、巻付リボン位置検知器12の検知結果に基づいて算出される巻付リボン側ずれ量aは、巻付リボン側検出位置Z2において、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置と、成形ドラム6に巻き付けられている実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置と、のずれ量として算出される。尚、図7では、実際のリボン状ゴム100の幅寸法が小さくなるように変動したことで、巻付リボン側ずれ量aが生じている状態を例示している。
供給リボン側ずれ量bは、供給リボン側検出位置Z1における基準リボンゴム100Sの位置に対するリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量として算出される。供給リボン側ずれ量bは、供給リボン側検出位置Z1において供給リボン位置検知器16によって検知されたリボン状ゴム100の位置の検知結果に基づいて、供給リボン側検出位置Z1における基準リボンゴム100Sの位置に対するリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量として算出される。更に具体的には、供給リボン位置検知器16の検知結果に基づいて算出される供給リボン側ずれ量bは、供給リボン側検出位置Z1において、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構3の移動方向X2側の反対側の側面部分の位置と、成形ドラム6に巻き付けられている実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置と、のずれ量として算出される。尚、図7では、テンションロール22上を通過して成形ドラム7へと供給される途中の実際のリボン状ゴム100が巻き掛け機構3の移動方向X2側に蛇行したことで、供給リボン側ずれ量bが生じている状態を例示している。
調整移動ピッチ算出部51は、基準移動ピッチPをずれ量算出部50で算出されたずれ量に基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1を算出する。具体的には、基準移動ピッチPを巻付リボン側ずれ量aと供給リボン側ずれ量bとに基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1を算出する。
駆動制御部52は、調整移動ピッチ算出部51で算出された調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度と巻き掛け機構3の移動速度との速度比を変更するように、トラバース機構4の駆動動作を制御する。駆動制御部52は、所定の制御周期毎に、調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比を変更し、トラバース機構4の駆動動作を制御する。即ち、上記の所定の制御周期が、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比を変更する頻度となる。
そして、駆動制御部52は、所定の制御周期毎に、調整移動ピッチP1に基づいて上記の速度比を算出して設定し、設定した速度比の制御指令を比率設定器48に送信する。比率設定器48は、ドラム回転位置検知器47から受信した成形ドラム6の回転速度の検知結果と、駆動制御部52から受信した速度比の制御指令とに基づいて、巻き掛け機構3の移動速度に対応するトラバース機構4の電動モータ29の回転速度を算出し、その回転速度の制御指令を電動モータ29に送信する。比率設定器48からの制御指令に基づいて電動モータ29が回転することで、トラバース機構4の駆動動作が制御され、巻き掛け機構3が、駆動制御部52で設定された速度比に基づく移動速度で移動する。これらの制御動作が、上記の所定の制御周期毎に行われる。このため、所定の制御周期毎に、刻々と、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比が調整移動ピッチP1に基づいて変更される。そして、所定の制御周期毎に、刻々と、トラバース機構4の駆動動作が制御され、巻き掛け機構3の移動速度が調整移動ピッチP1に応じて変化するように制御される。
[ゴムスリーブの成形方法]
次に、本実施形態に係るゴムスリーブの成形方法について説明する。本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、伝動ベルトの素材として用いられるベルトスリーブ102を構成するゴムスリーブ101を成形する方法として構成され、伝動ベルトの製造工程におけるゴムスリーブの成形工程として構成される。以下、まず、伝動ベルトの製造方法の概略について説明し、伝動ベルトの製造工程におけるゴムスリーブの成形工程として実施される本実施形態のゴムスリーブの成形方法について説明する。尚、ゴムスリーブ101を構成要素として含むベルトスリーブ102を素材として製造される伝動ベルトとしては、図5に示す歯付ベルトW1を例にとって説明する。
歯付ベルトW1の製造の際には、まず、上述したゴムスリーブの成形装置1において、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100が螺旋状に複数周巻きつけられて未加硫のゴムスリーブ101が成形され、これにより、ゴムスリーブ101を構成要素とする未加硫のベルトスリーブ102が成形される。そして、未加硫のベルトスリーブ102の加硫及びカットが行われ、図5に示すような、歯付ベルトW1が製造される。歯付ベルトW1は、心線91と、心線91を埋設したベルト背部92と、ベルト背部92上にベルトの長さ方向に沿って配列された複数の歯部93と、歯部93と歯部93との間に設けられた歯底部94と、歯底部94及び歯部93に被覆される歯布95と、を有している。
歯付ベルトW1のベルト背部92及び歯部93は、ゴム状の部分として構成されており、例えば、ゴム組成物として天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴムを主成分とするものの他、クロロプレンゴム、又は、耐熱老化性を有する水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)等が使用される。これらのゴム組成物中には、配合剤として例えば、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可塑剤、老化防止剤等が使用される。また、ゴム組成物中に配合される加硫剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物等が使用される。なお、これら配合剤及び加硫剤は、これらに限定されるものではない。
歯付ベルトW1が製造される際には、まず、原料ゴムに圧延加工が施される。この圧延加工では、ゴムスリーブ101の幅よりも短い幅を有するリボン状ゴム100が形成される。なお、リボン状ゴム100の幅よりも大きな幅を有するシートを圧延加工によって形成し、このシートを所定幅毎にカットすることでリボン状ゴム100が形成されてもよい。
次に、圧延加工によって帯状に形成されたリボン状ゴム100を所定長さ分、ボビン18に巻く。そして、ボビン18に所定長さ巻かれたリボン状ゴム100が、圧延加工機から延びるリボン状ゴム100から裁断される。
図8は、成形ドラム6にリボン状ゴム100が巻き付けられる状態を模式的に示す部分的な断面図である。尚、図8は、歯付ベルトW1の素材であってゴムスリーブ101を構成要素として含むベルトスリーブ102が成形される際の断面の状態を例示しており、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100が巻き付けられることによって成形されたゴムスリーブ101に加えて歯布95及び心線91も巻き付けられた状態のベルトスリーブ102の形態を例示している。また、成形ドラム6の外周面には歯付ベルトW1の歯部93を形成するための歯部形成部60が形成されており、歯部形成部60が、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向に延びるように溝状に形成されている。図8を参照して、歯付ベルトW1の素材であってゴムスリーブ100を構成要素として含むベルトスリーブ102が成形される際には、まず、成形ドラム6の外周に歯布95が設置される。
次に、歯布95の外周に心線91が巻き掛けられるスピニング工程が行われる。スピニング工程では、心線91が、成形ドラム6による歯布95の回転に伴って、歯布95に螺旋状に巻かれる。
次に、心線91の外周部に、リボン状ゴム100を螺旋状に巻くことで、ゴムスリーブ101が成形される。これにより、未加硫のベルトスリーブ102の成形が完成する。本実施形態では、歯布95及び心線91とともにリボン状ゴム100が成形ドラム6に単層で巻き付けられて成形されるベルトスリーブ102におけるゴムスリーブ101を成形する工程として、本実施形態のゴムスリーブの成形方法が実施される形態を例にとって説明している。尚、歯布95及び心線91とともに成形ドラム6の外周に巻き付けられたゴムスリーブ101の上から更にリボン状ゴム100を巻き付けて複数層のゴムスリーブ101を成形する工程として本実施形態のゴムスリーブの成形方法が実施されてもよい。
次に、未加硫のベルトスリーブ102を成形ドラム6で保持した状態でベルトスリーブ102の加硫処理が行われる。これにより、未加硫のベルトスリーブ102のゴム部分が加硫され、その結果、加硫状態のベルトスリーブ102が形成される。尚、加硫の際は、心線91の隙間から歯部形成部60(歯部93側)に未加硫ゴムが充填され、歯付ベルトW1の歯部93が成形される。
ベルトスリーブ102が加硫され、加硫後のベルトスリーブ102が成形ドラム6から脱型された後、カット工程が行われる。カット工程では、図示しないカット装置によって、ベルトスリーブ102の周方向に沿って所定間隔毎に、加硫後のベルトスリーブ102がカットされる。これにより、伝動ベルトとしての歯付ベルトW1が完成する。
また、上述の各スリーブを成形するためにリボン状ゴム100を巻き付ける工程では、成形ドラム6の一方側の端部側から他方の端部側に巻き進められた後、他方側の端部側から元の端部側に巻き進めて、リボン状ゴム100を2層巻き付けてもよい。さらに、リボン状ゴム100は、上記巻き付け動作を繰り返すことで複数層巻き付けてもよい。
次に、伝動ベルトの製造工程におけるゴムスリーブの成形工程として実施される本実施形態のゴムスリーブの成形方法について、更に詳しく説明する。
本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、前述したゴムスリーブの成形装置1が作動することで、実施される。そして、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、成形ドラム6の回転と同期して成形ドラム6の軸方向X1と平行にトラバース機構4によって駆動されて移動する巻き掛け機構3からリボン状ゴム100をリボン供給経路28に沿って供給して成形ドラム6に巻き掛け、成形ドラム6の外周にリボン状ゴム100を螺旋状に複数周巻き付けることで、ゴムスリーブ101を構成要素として含む未加硫のベルトスリーブ102を成形する、ゴムスリーブの成形方法として構成される。
尚、本実施形態では、成形ドラム6に巻き付けるリボン状ゴム100の厚みとして、0.5mm~3.5mmを例示することができ、また、0.5mm~2.0mmを例示することができる。また、リボン状ゴム100の幅として、10mm~50mmを例示することができる。また、未加硫のゴムスリーブ101の幅として、600mm~1200mmを例示することができる。また、本実施形態では、リボン状ゴム100の幅は、未加硫のゴムスリーブ101の幅の1/10未満に設定されている。
未加硫のゴムスリーブ101の成形では、まず、作業員が、リボン状ゴム100の一端部を、ボビン18から引き出すとともに、渡しロール25を介して成形ドラム6に渡し、さらに、この一端部を成形ドラム6に固定する。また、作業員が、渡しロール25において、リボン状ゴム100からフィルム107を剥離するとともに、フィルム107の一端部を、引き寄せ部材30に固定する。
この状態から、本実施形態のゴムスリーブの成形方法が開始される。図9は、本実施形態に係るゴムスリーブの成形方法について示すフローチャートである。本実施形態のゴムスリーブの成形方法が開始されると、制御部45の制御に基づいて、成形ドラム回転機構7及びトラバース機構4の駆動が開始され、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が開始される(ステップS1)。制御部45の制御に基づく、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が開始されると、成形ドラム6が回転し、成形ドラム6の回転によって、リボン状ゴム100が成形ドラム6に引き寄せられて成形ドラム6に巻き付けられる。さらに、トラバース機構4の動作によって、巻き掛け機構3の渡しロール25が、巻き掛け機構3の移動に伴って、制御部5からの制御指令に基づく速度で軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しロール25によって成形ドラム6に押しつけられつつ螺旋状に巻き付けられる。このとき、ボビン18と引き寄せ部材30とは、動力伝達機構40によって連動して回転する。そして、渡しロール25において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材30に巻かれる。
上記の工程においてリボン状ゴム100を成形ドラム6等に巻き付ける際、成形ドラム6に巻き付けるリボン状ゴム100の蛇行や幅寸法の変動が生じることで、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士が成形ドラム6の径方向に互いに重なったり、隙間が生じた状態で巻かれたりする場合がある。この場合、加硫後の歯付ベルトW1に部分的な膨らみが生じたり、心線の配列に偏りが生じたりして、品質低下を招くおそれがある。このため、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100の側面同士を互いに突き合わせた状態で成形ドラムに螺旋状に巻く必要がある。このため、本実施形態のゴムスリーブの成形方法においては、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作の開始(ステップS1)後、その巻き付け動作が終了するまでの間に亘って継続して、所定の制御周期毎に、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度をリボン状ゴムの位置のずれ量に応じて調整する制御が行われる。この制御により、本実施形態のゴムスリーブの成形方法においては、成形ドラム6に巻き付けられるリボン状ゴム100が所定幅から変動する場合、或いは、成形ドラム6にリボン状ゴムが巻き付けられる際に蛇行する場合であっても、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度が、基準リボンゴム100Sの位置に対する実際のリボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて調整され、リボン状ゴム100の重なり及びリボン状ゴム100間の隙間の発生が抑制される。
図9を参照して、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、ずれ量検出工程(ステップS2)と、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)と、駆動制御工程(ステップS4)とを備えて構成されている。本実施形態のゴムスリーブの成形方法においては、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)が行われることで、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度をリボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて調整する制御が行われる。
成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が開始(ステップS1)されると、成形ドラム6が回転するとともに、トラバース機構4が動作し、成形ドラム6の外周へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が継続される。そして、成形ドラム6の外周へのリボン状ゴム100の巻き付け動作の継続中は、ずれ量検出工程(ステップS2)と、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)と、駆動制御工程(ステップS4)とが、所定の制御周期毎に繰り返し行われる。尚、所定の制御周期は、例えば、0.1秒に設定される。即ち、本実施形態では、成形ドラム6に対するトラバース機構4の速度の制御の実行頻度は、0.1秒毎となる。
成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作の継続中の各制御周期において、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)が行われると、制御部5において、巻き付け動作終了が必要か否かが判定される(ステップS5)。ステップS5においては、成形ドラム6へ巻き付けたリボン状ゴム100が、設定された巻付け長さ分に達したか否かが判定される。そして、設定された巻付け長さ分に達していないと判定された場合(ステップS5、No)は、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が継続されながら、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)が繰り返して行われる。一方、設定された巻付け長さ分に達したと判定された場合(ステップS5、Yes)は、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が終了され、巻き付け動作が完了する。これにより、成形ドラム6の外周へのリボン状ゴム100の巻き付け動作は、設定された巻付け長さ分のリボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられるまで行われ、ゴムスリーブ101の全幅に亘る長さのリボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられるまで行われる。
以下、実施形態のゴムスリーブの成形方法における、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)について、更に詳しく説明する。
ずれ量検出工程(ステップS2)においては、基準リボンゴム100Sの位置に対する、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置のずれ量が検出される。具体的には、ずれ量検出工程(ステップS2)においては、供給リボン側検出位置Z1における、基準リボンゴム100Sの位置に対する成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置とのずれ量である供給リボン側ずれ量bが検出される(ステップS21~S23)。また、並行して、巻付リボン側検出位置Z2における、基準リボンゴム100Sの位置に対する成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置とのずれ量である巻付リボン側ずれ量aも検出される(ステップS24~S26)。
図10は、ゴムスリーブの成形装置1における供給リボン側検出位置Z1を拡大して模式的に示す図である。尚、図10(a)は、供給リボン側検出位置Z1において実際にリボン状ゴム100の位置が検知される状態を模式的に示している。また、図10(b)は、供給リボン側検出位置Z1において仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合に基準リボンゴム100Sの位置が検知される状態を模式的に示している。
ずれ量検出工程(ステップS2)における供給リボン側ずれ量bが検出される工程(ステップS21~S23)においては、供給リボン位置検知器16及び制御部45によって、ステップS21、ステップS22、ステップS23の各工程が行われる。
図10(a)を参照して、まず、供給リボン位置検知器16が、供給リボン側検出位置Z1において、成形ドラム6に供給される実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置(以下、供給リボン側面位置Sbと称する)であって成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における位置を検知する(ステップS21)。そして、供給リボン位置検知器16が検知した供給リボン側面位置Sbの検知信号が、供給リボン位置検知器16から制御部45へ送信される(ステップS22)。
また、制御装置5の設定情報記憶部46には、供給リボン側検出位置Z1において仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合に検知される基準リボンゴム100Sの位置に関する情報が記憶されている。具体的には、図10(b)を参照して、設定情報記憶部46には、供給リボン側検出位置Z1に仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合の、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構3の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置(以下、供給リボン側面基準位置Sb0と称する)の情報が記憶されている。
制御部45は、供給リボン側面位置Sbの検知信号を供給リボン位置検知器16から受信すると(ステップS22)、設定情報記憶部46から供給リボン側面基準位置Sb0の情報を読み出す。そして、制御部45は、供給リボン側面基準位置Sb0と供給リボン側面位置Sbとに基づいて、供給リボン側ずれ量bを算出する(ステップS23)。具体的には、供給リボン側面基準位置Sb0と供給リボン側面位置Sbとの差分として、供給リボン側ずれ量bを算出する。即ち、下記(1)式にて供給リボン側ずれ量bを算出する。
b=Sb0-Sb・・・・(1)
ステップS23にて供給リボン側ずれ量bが算出されることにより、ずれ量検出工程(ステップS2)における供給リボン側ずれ量bの検出が完了する。
尚、ずれ量検出工程(ステップS2)における供給リボン側ずれ量bの検出工程(ステップS21~S23)においては、供給リボン側ずれ量bは、供給リボン側検出位置Z1においてリボン状ゴム100がテンションロール22に巻き掛けられてリボン状ゴム100に張力が付与された状態で検出される。また、ずれ量検出工程(ステップS2)における供給リボン側ずれ量bの検出工程(ステップS21~S23)においては、レーザースキャナとして構成された供給リボン位置検知器16を用いて供給リボン側ずれ量bが検出される。
図11は、ゴムスリーブの成形装置1における巻付リボン側検出位置Z2を拡大して模式的に示す図である。尚、図11(a)は、巻付リボン側検出位置Z2において実際にリボン状ゴム100の位置が検知される状態を模式的に示している。また、図11(b)は、巻付リボン側検出位置Z2において仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合に基準リボンゴム100Sの位置が検知される状態を模式的に示している。
ずれ量検出工程(ステップS2)における巻付リボン側ずれ量aが検出される工程(ステップS24~S26)においては、巻付リボン位置検知器12及び制御部45によって、ステップS24、ステップS25、ステップS26の各工程が行われる。
図11(a)を参照して、まず、巻付リボン位置検知器12が、巻付リボン側検出位置Z2において、成形ドラム6に巻き付けられている実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置(以下、巻付リボン側面位置Saと称する)であって成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における位置を検知する(ステップS24)。そして、巻付リボン位置検知器12が検知した巻付リボン側面位置Saの検知信号が、巻付リボン位置検知器12から制御部45へ送信される(ステップS25)。
また、制御装置5の設定情報記憶部46には、巻付リボン側検出位置Z2において仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合に検知される基準リボンゴム100Sの位置に関する情報が記憶されている。具体的には、図11(b)を参照して、設定情報記憶部46には、巻付リボン側検出位置Z2に仮想の基準リボンゴム100Sが存在していると仮定した場合の、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置(以下、巻付リボン側面基準位置Sa0と称する)の情報が記憶されている。
制御部45は、巻付リボン側面位置Saの検知信号を巻付リボン位置検知器12から受信すると(ステップS25)、設定情報記憶部46から巻付リボン側面基準位置Sa0の情報を読み出す。そして、制御部45は、巻付リボン側面基準位置Sa0と巻付リボン側面位置Saとに基づいて、巻付リボン側ずれ量aを算出する(ステップS26)。具体的には、巻付リボン側面基準位置Sa0と巻付リボン側面位置Saとの差分として、巻付リボン側ずれ量aを算出する。即ち、下記(2)式にて巻付リボン側ずれ量aを算出する。
a=Sa0-Sa・・・・(2)
ステップS26にて巻付リボン側ずれ量aが算出されることにより、ずれ量検出工程(ステップS2)における巻付リボン側ずれ量aの検出が完了する。
尚、ずれ量検出工程(ステップS2)における巻付リボン側ずれ量aの検出工程(ステップS24~S26)においては、レーザースキャナとして構成された巻付リボン位置検知器12を用いて巻付リボン側ずれ量aが検出される。
ずれ量検出工程(ステップS2)において巻付リボン側ずれ量a及び供給リボン側ずれ量bが検出されると、次いで、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)が行われる。調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)においては、制御部45が、基準移動ピッチPをずれ量検出工程(ステップS2)にて検出したずれ量に基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1を算出する。即ち、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)においては、制御部45が、基準移動ピッチPを巻付リボン側ずれ量aと供給リボン側ずれ量bとに基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1を算出する。
調整移動ピッチP1の算出は、基準移動ピッチPから、巻付リボン側ずれ量aに基づくピッチ修正分a’と供給リボン側ずれ量bに基づくピッチ修正分b’との両方のピッチ修正分(a’、 b’)を修正することで、算出される。尚、巻付リボン側ずれ量aに基づくピッチ修正分a’が、リボン状ゴム100の幅が所定幅よりも小さくなる場合を正の値として規定され、供給リボン側ずれ量bに基づくピッチ修正分b’が、リボン状ゴム100が巻き掛け機構3の移動方向X2側に蛇行する場合を正の値として規定されている場合、調整移動ピッチP1は、基準移動ピッチPからピッチ修正分a’とピッチ修正分b’とを差し引いて修正することで、算出される。即ち、下記(3)式にて調整移動ピッチP1が算出される。
P1=P-a’-b’・・・・(3)
巻付リボン側ずれ量aに基づくピッチ修正分a’と供給リボン側ずれ量bに基づくピッチ修正分b’とは、巻付原位置Oからずれ量が検出される位置までの距離と成形ドラム6の外周の周長との関係に基づいて、巻付リボン側ずれ量a及び供給リボン側ずれ量bをピッチ相当のずれ量に換算することで求められる。ここで、巻付原位置Oから供給リボン側ずれ量bが検出される供給リボン側検出位置Z1までの距離A1と、巻付原位置Oから巻付リボン側ずれ量aが検出される巻付リボン側検出位置Z2までの距離A2とは、同じ距離に設定されている。同じ距離である距離A1及び距離A2の値をAとする。そして、成形ドラム6の直径の寸法をDとする。すると、成形ドラム6の外周の周長は、πD(円周率π×直径D)となる。このため、巻付リボン側ずれ量aに基づくピッチ修正分a’は、巻付リボン側ずれ量aが検出された巻付リボン側検出位置Z2と巻付原位置Oとの距離Aと成形ドラム6の外周の周長πDとの関係から求められ、下記(4)式で求められる。そして、供給リボン側ずれ量bに基づくピッチ修正分b’は、供給リボン側ずれ量bが検出された供給リボン側検出位置Z1と巻付原位置Oとの距離Aと成形ドラム6の外周の周長πDとの関係から求められ、下記(5)式で求められる。
a’=a×(πD/A)・・・・(4)
b’=b×(πD/A)・・・・(5)
よって、上式(3)、(4)、(5)より、調整移動ピッチP1は、下式(6)にて算出される。
P1=P-πD(a+b)/A・・・・(6)
調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)においては、制御部45により、基準移動ピッチPを巻付リボン側ずれ量aと供給リボン側ずれ量bとに基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1として上式(6)によって求められる調整移動ピッチP1が算出される。
調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)において調整移動ピッチP1が算出されると、次いで、駆動制御工程(ステップS4)が行われる。駆動制御工程(ステップS4)においては、算出された調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度と巻き掛け機構3の移動速度との速度比を変更するように、トラバース機構4の駆動動作が制御される。
駆動制御工程(ステップS4)においては、まず、制御部45が、算出された調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比であって新たに変更する速度比を設定する(ステップS41)。そして、この新たに設定した速度比の制御指令に基づいて、トラバース機構4が制御される(ステップS42)。より具体的には、制御部45にて新たに設定した速度比の制御指令が、比率設定器48に送信される。比率設定器48は、ドラム回転位置検知器47から受信した成形ドラム6の回転速度の検知結果と、駆動制御部52から受信した速度比の制御指令とに基づいて、巻き掛け機構3の移動速度に対応するトラバース機構4の電動モータ29の回転速度を算出し、その回転速度の制御指令を電動モータ29に送信する。比率設定器48からの制御指令に基づいて電動モータ29が回転することで、トラバース機構4の駆動動作が制御される。これにより、巻き掛け機構3が、駆動制御部52で設定された速度比に基づく移動速度で移動する。
駆動制御工程(ステップS4)が終了すると、成形ドラム6へ巻き付けたリボン状ゴム100が、設定された巻付け長さ分に達していない限り(ステップS5、No)、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が継続されながら、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)が繰り返して行われる。尚、設定された巻付け長さ分に達したと判定された場合(ステップS5、Yes)は、成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付け動作が終了され、巻き付け動作が完了する。
上述のように、成形ドラム6の外周へのリボン状ゴム100の巻き付け動作は、設定された巻付け長さ分のリボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられるまで行われる。そして、成形ドラム6の外周へのリボン状ゴム100の巻き付け動作中は、ずれ量検出工程(ステップS2)、調整移動ピッチ算出工程(ステップS3)、及び駆動制御工程(ステップS4)が、所定の制御周期毎に繰り返して行われる。このため、巻き付け動作中は、所定の制御周期毎に、刻々と、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の速度比が調整移動ピッチP1に基づいて変更される。そして、所定の制御周期毎に、刻々と、トラバース機構4の駆動動作が制御され、巻き掛け機構3の移動速度が調整移動ピッチP1に応じて変化するように制御される。これにより、刻々と連続的に、リボン状ゴム100の巻き付け位置のずれが修正され、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100の側面同士を互いに突き合わせた状態で成形ドラム6に螺旋状に巻くことができる。
[実施例]
成形したベルトスリーブ102を素材として製造される歯付ベルトW1の品質低下につながるリボン状ゴム100の重なりや隙間の発生を本実施形態のゴムスリーブの成形方法によって抑制できるか否かについて評価する試験を行った。試験では、成形ドラム6に対するトラバース機構4の速度を本実施形態のゴムスリーブの成形方法によって制御して成形したゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102を実施例とし、一方、トラバース機構4の速度の制御を行わないで成形したゴムスリーブ101を含むベルトスリーブ102を比較例とした。
評価の方法については、未加硫のベルトスリーブ102が成形された後において、加硫後に製品とならない両端部を除く有効面長の範囲内において、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士に、重なりや隙間の発生が無いか否かを全周に亘って目視で確認することにより評価を行った。
具体的には、成形ドラム6に巻き付けるリボン状ゴム100の隣り合う側面同士が1箇所でも重なったり、隙間が生じたりした場合、ベルトスリーブ102を素材として製造される歯付ベルトW1の品質を確保することができなくなるおそれがあると判断し不可と判定した。一方、リボン状ゴム100の隣り合う側面同士が全く重ならず、且つ、隙間も生じなかった場合は、ベルトスリーブ102を素材として製造される歯付ベルトW1の品質を確保できると判断し可と判定した。
図12は、実施例及び比較例に係るゴムスリーブ101のゴム組成物について一覧にして示す表である。実施例及び比較例に係るゴムスリーブ101のゴム組成物は、クロロプレンゴムが100質量部、酸化マグネシウムが4質量部、老化防止剤が2質量部、カーボンブラックが65質量部、可塑剤が8質量部、亜鉛華が15質量部、加硫促進剤が2質量部、硫黄が0.5質量部の割合で配合されている。また、加硫後の歯付ベルトW1のゴム硬度は、日本工業規格で定めるデュロメータ硬さ(JIS K6253-2012)で約75である。
図13は、実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102の心線91の構成材料を一覧にして示した表である。実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102の成形においては、同じ心線91を使用し、いずれにおいても、ガラス繊維フィラメント群からなる撚りコードを使用した。また、心線91には、5から9μmのフィラメントを撚り合わせた、ガラス組成がEガラスまたは高強度ガラスを使用した。また、心線91として、コンパウンドからなる保護剤またはRFL液等の接着剤でフィラメントが処理されたものを使用した。また、心線91の線径を約0.38に設定し、心線91の撚り構成については、330dtex/3のものを片撚りした構成とした。また、心線91の撚数は、16回/10cmとし、総繊度を990dtexとした。心線91の心線径の中央値は、0.25mmであった。
図14は、実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102の歯布95の材料について一覧にして示す図である。歯部93と歯底部94を覆う歯布95として、緯糸と経糸で構成されたものを用いた。歯布95の緯糸には、ウーリー6ナイロンを使用した。また、糸構成は、44dtex/5本とし、製織密度は、120本/30mmに設定した。歯布95の径糸には、6ナイロンを使用した。また、糸構成は、235dtex/1本とし、製織密度は、90本/30mmに設定した。
実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102を構成するゴムスリーブ101のゴム材料(ゴム組成物)であって、歯付ベルトW1のベルト背部92及び歯部93を形成するゴム材料は、バンバリーミキサーで4分間混練することにより調製した。この調製を行ったゴム材料は、圧延ロールで圧延し、厚み約1mmの圧延ゴムシートに成形した。このときの厚みの精度は、-0.05から+0.05mmに設定した。さらに、圧延ゴムシートは、スリッターに通されて厚みが1.0mm(誤差は-0.05から+0.05mmに設定された)、幅が20mm(誤差は-0.2から+0.2mmに設定された)のリボン状ゴム100に成形した。リボン状ゴム100は、フィルム107に沿わせてボビン18に巻き取った。歯布95は、上述の材料によって構成し、RFL液に浸漬した後、乾燥及び熱処理して製造した。歯布95は、無端筒状に成形して、リボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き付ける前に、成形ドラム6の外周に設置した。そして、歯布95の外周に心線91を所定の心線ピッチで螺旋状に巻き付けた。次に、リボン状ゴム100を心線91の外周に螺旋状に複数周巻き付けてゴムスリーブ101を成形することによって、未加硫のベルトスリーブ102を成形した。なお、リボン状ゴム100を心線91の外周に巻き付ける際、実施例においては、成形ドラム6に対するトラバース機構4の速度を本実施形態のゴムスリーブの成形方法によって制御した。また、実施例においては、制御装置5に接続されている供給リボン位置検知器16及び巻付リボン位置検知器12として、レーザースキャナ(オムロン社製、型式ZG2-WDS22)が使用された。一方、比較例においては、成形ドラム6に対するトラバース機構4の速度を制御しなかった。リボン状ゴムを心線91に巻き付けた後は、成形ドラム6を加硫缶内に封入し、成形ドラムの径方向内向きに加圧しながら加熱を行い、加硫を行った。当該加硫によって、未加硫ゴムは、心線91の隙間から歯部93側に充填されるため、歯付ベルトW1に歯部93が成形される。加硫されたゴムスリーブは、所定幅ごとにカットされて歯付ベルトW1に成形される。
実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102の成形における、成形ドラム6に既に巻かれた心線91の上からの成形ドラム6へのリボン状ゴム100の巻き付けに際しては、約300から500mmの周期で蛇行した。また、蛇行量は、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向において約-0.6から+0.6mmであった。また、実施例及び比較例に係るベルトスリーブ102の成形に用いた成形ドラム6の幅は約500mmに設定し、外周部分の直径は約290mmに設定し、回転速度は0.5m/秒に設定した。また、成形ドラム6に対するトラバース機構4の速度の制御の実行頻度は、0.1秒毎とし、成形ドラムの周長にして50mm毎にトラバース機構4の速度の制御を行った。巻付原位置Oから供給リボン側検出位置Z1までの距離A1、及び、巻付原位置Oから巻付リボン側検出位置Z2までの距離A2は、230mmに設定した。基準移動ピッチPは、リボン状ゴム100の幅に、成形ドラム6に螺旋状に巻き付けることによる傾きを考慮した長さが調整された値となる。具体的には、20mm+20/COSθmmで設定される。成形ドラム6に上記リボン状ゴムを巻き付けた場合、24回巻き付けることができる。調整移動ピッチP1は、前述の式(6)にて算出した。また、基準リボン状ゴム100Sとしては、幅20.0mm、厚み0.5mmのポリエステル製の織布により構成されたものを使用した。
上述の条件でベルトスリーブ102の成形を行った結果、比較例に係るベルトスリーブ102の成形に際しては、リボン状ゴム100を巻き付ける際、端部同士の重なり及び隙間の発生が確認された。一方、実施例に係るベルトスリーブ102の成形に際しては、リボン状ゴム100を巻き付ける際、端部同士が重なったり、隙間が生じたりすることがなかった。上記の結果から、本実施形態のゴムスリーブの成形方法では、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度を調整することで、リボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生を抑制することができることが確認できた。その結果、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、ゴムスリーブの成形の際の効率の低下を抑制するとともに、成形されたゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトの品質の低下を抑制することができることが確認できた。
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、成形ドラム6の回転と同期して成形ドラム6の軸方向X1と平行にトラバース機構4によって移動する巻き掛け機構3からリボン状ゴム100を供給して成形ドラム6の外周に螺旋状に複数周巻き付けることでベルトスリーブ102の構成要素であるゴムスリーブ101の成形が行われるが、これに加えて、ずれ量検出工程S2と、調整移動ピッチ算出工程S3と、駆動制御工程S4とが行われる。そして、ずれ量検出工程S2では、基準リボンゴム100Sの位置に対する、リボン状ゴム100の実際の位置のずれ量を検出し、調整移動ピッチ算出工程S3では、基準移動ピッチPをずれ量に基づいて調整した調整移動ピッチP1を算出する。そしてさらに、駆動制御工程S4では、調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度と巻き掛け機構3の移動速度との速度比を変更するように、トラバース機構4の駆動動作を制御する。これにより、成形ドラム6に巻き掛けられるリボン状ゴム100が所定幅から変動する場合や、成形ドラム6にリボン状ゴム100が巻き付けられる際に蛇行する場合であっても、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度を、基準リボンゴム100Sの位置に対する実際のリボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて調整することで、リボン状ゴム100の重なり及びリボン状ゴム100間の隙間の発生を抑制することができる。また、リボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の調整が自動的に行われ、リボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生が抑制されるため、成形ドラム6の回転速度を遅く設定してリボン状ゴム100を成形ドラム6に慎重に巻き付けるような対応も不要となる。このため、ゴムスリーブ101の成形の際の効率の低下を抑制することができる。また、ゴムスリーブ101の成形の際のリボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生が抑制されるため、ゴムスリーブ101においてボリューム過多の部分やボリューム不足の部分が生じることが抑制される。このため、成形されたゴムスリーブ100を素材として用いて製造される伝動ベルトにおいて、その本体ゴム部分に欠肉や空泡が発生することを抑制でき、品質の低下を抑制することができる。
従って、本実施形態によると、ゴムスリーブ101の成形の際の効率の低下を抑制するとともに、ゴムスリーブ101を素材として用いて製造される伝動ベルトW1の品質の低下を抑制することができる、ゴムスリーブの成形方法を提供することができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、ゴムスリーブの成形方法において、巻付原位置Oからリボン供給経路28を上流側に遡ったリボン供給経路28上の所定位置である供給リボン側検出位置Z1における供給リボン側ずれ量bを検出する。このため、巻付原位置Oに供給されるリボン状ゴム100が蛇行している場合に、その蛇行による巻き付け位置のずれ量が供給リボン側ずれ量bとして検出される。また、上記の構成では、巻付原位置Oから成形ドラム6の回転方向R6と反対方向に沿って遡った成形ドラム6上の所定位置である巻付リボン側検出位置Z2における巻付リボン側ずれ量aを検出する。このため、成形ドラム6に巻き付けられたリボン状ゴム100において幅方向の寸法の変動があった場合に、その幅寸法の変動による巻き付け位置のずれ量が、巻付リボン側ずれ量aとして検出される。そして、上記の方法では、供給リボン側ずれ量b及び巻付リボン側ずれ量aに基づいて調整移動ピッチP1を算出する。このため、リボン状ゴム100の蛇行やリボン状ゴム100の幅寸法の変動に応じて、調整移動ピッチP1を算出できる。また、上記の構成では、供給されるリボン状ゴム100の蛇行によるずれ量とリボン状ゴム100が成形ドラム6上で巻き付けられる位置での幅寸法の変動によるずれ量とが、成形ドラム6にリボン状ゴム100が巻き付けられる前に検出される。そして、その巻き付け前に検出されたずれ量に応じて、調整移動ピッチP1が算出され、その調整移動ピッチP1に応じた制御に基づいて、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられる。このため、上記の構成によると、リボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生を更に抑制して、リボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き付けることができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、巻付原位置Oから、供給リボン側検出位置Z1までの距離及び巻付リボン側検出位置Z2までの距離が同じである。このため、それぞれの位置におけるずれ量の検出のタイミングがほぼ同じになる。これにより、一方の検出と他方の検出のタイミングがずれることで発生するずれ量を考慮する必要がなくなる。その結果、より精度の高い制御を行うことができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、ずれ量検出工程S2において供給リボン側ずれ量bは、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置と、成形ドラム6に供給される実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置とのずれ量として検出される。即ち、供給リボン側ずれ量bの検出は、リボン状ゴム100の側面部分を基準にして行われる。また、巻付リボン側ずれ量aは、基準リボンゴム100Sにおける巻き掛け機構の移動方向X2側の側面部分の位置と、成形ドラム6に巻き付けられている実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構の移動方向X2側の側面部分の位置とのずれ量として検出される。即ち、巻付リボン側ずれ量aの検出も、リボン状ゴム100の側面部分を基準にして行われる。このため、成形ドラム6に巻き付けるリボン状ゴム100の蛇行や幅寸法の変動がある場合でも、それらに伴うずれ量を、各検出位置Z1、Z2における側面部分の位置のずれ量として確実に検出することができる。そして、その検出されたずれ量に基づいて、リボン状ゴム100において幅方向に隣接する側面部分同士の重なりやその側面部分同士の間の隙間の発生が抑制されるように、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられる。このため、重なり部分による段差及び隙間部分による凹みの発生が更に抑制された表面状態がより良好なゴムスリーブ101を成形することができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、供給リボン側ずれ量bが、テンションロール22によってリボン状ゴム100に張力が付与された状態で検出される。このため、供給リボン側ずれ量bが検出されるリボン状ゴム100が弛まずに安定してテンションロール22上を走行する。これにより、供給リボン側ずれ量bが正確に検出される。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法によると、ずれ量を検出するずれ量検出工程S2においては、レーサースキャナが用いられる。このため、高速な検出が可能となり、レーザースキャナ以外の例えば非接触式スキャナよりも短い露光時間で計測を行うことが可能になる。これにより、成形ドラム6の回転速度を上げても正確にずれ量の検出を行うことができる。その結果、ゴムスリーブ101を素材として用いて製造される伝動ベルトの品質を確保しつつ、ゴムスリーブ101の成形の際の効率を更に向上させることができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形方法は、成形ドラム6の径方向においてリボン状ゴム100が1層のみ巻き付けられることで、ゴムスリーブが成形される形態において用いられてもよい。リボン状ゴム100の層が1層のみのゴムスリーブの場合であっても、リボン状ゴム100の重なり部分及び隙間部分の発生が抑制される。このため、リボン状ゴム100が複数層積層されて成形されたゴムスリーブの場合に比してリボン状ゴム100の重なり部分及び隙間部分の影響が大きく生じてしまう1層のみのゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトにおいて、品質の低下を顕著に抑制することができる。
本実施形態のゴムスリーブ成形装置1によると、成形ドラム6と、リボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き掛ける巻き掛け機構3と、巻き掛け機構3を成形ドラム6の軸方向X1と平行に移動させるように駆動するトラバース機構4と、を備えている。そして、リボン状ゴム100が巻き掛け機構3からリボン供給経路28に沿って供給され、成形ドラム6の外周に螺旋状に複数周巻き付けられ未加硫のゴムスリーブが成形される。これに加えて、本実施形態のゴムスリーブ成形装置1によると、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の位置を検知するリボン位置検知器70を備える。また、当該リボン位置検知器70の検知結果に基づいて、基準リボンゴム100Sの位置に対する成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の実際の位置とのずれ量をずれ量算出部50が算出する。また、基準移動ピッチPをずれ量に基づいて調整して導出した調整移動ピッチP1を調整移動ピッチ算出部51が算出する。更に、調整移動ピッチP1に基づいて、成形ドラム6の回転速度と巻き掛け機構3の移動速度との速度比を変更するようにトラバース機構4の駆動動作を駆動制御部52が制御する。これにより、成形ドラム6に巻き掛けられるリボン状ゴム100が所定幅から変動する場合や、成形ドラム6にリボン状ゴム100が巻き付けられる際に蛇行する場合であっても、成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度を、基準リボンゴム100Sの位置に対する実際のリボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて調整することで、リボン状ゴム100の重なり及びリボン状ゴム100間の隙間の発生を抑制することができる。また、リボン状ゴム100の位置のずれ量に応じて成形ドラム6の回転速度に対する巻き掛け機構3の移動速度の調整が自動的に行われ、リボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生が抑制されるため、成形ドラム6の回転速度を遅く設定してリボン状ゴム100を成形ドラム6に慎重に巻き付けるような対応も不要となる。このため、ゴムスリーブの成形の際の効率の低下を抑制することができる。また、ゴムスリーブの成形の際のリボン状ゴムの重なり及び隙間の発生が抑制されるため、ゴムスリーブにおいてボリューム過多の部分やボリューム不足の部分が生じることが抑制される。このため、成形されたゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトにおいて、その本体ゴム部分に欠肉や空泡が発生することを抑制でき、品質の低下を抑制することができる。
従って、上記のゴムスリーブの成形装置1によると、ゴムスリーブの成形の際の効率の低下を抑制するとともに、ゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトの品質の低下を抑制することができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、リボン位置検知器70は、巻付原位置Oからリボン供給経路28を上流側に遡ったリボン供給経路28上の所定位置である供給リボン側検出位置Z1において、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の位置を検知する供給リボン位置検知器16を含んで構成されている。供給リボン位置検知器16は、供給リボン側検出位置Z1における供給リボン側ずれ量bを検出する。このため、巻付原位置Oに供給されるリボン状ゴム100が蛇行している場合に、その蛇行による巻き付け位置のずれ量が供給リボン側ずれ量bとして検出される。また、リボン位置検知器70は、巻付原位置Oから成形ドラム6の回転方向R6と反対方向に沿って遡った成形ドラム6上の所定位置である巻付リボン側検出位置Z2において、成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100の位置を検知する巻付リボン位置検知器12を含んで構成されている。リボン位置検知器70は、巻付リボン側検出位置Z2における巻付リボン側ずれ量aを検出する。このため、成形ドラム6に巻き付けられたリボン状ゴム100において幅方向の寸法の変動があった場合に、その幅寸法の変動による巻き付け位置のずれ量が、巻付リボン側ずれ量aとして検出される。また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1では、ずれ量算出部50が、供給リボン位置検知器16の検知結果に基づいて、供給リボン側検出位置Z1におけるずれ量である供給リボン側ずれ量bを算出し、巻付リボン位置検知器12の検知結果に基づいて、巻付リボン側検出位置Z2におけるずれ量である巻付リボン側ずれ量aを算出するように構成されている。更に、調整移動ピッチ算出部51が、供給リボン側ずれ量b及び巻付リボン側ずれ量aに基づいて調整移動ピッチP1を算出する。このため、リボン状ゴム100の蛇行やリボン状ゴム100の幅寸法の変動に応じて、調整移動ピッチP1を算出できる。また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、供給されるリボン状ゴム100の蛇行によるずれ量とリボン状ゴム100が成形ドラム6上で巻き付けられる位置での幅寸法の変動によるずれ量とが、成形ドラム6にリボン状ゴム100が巻き付けられる前に検出される。そして、その巻き付け前に検出されたずれ量に応じて、調整移動ピッチP1が算出され、その調整移動ピッチP1に応じた制御に基づいて、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられる。このため、上記の構成によると、リボン状ゴム100の重なり及び隙間の発生を更に抑制して、リボン状ゴム100を成形ドラム6に巻き付けることができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、巻付原位置Oから、供給リボン側検出位置Z1までの距離及び巻付リボン側検出位置Z2までの距離が同じである。このため、それぞれの位置におけるずれ量の検出のタイミングがほぼ同じになる。これにより、一方の検出と他方の検出のタイミングがずれることで発生するずれ量を考慮する必要がなくなる。その結果、より精度の高い制御を行うことができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、供給リボン位置検知器16は、供給リボン側検出位置Z1において、リボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置であって成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における位置を検知する。そして、ずれ量算出部50において、検知結果に基づいて、基準リボンゴム100Sに対する成形ドラム6に供給される実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側と反対側の側面部分の位置のずれ量として、供給リボン側ずれ量bを算出する。即ち、供給リボン側ずれ量bの算出は、リボン状ゴム100の側面部分を基準にして行われる。また、巻付リボン位置検知器12は、巻付リボン側検出位置Z2において、リボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置であって成形ドラム6の軸方向X1と平行な方向における位置を検知する。そして、ずれ量算出部50において、検知結果に基づいて、基準リボンゴム100Sに対する成形ドラム6に供給される実際のリボン状ゴム100における巻き掛け機構3の移動方向X2側の側面部分の位置のずれ量として、巻付リボン側ずれ量aを算出する。即ち、巻付リボン側ずれ量aの算出も、リボン状ゴム100の側面部分を基準にして行われる。このため、成形ドラム6に巻き付けるリボン状ゴム100の蛇行や幅寸法の変動がある場合でも、それらに伴うずれ量を、各検知位置における側面部分の位置のずれ量として確実に検知して算出することができる。そして、その算出されたずれ量に基づいて、リボン状ゴム100において幅方向に隣接する側面部分同士の重なりやその側面部分同士の間の隙間の発生が抑制されるように、リボン状ゴム100が成形ドラム6に巻き付けられる。このため、重なり部分による段差及び隙間部分による凹みの発生が更に抑制された表面状態がより良好なゴムスリーブを成形することができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、供給リボン側ずれ量bが、テンションロール22によってリボン状ゴム100に張力が付与された状態で検出される。このため、供給リボン側ずれ量bが検出されるリボン状ゴム100が弛まずに安定してテンションロール22上を走行する。これにより、供給リボン側ずれ量bが正確に検出される。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、リボン状ゴム100の位置を検知するリボン位置検知器70としてレーサースキャナが用いられる。このため、高速な検出が可能となり、レーザースキャナ以外の例えば非接触式スキャナよりも短い露光時間で計測を行うことが可能になる。これにより、成形ドラム6の回転速度を上げても正確にずれ量の検出を行うことができる。その結果、ゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトの品質を確保しつつ、ゴムスリーブの成形の際の効率を更に向上させることができる。
また、本実施形態のゴムスリーブの成形装置1によると、ゴムスリーブが、成形ドラム6に1層のみ巻き付けられて成形される。よって、リボン状ゴム100の層が1層のみのゴムスリーブの場合であっても、リボン状ゴム100の重なり部分及び隙間部分の発生が抑制される。このため、リボン状ゴム100が複数層積層されて成形されたゴムスリーブの場合に比してリボン状ゴム100の重なり部分及び隙間部分の影響が大きく生じてしまう1層のみのゴムスリーブを素材として用いて製造される伝動ベルトにおいて、品質の低下を顕著に抑制することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
(1)上述の実施形態においては、巻付原位置Oから供給リボン側検出位置Z1までの距離A1、及び、巻付原位置Oから巻付リボン側検出位置Z2までの距離A2は、同じ距離に設定されている場合を例にあげて説明したがこの通りでなくてもよい。例えば、巻付原位置Oから供給リボン側検出位置Z1までの距離A1及び巻付原位置Oから巻付リボン側検出位置Z2までの距離A2が異なる距離になるように設定してもよい。
(2)また、上述の実施形態においては、リボン位置検知器70に含まれる巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16として、レーザースキャナを使用する場合を例にあげて説明したがこの通りでなくともよい。例えば、巻付リボン位置検知器12及び供給リボン位置検知器16として、画像処理スキャナを使用してもよい。