JP6875183B2 - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ラップドVベルトなどの伝動ベルトの製造方法に関する。
動力を伝達する伝動ベルトとして、歯付ベルトなどの同期伝動ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトが知られている(たとえば、特許文献1参照)。Vベルトには、摩擦伝動のための側面にゴム層が露出したローエッジ(Raw-Edge)タイプと、ベルトが外被布で覆われたラップド(Wrapped)タイプと、がある。これらのタイプは、要求品質の違いから必要に応じて使い分けられている。また、用途に応じて多様な長さ(たとえば、ベルト長さにおいて、短尺タイプは20〜120inch、長尺で121〜400inch)のベルトが採用される。
より具体的には、自動車などに備えられるエンジンのオーバーヘッドカム(OHC)軸の伝動駆動、バランサー駆動、オイルポンプ駆動、スライドドアの開閉機構における開閉駆動など、自動車用途で用いられる歯付ベルト、自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータなどの補機類における動力伝達に広く用いられているVリブドベルト、コンプレッサー、発電機、ポンプなどの一般産業用機械、コンバイン、田植え機、草刈り機などの農業機械に広く使われているVベルト、もみすり機、穀物乾燥機において搬送用として使用される平ベルトなどが知られている。
上記の伝動ベルトは、無端状のベルト本体と、外被布と、を有している。ベルト本体は、ベルト内周側の未加硫ゴム層と、外周側の未加硫ゴム層との間に心線を埋設した後にこれらのゴム層が加硫された構成を有している。たとえばラップドVベルトの場合は、ベルト内周側の圧縮ゴム層と、外周側の伸張ゴム層との間に心線を埋設した構成を有している。外被布は、ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に亘って被覆している。ラップドVベルトは、ベルト走行時の当該ベルトの適度な滑りによって、機構に無理な負担をかけないという特徴がある。また、ラップドVベルトは、ベルト本体を被覆している外被布の効果により、摩擦音が小さい。
国際公開WO2014/178161号明細書
上記の構成を有するラップドVベルトが製造される際には、まず、内周側の圧縮ゴム層となる未加硫ゴムシートを形成するために、原料ゴムに圧延加工が施される。次に、圧延加工によって帯状に形成された原料ゴムを帯の長手方向に沿って所定長さ毎に裁断する。次に、裁断された原料ゴムを成形用マントルの外周部に巻くことで、原料ゴムを未加硫ゴムシートとして形成し、成形用マントルによってこの未加硫ゴムシートを円形状に保持させる。
すなわち、未加硫ゴムシートの巻き掛け(セッティング)工程が行われる。巻き掛け工程は、加工対象としての可撓性を有する未加硫ゴムシートを当該未加硫ゴムシートの内周
側から支持することで未加硫ゴムシートを円形状に保持するための、成形用マントルに未加硫ゴムシートを巻き掛ける工程である。
次に、成形用マントルに巻かれた未加硫ゴムシートに心線が巻き付けられるスピニング工程が行われる。スピニング工程では、ボビンに巻かれた心線が、成形用マントルによる未加硫ゴムシートの回転に伴ってボビンから繰り出される。そして、ボビンから繰り出された心線は、未加硫ゴムシートに螺旋状に巻かれる。次に、上シート貼り工程が行われる。上シート貼り工程では、上記の未加硫ゴムシートと同様に形成され後に伸張ゴム層となる未加硫ゴムシートが、心線を巻かれた状態の未加硫ゴムシートの外周部に巻かれる。これにより、未加硫ゴムシートで心線が挟まれた構成を有する未加硫スリーブが完成する。
上記の未加硫ゴムシートのうち、特に、圧縮ゴム層となる未加硫のゴムシートは、ベルトの仕様によって、種々の厚みが設定される。このため、圧縮ゴム層の厚みに応じて複数種類の未加硫ゴムシートを事前に準備する必要があり、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間がかかる。また、圧縮ゴム層のシート厚みは、ベルトの形(例えばJIS B形)が同じでも、仕様が異なれば違うため多くの種類の厚みの未加硫ゴムシートを準備しなければならない。また、保管の為の材量置き場(バッファ)が多く必要になり、生産工程の現場で製品移動の妨げとなる。さらに、長尺サイズの伝動ベルトを製造するための圧縮ゴム層用の未加硫ゴムシートは重いので、マントルに取り付ける作業は重作業である。また、伝動ベルトの断面積の大きいJIS D形およびE形は、圧縮ゴム単体のシートが厚いため、重い。このため、圧縮ゴム層となる未加硫ゴムシートをマントルに巻き付けるとともにこのゴムシートの端部同士をジョイントすることで円筒スリーブを準備する工程、圧縮ゴム層の円筒スリーブを成形機へセットする作業は、何れも重作業になっている。
特許文献1では、圧縮ゴム層が複数のゴム層で形成された形態を有しているけれども、このような伝動ベルトの製造時においても、重いゴムシートをマントルに巻き付ける作業が必要であることに変わりはない。
本発明は、上記の課題に鑑み、製造にかかる手間をより少なくできる伝動ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る伝動ベルトの製造方法は、所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップを含み、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記ベルトスリーブの幅よりも短い幅を有するリボン状ゴムを前記マントルに複数周巻くことで、前記ベルトスリーブが形成される。
この構成によると、リボン状ゴムは、ベルトスリーブの幅よりも短い。このため、リボン状ゴムをマントルに巻き付ける態様によって、ベルトスリーブの厚みおよび幅の少なくとも一方を調整できる。これにより、たとえば、伝動ベルトの圧縮ゴム層となるベルトスリーブの厚みに応じてリボン状ゴムをマントルに巻き付ける態様を調整することで、任意の厚みの圧縮ゴム層を実現できる。これにより、圧縮ゴム層などの厚みの種類に応じて厚みの異なる複数種類のベルトスリーブを事前に準備する必要がなくなる。これにより、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のベルトスリーブを準備する必要がないので、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、リボン状ゴムであれば、当該リボン状ゴムの重さを軽くできる。このため、重いゴムシートを引きずりながら移動する必要がなく、ゴムに異物が混入するおそれをより小さくできるとともに、重いゴムシートを移動させるという重労働をなくすことができる。以上の次第で、本発明によると、製造にかかる手間をより少なくできる伝動ベルトの製造方法を実現できる。
(2)好ましくは、前記リボン状ゴムが前記マントルの径方向に積層されることにより前記ベルトスリーブが形成される。
この構成によると、リボン状ゴムを積層することで、所望の厚みのベルトスリーブを容易に形成できる。
(3)好ましくは、前記リボン状ゴムが前記マントルに螺旋状に巻かれることで前記ベルトスリーブが形成される。
この構成によると、リボン状ゴムがマントルに螺旋状に巻かれることで、所望の幅のベルトスリーブを容易に形成できる。
(4)好ましくは、前記マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴムの一部同士が前記マントルの径方向に互いに重なり合うように、前記リボン状ゴムが前記マントルに巻かれる。
この構成によると、たとえば、リボン状ゴムをベルトスリーブの幅方向にスライドさせつつ、リボン状ゴムをマントルに巻くことで、リボン状ゴム同士を重ねながら巻くことができる。これにより、リボン状ゴム同士をより強固に結合させることができる。よって、マントルにリボン状ゴムが保持されているときにおいて、マントルの周方向全域に亘って、ベルトスリーブの形状をより精度良く維持できる。
(5)好ましくは、前記リボン状ゴムの幅は、前記マントルにおいて前記リボン状ゴムが巻かれるピッチよりも大きく設定されている。
この構成によると、マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム同士を、確実に重ね合わせることができる。
(6)好ましくは、前記マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム同士が前記マントルの径方向に互いに重なることを避けるように前記リボン状ゴムが前記マントルに巻かれる。
この構成によると、ベルトスリーブの幅方向に隣接するリボン状ゴムを、ベルトスリーブの幅方向に沿って一列に並べることができる。これにより、リボン状ゴムを、ベルトスリーブの幅方向と平行な方向を向くように並べることができる。
(7)好ましくは、前記リボン状ゴムの幅は、前記マントルにおいて前記リボン状ゴムが巻かれるピッチと同じに設定されている。
この構成によると、マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム同士がベルトスリーブの幅方向に隙間無い状態で、リボン状ゴムをマントルに巻くことができる。
なお、本発明において、前記ベルトスリーブとして、第1ベルトスリーブと、この第1ベルトスリーブの外面に巻かれる接着ベルトスリーブとが設けられ、前記第1ベルトスリーブが前記マントルに巻き付けられる方向と、前記接着ベルトスリーブが前記マントルに巻き付けられる方向とが互いに逆となるように設定されていてもよい。
この構成によると、第1ベルトスリーブにおけるリボン状ゴム同士間に生じる段差と、接着ベルトスリーブにおけるリボン状ゴム同士間に生じる段差とが重なる領域をより小さくできる。これにより、第1ベルトスリーブと接着ベルトスリーブとの境界面の形状をよりスムーズな形状にできる。その結果、たとえば、接着ベルトスリーブに心線を螺旋状にスピニングする場合において、心線が巻かれるライン(ロープピッチライン)が乱れることなく一定の位置に保てる。これにより、心線を所望の配置により精度よく配置できる。その結果、伝動ベルトの耐久性などの品質をより高くできる。よって、伝動ベルトの使用時において、伝動ベルトに不具合が生じることをより確実に抑制できる。
(8)好ましくは、前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、が設けられ、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記マントルに前記伸張側ベルトスリーブが形成された後、前記リボン状ゴムが前記伸張側ベルトスリーブの外周側において前記マントルに積層されることで前記圧縮側ベルトスリーブが形成される。
この構成によると、圧縮側ベルトスリーブが形成された後に伸張側ベルトスリーブがさらに巻かれる構成ではないので、圧縮側ベルトスリーブの形状を、伸張側ベルトスリーブの形成に悪影響を与えないような形状にする必要がない。このため、圧縮側ベルトスリーブを形成するためのリボン状ゴムの積層方法の自由度をより高くできる。
(9)好ましくは、前記リボン状ゴムは、当該リボン状ゴムの一側面がフィルムに沿わされつつ複数層に巻かれた状態から、前記マントルに巻かれる際に前記フィルムを剥離されるようにして前記マントルに巻かれる。
この構成によると、リボン状ゴムがマントルに巻かれる前の時点では、リボン状ゴム同士が直接接触しないようにされている。これにより、リボン状ゴム同士の張り付きに起因してリボン状ゴムの繰り出し動作が不安定になることを防止できる。よって、マントルにリボン状ゴムがより安定した姿勢で巻かれることになる。その結果、ベルトスリーブの幅および厚みにばらつきが生じることをより確実に抑制できる。その結果、伝動ベルトの品質をより高くできる。
(10)好ましくは、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムを同時に前記マントルに巻く。
この構成によると、マントルにリボン状ゴムを巻いてベルトスリーブを完成させるのに必要な時間をより短くできる。たとえば、1つのリボン状ゴムを巻いてベルトスリーブを完成させる場合と比べて、n個(nは自然数)のリボン状ゴムを巻いてベルトスリーブを完成させる場合、ベルトスリーブの形成に必要な時間を1/nにできる。
(11)好ましくは、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムについて、前記マントルの軸方向と平行な方向における移動方向が同じとなるように設定されている。
この構成によると、ベルトスリーブ形成ステップでは、複数のリボン状ゴムが並走することとなる。これにより、マントルへのリボン状ゴムの巻き付け作業をよりスムーズに行うことができ、その結果、ベルトスリーブの形成にかかる時間をより短くできる。
(12)好ましくは、前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムとして、第1リボン状ゴムとこの第1リボン状ゴムに重ねられる第2リボン状ゴムとが用いられる。
この構成によると、複数のリボン状ゴムを重ね合わせるようにして同時にマントルに巻くことができる。これにより、ベルトスリーブの厚みに比べてリボン状ゴムの厚みが薄い場合でも、リボン状ゴムをマントルに巻くと略同時に2つのリボン状ゴムを積層できるので、厚いベルトスリーブの形成にかかる時間をより短くできる。
(13)好ましくは、前記第1リボン状ゴムの厚みと前記第2リボン状ゴムの厚みを同一または互いに異なる値に設定することと、前記第1リボン状ゴムおよび前記第2リボン状ゴムを巻き重ねる回数を設定することにより、前記ベルトスリーブの厚みを設定する。
この構成によると、1つのリボン状ゴムを巻くことでベルトスリーブを形成する場合と比べて、ベルトスリーブの厚みをより多様に設定できる上に、ベルトスリーブの形成にかかる時間をより短くできる。
本発明によると、製造にかかる手間をより少なくできる伝動ベルトの製造方法を実現できる。
(A)は、成形装置を用いた伸張側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS3)を示している。(B)は、成形装置を用いた伸張側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS4)を示している。(C)は、成形装置を用いた心線スピニング工程(ステップS5)を示している。 (A)は、成形装置を用いた圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS6)を示している。(B)は、成形装置を用いた圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS7)を示している。(C)は、未加硫ベルトスリーブのカット工程(ステップS8)を示している。 伝動ベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。 成形装置の模式的な斜視図である。 成形装置の模式的な平面図である。 成形装置の模式的な側面図である。 成形装置の渡しローラの周辺を拡大して示す側面図である。 未加硫スリーブおよびマントルについて示す断面図である。 (A)は、伸張側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS3)について説明するための、主要部の断面図である。(B)は、伸張側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS4)について説明するための、主要部の断面図である。 (A)は、圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS6)について説明するための、主要部の断面図である。(B)は、圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS7)について説明するための、主要部の断面図である。 本発明の伝動ベルトの製造方法の変形例について示す断面図である。 本発明のさらに別の実施形態におけるベルト成形装置の主要部の側面図である。 第2実施形態に係る成形装置の主要部の模式的な平面図である。 第2実施形態に係る未加硫スリーブの断面図である。 (A)は、第2実施形態に係る伸張側ベルトスリーブ(ステップS3)および伸張側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS4)について説明するための、主要部の断面図である。(B)は、圧縮側接着ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS6)について説明するための、主要部の断面図である。 (A)および(B)は、第2実施形態に係る圧縮側ベルトスリーブの巻き掛け工程(ステップS7)について説明するための、主要部の断面図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態に係る伝動ベルト成形装置1の概念的な構成を示す斜視図である。なお、以下では、伝動ベルト成形装置1を単に成形装置1という場合がある。図1(A)は、成形装置1を用いた伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)を示している。図1(B)は、成形装置1を用いた伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)を示している。図1(C)は、成形装置1を用いた心線スピニング工程(ステップS5)を示している。図2(A)は、成形装置1を用いた圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)を示している。図2(B)は、成形装置1を用いた圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)を示している。図2(C)は、未加硫スリーブ106のカット工程(ステップS8)を示している。図3は、伝動ベルトの成形工程の一例を説明するためのフローチャートである。
図1(A)〜図2(C)および図3を参照して、成形装置1は、伝動ベルトを製造するために用いられる。このような伝動ベルトとして、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトを例示することができる。Vベルトには、摩擦伝動のための側面にゴム層が露出したローエッジ(Raw-Edge)タイプと、ベルトが外被布で覆われたラップド(Wrapped)タイプと、がある。本実施形態では、伝動ベルトとしてラップドVベルトが製造される場合を例に説明する。
ラップドVベルトは、無端状のベルト本体と、外被布と、を有している。ベルト本体は、ベルト内周側の圧縮ゴム層と、外周側の伸張ゴム層との間に心線を埋設した構成を有している。圧縮ゴム層および伸張ゴム層は、たとえば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いて形成されている。心線の材質は、たとえば、ポリエステルである。外被布は、ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に亘って被覆している。
上記の構成を有するラップドVベルトが製造される際には、まず、外周ゴム層となる未加硫ゴムシート101を形成するために、原料ゴムに圧延加工が施される(ステップS1)。この圧延加工では、伸張ゴム層となる未加硫のベルトスリーブ(伸張側ベルトスリーブ101)幅よりも短い幅を有するリボン状ゴム100が形成される。なお、リボン状ゴム100の幅よりも大きな幅を有するシートを圧延加工によって形成し、このシートを所定幅毎にカットすることでリボン状ゴム100が形成されてもよい。
次に、圧延加工によって帯状に形成されたリボン状ゴム100を所定長さ分、ボビン(図1および図2では図示せず)に巻く。そして、ボビンに所定長さ巻かれたリボン状ゴム100が、圧延加工機から延びるリボン状ゴム100に対して裁断(ステップS2)される。
次に、図1(A)に示すように、裁断されたリボン状ゴム100を成形装置1のマントル6の外周に螺旋状に巻くことで、原料ゴムを未加硫の伸張側ベルトスリーブ101として形成し、マントル6によってこの未加硫の伸張側ベルトスリーブ101を円形状に保持させる。すなわち、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程が行われる(ステップS3)。巻き掛け工程は、加工対象としての可撓性を有する伸張側ベルトスリーブ101を当該伸張側ベルトスリーブ101の内周側から支持することで伸張側ベルトスリーブ101を円形状に保持するための、マントル6に伸張側ベルトスリーブ101を巻き掛ける工程である。
次に、図1(B)に示すように、マントル6に巻かれた伸張側ベルトスリーブ101の外周部に、さらにリボン状ゴム100を螺旋状に巻くことで、伸張側接着ベルトスリーブ102が形成される(ステップS4)。次に、図1(C)に示すように、伸張側接着ベルトスリーブ102の外周に心線103が巻き付けられるスピニング工程が行われる(ステップS5)。スピニング工程では、心線用ボビン110に巻かれた心線103が、マントル6による伸張側ベルトスリーブ101および伸張側接着ベルトスリーブ102の回転に伴って心線用ボビン110から繰り出される。そして、心線用ボビン110から繰り出された心線103は、伸張側接着ベルトスリーブ102に螺旋状に巻かれる。
次に、図2(A)に示すように、心線103の外周部に、さらにリボン状ゴム100を螺旋状に巻くことで、圧縮側接着ベルトスリーブ104が形成される(ステップS6)。
次に、図2(B)に示すように、伝動ベルトの圧縮ゴム層となる圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程が行われる(ステップS7)。この工程では、リボン状ゴム100が、圧縮側接着ベルトスリーブ104の外周部に巻かれる。これにより、図2(C)に示すように、未加硫スリーブ106が完成する。
次に、カット工程が行われる(ステップS8)。カット工程では、カッター10によって、マントル6の軸方向に沿って所定間隔毎に、未加硫スリーブ106がカットされる。これにより、未加硫スリーブ106の一部からなる、未加硫ベルトが製造される。
次に、スカイブ工程が行われる(ステップS9)。スカイブ工程では、未加硫ベルトが断面V字形状となるように、未加硫ベルトの両側面を削る作業が行われる。次に、カバー巻き工程が行われる(ステップS10)。カバー巻き工程では、スカイブ工程を経た未加硫ベルトに外被布が巻かれる。次に、外被布が巻かれた未加硫ベルトについて、所定の金型で保持された状態で加硫処理が行われる(ステップS11)。これにより、未加硫ベルトのゴム部分が加硫され、その結果、伝動ベルトが完成する。
上記のように、本実施形態では、いわゆる逆成形が行われる。より具体的には、ベルトスリーブとして、伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブ101と、伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブ105と、が設けられる。そして、マントル6に伸張側ベルトスリーブ101が形成(ステップS3)された後、リボン状ゴム100が伸張側ベルトスリーブ101の外周側においてマントル6に積層されることで、圧縮側ベルトスリーブ105が形成(ステップS7)される。
次に、ベルト成形装置1のより詳細な構成を説明する。
図4は、成形装置1の模式的な斜視図である。図5は、成形装置1の模式的な平面図である。図6は、成形装置1の模式的な側面図である。図7は、成形装置1の渡しローラ24の周辺を拡大して示す側面図である。図4〜図7を参照して、成形装置1は、前述したように、マントル6上に未加硫スリーブ106(伸張側ベルトスリーブ101、伸張側接着ベルトスリーブ102、心線103、圧縮側接着ベルトスリーブ104、および、圧縮側ベルトスリーブ105の積層体)を保持するために設けられている。
成形装置1は、スリーブ保持機構2と、巻き掛け機構3と、トラバース機構4と、制御部5と、を有している。
スリーブ保持機構2は、未加硫スリーブ106を保持するためのマントル6と、このマントル6を当該マントル6の中心軸線L6回りに回転させるためのマントル回転機構7と、を有している。
マントル6は、円筒状の外周面を有する部分である。マントル6の外周面の周方向長さ(周長)は、未加硫スリーブ106の内周面の周方向長さ(周長)と略同じに設定されている。マントル6は、本実施形態では、横向きに配置されており、当該マントル6の中心軸線L6が水平方向を向いている。なお、マントル6の向きは、縦向きでもよい。マントル6は、マントル回転機構7によって、当該マントル6の中心軸線L6回りを回転駆動可能に支持されている。本実施形態では、後述するように、マントル6の回転によって、リボン状ゴム100がマントル6に引き寄せられてマントル6に巻き付けられる。
マントル回転機構7は、マントル回転用モータ8と、支軸9と、を有している。
マントル回転用モータ8は、マントル6に中心軸線L6回りの回転力を付与するための駆動源として設けられている。マントル回転用モータ8は、たとえば、電動モータである。マントル回転用モータ8の出力軸は、支軸9に動力伝達可能に連結されている。支軸9は、マントル6と一体回転可能に連結されている。
支軸9は、マントル6を支持している。これにより、マントル回転用モータ8の駆動力は、支軸9を介してマントル6に伝達される。支軸9は、軸受を介して支柱(図示せず)に支持されている。上記の構成を有するスリーブ保持機構2のマントル6に隣接した位置に、巻き掛け機構3が配置されている。
巻き掛け機構3は、所定の厚みを有する未加硫スリーブ106(伸張側ベルトスリーブ101、伸張側接着ベルトスリーブ102、圧縮側接着ベルトスリーブ104、および、圧縮側ベルトスリーブ105の積層体)をマントル6の外周に形成するために、未加硫スリーブ106の幅よりも短い幅W100を有するリボン状ゴム100をマントル6に巻くように構成されている。
巻き掛け機構3は、ベース11と、送り出し機構12と、渡し機構13と、フィルム剥離機構14と、を有している。
ベース11は、送り出し機構12、渡し機構13、および、フィルム剥離機構14を、中心軸線L6(軸方向X1)と平行な所定の方向に一体的に移動可能に支持する部材として設けられている。このベース11(巻き掛け機構3)は、トラバース機構4によって、上記所定の方向に移動される。
ベース11は、たとえば、矩形の板状部材と細長い板状部材とを重ね合わせて形成されている。ベース11は、本実施形態では、鉛直方向における中心軸線L6の位置よりも下方に配置されている。なお、ベース11の高さ位置は、鉛直方向における中心軸線L6の位置よりも高くてもよいし、低くてもよいし、同じでもよい。このベース11上に、送り出し機構12が設けられている。
送り出し機構12は、リボン状ゴム100をマントル6に向けて送り出すために設けられている。送り出し機構12は、リボン状ゴム100を保持しており、このリボン状ゴム100をマントル6(渡し機構13)へ向けて送り出す。
送り出し機構12は、ボビン15と、テンション機構16と、を有している。
ボビン15は、円筒状の外周面を有する部材であり、リボン状ゴム100が巻き重ねられた状態で当該リボン状ゴム100を保持している。また、リボン状ゴム100は、当該リボン状ゴム100の一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態で巻き掛け機構3のボビン15に保持されている。すなわち、リボン状ゴム100とフィルム107とが交互に積層された状態で、リボン状ゴム100がボビン15に巻かれている。
このボビン15は、支軸17および軸受(図示せず)を介して支持部材18に回転可能に支持されている。本実施形態では、ボビン15(リボン状ゴム100)の中心軸線は、マントル6の中心軸線L6と平行に配置されている。本実施形態では、支持部材18の上端部に支軸17およびボビン15が配置されている。また、支持部材18の下端部は、ベース11に固定されている。
上記の構成により、ボビン15は、リボン状ゴム100が送り出されるときに、支軸17回りを回転する。ボビン15から繰り出されたリボン状ゴム100は、テンション機構16に送られる。
テンション機構16は、ボビン15から送り出されたリボン状ゴム100に所定の引張力(テンション)を付与するために設けられている。テンション機構16は、ローラ21と、支軸22と、支持部材23と、を有している。
ローラ21は、ボビン15とマントル6との間に配置されている。ローラ21は、円筒状に形成されており、ボビン15から送り出されたリボン状ゴム100の一側面(下面)をフィルム107を介して受けるように構成されている。ローラ21は、リボン状ゴム100の一側面をこの一側面の法線方向に加圧するように配置されており、これにより、リボン状ゴム100に引張力が付与される。
ローラ21は、支軸22および軸受(図示せず)を介して支持部材23に回転可能に支持されている。本実施形態では、ローラ21の中心軸線は、マントル6の中心軸線L6と平行に配置されている。本実施形態では、支持部材23の上端部に支軸22およびローラ21が配置されている。また、支持部材23の下端部は、ベース11に固定されている。なお、テンション機構16は、上述の構成に限らず、リボン状ゴム100に引張力を付与可能な構成であればよい。ローラ21を通ったリボン状ゴム100は、渡し機構13へ送られる。
渡し機構13は、マントル6に向けて送られるリボン状ゴム100をマントル6に渡すために設けられている。渡し機構13は、テンション機構16とマントル6との間に配置されている。
渡し機構13は、マントル6へのリボン状ゴム100の進入を案内する渡しローラ24およびガイドユニット25と、これら渡しローラ24およびガイドユニット25を支持する支持機構26と、を有している。
渡しローラ24は、マントル6に隣接配置されており、マントル6の外周にリボン状ゴム100を沿わせるように構成されている。渡しローラ24は、円筒状に形成されている。本実施形態では、渡しローラ24の中心軸線L24は、マントル6の中心軸線L6と平行に配置されている。すなわち、渡しローラ24は、マントル6と平行に配置されている。本実施形態では、渡しローラ24の中心軸線L24の高さ位置は、マントル6の中心軸線L6の高さ位置と略同じに配置されている。
渡しローラ24の外径は、マントル6の外径よりも小さく設定されている。渡しローラ24は、マントル6にリボン状ゴム100が巻かれていないとき、マントル6の外周面と直接接触するように、支持機構26によって支持されている。また、平面視において、渡しローラ24、テンション用のローラ21、および、ボビン15は、リボン状ゴム100がボビン15からマントル6に送られるときの移動方向に沿って一直線に並んでいる。これにより、ボビン15からローラ21を通って渡しローラ24に送られるリボン状ゴム100は、上記軸方向X1と平行な方向に蛇行することを抑制されている。
ガイドユニット25は、渡しローラ24へ送られるリボン状ゴム100を案内するために渡しローラ24に隣接して配置されている。本実施形態では、マントル6の中心軸線L6と渡しローラ24の中心軸線L24とが向かい合う対向方向D1と直交する直交方向D2において、渡しローラ24から離隔した位置に、ガイドユニット25が配置されている。本実施形態では、ガイドユニット25は、渡しローラ24の上方に位置している。
ガイドユニット25は、リボン状ゴム100の幅方向におけるリボン状ゴム100の側方に配置される一対のガイド部27,27と、これら一対のガイド部27,27を繋ぐ複数の連結軸28と、複数の連結軸28のうちの一部に取り付けられることでガイド部27,27に支持されるとともにリボン状ゴム100の走行に伴って回転しリボン状ゴム100を受けるガイドローラ29と、を有している。
一対のガイド部27,27は、リボン状ゴム100の位置がマントル6の軸方向X1と平行な方向にずれることを抑制するために設けられている。一対のガイド部27,27は、軸方向X1と平行な方向に離隔した状態で並んで配置されている。一対のガイド部27,27間の間隔は、リボン状ゴム100の幅W100よりも大きく設定されている。各ガイド部27,27は、同じ形状に形成された、細長い平板状部材である。
各ガイド部27,27は、成形装置1を側面視した状態(図7に示す状態)において、湾曲状に形成されている。側面視において、各ガイド部27,27の先端部27bは、渡しローラ24のうちリボン状ゴム100を最初に受ける位置での接線と交差するように配置されている。そして、各ガイド部27,27は、当該ガイド部27,27の先端部27bから基端部27aへ向かうに従い、直交方向D2における、渡しローラ24からの距離が遠ざかるように湾曲している。
各ガイド部27,27は、本実施形態では、側面視において円弧状に形成されている。各ガイド部27,27の先端部27bは、渡しローラ24と直交方向D2に向かい合っている。一方、各ガイド部27,27の基端部27aは、渡しローラ24とは直交方向D2には向かい合っていない。上記の構成を有する一対のガイド部27,27は、連結軸28によって互いに固定されている。
連結軸28は、一対のガイド部27,27の間に複数配置されており、各ガイド部27,27の基端部27aから先端部27bにかけて、略等間隔に配置されている。本実施形態では、連結軸28は、7個設けられており、側面視において各ガイド部27,27が延びる方向に沿って並んでいる。各連結軸28の一端部が、一方のガイド部27に固定され、各連結軸28の他端部が、他方のガイド部27に固定されている。
複数の連結軸28のうちの一部の連結軸28に、ガイドローラ29が取り付けられている。ガイドローラ29は、リボン状ゴム100と転がり接触することで、このリボン状ゴム100をスムーズに送り出すために設けられている。ガイドローラ29は、本実施形態では、ガイド部27,27の基端部27aから先端部27bにかけて、3つの連結軸28のそれぞれにガイドローラ29が配置されている。
各ガイドローラ29は、対応する連結軸28に嵌められており、この連結軸28に回転可能に支持されている。そして、複数の連結軸28のうち、ガイド部27,27の先端部27bの連結軸28に、ガイドローラ29が配置されている。これにより、ガイドユニット25から渡しローラ24に向けて送られるリボン状ゴム100を確実にガイドローラ29で受けることができる。なお、本実施形態では図示されていないけれども、ガイドユニット25に、リボン状ゴム100を一定の長さ毎にカットするためのカッターが設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、一対のガイド部27,27が設けられる形態を例に説明するけれども、この通りでなくてもよい。たとえば、一対のガイド部27,27の何れか一方が省略されてもよい。上記の構成を有するガイドユニット25および渡しローラ24は、前述したように、支持機構26によって支持されている。
支持機構26は、ガイドユニット25および渡しローラ24を、マントル6に近づく方向およびマントル6から離隔する方向に変位可能に支持するように構成されている。
支持機構26は、固定部31と、可動部32と、付勢部材33と、を有している。
固定部31は、ベース11に固定された部材であり、ベース11と一体的に移動するように構成されている。本実施形態では、固定部31は、板金部材を用いて形成されている。固定部31の上端部は、渡しローラ24とは対向方向D1に並んでいる。この固定部31の上端部に、可動部32が支持されている。可動部32は、渡しローラ24およびガイドユニット25と対向方向D1に一体的に移動するように構成されている。
可動部32は、可動軸34と、可動軸34に固定された第1部分35と、第1部分35に固定された第2部分36と、を有している。
可動軸34は、固定部31の上端部に形成された円筒部37に嵌合されており、この円筒部37に対する対向方向D1のスライドが可能である。可動軸34の一端側部分には、ストッパ38が固定されている。ストッパ38は、可動軸34がマントル6側に所定量以上変位した場合に、円筒部37の縁部に接触することで、可動軸34が円筒部37から抜けることを防止している。可動軸34の他端部に、第1部分35が固定されている。
第1部分35は、ブロック状に形成された部分であり、渡しローラ24を回転可能に支持している。また、第1部分35に、第2部分36が固定されている。第2部分36は、第1部分35からガイドユニット25の連結軸28に向けて延びている。この第2部分36は、複数の連結軸28のうちガイドローラ29を保持していない連結軸28に固定されている。
付勢部材33は、渡しローラ24をマントル6側に向けて付勢するために設けられている。本実施形態では、付勢部材33は、コイルばねを用いて形成されている。なお、付勢部材33は、圧縮されることで弾性反発力を生じる構成であればよく、他の部材を用いて形成されていてもよい。本実施形態では、付勢部材33は、可動軸34に嵌合しており、固定部31と、第1部分35とに挟まれている。上記の構成により、可動軸34が対向方向D1に変位することで、渡しローラ24およびガイドユニット25は、対向方向D1に変位する。そして、付勢部材33が固定部31と第1部分35との間で圧縮されることで、渡しローラ24をマントル6側に向けて付勢する付勢力を生じる。上記の構成を有する支持機構26に隣接して、フィルム剥離機構14が配置されている。
図4〜図6を参照して、フィルム剥離機構14は、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる前にリボン状ゴム100からフィルム107を剥離するために設けられている。フィルム剥離機構14が設けられていることで、リボン状ゴム100は、リボン状ゴム100の一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態から、マントル6に巻かれる際にフィルム107を剥離されるようにしてマントル6に巻かれる。
フィルム剥離機構14は、送り出し機構12と渡しローラ24との間に配置されている。換言すれば、対向方向D1に沿って、送り出し機構12と、フィルム剥離機構14と、渡しローラ24と、が一直線上に並んでいる。この構成により、リボン状ゴム100は、巻き掛け機構3において、対向方向D1に沿って略一直線に送られる。これにより、リボン状ゴム100に軸方向X1と平行な方向に不要な力が作用することを抑制できる。
フィルム剥離機構14は、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107を引き寄せるための引き寄せ部材41と、フィルム107に引張力を付与するためのテンション機構42と、を有している。
引き寄せ部材41は、円筒状の外周面を有する部材であり、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107が巻き重ねられた状態で当該フィルム107を保持するように構成されている。本実施形態では、引き寄せ部材41の中心軸線の高さ位置は、渡しローラ24の中心軸線L24の高さ位置と略同じに設定されている。また、引き寄せ部材41は、送り出し機構12のテンションローラ21の真下に配置されており、これにより、巻き掛け機構3がコンパクトに構成されている。引き寄せ部材41には、複数(本実施形態では、4つ)の肉抜き孔43が形成されている。これにより、引き寄せ部材41が軽量化されており、引き寄せ部材41の慣性モーメントの低減を通じてリボン状ゴム100の走行速度とフィルム107の走行速度との間に差が生じることを抑制している。
引き寄せ部材41は、支軸44および軸受(図示せず)を介して支持部材23に回転可能に支持されている。引き寄せ部材41は、支軸44に対して相対回転可能に嵌合されている。本実施形態では、引き寄せ部材41の中心軸線は、マントル6の中心軸線L6と平行に配置されている。本実施形態では、支持部材23の上下方向中間部に支軸44および引き寄せ部材41が配置されている。また、支持部材23の下端部は、ベース11に固定されている。
上記の構成により、引き寄せ部材41は、フィルム107を巻き取るときに、支軸44回りを回転する。渡しローラ24を通過したフィルム107は、テンション機構42を介して引き寄せ部材41に巻かれる。
テンション機構42は、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107に所定の引張力(テンション)を付与するために設けられている。テンション機構42は、ローラ45と、支軸46と、を有している。
ローラ45は、渡しローラ24と引き寄せ部材41との間に配置されている。ローラ45は、円筒状に形成されており、渡しローラ24から送り出されたフィルム107の一側面(下面)を受けるように構成されている。ローラ45は、フィルム107の一側面をこの一側面の法線方向に加圧するように配置されており、これにより、フィルム107に引張力が付与される。
ローラ45は、支軸46および軸受(図示せず)を介して、支持機構26の固定部31に回転可能に支持されている。本実施形態では、ローラ45の中心軸線は、マントル6の中心軸線L6と平行に配置されている。なお、テンション機構42は、上述の構成に限らず、フィルム107に引張力を付与可能な構成であればよい。ローラ45を通ったフィルム107は、引き寄せ部材41の外周面に巻かれる。
また、巻き掛け機構3は、ボビン15と引き寄せ部材41とを互いに連動回転可能に連結する動力伝達機構48を有している。動力伝達機構48は、ボビン15の回転に伴って引き寄せ部材41を回転させるように構成されている。本実施形態では、動力伝達機構48は、プーリ式の動力伝達機構である。動力伝達機構48は、軸方向X1と平行な方向において、支持部材18,23を介して、ボビン15および引き寄せ部材41と向かい合って配置されている。
動力伝達機構48は、ボビン15の回転力を受ける駆動プーリ49と、引き寄せ部材41に回転力を伝達する従動プーリ50と、これらのプーリ49,50間に巻き掛けられた無端ベルト51と、を有している。
駆動プーリ49は、ボビン15に連結された支軸17に一体回転可能に連結されており、ボビン15と一体的に回転する。従動プーリ50は、引き寄せ部材41を支持する支軸44に一体回転可能に連結されており、すべり誘起部材52を介して引き寄せ部材41に連動回転可能に連結されている。本実施形態では、駆動プーリ49のピッチ円直径は、従動プーリ50のピッチ円直径よりも大きく設定されており、ボビン15の回転速度を増幅させて引き寄せ部材41に伝達するように構成されている。
なお、本実施形態では、各プーリ49,50のピッチ円直径が一定である形態を例に説明するけれども、この通りでなくてもよい。たとえば、各プーリ49,50を、ピッチ円直径を変更可能な可変径プーリで構成し、ボビン15におけるリボン状ゴム100の送り出し速度と引き寄せ部材41におけるフィルム107の巻き取り速度とを同期させるように上記のピッチ円直径を変化させてもよい。また、動力伝達機構48は、ボビン15と引き寄せ部材41とを動力伝達可能に連結できればよく、歯車機構などの他の機構によって形成されてもよい。
すべり誘起部材52は、引き寄せ部材41とボビン15との間に作用するトルクが所定値以上のときに引き寄せ部材41とボビン15との間にすべり動作を生じさせるために設けられている。換言すれば、すべり誘起部材52は、引き寄せ部材41とボビン15との間に回転速度のずれが生じたときに、この回転速度のずれを吸収するために、引き寄せ部材41とボビン15との相対回転を許容するために設けられている。
すべり誘起部材52は、本実施形態では、コイルばねを用いて形成されており、支軸44に嵌められている。すべり誘起部材52の一端部は、支軸44に固定されており、この支軸44と一体的に回転する。一方、すべり誘起部材52の他端部は、引き寄せ部材41に固定されており、この引き寄せ部材41と一体的に回転する。
上記の構成により、引き寄せ部材41とボビン15との間に作用するトルクが所定値未満のときには、従動プーリ50と引き寄せ部材41とは支軸44を介して一体的に回転することで、引き寄せ部材41とボビン15との間にすべり動作は生じない。一方、引き寄せ部材41とボビン15との間に作用するトルクが所定値以上のときには、従動プーリ50と引き寄せ部材41との間ですべり誘起部材52がねじれる。これにより、従動プーリ50と引き寄せ部材41とは相対回転し、その結果、引き寄せ部材41とボビン15との間ですべり動作が生じる。
ボビン15において、リボン状ゴム100が送り出される位置における、ボビン15の中心軸線からのリボン状ゴム100の距離(ピッチ円半径)は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って小さくなる。すなわち、動力伝達機構48の駆動プーリ49の角速度は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って小さくなる。一方、引き寄せ部材41において、フィルム107が巻かれる位置における、引き寄せ部材41の中心軸線からのフィルム107の距離(ピッチ円半径)は、フィルム107の巻き取りの進展に伴って大きくなる。すなわち、動力伝達機構48の従動プーリ50の角速度は、リボン状ゴム100の繰り出しの進展に伴って大きくなる。
このように、駆動プーリ49の回転速度と、従動プーリ50の回転速度との関係が変化する構成であるけれども、すべり誘起部材52が設けられていることにより、各プーリ49,50の回転速度の関係の変化にかかわらず、引き寄せ部材41によるフィルム107のスムーズな引き寄せ動作を実現できる。
前述したように、上記の構成を有する送り出し機構12、渡し機構13、フィルム剥離機構14、および、動力伝達機構48は、ベース11によって、軸方向X1に沿って一体的に変位可能に支持されているとともに、トラバース機構4によって、軸方向X1に沿って変位される。
トラバース機構4は、巻き掛け機構3をマントル6の軸方向X1に沿って変位させるための機構であり、ベース11を軸方向X1に沿って変位させる直動機構として設けられている。トラバース機構4は、たとえば、トラバース用の電動モータと、この電動モータの出力回転を直線変位に変換するボールねじなどの運動変換機構と、を有している。
トラバース機構4の電動モータは、たとえば、サーボモータまたはステッピングモータなどを用いて形成されており、当該電動モータの出力軸の回転位置を正確に制御可能である。上記の運動変換機構は、トラバース用電動モータの出力軸の回転運動を、軸方向X1に沿う直線運動に変換してベース11に伝達する。
上記の構成により、トラバース機構4は、リボン状ゴム100が送り出し機構12から送り出されることに連動して、ベース11を軸方向X1に沿って所定の速度で変位させる。これにより、ベース11に支持されたボビン15から渡しローラ24を通ってマントル6に繰り出されるリボン状ゴム100が、軸方向X1に沿って変位する。
上記の構成を有するマントル回転機構7、および、トラバース機構4は、制御部5によって制御される。制御部5は、図示しないタッチパネル装置などの入力装置に接続されており、成形装置1のオペレータによって入力装置が押操作されることで、押操作された内容に対応する所定の信号を受け取るように構成されている。
制御部5は、マントル回転機構7およびトラバース機構4を制御可能に構成されている。制御部5は、たとえば、PLC(Programmable Logic Controller)を用いて形成されている。なお、制御部5は、CPU、RAMおよびROMを含むコンピュータを用いて形成されてもよい。
次に、未加硫スリーブ106を形成する工程について、より具体的に説明する。図3を参照して、以下では、未加硫スリーブ106を形成する工程のうち、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)と、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)と、圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)について、より具体的に説明する。
図8は、未加硫スリーブ106およびマントル6について示す断面図である。図3、図4および図8を参照して、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)と、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)と、圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)は、それぞれ、本発明の「所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。
なお、本実施形態では、リボン状ゴム100の厚みとして、0.5mm〜3.5mmを例示することができ、また、0.5mm〜2.0mmを例示することができる。また、リボン状ゴム100の幅W100として、10mm〜50mmを例示することができる。また、未加硫スリーブ106の幅として、600mm〜1200mmを例示することができる。図8では、圧縮側ベルトスリーブ105として5層のリボン状ゴム100が積層された範囲AR1を示している。
これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、未加硫スリーブ106の幅よりも短い幅W100を有するリボン状ゴム100がマントル6に複数周巻かれる。これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、リボン状ゴム100がマントル6に螺旋状に巻かれる。本実施形態では、リボン状ゴム100の幅W100は、未加硫スリーブ106の幅の1/10未満に設定されている。
図9(A)は、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)について説明するための、主要部の断面図である。図3、図4および図9(A)を参照して、伸張側スリーブ巻き掛け工程(ステップS3)では、まず、作業員が、リボン状ゴム100の一端部を、ボビン15から引き出すとともに、渡しローラ24を介してマントル6に渡し、さらに、この一端部をマントル6に固定する。また、作業員が、渡しローラ24において、リボン状ゴム100からフィルム107を剥離するとともに、フィルム107の一端部を、引き寄せ部材41に固定する。
この状態から、制御部5の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転し、マントル6の回転によって、リボン状ゴム100がマントル6に引き寄せられてマントル6に巻き付けられる。さらに、トラバース機構4の動作によって、渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しローラ24によってマントル6に押しつけられつつ螺旋状に巻き付けられる。このとき、ボビン15と引き寄せ部材41とは、動力伝達機構48によって連動して回転する。そして、渡しローラ24において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材41に巻かれる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい伸張側ベルトスリーブ101は、マントル6にリボン状ゴム100を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、巻き掛け機構3およびトラバース機構4の動作によって、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。この場合、リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP1と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。
上記の工程により、マントル6の外周に、1層のリボン状ゴム100で形成された伸張側ベルトスリーブ101が完成する。伸張側ベルトスリーブ101が完成した後、渡しローラ24の近傍において、マントル6に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム100が、図示しないカッターで切断される。
図9(B)は、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)について説明するための、主要部の断面図である。図3、図4および図9(B)を参照して、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム100の一端部をマントル6に固定するとともに、フィルム107の一端部を、引き寄せ部材41に固定する。
この状態から、ステップS3における制御部5の制御と同様の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転するとともに、渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しローラ24によってマントル6に押しつけられ、その結果、リボン状ゴム100が螺旋状に巻き付けられる。そして、渡しローラ24において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材41に巻かれる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい伸張側接着ベルトスリーブ102は、マントル6にリボン状ゴム100を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、巻き掛け機構3およびトラバース機構4の動作によって、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。この場合、リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP1と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。
この際、伸張側ベルトスリーブ101の形成時におけるリボン状ゴム100の進行方向C1と、伸張側接着ベルトスリーブ102の形成時におけるリボン状ゴム100の進行方向C2とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向C1は、軸方向X1に沿ってマントル6の一端から他端に向かう方向であり、進行方向C2は、軸方向X1に沿ってマントル6の他端から一端に向かう方向である。
上記の工程により、マントル6および伸張側ベルトスリーブ101の外周に、1層のリボン状ゴム100で形成された伸張側接着ベルトスリーブ102が完成する。伸張側接着ベルトスリーブ102が完成した後、渡しローラ24の近傍において、マントル6に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム100が、図示しないカッターで切断される。
図10(A)は、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)について説明するための、主要部の断面図である。図3、図4および図10(A)を参照して、圧縮側接着ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS6)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム100の一端部をマントル6に固定するとともに、フィルム107の一端部を、引き寄せ部材41に固定する。
この状態から、ステップS3における制御部5の制御と同様の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転するとともに、渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しローラ24によってマントル6に押しつけられ、その結果、リボン状ゴム100が螺旋状に巻き付けられる。そして、渡しローラ24において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材41に巻かれる。
本実施形態では、比較的厚みの小さい圧縮側接着ベルトスリーブ104は、マントル6にリボン状ゴム100を1層(ply)巻くことで形成されている。この場合、巻き掛け機構3およびトラバース機構4の動作によって、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。この場合、リボン状ゴム100の幅は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP1と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士が互いに密着した状態で当該リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。
上記の工程により、マントル6の外周に、1層のリボン状ゴム100で形成された圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成する。圧縮側接着ベルトスリーブ104が完成した後、渡しローラ24の近傍において、マントル6に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム100が、図示しないカッターで切断される。
図10(B)は、圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)について説明するための、主要部の断面図である。図3、図4および図10(B)を参照して、圧縮側ベルトスリーブ巻き掛け工程(ステップS7)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム100の一端部をマントル6に固定するとともに、フィルム107の一端部を、引き寄せ部材41に固定する。
この状態から、ステップS3における制御部5の制御と同様の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転するとともに、渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1に沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しローラ24によってマントル6に押しつけられ、その結果、リボン状ゴム100が螺旋状に巻き付けられる。そして、渡しローラ24において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材41に巻かれる。
本実施形態では、比較的厚みの大きい圧縮側ベルトスリーブ105は、マントル6にリボン状ゴム100を複数層(たとえば、2〜8層、本実施形態では、5層)巻くことで形成されている。この場合、巻き掛け機構3およびトラバース機構4の動作によって、リボン状ゴム100がマントル6の径方向R1に積層されることにより圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。また、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100の一部同士がマントル6の径方向R1に互いに重なり合うように、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP2よりも大きく(W100>P2)設定されている。
より具体的には、リボン状ゴム100を、軸方向X1と平行な方向に連続的且つ少しずつスライドさせることで、圧縮側ベルトスリーブ105を形成するリボン状ゴム100を僅かに撓ませつつマントル6(圧縮側接着ベルトスリーブ104)に巻く。このとき、トラバース機構4による、リボン状ゴム100の移動のピッチP2(マントル6の外周を1周する毎に軸方向X1と平行な方向にリボン状ゴム100が移動する量)を変更することによって、圧縮側ベルトスリーブ105の厚みを任意に変更できる。トラバース機構4による、リボン状ゴム100の移動のピッチP2は、以下のようにして設定される。
まず、作業員は、(圧縮側ベルトスリーブ105の厚みT105)÷(リボン状ゴム100の厚みT100)…(1)、すなわち、リボン状ゴム100の積層数plyを算出する。次に、作業員は、(リボン状ゴム100の幅W100)÷(リボン状ゴム100の積層数ply)…(2)を計算する。この計算値が、ピッチP2となる。
本実施形態では、圧縮側ベルトスリーブ105の厚みT105は、5mmである。また、リボン状ゴム100の厚みT100は1mm、リボン状ゴム100の幅W100は50mmである。よって、上記式(1)から、リボン状ゴム100の積層数ply=5mm÷1mm=5枚となる。また、上記式(2)から、ピッチP2=50mm÷5枚=10mmとなる。以上の計算式から、本実施形態では、幅W100=50mmのリボン状ゴム100が、ピッチP2=10mmで軸方向X1と平行な方向にスライドされることで、40mmずつ重ね合わされて積層される。
圧縮側ベルトスリーブ105の形成時、リボン状ゴム100は、軸方向X1に対して僅かに撓ませられつつ重ね合わされる。このため、厳密には、圧縮側ベルトスリーブ105の厚みT105は、上記の値とはならない。しかしながら、リボン状ゴム100が弾性を有するゴム製であること、また、圧縮側ベルトスリーブ105の厚みT105が数mm程度と小さいことから、実質的に圧縮側ベルトスリーブ105の厚みT105は、リボン状ゴム100の厚みT100×リボン状ゴム100の積層数plyと同じと考えることができる。本実施形態では、圧縮側ベルトスリーブ105を形成するリボン状ゴム100のうち、軸方向X1と平行な方向に隣り合うリボン状ゴム100の一端縁部100a同士の間隔が、ピッチP2に設定されている。
本実施形態では、圧縮側接着ベルトスリーブ104の形成時におけるリボン状ゴム100の進行方向C3と、圧縮側ベルトスリーブ105の形成時におけるリボン状ゴム100の進行方向C4とは、反対に設定されている。たとえば、進行方向C3は、軸方向X1に沿ってマントル6の他端から一端に向かう方向であり、進行方向C4は、軸方向X1に沿ってマントル6の一端から他端に向かう方向である。
上記の工程により、マントル6の外周に、複数層のリボン状ゴム100で形成された圧縮側ベルトスリーブ105が完成する。圧縮側ベルトスリーブ105が完成した後、渡しローラ24の近傍において、マントル6に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム100が、図示しないカッターで切断される。これにより、未加硫スリーブ106が完成する。なお、未加硫スリーブ106のうち、軸方向X1と平行な方向の両端部においては、圧縮側ベルトスリーブ105の厚みは、設計値T105未満であり、これらの両端部は、カット工程(ステップS8)でカットされた後、伝動ベルトの製造には用いられない。
なお、本実施形態では、伸張側ベルトスリーブ101を構成するリボン状ゴム100のply数として、1に限らず、1〜3を例示することができる。また、圧縮側ベルトスリーブ105を構成するリボン状ゴム100のply数は、5に限らず、2〜8を例示することができる。
以上説明したように、本実施形態によると、ベルトスリーブ形成ステップとしての、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)、および、圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)のそれぞれにおいて、成形装置1が、各ベルトスリーブ101,102,104,105の幅よりも短い幅W100を有するリボン状ゴム100をマントル6に複数周巻くことで、各ベルトスリーブ101,102,104,105が形成される。
この構成によると、リボン状ゴム100の幅は、ベルトスリーブ101,102,104,105の幅よりも短い。このため、巻き掛け機構3がリボン状ゴム100をマントル6に巻き付ける態様によって、ベルトスリーブ101,102,104,105の厚みおよび幅の少なくとも一方を調整できる。これにより、たとえば、巻き掛け機構3が、伝動ベルトの圧縮ゴム層となる圧縮側ベルトスリーブ105の厚みに応じてリボン状ゴム100をマントル6に巻き付ける態様を調整することで、任意の厚みの圧縮ゴム層を実現できる。これにより、圧縮ゴム層などの厚みの種類に応じて厚みの異なる複数種類のベルトスリーブを事前に準備する必要がなくなる。これにより、伝動ベルトの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のベルトスリーブを準備する必要がないので、伝動ベルトの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、リボン状ゴム100であれば、当該リボン状ゴム100の重さを軽くできる。このため、重いゴムシートを引きずりながら移動する必要がなく、ゴムに異物が混入するおそれをより小さくできるとともに、重いゴムシートを移動させるという重労働をなくすことができる。以上の次第で、伝動ベルトの製造にかかる手間をより少なくできる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100がマントル6の径方向R1に積層されることにより、圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。この構成によると、リボン状ゴム100を積層することで、所望の厚みの圧縮側ベルトスリーブ105を容易に形成できる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100がマントル6に螺旋状に巻かれることでベルトスリーブ101,102,104,105が形成される。この構成によると、リボン状ゴム100がマントル6に螺旋状に巻かれることで、所望の幅のベルトスリーブ101,102,104,105を容易に形成できる。
また、本実施形態によると、マントル6の軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100の一部同士がマントル6の径方向R1に互いに重なり合うように、リボン状ゴム100がマントルに巻かれることで、圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。この構成によると、トラバース機構4は、リボン状ゴム100を圧縮側ベルトスリーブ105の幅方向にスライドさせつつ、リボン状ゴム100をマントル6に巻くことで、リボン状ゴム100同士を重ねながら巻くことができる。これにより、リボン状ゴム100同士をより強固に結合させることができる。よって、マントル6にリボン状ゴム100が保持されているときにおいて、マントル6の周方向全域に亘って、圧縮側ベルトスリーブ105の形状をより精度良く維持できる。
また、本実施形態によると、圧縮側ベルトスリーブ105の巻き掛け工程(ステップS7)において、リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP2よりも大きく設定されている。この構成によると、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士を、確実に重ね合わせることができる。
また、本実施形態によると、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)、および、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)のそれぞれにおいて、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。この構成によると、ベルトスリーブ101,102,104の幅方向に隣接するリボン状ゴム100を、ベルトスリーブ101,102,104の幅方向に沿って一列に並べることができる。これにより、リボン状ゴム100を、ベルトスリーブ101,102,104の幅方向と平行な方向を向くように並べることができる。
また、本実施形態によると、伸張側ベルトスリーブ101の巻き掛け工程(ステップS3)、伸張側接着ベルトスリーブ102の巻き掛け工程(ステップS4)、および、圧縮側接着ベルトスリーブ104の巻き掛け工程(ステップS6)のそれぞれにおいて、リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP1と同じに設定されている。この構成によると、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がベルトスリーブ101,102,104の幅方向に隙間無い状態で、リボン状ゴム100をマントル6に巻くことができる。
また、本実施形態によると、マントル6に伸張側ベルトスリーブ101が形成された後、リボン状ゴム100が伸張側ベルトスリーブ101の外周側においてマントル6に積層されることで圧縮側ベルトスリーブ105が形成される。この構成によると、圧縮側ベルトスリーブ105が形成された後に伸張側ベルトスリーブ101がさらに巻かれる構成ではないので、圧縮側ベルトスリーブ105の形状を、伸張側ベルトスリーブ101の形成に悪影響を与えないような形状にする必要がない。このため、圧縮側ベルトスリーブ105を形成するためのリボン状ゴム100の積層方法の自由度をより高くできる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100は、当該リボン状ゴム100の一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態から、マントル6に巻かれる際にフィルム107を剥離されるようにしてマントル6に巻かれる。より具体的には、フィルム剥離機構14は、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる直前にリボン状ゴム100からフィルム107を剥離する。この構成によると、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる前の時点では、リボン状ゴム100同士が直接接触しないようにされている。これにより、リボン状ゴム100同士の張り付きに起因してリボン状ゴム100の繰り出し動作が不安定になることを防止できる。よって、マントル6にリボン状ゴム100がより安定した姿勢で巻かれることになる。その結果、ベルトスリーブ101,102,104,105の幅および厚みにばらつきが生じることをより確実に抑制できる。その結果、伝動ベルトの品質をより高くできる。また、フィルム剥離機構14が設けられているので、マントル6に巻かれるリボン状ゴム100からフィルム107を確実に取り外すことができる。
また、本実施形態によると、送り出し機構12からリボン状ゴム100が送り出されることで、リボン状ゴム100をマントル6の外周に巻き付けることができ、その結果、未加硫スリーブ106を形成できる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100の幅W100はベルトスリーブ101,102,104,105の幅よりも狭いので、リボン状ゴム100が巻き重ねられたボビン15は、ベルトスリーブ101,102,104,105のそれぞれの全体に比べて小さく且つ軽い。よって、リボン状ゴム100が巻き重ねられたボビン15の搬送などの取り扱いをより容易に行うことができる。
また、本実施形態によると、マントル6がマントル回転機構7によって回転されることで、リボン状ゴム100がマントル6に引き寄せられてマントル6に巻き付けられる。この構成によると、マントル6の回転力を、リボン状ゴム100をマントル6に引き寄せてマントル6に巻く力としても利用できる。これにより、リボン状ゴム100をマントル6に送り出すための回転機構をマントル回転機構7とは別に設ける必要がなく、成形装置1の構成をより簡素にできる。
また、本実施形態によると、渡し機構13の渡しローラ24によって、リボン状ゴム100が弛み難い状態でマントル6に巻かれる。これにより、リボン状ゴム100をより精度よくマントル6に巻くことができる。その結果、伝動ベルトについて、寸法精度などの精度をより高くできる。
また、本実施形態によると、渡し機構13は、渡しローラ24へ送られるリボン状ゴム100を案内するために渡しローラ24に隣接して配置されたガイドユニット25を含んでいる。この構成によると、渡しローラ24に送られるリボン状ゴム100が蛇行することをより確実に抑制できる。その結果、リボン状ゴム100を、より均等な配置でマントル6に巻くことができる。その結果、伝動ベルトについて、寸法精度などの精度をより高くできる。
また、本実施形態によると、ガイドユニット25は、リボン状ゴム100の幅方向におけるリボン状ゴム100の側方に配置されるガイド部27,27と、このガイド部27,27に支持されリボン状ゴム100の走行に伴って回転しリボン状ゴム100を受けるガイドローラ29と、を含んでいる。この構成によると、渡しローラ24に送られるリボン状ゴム100が蛇行することをより確実に抑制できるとともに、リボン状ゴム100に作用する摩擦抵抗をより少なくできる。その結果、リボン状ゴム100を、より均等な配置でマントル6に正確に巻くことができる。
また、本実施形態によると、支持機構26は、付勢部材33を有している。この構成によると、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる瞬間において、リボン状ゴム100をマントル6の外周に、より確実に扁平な状態で押し付けることができる。これにより、リボン状ゴム100は、マントル6に、より扁平な姿勢で保持される。これにより、リボン状ゴム100をより精度よくマントル6に巻くことができる。
また、本実施形態によると、フィルム剥離機構14は、リボン状ゴム100から剥離されたフィルム107を引き寄せるための引き寄せ部材41を含んでいる。この構成によると、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107がマントル6およびリボン状ゴム100に巻き込まれることを防止できる。
また、本実施形態によると、動力伝達機構48は、ボビン15と、ボビン15と引き寄せ部材41とを互いに連動回転可能に連結する。この構成によると、ボビン15によるリボン状ゴム100の送り出し動作と、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107を引き寄せ部材41が引き寄せる動作と、を連動させることができる。これにより、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離する動作に伴ってリボン状ゴム100の走行速度とフィルム107の走行速度とがずれることを抑制できる。その結果、リボン状ゴム100を、より安定した姿勢でマントル6に巻くことができる。その結果、リボン状ゴム100をより精度よくマントル6に巻くことができる。
また、本実施形態によると、動力伝達機構48は、引き寄せ部材41とボビン15との間に作用するトルクが所定値以上のときに引き寄せ部材41とボビン15との間にすべり動作を生じさせるすべり誘起部材52を含んでいる。この構成によると、リボン状ゴム100の走行速度と、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107の走行速度とに差が生じた場合に、引き寄せ部材41にすべり動作を生じさせることができる。これにより、リボン状ゴム100の走行速度と、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107の走行速度とに過度の差が生じることを抑制できる。その結果、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる動作を安定して継続できる。
また、本実施形態によると、巻き掛け機構3をマントル6の軸方向X1に沿って変位させるためのトラバース機構4が設けられている。この構成によると、リボン状ゴム100を、マントル6の軸方向X1に沿って移動させつつマントル6に巻くことができる。これにより、各ベルトスリーブ101,102,104,105の幅を任意に設定することができる。
また、本実施形態によると、伸張側ベルトスリーブ101がマントル6に巻き付けられる方向C1と、伸張側接着ベルトスリーブ102がマントル6に巻き付けられる方向C2とが互いに逆となるように設定されている。この構成によると、ベルトスリーブ101におけるリボン状ゴム100同士間に生じる段差と、接着ベルトスリーブ102におけるリボン状ゴム100同士間に生じる段差とが重なる領域をより小さくできる。これにより、ベルトスリーブ101と接着ベルトスリーブ102との境界面の形状をよりスムーズな形状にできる。その結果、接着ベルトスリーブ102に心線103を螺旋状にスピニングする場合において、心線103が巻かれるライン(ロープピッチライン)が乱れることなく一定の位置に保てる。これにより、心線103を所望の配置により精度よく配置できる。その結果、伝動ベルトの耐久性などの品質をより高くできる。よって、伝動ベルトの使用時において、伝動ベルトに不具合が生じることをより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、各ベルトスリーブ101,102,104,105を形成する工程は、各ベルトスリーブ101,102,104,105の幅と同じ幅を有する1枚のシートをマントル6に巻く作業とは異なり、細いリボン状ゴム100をマントル6に巻く工程である。このような構成であれば、ベルトスリーブとなるシートをマントルに巻き付けるとともにこのゴムシートの端部同士をジョイントすることで円筒スリーブを準備する工程、および、圧縮ゴム層の円筒スリーブを成形機へセットする作業という、重作業が不要であるとともに、これらの作業に付随する設備が不要である。さらに、重いシートをマントル6にセットするために引きずる必要がなくなるので、ベルトスリーブ101,102,104,105への異物混入のおそれをより小さくできる。
また、本実施形態によると、ベルトスリーブ101,102,104,105の幅よりも格段に小さい幅のリボン状ゴム100が巻かれることでこれらのベルトスリーブ101,102,104,105が形成される。このような構成であれば、1枚のシートでベルトスリーブを形成する場合と異なり、ベルトスリーブ101,102,104,105内にエア溜まりが生じることをより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100を巻き重ねることでベルトスリーブ101,102,104,105を形成する構成であるので、1枚のシートを巻くことでベルトスリーブを形成する構成に比べて、ゴム屑の発生をより少なくできる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100を巻き重ねることでベルトスリーブ101,102,104,105を形成する構成であり、このような構成であれば、人手を介したベルトスリーブの形成の手間をより少なくできる。これにより、伝動ベルトの形成工程の自動化をより容易に推進できる。
また、本実施形態によると、リボン状ゴム100を巻き重ねることでベルトスリーブ101,102,104,105を形成する構成であり、このような構成であれば、ベルトスリーブ101,102,104,105の厚みの精度をより高く制御できる。これにより、伝動ベルトの品質をより向上できる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の第1実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
(1)たとえば、上述の実施形態では、圧縮側ベルトスリーブ105を形成するリボン状ゴム100の幅W100が、圧縮側ベルトスリーブ105の形成時におけるピッチP2よりも大きい形態を例に説明した。すなわち、リボン状ゴム100が斜めに重ねられるようにマントル6に巻かれることで圧縮側ベルトスリーブ105が形成される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。
たとえば、本発明の伝動ベルトの製造方法の変形例について示す断面図である図11に示すように、マントル6の軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれることで、圧縮側ベルトスリーブ105Aが形成されてもよい。
なお、以下では、上述の実施形態と異なる点を主に説明し、上述の実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4および図11を参照して、この変形例では、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの形成時の何れにおいても、トラバース機構4は、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれるように巻き掛け機構3を変位させる。これにより、これらのベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aが形成されている。
換言すれば、トラバース機構4は、各ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aをマントル6に巻き付ける工程(ステップS3,S4,S6,S7)のそれぞれにおいて、リボン状ゴム100が巻かれるピッチP1を、リボン状ゴム100の幅W100と同じに設定している。
また、本実施形態では、マントル6の径方向R1に隣接するリボン状ゴム100の縁部100aの位置が、軸方向X1と平行な方向にずらされている箇所がある。より具体的には、伸張側ベルトスリーブ101Aにおける縁部100a(101a)の位置と、伸張側接着ベルトスリーブ102Aにおける縁部100a(102a)の位置とは、リボン状ゴム100の幅W100未満(たとえば、幅W100の半分)ずらされている。一方、伸張側接着ベルトスリーブ102Aにおける縁部100a(102a)の位置と、圧縮側接着ベルトスリーブ104Aにおける縁部100a(104a)の位置とは、軸方向X1と平行な方向の位置が揃えられている。
また、圧縮側接着ベルトスリーブ104Aにおける縁部100a(104a)の位置と、圧縮側ベルトスリーブ105Aのうち圧縮側接着ベルトスリーブ104Aと接触しているリボン状ゴム100における縁部100a(105a)の位置とは、リボン状ゴム100の幅W100未満(たとえば、幅W100の1/5程度)ずらされている。
また、圧縮側ベルトスリーブ105Aを構成する複数層のリボン状ゴム100において、径方向R1に隣接するリボン状ゴム100の縁部(縁部105aと縁部106a、縁部106aと縁部107a、縁部107aと縁部108a、縁部108aと縁部109a)同士の位置が、軸方向X1と平行な方向に一定値(たとえば、幅W100の1/5程度)ずらされている。
この変形例によると、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの巻き掛け工程(ステップS3,S4,S6,S7)のそれぞれにおいて、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるようにリボン状ゴム100がマントル6に巻かれる。この構成によると、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの幅方向に隣接するリボン状ゴム100を、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの幅方向に沿って一列に並べることができる。これにより、リボン状ゴム100を、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの幅方向と平行な方向を向くように並べることができる。
また、この変形例によると、ベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの巻き掛け工程(ステップS3,S4,S6,S7)のそれぞれにおいて、リボン状ゴム100の幅W100は、マントル6においてリボン状ゴム100が巻かれるピッチP1と同じに設定されている。この構成によると、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士がベルトスリーブ101A,102A,104A,105Aの幅方向に隙間無い状態で、リボン状ゴム100をマントル6に巻くことができる。
(2)また、上述の実施形態では、巻き掛け機構3において、フィルム剥離機構14が用いられるとともに、動力伝達機構48を用いてフィルム剥離14の引き寄せ部材41を回転駆動する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、フィルム剥離機構14に代えて、図12に示すように、フィルム剥離機構14Bが設けられてもよい。図12は、本発明のさらに別の実施形態におけるベルト成形装置1Bの主要部の側面図である。フィルム剥離機構14Bの位置は、フィルム剥離機構14の位置と同様に設定されている。
フィルム剥離機構14Bは、引き寄せ部材41Bと、押さえローラ55と、モータ56と、引き寄せ部材41Bおよびモータ56を動力伝達可能に連結する動力伝達機構48Bと、を有している。
引き寄せ部材41Bは、円筒状の外周面を有するローラであり、渡しローラ24においてリボン状ゴム100から剥離されたフィルム107を押さえローラ55と協働して引き寄せるように構成されている。押さえローラ55は、引き寄せ部材41Bと同様に円筒状の外周面を有するローラであり、引き寄せ部材41Bと転がり接触可能に配置されている。
引き寄せ部材41Bおよび押さえローラ55は、支軸44B,57および軸受(図示せず)を介して支持部材23に回転可能に支持されている。
上記の構成により、引き寄せ部材41Bおよび押さえローラ55は、フィルム107を引き寄せるときに、対応する支軸44B,57回りを回転する。引き寄せ部材41Bおよび押さえローラ55間を通過したフィルム107は、巻き掛け機構3の下方に配置された箱状のフィルム受け部材などに向けて落下していく。
モータ56は、たとえば、DCモータなどの電動モータであり、制御部5によって、所定の回転数で回転するように構成されている。モータ56のハウジングは、ベース11に固定されている。このモータ56の出力軸56aの回転駆動力は、動力伝達機構48Bを介して、引き寄せ部材41Bに伝達される。
動力伝達機構48Bは、出力軸56aに一体回転可能に連結された駆動プーリ49Bと、支軸44Bに一体回転可能に連結される引き寄せ部材41Bに回転力を伝達する従動プーリ50Bと、これらのプーリ49B,50B間に巻き掛けられた無端ベルト51Bと、を有している。
従動プーリ50Bは、すべり誘起部材52Bを介して引き寄せ部材41Bに連動回転可能に連結されている。支軸44Bは、引き寄せ部材41Bと相対回転可能に嵌合されている。支軸44Bは、すべり誘起部材52Bを介して引き寄せ部材41Bに連動回転可能に連結されている。
すべり誘起部材52Bは、引き寄せ部材41Bとモータ56との間に作用するトルクが所定値以上のときに引き寄せ部材41Bとモータ56の出力軸56aとの間にすべり動作を生じさせるために設けられている。換言すれば、すべり誘起部材52は、引き寄せ部材41Bとモータ56の出力軸56aとの間に回転速度のずれが生じたときに、この回転速度のずれを吸収するために、引き寄せ部材41Bと出力軸56aとの相対回転を許容するために設けられている。
すべり誘起部材52Bは、本実施形態では、コイルばねを用いて形成されており、支軸44Bに嵌められている。すべり誘起部材52Bの一端部は、支軸44Bに固定されており、この支軸44Bと一体的に回転する。一方、すべり誘起部材52Bの他端部は、引き寄せ部材41Bに固定されており、この引き寄せ部材41Bと一体的に回転する。
上記の構成により、引き寄せ部材41Bとモータ56の出力軸56aとの間に作用するトルクが所定値未満のときには、出力軸56aと引き寄せ部材41Bとは一体的に回転することで、引き寄せ部材41Bと出力軸56aとの間にすべり動作は生じない。一方、引き寄せ部材41Bと出力軸56aとの間に作用するトルクが所定値以上のときには、出力軸56aと引き寄せ部材41Bとの間ですべり誘起部材52Bがねじれる。これにより、出力軸56aと引き寄せ部材41Bとは相対回転し、引き寄せ部材41Bと出力軸56aとの間ですべり動作が生じる。
この変形例によると、モータ56の駆動力を利用して、引き寄せ部材41Bを回転駆動することができる。
また、この変形例によると、リボン状ゴム100の走行速度と、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107の走行速度とに差が生じた場合に、引き寄せ部材41Bにすべり動作を生じさせることができる。これにより、リボン状ゴム100の走行速度と、リボン状ゴム100から剥離したフィルム107の走行速度とに過度の差が生じることを抑制できる。その結果、リボン状ゴム100がマントル6に巻かれる動作を安定して継続できる。
<第2実施形態>
上述の実施形態および変形例では、1つのリボン状ゴム100をマントル6に巻き付けることで、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aを成形した。この構成では、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの成形にかかる時間が比較的長くなる傾向にある。理由としては、以下の(1)、(2)を挙げることができる。理由(1)は、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの成形幅に比べて、リボン状ゴム100の幅が狭く、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの成形時におけるマントル6へのリボン状ゴム100の巻き付け回数が多くなることにある。また、理由(2)は、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの厚みに比べてリボン状ゴム100の厚みが薄いため、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの成形のためにリボン状ゴム100を多数層に積層する必要がある。
仮に、圧縮側ベルトスリーブ105,105Aの成形作業時間短縮を目的として、マントル6の回転数を上げると、リボン状ゴム100の張力(引っ張られ度合い)が増して厚みが薄くなる不具合や、リボン状ゴム100からフィルム107が剥離できずにマントル6側のリボン状ゴム100にフィルム107が巻き込まれるといった不具合が生じるおそれがある。このため、リボン状ゴム100の回転速度を高くすることは困難である。以下、これらの課題を解決しつつ未加硫スリーブの成形速度をより高くする構成を説明する。
図13は、成形装置1Cの主要部の模式的な平面図である。図14は、未加硫スリーブ106Cの断面図である。図13および図14を参照して、成形装置1Cが成形装置1と異なっているのは、複数のリボン状ゴムとしてのリボン状ゴム100,100Cを、同時にマントル6に巻くように構成されている点にある。リボン状ゴム100は、本発明の「第1リボン状ゴム」の一例であり、リボン状ゴム100Cは、本発明の「第2リボン状ゴム」の一例である。成形装置1Cは、マントル6上に未加硫スリーブ106C(伸張側ベルトスリーブ101C、伸張側接着ベルトスリーブ102C、心線103、圧縮側接着ベルトスリーブ104C、および、圧縮側ベルトスリーブ105Cの積層体)を保持するために設けられている。
成形装置1Cは、スリーブ保持機構2と、複数の巻き掛け機構3,3Cと、トラバース機構4と、制御部5と、を有している。
巻き掛け機構3,3Cは、所定の厚みを有する未加硫スリーブ106C(伸張側ベルトスリーブ101C、伸張側接着ベルトスリーブ102C、圧縮側接着ベルトスリーブ104C、および、圧縮側ベルトスリーブ105Cの積層体)をマントル6の外周に形成するために、未加硫スリーブ106の幅よりも短い幅W100,W100Cを有するリボン状ゴム100,100Cをマントル6に巻くように構成されている。本実施形態では、複数の巻き掛け機構3,3Cのそれぞれからマントル6へ同時にリボン状ゴム100,100Cが送られることで複数のリボン状ゴム100,100Cがマントル6に巻かれる。
巻き掛け機構3は、ベース11と、送り出し機構12と、渡し機構13と、フィルム剥離機構14と、を有している。
また、巻き掛け機構3Cは、ベース11と、送り出し機構12と、渡し機構13と、フィルム剥離機構14と、を有している。
このように、巻き掛け機構3,3Cは、互いに同様の構成(ベース11と、送り出し機構12と、渡し機構13と、フィルム剥離機構14)を有している。
巻き掛け機構3,3Cは、マントル6の軸方向X1と平行な方向に並んで配置されており、互いに同一の構成を有している。巻き掛け機構3,3Cのベース11,11は、何れも、トラバース機構4によって同期して軸方向X1に沿って変位され、また、制御部5によって制御される。
本実施形態では、複数の巻き掛け機構3,3Cのそれぞれからマントル6へ同時にリボン状ゴム100,100Cが送られることで複数のリボン状ゴム100,100Cがマントル6に巻かれる。また、トラバース機構4は、複数の巻き掛け機構3,3Cをマントル6の軸方向X1に沿って一括して変位させることで、リボン状ゴム100,100Cを、同期するようにしてマントル6に巻くように動作する。
巻き掛け機構3Cが巻き掛け機構3異なっている点は、軸方向X1における位置が異なっている点と、保持するリボン状ゴムの種類が異なっている点である。巻き掛け機構3がリボン状ゴム100を保持しているのに対して、巻き掛け機構3Cは、リボン状ゴム100Cを保持している。
本実施形態では、巻き掛け機構3Cのボビン15は、リボン状ゴム100Cが巻き重ねられた状態で当該リボン状ゴム100Cを保持している。また、リボン状ゴム100Cは、当該リボン状ゴム100Cの一側面がフィルム107に沿わされつつ複数層に巻かれた状態で巻き掛け機構3Cのボビン15に保持されている。すなわち、リボン状ゴム100Cとフィルム107とが交互に積層された状態で、リボン状ゴム100Cが巻き掛け機構3Cのボビン15に巻かれている。
トラバース機構4は、複数の巻き掛け機構3,3C(ベース11,11)をマントル6の軸方向X1に沿って一括して変位させる。
次に、未加硫スリーブ106Cを形成する工程について、より具体的に説明する。前述したように、未加硫スリーブ106Cは、伸張側ベルトスリーブ101Cと、伸張側接着ベルトスリーブ102Cと、心線103と、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cと、圧縮側ベルトスリーブ105Cと、が積層された積層体である。未加硫スリーブ106Cが未加硫スリーブ106Aと異なっているのは、圧縮側ベルトスリーブ105Aと圧縮側ベルトスリーブ105Cの層数(ply数)である。圧縮側ベルトスリーブ105Aの層数が5であるのに対して、本実施形態における圧縮側ベルトスリーブ105Cの層数は、4に設定されている。
より詳細には、本実施形態では、伸張側ベルトスリーブ101C、伸張側接着ベルトスリーブ102C、および、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cは、それぞれ、層数が1に設定されており、リボン状ゴム100またはリボン状ゴム100Cをマントル6に巻くことで形成されている。伸張側ベルトスリーブ101Cは、リボン状ゴム100を1層重ねることで形成されている。また、伸張側接着ベルトスリーブ102Cは、リボン状ゴム100を1層重ねることで形成されている。また、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cはリボン状ゴム100Cを1層重ねることで形成されている。一方、圧縮側ベルトスリーブ105Cは、リボン状ゴム100,100C,100C,100の順に合計4層重ねることで形成されている。
なお、本実施形態では、リボン状ゴム100とリボン状ゴム100Cは、同じ材質によって厚みおよび幅が同じに設定されている。
ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cの形成時の何れにおいても、トラバース機構4は、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士またはリボン状ゴム100C同士がマントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるように、巻き掛け機構3,3Cを変位させる。
換言すれば、トラバース機構4は、各ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cをマントル6に巻き付ける工程(ステップS3,S4,S6,S7)のそれぞれにおいて、リボン状ゴム100が巻かれるピッチP1およびリボン状ゴム100Cが巻かれるピッチP1Cを、リボン状ゴム100の幅W100およびリボン状ゴム100Cの幅W100Cと同じに設定している(W100=W100C=P1=P1C)。
また、本実施形態では、マントル6の径方向R1に隣接するリボン状ゴム100,100Cの縁部100aCの位置が、軸方向X1と平行な方向にずらされている箇所がある。より具体的には、伸張側ベルトスリーブ101Cにおける縁部100aC(101aC)の位置と、伸張側接着ベルトスリーブ102Cにおける縁部100aC(102aC)の位置とは、リボン状ゴム100の幅W100未満だけずらされている。一方、伸張側接着ベルトスリーブ102Cにおける縁部100aC(102aC)の位置と、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cにおける縁部100aC(104aC)の位置とは、軸方向X1と平行な方向の位置が揃えられている。
また、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cにおける縁部100aC(104aC)の位置と、圧縮側ベルトスリーブ105Cのうち圧縮側接着ベルトスリーブ104Cと接触しているリボン状ゴム100における縁部100aC(105aC)の位置とは、リボン状ゴム100の幅W100未満(たとえば、幅W100の1/5程度)ずらされている。
また、圧縮側ベルトスリーブ105Cを構成する複数層のリボン状ゴム100,100Cにおいて、径方向R1に隣接するリボン状ゴム100,100Cの縁部(縁部105aCと縁部106aC、縁部106aCと縁部107aC、縁部107aCと縁部108aC)同士の位置が、軸方向X1と平行な方向に一定値(たとえば、幅W100の1/5程度)ずらされている。
次に、未加硫スリーブ106Cを形成する工程のうち、伸張側ベルトスリーブ101Cの巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ102Cの巻き掛け工程(ステップS4)と、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの巻き掛け工程(ステップS6)と、圧縮側ベルトスリーブ105Cの巻き掛け工程(ステップS7)について、より具体的に説明する。なお、上記ステップS3,S4,S6,S7は、それぞれ、本発明の「所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップ」の一例である。
本実施形態では、リボン状ゴム100,100Cの厚みとして、0.5mm〜3.5mmを例示することができ、また、0.5mm〜2.0mmを例示することができる。また、リボン状ゴム100,100Cの幅W100,W100Cとして、10mm〜50mmを例示することができる。また、未加硫スリーブ106Cの幅として、600mm〜1200mmを例示することができる。
これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、未加硫スリーブ106の幅よりも短い幅W100、W100Cを有するリボン状ゴム100がマントル6に複数周巻かれる。これらステップS3,S4,S6,S7では、それぞれ、対応するリボン状ゴム100,100Cがマントル6に螺旋状に巻かれる。
図15(A)は、伸張側ベルトスリーブ101C(ステップS3)および伸張側接着ベルトスリーブ102Cの巻き掛け工程(ステップS4)について説明するための、主要部の断面図である。図13、および、図15(A)を参照して、本実施形態では、複数のリボン状ゴム100,100Cを同時にマントル6に巻く。これにより、伸張側スリーブ101Cの巻き掛け工程(ステップS3)と、伸張側接着ベルトスリーブ102Cの巻き掛け工程(ステップS4)とが、一括して行われる。
具体的には、まず、作業員が、リボン状ゴム100,100Cのそれぞれの一端を、マントル6の一端(本実施形態では、右端)に固定する。このとき、マントル6の軸方向X1におけるリボン状ゴム100の一端の固定位置と、リボン状ゴム100Cの一端の固定位置とは、ずらされている。
この状態から、制御部5の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転し、マントル6の回転によって、リボン状ゴム100,100Cがマントル6に引き寄せられてマントル6に巻き付けられる。さらに、トラバース機構4の動作によって、各巻き掛け機構3,3Cの渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1の一方X1Cに沿って変位する。これにより、リボン状ゴム100,100Cは、移動方向が同じ状態で渡しローラ24によってマントル6に押しつけられつつ螺旋状に巻き付けられる。このとき、マントル6にリボン状ゴム100が直接巻かれ、このリボン状ゴム100に被さるようにリボン状ゴム100Cが巻かれる。
上記の工程により、マントル6の外周に、伸張側ベルトスリーブ101Cおよび伸張側ベルトスリーブ102Cが完成する。伸張側ベルトスリーブ101C,102Cが完成した後、リボン状ゴム100,100Cが、マントル6に巻き掛けられていない箇所において、図示しないカッターで切断される。
図15(B)は、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの巻き掛け工程(ステップS6)について説明するための、主要部の断面図である。図13、および図15(B)を参照して、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの巻き掛け工程(ステップS6)では、ステップS3での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム100の一端をマントル6の他端に固定するとともに、フィルム107の一端を、引き寄せ部材41に固定する。リボン状ゴム100Cは、マントル6には取り付けられない。
この状態から、ステップS3における制御部5の制御と同様の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転するとともに、渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1の他方X2Cに沿って変位することで、リボン状ゴム100が渡しローラ24によってマントル6に押しつけられ、その結果、リボン状ゴム100が螺旋状に巻き付けられる。そして、渡しローラ24において、リボン状ゴム100とフィルム107とが剥離し、フィルム107は、引き寄せ部材41に巻かれる。
この際、ベルトスリーブ101C,102Cの成形時におけるリボン状ゴム100,100Cの進行方向X1Cと、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの成形時におけるリボン状ゴム100の進行方向X2Cとは、反対に設定されている。たとえば、進行方向X1Cは、軸方向X1に沿ってマントル6の一端(右端)から他端(左端)に向かう方向であり、進行方向X2Cは、軸方向X1に沿ってマントル6の他端から一端に向かう方向である。
上記の工程により、伸張側接着ベルトスリーブ102Cおよび芯線103の外周に、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cが完成する。圧縮側接着ベルトスリーブ104Cが完成した後、渡しローラ24の近傍において、マントル6に巻かれる前の位置におけるリボン状ゴム100が、図示しないカッターで切断される。
図16(A)および図16(B)は、圧縮側ベルトスリーブ105Cの巻き掛け工程(ステップS7)について説明するための、主要部の断面図である。図13、および、図16(A)を参照して、圧縮側ベルトスリーブ105Cの巻き掛け工程(ステップS7)では、ステップS3,S4での作業と同様に、作業員が、リボン状ゴム100,100Cの一端をマントル6の一端に固定する。このとき、マントル6の軸方向X1におけるリボン状ゴム100の一端の固定位置と、リボン状ゴム100Cの一端の固定位置とは、ずらされている。
この状態から、ステップS3における制御部5の制御と同様の制御によって、マントル回転機構7およびトラバース機構4が駆動される。これにより、マントル6が回転し、リボン状ゴム100,100Cがマントル6に引き寄せられてマントル6に巻き付けられる。すなわち、複数のリボン状ゴム100,100Cが同時にマントル6に巻かれる。さらに、トラバース機構4の動作によって、各巻き掛け機構3,3Cの渡しローラ24が一定の速度で軸方向X1の一方X1Cに沿って変位する。これにより、リボン状ゴム100,100Cは、移動方向が同じ状態で渡しローラ24によってマントル6に押しつけられつつ螺旋状に巻き付けられる。このとき、リボン状ゴム100に被さるようにリボン状ゴム100Cが巻かれる。その結果、リボン状ゴム100,100Cが一括して螺旋状に巻き付けられる。
そして、各巻き掛け機構3,3Cからのリボン状ゴム100,100Cがマントル6の他端に到達すると、トラバース機構4は、図13および図16(B)に示すように、各巻き掛け機構3,3Cの進行方向を反転させて、これらの巻き掛け機構3,3Cを軸方向X1の他方X2Cに沿って変位させる。これにより、今度は、巻き掛け機構3Cからのリボン状ゴム100Cが巻き掛け機構3からのリボン状ゴム100に被せられるようにリボン状ゴム100,100Cがマントル6に螺旋状に巻かれる。
上記の工程により、マントル6の外周に、複数層のリボン状ゴム100,100C,100C,100で形成された圧縮側ベルトスリーブ105Cが完成する。圧縮側ベルトスリーブ105Cが完成した後、各巻き掛け機構3,3Cから延びるリボン状ゴム100,100Cが、図示しないカッターで切断される。これにより、未加硫スリーブ106Cが完成する。
なお、各ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cの形成時において、巻き掛け機構3,3Cおよびトラバース機構4は、マントル6の軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士およびリボン状ゴム100C同士が、マントル6の径方向R1に互いに重なることを避けるように動作する。具体的には、リボン状ゴム100,100Cの幅W100,W100Cと、マントル6においてリボン状ゴム100,100Cが巻かれるピッチP1,P1Cとが同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するリボン状ゴム100同士およびリボン状ゴム100C同士が互いに密着した状態でこれらのリボン状ゴム100,100Cがマントル6に巻かれる。
上述の構成により、未加硫スリーブ106Cの成形時には、巻き掛け機構3,3Cは、マントル6に対して4回の巻き付け作業を行う。すなわち、巻き掛け機構3,3Cは、伸張側ベルトスリーブ101Cおよび伸張側接着ベルトスリーブ102Cの成形のために、軸方向X1の一方X1Cに一回目の移動をする。次に、巻き掛け機構3,3Cは、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの成形のために、軸方向X1の他方X2Cに二回目の移動をする。次に、巻き掛け機構3,3Cは、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形のために、軸方向X1の一方X1Cに三回目の移動をし、さらに、軸方向X1の他方X2Cに四回目の移動をする。このように、未加硫スリーブ107Cの成形のために、リボン状ゴム100,100Cの巻き付け回数(直動回数)は、四回を上限とすることが、ベルト製造効率の点から好ましい。
以上説明したように、本実施形態では、ベルトスリーブ形成ステップ(ステップS3,S4,S7)において、複数のリボン状ゴム100,100Cを同時にマントル6に巻く。この構成によると、マントル6にリボン状ゴム100,100Cを巻いてベルトスリーブ101C,102C,105Cを完成させるのに必要な時間をより短くできる。たとえば、1つのリボン状ゴム100を巻いてスリーブ101C,102C,105Cを完成させる場合と比べて、2個のリボン状ゴム100,100Cを巻いてベルトスリーブ101C,102C,105Cを完成させる場合、これらのベルトスリーブ101C,102C,105Cの形成に必要な時間を1/2にできる。
また、本実施形態では、ベルトスリーブ形成ステップ(ステップS3,S4,S7)において、マントル6の軸方向X1と平行な方向におけるリボン状ゴム100,100Cの移動方向が同じとなるように設定されている。この構成によると、ベルトスリーブ101C,102C,105Cの形成ステップ(ステップS3,S4,S7)では、複数のリボン状ゴム100,100Cが並走することとなる。これにより、マントル6へのリボン状ゴム100,100Cの巻き付け作業をよりスムーズに行うことができ、その結果、ベルトスリーブ101C,102C,105Cの形成にかかる時間をより短くできる。
また、本実施形態では、複数のリボン状ゴム100,100Cを重ね合わせるようにして同時にマントル6に巻くことができる。これにより、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みに比べてリボン状ゴム100,100Cの厚みが薄くても、リボン状ゴム100,100Cをマントル6に巻くと略同時に2つのリボン状ゴム100,100Cを積層できるので、厚い圧縮側ベルトスリーブ105Cの形成にかかる時間をより短くできる。
また、本実施形態では、複数の巻き掛け機構3,3Cのそれぞれからマントル6へ同時にリボン状ゴム100,100Cが送られることで複数のリボン状ゴム100,100Cがマントル6に巻かれる。この構成によると、巻き掛け機構3,3Cが複数のリボン状ゴム100,100Cをマントル6に巻き付ける態様によって、たとえば、ベルトスリーブ105Cの厚みを調整できる。これにより、任意の厚みのベルトスリーブ105Cを実現できるので、圧縮ゴム層などの厚みの種類に応じて厚みの異なる複数種類のベルトスリーブを事前に準備する必要がなくなる。これにより、伝動ベルト1Cの製造にかかる準備と手間と時間を少なくできる。また、複数種類のベルトスリーブを準備する必要がないので、伝動ベルト1Cの製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。さらに、マントル6にリボン状ゴム100,100Cを巻いてベルトスリーブ101C,102C,105Cを完成させるのに必要な時間をより短くできる。
また、本実施形態によると、トラバース機構4は、複数のリボン状ゴム100,100Cを並走させる。これにより、マントル6へのリボン状ゴム100,100Cの巻き付け作業をよりスムーズに行うことができ、その結果、ベルトスリーブ101C,102C,105Cの形成にかかる時間をより短くできる。
上記の実施形態では、リボン状ゴム100,100Cの厚みW100,W100Cが同じである形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。リボン状ゴム100,100Cの厚みW100,W100Cは、たとえば、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みに応じて適宜変更可能である。
より具体的には、第1リボン状ゴムとしてのリボン状ゴム100の厚みT100と第2リボン状ゴムとしてのリボン状ゴム100Cの厚みT100Cを同一または互いに異なる値に設定することと、リボン状ゴム100,100Cを巻き重ねる回数を設定することにより、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みを設定することができる。
伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みと略同じである。このため、圧縮ゴム層の厚みに応じたリボン状ゴム100,100Cの組み合わせを採用することで、圧縮ゴム層の厚みを任意に設定できる。下記表1に、伝動ベルトのベルト形毎の仕様が記載されている。
Figure 0006875183
表1では、ベルト形毎に、ベルト全体の厚みと、圧縮ゴム層の厚みと、リボン状ゴム100,100Cの厚みの組み合わせと、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれのリボン状ゴム100,100C厚みの組み合わせと、圧縮側ベルトスリーブ105C成形時における巻き掛け機構3,3Cの軸方向X1への移動回数(巻き付け回数)と、が記載されている。
表1についてより具体的に説明すると、ベルト形「M」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは3.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.0mmに設定される。この場合、リボン状ゴム100Cは用いられない。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3がマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動されることで、1層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「A」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは5.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=2.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.0mmに設定され、合計の厚みt=2.0+3.0=5.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動されることで、2層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが形成される。
また、ベルト形「B」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは6.1mmで実質的に6.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.0mmに設定され、合計の厚みt=3.0+3.0=6.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動されることで、2層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「C」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは7.7mmで実質的に8.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=2.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=2.0mmに設定され、合計の厚みt=2.0+2.0=4.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、4.0mm+4.0mm=8.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「D」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは10.5mmで実質的に10.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=2.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.0mmに設定され、合計の厚みt=2.0+3.0=5.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、5.0mm+5.0mm=10.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「E」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは13.8mmで実質的に14.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.5mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.5mmに設定され、合計の厚みt=3.5+3.5=7.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、7.0mm+7.0mm=14.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「3V」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは4.4mmで実質的に4.5mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=2.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=2.5mmに設定され、合計の厚みt=2.0+2.5=4.5mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動されることで、2層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「5V」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは7.4mmで実質的に7.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.5mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.5mmに設定され、合計の厚みt=3.5+3.5=7.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動されることで、2層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「8V」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは12.7mmで実質的に13.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.5mmに設定され、合計の厚みt=3.0+3.5=6.5mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、6.5mm+6.5mm=13.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「HO」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは14.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.5mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.5mmに設定され、合計の厚みt=3.5+3.5=7.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、7.0mm+7.0mm=14.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「HM」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは12.2mmで実質的に12.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=3.0mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.0mmに設定され、合計の厚みt=3.0+3.0=6.0mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、6.0mm+6.0mm=12.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
また、ベルト形「HL」が製造される場合、伝動ベルトの圧縮ゴム層の厚みは10.9mmで実質的に11.0mmであり、リボン状ゴム100の厚みT101がt=2.5mmに設定されるとともに、リボン状ゴム100Cの厚みT101Cがt=3.0mmに設定され、合計の厚みt=2.5+3.0=5.5mmとなる。このとき、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形に際しては、巻き掛け機構3,3Cがマントル6の軸方向X1の一方X1Cに一回移動され、さらに、マントル6の軸方向X1の他方X2Cに一回移動される。これにより、巻き掛け機構3,3Cのそれぞれが2回の巻き掛け動作を行うことで、5.5mm+5.5mm=11.0mm且つ4層の圧縮側ベルトスリーブ105Cが成形される。
このように、リボン状ゴム100,100Cの厚T100,T100Cを同一または互いに異なる値に設定することと、リボン状ゴム100,100Cを巻き重ねる回数を設定することにより、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みを設定することができる。この構成であれば、1つのリボン状ゴム100またはリボン状ゴム100Cを巻くことで圧縮側ベルトスリーブ105Cを形成する場合と比べて、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みをより多様に設定できる上に、圧縮側ベルトスリーブ105Cの成形にかかる時間をより短くできる。
なお、上述の実施形態では、圧縮側ベルトスリーブ105Cの厚みを種々の値に設定する場合を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。たとえば、伸張側ベルトスリーブ101C、伸張側接着ベルトスリーブ102C、および、圧縮側接着ベルトスリーブ104Cの何れかの成形において、厚みを種々の値に設定してもよい。また、各ベルトスリーブ101C,102C,104C,105Cのそれぞれの成形時において、リボン状ゴム100,100Cのそれぞれの積層数は、3以上(計6以上)でもよい。
(3)また、上述の各実施形態および変形例では、マントル6に、伸張側ベルトスリーブ101,101A,101Cが形成された後、圧縮側ベルトスリーブ105,105A,105Cが形成される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、マントル6に、圧縮側ベルトスリーブ105,105A,105Cが形成された後、伸張側ベルトスリーブ101,101A,101Cが形成されてもよい。
(4)また、伸張側ベルトスリーブ101,101A,101Cが複数plyのリボン状ゴム100,100Cで形成されてもよい。この場合、伸張側ベルトスリーブ101,101A,101Cの形成方法は、圧縮側ベルトスリーブ105,105A,105Cの形成方法と同様である。
(5)なお、本発明は、ラップドVベルトに限らず、他の伝動ベルトの製造においても適用することができる。
本発明は、伝動ベルトの製造方法として広く適用することができる。
6 マントル
100,100C リボン状ゴム
101,101A,101C 伸張側ベルトスリーブ(ベルトスリーブ)
102,102A,102C 伸張側接着ベルトスリーブ(ベルトスリーブ)
104,104A,104C 圧縮側接着ベルトスリーブ(ベルトスリーブ)
105,105A,105C 圧縮側ベルトスリーブ(ベルトスリーブ)
107 フィルム
P1,P2,P1C ピッチ
R1 マントルの径方向
W100,W100C リボン状ゴムの幅
X1 マントルの軸方向

Claims (12)

  1. 伝動ベルトの製造方法であって、
    所定の厚みを有する未加硫のベルトスリーブをマントルの外周に形成するベルトスリーブ形成ステップを含み、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記ベルトスリーブの幅よりも短い幅を有するリボン状ゴムを前記マントルに複数周巻くことで、前記ベルトスリーブが形成され、
    前記ベルトスリーブとして、前記伝動ベルトの伸張ゴム層となるように配置される伸張側ベルトスリーブと、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層となるように配置される圧縮側ベルトスリーブと、が設けられ、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、前記マントルに前記伸張側ベルトスリーブが形成された後、前記ベルトスリーブの幅よりも短い幅を有する前記リボン状ゴムが前記伸張側ベルトスリーブの外周側において前記マントルの径方向に積層されることで前記圧縮側ベルトスリーブが形成されることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  2. 請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記リボン状ゴムが前記マントルの径方向に積層されることにより前記ベルトスリーブが形成されることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記リボン状ゴムが前記マントルに螺旋状に巻かれることで前記ベルトスリーブが形成されることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴムの一部同士が前記マントルの径方向に互いに重なり合うように、前記リボン状ゴムが前記マントルに巻かれることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  5. 請求項4に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記リボン状ゴムの幅は、前記マントルにおいて前記リボン状ゴムが巻かれるピッチよりも大きく設定されていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記マントルの軸方向と平行な方向に隣接するリボン状ゴム同士が前記マントルの径方向に互いに重なることを避けるように前記リボン状ゴムが前記マントルに巻かれることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記リボン状ゴムの幅は、前記マントルにおいて前記リボン状ゴムが巻かれるピッチと同じに設定されていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記リボン状ゴムは、当該リボン状ゴムの一側面がフィルムに沿わされつつ複数層に巻かれた状態から、前記マントルに巻かれる際に前記フィルムを剥離されるようにして前記マントルに巻かれることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムを同時に前記マントルに巻くことを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  10. 請求項9に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムについて、前記マントルの軸方向と平行な方向における移動方向が同じとなるように設定されていることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  11. 請求項9または請求項10に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ベルトスリーブ形成ステップでは、複数の前記リボン状ゴムとして、第1リボン状ゴムとこの第1リボン状ゴムに重ねられる第2リボン状ゴムとが用いられることを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
  12. 請求項11に記載の伝動ベルトの製造方法であって、
    前記第1リボン状ゴムの厚みと前記第2リボン状ゴムの厚みを同一または互いに異なる値に設定することと、前記第1リボン状ゴムおよび前記第2リボン状ゴムを巻き重ねる回数を設定することにより、前記ベルトスリーブの厚みを設定することを特徴とする、伝動ベルトの製造方法。
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